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1949-04-22 第5回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十二日(金曜日)     午後二時十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 前田  郁君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 佐伯 宗義君    理事 橘  直治君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    小西 寅松君       鈴木 明良君    高橋 定一君       滿尾 君亮君    米窪 滿亮君       志賀健次郎君    柄澤登志子君       飯田 義茂君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         運輸政務次官  坂田 道太君         運輸事務官         (鉄道総局長         官)      加賀山之雄君         運輸事務官         (同業務局長) 藪谷 虎芳君         運輸事務官         (自動車部長) 島居辰次郎君  委員外出席者         運輸事務官   石井 昭正君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 四月二十一日  白城線拂下反対の陳情書  (第二一五号)  琵琶湖線並び若江線拂下反対の陳情書  (第二一  八号)  阪和線拂下反対の陳情書外六件  (第二三一号)  廣濱鉄道敷設促進陳情書  (第二三四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣提  出第五八号)  道路運送監理事務所に関する件     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 これより会議を開きます。  國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。その質疑に入る前にお諮りいたしたいことがあります。鉄道運賃値上げは、物償上昇國民生活における負担の増大その他あらゆる部面にわたつて重大なる影響を及ぼすことが考えられますので、まことに一般的関心及び目的を有する重要なる案件であろうかと思います。従いまして本来ならば、廣く國民の声を聞き、関係方面意見を聽取するために、公聽会を開くべきだと思いまするが、公聽会を開きまするには、手続上相当時間的余裕が必要でありまして、五月一日より施行を予定いたしております本案について公聽会を開くということは、非常にむりがあるのではないかと考えられます。従いまして先般理事方々と相談いたしました結果、次善の策といたしまして、適当な人々を参考人として本委員会にお招きいたしまして、その意見を聽取するということにすれば、実質上は公聽会とほとんど効果が同じではなかろうかということになつた次第であります。つきましては参考人より意見を聽取するということにいたしたいと思いますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柄澤登志子

    柄澤委員 委員長にお伺いいたしますが、理事会決定最後決定ではございませんで、委員会決定するものと考えられるのでございます。参考人を呼ぶということに対しまして大体決定されているように御報告でございましたけれども、私どもといたしましては、これが今非常に社会不安を與え、人心が動揺する上に大きな影響を持つ問題でございますから、公聽会を持つて、万全の策を講じて、運輸委員会がこの問題を処理したという手段を、ぜひとつていただきたいと希望するわけであります。もう一應各委員諸氏にお諮りくださいまして、そうしてこの問題をここで決定していただきたいと思います。
  4. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 公聽会を開くということにつきましては、前回の運賃値上げの際も、相当重要だということでやつたのでありますが、その後各委員会では、時間的制約を受けた場合はただいま申し上げました通り参考人より意見を徴するということで、それがただいまほとんど慣例になつているそうであります。それで実は理事会においてそう決定いたしましたので、今皆様にお諮り申し上げたわけでありますが、皆様異議なしということで、満場一致決定されたと思うのであります。それで御承認は願えないでございましようか。
  5. 柄澤登志子

    柄澤委員 それでは参考人をお呼びくださいますときに、ぜひ公聽会を開いたと同様の効果をねらつて、なるべく廣汎な範囲の人たちを参加させるように希望したいと思います。
  6. 前田郁

    前田(郁)委員長 代理御趣旨を尊重いたしまして、そういうふうにとりはからいたいと思います。  なお参考人の選定並びに意見を聽取する日時等決定は、委員長並びに理事に御任をお願いいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 ではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  8. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 質疑のおありの方はこれより発言を許します。質問の通告がございますから、佐伯宗義君にこれを許します。
  9. 佐伯宗義

    佐伯委員 先回の委員会で私の要点はすでに盡きておるのでありますけれども、新聞紙上を見ますると、大きく修正が可能のように博えられておりますので、私の考えと致せぬ点がありますから、繰返してお伺いしたいと思います。  まずお伺いする点は四点あります。今回の鉄道運賃値上げは、國民の大なる負担になるのであるから、少くとも国鉄当局といたしましては、経営合理化をはかられたという十分の証拠をおあげ願いたいというような、多数の方々の御意思がありました。そこで予算の大綱を見ますと、今回國鉄従業員整理を十二万人余やるのであるというように書いてございますが、これがはたして事実であるかということが第一点でございます。それから今回の運賃適正化を証明いたしますために、償却が何ほど織り込まれているか、それがはたして適正であるか、これが第二点としてお伺いしたい点であります。  第三点は、先日大臣の御説明では、貨物運賃は七割値上げをする余裕があるという御説明がございましたが、そういたしますると、今回國鉄当局の提案によりまして、独立採算制が完全に遂行されているといたしまするならば、貨物運賃値上げによるところの二百十億余円が利益なつて現われる余裕があるのであるかどうか。この点が非常に重要な点でございまして、もしこの点が余裕があるといたしまするならば、旅客運賃値上げは、非常に不当なものであるという結論に到達されるごとく考えられますから、この点をお伺いしたいのが第三点であります。第四点は、今回の値上げは約六割に該当すると言われますが、しかし三箇月と六箇月の定期運賃値上げは、六割にとどまらず、これは何割に当るのであろう。これは二倍にもいな二倍半にも当るのではなかと考えられます。六割の運賃値上げということであれば、この際國民感情の上におきましても、しかく大きな刺激を與えないかもしれないが、もし全体としては六割でも、最も勤労者の大切なる生活の基本である定期運賃の三箇月、六箇月廃止によつて、二倍半も運賃が多額に上げられるというようなことがあり得たといたしまするならば、現在の生活環境は、この定期運賃を土台として通勤が行われておりますので、その生活條件の破壊とならぬとも限りません。この点に対しての当局のお考えが、数字の上においてどういう額に現われておりまするかをお伺いしたいのであります。  以上四点をまずお伺いいたします。
  10. 坂田道太

    坂田(道)政府委員 お答えいたします。予算上十二万人整理をするということは事実でございます。しかしながらこれは行政機構の改革、それに伴うところの人員整理、あるいは定員法とか運輸省設置法というようなものが出まして、その際にきまるべきものでありまして、一應予算上には十二万人にいたしているような次第であります。第二点の償却につきましては、十三億一千八百万円計上しております。第三点の問題につきましては、大体輸送原價を考えますと現在四三%でございまして、コストの面から考えますならば、二倍程度に上げ得るのでございますが、しかし運賃決定は單にコストだけではいけないのでありまして、これが物價に及ぼすところの影響というものも考えなければなりませんし、今回は特にこの点が重要視されまして、インフレーシヨンを収束させるということに非常なウエートがかかつておりました関係上、今回は貨物を上げないで、旅客を六割に上げたような次第でございます。第四点の問題につきましては長官からお答え申し上げたいと思つております。
  11. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 御指摘の通り三箇月、六箇月定期割引率廃止は、六箇月定期の最も割引率の高いところと比較いたしますと、相当な値上りで、今言われましたように二倍半程度に相なるのでございまして、急激に上るということに対しましては、当局といたしましても非常に憂慮いたしておる次第でありますが、何と申しましても、定期券割引率がいかにも高い。コストと比較いたしまして非常な差がある一般旅客運賃が大体収支が償つて余りあるのに対しまして、定期がいかにもそれと不均衡な状態にあるということでありまして、この際その点を是正したいということを考えておるわけであります。  なおこれを財源的に見ます場合、三箇月、六箇月定期割引率廃止によりまして、出て参りますところの財源は約三十億でありまして、そのうちたとえば三箇月のみを存置して六箇月のみを廃止したという場合には二十三億程度収入不足を来すという結果になる予定でございます。
  12. 佐伯宗義

    佐伯委員 人員整理の問題は、もちろん各種の法律並びに行政整理とともに行われると思いますので、当局がそういう考え方を持つて今回の予算に織り込んでおられるということであれば、まず一番大きな経営合理化に対して勘案されておるものであり、國民としては従来のような、利用せざる大衆から税金を徴收して、赤字を補填するという考え方根本にメスを入れられたことに対して、理解するところがあると考えるのであります。従つてこの点の質問に対しては、私は満足を得たのであります。  第二点の償却の十三億余円について、私の伺わんとするのは、これが適正であるかどうかということであります。現在の帳簿價格の上におきましては適正でありましようが、しかし実際價格におきまし、これが正しいか正しくないかという見解を承らんとするものであります。  それから第三点の貨物運賃の問題は、質問要点をはずれておりまして、本員といたしまして、この運賃値上げ案に対する可否を決定する実に重要な事項になつておるのであります。と申しますことは、貨物運賃物價体系関係上、値上げをするとはでき得るのであるけれども、この際は値上げをしないのである、こういうことはこれは政策の問題であります。しかしながら、事実上経営なされる経営主体から考えてみましたときにおいては、それだけ値上げをすることができ得て、それが利益なつて現われるかどうか、政策面から見ましたところの、要するに物價体系からできるのであるとか、ないとかいうのが要点ではないのでありまして、旅客運賃を六割値上げして、それによつて自然増牧があるのであるという見解でありますと、こういう結果を来すのであります。國有鉄道の建前から申しまして、そう請うような厖大利益をあげられ得喝値上げ余地が、政治面から押されまして、とんでもない旅客運賃にとばつちり行つて旅客運賃を不当に値上げするのである、こういう結果が参るのであります。この点が非常に重要な点でありまして、もし貨物運賃値上げする余裕が十二分にあるのであり、それによつて増収を来して厖大なる利益を受けるのであるが、物價体系関係上、旅客に轄嫁するのである、と言われまするならば、旅客運賃値上げをいたさずに、貨物運賃値上げしても増収がなし得る、というのは、國家一般会計から助成金を受ける正当な理由があると私は考えるのであります。この点に私は非常な矛盾を感じておるのであります。そこで私が伺わんと欲するのは、貨物運賃を二倍にするということは、物價の上において高くない、不適当なものではないのであるけれども、その収入が、はたして減収をしないで利益になるというような数字が出ないのではないかという面を見ますと、いま一面償却が十三億では不足ではないか、こういうふうに鉄道経営考えられたのであります。つまり私の考えでは、貨物運賃はなるほど二倍が運賃率といたしましては適正であるかもしれませんけれども、それによつて海運に食われる、あるいはまた現在トラックの進出はきわめて重大なものがあると私は思うのであります。鉄道当局と私が見解を異にしておりますのは、なるほど昭和基準年度から比較いたしますれば、物價の上におきまして賃率としては二倍まで値上げする余裕があるかもしれませんが、総体の収入といたしましては、減収すると見られる。それからそれによつて得られるある程度増収は、償却の不適当なものにまわして、ちようど今回の旅客運賃値上げが正当ではないかという判断を下しておつたのであります。これがもし誤つておるといたしまするならば、今回の運賃値上げは、まつた國民大衆から言わせますと、國家物價体系上、経済九原則を実施するために、旅客だけに犠牲を拂わせるという問題になつて來ますから、私は賛成することはでき得なくなります。  もう一つ定期券の問題について伺いましたのは、今伺いますと三箇月と六箇月で三十億、三箇月のものは二十三億、六箇月を加えまして三十億と言われますけれども、この二倍半の値上げは、この際十分にお考えにならなければいけない。今政府当局の御説明では、どうも日本の定期運賃割引率は非常に高率であるから、これを平均化したのであるという御説明でありますが、これはいつときになすべきものではないのでありまして、徐々になさるべきものである。今ただちに國民生活根本を急激に破壊するような変化というものは、だれしもお考えにならなければならないことであると思います。いわんや國有鉄道においてはこのことは大いに言い得る。総額におきましても三十億であります。全部割引率廃止せよと言うのではありませんからこの点は相当に御修正になる余裕をお持ちにならなければならぬと私は信じます。これを要するに、以上の点におきまして政府当局の確信をいま一度お聞せ願いたいと思います。
  13. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 最初の償却が少いではないかという御質問に対しましては、確かにこれはブック・バリユーによる價格でありまして、十分とは言い得ないと考えております。われわれといたしまして、現在の施設等をいわゆる再調達價格と申しますか、新たにこれを設備するとすれば、幾らになるかという債務に引直して、それに基いてこの償却を算定いたしますと、百八十億程度のものは必要であるという計算になるわけであります。従いまして当初の計画といたしましては、百八十億程度を何とか経営収入の中から出せないものかということで、算定をいたしたのでありますが、これらを加えますと、ますます経費増高を來しまして、従つていかに経営合理化し、極度の節減をはかりましても、なおかつ旅客貨物とも相当の率の引上げをしないと、おつつかないということに相なりまして、従つてその面は本年度といたしましては、あきらめざるを得ないということに相なつたわけであります。従いましてそういうような面から見て、当初としては適当な率において、旅客貨物両方も訂正をして行くという考えがあつたわけでありますが、そういつた経費が落ちたのに伴いまして、貨物運賃の方は、この際物價に対する直接の影響をも考慮いたしましてあきらめた。そして旅客運賃のみをもつて参るという政府の案といたした次第であります。従いましてそういう経費を見まするならば、貨物原價相当の額にまで上げることは、決してそれだけ十分な利益金が出るということではございませんで、経営の堅実をはかるために、そういつた償却額等を見込む余裕ができるということに相なろうかと存ずる次第であります。定期券の問題につきましては、確かに御説のごとく、また先ほど申しましたように、一急激な上昇はもちろん愼重に考慮すべきであるということは、政府といたしましても当然考えておる次第でございますけれども、この六箇月のみの割引率廃止するといたしまして、三箇月を存置するとすれば、なお二十三億程度赤字が出る、三箇月、六箇月両方廃止しないで存置すれば三十億この財源は現在のとろといたしましては、いずこに求むる余地もない次第でございまして、いわゆる歳入欠陷が出まする場合には、それだけ現在の運営を続けて行くに必要な経費を落して行く以外に方法はない。先ほどから申し上げましたように、物件費人件費とも極度の切詰めをやつております関係上現在のこの予算をもつていたしましても、運輸業務相当のむりをいたしませんとやつて行けない点があると考えるのでございますが、その上にかかる歳入欠陥を生じます場合には、運輸に支障を来すということが考えられるのでございましてそういう点に関しましては、委員会におかれましてもよく御考慮をお拂いになることを、われわれとしてはお願い申し上げたい、かように存ずる次第であります。
  14. 佐伯宗義

    佐伯委員 ただいまの御説明でまことに納得が行きました。要するに貨物運賃値上げ余裕はあるが、その値一上げをいたしまする利益分は、國鉄独立採算制健全化をはかるために償却に充当すべきものである、こういうお話を承りましたので、今回の旅客運賃値上げは、國有鉄道独立採算制を堅持せられる限りにおいては、まことに適正なものであると私には断定せられるのであります。ただ問題といたしましては、定期運賃の問題でございまして、これはやむを得ぬからということのみをもつて、免れることはでき得ません。やむを得ざるところを何か御苦心願いたい。かりに普通賃率が一円四十五銭と聞いておりまするが、これがもし五銭値上げされて一円五十銭になり得たといたしましても、それによつて浮ぶところの金が約十億ぐらいあるのではないかと思います。そういように、普通運賃がわずか高くなつたよりも、定期運賃の安いということの方が、この際に國民に及ぼす影響は少いかと考えられます。もしどうしても方法がないといたしますならば、そういうことをいたしましてでも、私は三箇月と六箇月定期運賃に対して何らかの方法をお打ち願うことが、最も國民の要求するところではないかと考えるのであります。この一点以外は、私は全面的に本案に賛成できるものでありまして、昨日も申し上げましたように、御承知の通。先議会において物價体系賃金ベースをきめます際に、貨物運賃は二倍、旅客運賃は三倍半ということで組み立てられたのであります。最後予算通過の場合における修正案といたしまして、貨物はそのままの値上げで、旅客が二倍半となりました。その際には公聽会も開かれました。従つて今回の六割の値上げは唐突として起つてつたものではござい博せん。現在の物價体系にも相当に織り込まれておると考えます。從つて私は不適業なものとは考えられません。ことに御承知通り、先回におきましては、それがために三百数十億という厖大赤字を、利用せないところの国民大衆から、税金として徴収しておつたという苛斂誅求の問題が、今回は完全に解消せられておるところを見ますと、利用者負担させて、利用しない者が税金を免れたことにおいては、私は今回の予算の編成は最も適正なものと考えられるのであります。かような見地に立ちまして私は定期運賃に対しいま一應の御再考を煩わして、私の質問を終ります。
  15. 橘直治

    橘委員 先般質問申し上げました際に、多少聞き落したことを追加してお尋ねしてみたいと思います。その前に昨日の委員会におきまして、尾崎委員質問に対し運輸大臣から、國有鉄道の一部を民間に拂い下げる法律案当局から出す用意があるという御答弁があつたのでありますがはたしてそういう御用意があるのかどうか、この点をお伺いいたします。
  16. 坂田道太

    坂田(道)政府委員 昨日大臣からそういうことを申し上げたということでありますが、実は大臣の気持はそうでなく、当局から出すのではなくて、本委員会議員提出として出されるということに私は承つておる次第であります。
  17. 橘直治

    橘委員 次に昨年度運輸省当局におきまして、陸運一億三十万トンの貨物輸送計画をお立てになりまして、その実績は達しなかつたのでありますが、ただこの一億三千万トンという数字が、キロ数をどういうふうにお考えなつておるかという点について、お伺いいたしたいのであります。当局のデータを見ますと、大体昭和十一年を基準年度としておいでになるのでありますが、しからば昭和十一年を基準年度として、貨物トン当りキロ数幾らなつておるか、ちよつとお知らせを願いたいと思います。
  18. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 二十三年度貨物輸送目標は、橘さんのおつしやる通り一億三千万トンでありましたが、その実績は一億二千九百七十万トン程度でありまして、ほとんど百パーセントの成績をあげ得たことは、内外ともの努力によるものでありまして、ここに非常に喜んで御報告し得るものであります。その第二段としてお尋ねになりましたのは、貨物平均輸送キロの意味だろうと思いますがいかがでございましようか。
  19. 橘直治

    橘委員 そうなんです。―トン当りの……。
  20. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 昭和十一年度は百六十七キロでありましたがへ戰時中次第に陸運轉移が始まりまして、二百キロ以上となり、終戰当時におきましては大体二百五十キロ程度でありましだ。その後次第に海運カが回復して参るにつれまして、海運轉移計画的に打つておるのであります。かようにして次第に輸送距離が下りまして、昨年度は大体二百三キロ程度のところであります。
  21. 橘直治

    橘委員 実は私はこの貨物トン当り平均キロ数を非常に興味を持つて見ておるのでありまするが、当局におかれましては、本年度一億四千万トンの輸送目標をお立てなつておる。この平均キロ数をどこに置くかといろ大体のお見通しがあつていいのではないかと思つておるのであります。と申しますことは、これはひいては陸運貨物運賃が安いということの証明にもなつておるのでありまするが、われわれ昨今陸運海運との情勢を見ておりますると、かりに北海道山元から石炭小樽あるいは室蘭、あるいは釧路といつたような方面港頭まで運んで、その石炭輸送貨車をまた山元へ送か返すというふうな場合と、青函を貸車を航送をいたしまして、新潟とか、あるいは京浜とかいう消費地へ直送して行くといつたような場合と、この二つの場合を比較いたしまして、どうも貨車効用率がうんと違つて来るのじやないか、おそらく石炭等大宗貨物を大部分海送轉移にいたされました場合には、その貨車運轉効率の高揚に従いまして、輸送実績もうんと上つて来るのではないか、こういうふうに考えておるのであります。このことがひいては、前会御質問いたしました通り、わが國の海運界の現在の窮状をも打開し行く遂になつて行く。かような実例を私は知つているのであります現在日本海方面から小樽あるいは釧路方面への定期航路に、裏日本方面かち積みまする荷物というものは、今日に肥料とかあるいはわら工品、こういつたような雑貨に限られております。にしんの漁期を控えまして、春先のわら工品定期船のベース・カーゴーになつておりまするが、昨今一個もこのわわら工品定期船に向つて來ない。実情を調査してみますると、能登審山縣等の産地から、ことごとく貨車でもつて北海道需要地へ直送しておる、こういう実情であります。私はただいまのような実情が続きます限り、わが國の海運の再建は非常に困難だ、ただでさえ不況に陷つておるわが國の海運がいよいよ不況に陥る一途である。こういふうに深く心痛をいたしておるのであります。運賃の問題は別といたしまして、どうか当局におかれまして、運輸省といたしましては、大きな見地に立つて陸運海運双方をながめてみた場合に、どちらも生きて行くという理想体系をお立てになることが必要である。ことに三月に入りまして、ちようど年度末でありまして、一億三千万トン達成運動が非常に猛烈にやられておる。海運はどうなつてもいいから、陸運で全部とつちまえというふうな、非常な勢いで集荷をおやりになつておるということも存じておりますが、その陸運の成績の上りまする面におきまして、海運界が非常な苦境に陷つておる。こういう現況は、運輸省としてはぜひ是正なされる必要があるであろうという点に帰して参ります。この現在の長距離貨物輸送の体系に対しまして、前申しました通り陸運海運を総合してながめた場合の何らか改善方法をお考えなつておるかどうか。この点を御質問申し上げたいのであります。
  22. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 わが國のような四面環海の國にありましては、海運陸運を総合的に輸送計画立て運賃の調整を行うことについての橘さんの御説はごもつともでありまして、私たちも根本的には大賛成であります。ところ今日のような輸送にも、また運賃にも、大きなひずみのある時代においては、非常にその理想に向つては遠い点もございます。それから先ほどお話になりました資源地から消費地への輸送、長距離の輸送は船へという問題でありますが、九州なり北海道というような資源地が、東京あるいは京阪神等の消費地に非常に遠いことは、わが國経済の一つの欠点であります。この特殊な事情についての御注意がありましたが、むしろ船よりも鉄道の方が、所所にとまる関係で帰り車の利用には便利でありますので、そうした点におきましては、もちろん輸送効率がよいと信じております。ただ海でとるか、陸でとるかという点になりますと、所によりまして、荷主方面においても希望が熾烈なものがあるのであります。と申しますのは、たとえば九州炭の輸送にいたしましても、若松、大阪間の運賃は、鉄道は五百円台でありますが、これに対して汽船は八百円台であり、機帆船は千五百円程度であり、実に三倍も違うのでありまして一例をこれにとつて見てもわかりますように、他の物資、他の荷主から申しましても、日本経済の再建には、まず運賃の安いところにおいて運ぶべきではなかろうかという、大きな高所からの議論があります。しかしながらおのおの輸送力に制限がありまして、鉄道におきましても、決して輸送力は大きく余つておるわけではありません。輸送要請に対してわずかに止まつた程度なつたのでありまして、その限度において省用炭、自分の石炭を從來よりは増加して運ぶ、従来はは海三、陸一で、自分で運んでおりましたものを、二対二程度にとどめる。こういうふうな程度余裕輸送力に生じた程度でありまして、一番最初の海陸調整の根本方針には、少しもひびが行かぬような程度において、独立採算制の立場から、やむを得ず自分の石炭を運ぶ、こういう限度にとどまるものでありまして、今後とも橘さんの御主張の線に沿つて行きたいと考えておる次第であります。
  23. 橘直治

    橘委員 この問題は非常に重要な問題でありまして、短時間の質疑應答では困難かと思つております。ことにこの省用炭の陸送轉移の問題に関しましては、わが國海運界としては非常に重大な関心を持つておる問題でもありますので、後日日を改めまして、とくとひとつ懇談をいたしたいと思いますから、私の質問はこれで終ります。
  24. 關谷勝利

    ○關谷委員 昭和二十四年度予算編成にあたつて國鉄独立採算制を目途といたしまして、赤字二百三十億円の捻出のために、貨物運賃をすえ置きとして、旅客運賃六割の値上げによつて解決せんとしておるのであります。なおまた船舶運営会汽船の貨物運賃も同様すえ置きといたしまして、一般業務経費の補助として、五十五億を計上するということになつておるのであります。機帆船のみは、ひとり國庫より何らの補助を受けておらない。採算を基礎とした、最高限を定められた公定運賃によつて、運航をいたしておるのであります。かくのごとく鉄道、汽船、機帆船の各運賃は、政策運賃と採算運賃と相異なる基礎を有する体系をもつて、運営をせられておるのであります。経済九原則の実施とともに、各公團は運営経費の節減が要請せられまして、また山元生産者に対する補助金交付の不能等に対しましては、公團プール運賃の資金の捻出によつて、生産者にこれを還元する方策をとろうといたしておるのでありまして、名目上、先ほども業務局長が言われましたように、廉價な輸送機関に乗りかえることによつて、海陸輸送調整は、ほとんど不可能な段階に立ち至つておるのであります。その結果、輸送機関相互間に公正な競争が行われないことになつて、国鉄、船舶運営会のごとき国家的独占企業が、他の輸送の部面において國庫よりの補助をもつて、小規模の独立自営の企業を圧迫し、壊滅し去るような結果を招来いたしておるのであります。このような弊害を除去いたします理想案といたしましては、二つあるのであります。その一つは、海運界の圧迫とならざるような値上げでありまして、鉄道運賃十割の値上げをいたしますと約三百億の増収に相なりまして、赤字の解消ができるのであります。また汽船の運賃、これはもとより内航物資のみでありますが、これの七割を値上げいたしますならば五十億増収と相なりまして、補助金を出さずして済む結果となつて来るのであります。もう一つの理想案といたしましては、原價に対する収入の率から割出しまして、貨物収入率は四割三分でありますので、これを約一三割値上げをいたしますならば、三百九十億の増収なつで参りますげまた旅客の收入率は八割八分であり孝ので、約一割五分の値上げで済むことになり、六十億の増収になるのであります。こういうふうにいたしますと約四百五十億という数字が出て参るのであります。貨物値上げが物価に影響するというのでありましたならば、その赤字を補填した剰余金を、安定帶物資にまわすという方法もでき得ると思われるのであります。現在といたしましては、すでに予算決定されておりますので、この理想案を推し進めることは、あるいは困難ではないかと考えられますが、この予算の範囲内において、なるべく海運界と摩擦を起さざるように値上げをすることが、現在の立場といたしましては最も当を得たものではないかと考えられるのであります。そこでまずこの赤字を解消する程度に持つて行くということになりますれば――貨物輸送が五割、旅客が三割ないし三割三分というような値上げをいたしますならば、この予算に該当するような数字が出て参るのでありまして、あまりむりの行かないような決定方法になるのではないかと思われるのであります。すでに質疑相当行われ、これ以上はほとんど同じことを繰返すことになるのじやないかと思われますので、この際先ほど出ました参考人意見を早急に聽取いたしまして、その上におきまして委員会修正案を作成いたしまして、各党ともそれぞれ党議に諮りまして、ただちにその筋の了解を求めまして、時期を失することなくこれが実現するごとく議事を進められんことを要望するものであります。
  25. 滿尾君亮

    滿尾委員 昨日來鉄道の合理化のお話をいろいろ伺つたのでありますが、その中に政府委員の御説明といたしまして、本年度のいろいろな購入物品につきましては、徹底的な競争入札制度をとるのだというお話がありました。大体におきまして私もこれは非常にけつこうなことだと思いますが、しかもある種の鉄道用品につきまして、特にまくら木などにおきましては、かような政策をとられることについては、何がしかの懸念があるのじやないかと私は心配いたすのであります。これは材木界の景気がまくら木に鋭敏に影響しておる。ただいまのようにまくら木の供給過剰の時代は、非常にけつこうなことで、合理的であり、かつ経済的であります。しかし國有鉄道は、長年にわたつて年々歳々、莫大な数量のまくら木を確保しなければならぬ責任がある。そういたしますと、材木界の経済的な消長波瀾の影響を受けて、ある時期には単なる競爭入札だけでは、必要な数量のまくら木を確保できないような時期に際会するおそれがあるの参じやないかと思う。どうしても國有鉄道といたしましては、大手筋からの、必要な数量を確保するだけのまくら木の購入につきましては、別途の考慮をあわせ用いて行くことが非常に必要ではなかろうかと考えるのでありますが、現在御当局は、かような方法をもつて、將來とも、まくら木の必要な数量の確保については、間違いがないという確信を持つておられるのであるか、お伺いしたい。
  26. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいまの段階といたしましては、具体的にどの資材についてはどうするということは決定いたしておらないのでありまして、御指摘のまくら木につきましては、確かに全般的に一般公入札をする上におきまして、相当な困難が感ぜられるものの一つであろうかと考えられるのであります。御承知のように、生産地が北海道であるとか、鹿児島縣であるとか非常に遠隔の地に片寄つてつて全國的に出ますけれども、相当多量の生産地が、そういうふうに非常に偏しておるという結果は、その輸送費等々をあわせて考えます場合に、これを全國的に公入札をするとすれば、非常に困難になると考えられるわけであります。従いましてこれを地方的にどういうふうにやつて行くかということは、ただいま考慮いたしておるのでありますが、冒頭にも申し上げましたように、ただいままでの段階では、まだ決定的段階ではない。いかにするかということを、はつきりと決定いたしておらないということをここに申し上げておきます。
  27. 柄澤登志子

    柄澤委員 各省設置法案も大体きまりまして、定員法案も完成を急いでおるということを漏れ承つておりますが、運輸省の企画と申しますか、そういうものが新聞紙上に出ておりましたところによりますと、新たに観光部というものが設けられているようでございます。この観光部につきましては、当委員会でも一、二度発言があつたように存じておりますけれども、この削減された予算の中で、どういうふうに組まれているかというようなことについて、ちよつとお伺い申し上げたいと思います。さらに新たに部として設けられた理由についてお伺いいたします。
  28. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 お答えいたします。観光に関しましては、御承知かと思いますが、戰前におきまして、鉄道省時代から國際観光局といたしまして、外局として観光関係の観念の普及、宜博並びに観光事業の育成をやつてつたのでありますが、戰争中、観光関係は全部廃止ということに相なつておつたわけであります。終戰後日本の観光上占むる地位と申しますか、観光収入はいわゆる見えざる貿易といたしまして、非常に國際収支に役立つことから考えまして、ぜひこれは國の建直りと同時に、観光は大いにやつて行くべきではなかろうかという見地から、運輸省の鉄道総局内に業務局観光課を設置いたしまして、この関係の仕事に対しまして、細々ではございますが、準備を進めて来ておつたのであります。しかるに今年度に入りますや、外國からの入國者が非常にふえて参る。ただいまの推定といたしましては、一万八千人程度が入つて来るのではないかということが予想せられるのでありますが、この数は全盛時でありました昭和十年、十一年ごろに比較いたしまして、約半数であります。その当時わが國の貿易全体の収入と比較いたしまして観光収入は第四位を占めておつたのでありますが、本年度の一万八千人からいたしまして、約八百三、四十万ドルという金額が、國内に入つて来るのではないかと推定されておるわけであります。ところがホテルにいたしましても、輸送設備にいたしましても、道路にいたしましても、また衛生上の諸施設等につきましても、國立公園等にいたしましても、すべてまだ完備したとは申せないので、まことに観光客を迎えるのにさびしい状態であります。従いまして今の二課の性格をもつてつているのでは、いかにも足りないということと、また御承知のように、國有鉄道が公共企業体となつ運輸省から離れてしまいます。これは運営に専念するということに相なつております。観光の事業はこの運営ではございませんで、観光國策をやるところでございますから、当然に鉄道から離れて運輸省内に設置しなければ意味がない。運輸省内に設置する場合に置く部局といたしましては、自然に独立した部局にならざるを得ない、こういうことになるわけであります。従いまして、先ほどの今後大いにふんばらなければならぬという要請と、そういつた独立の部局たらしめなければならぬという必然性からいたしまして、観光局の設置をわれわれといたしましては努力いたしたのでありますが、いろいろの事情からいたしまして、この際は観光部の設置で行くというふうに政府において決定して、他日運輸省設置法案の中で御審議を煩わすということになつております。その関係は、部とは申しますが、質的には実に重要なものだと考えるのであります。業務量その他につきましては、もちろん現場等を持つておるわけではございませんので、人員を最も縮減した形において、予算的にも非常に少い姿で出発するということに相なつておるのであります。人員数は観光関係のみといたしましては、約三十五人程度の人でもつて当る。しかしながら、これは先ほども申しましたように、人数の少いということは決して――その仕事の量から申せば、そういうことになるのかもしれないのでありますが、質的に申せば、非常に重要な仕事であるから、これを質的に見て行こうという見地に立つておるというふうに、御承知願いたいと思います。
  29. 柄澤登志子

    柄澤委員 続けて御質問申し上げますが、海上保安廳のことは、日本がポツダム宣言を嚴正に履行する建前から、國際的な関心の的にもなつていると思うのでありますが、この海上保安廳の予算人員その他について、昨年度並びに今年度の当初予算と、今度の予算決定の関連につきまして、御答弁を煩わしたいと思います。
  30. 坂田道太

    坂田(道)政府委員 ただいまの柄澤さんの御質問でございますが、本日はその問題について政府委員が参つておりませんので、またあらためてお答えします。
  31. 柄澤登志子

    柄澤委員 運賃修正案の前に、ぜひこれを伺いたいのでございます。修正案が非常に急がれておるようでございますし、何とか御配慮願いまして、御答弁を煩わしたいと思います。
  32. 坂田道太

    坂田(道)政府委員 この次に申し上げます。
  33. 柄澤登志子

    柄澤委員 修正案決定されます前に、それでは御答弁願えるわけでございますね。
  34. 坂田道太

    坂田(道)政府委員 よろしゆうございます。
  35. 柄澤登志子

    柄澤委員 続きまして、大体各委員のお考えでは、國鉄独立採算制をとりまして、その赤字を解決いたしますためには、運賃値上げが、旅客にしろ、貨物にしろ、その解決の原因であるというふうにお考えなつておられるように考えるのでございます。この点につきましては、私どもとはまつたく異なつておるのでございますが、その根拠といたしまして、ひとつ御当局意見を伺いたいと思うのでございます。終戦後政府は、幾たびも運賃の改正をやつておいでになつたのでございます。二十年の三月には五〇%、二十三年の三月には二五%、同年の七月には二五〇%、二十三年七月には二五五%、かような大幅の値上げを幾たびとなく繰返しておられたのでございますけれども、終戰前には赤字でなかつたところの國鉄が、再三の値上げにもかかわらず、赤字が消えないのでございます。昭和二十二年の赤字が百五十八億で二十三年度はそれ以上に上るということが、明らかに数字の上に載つておるのでございますが、その赤字を解決いたしますために、運賃法に相反するような、その原則を無視するような、原價を償つておるところの旅客だけの運賃値上げして、この解決ができるというふうにお考えなつておること自体に、根本的な矛盾がおありになるのではなかろうかと考えますけれども、この点について御見解を承りたいと思います。
  36. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいま述べられました点は、そのまま日本のインフレの進行過程を示すものと考えるのでありまして、そのインフレ過程に一歩ずつ遅れて進んで参りましたのが國鉄運賃引上げであつた考える次第であります。今回いわゆる九原則の適用によりまして――このねらいは、申すまでもなく経済の安定ということにあるのでありまして、ここで價格を抑えて、これ以上インフレの進行をとめるということに相なるわけでざいます。その点から申しまして、いつまでもこういう状況を繰返すということは、インフレが進行せざる限り、あり得ないと私どもは信ずる次第であります。なお旅客運賃のみによつて解決するのは、むりであるのではないかというお話でございましたが、総合的な経営をいたしておる國鉄といたしましてはこれはもちろん、いかなる率でも引上げていいということには参らないと存じますが、ぜひ適正な率までは、貨物運賃にせよ、旅客運賃にしろ、上げまして、それが國の物價政策等と背馳しない限りは、いずれによつても、いわゆる総合的経営見地からなし得るのではないか、ここに國鉄としての運賃政策からのみ見ました場合には、非常に弾力性を持つておるという点があるのじやないか。もちろん貨物のみを経営する企業、旅客営業のみをする企業というふうにいたします。と、非常に問題になるのでございますが、國鉄は今申しましたように、旅客貨物を等分に経営しております関係上、総合経営見地から、ある限度までの運賃をきめて、それによつて行く。方法としては、もちろんその一方による場合もありましようし、またその双方による場合も考えられる。かように私どもとしては考えておる次第であります。
  37. 柄澤登志子

    柄澤委員 ただいま長官のお話では、総合的なとか何とか、いろいろ理由をおつけになつたのでございますが、今まで國鉄運賃値上げをしても赤字が解決できなかつたのに、また運賃値上げをして解決をされようと思うのは、矛盾ではないかという私の質問に対しては、適当な御答弁ではなかつたように思うのでございます。インフレを押えるために、旅客運賃だけを上げるということでございますけれども、一体インフレというものを、貨物等の、取運びをいたしますものだけとお考えなつていらつしやるのですか。運賃もあるいは衣料費もすべてのものが上るのがインフレではなかろうかと思うのでございますけれども、インフレをとめると言いながら、運賃を上げるということは、政府みずからがインフレを促進していることになるのです。この根本的な矛盾にどうか思いをいたされまして、こういうことは撤回していただきたいと思うのでございます。さらに引続きまして、今度の運賃値上げは、当然國民から安野と思われなければならないと思うのでございますしインフレを阻止するのでなければ、御当局説明というものは、何らその根拠が成り立たないものと思うのでございます。國民を納得させるためにも、今日私どもに入つておりますいろいろな情報並びにこの運輸委員会に提出されました国鉄の地方施設部からのあの國鉄の白書にもございますように、終戰後車両などは多少購入されまして、車体なども表面はいくらかきれいになつておるようでありますが、国鉄の基礎というものが今日崩壊しようとしておることは、もう事実のことだと思うのであります。このことは、現に何らか運賃値上げをしなければならないとお考えなつておる、さらに行政整理をどうしても断行しろと言つておられる民自党の方並びに政府の方、運輸委員のすべての方々が、今日安心して國鉄に乗ることはできないと言つておられるのでございます。事故が非常に増大しておることは、数学的に例をあげることができるのであります。この事故をなくすように、運賃値上げをして、そうして人員整理して、國鉄が実際にやつて行けるかどうか。運輸委員は責任をもつてこういうことをきめなければならないと思うのでございます。先ほど一億二千九百万トンの輸送を全うしたのは、皆さんの御協力だという政府委員の御答弁がございましたが、まことにその通りでございます。現場の労働者の時間外勤務とか、労働強化とか、いろいろなごとがあつたのでございますが、今度の予算には報奨金が体いくら組まれておるでございましようか。今年度の当初はたしか八十四億御要求になつたはずでございますけれども、これらのものがほとんどゼロだということを聞いておるのであります。まさかそんなことはないと思うのでございますがす、どうなつておるのでございましようか。時間外勤務とか、超過労働に、どういうふうに手当として予算を組まれておるのでございましようか。職務手当に二十五億組まれたものが一億に減つたと聞いておりますが、これはどうなつておるのでございましようか。時間外は五六%減つたということでありますが、これもどうなつておるのでございましようか。あらゆる点で人員整理をした上にこうした勤務に対するいろいろの手当が削減されて行く。それでどうして國民の命を全うする輸送ができますでしようか。そうしてあぶない汽車に乗る國民に、六割の運賃値上げをされる。これはとんでもない人殺しの運賃値上げだと私どもは考えるのでありまして、こういう点について十分責任ある御回答を賜わりたいと存じます。いざとなりますと、運輸大臣を初めとして関係当局関係当局と言われますが、私ども運輸委員会は、むしろ國会のあの規則にございますように、権威を持つてこの問題について委員長が当初に答弁されましたように、政府がいかなることをきめようとも、運輸委員会としては権威ある決定をすると言われたのでありますから、時間がないから公聽会をやらないとかうようなことではなく、十分納得の行くようにやつていただきたいと思います。質疑が打切られまして、予算委員会におきましても、運輸省関係のものは私どもといたしましてははつきりした御答弁を得ていないのでございますから、この際ぜひその点の御答弁を煩わしたいと思います。
  38. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 第一段の、運賃値上げ物價の安定は矛盾ではないかという御質問に対しましては、問題は、貨物にしろ、旅客運賃にしろ、生産か分配、消費へと申しますか、あるいは旋客運賃については生計費とい方がいいのかもしれませんが、そういう中に吸収し得るかどうかという目途が立たなければ、もちろん柄澤委員の言われる通りになろうかと思うのであります。從つて今回決定いたしました措置といたしましては、実質賃金等の上昇も見まして、そこに吸収し得る余地あり――われわれが貨物運賃を主張する場合も、生産過程、あるいは配分の過程内において吸収し得るというが、われわれの論拠あるわけであります。從つてそれはそのままか價格上昇を意味するものではないということを、われわれとしてはかたく信じておる次第であります。  次に重要な問題といたしまして、これで國鉄が眞にやつて行けるのかどうかという御質問でございますが、ここに運輸大臣も御出席になつておりますので、私の足りないところは、なお大臣から御答弁願うことといたしまして、国鉄自体につきまして責任を持つております私といたしましては、これでやつて行かなければならないと考えておる次第であります。もちろん今回の予算余裕のあるものではないので、先ほどからも申し上げましたように、非常にさびしいものである。これは九原則の結果から来る次第でありまして、そこにいわゆる収支の均衡をとり、何ら他からの補助なしに、みずかちやつて行くという建前をとりますために、何としても國鉄みずからの手で収入をはかり、そうしてこの収入の限度内において支出をはからなければならないわけであります。しからばこの経費國鉄経営を続けて行くのにどうであるか非常に危殆に瀕してしまいはしないかという御疑念でありますが、私はその御疑念は、従事員にして眞にその氣特に徹して、みずからの責任を自覚してやります以上は、その心配はない、必ずこれでやつて行けるというふうに申し上げたいと存するのであります。なおそういう点からいたしまして先ほどからお尋ねになりました人件費、特に報奨金、夜勤手当、時間外手当等についても、非常にきゆうくつに相なつております。報奨金は言われました通り、一応予算面においては計上いたしておりません。しかしながらこれは私としては、経営上なお従業員の努力によつて節減し得た範囲において、その節減に努力し場合に、当然その予算との差から生れ出る経費の差額は、従事員に支給することにいたしたい。ぜひともそういうことによつて、従事員の能率的な手当にするということに努力を注いで参りたい、かように存ずるのであります。何分にも全國的に非常に廣い場所にわたつて、晝夜をわかたず働いており、しかも多数の従事員を擁する國鉄でありますがゆえに、従事員人々々の能率とか、そういつた努力というものが、意外に大きな結果を生むものではないかと思うのでありまして、これらのものをもつと予算的に出したいというのはやまやまございますが、そうすれば、まだそれだけ利用者――國民負担に持つて応力なければならぬ。先ほどの運賃の問題と矛盾しで参りますので、何としてもここは経営合理化をやつて行く以外にない。これは從事員の努力にまつのみであるということを、申し上げたいと思うのであります。
  39. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 ちよつとお諮りいたします。道路運送監理事務所の存廃問題に関しまして、当局質疑をいたしたいという申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 それではこれを許します。尾崎末吉君。
  41. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 運輸大臣に御質問申し上げます。先般の委員会において数回にわたつてほとんど他に御異議がないほど致した意向といたしまして、道路運送監理事務所の存置方について――行政整理の面から、適当に機構の改革並びに整理をせられることについては異存はないが、いわゆるこの道監の性格上、各縣にあるものは存置すべきものである、こういう意見を申し上げておいたのでありますが、この問題についてその後どういうことに相なつておりますか、あるいは進行しつつあるか、まずそれを伺いたいのであります。
  42. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいま尾崎君の御質問の道監問題のその後の経過は、数回の閣議において論議いたしました結果、各地に存置してありまする現在の道路運送監理事務所は、これを原則的に廃止をいたしまして、仕事を各地方の府縣に委譲する。但しどうしても委譲のしがたいものに関してはこれを委譲しない。そうしてその委譲しない分に対しましては、従來ありまする特別道路運送監理事務所、これが九箇所でございますが、これが運輸省の新設置法案によつて陸運局といようなことに相なりますので、在来の九つの特別道監が陸運局に看板がかわり、道監の仕事とその他の新しく発生する仕事を、その九つの陸運局でやりまして、同時に在来の地方で、やつておりました仕事のうちで地方に委譲をしない分に対しましては陸運局の分室を設けるということに法定いたしました。さてしからばその分室をどういう地方ににどういう数で設置するかという問題に対しましては、しばしば論議をいたしたのでありますが、今朝の閣議において十七箇所にこの分室を置くということに一應話合いができた次第であります。
  43. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁を伺いまして、いささか意外に感ずるのであります。それは先般しばしば質問を申し上げ、論議が各委員によつて繰返された趣旨と申しますものは、道監の性格上、いわゆる機構の改革並びに人員整理等は別問題であるが、道監そのものはそのまま置くべきである、こういう建前によつて論議を繰返しておつたのであります。しかるにそれが陸運局の九箇所、そのまた下の分室として十七箇所と申しますと、十七の府縣だと思うのでありますが、十七箇所だけををそういうことにはからつて、あとのところを取上げるということになりますれば、これこそ私どもから考えますれば、非常な改悪になるのじやなかろうかということを憂うるのであります。さようなことでは、全国を一貫して道監がつかさどつてつたその目的を達成することは、とうてい困難だと思うのであります。そういうやり方によつて、かえつてこの目的の達成ができないだけでなく、今日のいわゆる民主化された付き方というものを、著しく歪曲することに相なるのはもとよりだと思うのであります。でありますから、十七のものを残されるということが今日閣議で決定したと言われるのでありますが、そういうことに対しましてはわれわれ運輸委員会の委員といたしましては、絶対にこれには賛成できませんので、運輸大臣はそれに対しまして、当初私どもが論議をいたしましたように残すものなら各府縣に残す、こういう建前に向つて十分の御努力をなさつて、しかもその目的の達成を期されることが絶対に必要だと思うのでありますが、そのお覚悟があるかどうか、それを伺いたいと思います。
  44. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの尾崎君の御質問は、ごもつともな点が多々あるのでありまするが、閣議におきましては、ともかくも十七箇所に置く。しかしそれはどの府縣にどう置くかということは、今朝数がきまつただけで、これからの話なのであります。もつともこの閣議決定、了解事項の中にも、地方民に不便を生ぜしめざるように留意することというような意味合いの文言も記載されておりますので、私といたしましては、この趣旨を生かしまして、地方民に迷惑の及ばないような、何らかの処置をひとつ講じたいものであると、さように考えております。
  45. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その閣議の申合せによる、地方民に迷惑をかけないことという、その申合せを正しく解釈をされますならば、十七程度残すのでは、あとの三十幾つというものは著しく地方民に迷惑をかけるという結果が生れて来るのであります。でありますから、その十七という数だけは取除いていただいて、地方民に迷惑をかけないという申合せの趣意を生かして、そうして従来あつた所にすべて残されるということに、御盡力をされる御決意ができるかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
  46. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 実はその趣旨の線に沿うた論議も活発に行われましだのでありまするが、ともかくも結論は、一應在来の四十三箇所ありました分を、十七箇所程度に圧縮するということに相なりましたわけでございます。しかし地方民には迷惑をかけざることということに相なつておりますので、この点につきまして、ひとつ運輸委員会の委員諸君の活発なる御審議をお願いいたしたいと思います。
  47. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それならさらに掘り下げて一点伺つておきたいと思うことは、十七ということにその数を限定された根拠はどこにあるのか、その根拠を伺いたいということ、つけ加えて申し上げますが、十七をどの府縣に置くかということを伺つておるのではないのでありまして、私どもの関係の府縣が残されて、他の府縣が委譲されてもさしつかえないという建前ではなくて、この道監の性格上、全國各府縣に置くべきものであるという建前から、先般來私どもは論議を重ねて参つたのでありますから、十七のものが、われわれ委員の関係ある所に当ろうと当るまいと、それは別なのであります。私どもはいわゆる正しい意見をここに申し上げておるのであります。そういう建前から重ねて伺いますのは、十七と限定された根拠がどこにあるかということを、まず伺いたいのであります。
  48. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 これは十七と申しますが、嚴格に申しますと、在来の九箇所の陸運局でもやりますから、九を加えて二十六箇所ということになります。このうち九箇所はこれは当然ですから、さらに十七箇所が新たに設けられると思うのです。それの根拠は、なるべく地方の出先機関というものは原則的には全部撤廃して、各府縣に委譲をしたいというのが大眼目の考え方であつたのでありますが、この道監に関する限り、行政内容の事柄上、先ほど申し上げた通り、全部地方に委譲できない、どうしても委譲できない部分がある。これを何箇所でやつて行くか。在來通り四十三箇所あれば完全無欠なんでありますが、地方の出店、役所をほとんど整理をしたいという大眼目がございますので、どうしても委譲できない分は、それでは運輸省系統でやるもいたし方あるまいが、その分室を設ける範囲は、なるべく最小限の必要な程度にとどめて行く方が至当ではないか、こういう見解のもとで、しからば十七がいいか、二十がいいかというような問題に関しましては、別にこれというきちつとした原則的の根拠はないのでありますが、なるべく最小限度の少数の所にとどめるがしかるべきである、但し地方民に迷惑をかけないように心がけよう、こういう趣旨で、ともかくも十七ということになりましたわけでございます。
  49. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいま伺いましたけれども、特にはつきりいたしていただきたいのでありますが、いわゆる地方にある出先機関を整理いたしたいということは、整理のための整理という目的であるのか。行政整理の対象として、先ほどからくどく申しますように、機構の改革並びに人員の縮小等によつて経費の節減が得られればいいということに重点を置かれるのであるか。重ねて申しますが、整理のための整理ということを主眼としてやられるのであるか。今申しますような、行政整理の目的を達すればいいという見解から、こういう案を立てられたのであるか。どつちかということを伺いたいのであります。
  50. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 この道監のやる仕事は、原則として地方に役所を置いて、地方で行政事務を扱うのであるがゆえに、地方でできないはずはないじやないか、地方でやるのが至当であるという見地が、さような行動を起さしめました原動力になつているわけでございまして、尾崎君の言われるように、整理のための整理か、そうでないかということは、どつちに申し上げたらいいか、ともかく地方で十分できるじやないかという思想が根底となつて、地方に委譲する。しかしながら、われわれ運輸当局といたしましては、地方ではできないという点が残つたわけなんでございます。
  51. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでそういうことになりまして、地方でやれるのだから、地方に委譲するという建前であるといたしますれば、先般来論議をいたしたのでありますから、くどく申し上げませんが、ただここに一言にして申しますならば、道監の性格上いわゆる専門家でなければやれないということと、各府縣々々に別々に分立いたしておつたんでは、いわゆる道路輸送監理の目的を達成することはできない、この仕事の目標というものは、全國にまたがる普遍的なものであるから、これはやはり従来の通りにやつておくべき性質のものであるということと、いま一つは地方にこれを委譲いたしますならば――昔のように地方府縣の警察部の中に保安課があつて、保安課の中でこの種の仕事のとりはからいをさしておつたという時代ならば別であるが、現在では各地方聽にそういう機関がないのであるから、そこへ持つて来てこれを委譲するならば、これをとりはからうところのいわゆる課なり、係なりというものを地方聽の中につくらなければいかぬ。そうすることになれば、ふなれな人々が集まつて――あるいは現在までこれに携わつてつた人々を地方聽に移すといたしましても、経費の面において、國総体から考えてみたならば、節約にならないだけではなくして、先申しますような、いわゆる各府縣別々に分立されたやり方をやつたのでは、その目的を達成することができない、こうした大きな弊害が生れて来るのと、今言うように、各府縣にこういうものを扱う機関が現在はないのであるから、そういうところにもつて来て、こういうものをやられたのでは、地方廳はどうであるか知りませんが、地方民としては必ず迷惑をする。六・三制の問題で困り、あるいは地方配付税の少減の問題で困り、各種の事柄で困つておるこの地方に、いわゆる仕事のやり方でさえも、正しくうまく行かないというところのものを、さらに押しつけるようなかつこうでやることは、よろしくないという建前が、私どもの論議をいたした趣意なのでありますから、この趣意を運輸大臣はさらに十分にお含みを願つて、そうして私どもの主張するように、全國各府縣にこれを存置するよう、御盡力をせられることを希望いたしたいのであります。この運輸委員会の一致した空気がさようにできれば、運輸大臣はひとつ重大な覚悟をもつて、これに向つて突進をされたいと希望するのであります。その御覚悟ができますかどうか。
  52. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 尾崎君の御所見に対しましては、敬意をもつて拜聽いたしました。私といたしましては、地方民に迷惑をかけざるように、万全の処置を講じたいと思つております。
  53. 滿尾君亮

    滿尾委員 道監の問題についてお伺いいたしますが、まず私は、この問題は運輸大臣の先ほどの御答弁を伺つておりまして、運輸大臣だけではなかなか苦しいお立場である。從つて委員会といたしましては、明日にも、あるいは月曜日でも、とにかく総理大臣もしくは本多國務相も、お三方おそろいの上で、もう一ぺんこの件についての意思表示を明確にいたした方がいいのではないか。運輸大臣だけを目のかたきにするのは、この問題に関する限り、少し的がはずれているような氣がいたしておるのです。それから今度道監の実態について、私の意見並びに質問をいたしたいのでありまするが、十七におきめになつたといたしますと、あとの縣には何もやらないおつもりであるのか。そういたしますと三十縣ばかりというものは、隣りの府縣の所在地まで行かなければならぬようになるのでございましようか。この点のお見通しをどういうふうにお考えなつて御決定なつたものであるか。またもしさような段取りでございまするならば、それをもつてしても、なお地方民にはあまり迷惑をかけないつもりだとおつしやるとすると、閣議のお歴々は手品みたいなことをお考えなつたとわれわれは感ぜざるを得ないのでありますが、これはどういうことであるか。また私はこの点につきまして、大体かように圧縮されまする御決心をなさるについては、その前提といたしまして、今日道監が行つておりまする自動車行政の仕事のやり方を、根本的に、抜本的に改めるということが先に行かなければならない。今日まで関係方面、あるいは安本あたりの考えます線に沿うて、自動車行政をやつて行かれるおつもりであるとするならばこれはまつたく不可能なにとを御相談になつたと考えるよりほかはないのであります。從つてこれらの行政機構の大縮減をなさるについては、必すやその行政事務そのものにつきまして、抜本的な刷新といものが先行しなければ、まつたく不可能なことだと思う。その点についての御研究なり、御見解がすでにでき上つておるものでございましようか。またそれらの事情をよく御認識にならないで閣議のお歴々がおきめになつたとするならば、これはまつたくいわゆる行政整理のための観念論に落ち込んだと言われても、いたし方のないようなかつこうになりはしないか、ということを心配いたすものでございます。
  54. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 覚悟があつてつたかどうかという御質問ですが、多少の覚悟はあつてつた仕事でございます。けれども、結論においては、地方民に迷惑をかけないという点に最大の注意を拂つて行きたいと思います。それをもう少し詳しく申し上げますならば、一、行政運営の簡素化をはかる。二、公益行政をやつて行きたい。三、各縣には可及的不便をかけぬ。こういうのが今部長からまわつて参りました専門的の意見でございます。
  55. 滿尾君亮

    滿尾委員 今の御答弁は、遺憾ながら私さつぱりわからぬのでございますが、行政事務の刷新ということを先にお考えなつておりましたかということを伺つてつたので、これは単なる事実を伺つたのでございますから、はつきりお教えいただきたいと思います。
  56. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 それは最初に私が申し上げました通り、地方に委譲する分と、どうしても地方に委譲ができない分と、二つにわけて、どうしても地方に委譲のできない分を分室でやる、こう申しましたが、さらに分室を四十三箇所に全部そのままやれば、それでけつこうなのですけれども、それを十七でやるということなれば、何かそこにシンプリフアイしなければできないだろうという仰せでございますが、それは正に満尾君の仰せの通り、行政の簡素化をはかつて、地方民に迷惑をかけないようにやつて行きたいつもりでおります。
  57. 鈴木明良

    ○鈴木(明)委員 十七に減らすと言うのですが減らして新たに設ける目安がついているのですか。
  58. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 それ目下検討中でございます。
  59. 鈴木明良

    ○鈴木(明)委員 大体の予想は……。
  60. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 大体の予想も――今朝きまつたばかりですから、それはこれから立てます。
  61. 鈴木明良

    ○鈴木(明)委員 予想はつかないと言われるが、運輸相として、どことどこに置きたいという構想があると思うのです。それでも伺えればたいへん仕合せでございます。
  62. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 構想はなきにしもあらずなのですが、ごく簡単に言いますると、陸運局のある所にはむろん分室は必要としませんし、また地方に委譲しない仕事をその九つの陸運局で扱います。さらにそのほかに、たとえば三縣を管理するところを、その三縣の中のどこに置くかというと――全國には都道府縣が四十六ありますから、十七の数で全國的に、普遍的に配るということになれば、しよせん三縣ぐらいを管轄いたしまする分室を、三縣のうちのどこかにでも置くというような方式を講ずるよりほかに手はないと思うのでありますが、それをどこにどう置くかということは、しばらく御猶予願いたいと思つております。
  63. 滿尾君亮

    滿尾委員 この道監の問題につきましては当運輸委員会といたしましては、ほどんど全会一致でこの道監の存続を決議して参つたのでありまして、当委員会の意思は非常によくまとまつたのであります。從つて政府におきまして、この委員会がかくのごとく全会一致で要望いたしましたことにつきましてのごしんしやくが、はなはだ不十分であつたように私は思うのであります。でありますから、どうしても当委員会といたしましては、総理大臣、本多國務相、運輸大臣、このお三方おそろいのところで、もう一ぺん委員会の最も明確なる意思をお傳え申し上げまして、十分なるごしんしやくをいただく機会を持ちたいと思います。委員長におかれては、ぜひ明日なり明後日なりの日を期して、その手配をとられるように動議を提出いたしたいと思います。
  64. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 承知しました。     ―――――――――――――
  65. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は運輸大臣に何がしかの御質問を申し上げたいのであります。まず第一に、鉄道運賃の改訂について、大臣が御出席になつておりませんときに行われた論議でありますが、われわれの同僚の委員の中から、海運関係の立場をいろいろお話があり、また政府委員から御答弁がありました。そのことについて私の意見を申し上げて、大臣の御所見を伺いたいのであります。第二委員の中から出ました意見が、今日の海運が非常に不採算である。であるから、どうしても陸運貨物値上げをしてほしいという御要望が非常に強く出たのであります。これに対しまして政府委員の御答弁は、陸運は確かに今は低運賃である。從つて陸運の経済性という角度から、ある程度まで陸運貨物が轉換して行き、戰前のように海へかえらないということは、やむを得ないという話が出たのであります。この点で二つの思想がかみ合りておるのでありますが、私ども運輸委員会の公平なる立場ということを考えて拜聽いたしておりますると、私はこの問題はこういうふうに考うべきではないかと思うのであります。ただいまの陸運の鉄道の貨物運賃は、これはまつた政策的に決定された運賃であつて、いわゆる経済の自然的な運営でない。しかもそれは日本経済といたしまして、それが安かろうと、國内的な運賃でありますから、ノミナルな運賃だ。従つてわれわれが国民経済の角度に立つて、海陸の調整ということを考えましたときには、実際船舶によつて運送するところの、ほんとうの物の消費なり、人の労力なり、その実際の資源の消耗と申しますか、その実際のコストと、鉄道で運びますときの、あの長大な距離を、貨車がレールをこすつて磨耗しながら走つて行く、その実際の絶対的なコストを比較して、いずれをとるべきが妥当であるかという大所高所から、運輸大臣は海陸の調整をなさるべきではなかろうかと思う。ただいま鉄道で運べば五百円で行く、それが船で運べば八百円となるから、どうも経済自立の立場からやむを得ぬというようなお話は、私はやや眼光狭きに失するのではないか。私は運輸大臣といたされまして、この海陸の調整ということが、今日のわが國の輸送の面において最大の問題である。これが抜本の問題である。從つてこれに対する研究なり、御対策なりを、具体的に委員でもほんとうにつくられまして抜本的な解決をおとりになることが、ぜひ必要ではなかろうかと思うのであります。今回の運賃改訂の問題につきましても、それにしばしば触れおるのでありまするけれども、多く言われる毎度が、それぞれの経済的な小さな利害という立場から、論ぜられておると私は思うのであります。かような立場よりも、ほんとうに実際の絶対的な、資源的な消耗、コストというような観点に立つて大局的見地からの御対策をお立てになるお考えがあるかどうか、お伺いいたします。
  66. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの滿尾君の御質問は、まことにごもつともな点がございます。運輸の全体といたしまして、國の運輸交通の行政に当る運輸大臣といたしましては、單に陸運、單に海運という見地でなしに、総合的にこの運送の面を考え從つてその間に運賃のバランスをとるようにするということは、非常に重要なことで、さようにいたさねばならぬことと思うのであります。しかるに現在わが國の実情は、この交通運搬用具の、汽船にしましても、機帆船にいたしましても、あるいは小型船にいたしても、あるいは鉄道にいたしましても、あるいは軽車両、いろいろ交通用具、輸送用具がございまするが、戰後経済の非常な混乱というようなことも手博いまして、経つて今回のような陸運海運運賃のアンバランスということが出来いたしましたわけでございますので、趣旨といたしましては、滿尾君の御所論に賛成でありまするが、これを急激に是正するということは、現在の日本経済からしまして、相当の難事でございますから、漸を追つて、御趣旨に沿いまして改善をいたしたいと思つております。
  67. 滿尾君亮

    滿尾委員 次に私は、自動車行政に関してまして、ごく二、三のポイントだけを簡単に申し上げたいと思います。私はわが國の自動車の発達状況を見まして、輸送の面におきまして、外國に対して最も遅れておる部門は、自動車の面であると考えておるのであります。運輸大臣とされまして、自動車行政、ことに自動車の普及発達という角度からする、自動車行政の究極的理事想を、どこに置いておられるか、それを実は伺いたいと思うのであります。かように申しますことは、自動車のアメリカにおける発達の経過を見ますると、漸次國民生活の高度化につれて、自動車が非常に発達をしておる。その結果は自家用自動車が非常に長足の発達を途げました。アメリカではたいてい八十五パーセントくらいの自動車は自家用に属しておるのであります。私はわが國でも、遅れたりといえども、漸次このアメリカの発達の一つの定型をふむものと考える。かくのごとくして、平たく申せば、國民の人々々に自家用自動車を所有せしめるような社会をつくり上げることが、私は運輸省の自動車行政の窮極的な目標であろうと考えておるのでありますが、大臣の御意見はいかがでございますか。
  68. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの、自動車行政の窮極目的はどういうことかという御質問に対しましては、私は自動車行政の窮極目的は、道路運送法の第一條にも明記してあります通り道路運送におきまする公共の福祉を確保することであろうと思つております。これを換言いたしますと自動車をどんどん御説のごとくに普及発達させまして、國民のだれもが自動車の便益を自由に、しかも公正に享受できる。ちようどアメリカが四人に台の割合で自動車を持つて、これを自由自在に駆使しておるというところまで持つて行きたいと思いますことは、滿尾君とまつたく同感であります。しかるに現在のわが國におきましては、御承知のようにガソリンもタイヤ、チューブも、非常に自家用自動車に必要でありまする資材が、全部アメリカからの輸入に依存しておるというようなわけでございまして、理想はそこに持つておりまするが、現状ははるかにその理想から隔つておるような次第でございますが、ひとつ滿尾君のような専門家の知恵を拝借いたしまして、自動車行政の窮極の目的に向つて、盡力いたしたいと考えておりますから、どうぞ御支援をお願いいたしたいと思います。
  69. 滿尾君亮

    滿尾委員 私はあと二、三の点について、ちよつと触れてお願いしておきます。運輸大臣は自家用自動車を、行政の対象と見ておられるかどうかということをまず伺いたい。実は運輸省からいただきました第五特別國会参考資料というものを見ましても、この中に自動車ということは、民営自動車、省営自動車、小運送、軽車両とありまして、すでに日本の道を走つておる自動車の半分以上を占めておる自家用自動車の項を、事務当局がお書きにならないことに端的に現われておりますように、行政対象として、大臣は意識の上に上していらつしやらないのではなかろうかという懸念を、私どもは持つたわけであります。この点について運輸大臣は、自家用自動車も行政の対象として考えておいでになりますでしようか、その点をお伺いいたします。
  70. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 もちろん自家用自動車も行政の対象として、しかも重要なる対象として考えておるのでございます。御承知のように、自家用自動車によりまする重要物資の輸送等につきましては、常に物資官廳とも密接な連絡を保ちまして、十分な手配をいたしておる次第でありまして、アイオン台風によりまする岩手縣下の燃料輸送などはその例でございます。なお自家用自動車につきまして最も困難をいたしておりますのは、正確な統計資料が得にくいという点であります。昨今は道路運送監理事務所や自家用自動車組合の努力によりまして、非常にこの点は改善されたのでありますが、まだ十分とは申されません。この点ますます組合の御協力を願いまして、完全な自家用自動車行政に邁進したいと考えておる次第であります。
  71. 滿尾君亮

    滿尾委員 自家用自動車の普及発達の対象を伺いたいのでありますが、その要点といたしましてお伺いいたしたいことは二点あります。今回の運輸省設置法案の中で、これは局は大体おきめになつたようでありますが、部なり課なりの設置におきまして、自家用自動車を主管するところの課を、自動車部の中に課設置していただきたいという希望を持つておるのであります。実際に日本中の自動車の過半を制し、しかも年々歳々激増して参ります趨勢にありますところの、この自動車を所管するために、正課を創設せられる御意思があるかどうかということが一つ。さらにまた今日までの資材の配給等の面におきまして、とかく非常にこれが閑却されておつたのでありますが、閑却されておつたというその事実をお認めに相なりまするかどうか。私どもといたしましては非常にその点を遺憾に思つてつたのでありますが、資材配給等につきまして今後正しい――正しいと言つては語弊があるが、つり合いのとれた御政策をとつていただけますかどうか、お伺いいたします。
  72. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの第一問の、自動車部の中に課を置けという御注文であります。ただいまのところでは課を置く考えはございませんが、不便のないように適当に処理いたすつもりであります。なお第二問の、この資材の配分に対します御意見でございますが、御承知通り自家用自動車のみならず、自動車全体の普及発達の最大の隘路は、燃料でありますとか、タイヤでありますとか、チユーブなどの資材であることは御承知通りでございます。政府といたしましんはこれが確保のため、あるいは輸入を懇請し、あるいは國内資源の利用をはかるなど、格段の努力をいたしておる次第でございます。なお自家用自動車行政につきましても、運輸省といたしましてはかねて十分な配慮をいたしておる次第で、ございまして、その組織につきましても考慮を拂つておるところでございますが、ただいまのところでは課を置くという考えはないのであります。しかし不便のないような処置をいたしたいと思つております。
  73. 滿尾君亮

    滿尾委員 道路運送法第一條につきまして、大臣の御意見ちよつとただしておきたいのでありますが、この法律の第一條は、法律の目的をきめておるのでございます。ところがこの法律は立法技術が非常に洗練されております関係上、しろうとと申しますか、普通の日本國民が読みますと、とかく誤解を生じやすいようにできております。この法律の目的は、道路運送に関する秩序の確立、事業の健全な発達並びに車両の整備、使用の適正化とあるのでありますが、この中には事業の健全な発達のみうたつてある、これはまことにけつこうなことでございますが、事業の健全な発達は企図しなければならない。しかしほかに自家用自動車ので健全な発達がうたつてない。そこで世の中に反対解釈なるものが行われまして、道路運送事業を発達させるためのことだけしかうたつておらないのだから、逆に言つて、その他のものの発達は企図しておらないだという、驚くべき解釈が、運輸省の末端機構の中に現に行われたことを、われわれはしばしば体験して、非常に残念に思つておる次第でございますが、大臣はいかようにこの法律を御解釈になつておりますか。私の意見では、との法律の目的は、陸運に関するあらゆる部門のバランスのとれた総合的な発達を企図しておる。そのために運送秩序の確立もあれば、あるいはそのための事業の健全な発達、並びに自家用自動車の健全な発達、車両の整備、こうなるべきものだと考えておるのでありますが、大臣の御所見はいかがでございますか。これは單に事業の健全な発達のみを企図いたしました法律でありましようか。
  74. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 道路運送法第一條の精神についてお答えいたします。道路運送法第一條は、道路運送法の目的、すなわちひいては道路運送行政の目標を表現しておるのでありまして、その目標は道路運送をますます普及発達せしめ、公共の福祉を確保することであります。すなわち道路運送の総合的な発達を企図しておるのでありまして、営業者偏重というのではありません。第一條中に事業の健全なる発達をはかるとありますのは、事業につきましては、その公共性に基き免許制度を設け、または業務につき許認可制度を用意する等の意味でありまして、それを目的達成の一手段としているにすぎないのであります。
  75. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの大臣の御答弁によりまして、誤解でなかつたことを非常に喜ぶものでありまするが、つきましては大臣の率いておられまする末端の行政機関におきまして、著しく誤解を持つているような、そのポストに適任でない人事につきましては、これを是正せられるにやぶさかでないと心得えてよろしゆうございますか。大臣の御所見をお伺いいたします。
  76. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 法の精神を理解できないような者、あるいは曲解をするような官吏は、官吏として適当でありませんから、もしもさような者がありまするならば、運輸大臣において考慮いたします。
  77. 滿尾君亮

    滿尾委員 今度は第五十二條のことにつきまして一言大臣の御所見を伺つておきたいのでございまするが、五十二條は自家用自動車は対償を得てこれを運送の用に供してはならないと書いてある。まことにこの通りでありまして、私どもこれに異存はないのであります。ところが往々にして末端に行きますと、法の精神を捕捉しかねる人物がおりまして、ここの対償を得て運送の用に供してはならないという場合をとらえて、隣の工場の車が休んだので、ただ一ぺん何とか頼まれて貨物を輸透した、これは営業類似の行為であるということに、いろいろの混雑が実は起つておるような実情でございまするが、かかる國民経済上から見てまことに妥当な限度において、また國民の常識的判断において、ちつとも不法性のないような場合でも、ここにただフラットに対償を得てと書いてありまするがゆえに、これが法に触れるものといろ解釈を大臣はお認めになつておるものでございましようか。
  78. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 道路運送法第五十二條の対價の意味でございまするが、本條にいう対價とは、運送給付に対する反対給付ではありますが、単なる偶発的なものではなく、相当に継続的な性質を持つておる意味でありまして、しかもそれは当該運送行為に対する経営的な経済収入と見なし得るものをいうのであります。
  79. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの大臣の御解釈は非常に妥当であり、私ども安心いたしたのでありますけれども、法律の字句はきわめて誤解しやすい。この対價の字を、今大臣の御説明になりましたようには、通常の考えをもつてしてはほとんど了解いたしがたい。まだ法律上の慣用語としても、ただいまのような御解釈は私は非常にむりであると考えます。従つてこの五十二條は当然修正しなければならぬと思いますが、運輸大臣はこの五十二條を修正する御用意がありまするかどうか、お伺いしたい。
  80. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの御質問はよく検討をいたしてみます。
  81. 滿尾君亮

    滿尾委員 その次に私は自動車運送事業の新規免許に関して大臣の御所見をお伺いしたい。実はこの新規免許には二つのものがある。たとえばバスの新規免許と、片方はトラック事業の新規免許でありまするが、バスの新規免許につきまして、従来戰争事前からわが國は、一路線に一営業者の制度をかたくとつて参りました。それには功罪、毀誉褒貶もあり、いろいろなことがありましたが、終戰後の今日におきまして、大臣はバスの一路線一営業者主義を、今後とも堅持して行かれる御方針でありますかどうか。特に國営自動車の新設が非常に困難にお見受けいたしておりまするが、この國営自動車との関連において、バス事業の新規免許に関してはいかなる御見解をお持ちになつておりますか。
  82. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 それはすでにただいまでも、その方針を堅持いたしておらぬ実情でございます。今後とも堅持しないつもりであります。
  83. 滿尾君亮

    滿尾委員 堅持しないと仰せられておりまするが、実際にバスの新規免許を、終戰後今日までどれくらい御免許になりましたか、これは事務当局から御返事をいただきたいと思います。さらにトラックの新規免許でありまするが、この点につきましても、戰爭中の独立形態をそのままそつくり大体今日まで堅持しており、なかなか新規免許をお許しになつておらない。業界に新しい空気を注入して、公正なる競争の地盤の上に、ほんとうに國民のトラック事業を建設する御意思があるかどうか、お伺いいたしたい。
  84. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 ただいまの御質問は、この諮問委員会にかけまして、公正でありまするいいものに対しましては、これを免許する方針をとつておる次第でございます。
  85. 滿尾君亮

    滿尾委員 この事業の新規免許につきましては、本日の御答弁では私は必ずしも満足しておらぬのでありまするから、また他日を期しまして御質問申し上げることにいたします。  最後にもう一言だけはなはだ御迷惑でございますが、御意見をお伺いいたします。道路運送法にいわゆる道路運送委員なるものがありますが、この道路運送委員は、御承知通り知事が推薦いたしまして、運輸大臣が任命することになつておるのであります。ところが昨年の正月、初めての道路運送委員を選任いたしまするときに、当時運輸省から監理部長名をもつて各縣知事に通牒が出たように伺つておるのであります。その通牒によりますると、過去においてトラック事業であるとか、あるいはバス事業であるとか、いわゆる関係の事業を経験しておられる方がありまして、その方がその職を辞任して委員になられる御意思があれば、まことに過去の経験を生かしてけつこうである、こういう意味の、積極的にそういう業者出身の委員を、知事に対して推薦を慫慂せられるがごとき印象を受ける御通牒が実は出ておるのです。ところがこの道路運送委員なるものは、日本の陸運行政における特別の司法官の立場にある。しかして新規免許の諮問機関でありまするから、絶対に既存勢力の代表であつてはならないと確信いたすのであります。しかるに御当局がかくのごとき業者を推薦するがごとき御通牒をお出しになつたことは、私はわが國の行政として非常に遺憾なことであつた考えておるのであります。もとよりある人が三年前にトラック屋の社長であつたが、三年この方やめておるとするならば、その人の経験を利用するために、委員に推薦するのは私も妥当であると思う。しかし十日前まで、一週間前まで具体的に業者であつた人で、委員にならんがためにやめたような者を、積極的に運輸大臣が御推薦になるようなことがあつては、私は道路運送委員の制度の精神から見まして、これは脱線している、かように実は判断いたしたのであります。近く本年九月、道路運送委員の改選の時期が迫つておるのでありまするが、今回の選任に対しまして、運輸大臣はこの点についていかようなお考えをお持ちになつておられますか。関係の官吏は退職後一年間は道路運送委員たることを得ずとなつております。たとえば陸運監理局長は年間は道路運送委員になつてはいかぬ。これはあたりまえである。同様に関係事業の関係者は、やめてから年間は道路運送委員たることを得ずという制限を付して、初めて私はフエヤーであると考えます。その点についての大臣の御所見を伺いたい。
  86. 大屋晋三

    ○大屋國務大臣 道路運送委員の選任方法についての御質問でありますが、道路運送委員会は、道路運送行政の中核的な機関でございまして、ここに要請されまするものは大局的な公平な判断であります。従いまして委員の選任につきましては、この線に沿つてなされることが必要であります。選任については知事の推薦によりますが、おおむねこの目的に沿つておると認められます。道路運送法第八條に兼職制限の規定を設げたのもこの趣旨であります。國家公務員法の制定に伴い、目下人事院と研究中の事項もありますが、勤務地その他からする本委員会の特殊性に基きまして、その勤務等について若干の緩和を見るであろうと存ずる次第であります。また御指摘の最後の点は、関係知事から質問がありましたのでそれに対しまして、局長が返信を念のために全國知事に出したものでございまして、通牒ではないのでございます。
  87. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。なお次会は公報をもつて御通知いたします。    午後四時三十二分散会