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1949-04-20 第5回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十日(水曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 岡村利右衞門君 理事 關谷 勝利君    理事 佐伯 宗義君 理事 田中 堯平君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       鈴木 明良君    高橋 定一君       松木 一郎君    滿尾 君亮君       柄澤登志子君    飯田 義茂君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         運輸政務次官  坂田 道太君         運輸事務官         (鉄道総局長         官)      加賀山之雄君         運輸事務官         (同総務局長) 三木  正君         運輸事務官         (同業務局長) 藪谷 虎芳君  委員外出席者         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 四月十九日  國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号)     —————————————
  2. 稻田直道

    稻田委員長 これより会議を開きます。  本日は昨十九日本運輸委員会に付託に相なりました國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたし、審議を進めます。  まず政府提案理由説明を求めます。     —————————————
  3. 大屋晋三

    大屋國務大臣 昭和二十四年の國有鉄道事業特別会計予算につきましては、別途予算案として國会の御審議を願いましたが、今回の予算編成にあたりましては、経済原則に從い、特別会計独立採算を絶対要件といたしましたので、從前のごとく收入不足一般会会計よりの繰入れをもつて補填するわけには行かないのであります。從つて完全なる收支均衡を得るためには、一面支出予算に極度の節減を行い、営業費予算額を千百二十八億八千五百万円とし、二十三年度の予算額に比し、わずかに百二十二億二千万円の増加にとどめております。二十三年中には二回の給與ペース引上げがあり、物價体系も七月に大幅の改訂がありましたことを考慮に入れますと、徹底的に緊縮した予算と言い得るのでありまして、この間の事情によく御了承願えることと存じます。一方收入については、現行運賃率をもつてしては、年間約九百二十二億円程度收入となり、営業費利子債務取扱諸費、減債償却相当額資金繰入れ、予備費等を含めた損益勘定支出額一千百五十二億円に対して、相当不足を生ずるのであります。この不足額を補填するために、不用、不要施設や物品の賣却、廣告料等運賃以外の諸收入り増加を計上いたしましても、なお二百三十億二千六百万円の不足となる次第であります。この不足額だけは、まことにやむを得ぬことながら、運賃收入増加をはからなければ、独立採算制に基く均衡財政実施ができない次第であります。この二百三十億円に相当する運賃増收をはかるに際しまして、旅客運賃貨物運賃のいずれを値上げすべきかの問題があるのでありますが、日本経済自立のために要求せられております経済原則根底に、現行物價水準の維持ということが強い要請となつておりますので、この際は物價影響を及ぼすおそれある貨物運賃改訂を見合せ、もつぱら旅客関係運賃引上げを行うことにしたのであります。すなわち普通旅客運賃については一律に約六割の値上げを行う予定であります。航路旅客運賃及び急行料金等についても同様であります。ただ急行料金につきましては、今後運轉を予定されております特別急行料金の制度を新たに設置いたしたのであります。御承知通り旅客運賃は、諸物價に比して最も値上げ割合が低いものでありまして、一般物價昭和十一年に比して約百九十一倍の値上りになつておるのに対し、旅客運賃はわずかに五十倍程度で、これを六割値上げいたしましても、八十倍程度となり、依然として一般物價に比して低位にあるわけであります。定期運賃については割引率の異常に大きい三箇月、六箇月の長期定期割引率を廃止することにいたしました。現在定期割引率は、六割引から最高九割四分引という、諸外國にも例を見ない高率のものでありまして、運賃改正の都度、普通運賃との不均衡がはなはだしくなりますし、独立採算の建前からも、輸送原價に比して、著しい割安となつている定期運賃を是正しおいと考えておる次第であります。またこの改正により出しても、一箇月定期運賃賃金ペースに対する比率は、昭和十一年当時に比較してなお低い割合となるのであります。このほか手、小荷物運賃についても、郵便小包との均衡考え、かつ旅客と同じく旅客列車をもつて輸送される性質にかんがみ、四割ないし六割の値上げを行うことにいたしたのであります。  以上をもつて運賃改正の概要の御説明を終るのでありますが、國有鉄道運賃法に関する改正案といたしましては、そのうちの基本的賃率である第三條の普通旅客運賃賃率、第四條の航路旅客運賃及び第六條の急行料金の三点についての改正について、御審議を願う次第でありますが、爾余の改正点につきまして、國会のご諒承を得て、実施いたすつもりであります。  以上の改正によりまして、普通旅客においては昨年七月の改正にかんがみましても、ある程度利用度の減少が予期されますので、増收額利用減を一〇%見込みまして、百七十一億一千万円、定期旅客は四十七億七千四百万円、手、小荷物その他で十一億四千二百万円、合計二百三十億二千六百万円となるのであります。  國民生活の耐乏が一段と要求せられますときに、國民大衆の負担を増加する旅客運賃改正は、まことに忍びさるものがあるのでありますが、経済原則の要求する國鉄財政均衡化のために、御了承いたいと存じます。  なお貨物運賃のすえ置きによつて、機帆船その他の運輸機関との運賃調整の問題が残ることは十分承知しており、かり化物運賃輸送原價の半ばにも達しない現状でありますので、合理的な運賃体系に復することは、國鉄の経営上もきわめて必要であると感じておりますが、今日は物價政策上その適当な時期ではないことを遺憾に思う次第でありますが、なるたけ近き將來において、これが是正を考慮いたしたいと考えております。  最後予算的にも本運賃改正は五月一日実施のことにして編成されており、実施期日が遅れますことは、收入不足を生ずることとなりますので、慎重御審議の上、なるべくすみやかに御承知あらんことを切望する次第であります。
  4. 稻田直道

    稻田委員長 これより本案に対する質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次発言を訂しますが、大体先般質疑の終られた方はあとまわしにいたしまして、なお質疑を終えられない方を先にいたしたいと思います。本日午後はこの委員室は他の委員会が使用することになつておりますから、十二時二十分ないし三十分ごろまで御勉強を願いまして、本日中に質疑をなるべく終了いたしたいと思うております。質疑を許します。
  5. 岡村利右衞門

    岡村委員 昨年の芦田内閣当時、値上げ問題が起つたのでございますが、そのときの公聽会経験者あるいは学者とかの意見によりますと、貨物運賃相当程度上げてよい。ある学者のごときは七倍程度上げてよいと昨年言つたのであります。しかし旅客運賃につきましては、大体においてその値上げには反対だというのが、去年の公聽会空氣であつたのであります。現在におきましても、このようなことが輿論ではないかと思うのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  6. 大屋晋三

    大屋國務大臣 ただいま岡村君の仰せられました通り、昨年の現状と今日の現状とはほとんどかわりがございませんので、やはりさような考え方が考えられるりでありまするが、今回はともかくも少しでも物價政策上、物價影響度合いの少い方を選ぼうという観念に立脚いたしまして——もちろん旅客運賃を上げましても、全然物價影響がないとは断じないのでございまするが、直接貨物運賃を上げるよりも、旅客運賃を上げた方が、その意味におきまして物價に直接影響する度合いが少いという観点におきまして、今回に單に旅客のみの運賃を上げるという措置をとりました次第でございます。
  7. 岡村利右衞門

    岡村委員 海上輸送運賃と、陸上輸送運賃との、貨物に対する賃金率が非常に違うことは皆知つておることなりであります。大臣海上輸送賃金のことを考慮しておるというような話でありますが、この考慮というのに大体海上貨物輸送賃金を引下げるか、あるいは陸上貨物運賃海上貨物運賃との差を價格差補助金のような形で補填するか、あるいは陸上貨物運賃を大幅に引上げて、海上貨物運賃との均衡をとらせるというような、三つの方法しかないと考えますが、大臣はどの方法をお考えでありますか。
  8. 大屋晋三

    大屋國務大臣 ただいまの問題は、いずれどの形にか近い將來にいたさないと、御承知海陸運賃の不均衡が是正されませんが、まだどの方法をとるかということがしかと腹をきまつてないのであります。またこの問題を処理いたしますためには、一般物價問題との問題もございますし、單に運輸省一個の問題ではございませんので、ただいま愼重審議の過程にあると御承知を願いたいのであります。
  9. 柄澤登志子

    柄澤委員 昨日質問いたしたのでございますが、不十分でございましたので、追加して運輸大臣に御質問申し上げたいと思います。今日の岡村委員の御質問に対しましても、昨年と今年との方針にはかわりがないということでございましたし、また昨日も、この運賃についての委員会における政府委員の御答弁においても、國有鉄道運賃法については何らその原則においてかわるところがないという御答弁でございましたが、その國有鉄道運賃法の中に、明らかに賃金物價の安定に寄與するということ並びに原價を償うということ、公正妥当でなければならないという点が強調されていると思うのでございます。その点から考えてみますと、特に運賃の中で、最も原價の償われているところの旅客、また賃金に最も深い関係を持つところの旅客運賃のみを、運輸省がこのたび六割値上げされますということに、私どもにとりましては、どうしても納得できないことでございますが、この点についての運輸大臣を御答弁を賜わりたいと思うのでございます。さらに政府委員せんだつて生計費に占める交通費割合として第一表を示され、そうしてこの交通費を、現在比較的余裕のあるところの雑費の方から出すことができるというような御答弁でございましたが、今日余裕のある雑費というようなものが、勤労者並びに國民の九割以上を占めておりますところの日本人の生活の中にあるかどうかという点、非常に不十分な御答弁であつたと思うのでございます。そういう点にも関連いたしまして、御答弁を賜わりたいと思うのでございます。
  10. 大屋晋三

    大屋國務大臣 今回運賃のみに値上げ措置をとりましたその根底は、御承知のように、鉄道のみならず、國の一般会計予算にいたしましても、今回の経済原則並びにドツジ声明趣旨に從いまして、あらゆる観点に優先いたしまして、インフレ收束ということを主眼にして予算が組まれ、國の財政が編成されました精神にかんがみまして——なるほど柄澤さんの御指摘のように、貨物運賃に比較的格安である、旅客運賃を上げれば直接大衆相当影響があることはもちろんでございますが、ただいま申し上げましたインフレ収束ということの裏には、すなわち物價の高騰をチエックするということが最重要であるという観点に立ちまして、やはり運賃政策においても、貨物運賃値上げより、大衆生活状態からして苦しいことは苦しいのでありますが、旅客運賃の方を上げるという処置をとつた次第であります。なおまた國民所得雑費からその交通費を見ておるというのが本当である、雑費というようなものの余裕がないと仰せられますが、それはそれでございましようけれども、ともかくも昭和十一年と現在とを比較しますと、生計費の中の交通費の占める割合に約八%程度で、大同小異であるというような点、一昨日か御説明申し上げたと思うのでありますが、それで御了解願いたいと思います。
  11. 柄澤登志子

    柄澤委員 インフレの原因に、旅客運賃値上げ影響されないという御答弁でございましたけれども、今日戰爭の後における旅客輸送というものが、決して物見遊山ではなく、生活の打開のため、それから都市が戰災にあいましたために、都会に住居を失いまして地方に疎開し、そこから官公廰並びに産業会社に通う勤労者がいかに多いかということは、十分御了承が得られることと信ずるものでございます。すなわちただいまの旅客と申しますものは産業に直接の関係を持つておる者、物見遊山でない生活のための旅客がほとんどであると私どもに信じております。こういう人たちの中でも、ことに戰爭によりまして、引揚げや復員して参りまして城につくことのできない者、さらに今日政府当局考えております大臣行政整理によつて出ます失業者は、今日ほとんど鉄道によりまして、地方からのいろいろな物資を運んで、配給によつて満足のできないわれわれの主満を満たしてくれておるのでございます。このことに決して妥当なこととはわれわれ考えておらないのでございますけれども、その人々を含めます多くの人々が、失業救済対策もないのに行政整理をやるし、さらに物價を引下げる方向には行つていない現状において、旅客運賃引上げられるということに対して、大きな社会不安、大きな人心動揺を起すということは明らかな事実なのであります。それらの者が運んで参ります物資には、当然運賃というものが加えられてわれわれの家庭に運ばれますことに、これは表面では明らかになつていないことでございますけれども、たれしもが知つておることなのでございまして、こういう今について、ただいまの運輸大臣の御答弁では、私ども納得ができかねるのでございます。今日も実は埼玉縣の未亡人のたちもが十数名議会に押しかけられまして、そうして実際自分たちいなか町の工賃ではとうてい足りなくて、たび一足買うことができない、配給物もとれないと言うのであります。その八%の交通費どころか、生活のための資材、食う物が買うことのできない現状だということでございます。これらの人たちが、自分たち生活の手段として、悪いということに知りながらも、やはり自分の手足を動かしていなかからの物資を賣りさばいたり、いろいろやつておる。自分たちとしてはそれ以外に生活の道がないのであるが、運賃値上げという問題や米の値上げという問題は——政府自身インフレを進ませないために、物價を上げないために、貨物運賃を上げないと言いながら、旅客運賃を上げるということは、これはもうインフレ一つの現われじやないか。これはまつたく妥当でない御答弁と思われるのでございます。こうした大衆の声に対して、今の運輸大臣の御答弁では、私どもどうしても納得できないのでございます。インフレを抑制するという政府自身運輸を上げるというのに、インフレ一つの例を政府自身が示すことになるのではないかと思うのでございます。私どもといたしましては、昨日も申しあげました上に、独立採算制そのものに今日矛盾があるということで反対を申し上げたのでございますけれども、それに関連しまして、このインフレを抑制するために、旅客運賃だけを上げて、貨物運賃を上げない、こういう御答弁であります。たいへんくどいようでございますけれども、もう一度はつきり私ども納得の行くところのお返事をしたいのでございます。  それからさらに運輸当局といたしましても、当初組みましたところの予算につきましては、そういうことが考慮されまして、組まれていたということを承るのであります。これは当然しかるべきだと思うのでございますけれども、どうして旅客だけにこのたびの値上げが限定されたかということにつきまして、運輸委員会といたしましても、全力をあけて委員各位が熱心に御討議されると思うのでございますから、御答弁を伺いたいと思います。
  12. 大屋晋三

    大屋國務大臣 ただいまの柄澤さんの御意見に、あるいは御婦人の柄澤さんの御意見としては、さもあらんと思うのですが、やみ屋さんが物を運ぶのに、運賃を上げては困るから云々というふうに、強く響いたのであります。公開の席上ではやみ屋ということに嚴禁されておりますし、國民経済から、なるほどやみ屋が事実あるということは万々承知いたしておりますが、どうも御議論の焦点がやみ屋が困るじやないかというふうに強く響きますので、それにどうかと思います。  第二点、最初から運賃の点は、旅客の方を上げずに、貨物の方を上げるように当局考慮しておつたのではないかという御質問でございましたが、これにまことにその通りで、最初貨物のみを上げて、旅客運賃はそのまますえ置こうという考えでございましたが、いろいろ慎重に考えました結果、やはり最初申し上げましたインフレのチェック、すなわち物價影響の面を考えますと、貨物運賃を上げる方が直接に物價に響く度合いが多い。全然ないとはむろん申さぬのでありますが、むしろ旅客運賃を上げる方が、間接的に相なるという点に重点を置きまして、旅客のみを上げたということはしばしば申し上げた通りでありますので、御了承願いたいと思います。
  13. 柄澤登志子

    柄澤委員 やみ屋だけの生活の点で、私が主張したようにおとりになるような発言があつたかもしれないのでございますが、この点につきましては、その以前に申し上げましたように、今日の旅客輸送というものが、物見遊山ではなく、ほとんどが生活のためである、また都会で家を焼かれました多くのサラリーマンがこれを利用しておるという点で、主張したのでございまして、このことは國有鉄道運賃法原則の中に明らかに示されておることであつて、その原則にもとるものであるということを申し上げたのでございます。聞くところによりますと、國有鉄道運賃法のこの妥当な原則というものは、もちろんこのたび何ら変更されないということを承つておるのでございますが、経済原則というものが何らこの國有鉄道運賃法原則と相反しないという点から、この運賃法も当全改正されないと思うのでございますけれども、この点にもとつておるような御方針であるという点。申し上げたのでございます。貨物物價の安定に寄與するという点で、旅客運賃を上げることは、明らかにこの安定を破るものだという点についての大臣の御見解を求めたのでございます。ただ單なるやみ屋生活の問題ではないのでございます。しかしその点でも、戰後失業対策の十分でないところの日本におきましては、決して見のがすことのできない問題だということをつけ加えたのでございます。
  14. 田中堯平

    田中(堯)委員 もうすでに予算がきまつておるのですが、してみると、この委員会でいろいろと運賃値上げの問題を審議してみても、これで実際的にいろいろ効果を発揮し得るかどうか、ただおしやべりに終ることになるのか、それともここで修正案なり、いろいろな案ができるということならば、また予算のあの確定した範囲内で、幾分これを受入れることができるかどうかという点について、大臣の御見解を承りたい。
  15. 大屋晋三

    大屋國務大臣 政府法律案國会提出いたしましたので、それをいかように扱うのも議員諸君の御審議の自由だと思つております。
  16. 田中堯平

    田中(堯)委員 一体予算がきまる前に、その各部門を構成する、こういうふうな運輸部門の問題も、委員会に付託さるべきだと私どもは解するのです。予算がきまつた後になつて、わくだけはちやんときまつてしまつて、どうにもならなという今日、しかも期日は五月一日から運賃値上げ実施しなければならね。開けば切符にもう刷つてある、につちもさつちも行かぬから、どうでもこうで、ひとつ通してくれという態度に見えるのですが、これははなはだ遺憾量であると思うのです。結局委員会を無視するというような態度が、ここに現われておると思うのですが、民主主義の時代には、やはり委員会というものは十分な審議の権能を認めてもらつて、十分にこれを活用してもらうということでないと——まるきり、まあちよつと見せるけれども、よろしくやつてくれという態度に見えるのは、はなはだ遺憾ですが、これ一体どういうわけで、予算よりもうんと遅れて、しかも五月一日が切迫をして、今日ここに上程されたのであるかということを御説明願いたいと思います。
  17. 大屋晋三

    大屋國務大臣 田中君の仰せられるようなことにつきましては、今度この予算を組みまして、それを関係筋の承認を得る、またそれに相当の時間もかかつたというような、かれこれの事情がございまして、今回のこういうような始末になりました次第なので、これはひとり前後の事情をこの程度で御了承を願いたいと思います。將來田中委員の仰せられる通り、御趣旨を尊重いたしまして、不便、かつてのないようにいたしたいと思つております。
  18. 田中堯平

    田中(堯)委員 柄澤委員からすでに一度触れた問題ですが、運輸当局としては、明らかに最初には旅客運賃はすえ置く、どうしても上げなければならぬのなら、貨物運賃引上げるという御方針に、明らかに本委員会に対して加賀山長官その他の政府委員の方々からも漏れておるのであります。ところが、それから旬日ならずして、ここに現われた案を見ると、全然正反対の案となつて旅客運賃引上げる、貨物運賃はすえ置くということに、態度が豹変しておるわけですが、そこに心鏡変化があつたの——変化があるどころでになしに、心鏡激変かあつたわけですが、その心境激変について、大臣は、まあそれからいろいろ考えてみたところが、どうもこれはやはり旅客運賃を上げた方が適正妥当であるという見解に到達したという御説明ですが、どうもその辺がふに落ちない。というのは、赤字が出た、この赤字を埋めるについては、こういうふうな方法でいろいろ收入の方を探つてみたところ、どうにもならない、そこで貨物運賃を上げようとしたが、この貨物運賃を上げるというと、こういうふうな影響があるので困る。万やむを得ず旅客運賃を上げたのであるというふうな懇切丁寧な御説明があればともかくも、それがなくして、旬日ならずして心境激変というのでは、この説明には至つて不十分だと思うのです。その間のことをあらためてもう一度御説明願いたいと思います。
  19. 大屋晋三

    大屋國務大臣 それは田中君の仰せられる通り最初貨物運賃のみを上げる案も考えておりましたが、その後、私がしばしば申し上げまする通り、やはり直接に物價影響を來すという点につきましては、貨物運賃はすえ置いて旅客を上げる方が、幾分でもその影響が少いといような意味合におきまして、その筋の意向もしんしやくいたしまして、さようにとりはからつた次であります。
  20. 田中堯平

    田中(堯)委員 今その筋というお言葉が出ましたが、それならばそれで政府当局も、また議会も、この委員会も、いろいろ協力をして——どもはもう絶対この旅客運賃を上げることはいかぬと思うのですが、おそらくそういう御意見の方も相当あると思います。そういうふうな議会における主張、また國民輿論というようなものを、いわゆるその筋に理解していただくというような措置も、講ずべきではないかと私は思うのです。何としても旅客運賃を上げるということは絶対に賛成できない。最後の努力をしてみなければいかぬと思います。
  21. 松本一郎

    ○松本(一)委員 先日しさいに質疑いたしまして、かつ御答弁もいたただいておりますので、今日は遠慮しようと思つていたのですが、祖國再建完全独立のためには、なるべく早く自立経済の確立を必要とする。幸い政府昭和二十八年ごろには完全なる自立経済の見通しを立てて計画をされておる。それに伴つて原則が指示され、その九原則要請は、いわゆる均衡財政從つて企業合理化收支均衡をとる。なおかつそれに伴い独立採算制要請——これは当然でありますが、ただ同じ独立採算制をねらうにしても、つとめてそれは妥当適正にして、日本國民生活経済に、たとい犠牲をしいるにしても、公平でなければならぬと、こう私ども考える。その点に立つて考えるとき、はたして國鉄がこの赤字運賃値上げによつてある程度かなわなければならぬのか。旅客を上げるか、あるいは貨物値上げするかということになつたとき、ただでき得べくんば、私どもはこの際は貨物相当程度上げて、旅客値上げを見合してもらいたい。しいてやらなければならぬならば、旅客値上げを最小限に食いとめ、ことに通勤並びに通学等を考慮したときに、学生あるいは通勤者の定期だけは一箇月、三箇月、六箇月という、從來の日本の國情に即してできておつた制度を、一挙に三箇月、六箇月を廃止して、月にするということは、あまりにも過激に失しはしないかということを非常に私ども心配いたします。從つて通勤者等の生計費にも非常に重大な支障を來す。勢い賃金ベースの引上げというような問題が迫つて生ずるのじやないかということを心配いたします。再三政府もその筋と御交渉願つて、万やむを得ずここに立ち至つたものとは思いますが、当委員会としても、このままでこの案を了承して議決をするということは、たとい予算が通過しておつても、本委員会の使命上私ども了承しがたいのであります。ついては委員長理事会を開き、また各委員の意向をこの際協議していただきまして、その筋と御交渉願うということに早急に御配慮が願えぬかしらんと、こう実は思いますので、私のお尋ねは、運輸当局でなく、委員長のお考えをこの際お伺いしたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。
  22. 稻田直道

    稻田委員長 松本君のただいまの御発言趣旨は、委員長もよほど以前から考慮しております。何とかさような意味のとりはからいを進めてみたいと思うております。
  23. 滿尾君亮

    滿尾委員 私も大体昨日質問を終えたのでありまするが、なお補足的に一言お尋ねいたしたい。  昨日お願いいたしました通り、今回の値上げがどうしても免れなかつた、必然的なものであつたということを、國民によく納得させる手段をとられることが非常に必要でないかと私は思う。つまり國民大衆生活と切つても切れぬ旅客運賃値上げでありまするから、その國民感情というものを、政府は十分御尊重になる必要がある。それにはなるほどこれではある程度値上げしなければならぬのだなということを、納得させる手配をせられることが、必要ではないか。そのために私は、國鉄がいかに一方において経営の合理化に努力せられたか。経営合理化によつて何百億円の財源はすでに捻出したのだけれども、なお足りなくなつて、やむを得ずこの値上げになつたのだというプロセスを、一ぺん明快にひとつお出しを願いたい。私はこのことを一昨日すでに御通知しておきましたから、本日は御答弁がいただけるのじやないかと思います。もちろんこまかいことはいりませんが、その大綱に関して大体のところをお示しを願いたい。  それから値上げがやむを得ないとしても、それが旅客専門に行つたところについて、いろいろ議論が沸騰した。このことにつきましては皆さんからお話があつたから触れません。第三番目に、かくしてやむを得ず旅客の線に負ぶさつて行つた。しからば値上げ後において、旅客の面についていかなるサービスの改善を用意しておられるか。旅客に全負担をかけておきながら、当局は、今までとちつともかわらぬ旅客輸送対策を持つておられるのか。一体旅客列車の走行キロ等につきまして、來るべき年度においてはどういう見通しを持つておられるか。その点、サービスにつきましても具体案があれば、それをお示しが願いたい。かくすることが私は今回の値上げを円満に進捗せしめる上において非常に必要なことではないかと思うのです。  さらに最後に、私はひとつ御提示をいたしたいのでありまするが、すでに予算のわくはきまつておるのでありまするから、このわくをくずすような議論をいたしますることは、私は建設的でないと思うのです。しかしながら、今回御提示になりましたこの案をこのままの形でうのみにいたしますことは、私も松本委員のお考えとまつたく同感である。われわれは、このわく内におきましては、われわれの信ずるところに從つて適当なる修正をする方がよろしい。そうしなければ、私ども國民の負託にこたえることができないのじやないか、かように私は考ええる。その筋の御意向ということもありますけれども、すベてその筋の御意向ということだけで、物事を決して参つてはいかぬ。われわれは技術的に、良心的に、自分たちの専門的角度に立つて、信ずるのであります。それが終局的に実現されようとされますまいと、運輸委員会というものがここにあるということを、私は國民に明示する必要があると思う。從つてわれわれは、建設的な角度からいたしまするところの修正につきましては、何ら躊躇する必要がない。私はその修正の二つのポイントといたしまして、ただいまお話品のありました大衆の負担軽減の意味における定期券の事の問題と、昨日私が提示いたしました遠方から参りまする旅客の負担軽減、つまり今回の値上げによつて最実質的苦痛を最大に感じ、しかも当局收入対策の面からいえば、何ら影響するところのない遠距離削減の措置をとることを、ここで皆さんにお諮り申し上げたいと考える次第であります。
  24. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいま滿尾さんの言われましたことは、まことにごもつともと存ずるのでありまして、運賃値上げをする以上は、どうしてもこれを國民納得していただたかなければならない。國民感情を尊重しなければならぬことは当然と存ずるのであります。これをもつともと考えていただくには、國鉄が、今までこういうことをやつて来た、またこれからこういうことをやろうとしているのだということを明らかにして、いかに國鉄が苦しんで來たかということを、知つていただかなければならぬことも当然だと存ずるのであります。実は「國鉄経営健全化への途」という冊子をお手元に差上げまして、從来とつて参りました——まことにこれは微温的なものであるとおしかりを受けるかもしれないのでありますが、国鉄従事員が今日まで果して参りました、わずかながらやり遂げました合理化の方策を、そこにごらんをいただいておる次第であります。  なお本年度の予算がいかにきびしいものであるかということに、過日もいろいろ御批判をいただいたのでありますが、この本年度の予算そのものが、経営合理化を敢してやらなければ、その執行が非常にむずかしい程度予算であると私どもは存じておりますので、本年度自体の問題といたしまして、今後極度の経営の合理化をいたさなければならぬ。これは予算の内容自体がこれを示しているその具体策については、もちろんわれわれといたしまして、ここに考えておるところもございまするけれども、これらの点につきましては、今後要すれば発表もいたしますし、また事実をもつてごらんを願うことにいたさなければならないと考えるのであります。そのうち特に、利用される國民各位に一番関係の深いのは、サービスの改善の問題であろうかぞんずるのであります。極度の経費の節減をいたします結果、たとえばサービス改善中の一番大きなものは、輸送力の増強であり、また車輛等の新造等によつて、気持よい車を動かすということでありますが、それらの点につきましては、遺憾ながら、非常に大きな——車を新造いたしましたり、また列車の大増発をするような予算に相なつておらない次第でありして、本年度の予算をもつていたしましては、ただいま予定いたしておりますところの八月の時刻改正も、でき得る限りそういう線に沿つてやりたいと存じておりますが、非常に大々的にはできない。また車輛の改造も、あるいは新装もできないので、これは従事員が骨を折りまして、現在の車輛を生かして使う、改繕に最善の努力をいたしまして、せめて車輛をよく手を入れて動かす。そうして先ほど申しましたような、車をできるだけ必要な所へ向けて列車の回数も必要な所へふやして参る。かようなことにいたしたいと考えておる次第でございます。  最後の、わく内の変更は自由であるということは、これはもちろん國会において、いかなる御審議も御自由にお願いをいたさなければならぬことは当然でありますけれども、ただ定期券の事の問題、遠距離削減の問題等は、非常にこまかい技術的の面を持つておりまして、ただ一部を変更するということになりますと、必ずそこにわくの問題が出て参るのでありまして、そのわくに関係なく、うまい修正をすることの非常にむずかしい点があることは、これは専門家であられる滿尾さんのよく御存じの点と存ずるのでありますが、そういう点を御考慮くださいまして、修正の問題について御審議を煩わしたい、かようにお願いいたす次第であります。
  25. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの國鉄合理化問題につきましての政府委員の御答弁は、まつたく私は要領を得ない御答弁であると考えます。これに今後事実をもつて國民にわかつてもらうというようなことではいけないので、この際なるほど運賃値上げがやむを得なかつたということの、端的な指標をお示しになる必要がある。つまり私がむしろ政府側に立つて考えて見ましても、宣傳することが必要であると思う。ですから、こまかいことはいらない、大なれ項目をあげて、この項目で何十億円儉約した。これでは何百億円儉約した、こういうぐあいに端的にお示しになることが、私は必要だと思う。そしてそれを大々的に宣傳して、なるほど、かくしてなおかつ、これだけの赤字が出たのだから、この赤字を埋めるために、この方策に落ち込まざるを得なかつたのだという御方策をとることを、私は積極的に御当局に御進言いたしておるわけであります。でありますから、ただいまの政府委員の御答弁では、私はまつたく雲をつかむようで要領が得られない。なるほどここに「國鉄経営健全化への途」その他予算書とか、不用財産の拂い下げとか、いろいろな端的な資料を多少拜見して知つておりますけれども、私は、当局として経営合理化に重点を置かれたところの要点を大づかみに知り、かつそれによつてどれだけの節約をせられたかということを端的に承知いたしたいのが、質問の要点であります。  第三の、修正案につきましては、一部修正するのは実行上非常に困難だとおつしやる。なるほど確かに困難はある。しかしながらわれわれは実態的な角度に立つてこれを批判しようとしておるのでありますから、技術上の不便に晝夜兼行で勉強してもらわなければならぬ。なるほど國鉄運賃改正いたしますには、切符その他の印刷から見まして、二週間や三週間のひまが技術的に絶対に必要なことは、よく了承いたしておるのでありまするが、そのくらいの困難は百も承知なので、國民生活を守るために、実態的な角度からするところの修正というものを、われわれも勉強しますが、御当局もこの際晝夜兼行で勉強していただく腹をもつて臨んでいただきたいと考える。技術上の困難性をもつて委員会の修正につきまして、ある種の牽制を加えるという態度は、この際私どもといたしましては、御辞退申し上げたいと考えておる次第であります。
  26. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 重ねて滿尾さんのお言葉でありまするが、ただいまあいまいだと言われましたのは、先ほど資料も上げてあるし、予算書も十分おわかりのことと存じますので、十分おわかりと思つて漠然と申し上げた次第で、もちろん國民各位に対しては、具体的な数字を持つて、しかもそれを平易に表現をする必要は、私どもとして当然存じておる次第であります。そういうことについては、もちろん今の御注意をありがたく拜承いたしまして、われわれとしてもそういう手段を講じたい。ただ最も大事なことは、國民の代表であられる各委員の方々に、われわれのやつておることを数字的に見ていただくために、資料を差上げたので、それを見ていただきたいということを申し上げた次第であります。特に本年度の予算についての、石炭費、人件費等における非常な削減は、ここで私がくどくどしく申し上げるまでもないことと存じます。これは経営を合理化して、極度に従事員が努力しなければ、とうていやつていけない程度の数字になつておるということでありまして、一目よくおわかりと存じておりましたのでありますが、なお繰返して申し上げる次第であります。  なお技術的にむずかしいから避けるということを申し上げたのではなく、御承知のように旅客乗車券関係の変更は、大きく見積れば一箇月、少くとも半月あるいは二週間程度の日子が必要でありますので、そういう点からいたしまして、結局今度の運賃で申し上げますと、一日の違いで約八千万円程度赤字が出て参ろうかと在ずるのであります。それで國会の御都合によつて御修正いただきます場合は、これを見込んで修正をいたしませんと相ならぬ。從つてその修正は非常に困難でありましようが、われわれはもちろんそれを避けるという意味で申したのではありません。その点は御了承願いたいと存ずるのであります。
  27. 佐伯宗義

    ○佐伯委員 大分論議が盡されたようでございますが、御承知通り先期國会におきましての運賃の仕上げは、旅客が三倍半ということでありまして、それに基いて物價体系並びに賃金ベースが織り込まれたのであります。ところで今回旅客によつて独立採算制赤字を補うということになつ値上げ分は、先期國会における三倍半いうような数字と、あまりかわらぬように考えられます。そこで私は、これはまことに妥当でないかという考えを持つておるのでありますが、ただ定期運賃が三箇月と六箇月を廃されるということは——從來その割引率によつて國民生活環境かでき上つておるのじやなかろうか。たとえて申しますれば、遠い所から通勤して、その住宅をある一定の経済限界までのところに拡張している。そういう者にとつては、三箇月、六箇月の定期を廃止せられるがために、やはり生活が破壊せられるという問題が起つて来るのじやないかと思いますので、この点はよほど愼重に研究する余地がなかろかと考えられます。なお私どもとして一番大きな問題に、今回は物價改訂を行わず、そうして旅客運賃値上げをするということでありますが、大体において独立採算制が堅持せられております。前のときには、なるほど旅客運賃赤字の部分は一般会計から繰入れている。その建前には私は大いに反対しなければならぬ。今回は独立採算制をとつておりますがために、一艇会計から繰入れておらない。國民全体から申しますと、運賃は利用者が当然負担すべきものである。それを利用せないところの國民から、税金において取立てて、そうしてあたかも日本國民が、どつか自分らの負担でない方面から救われておるような感じを持つておるということを脱しまして、どこまでも利用者負担である。そうして利用せない者から税金で取立てることを一切やめたいわゆる独立採算制、依存生活、竹馬経済から今回は自立経済になつているということにつきましては、おそらく今回の値上げに対して國民魚は理解するだろうと思う。私は今回の値上げは、前の國会の当時の物價体系の場合において三倍半であつたのが、三倍半になつたのでありますし、その一倍分が今度の値上げだ、こういうことからずつと考えてみますると、決して不当なものではないのではないかという考えも持たれまするし、それによつて從前は、実際利用者に対して、利用せざる者から税金を取立てて、そうして負担をしておつたのであるが、これが今回利用者それ自体の力において、これをまかなつて行くということに、まつたく妥当なことであるというように私には考えられる。なお國会に出された説明書によりますると、十二万人にも及ぶ人件費を節約するというように書いてありましたがいこういう点から見ましても、今回の政府当局の出されました鉄道予算は、相当に思い切つて整理を断行をせられているように見受けられる点がたくさんあります。  なおいま一つ化物運賃を七割値上げするということが妥当だという御説明がございましたが、そういたしますと、約二百十億円ほどの増收になります。私はこれが一つふしぎなのでありまして、当局にこの点に対してお考えおきを願いたいのは、今回は独立採算制を堅持せられて、十数億の償却をしておいでになる。そこへ来て、なおかつ貨物運賃余裕が七割あるのであるという説明は、まことに矛盾している。貨物を七割上げるといたしますると、二百十億円といのが利益になつて現われて参るのであります。そういう建前で、二百十億円の利益があるというのを本則といたしますると、旅客運賃を六割上げなければならぬという理由は、國有鉄道の建前から見ますると矛盾している。かように考えられます。この点は一回御説明を受けたいと思つているのでありますが、しかし私の見たところでは、こういうように善意に解釈をしているのであります。貨物運賃を七割上げましたら、七割だけ増收になる、減收にならないという考え方に、私とは違う。相当の減收を來す、それがためにおそらく私は二割以上の減收をする。利益がそこから減るという見方をしておりますのと、もう一つ償却が非常に不十分だと私は考えます。今回は予算を見ますと、百五十億円といのが援助積立金から融資を受けられしまて、建設改良にまわしておられますが、少くともこの分くらいは、やはり営業利益から出なければ、私はほんとうの独立採算制とは言い得ないと考えるのでありまして、私の今回の予算に全面的に賛成いたしまするゆえんのものは、この貨物運賃値上げをすることが適正である、そうしてその利益金は、結局國有鉄道独立採算制を堅持せられる場合の、健全な経営上の償却に該当するものではなかろうか。こういう考え方からでありまして、この予算の立て方全体が、日本経済原則に基きまして、どこまでも自立経済という大きな建前から申しまして、小さい部分にはいろいろと難点がございますけれども、全面的な観察から申しますと、今回の政府当局の提案はまことに妥当のような考えが起されるのであります。
  28. 柄澤登志子

    柄澤委員 先ほどの滿尾委員質問に関連しているのでございますけれども、戦前に黒字でございました國鉄が、戦後赤字経済を続けているという理由につきまして、当初運賃値上げの御説明の際に政府委員から、日本インフレにその原因があつたということが強調されていたと思うのでございます。國鉄の買入れる物資、石炭にしても鉄鋼にしても、非常な値上がりを示して、物件費非常にかさんで來た。その例は明らかに統計にも現われておりまして、もうすでに皆様も御承知だと思うのでございますが、大体人件費と物件費の割合というものが、戦前と戦後ではむしろ逆になつておるのが、國鉄の状態だよ思うのでございます。その物件費のおもなるものは、このたびの國家全体の予算の点では、安定帶物価として、國民から税金を取立てた中から、多額の補給金、補助金を受けているものでございまして、この安定帶物資に対するところの補給金が、相当重い國民の税金の負担になつているということは、明らかな事実でございます。國鉄の買入れているところの、予算の部分を占めております物件費の中のこれらのものに対して、国鉄御当局國鉄納得の行くような、どういう予算の削減をなすつたか、交渉をなすつた、またこれらの物の購入の價格に対して、國営鉄道を守るために、いかなる御意見を持つておられるかというような点について、御説明願いたいと思うのでございます。  人件費についても、これは後ほどもう少し御質問申したいと思うのでございますが、國営鉄道というものを破壊せずに、少くとも補修をしながら、なお國民に対するサービスの点でも、あまりよくないということでございましたけれども、これらの点が今度の予算でで十分に行われるかどうかという点について、御質問し上げたいのでございます。
  29. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいま御指摘になりました経費の非常に増大した点は、もちろん物件費に非常な大きな原因があることは事実であります。それと何時に、やはり何と申しましても、人件費もどんどんと給與ベースが上り、また人員も相当の数に上つておる関係上、非常に大きなウエートを持つているということは、事実でございます。従つてわれわれの経営合理化の焦点は、まず第一に物件費の節減に向い、い、次いで人件費の節減に向つて行かなければならぬと考えるのでございます。その点から物件費の最も大きな部分を占めるのは、御承知のように石炭費でございます。この石炭費については、昨年度一年間を通じて極度にこれを節減する施策をとりまして、多い月には、その前年度に対して二〇%以上の石炭の節減を見た月もあるという状態であります。またその炭債については、これは山元の價格は一定いたしておるのでございますが、その後のいわゆる残炭公團等の取扱い費用等については、これは全体をプールして、その部分の中から國鉄に割掛けが来ておるわけであります。國鉄には由来山元で石炭を受取つて國鉄みずからの責任においてこれを運搬するという方針を採用いたしておりますので、そういつた割掛費用中の削減し得る分については、配炭公團と折衡を重ねて、これを減らして行く。これは当然のことと存ずるのであります。そういつた点をいたしまして、債格、数債ともに節減をはかつて行く方策を、本年度においても。なお徹底いたして行く所存でございます。なおその他の工事あるいは使用資材等の購入に関して、これは従来はいわゆる指名競争入札制度と申しますか、特定の経験、資力、借用十分な人の中から選んで、それらの人の中で競争的に入札を行わせて来たのでございますが、本年度からはその方式を一擲いたしまして、すベて公入札制度に、より、その中で最も質もよく、價格の低廉なものを購入し、またこれに工事を請負わしむるという方策をとつて行く。これは今後の実績にまたなければ、この成果は判明いたさないのでございますが、これを愼重に実施することによつて、私は相当の経費の節約をはかり得るのではないかと考えておる次第でございます。  これらの物件費に対する節減をいたすと同時に、また人員については、過去のおける最も能率を上げた時代を基くとも今日の日本人が必ずなし遂げなければならね能率であると存するのでありまして、その過去の最高能率を上げた年を基準として、これに必要な人員を算出して、この人員ももちろんその後労働関係法の改正等によつて増加いたらすべきもの、その他特殊の事情に基いて増加すべきものを見て、それ以外の人は多いと考えなければならぬ。それらの人を除いて、最高の能率を上げた人数を持つて仕事をして行かなければならぬ。これがいわゆる人件費の節減になる分でございまして、これを徹底をいたして行く。この両者相まつて経費の節減をはかつて行き、経営を合理化してやつて行こうというのが、本年度の予算の内容になつておる次第であります。  なお、そのやり方については、もちろんまだ確定せず、これから政府方針としてはつきりいたさなければならぬ部分も持つておりますけれども、大体の方針としては、そういつた方針によつて経営を改善して行く。そうしてその中で出ますところの経費をもつて、でき得る限り輸送合理化をはかり、輸送能力の維持はもちろんのこと、輸送の安全度の向上に努めて行きたい。工事経費等においても、金額は当初の予定よりはもちろん減少しておりますが、それらの考え方からいたしまして、軌條を更換するとか、あるいは防災設備を施すか、そういう経費は削減いたしません。また修繕費等においても、極度に削減することを控えまして、できるだけ先ほど申しましたように、そういつた輸送力の維持、それから安全度の向上いうことに全力を注いで参りたい所存でございます。
  30. 柄澤登志子

    柄澤委員 ただいまのは来年度のいろいろな資材についての御意見でございましたが、國鉄赤字の原因になつております物件費の間におきましての大きな部分を占めておりますものが、不用品として相当多額に拂い下げけられておりまして、それもしかも重要な石炭とかその他のものが拂い下げられているのでございます。この点につきまして、前に資材局長に御質問申し上げたのでございますが、資材局長はバーター制のセメントを購入するために、こういうようなことがあつたという御答弁でございました。ところがセメントが、またふしぎなことに拂い下げられているのでございます。こういうふうに、國鉄全体としてしての見通しのない不用品の拂下げが行われるといたします——今度二十四年度におきましては、十四億からの拂下げが計上されている。予算の中の十四億の歳入が、拂下げであるということを聞いておりますが、國鉄の財源の上にも、またそれが私ども國民全般の旅客運賃値上げというようなことに轉嫁されることになりますならば、相当重要な問題になると思うのでございます。それでこの点について、一方においてはセメントを買うために重要な石炭を安く相当多額に拂い下げる。一方においては、またセメントが同じ鉄道局から拂い下げられているというような矛盾につきまして、御質問申し上げたいのでございますが、どうしてこういうことが起るのでございましよう御答弁願いたいと思います。
  31. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 昨年度におきましては、そういう事実はなかつたと私は存ずるのではありますが、実は工事等を早くいたしますために、セメントもぜひ必要である。ところがそのセメントは石炭がないために、なかなか生産がはかどらないというような事情がございまして、いまして、一時鉄道の使用する雑用炭等をさきまして、これをセメント工場にパターとして出して、その数量に対應するセメントを確保したという事実は過去においてあつたのであります。その点をおそらく言われるのであろうと存ずるのであります。また同じく、それだけ苦労してとつたセメントを拂い下げておるというお話でございます。これもはたしてしからば、非常にふしぎなことでありますが、しからば、そのセメントをとる理由はどうかと、先ほどから申しましたように、輸送力の維持並びに安全度の向上に対して工事が必要になつて、参る。その工場にはぜひともセメントが必要なのであります。従つてその工事を急がせますためには、このセメントを支給材料として支給しなければならぬ。この支給材料が國鉄からいえば拂下げ——拂下げということは言葉は当らないのでありますが、結局その金は民間の請負業者からそのセメントの代金としてとるということになるので、あたかも拂下げのような形をとつておるにすぎない。そういう点でございまして、今申し上げたような事情でございますので、そこに何ら不正もなければ、矛盾もないと私どもは存じておる次第であります。
  32. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 この問題はちようど今回の全体の予算と同じような事情でございまして、予算全体の問題につきましては、予算委員会で討論いたしたのでございますが、國際的な信用なり、日本自立経済を絶対に確立して行く、こういうことのためには、どうしてもああなければならない矛盾であるという厳然たる事実と、この國際的な信用をつなぎ、同時に日本自立経済を維持して行くために必要だということの反面に、國民は当面非常に困る、こういう相反した矛盾であるが、大局から考えれば、絶対ああいう予算でなければならなかつたのだ。この鉄道運賃値上げにおいても、同じ性格を持つておるように思うのであります。これは独立採算制を保持していくためには、絶対こうなければいかぬので、さつき柄澤委員の論議の中にもありましたように、公正妥当であるということが運賃を定める條件に一つでもありますが、他面また四つの要件の中に、いわゆる産業の開発に資することや、一方独立採算を保つて行くということもその條件の一つになつており、そういう面から考えてみますと、どうしてもこの運賃値上げはやむを得ないのだ、こういうこともあるのであります、他面においては、非常に國民が当面困る、こういうことが、予算の全貌のように思うのでありますから、論議をたくさん賞していただくことは、たいへんけつこうでありますが、ここらで一度協議会を開くなり、お互いが議案を練つて来るなりいたしまして、しばらく時期をおいて、すでに決定をいたした予算のわく内で、さき申しましたようなある点を上げ、ある点を下げるというような技術的なやり方ができるのか、できないのか、そういうような事をよく練つてみて、経済方法——それこそいつか私が申し上げましたような超党派的な氣持で、最善の方法を練り上げて結論をつくる、こいうことが必要だと思われますので、ここらでしばらくそうした策を練ることの余裕を與えていただきたい、こういうふうに委員長に希望します。
  33. 稻田直道

    稻田委員長 本日は十二時を過ぎ、まさに一時であります。長時間にわたりまして皆さん方に非常に愼重審議をいただきましたことを、委員長はまことに深く感謝をいたします。ただいまの尾崎君のお話にも委員長は大体同感であります。それらの手記は委員長において今後適当にはからいたいと思います。何余の質疑は次回に移しまして、本日は質疑を打ち切らずに次会に譲ります。次会は大体定例日の明日とおぼしめされてさしつかえありません。いずれ公報をもつてお知らせ申し上げます。散会後理事の方はお残りを願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十八分散会