○加賀山
政府委員 鉄道といたしましては、公共企業体になりまして、独立採算制を達成して行かなければならないという段階に相なりますと、自然に極度に
合理化をいたして行かなければならない。これは当然のことだと思います。その経営の
合理化によりまして、経費もなし得る限りの節減をいたしまして、そうしてなおかつ必要とする経費につきましては、どうしてもいわゆる公正報酬の原則に基きまして、それは貨物なり旅客なりの運賃をも
つて支弁する。それだけの覚悟はみな持たなければならない。冗費を中に含んでおるとするならば、それをすぐさま運賃に持
つて行くということは、これは経営の責任に当る者としては、なし得ないことであるというように
考えておるわけであります。そうして
人員が多いとか少いとかという問題になりますと、これは当然に今後の業務量と
関係をいたして來るのであります。従
つて経営
自体だけから
考えるならば、業務量が減
つて来れば、なるべく從來はしなかつたような仕事、他に請負に出しておつたような仕事も、
鉄道自体の方で直営をしてや
つて行く。そうしてできるだけ従事員が仕事の能率を上げてや
つて行くことはもちろんでありますが、從事員が精一ぱいに働くということに努める。しかし機械化されまして、どうしてもそれ以上人を置くことが非常に不経済に相なりますれば、これは企業という性質から見ます場合には、どうしても
人員の
整理をいたして行かなければならない。これはまた企業経営という面から見れば、出て来る必然の結果だと存ずるのであります。
從つてこういうことから生じまする
失業というものにつきましては、もちろん私どもといたしまして、まず第一には國家全般の方策というものがある。また
鉄道は——ここで申し上げてはどうかと思いますが、退職時の退職金等につきましても、
鉄道本來の独特の特殊性を持つたものも持
つておりましたが、これも一つの対策の現われだと存ずるのであります。その他に、できることならば、仕事のできる人ならば、仕事を與えつつ生活の補給をいたして行く、こういう意味で、弘済会が全國的な組織にな
つております
関係上、最も適当であり、また最も便利な方策である。これはほかにはあまり見ないものでありまして、いろいろ弘済会についての誤解や非難を受けて参りましたが、しかし
鉄道の仕事の特異性から見まして、これは
鉄道從事員に後顧の憂いを持たせない上に重大な機関であるという観点のもとに進んでおります。これをも
つて米窪さんの言われますように、万全とは
考えておりませんが、極力これを活用と申しますか、機能を最大限に働かせることによりまして、
相当救済の実があがり得るものと
確信いたしておるわけであります。