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公述人(菱信吉君) 自治労連の菱でございます。
委員長さん並びに
委員の皆樣方に本日
公述の機会を與えて頂きましたことを厚くお礼を申上げます。尚私の発言は
労働者側の立場でございますので、午前中の全逓土橋
委員長の主張と相当同じ分があるわけでございますが、時間の
関係もございましようし、できるだけその点は省略して申述べたいと思
つております。最初に、今度の
予算の最大の部分である
給與改善費二百六十二億の基礎をなしておる五千三百三十円
ベースについてでありますが、これは土橋
委員長が申上げたように、從來
給與改善の枠外に
なつておりました石炭手当或いは寒冷地給というようなものが今度は枠の中に入
つて、この
ベースの中に含まれておる。又今度の
予算の
歳入面に現われておるのでありますが、約七十七億というものが我々にすでに支給されておらなければならん筈の
給與改善費の中で
節約額として出したものを見込んで
予算を立てておる。從
つてこれは当然我々全
官公廳の各
公務員の
收入になるべきものを
收入にしないで、それを
歳入の方に廻したということであります。ですから結局この部分だけマイナスに
なつておる。更にこの五千三百三十円は税込でございますので、これらの金額を差引きますと、結局五千三百三十円とはいいながら、その正味は四千二百四十円なのであります。我々は八月の手取金額として御存知のように七千三百円を要求しておるのでありますが、この五千三百三十円の正味四千二百二十円を前の三千七百九十一円の
ベースと比較いたしますと、三千七百九十一円の税引の手取は三千六百二十七円
程度になりますので、僅か一一六、一割六分の
増加に過ぎない。そのように今度の
ベースが
給與の改善ということを誇張に
政府は言
つておるのでありますが、極めて些少な、そうして現在のような進行するインフレの過程で、むしろ実質的の非常に
賃金の切下げになるものであるということは御了解願えると思うのであります。尚この五千三百三十円に対しまして、
人事委員会の方では六千三百七円ということを割出しております。
政府こはれを
予算に取上げなかつたのでありますが、この六千三百七円にいたしましても、先程申したように、我々の要求に比べますと非常に少い。そればかりでなしに、この六千三百七円の持
つておる
給與体系には我々は絶対反対であります。例えば
家族給が非常に大きい、現在の三千七百九十一円では、
家族手当が総体の一割一分を占めておるに過ぎないのであります。この
人事委員会案で行きますと、六千三百七円のもので行きますと、千八百七十五円でありますから、丁度三割、非常に大きな割合を占めておる。結局こういうようにして將來どんどん
家族持ちの職員を馘にして行く、或いはそういう者を使わないということにいたしまして、どんどん実質的には賃下げをやる。
官公廳にこれをやりますと必らず
民間もこれに見習
つて調子をとるわけでありますが、こうなりますと、全産業
労働者の
賃金が非常に大きな切下げを食うわけであります。そういうものを持
つて持
つておる。或いは地域給の
引上げでありますが、これもやはり現在
給與のプラス一割というものの支給を受けておる乙地が今度は丁種に下が
つてしま
つて何も貰えない。これ又実質的の賃下げであります。そういうようにこの六千三百七円には我々は反対であります。我々はどこまでも我々の要求である七千三百円の
予算を実施されることを切望しておるわけであります。尚今度の
給與改善費の中には我々が先に要求いたしました四月から七月までの
生活補給金二・八ヶ月というようなものについては全然考えていない。それから現在薄給で黙
つて赤字を背負いまして年末を控えての非常な苦しみをしておる。それで單に
官公廳の
労働者ばかりでなしに、それを
労働者も年末資金の要求をしておるわけでありますが、そういうものの財源というものについても全然考えていない。更にこれは又それも土橋
委員長が言われたのですが、寒冷地給、或いは石炭手当というものについても考えていない。又一説では多少考えておるのだということを言われておるわけですが、
予算面のどこでどのくらいの金額を考えておるのか我々には分らない。そういう考え方では我々いけないと思うのであります。やはり考えておるならばはつきり考えて貰いたい。そういうようなことで非常に五千三百三十円というものは低い、我々には納得のできない
給與である。而
ベース賃金であります。これが
ベースに
なつて、單にこの類が我々だけということだけでなしに、全産業
労働者、電氣も、石炭も、鉄鋼の部門も、すべての
労働者諸君に非常に安い
賃金を強要する第一になるという点に対しましても、我々は絶対に反対いたす者であります。
次に第二といたしまして、今度の
追加予算の中に、七割の便乘的な
終戰処理費以下の費用が計上されておるという点でありますが、これにつきましては午前の組合側の
意見と重複いたしますから申上げません。併しながらとにかく十一月二十日の閣議では大体三十億というように予定されておつた筈の
終戰処理費が、僅か一週間も経たないうちに、どういう理由であるか分りませんが、百二十億に跳上
つておるというようなこと、それから金額は些少でありますけれども、軍公利拂を含む
ところの公債費が二十数億計上されておるというようなこと、こういう点には非常に分らないものを感ずるのであります。とにかくこのような非生産的な、そうして放漫な
予算支出というものが、皆さん御存知のような大資本家なり、或いは高級官僚、或いは不腐した政治家というものの間で釀し出してしるああいうスキャンダルの源泉になり、ああいう者の物質的な基礎を提供するものでということになるのでありますから、この点はどうぞ嚴密に議員諸公が再檢討されまして、最小限の金額に止めるように御努力を頂きたいと思うのであります。
次はこの
予算が非常に粗雜なものであるということでありますが、その一例として各省
事務費の四十六億の点だけを申上げて置きたいと思います。これは聞く
ところによりますと、非常にこの
予算を急いで編成したために、各省から相当沢山の要求額が出ておるが、それを十分に檢討する暇がない、或る省が幾ら要求しておるが、大体どの
程度に査定すればいいのかよく分らない、そういう暇がないというようなことで、非常に大雜把な杜撰なやり方で四十六億というようなものを彈き出したというように聞いておるのであります。実際そうでなければ結構ですが、又我々よく
調べましても、この
内容が分らないとしますと、やはり噂されておりように非常に粗雜な
予算であるというような心痛がいたすのであります。このような杜撰な
予算をそのまま鵜呑みにするということは非常に
危險である。この点も十分に御審議を頂きたいというように考えます。
次に第四点としまして、この
予算の
歳入面ですが、これも四千四百十四億の省初
予算と同じように、大部分を大衆
課税に求めておるということであります。現在のこの補正
予算を加えました我々人民大衆の税
負担を一人
当りで見ますと、私の
計算では六千十円ということになり、一世帶に直しまして大体二世帶五人として、大雜把に直しまして約三万円、日二千五百円、このように現在大きな
税金を我々人民大衆が拂えるかどうか、実は先日の
東京新聞に、麻布の方の洗濯屋さんが非常に重い
税金を苦にして一家心中をした、子供を道連れにして自殺した、というような記事が出ておつたのでありますが、ああいうふうにまじめに中小業者がやはり
税金が拂えないので死んでしまうということは余程のことであろうと思うのでありますが、そういうようなとても拂い切れないような
税金の増收を見込んでおるということ、特に我々不都合と考えますのは、今度の
給與のはね返りと称しまして、勤労
所得税の増收を四十七億見込んでおる。これは全く矛盾しておるように思うのであります。我々としては、薄給の
公務員及び
労働者、
勤労者大衆に対する勤労
所得税、或いは
事業所得税の免税点というものをもつと
引上げなければいけないのであります。少くとも私としては二十五万乃至三十万ぐらいまで免税点を
引上げる必要があるというように考えるのであります。今の勤労
所得税の扶養
家族の控除の点から見ましても、現在は
家族手当が一人
当り二百五十円出ておるのでありますが、この現行の
給與の下で扶養
家族の控除が百五十円、今度は仮に
政府案の五千三百三十円を取るといたしますと、妻が六百円、その他の
家族が四百円、こういうように非常に
家族手当が増額に
なつておるにも拘わらず、何も税法は改正されずに同じような扶養
家族控除の低い百二十円
程度の額で控除するということを考えましても、非常に矛盾した感じを持つわけでありますが、こういう点からもいろいろ問題があると思うのであります。それから又これも御存じだと思いまするが、年末に莫大な
所得税の年末調整金というものを今度徴收することになるわけでありますが、実際五千三百円
程度の
給與ならば、本來我々が年末に貰うべき新
給與の差額は全部年末調整金の方に
税金として取られてしまう、それでも尚足りないということになりはしないかと思うのであります。こういうように勤労大衆から重い
所得税を取り上げるというようなこと、或いは年末調整金を取り上げるというようなこと、こういうような点に反対して、相当高い免税点を設け、年末調整金のごときは棒引にすべきであるというように我々は主張したいのであります。尚この
給與の
関係につきましては、この
歳入面につきましてはいろいろな点から問題が沢山あるのでありますが、時間の
関係もございますので、この
程度で先に進みたいと思いますが、尚今日我々全
官公の代表が、畫でありますが、佐藤官房長官に実は寒冷地手当等のことで面会いたしたのでありますが、そのときに官房長官の言明した
ところによりますと、
終戰処理費関係の労務費は、これはつまり三十億円であつたと思いますが、これが
終戰処理費の方と、それから
給與改善費の方と両方に組まれておる。つまり同じ
性質の支出が二重に組まれておるというような話があつたそうであります。これは何か特別な意図を持つたからくりであろうというようにも考えられるのでありますが、この点も是非お
調べを願いたいというように考えます。
次に、今度の
予算は我々
官公廳の
公務員に対する大量の首切りを前提にして組んでおるという点であります。先日の
政府の発表によれば、
國家公務員の方から三十五万人、
公團と
地方公務員の方から二十七万人という出血
整理を予定しておると、こういうのでありますが、我々は現在の條件下では絶対に首切り
行政整理には反対であります。從
つてこういう條件を持つた、こういう前提を持つた今度の
予算の根本的な建前に反対するものであります。午前中
行政整理についてはいろいろお話が出たのでありますが、我々の考える
ところでは、少くとも現在まだ戰災の復興なども遅々として進まない
状態であります。又中央、
地方を通じて
國民に対する何といいますか、サービスの改善といいますか、そういう随分必要な面があるわけです。その外鉄道、逓信等の改業部門では、非常に資材が不足しておる。或いは設備ががたがたに
なつておるということから、実際昔の考え方からいえば、こんなに要らなかろうというような
程度まで、やはり人が実際要る。そういう状況にあるということを聞いております。そういう点から、又現在の
官廳の仕事のやり方でありますが、確かにこれは非能率的で、例えば
アメリカの進駐軍あたりの仕事のやり振りと比較して見ると、この点はよく我々は分るのであります。たとえて言えば、これは
一つの何といいますか、非常に
事務の仕事の手
工業的なやり方といいますか、そういうようなやり方。
アメリカの方はいわば非常に機械化された段階で仕事をしておる、そういうような感じを我々は持
つております。非常に人手が沢山必要にならざるを得ないような條件で仕事をしておるわけであります。こういう点もやはり改善しないで、いきなり首を切
つて整理するというようなそういう無茶なやり方では、決して問題は解決しないのであります。又受入態勢の点にいたしましても、又更に退職
給與制度に対する極めて不十分な現状に鑑みましても、この條件下での
行政整理ということには絶対に反対いたしたいのであります。
更に次に、今度の
予算が非常に
地方財政を圧迫しておるという点を、我々自治体に職を置いておる者の立場として少し詳しく申上げたいと思います。
今度の
予算の
歳入面の方に、
地方貸付金の回收三十五億円というのが計上されておるのであります。聞く
ところによりますと、これは縣民税とか或いは市町村民税、こういう住民税を、今平均九百円でございますが、これを千円に
引上げて、そうして國庫に返させて回收するというのであります。自治体では何のために借金をしたかといいますと、これは昨年の暮から今年の春にかけまして、二・八ヶ月の補給金が出たのでありますが、あの財源、それから一月から実施されました二千九百二十円、その新
給與の財源、これを
地方公共團体が不自由しておりましたので、國が貸したのであります。これを今度回收しよういうのであります。一方に今度の
予算でも、百十億の
地方に対する配付税が計上されておるのでありますが、他方で、今申しましたような三十五億という回收を見込んで、而もそれを聞く
ところでは自治体に配付する配付税から天引きで、つまり差引いて渡すのだ、こういうように段取りを決めておるそうであります。甚だ我々は不都合であると考えます。現在順調に仕事が運びますと、今年の年末には約二十四億の配付税が、
地方公共團体に廻付される手筈に
なつておりまして、これが
地方自治体としては、非常に年末の金繰りの窮屈な時期を迎えて待
つているという実情でありますが、三十五億も回收され、而も配付税から天引きということでは、非常に大変なことになる。
地方自治体がいよいよ火の車になるように考えられるのであります。元來中央の
財政では、皆さん御存じのように独占資本家や或いは惡徳土建業者たちが掴みどりで山分けにするような経費、或いはそういう連中の非常に高い利潤を、或いはコミツシヨンのようなものを、どんどん補助する、補助するというような経費、そういうものを非常に沢山計上するのですが、肝賢な教育についてとか、民生というか、
國民のものについては少くしか計上しない。そうしてそういう仕事をどんどん
地方の自治体に押しつけているのです。そして仕事を押しつけるだけならまだいいが、肝賢の仕事をする財源を保証していない。
昭和九年の大分古いのですが、
昭和九年における内務省の
調査によれば、道府縣に対する委任
事務の割合は七割四分、市町村においては五割二分というような
数字が出ております。私の
調べました
ところでは、
昭和二十二年は
東京都で全体の仕事率の六割三分というものが、委任
事務であります。道府縣では大体これが八割
程度市町村では七割位に
なつていると思いますが、つまりそういうふうに非常に大きな割合の仕事をどんどん
地方自治体に押しつけておるわけです。
ところが今申しましたように、実際にその
負担は國がやらない。
ところで委任
事務の
負担が如何に自治体の財源を窮屈にしているかという点ですが、これを
東京都における
昭和二十二年度の小学校の建設費を例に取
つて申上げますと、これは御存じのように、半額は國庫
負担ということに
なつているのですが、実際には小学校を建てるのに、去年は坪八千円以上かかるというのが実情であります。八千円から八千五百円くらいかか
つているそうです。
ところが実際には文部省が補助するのはその半額ではなくて、三千円というような
計算でしか補助していない。私の
調べました
ところでは結局都の
負担が五千五百円、坪
当り五千五百円というものは都の
財政で賄
つているわけです。又学校
関係の物件費にいたりましては、恐らく九割
程度が私これは父兄の
負担に
なつているのではないかと思う。これは
予算がありませんから結局そうなる。それから人件費にいたしましても、実質的には一部分を父兄、PTAなんかで
負担しているのですが、非常に先生方が困
つているので、何とかしましようというので補助している、補給している、そういうような実情であります。
昭和二十二年度の委任
事務費の
負担を今例を挙げましたが、教育その他全部含めまして、
東京都では六十億に達しております。委任
事務のために必要な経費が六十億に
なつておりますが、これに対して國庫では僅か四十六%しか金を出していない。福岡縣の例を出すというと、委任
事務費の
負担が十二億四千万円になるが、國庫では五十三%しか
負担していない。こうなれば勢い財源がありませんから、自治分としては任事を繰り延べるか、或いはできるだけ年度始めに実施することを差控えて、年度末に出すか、或いは財源を一切
地方債に求めるということにならざるを得ないのであります。この
地方債も大体我々の大雑把な言い方になるわけなんですが必要経費を起債にして、大体どの
程度の
許可が下りるかと言いますと、大体半分、半額位しか起債の
許可が下りない。そのうちどれだけ現金化できるかと言いますと、その亦半分位しか実際には現金化されない。私の
調べでは十一月現在で
東京都では起債の枠を十三億九千万円すでに得ておる。つまり起債の
許可を得ておる枠ですが、そのうち現金化されておる分は二十九%、僅か四億円であります。こういうふうに非常に資金が極く僅かしかない。必要な額の大体四分の一
程度しか実際には資金化されない。而もその資金化も自治体の
財政は相当
地方の金融に依存しますので、
地方銀行の中小商
工業者等に対する貸出が圧迫を受けるというような事実も出ておるわけであります。それはどうでもいいのですが、とにかくそういうようなことで、非常に自治体の
財政が國の無茶苦茶な
財政の犠牲を一身に背負わせられて、その跡始末を引受けたような形に
なつて非常に苦しんでおる。こういうような事情にある現在、
地方財政に貸した金を三十五億今返せ、今それを配付税から差引くというに至
つては非常に無茶なやり方でありまして、
政府では一方で現金のようなああいう莫大な融資を余り返して貰う考えを持
つていない。今年の四月の一日の衆議院の
予算総会では、時の北村藏相が言
つているのでありますが、いよいよ返せなければこれは
予算的な措置にならざるを得ないだろう。つまりああいう莫大な復金融資の肩替りを
政府がやる、國がやる。我々人民大衆の出した
税金で賄
つてやろうと、そういうようなことを言
つておる。今の
政府の政策はどうか知れませんが、大体似たような考え方をお取りに
なつているのではないかと思う。にも拘らず
地方財政に対しては今申しましたような非常な飛んでもないやり方をして、
歳入歳出の辻褄を合せておるというのが実情であります。もともとこういうような乱暴な中央
財政の
地方財政に対する圧迫、或いは
負担の轉嫁という点は、その外
許可許可とか、或いは資材の割当であるとか、或いは補助金の交付というようなことと相並んで、中央の特権官僚の強い
地方自治体に対する支配の基磯に
なつておるわけですが、こういうようなやり方、そういうやり方の上に立つた
予算、こういうものはやはり余程愼重に御檢討を願
つて、例えば六三制の
予算とか、教員の
給與、或いは
生活保護費、更に我々
地方職員の
給與改善費というようなものは、全額國庫
負担にすべきであるし、又
所得税の配付税というようなものも、やはり相当増額する必要があり、そうして
地方財政の破局的な赤字
状態を何とかすべきであるというふうに私は主張したいのであります。
大分時間が少なくなりまして申訳ありませんが、最後に結論として、このように今の
予算は我々
労働者の
生活保障という点を全く考えていない。そうして半面少数の独占資本家の
利益にのみ奉仕するような精神で、建前で
予算を作
つておる。而も支出の大部分が
日本の
再建には余り役立たない非生産的な支出が多い。又実行面から考えましても非常ないろいろな面が予想され、実行困難で財源の不足という点についても、いろいろ皆樣方にも御
意見があろうと思うのですが、極めて怠慢であるというふうに考えるのであります。そうしてこの大きな
予算そのものがインフレを惡化させる、インフレを増大させることを或る
程度前提にして組まれておる。そうして大衆に対する
税金面その他の收奪がいよいよ強化される。こういうふうにどこからどこまであらゆる点から見ましても、何
一つとして我々の考えておるような点に触れていない、非常に
予算の
内容が一言で言えば反動的なものを持
つておるわけであります。最近よく経済の三原則ということを言われますが、我々は我々の要求しておる
賃金七千三百円の要求に含まれておる三原則を最後に申上げたいのであります。我々の
賃金の三原則は、先ず第一に
賃金は
労働者の最低
生活を保障して、明日又働くための
労働力を再生産するのに十分なものでなければならないと思うのであります。
第二には、現在のような状況下では、この僅かな
賃金から大きないろいろな形での大衆
課税をすること、これは單に
公務員、
労働者ばかりでなしに、例えば中小商
工業者、或いは農民層を含めての問題であります、勤労大衆に対する大衆
課税には反対であるということが第二であります。
最後に第三としまして、我々は
賃金を
増加させて貰いたいが、その財源として物價を
引上げる、その手段として物價や、運賃、通信料を
引上げて財源を調達するというようなやり方には反対である、やはり先ず第一に独占資本家や、闇インフレの利得者から巨額の不正利得、祕密利得を先ず十分に吐き出させて、つまりそれによ
つて財源を調達する、そうして首切りやそんなことで
歳出を何とかしようというような財源の捻出の仕方、そういつたものには反対であるということであります。いろいろ申上げたわけでありますが、どうぞ今度の非常に矛盾した不合理な一夜漬けの粗雜な
予算は是非返上されまして、愼重に皆さんの御檢討を願いまして、我々の主張する
予算を御編成なされまするように、切にお願いするものであります。大変時間を長く頂戴いたしましたことをお詑び申上げます。