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中西功君 私は日本共産党を代表てこの法案に
反対するものであります。
今岩
開議員が述べられましたごとく、今日の
政府職員の窮状は正に言語に絶するもがあるのであります。我我が直接、接しておる面におきましても、殆んど毎日のように、この國会に実に激しい
陳情が彼ら自身によ
つてなされております。給料袋を今日においては一ケ月二つに分けて、而もその中から交通費を引くならば殆んど残
つていない、これが今日の
政府職員の
現状です。どうして彼らたちがこの窮状を打開しておるか。一つは僅かにある
超過勤務手当、そうしたものによ
つて非常に激しい労働強化をやつたり、或いは実際に種々の内職を行
つておる。或る場合には実に言うに堪えない忌わしい職業までや
つて、僅かに露命を繋いでおるというのが
政府職員の、特に下級
職員の本当の姿であります。これに対して早くから
改善の声が叫ばれておつた。そういう中にお
つて、
政府が元々出したところの五千三百三十円案、その精神はこの度の
修正案の中においても全部貫いておるのであります。今出されておる野党の
修正案は、岩
開議員が言われましたごとく、正に羊頭を掲げて狗肉を賣る類でありまして、
政府委員がはつきり申しておるごとく、五千三百三十円案と実質において何ら変りがないのであります。この五千三百三十円案を吉田
内閣が出すに当りましては、わざわざ人事
委員からの別の勧告があつたにも拘わらず、無理にこれを出したのでありますが、果して如何なる根拠からこれ程無理をして出したか。決して財源がないのではない。專ら吉田
内閣が堅持しておるところの低賃金政策の根本からこれは出とおるのでありまして、それは我々の許に届けられておるところの、各
民間の資本家
團体から六千三百七円案に対する激しい
反対、これが吉田
内閣の根本精神であります。(「違う違う」「ノーノー」「その通り」と呼ぶ者あり)それがこの低賃金政策、特に日本の独占資本家の止めに、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)勤労大衆を餌にしても構わないという、(「遅い遅い」と呼ぶ者あり)この精神によ
つて五千三百三十円案が作られたのでありますが、この五千三百三十円の案を一体我々は如何に批評したらいいのか。私は思うのに、これは泉山法案と言つた方がいいのではないかと思うのであります。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)日本國会始まつで以來、(「脱線するなよ」と呼ぶ者あり)曾てない醜態をさらしたところの、そして又曾てない貧弱な小物を集めたところの
内閣、最近において出現したこの五千三百十三十円案に対しては、何ら一つだ
つて合理的な基礎を求めることができない。そういうふうなこの案、(「何だこの案とは」と呼ぶ者あり)これは正に不逞な法案と言
つてもいい。(「そうだ」ど呼ぶ者あり)正にこれは、(「降りろ」と呼ぶ者あり)白痴の法案と言
つてもいいものだ。とれが五千三百三十円案なんだ。
更に二十日の時間を費して、そうして今日でき上つたところのこり
修正案、決してこれは六千三百七円案ではない。而もです、この時間を空費して一体與えたものは何であるか。明らかに労働強化である。而して首切りである。実質において、今日まで
政府職員が無理して、
超過勤務手当を稼いで、やつと露命を繋いで來だ。この
現状をただこの法案の中に記しただけである。これがこの法案泉質である。我我は一体この野党なるものの
修正案を一体どう表現したらいいのか。どう言つたらいいのか。(「止めろ」「そうだ」と呼ぶ者あり)これは正にインチキ法案だ。([インチキとは何だ」「その通り」と呼ぶ者あり、その他
発言する者多し)このようなインチキ法案を作るために、実質的に何ら変りのない法案を作るために、今日まであのような騒動をして來ている。(「
修正案を出したらよい」と呼ぶ者あり)これこそ、これこそ私はあの不正腐敗の根元をなしたところの芦田
内閣の正統を継ぐものだと思うのであります。(「宣傳々々」「中西君の專門」と呼ぶ者あり、その他
発言する者多し)
ところで、(「これは本論だ」「何が本論だ」と呼ぶ者あり)私は公務員法の問題に関連して述べたい點は、このような法案を作るところの
人々が、結局において公務員法の制定から來ているということであります。多くの
人々は、公務員法を作つたからには、人事をよくする、給与をよくするというようなことを言いますが、全く逆であるということが極めて明瞭にここに示されておる。公務員法を作るが故に、そして労働者を鉄鎖に縛り付けるが故に、このような目茶苦茶な法案が出せるのであり、同時に又出すのであります。こういうことが極めて明瞭に
なつたと思うのであります。更にこの一月近い
審議を通じて、私たちが明瞭に知つたことは、更に日本の國民がはつきり知つたことは何であつたか。それは如何にも日本の保守政党初め、それに喰い付いておるところの
人々が、如何にも自主性がないということである。(「そうだそうだ」「お前は自主性があるのか」と呼ぶ者あり)実際に日本の國民は今日実に情けなく感じていると思う。(「もういいもういい」と呼ぶ者あり)何という、とにかく情けない状態であるか。(「もつと意味のあることを言え」「泣け泣け」と呼ぶ者あり)日本の國民は、このような指導者に導かれて行く道が実に破滅の道であるということを、今
日程痛切に知つたことはないだろうと思うのであります。今日の日本の勤労大衆は、このような自分たちの不幸が、窮乏が、そもそも何から來るか、(「共産党からだ」と呼ぶ者あり)それはこのような何ら自主性のないところの、何ら見識を持たないところの、そういうふうな指導者によ
つて指導されるが故に、このような不幸が來ているということを、今日はつきりと、つくづくと腹の底から知つただろうと思うのであります。併し実際において今日全官公を初め日本の労働者階級は、この五千三百三十円では食えないのであります。そして又食えないが故に、意図されているところの
生産増強も絶対できないのであります。そして又このような方向で日本の政治が進む限り、日本の勤労大衆の不幸、そうして悲惨な運命は決して解決されないということを、彼たちは恐らく次の総選挙において、はつきり日本の政治家たちに対して返答するだろう。(
拍手)日本の労働階級は今やはつきりと知
つている。又知らなければならないと想うのである。(「もす分つた」と呼ぶ者あり)それは彼たちの不幸が一体どこにある、このようなだらもしのない、実に自主性のないところの指導者によ
つて(「時間が経つだけだ」と呼ぶ者あり)指導されているが故に不幸なんだ。我々日本共産党は、(「それは街頭でやれ」と呼ぶ者あり)ここで僕が言うことが分からんから、こういうものに
賛成するのだ。而も
賛成演説一つさえできないのだ。私は日本の労働階級を中心とする勤労大衆が、必ずや自分たちの不幸がどこにあるかということを、はつきりと次の総選挙において(「それはいかん」と呼ぶ者あり)明瞭に実現することを切に期待し、我々日本共産党はこの法案に断然
反対するのであります。これを以て私の
反対理由といたします。