○稻垣平太郎君 私はここに民主党を代表いたしまして、
総理大臣並びに
大藏大臣、
安本、商工の諾大臣に対しまして、経済問題について
お尋ねをいたしたいと存ずるのであります。
吉田
総理が老体を挺してこの難局に当られ、日夜孜々として御努力にな
つておることに対しては、私は深甚なる敬意を表するものであります。(
拍手)(「ときどきは抜けるよ」と呼ぶ者あり)我が党は徒らに反対せんがために反対をするものではありません。飽くまでも健全なる野党として、是を是とし、否を否といたしまして、徐ろに冷静なる批判を加えたいと存ずるものであります。(
拍手)今日我が國が最も切実に要求いたしておりますところの関心事は、先程田村君から
お話になりましたように、できるだけ
講和條約を早く
締結いたしたい、同時に又できるだけ早く経済の再建をいたしたいということであります。この点につきましては我が党においては、これがために暫く野党は
イデオロギーを棚上げして、すべてが手を握
つて難局に対処すべきである、挙國連立の構想に行くべきであるということをかねて論じてお
つたのでありまするが、この点に関しては不幸にして同調を得られなか
つたのは甚だ遺憾とするものであります。併し今日私はこの問題を論じようとするものではありません。暫くこの点は論外といたしまして経済再建についての根本理念についてお伺いしたいと存ずるのであります。
民自党の経済問題に対するお
考え方は結局重商主義的な立場をおとりにな
つておると存ずるのであります。先般衆議院におきまして我が党の北村君に対する大屋
商工大臣の御
答弁を承わりましても、純自由主義的な立場をと
つておられると存ずるのであります。もとより
社会主義的政党がマルクスの唯物史観を出発点といたします以上、結局は勤労者的の階級闘争を第一義的にお
考えになることはこれは勿論でありまして、同時に社会全般の利益、社会公共の福祉についてはこれを第二義に
考えられるものと私は存ずるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これに対して純資本主義的立場をおとりになる政党は、資本主義の私的所有と社会
生産の問題に対して冷厳なる批判を加えらるべきものであろうと存ずるのであります。私は今日現代においては、特に再建途上におけるところの現状におきましては、資本主義的立場をとられる政党は結局これ亦資本家を基盤とするところの階級鬪爭を第一義的に考慮され、社会公共全般の利益というものはこれを第二義的に考慮せられるものと断ぜざるを得ないのであります。ここにおいて我が党におきましては、かねて社会全般の利益、公共の福祉を目標とせる社会連帯の理念に基く修正資本主義を提唱いたしておるのであります。(笑声)即ち我々は資本主義を出発点といたしますが、それは社会全般の利益、公共の福祉に抵触する場合には、社会連帯の理念においてこれに制約を加え、或いは
生産経済において或いは分配経済におきまして、計画性を附興するということを必要と信ずるものであります。即ちビツグーの原生経済学のいわゆる
生産の増大、分配の公平、所得の能率的均等化の三原則に基く経済
政策を採用せんとするものであります。(
拍手)殊に今日の経済危機の現状においては、この
方策にあらざれば到底
日本経済の立直りは不可能なりと固く信じておるものであります。(
拍手)
総理においては
地方大会等の
演説会におきまして、しばしば修正資本主義はナンセンスだとか、或いは「ぬえ」的議論だというようなことを唱えられておるように新聞紙上で承わ
つております。果して然らば本員の甚だ遺憾と存ずるところであります。
次に現状における
日本経済は占領下の経済であり、
外資導入に依存しなければならない経済であります。
從つてその経済敷策も占領
政策の指向するところの一定の方向に同調せざるを得ないと存ずるのであります。故に我々は占領軍各國の動向を正確に把握することが必要である、又同時に十分に
海外の情勢を熟知することが必要であると思うのであります。これまで日歩人は往々にして
海外の情勢を無視し或いは
海外の動向に不案内であ
つて、徒らに國内感情にのみ囚われて、その結果が彼の支那事変を惹起したのである。続いて大東亜戦争に突入して今日の不幸を招いたのだと私は存ずるのであります。それでありまするからして、この不幸なる大賭博を再び繰返さないということが必要であろうと存ずるのであります。今回の
米國の大統領選挙におきまして民主党が勝
つたということは何を物語るのでありましようか。私は米
國民の多数が、純自由主義的立場に立
つておるところの共和党を支持するようも、中正なる
政策を行わんとする民主党を支持したことを意味すると存ずるのであります。(「その
通り」と呼ぶ者あり)又同時に戰後の
国際経済の一環としての
米國の賢明なる
政策の現われであると私は固く信じておるのであります。(
拍手)
そこで私が首相に
お尋ねいたしたいことは、
日本経済再建問題について、私は
一つには社会連帶理念による修正資本主義的施策にあらずんば今日の経済危局は到底救えないのではないかということが第一点。同時に、
海外情勢を正確に把握し、占領
政策の指向する一定の方向に進むべきものであり、この枠を逸脱してはならないのではないか、こう
考えるのでありますが、これ場に対する
総理のお
考えを拜聽いたしたいと存ずるのであります。
次に、
総理に対してお伺いいたしたいのでありまするが、経済
政策に対する
総理の御態度について伺いたいのであります。一昨日の本議場における
泉山長官の御
演説、経済並びに
財政施策に対する御
演説を拜聽いたしたのでありまするが、或る部分を承わ
つておりますというと、これは我が党の
政策を述べておられるのではないかな、こうい
つたようなことを実は感じたのであかます。(
拍手)このことは、
民自党は野におられる時は、或る場合反対せんがための反対、又人氣取り的の
政策を呼号せられてお
つたのでありますが、一朝政局を担当せられますや、占領下の経済的枠内においては、かねて我が党が主張いたしておりまするところの
政策に近寄らざるを得ないのだということを立証いたしたものと私は存ずるのであります。(
拍手)かねて
民自党が発表されておりましたところの十九
政策、私はこれは共感いたしております。私は賛成であります。ただ併しながら、その賛成には
條件が付いておるのであります。苟も公党として
政策を発表せらるる以上は、一度朝に立てば即時これを実行に移すだけの確信と用意がなくてはいけない。ただ思い付きを羅列したのだ、ただ人氣取り
政策を放言したのだ、実行できるかどうかは保証の限りに非ずとあ
つては、公党の面目いずこにありやと言いたいのであります。一昨日の御
演説の中にも、かねて御発表の
民自党の緊急決議たる生鮮食料品の
統制撤廃、料理飲食店の再開、尤もこの点については料理というところが大衆という字に変
つておりますが、とに
かく、そうい
つたように、或いは米麦供出後の自由販賣ということについては、時期と
方法を考慮中だと言
つておられます。
又食糧需給の推移とも見合
つてと、こう述べておられます。又
取引高税の
撤廃については、これを廃止するという根本方針には変りがないのであるが、その実施の時期並びに代り財源については引続き研究を進めておると、
言葉巧みに逃げておられるのであります。
取引高税廃止については、
民自党は前臨時
國会前、その早期開会を要望せられまして、山崎猛君以下百三十余名の連署を以て十月一日臨時
國会を開くべしとなされ、そのときに
公務員法並びに
取引高税廃止の法案を提出される用意があり、而もそれには代り財源の用意もあるということを言われてお
つたのでありますから、政局担当と同時に直ちにその提案をなさるべきだと信ずるのであります。
〔議長退席、副議長着席〕
又生鮮食料品の
統制撤廃、料理飲食店の再開、米麦供出後の自由販賣とい
つたものは何ら法的措置を要しないのでありますから、政令によ
つてこれを直ちに実施できるのであります。
從つて公約を尊重する建前から申しまするならば、組閣後直ちにその実施に着手されて然るべきではないかと思うのであります。若し近い將來これらの事柄が声明
通り実施せられないという場合になりまするというと、
民自党の在野時代の御声明は徒らに空論である、徒らに人心を煽動するものである、或いは
國民を欺瞞するものであるということになりまして、公党として我々は甚だ遺憾に存ずるのであります。(「その
通りだ」と呼ぶ者あり)併しながら本員は敢えてこの問題を取上げましてその責任を追及いたそうといたすものではありません。なかなか
一つの政局をお引受けになるというと、いろいろな困難があるものでありまするから、敢えてこれを追及いたすものではありませんが、ただ
総理大臣にお伺いいたしたいことは、これら
民自党の在野時代に発表せられた
政策が、政局を担当せられました今日、直ちに実現し難いということを率直に認められまして、而もその
政策の変更を余儀なくせられたゆえんを公党として国民に声明せらるることが、かねて吉田
総理が提唱せられておりましたところの民主政治確立の根本理念に合するのではないか、こう
考えるのであります。(
拍手)その点について
総理の御所見を承わりたいと存ずる次第であります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
次に、補正
予算について
大蔵大臣にお伺いいたしたいのであります。一昨日の本議場の御説明に
当りまして、
総理は健全
財政の方針を堅持すると述べられております。又
泉山蔵相は、第一に、一般会計及び特別会計を通じ収支の均衡を保持するのだ。第二には、
鉄道運賃、通信
料金の改訂その他一般物價に影響を及ぼしインフレーシヨンを促進するような歳入に財源を求めない。第三には、
財政資金全体の規模が
國民負担の現状から見て苛酷に亘らない範囲に攻める。このようにして補正
予算を編成したと述べておられるのでありまするが、併し今回の
予算が果してその健全
財政の目的に副うて実行せらるるや否や、私は甚だ疑いなきを得ないのであります。
政府は今回の
予算を編成さるるに
当りまして、財源を税の自然増收に求めておられる。これは先般の物價改訂によりまして、
國民総所得が五千億円の増である。いわゆる総所得が二兆四千億円に達するので、これに対する自然増收を計上されたものだろうと
承知いたしておるのでありまするが、過般芦田
内閣の
予算審議に
当りまして、
鉄道運賃逓減の代り財源といたしまして約百五十億円の
所得税の増收を見込んだのであります。あのときは我々は
鉄道運賃の値下げに反対いたしたのでありまするが、とに
かく、それが協定が成りまして、約百五十億円の
所得税の増徴を見込んだのであります。すでにこのときに水膨れを第一にや
つておる。(笑声)然るに、現在すでに税收は限界点を超え、徴税成績も甚だ芳しくないと存じておりまするのに、尚この上に
所得税收を見込むということは、果してこれが確保できるかどうか私は甚だ疑いを持
つておるものであります。先程も申上げましたように、
泉山大藏大臣は、
財政の健全性とは、一般及び特別両会計を通じ実質的に收支の均衡を保持することでなければならんと、かように指摘されておるのでありまするが、かかる水増し歳入によ
つて果して実質的に收支の均衡を保持せられることができるかどうか、これは私は非常な疑いを持
つておるのであります。若しこれを実質的に収支のバランスができるように税を徴收するということに相成りまするならばただでさえ今やその
経営の存続の危殆に瀕しておるところの中小
工業は殆んど軒並みに私は倒れてしまうであろうと思うのであります。又大
企業におきましても、恐らく資本の蓄積はできぬばかりでなく、その手や足を「たこ」的に食
つて、そうして税を拂
つて行かなければならん
状態に相成ると思うのであります。それでは
民自党が、又我々が申しておりますところの
生産増強は如何にしてこれをすることができるか、これは私はよくよく
考えて頂かなければならんと思うのであります。そこで、かようになされますというと、いわゆる
泉山藏相の第三の
條件として、
財政資金全体の規模が
國民負担の現状から見て苛酷に亘らない範囲で收めるという原則に対しては、これは全く相反することに相成ると思うのであります。この点については、今私は御当局においても十分認められておるのではないか、ただ在野時代に御主張なす
つたその御主張に制約されて敢て個の方途を選んでおられるのではないかということを私は思うのであります。即ち前
國会の
予算審議に
当りまして、
民自党では旅客運賃は当時の
政府案の三倍半に対して二倍、こういうことを主張され、且つ貨物運賃は三倍半に対して三倍、通信
料金は四倍に対して二倍半と、かように唱えられております。又煙草の値上に対しても反対されております。かようにいたしまして、あちらこちらに壁を
作つておられる。みずから壁を
作つておられる。そこで自分が作
つた壁があちらこちらにありまして、それに縛り付けられております。そういうことで、今日收支のバランスができるかどうかということはよくご
承知でありながら、尚且つ
大藏大臣がかような
予算を編成されなければならなか
つた。これは新聞の傳うるところでありますから、どうもよく存じませんが、大藏省案としては
鉄道運賃の値上を財源として計上されておる、併しながらこれが與党の反対に会
つてこれを止められた。こういうことでありまするが、併しこれでは本当に健全な
財政はできないじやないか、私はどうしてもこの際
大藏大臣が勇氣を奮
つて、そうしてこの際在野党時代の主張に拘束せられることなく、
日本経済再建のために実質上の健全
財政を打ち立てられることを私は熱望して止まないのであります。(
拍手)この点について私はそのお
考えがあるかどうかお伺いいたしたいと存ずるのであります。
次に
統制の問題について
安本長官に
お尋ね申上げたいのであります。
民自党におきましては、
統制を大幅に解くと、かように言
つておられるのであります。この
統制は代一次
吉田内閣時代に始められまして、その後、片山
内閣時代にいろいろな規則によ
つて強化せられ、そうして芦田
内閣に及んだのでありまするが、まだ全
統制品目を大分類いたしまして千二百種、小分類にいたしますと約六十万に亘るところの
統制品目があります。そのうち芦田
内閣時代に、お茶でありますとか、或いは高級魚でありますとか、果物でありますとか、いろいろなものを大分類にして約百余種を解除いたしたのであります。の三面から取り上げられたかと思うのでありまするが、もとより需給
関係が見合
つておるとか或いは又緊急物資にあらざる実益に乏しい
統制品でありますとか、
統制の技術的困難なもの、或いは他の
方法により
統制の実益を挙げ得るもの等については、
統制は即時
撤廃することに私は異論がないのであります。それのみならず社会的明朗性の回復、流通の社会化、又
生産増強の面よりいたしまして、進んでできるだけ早く
統制は
撤廃すべきものだと私らも
考えておるのであります。ただそれには解除の段階と時期について考慮することが必要だと思うのでありまするが、ここで私は
安本長官に
お尋ねいたしたいことは、第一に民生安定に必要なる物資、即ち
生活必需物資にして、上記
統制撤廃の
條件に適合せざるが如き品種に対しても、今直ちに
統制の枠を止めようというのであるかどうか、いわゆる大幅解除の意味をそこまで拡めているのかどうか、その点をお伺いいたしたいのであります。もしそこまで拡めるということに相成りますると、いわゆる社会全体の幸福のためにそこまで行かれるかどうかということが疑問にな
つて來ると思うのであります。
第二に、
統制を解除した場合に、そのままには放置できないと思うのであります。或る場合にはそのままに放置できない。そこで解除物資に対して、買溜めなり或いは又投機なりそういう問題に対して、何らか禁止的な法の処置を必要とするのではないか、かかる禁止的な法の処置に対する御用意があるかどうかということをお伺いいたしたいのであります。
第三には、
企業の自由ということが原則として認められておる
関係上、殊に中小
工業におきしては、終戰後殆んど中小
工業の
企業数は約倍以上に亘
つておるのではないかと思うのであります。かように中小
企業が多くな
つておる際、この際にすべての
統制が
撤廃されるということに相成りますると、却
つて中小
企業においては
一つの困難が起
つて來るのではないか。さような時でありまするから、今後いわゆる
企業に対する許可について何らかの
制限的措置を必要とするのではないか、いわゆる
統制の整理というものに関連して、私はこの三点についての措置がおありかどうかということについて御
答弁を得たいのであります。
次に大屋
商工大臣にお伺い申上げたいのであります。この前、大屋
商工大臣が衆議院で、一にも
生産、二にも
生産、三にも
生産とおつしや
つております。私全く同感であります。そこで、これに関連して技術、原料、
資材、こうい
つた面において、民間外資の導入が一日も早く具現されるということは
産業界のひとしく要望しておるところでありますることは、
産業人としての大屋君もよくご
承知のことだと存ずるのであります。
日本におけるところの科学或いは機械その他の技術におきましては、戰時中殆んど足踏み
状態であ
つて、この間、他の國におきましては、アメリカあたりにおきましては長足の進歩をなしておる。
從つてその間の技術上の開きというものは十年或いは二十年以上の開きを生じたのではないかと、かように推測させられるのであります。例えば私が
関係いたしておりまするゴム
工業について申しましても、ゴムの出るロールの機械が從來九人かか
つてお
つたものが、向うは一人でや
つております。九倍の能率でや
つておる、こういう
状態であります。
從つて今日
貿易振興を非常に唱えられておりますけれども、こうい
つた情勢で、
國際貿易場裡の競争に立
つて果して我々がこれが競争に堪え得るかどうか、力を持
つておるかどうかこれは甚だ一見明らなこかとでありまして、到底これらの競争はや
つて行けないのであります。それでありまするから、我々は一日も早く
米國業者との資本提携によ
つて技術の導入を図らねばならないと思惟するものであります。又加
工業者としての
日本産業は、民間外資の形に起きまして原材料の
輸入を得るにあらざれば、到底
生産の増強は期待し難いのではないかと存ずるのであります。民間の
外資導入の形は、結局
日本経済の再建に役立つところの機械、設備、原料、技術等を提供し、又それに伴
つて経営に参加するために
資金を投下する場合と、
日本の
工場設備を加工のために利用し、原料、
資材を提供する回轉基金設定の場合に分けられ得ると思うのであります。然るに目下いろいろ民間
外資導入の噂はよく耳にするのであります。あそこにもできた、ここにもできたというのでありまするが、実際は一向実現されていない。何故実現されていないかというとこれを阻むものは、要約いたしますると次の諸点にあるかと思うのであります。第一には、
講和條約未
締結の今日においては、導入されたる外資に対してその契約の履行、実施につき不安があるということ、第二には、独禁法集排法等、諸
統制法規に対するところの問題、第三には、
外資導入会社の資産の貨幣價値と導入される外資の貨幣價値との
調整問題、第四は
為替レートの問題、第五は労働不安の問題であります。右に対して
商工大臣は、民間
外資導入助成法とも、いうべき民間
外資導入促進の法案を準備されるお
考えはないかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。私は右法案において先ず用意されなければならないことは、先程の障碍であるところの第一の問題に対しては、
外資導入は許可制といたしまして、許可せられたる外資に対しては、その契約履行実施に関して
政府がこれを保証することにしたらどうか。又第二の問題に対しては、
政府は速かに独禁法を改正し、又諸種の法的
制限措置に対しての手当をしなければならない。又外資受入
会社に対しては、集排法或いは賠償措置等の未済の所に対しては、これを優先的に処理するという措置を取らなければならん。こうい
つた問題に対して研究する必要があるのではないか。又第三のいわゆる
外資導入に対しまして、受入
会社との資産の
調整の問題、これはいわゆる受入
会社は、インフレ前の、
終戦前の貨幣價値によ
つて記帳されております。その帳簿
價格と今回導入されるところの外資との貨幣價値とは非常な差がある。これでは体受入
会社は到底外資の導入はできないのであります。
從つて受入
会社にはその資産の再評價を許すか、或いは一定の貨幣價値の基準を設けまして、そうして
一つのレートを決めるということをいたしまするか、いずれにいたしましても、私は外資受入の民間
会社に資産の再評價を認めるという法的措置を取る必要があるのではないか、かように
考えるのであります。次には、第四の
為替レートの問題でありまするが、これに対しては、私は尚レート自体について、
民自党においては單一レートを近い将來に実施するということを
お話にな
つておるのであります。單一制がいいか、複数制がいいか、これは大いに問題がありまして、私は今日單一制を直ちに実施するということは時期尚早ではないかと思うのでありますが、この点は今時間がないようでありますから、この点についての論議は省きます。そこで
為替レートの問題、その次に先程の最後の労働問題、これはある一定の労働協約の中に特殊の例外を設ける、こうい
つたようなことを規定することが必要ではないか、かように
考えるのであります。以上述べたことく、本員は民間
外資導入につきまして何らかの助成法案を至急お作りになる必要があると信ずるのでありますが、この点について
商工大臣の御意見を伺いたいと存ずるのであります。
尚、
商工大臣は
生産資材と消費
資材に対して、消費
資材に重点を置くんだというようなことを新聞などでお伺いいたすのでありますが、これに対して私はやや反対の意見を持
つておるのでありまするけれども、先程からもう時間がないようでありますから、これは又後日改めてお伺いいたすことといたしまして、私の
質問演説はこれを以て終ります。(
拍手)
〔
國務大臣吉田茂君
登壇、
拍手〕