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1949-01-10 第4回国会 参議院 法務委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年一月十日(月曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件檢察及び裁判運営等に関する調査  の件(昭和電工事件に関する件)   —————————————    午前十一時三分開会
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより法務委員会を開会いたします。檢察及び裁判運営に関する調査会証人調を昨日に引続きいたします。  各証人のお方に申上げますが、証言をお願いたす前に、宣誓書を各自朗読して頂きます。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 石井 春朗    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 中島 忠之    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 水池  亮    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 入江誠一郎    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 砂原 季也
  3. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では、砂原さんからお尋ねいたしますが、その外の方はあちらでお待ち願いたいと思います。    〔証人砂原季也君着席
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 砂原季也さんですか。
  5. 砂原季也

    証人砂原季也君) はい。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は‥‥。
  7. 砂原季也

    証人砂原季也君) 三十四でございます。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御住居は呼出状を差上げた所でございますか。
  9. 砂原季也

    証人砂原季也君) そうでございます。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御経歴の簡單なことをお述べ願いたい。
  11. 砂原季也

    証人砂原季也君) 十六年に東北大学の法部学部法科を出まして、三菱鉱業に入社いたしました。二十一年の六月か七月かはつきり覚えはありませんが、右退社いたしまして、八月頃日本水素に入りまして、二十二年の三月に日本水素を辞めまして、昭和電工に入りました。入りましたのは四月であります。昭和電工社長秘書を勤めて現在に室つております。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十二年ですね、昭和電工は‥‥。
  13. 砂原季也

    証人砂原季也君) 二十二年です。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時社長日野原さんですか。
  15. 砂原季也

    証人砂原季也君) 日野原社長は三月末か四月頃に昭和電工社長になりました。私は一緒に参りました。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御一緒つたのですか。
  17. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今昭和電工におけるあなたの地位は秘書でございますか。
  19. 砂原季也

    証人砂原季也君) 秘書でございます。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秘書課長でございますか。
  21. 砂原季也

    証人砂原季也君) あすこは課がございませんで、社長室となつておりますから、社長室責任者でございます。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仕事内容は‥‥。
  23. 砂原季也

    証人砂原季也君) 仕事内容は、社長重役の庶務的な事項、それから社印社長印の保管、その他会社関係禀議書処理というくらいなことになつております。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あと、他の一般の通俗にいう秘書という仕事以上のことですか。
  25. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは会社における、どの会社にもあります秘書と同じことだと思いますが‥‥。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこの責任者ですね。
  27. 砂原季也

    証人砂原季也君) そうです。
  28. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御承知昭和電工の融仕を繞つて、いわゆる不正事実とか言われておりますが、その問題が業界及び國会官界方面にいろいろの疑惑の眼を以て見られるようになりましたが、それはいつ頃からですか。
  29. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつといつ頃か記憶はつきりいたしませんが、新聞出版物にそういうことがちよちよく出て読みましたのが、二十二年の年末頃じやないかと思いますが、余りはつきりした記憶はございませんです。
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそういう重要な職にいらつしやるのですから御注意なさつていらつしやることでしようが、あなたたち注意を引くようになつたのはいつ頃ですか。
  31. 砂原季也

    証人砂原季也君) 極く注意を引くようになりましたのは二十三年に入りましてからぐらいではないかと思いますが。
  32. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると多少あなたたちの室においてそれを知るに至つたのは二十二年の末頃で、注意を持つように至つたのは三年に入つてからとおつしやるのですか。
  33. 砂原季也

    証人砂原季也君) 格別注意を持ち始めたといいますのは、まあ会社の幹部として、重役たちがやつておりますから、勿論私たちはその秘書でありますから、当然知つておらなければならんと思いますけれども、会社の大きな政治的な運営上の意味となりますと、私たち余りはつきり分りませんので、感じとしまして、実体二十三年の初め頃からと、こういうふうに思います。
  34. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その事件新聞に出るようになりましたのはいつ頃ですか。
  35. 砂原季也

    証人砂原季也君) 秩父工場とかそういうのが新聞に出るようになりましたのは、記憶は確かでございませんが、三月頃でございましようか、ちよつとはつきりいたしませんですが‥‥。
  36. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秩父、大町、富山工場、これら闇事件一般疑惑の風評の的になつて來たですね。それはいつ頃か御存じないですか。
  37. 砂原季也

    証人砂原季也君) 三、四月頃じやないかと思いますが。
  38. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは世間からそうやつて疑惑の眼が向けられるようになつた前から御了承つたのですか、それによつてあなた方の社長室としては知つたのですか。
  39. 砂原季也

    証人砂原季也君) その工場事件でございますか。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  41. 砂原季也

    証人砂原季也君) その工場事件というのは総務の方で取扱つておりましたし、又そういう性質のものですから私の方では余りはつきり知らなかつた。大体総務部ですから、総務部長庶務課長総務部担当者というようなものが大体取扱つてつたように思います。
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社内においてすでにそういうことは重役として、若くは重役室として了承しておつたことが、世間がその後発表したというのですか、その以前にもうすでにあなたの方でも御了承になつてつたのですか。
  43. 砂原季也

    証人砂原季也君) まあ大体そういうふうな噂は聞いておりましたけれども、大体その時分だと思います。
  44. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 世間発表になつてから知つたわけではないのですね。
  45. 砂原季也

    証人砂原季也君) 別に発表になつてから知つたわけではございませんが、大体私はそれまでそういう詳しいことは存じておらなかつたのであります。
  46. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社内ではそういう多少、あれは、問題はあつたのですね。
  47. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういう工場関係の、そういうのはあつたようでございます。
  48. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それに対していわゆる重役若くは重役室として、どういうふうな対策を講ずるというお考えつたのですか。
  49. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういう何について別に会議を開いて対策を講じるというようなことははつきりしたのはなかつたように思います。むしろそれは総務の方でやつてつたのではないかと思います。
  50. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重役室しとては‥‥。
  51. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重役室としてはそういうのはなかつたように思います。
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どつか了解運動をするとか、或いは新聞発表を阻止するとか、國会方面に働きかけるとかいうことはお考えにならなかつたのですか。
  53. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは或いは社長重役の方でお考えになつてつたかも知れませんが、私らに、はつきりそういうのを言いつれて云々というようなのはちよつと分りませんです。
  54. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたたちにそういう話を命令されたのはいつ頃ですか。
  55. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうことで私の方に、特に秘書の方にそういうことを云々言つて命令はつきりされたということはございません。
  56. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 命令でなくても相談を受けたことはないですか。
  57. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私らは相談を受けるというほどのあれでもございません。
  58. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お使い行つて來いという程度はあるでしよう。
  59. 砂原季也

    証人砂原季也君) 若しもそういうことがございましたら非常に重要なことでありましようから、社長なり重役なりが直接お出向きになるというようなことじやないかと思います。
  60. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それについては相談も受けない、命令も受けないお使いもしないというのですか。
  61. 砂原季也

    証人砂原季也君) 今になつてはつきり事件がどうなるか分りませんが、私として推して行きますと、そうであつたかと思われるような感じであります。
  62. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 感ずるというのはどういうことですか。どういうことを感ずるのですか。
  63. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうふうな動きのためにそうであつたかと思われるような感もありますけれども‥‥。
  64. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃、どういうことですか。
  65. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは今おつしなつたようはつきりしたあれはございませんでしたけれども、結果から見ても‥‥。
  66. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結果から見てそうであつたと思われるのはいつ頃のあれですか。
  67. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはむしろ事件の‥‥四月頃じやないかと思いますけれども、
  68. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年の‥‥。
  69. 砂原季也

    証人砂原季也君) はい。併し私らとしまして、それはどういうふうなあれで出向くというようなはつきりしたことは感ぜられませんでした。私らにはやはりそういうふうな今おつしやるような、又現在のようなこういう事件がありますと、どこへでもいろいろ釈明をしたいというのが一つの人情だと思いますから、私たちもそれは來るお客さんにそういう釈明したいという氣持になります。重役たちはそういうような氣持でおられるということもあると思います。
  70. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ですからそういう機械的にしろ、その当時はそういうことは意識していないにしろ、結果から見てそういうことをなしたというようなのはいつ頃ですかというのです。
  71. 砂原季也

    証人砂原季也君) 四、五月‥‥五月は事件が非常に切迫したような感じがいたします。期間が‥‥。
  72. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 漸く世間疑惑の声が盛んになりかかつた頃、社長はどういうことをやれとおつしやつたのですか。
  73. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうふうにはつきりおつしやつたことはございませんから‥‥。
  74. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうことをしたのですかあなたは‥‥。
  75. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私としましては結局経済関係記者たちが、新聞報道関係の方がよく來られますから、そういうときにはできるだけ釈明をするように努めたわけでございます。
  76. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは新聞界の方ですね。その外には‥‥。
  77. 砂原季也

    証人砂原季也君) その外にどういうふうに動いておるかということは余りはつきりいたしませんが。
  78. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた方社長室としてはどういうふうに動いたのですか。
  79. 砂原季也

    証人砂原季也君) 社長室としてはその外に格別にあれはなかつたと思います。
  80. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新聞以外には‥‥。
  81. 砂原季也

    証人砂原季也君) はい。
  82. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時社長室にいらつしやるのですから、社長行動はどういう目的でなされておるか御存じないにしろ、行動については見聞きしていらつしやるでしようが、社長水池入江、太田、こういう人を顧問として、重政という人を、これらの人が頻々出入りして檢事との会食をしたり何かしたということはお聞きになつたでしよう。
  83. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういう人から檢事云々ということは私は聞いておりませんでした。
  84. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう人が頻々として出入していることは御承知でいらつしやるのですか。
  85. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういう方が出入されたとううことは知つております。
  86. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう要件で出入しているということは御承知ないですか。
  87. 砂原季也

    証人砂原季也君) それははつきり別に何もおつしやいませんけれでも、私の感じではそういうふうなことがございましたら、何か少しでも釈明方法廣範囲にしたい、こういうふうに社長がお考えになりましようから、そういうことで水池さんとか、入江さんとかが、又社長の学校の友だち、或いは先輩ででもあつたでしようから、釈明方というのについて或いはお願いになつたのじやないかと思います。
  88. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それに対してあなたはその席に列席したり相談を受けたことがありますか。
  89. 砂原季也

    証人砂原季也君) 相談を受けたことはありません。席というのはどこで、何をどういう目的でやるかというふうに社長は言いませんから、何人ぐらいの会合をやりたいからどうこうして呉れというふうなことは言われますから、それに基いて大体私の方で人を使つてやらしております。
  90. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その目的は要するに事件に対するところの了解を得ようとかいう目的であつたことは間違いないですね。
  91. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはそういう目的のためにおやりになつたこともあるかも知れませんし、又そういう目的を含まないでその外の会合というのもあつたように思いますけれども、ちよつとその辺の区別をはつきり、その目的をおつしやいませんから、私にはちよつと推察し兼ねるのですが‥‥。
  92. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それですけれどもお忙しい体ですから、外の会合でわざわざそういう人のみを集めて会合を開くというのは、やはり直接間接にそういう目的のためにそういう会合を開くのじやないですか。
  93. 砂原季也

    証人砂原季也君) 釈明という意味でございましたら、できるだけ廣範囲にお附合をしまして、そうして釈明方を頼み、又自分釈明をするというふうに社長としてもするのじやないかと思いますから‥‥。
  94. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから事件が起つた來て、殊更そういう関係方面の人とできるだけ廣くお附合して、自己の立場会社立場というものを了解せしむべく、そういう会合を設けたのじやないでしようか。
  95. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私はそういうふうにはつきりとあれだとも考えられませんけれども、それは釈明はできるだけ廣い範囲にあれをいたしますから、或いはそういう意味もあるかも知れません。
  96. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ名目のつく限り、そういう人を招く機会を掴むということに努力なさることは当然ですね。
  97. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは誰でもこういうふうな場合にはそういうふうにすると思いますし、私自身個人的には確かにこういうふうに世の中がそういうことをやかましく言出しますれば、外の経済の話をするよりも、或いはするときには、そういう場合にはそういう話がとかく出がちなものですから、そういう話が当然あると思いますけれども、單にその目的だけが純粹であつたかどうかということは私としてははつきり申上げられません。
  98. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると社長方針としては、いわゆる檢察方面に対して、事前に会社立場というものは了解して貰うべく、できるだけ廣い範囲においてこの釈明機会を掴むという方針をとられたのですね。
  99. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはそういう方針は立てて、それによつて計画的に動くというようなことがあつたかどうか分りませんけれども、今申上げましたように、社長立場、或いは又その個人的に氣持としましても、こういう場合にはとかくそうなるものだと思います。
  100. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何も確乎たる大きな方針を立てるというような強い意味ではないでしようれけども。
  101. 砂原季也

    証人砂原季也君) 別にそういう意味のどうこうというわけじやないでしようけれども。
  102. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くともそういう方策の下にそういう動きがなされたということは事実ですね。
  103. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは社長のそういう意向をはつきり分らないと、私にも結果から見てこういうことだということは申上げられないと思います。
  104. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事実としては、方針かどうかは分りませんが、事実としてそういう動きをされたわけですね。
  105. 砂原季也

    証人砂原季也君) 実際上にはそういうふうな会合があつたり、或いはしたのでございますから、そういうはつきりした目的があつたと言われれば或いはそうかも知れませんけれども、その当時においてそういう計画を樹てて、はつきりした目的を立てて云々というと、私としては考えが少し飛躍するように思いますのですが、それは社長自身もそれがはつきりしなければ‥‥。
  106. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長の意図はどうあろうと動きがあつたことは事実ですね。
  107. 砂原季也

    証人砂原季也君) そうです。
  108. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長はそういう方針であつたかどうかは別問題としてそういう運動の何というのですか、画策というのですか、方針というのですか、或いはそういう行いをするについて誰に相談をされたのですか、主として。
  109. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体社長日野原性格と申しますか、それは非常に独断的なところの多い性格ですから、主として自分考えによつて殆んど動いている。若しもそれの相談をされないとされましても、それは先ず総務部長にあれではないかと思います。
  110. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 総務部長は誰ですか。
  111. 砂原季也

  112. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今どこにおるのですか。
  113. 砂原季也

    証人砂原季也君) 住所でございますか。住所鷹番の方だと思います、目黒の。
  114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこの。
  115. 砂原季也

    証人砂原季也君) 目黒区の鷹番町です。
  116. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことはむしろあなたの方でお扱いになるべきことではないですか。社長室でお扱いになるような事項ではないですか。
  117. 砂原季也

    証人砂原季也君) 社長室で扱うというのは、会社運営するに当りまして、社長室が参謀的な役をするというようなのでしたら或いはそうかも知れませんけれども、むしろそういうふうな役としましては総務部長の方がそういうような役を今までしておりましたのですから‥‥。
  118. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ですけれどもそりは会社の本來の仕事ではないでしよう。いわゆる機密に属する事項ですから、むしろ秘書を兼ねられた社長室の方が適当ではないですかね。
  119. 砂原季也

    証人砂原季也君) ところがそれはその社長室で行うといたしましても、私の方としては秘書として私の他にもう一人置くだけでございますし、決して強力なものではございませんから、そうして又社長相談相手としましては、今までの経歴からあらゆる点から見まして、私なんかはまだ弱輩でございますから、そういうふうにむずかしいことに参画することは勿論能力もありませんし、立場でもございませんし、むしろ社長の言いつけに從つて動くというような立場です。
  120. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 総務部長が主としてそれの相談相手なつたというのですが、まだ他にそれを補助した有力な人があるのではないですか。
  121. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは重役の方はそういうふうなことについては、或いは会議を開いて云々ということはありませんでも、社長と話をしてそういうふうなことをお話なつたことはあると思いますけれども、他に誰かとおつしやいましても、それは大体会社重役という方から意見があると思います。
  122. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 系統的に申しましてもあなた方の事務に関することならば実業界の人で事足るでしようが、いわゆる司法界のことですから、業界からいえば全く縁の薄い方面ですから、その方に手を伸ばすにはやはりその方に顔のある人、系統的な人を選ぶのではないのですか。
  123. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはあると思いますけれども、そういう人を私にところで統轄してあれしておりませんから、社長の方で直接そういう人を或いは社長室へ呼ぶなり何かしてやつておるのですから、ちよつと分りませんけれども‥‥。
  124. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから社長室附のあなたたちですから、どういう人が頻繁に來るということによつて、あの人はそういう方面の人だということぐらい推察できるのじやないのですか。
  125. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは会社業務を行うの当つてつて來人間と、今度のこれについてのみ入つて來人間はつきり区別したし兼ねますが‥‥。
  126. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 業務で入つて來る人は大体業界方面の人ですから、あなたとお知合でありますし、或いは何の用で來たかは分りますが、そうじやない毛色の変つた人が頻繁に出入りすれば、あれは金融方面だとか、それは司法方面だとかいろいろすぐ見分けがつくのが、あなたの方のお仕事の重点じやないのですか。
  127. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはそうでございますが、総務というものは、まあ私は総務じやございませんけれども、総務関係というものは、大体そういうふうな事件ばかり起しておつても困りますけれども、大体そういう事件とか、或いはむしろ対外的な交渉とか、そういうのを大体担当するものですから、総務関係のものの出入りと、総務部長以外の社長室への出入りというものは、勿論常に頻繁でございますから、そこで單に事件だけの話じやなく、その他の点についてのいろいろなお話をなすつておると思いますから‥‥。
  128. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ事件や何かに対しては、処理をして行くのは総務責任かも知れませんが、併し事が会社の全体に及ぶことであるし、殊に日野原氏個人の問題に及んで來ることが想像されるのですから、そういう場合にむしろ社長室でもつてそれが対策は講ぜられることは当然のことでしようね。
  129. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはむしろ社長が直接講ぜられると思つております。
  130. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから社長が直接講じられますれば、それについていらつしやる社長室附の皆さんが、それに対していろいろ努力なさることが考えられるのじやないですか。
  131. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは私としましても今まで知つておる人間にはできるだけ自分会社としての立場釈明しますし、そういうふうに一本の全において段々それが動いて行くということは否定いたしません。
  132. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政さんという人やなんかは、一生懸命おやりになつているのじやないですか。
  133. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重政さんは前から社長関係があつたようでございますから、この事件のために‥‥じやどういうふうに動いたということは私には分りません。
  134. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松岡とかそういう人が來たのじやないですか。
  135. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういう人が來たということは私は記憶がございません。
  136. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政さんは始終來たのですか。
  137. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重政さんも殆んど一回ぐらいより、私は会社で顔を合したことはございません。
  138. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなたの方じや日野原さんのいわゆる直系というか、社長室以外の直系のいわゆる昭和電工機密室というのがあるのですか。
  139. 砂原季也

    証人砂原季也君) 機密室というのかそういうものはありません。
  140. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 機密室というかそういうもの、そうはいわないでもそういう機構はあるのですか。
  141. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういう機構は私はないと思つております。
  142. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕密の機構ですから公にされるのじやないと思いますが、そういう機構が、何かあるのじやないのですか。
  143. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私はそういう機構があるように思いませんけれども‥‥。
  144. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうものはないのですか。
  145. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  146. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうところでいろいろ重要なことが協議されるのじやないのですか。
  147. 砂原季也

    証人砂原季也君) 日野原という男の性格として、そういうふうな機構を拵えたり、或いはそういうふうな会議をやつてものを決するということはあまりございませんので、非常に短時間に話をしまして、まず人と長く話をしましても五分ぐらい話をすればそれでお互の要点を掴むというふうでございますから、そういうふうな機密的な一つ機構を拵えて、それによつて或いは会議をしたり或いは交渉をして動いたというふうなことは、祕書としましての私としてす余り感じておりませんでした。
  148. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの御了承範囲でもつて、先程もいわゆる司法関係に関する了解を求めた人々はどのような人ですか。
  149. 砂原季也

    証人砂原季也君) 司法関係で私が了解社長の方で求めたという人はあまりおりませんです。まああとになつてどうのこうのと言われれば、ああ成る程そういうふうになつてつたのかと感じますけれども‥‥。
  150. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時としては一人も知らなかつたのですか。
  151. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ、私は知りませんでした。まあ水池亮さんは前から顧問料も差上げておりましたから、そういう関係で知つておりましたけれども、その他の方々は存じ上げておりません。
  152. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 太田さんは勿論ですね。
  153. 砂原季也

    証人砂原季也君) 太田先生はいつ頃から顧問弁護士になられたのか知りませんけれども、二三月頃でしたか。或いは記憶が間違つているかも知れません。それから会社の顧問弁護士になられましたから、当然カーバイトの秩父事件でもございましたら相談をしておると思います。併しそれは大体顧問弁護士というのは、これは総務の方のあれでございますから総務の方で‥‥。
  154. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは事件の方ですね。
  155. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  156. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとあなたはそういう檢事の人と、司法関係の方と会食なさつたことはございませんか。
  157. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは総務の石井さんが一高会をやられるというので、杉並の方で社長を囲んでやる、社長一緒にやると言いましたので、その時の準備を社長から言われて準備をさせたことがございます。そうして一度私は出たように思います。その他は私は知りません。
  158. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃のことです。
  159. 砂原季也

    証人砂原季也君) これは四月の中旬頃かと思いますが、記憶はつきりいたしません。
  160. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこですか。
  161. 砂原季也

    証人砂原季也君) 杉並の小林宅です。
  162. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは日野原さんの‥‥。
  163. 砂原季也

    証人砂原季也君) 別宅です。
  164. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 集まられた人は‥‥。
  165. 砂原季也

    証人砂原季也君) たしか私がそこに列席いたしましたのは一回だと思つておるのですが、あのときは澤田喜道さん、それから山之内さん、他の人はちよつと名前を憶えておりませんが‥‥。
  166. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 山之内というのは‥‥。
  167. 砂原季也

    証人砂原季也君) 地檢の経済部長です。
  168. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 地檢の山之内さんですね。
  169. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。その他の者は憶えておりませんが、まだあと二人ぐらいいらつしやつたように思います。
  170. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔の知らん人が‥‥。
  171. 砂原季也

    証人砂原季也君) 或いは名刺を頂いたか‥‥頂かなかつたように思いますからはつきりしておりません。
  172. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた方の側の人は‥‥。
  173. 砂原季也

    証人砂原季也君) 社長と石井と私でございます。それはたしか一回だと私は記憶しておるのですが‥‥。
  174. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 総務部長は出て來ないのですか。
  175. 砂原季也

    証人砂原季也君) そのときは総務部長はおらなかつたように思います。
  176. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことから考えても、いわゆる社長室の方で主としてその方は受持つていたのじやないですか。いわゆる事件の本筋の方は総務部でやるのですが、これは当然自分の方で、しでかしたことですから法律上処理して行くのは当り前です。そうでない、それを高等政策を以て有利に展開して行こうというのはむしろあなたの方の働きじやないですか。そのことの善い惡いは別問題です。
  177. 砂原季也

    証人砂原季也君) その会がそういうふうなものであるというふうな考えから出発しましたら、そういうふうにおつしやられてもそうだとお答え申上げるよりございませんけれども、私はこれはそういうふうなものであるというふうな意思の下にやられたということは私は知りません。私は一高会があるから準備してくれというので、私は電話や何かで準備をいたしまして、乘るときに社長一緒に乘らないかというので行きました。じや、これは一高会だと思つて出たわけですから‥‥。
  178. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども時恰もこれが問題になつて來て、目下司直の手に移つておるというようなときですから、そのときにわざわざそういう一高会を催す‥‥一高会というのを催すのは、実業方面、その他藝術方面とかいろいろな方面の人を集めて‥‥社内だけでも相当一高の人がおありになるらしいですから、そうしてやるべきものを、殊更に司法方面の人のみを集めた一高会を、それは日野原さんが司法界の人ならば別問題ですが、そうでない人がやるというのは單純なる一高会じやないでしよう。一高会の名目を以て他の目的を達成するということにあるのじやないですか。それは容易に形から見ても窺われるでしよう。
  179. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは又その一高会というのは、私は一高でございませんから、單に世話をするのに参つたのでありまして、出るつもりはなかつたのですが、席の都合で出ただけでございますから、その本旨がどこにあるか分りませんし、一高会というものは石井が社長相談したり、或いはどちらからのイニシアチーヴでやられたか分りませんが、そういう意味でやられたのでありますから、今になつてその意味が、こうこうであろうとおつしやられると、或いはそうかも知れないと思いますが、果してそのときに、そういう意思があつたかどうかということは、私としてはそうであるというふうには、ちよつとはつきりしません。
  180. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 石井というのは後輩ですか。
  181. 砂原季也

    証人砂原季也君) 先輩でございます。
  182. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社内におけるところの地位は‥‥。
  183. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはやはりずつと上でございます。勿論そういう上下の命令系統も何もございませんから‥‥。
  184. 伊藤修

    委員長伊藤修君) おのずから席順というものはありましよう。
  185. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは、ずつと上でございます。
  186. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それに会社重役でもないし、その人のために社長が一高会を催してやるということは考えられないぢやないでしようか。
  187. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは恐らく社長の方から、そういう話があつたのだろうと、私は推測いたします。
  188. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから顔振からいつて、も又そういう忙がしい身体で、そういうときに席を設けるということからいつても、種々の事情から考えても、それは一高会という名目の下に、そういう了解目的を達成するために、そういう会合を開かれたというふうに考えられませんか。
  189. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは私としましては、さつき申上げました通りでございますが、まだ私その席に一回でございますが、列席しましたけれども、そのときに何もそういう話はございませんでした。了解云々ということも別にございませんし、私はそういうことは知りません。ただ一高の寮歌を歌つて別れたという結果でございましたから‥‥。
  190. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは下つ端の人ならそのときに、はつきり言つて了解を求めるということもありますけれども、相当腹のできた人なら、そうやつて話合つておるうちに、了解がつくでしようから、それが高踏政策でしようから‥‥。
  191. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは、よろしく頼むという言葉が出るように思いましたが、五、六人もおりましたし、全部の話を聞くわけにも行きませんから、或いはそういうことを言つておるかも知れませんが、少くとも私はそういうことは聞きません。
  192. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その席上で簡單な話はあつたのじやないのですか。
  193. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私は一番端に坐つておりましたから、どういう話をあちらでやつておるかはつきり分りませんでしたが、私としてはそういうふうなことについて話があつたように思われなかつたのでございますが‥‥。
  194. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに、重政氏は行かなかつたのですか。
  195. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重政氏はいらつしやらなかつたように思います。
  196. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 明示の意思表示でなくとも、お互に、暗黙裡に、何のためによればだとか、どういう目的で、この会合が開かれたということは、お客さんの方も、主人公の方も分つておりますでしようから‥‥。
  197. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは宴会というものは、いろいろございますから、このときには、こういうものであろうと思つて私が行つたということもありませんが、行つて見たらこういうメンバーであつたということもございますから、初めから、これはこういうものである、こういうはつきりした目的を持つたものではないと思つております。
  198. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しあなたは、社長附きであれば、今までこういう目的でやられたということは考えられるでしよう。
  199. 砂原季也

    証人砂原季也君) ただ一高会は、石井氏の方から、私の方の社長からの話ということであつたものですから、單に私は行つただけで‥‥。
  200. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社仕事としては、お客さんをよぶということは、仕事の大きな部面でしよう。その場合に、今日の会合が商取引のためか、金融のためか、企業計画のためか、増産のためか、或いは了解運動のためか、ということは一々分るでしよう。それが会社機密事項の大きなものでしよう、今日の実業界としては‥‥。
  201. 砂原季也

    証人砂原季也君) ところが、私としては、会社的な仕事のこともございましようし、又個人的のこともございましようから、そのときに会社的なものであるか、個人的なものであるか、余りはつきりしなかつたのです。或はそれは石井と‥‥。
  202. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し総務部長の方から、そういう依頼があつたから招集したと、さつきそうおつしやつたのですから、総務部長の方から、依頼があつたからそういう場所とか、準備をされた‥‥。
  203. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは総務部長の方から依頼があつたお話したのではなく、石井に社長の方から一高会のそういう話がありましたので、それを私の方でお膳立てをしろということでしたから、そういう準備をしたと申上げました。
  204. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 石井にしろ、社長にしろ、少くとも社長が列席しておるならば、会社一つ仕事でしよう。個人的のことで社員のあなたたちを煩わすことはないでしよう。
  205. 砂原季也

    証人砂原季也君) 併し祕書というものはプライヴエート、セクレタリーというものが別にあるわけでありませんから、或いはそういう業務もときどきいたします。
  206. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あるかも分りませんが、併しそうやつてあなたたちを煩わして、それだけのメンバーで動いたならば、それは会社に何らかの繋がりがあるでしよう。
  207. 砂原季也

    証人砂原季也君) 繋がりがあるかも知れませんが、そのときははつきり繋がりがあるとは‥‥。
  208. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日どう思つておるのですか。
  209. 砂原季也

    証人砂原季也君) 今日こういうふうに結果的に、御列席になつ檢事の方がお辞めになつたりされたことは、私留置されておりましたから、出て参りまして甚だ氣の毒だと思つております。若しもそういうときに、そういうことがはつきりして、そういう意思の下にやるのならば或いは止めますが、そうでなくて全く氣の毒だと思つております。それがそういう目的であつたかどうかということは、今になつてはつきりしないのでございますが、それはそのときの主催者の方の氣持、今の社長、石井両氏の、そのときの意思はどうであつたか分りませんが、私は單にお膳立に飛び出したようなものでございまして、そういうような間接の了解運動であつたというふうには感じなかつた
  210. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日になつたも、そういうことは感じないというのですか、今日になつても‥‥。
  211. 砂原季也

    証人砂原季也君) 少しはそういうふうな氣味もあると思いますけれども、そういうふうに言われても、はつきり申上げ兼ねます。
  212. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども、あなたは会社の枢要な地位にいらつしやつて、そういう仕事に携わつていらつしやるのですから、社長がどういう氣持で動いておるか、忖度できないようなことではお仕事はできない。若い單純な小使や給仕みたいな者ではない。少くともあなたは高等教育を受けておられるのですから、そのくらいな目鼻はお付きになるものと思う。これはどういう目的のために、この会合が行われておるか、明示のことがなくても察せられるのが、あなたたちの職務の目たる目的ではないか、そういうものが有能な人ではないか。
  213. 砂原季也

    証人砂原季也君) 併しそれは、会社の重要なる業務上の会合ならば、私共も考えたのですが‥‥。
  214. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社として重要なことですね。社長が引つ張られるか、られんかの境の‥‥。
  215. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうことになるから、重要になるのでありまして、若しもそうでなければ、会社仕事とは離れた、個人的な会合というようにも感じられる。
  216. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 殊更に、そういう他の目的会合のごとく装うということは、手段と目的と異なつて表現するということは、当然やらるべきことですよ。今日は了解運動のために会合を開くと言つてやる馬鹿はありませんから、だから前提に先程お聽きしたごとく、当時あなたは各方面、殊に司法部面の方へ了解運動をおやりになつたかどうか、ということを聽いておるのです。そういう概念的な目的がすでにあるのですから‥‥。而してそういう会合を行われて、結果においてはそうであつたと、今日では恐らくそういうふうに察せられるのではないですか。
  217. 砂原季也

    証人砂原季也君) そうおつしやられれば、そうかも知れないと思いますけれども、私は実はやはり、それはそうしたはつきりしたものを持つて、そういうふうにやつたというふうには、そのときには感じませんでしたから‥‥。
  218. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときは、藝者や何かは來たのですか。
  219. 砂原季也

    証人砂原季也君) 來たように思います。
  220. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこは主として、そういう社長の重要なお客さんを招待する場所に常に使われておるのですね。
  221. 砂原季也

    証人砂原季也君) 別に他に会合する場所もございませんし‥‥。
  222. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 時節柄‥‥。
  223. 砂原季也

    証人砂原季也君) たまたま使つた
  224. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本件以外の他のお客さんにも、そこはお使いになるのですか。
  225. 砂原季也

    証人砂原季也君) 使つたことがあります。
  226. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重要なお客さんには‥‥。
  227. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重要ということはありませんが‥‥。
  228. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長が招待するのですから、社の仕事としては重要なお客さんですね、そこを使用する場合は‥‥。
  229. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重要なお客さんもありましようし、重要でないお客さんもありましよう。
  230. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 國宗という人は知つていますか。名前を聞いていますか。
  231. 砂原季也

    証人砂原季也君) ええ、聞いております。
  232. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 澤田さんの方は御存じですね。
  233. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  234. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こういう人に会社から物を贈られたそうですね。
  235. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  236. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それをお知りになつておる範囲は‥‥。
  237. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつと記憶はつきりいたしませんけれども、その会合があつた時分だと思いますが、國宗さんの方は石井氏の方から話がありましたので、石井氏にことずけてお贈りしたように思います。そうして澤田さんの方は私の方で祕書課の誰か記憶がございませんがお贈りしたように思つております。
  238. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると國宗さんの方は石井氏の方から話があつたのですね。
  239. 砂原季也

    証人砂原季也君) 話があつたといいますのは、大体贈り物をいたしましたのは私の方でございますから、持つてつたのは石井氏だというわけでございます。
  240. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは社長の独自の意見でやられたのですか。社長命令ですか。
  241. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体一つの習慣みたいなものでございまして、こういうような会合がありましたらなば、物をお届けするというふうなことも、実は社長の意を体して、私の方でやつたというわけでございます。
  242. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その点から言つても、いわゆる命令でなくても、社長の意を体して行動なさるのは、職務じやないですか。又先程のことだつて大体お分りになるはずじやないですか。
  243. 砂原季也

    証人砂原季也君) 併しこの方ばかりにそうであつたというわけじやございませんので‥‥。
  244. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この方のことのみのことを聞いておるのじやないのですが、そういう仕事があなた方の本分ですから、明示的に意思表示がなければ行動しないというわけじやないでしよう。
  245. 砂原季也

    証人砂原季也君) はつきりと社長命令があつたのかどうか、今記憶がないのでございますが、社長命令があつたか、或いは私の方で忖度してやつたか、まあ一度会食をなすつたことでございますから、そうしてお届けする一つの習慣によつてお届けしたのでございます。
  246. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの列席した会食は四月の末ですか。
  247. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつとはつきり記憶がないのですが、中頃じやないかと思つておりますが、少し違うかも知れません。
  248. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 國宗さんには何回贈つたのですか。
  249. 砂原季也

    証人砂原季也君) これもちよつと細かいのではつきり記憶がございませんが、三回ぐらいじやないかと思つております。
  250. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう会合があつたときには、そういう物を贈るのが、慣例だとおつしやるのならば、それは一回が当り前じやないですか。前後三回もお贈りするということはどうですか。
  251. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは一度お贈りすればやはり続いてお贈りするようになつておるのでございます。
  252. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一月の中旬にも贈つておるのじやないですか。
  253. 砂原季也

    証人砂原季也君) 國宗さんは重政さんと御一緒になつたのが、時節がちよつとはつきりしないのですが、その時分はあつたのじやないかと思うのですが、贈物が三月でございましたから‥‥。
  254. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三月十六日に醤油が一斗、米が二斗、四月二十日には味噌が五袋と四貫目ですね。
  255. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  256. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから四月の二十七日に糯米が一斗と小豆が五合ですか、お贈りしておるのじやないですか、これはあなたが社長の意を体して贈つてのですか。
  257. 砂原季也

    証人砂原季也君) 或いは社長から話があつたのか、或いは一回目のときは社長から話があつたのじやないかと思いますが、それからそういう話があつたのですから、大体意を体してやつたと思つております。
  258. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一回くらいは命令があつたけれども、その外はあなたたちの‥‥。
  259. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体そのときには社長にも話はしますから‥‥。
  260. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 贈ると報告はするのですね、こういうものをお届けしましたと。
  261. 砂原季也

    証人砂原季也君) する場合もありますし、しない場合もありますけれども、したように思いますが、はつきりした記憶がございません。
  262. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 專断的にやることはあるのですか。
  263. 砂原季也

    証人砂原季也君) 專断的にやつて、あとで報告もしないというようなことはございません。
  264. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことはないでしようね。いずれにしたところが‥‥。
  265. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体耳に入つておるわけでございます。
  266. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事前にしろ事後にしろ、耳に入つておるわけですね。そうしてその行いというものは、すべて社長の意を体してやられたわけですね。
  267. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  268. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると澤田さんの方は。
  269. 砂原季也

    証人砂原季也君) 澤田さんの方は、一回か二回だと思いますが、一回くらいかも知れませんが‥‥。
  270. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四月五日に醤油が一斗、四月二十七日に糯米が一斗、小豆を五合、これは國宗さんと同じですね。
  271. 砂原季也

    証人砂原季也君) そうです。
  272. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが先程、会合が一回だけで、会合目的はつきりしないとおつしやるけれども、こういう前後を通じて五回も関係方面に物を贈つておるのですから、單なる会合だということには伺われないじやないですか。いわゆる意を体して、その会合了解運動目的の下に行われたということが分るのじやないですか。これらの事実から考え合せても‥‥。
  273. 砂原季也

    証人砂原季也君) 贈物をお贈りするのは、一度そういうあれで、お知合いになつたお印しとしてお贈りしたものですから、他の方面もそうでございますが、そうすると又半月なり一月してお贈りするというふうに、一つ社長の慣例といたしましてそうしたのでございます。
  274. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長の慣例にしたつて、單なる一高会を催したということだけで、その会を催す以前からすでに贈つておるのじやないですか、事後も贈つておるし‥‥。
  275. 砂原季也

    証人砂原季也君) 一高会のあれは、澤山さんがいらつしやつたときだと思いましたが、その他の、あとから重政さんのあれを開きましたわけですが、それは又どういうふうな意味か私には分りませんけれども、或いは先刻おつしやつたよう意味があつたかも知れませんですが、一高会の方はそういう意味はあまりなかつたように思つております。
  276. 伊藤修

    委員長伊藤修君) くどいようですけれども、ここでお述べになつたことも、若し違つておりますとやはり重い刑罰に処せられるのですから、御存じのことをお隠しになつても困るのですがね。
  277. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ。
  278. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体そういう了解運動をするということは、あなたたちがいわゆる意を体して推測しておつたのじやないですか。
  279. 砂原季也

    証人砂原季也君) 全然そういうことはなかつたというふうに私は感じられませんけれども、むしろそういうのをはつきりとそうしたというふうにも考えておらなかつたわけでございます。
  280. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから暗に了解運動だということは了承できるのでしよう。了承しておつたのじやないですか。
  281. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうことを了承しておるというふうにはつきり私は感じておればそう申上げますけれども、非常に漠然としたものだつたと思つております。
  282. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何回も何の関係もなく贈り物をしたり招いたりいることはないのですから、それから單に一高会ということだけでそれだけの行動をとるということもないのでしようから、その目的は那邊にあるかということは、大体お分りになるのじやないですか。
  283. 砂原季也

    証人砂原季也君) 結果から見まして、或いはそういうふうにおつしやられれば、或いはそうかも知れないと思いますけれども、その当時そういうふうにも考えておつたわけではございませんから、先程申上げたような氣持でやつたわけでございます。
  284. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にお聽きになる方はありませんか。
  285. 大野幸一

    ○大野幸一君 ちよつとお伺いしますが、あなた今その机とその腰掛は、会社の腰掛と机じやないのです。会社の事務としてあなた証言してはいけませんよ。会社のためを思つて証言してはいかん。あなたは国会に喚ばれた証人として証言しなければならん。その意味におきまして聞きますが、一高会というのは、その頃一高会という名前はなかつたと言う人がいますが、その頃は一高会とは言つてなかつたでしよう。人の集まりだつた。一高会という名前はその頃はなかつたでしよう。
  286. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつとはつきり記憶がないのでございますが、社長の方から話がありまして、それを私の方に言つて來たものでございますから‥‥。
  287. 大野幸一

    ○大野幸一君 誰と誰と誰ということは言いましたかね。そういうことは言つたわけだ。どの人とどの人とよぶということは言つたけれども、一高会という名前は後から付けたもので、その当時は一高会と呼ばれていなかつた、一高会と言うならもつと大勢各方面の人、同窓会なら同窓生をよぶけれども、檢察廳に限つて一高会にするというのはおかしい。だから私が聞くのは、その頃一高会という名前は使つていなかつたろうということです。どうだね。
  288. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは社長及び石井の方で、はつきり一高会というものを、それまでにもやつてつたかおらなかつたか私には分りませんけれども、或いはなかつたかもしれません。
  289. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなたの耳は一高会という名前はその当時は聞かなかつたでしよう。それを言うのです。一高会という名前はその当時耳に入つていなかつたでしよう。今日は一高会をやるのだ、そういう話はなかつたでしよう。
  290. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうようなはつきりした話はなかつたと思います。
  291. 大野幸一

    ○大野幸一君 それから附け届けをするのは習慣だというのですがね、会食した人には皆やつていますか。社長が会食した人には後から附け届けしているのですか。
  292. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体やつていると思いますけれども、或いは漏れているのもあるかもしれません。
  293. 大野幸一

    ○大野幸一君 附け届けは習慣としてやつても差支ないものと思いますか。今あなたの考えたままを答えればよいのです。考えることはありません。
  294. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは社長がどういう氣持でその‥‥。
  295. 大野幸一

    ○大野幸一君 社長のことを聞いているのじやない。
  296. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体附け届けといいますのは、社長から命じられまして私の方でやるのであります。
  297. 大野幸一

    ○大野幸一君 氣持よい仕事じやないと思いますが、どうですか、あなたどうだろうね。良心にどことなく氣持惡いだろう。そういうことをするのは氣持惡くなかつたかね。
  298. 砂原季也

    証人砂原季也君) そのときそういうふうにはつきり考えておらなかつたのでございますけれども‥‥。
  299. 大野幸一

    ○大野幸一君 米を味噌は統制品として主食品で、そういうことはできないことは知らなかつたのですか。
  300. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは存じておりました。
  301. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなたの所はそういうことを平氣でやるのかね。
  302. 砂原季也

    証人砂原季也君) 平氣でやるというわけではございません。
  303. 大野幸一

    ○大野幸一君 それでは氣持が惡いだろう。米をやる、しかも一升や二升じやない、一斗とか二斗とか米を送つている。私はあなたを何しようともしない。あなたが正直に答えればよい。そうでしよう、國費を費して事を知ろうとしているだけのことなんです。あなたが正直に答えればいい。あなたの責めるつもりはない。國民の前に嘘を言つては申訳ないならな。それで米や何かどこで仕入れたのですか。方々に届けるのだし、相当要るでしようね。どこから仕入れたのですか。
  304. 砂原季也

    証人砂原季也君) 暗屋から仕入れました。
  305. 大野幸一

    ○大野幸一君 その額はどのくらいになるかね。何石とか何十俵になるでせうね。それは誰が仕入れたのか。
  306. 砂原季也

    証人砂原季也君) それも祕書のものにやらしております。
  307. 大野幸一

    ○大野幸一君 何というのか名前を聞いておきたい。
  308. 砂原季也

    証人砂原季也君) 直接に当りましたのは私もいたしますし、忙しいときは大体祕書のものに買わしております。
  309. 大野幸一

    ○大野幸一君 もう一度念を押して聞くが、その当時宴会をやつてきてそこに警察官、檢事局の人がいてはつと思うようなことがあるでせう。そのときに氣がついているでせう。あなたは釈明運動了解運動を別々にしておりますが、どこに違いがあるか。釈明という言葉と了解という言葉とどこに差異があるか。
  310. 砂原季也

    証人砂原季也君) 別にはつきり区別して申上げたわけではございませんけれども、釈明了解とは同じだと思う。
  311. 大野幸一

    ○大野幸一君 了解のことでしよう。
  312. 砂原季也

    証人砂原季也君) こちらの立場を弁明するというふうな意味だと思います。
  313. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなたの立場からいえば釈明というので、人が見たら了解運動と思われてもしようがない。
  314. 砂原季也

    証人砂原季也君) こつちが釈明をして、ちよつとへんな言葉になりますけれども、向うの方では理解するわけでございますから‥‥。
  315. 大野幸一

    ○大野幸一君 釈明ということは、人が聞かれたときに釈明をするので、こつちから言えば了解運動だ。
  316. 砂原季也

    証人砂原季也君) 世間一般にこういうふうなことが、言い触らされておるということは、世間から或いはそういうふうに言う人からは、こちらに釈明を求められておるというふうにも感じられますから、こちらから、それを言われないうちに雜誌などに書かれないうちに、こちらから言う。
  317. 大野幸一

    ○大野幸一君 釈明ということと宴会を設けたということと関係があるでせう、どうですか。
  318. 砂原季也

    証人砂原季也君) 宴会において釈明ということが行われたということは、私はないと思つておりました。
  319. 大野幸一

    ○大野幸一君 昭和電工は非常に國家的に重要な会社つたように、いわゆる昭和電工の事業に対する説明をやつてつたことがあるね。
  320. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはそういうこともあるかも知れませんが、私はつきりそういうことを覚えておりません。そういうことは普通の場合においてつねづねあることだと思います。
  321. 大野幸一

    ○大野幸一君 祕書というのは非常に敏感な人でなければできない。私はあなたが非常に敏感な人だと信じるが、今あなたは非常に敏感ならざる頭を持つて答えていやせんか。
  322. 砂原季也

    証人砂原季也君) 別にそういうふうなことはございません。もともと敏感でございません。
  323. 大野幸一

    ○大野幸一君 地位は上でなくとも勘は非常に強い人がなる。日野原のようなやり手の人が、僕なんかより以上の人が、あなただつたら祕密には使わない。何故なればあなたのような敏感ならざる頭を持つている方じやいかんでせうよ。  それから祕書というのは一人でやつているのですか。
  324. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私の外にもう一人佐藤というのがおります。大体私が主としてやつてつた
  325. 大野幸一

    ○大野幸一君 釈明するための一環として宴会を開かれたということは、あなたは認めるか認めないか。最後に聞きますが、要するに大きな釈明運動の一環としてこの宴会を催されたものかどうか。
  326. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはさつきもちよつと申上げましたが、こういうことになりましたら、あらゆる場合において、やはり一方的な言葉かしれませんけれども、ともかく私の会社に対するいろいろなことを外から言つて來ますから、それに対して私の方からこちらの方のことを弁明するということになれば、それは即ち釈明という言葉だと思うのであります。そうしますと、そういう定義上における釈明といいましたならば、これは自分の傍にいる人間には誰にでもこういう事件が起つた際には常にすることだと思います。そうしましたら別に或る目的を持つて、或いは或る特定のことをすることによつて釈明をするというふうな場合じやなくても、日常茶飯的に‥‥、それは釈明になると言われますれば、さつきおつしやつたよう廣範囲におけるというのは、正にそういう意味における廣範囲でございましたら私はあると思いますが‥‥。
  327. 大野幸一

    ○大野幸一君 それで石井が檢察廳の方は受持つていたのですね。
  328. 砂原季也

    証人砂原季也君) 檢察廳の方面、これは石井のことでございますから、私の臆測として申上げますけれども、別に檢察廳だけでなく、彼の同期があちらこちらにおりましたでしようから、檢察廳のみならず、その他の方面でもいろいろ友達を持つて話をしておつたと思います。
  329. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一つお尋ねしますが、あなたはさつき一回だとおつしやつたけれども、三月の十五日と三月の二十六日と二回じやないですか、あなたの出席しているのは‥‥。
  330. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私は一回しか出席しておりませんです。‥‥と思つておりますが‥‥。
  331. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 合計三回になるのじやないですか。
  332. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私の出席でございますか。
  333. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  334. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私は一回だけ出席したように思いますが‥‥。
  335. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三月の十五日に出席しているのじやないですか。
  336. 砂原季也

    証人砂原季也君) 十五日でございますか。
  337. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは檢察廳がどつかで調べられたときに述べられておるのではありませんか。
  338. 砂原季也

    証人砂原季也君) 檢察廳で調べられたときには一回だけたと申上げてあるはずでございますが、私はそう記憶しているのでございます。
  339. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 國宗さんがそういうことを言つておりますね。
  340. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは私出席いたしませんで、帰りのときに車を準備するのに‥‥私は外の用もございましたものですから、そこへ参りましても下におつたわけでございます。だからその席には出なかつたように思います。
  341. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 席には出ないけれども、そこにはおつたわけですか。
  342. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつとおつたわけです、時間的に‥‥。
  343. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三月十五日のメンバーは中野、高橋、重政日野原、澤田、國宗、こういうメンバーじやないですか。
  344. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは間違つていると思います。私はその席に出なかつたように‥‥。
  345. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 出なかつたけれども、こういうメンバーで、あなたは下かどこかにおつたのではないかですか。
  346. 砂原季也

    証人砂原季也君) 下におつて用がありまして外に出ておりました。
  347. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 準染や‥‥。
  348. 砂原季也

    証人砂原季也君) 準備はさしたと思つております。
  349. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから三月の二十六日はこのメンバー、中野、高橋、重政日野原、澤田、國宗‥‥。
  350. 砂原季也

    証人砂原季也君) その場合も出ておらないと思います。席上へ出ておらないと思います。
  351. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 席上へ出たのは一回で‥‥。
  352. 砂原季也

    証人砂原季也君) 一回だけと記憶しております。
  353. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この二回は出ておつたのですね。
  354. 砂原季也

    証人砂原季也君) いずれも行つてつたように思いますが、そこにずつとおらなかつたと思います。
  355. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは社長室にいわゆる味噌、米、醤油、骨董品、いわゆる他所へ贈る品物だね、自分の持つている品物ではなくて、他所へお使物に骨董品というものを仕入れる役と、それから贈り届ける役、それから宴会の準備をする役、そういうことがあなたの担任じやなかつたのですか。
  356. 砂原季也

    証人砂原季也君) ええ、そうでございます。
  357. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから小林峯子、今の二号の家ですか、宴会する準備はすべてあなたの役だつたのですね。
  358. 砂原季也

    証人砂原季也君) とにかく私の方でやらしておりましたから‥‥。
  359. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから昭和電工に対する弁護士を頼んだのはあなたのなんですか。
  360. 砂原季也

    証人砂原季也君) この事件のでございますか。
  361. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この事件のです。
  362. 砂原季也

    証人砂原季也君) 弁護士を頼んだ‥‥。
  363. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、選任その他のことについて‥‥。
  364. 砂原季也

    証人砂原季也君) これは実は私一番最初留置されましたですから、それからだと思います。私は留置場に入つて‥‥。
  365. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこでやつておりますか。昭和電工は‥‥。
  366. 砂原季也

    証人砂原季也君) その弁護の担当でございますか。
  367. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 選任、連絡、費用の支拂、その他の準備、というのはどこでやつておりますか。
  368. 砂原季也

    証人砂原季也君) それも私長く入つておりましたので、出て來ましてから聞いたのでございますので‥‥、私らはまだ入つております間は、余りそういう弁護士の動きもなかつたということを私自身知つております。中へ入つてから聞いておりましたので‥‥、殆んど弁護士せ使つておるわけではなかつた。又そういうふうにやる人間もおらなかつたそうでございます。藤本常務から大仲社長代理がやつておるのじやないかと思います。
  369. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その選任もですね。
  370. 砂原季也

    証人砂原季也君) そうだと思います。
  371. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 報酬は会社から全部拂つておるそうでございますね。
  372. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうことだそうでございます。私別にそれを調べなかつたのでございますが、拂つておるそうでございます。
  373. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 巷間傳えるところによれば、何万円拂つておるということですが、そうじやないですか。
  374. 砂原季也

    証人砂原季也君) そんなことはないと思います。普通に考えましても、そういうことは考えられんように思います。
  375. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社の顧問弁護士の太田さんが扱つておるのではないのですか。今のおつしやつた重役が扱つておるのでございますか。
  376. 砂原季也

    証人砂原季也君) 弁護士の事務でございますか。
  377. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士選任の事務、弁護士團を構成するには相当いろいろな配置を考えるでしよう。
  378. 砂原季也

    証人砂原季也君) まだ実際のところ私の方で弁護士團の配置、弁護士團の結成というふうなことはまだやつておりませんから、そういうことがあるということは‥‥。
  379. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 形の上では結成されなくても、大局から見れば、弁護士團というものがある筈でございますから、それに対する統一、連絡‥‥。
  380. 砂原季也

    証人砂原季也君) それはむしろ会社でやつておると思います。
  381. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その担任はあなたのおつしやつた重役でございますか。
  382. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体大仲社長代理と藤本常務だと思います。
  383. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人は收容されておるのではないのですか。
  384. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは收容されておりません。
  385. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大仲何というのですか。
  386. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大仲齋太郎。
  387. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこです。
  388. 砂原季也

    証人砂原季也君) 自宅でございますか。
  389. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  390. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大森の山王だと思います。
  391. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一人は。
  392. 砂原季也

    証人砂原季也君) 藤本忍。
  393. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは何です。役は‥‥。
  394. 砂原季也

    証人砂原季也君) 常務取締役でございます。
  395. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二人は收容されていないのでございますね。
  396. 砂原季也

    証人砂原季也君) 全然收容されませんでした。
  397. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人が一切やつておるわけでございますね。
  398. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体皆外のものは入つてつたわけでございますから、留守の方でやつてつたと思います。
  399. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう弁護士の費用というものはどういう会計から出るということは御存じないですか。
  400. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつとはつきり私分りませんですが‥‥。
  401. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 出て來てからお聽きになりませんか。
  402. 砂原季也

    証人砂原季也君) 会社に殆んど、少し身体が惡かつたものですから、出たり出なかつたりしておりましたので‥‥。
  403. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まああなたたちは弁護士の費用は別に負担していないのでございますね。
  404. 砂原季也

    証人砂原季也君) 今のところ負担しておりません。
  405. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一切会社が賄つておるわけでございますね。
  406. 砂原季也

    証人砂原季也君) はい。
  407. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは先程附け届けすることが慣行だとおつしやつたのですが、その席に出た中野並助、佐藤祥樹岸本義廣、高橋末雄、藤原節夫、重政誠之、こういう人に附け届けしましたか。
  408. 砂原季也

    証人砂原季也君) した人もあると思います。していない人もあると思います。
  409. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今申上げた中でどの人に附け届けしましたか。
  410. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重政さん、それからちよつと記憶はつきりいたしませんが‥‥。
  411. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 中野、岸本、佐藤というのはどうですか。
  412. 砂原季也

    証人砂原季也君) 中野さんに行つたかと思いますが、ちよつとはつきりした記憶がございませんが、その外の人に行つていないようでございます。
  413. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰にこの中で‥‥、一人も行つておりませんか。
  414. 砂原季也

    証人砂原季也君) 重政さんが行つておるのではないかと思いますけれども‥‥。
  415. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今申上げた名前の中では一人も届けていないのですね。
  416. 砂原季也

    証人砂原季也君) だから重政さんの方に何か行つたのではないかと思います。
  417. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 來た人にはすぐ附け届けするとさつきおつしやつたことは変ですね。
  418. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは私ははつきり社長が、いつどこで誰と会つておるということは、全部知つておるわけでありませんから‥‥。
  419. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたのところに大体通ずるわけでしよう。
  420. 砂原季也

    証人砂原季也君) 大体知つておりますけれども、全部通ずるわけでありませんから‥‥。
  421. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴会の世話なんかしていらつしやるから、その慣例で附け届けするとおつしやつたじやありませんか。そうするとこういう人に附け届けしなければならんのじやありませんか。
  422. 砂原季也

    証人砂原季也君) それで先も申上げましたけれども、必ずしも全部が全部‥‥。
  423. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大部分附け届けしないのではないですか。附け届けしない方が多いのではないですか。
  424. 砂原季也

    証人砂原季也君) 附け届けしない場合もあると思います。この問題の場合には全部必ずしも附け届けをするということは‥‥。
  425. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全部じやない、特段の人にしか附け届けしない。附け届けしないということが原則であつて、附け届けしたということが例外になつているのじやないですか、この場合は‥‥。
  426. 砂原季也

    証人砂原季也君) この場合お集まりになつた方には附け届けしなかつたかも知れませんが、今まで大体‥‥。
  427. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 司法関係の人のみに附け届けをしておる。附け届けをしないことが原則的に行われているのじやないですか。それを聞くのです。來た人には上げることが原則だとおつしやるけれども、司法関係の人のみに附け届けするということが原則的に行われたのじやないかと、こう聞くのですよ。
  428. 砂原季也

    証人砂原季也君) 司法関係の方にだけそういうふうにするというわけじやございません。他の人にも‥‥。
  429. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の人に誰にしたのですか。
  430. 砂原季也

    証人砂原季也君) そのメンバーではございませんけれども‥‥。
  431. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の人に誰にしたのですか。この関係でよんだ中で‥‥。
  432. 砂原季也

    証人砂原季也君) この関係の方はございませんと思います。
  433. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 司法関係の人のみじやないですか。結果的に見てそうでしよう。それだからあなたは、あなたの了承していることを含んでいらつしやるから、そういう矛盾が出て來るのですよ。山之内とか、勝田とか、高橋とか司法関係の人には附け届けしようと思つたが家が分らなくて届けなかつたのでしよう。
  434. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつとはつきりした記憶ございませんが、家は分つてつたと思いますけれども‥‥。
  435. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはそういうふうに檢事局へ言うているのですか。
  436. 砂原季也

    証人砂原季也君) そんなこと言つておりませんですね。家が分らなかつたから届けなかつた‥‥。
  437. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 言わなかつたことを檢事局で書いているのですか。
  438. 砂原季也

    証人砂原季也君) 家が分らなかつたと、そんなこと言つた覚えはございません。
  439. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事局でそうおつしやつているのですよ。
  440. 砂原季也

    証人砂原季也君) そういうことを檢事局で言つた覚えはございません。そういうふうなことを問われたように思いませんですが‥‥。そういうふうに答えたことはないと思つておりますが‥‥。
  441. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなたがいつからいつまででしたね、祕書をやつたのは‥‥。
  442. 砂原季也

    証人砂原季也君) 二十二年の四月から今まででございます。
  443. 大野幸一

    ○大野幸一君 その間に闇米をどのくらい買いましたか。一人二斗ずつ或いは一斗ずつやつたのですから、相当買つた筈ですね、どのくらい買いましたか、大体‥‥。
  444. 砂原季也

    証人砂原季也君) 分りませんが、あとから‥‥。
  445. 大野幸一

    ○大野幸一君 何俵とか何十俵とか、金額にしてどのくらい。
  446. 砂原季也

    証人砂原季也君) 分りません。違いますと‥‥。
  447. 大野幸一

    ○大野幸一君 違つてもいい。数字の違うことは。‥‥。
  448. 砂原季也

    証人砂原季也君) 十俵くらいあるかと思います。もつと多いか‥‥そんなものじやないかと思います。
  449. 大野幸一

    ○大野幸一君 誰から買いました。
  450. 砂原季也

    証人砂原季也君) それは金子というのから買つております。
  451. 大野幸一

    ○大野幸一君 名前は。
  452. 砂原季也

    証人砂原季也君) 吉郎といつて、前に秩父木材のなんか社員でございますが、ちよつとブローカーというわけでございませんけれども、よく手に入るらしいものでしたから‥‥。
  453. 大野幸一

    ○大野幸一君 どのくらいで、当時東京の闇で‥‥。
  454. 砂原季也

    証人砂原季也君) ‥‥。
  455. 大野幸一

    ○大野幸一君 社長も知つてつたわけですね。
  456. 砂原季也

    証人砂原季也君) はあ社長も知つていると思いますが、或いは知らないかも知れませんが、よく言えば思い出すかも知れません。
  457. 大野幸一

    ○大野幸一君 全部そういうのは皆附け届けに使つたのですね。
  458. 砂原季也

    証人砂原季也君) 殆んどそうです。
  459. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなた收容されて、その結果どうなつたのですか。
  460. 砂原季也

    証人砂原季也君) 私でございますか。
  461. 大野幸一

    ○大野幸一君 え。
  462. 砂原季也

    証人砂原季也君) まだ公判がございません。
  463. 大野幸一

    ○大野幸一君 何罪として‥‥。
  464. 砂原季也

    証人砂原季也君) 贈賄罪として。
  465. 大野幸一

    ○大野幸一君 贈賄幇助罪ですか。
  466. 砂原季也

    証人砂原季也君) 共犯になつておると思います。
  467. 大野幸一

    ○大野幸一君 誰の関係
  468. 砂原季也

    証人砂原季也君) 商工省の硫安班長の津田信英氏であります。
  469. 大野幸一

    ○大野幸一君 それの共犯になつておる‥‥。
  470. 砂原季也

    証人砂原季也君) そうです。
  471. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金子吉郎はどこです、住所は。
  472. 砂原季也

    証人砂原季也君) ちよつと覚えておりません。
  473. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社では分りますね。
  474. 砂原季也

    証人砂原季也君) 分ります。
  475. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お帰りになりましたら、住所をこちらに通知して下さい‥‥、こちらへはよろしうございます。  外に御質問は‥‥じや御苦労樣でした。これで休憩いたしまして、午後一時半から‥‥。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後一時四十四分開会
  476. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午前中に引続きまして開会いたします。  中島忠之さんでございますか。
  477. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうでございます。
  478. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は‥‥。
  479. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 五十一であります。
  480. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いは呼出状に差上げたところでございますね。
  481. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうでございます。
  482. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御経歴を簡單に一つお述べ願います。
  483. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 大正八年に法制大学を卒業しまして、一年兵隊に参りましたから多分大正十年だと思いますが、毎日新聞社に入社いたしました。それから日本電報通信社、それから地方新聞の編集長をやりました。爾來その職にありまして東條内閣の新聞統合の際に新聞社がなくなりましたので、あれは戰爭のときでありますから昭和十七年だと思いますが、衆議院議員に立候補いたしましたので自然罷めました。その後二、三の会社関係しておりますが、一昨年の十月追放令が來ましたので追放者であつて何もやつておりません。
  484. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在何もおやりになつておらないのですね。
  485. 中島忠之

    証人(中島忠之君) さようでございます。
  486. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと重政誠之さんですか‥。
  487. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 懇意であります。
  488. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうような‥‥。
  489. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 私が日本電報通信社に、俗にいう電通といいますか、電通の記者をしておる頃農林省を担当しておりまして、その頃重政君は若い事務官でありましたので、その頃から面識があるのであります。ことに親しくいたしましたのは私の親友であります河野一郎君が重政君と又親友でありまして、たまたま河野君の事務所と重政君の事務所が丸ビルの四階の丁度隣同志になつておりますので、この二、三年皆同じ追放者仲間で、碁を打つたり何かして遊んでおるものですから特に親しくなつたわけであります。
  490. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの事務所もどこかそこにあるのですか。
  491. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。河野君の事務所に毎日のように行つております。
  492. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう関係で最近は極く親しくお暮しですね。
  493. 中島忠之

    証人(中島忠之君) さようでございます。
  494. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か事業上のことで重政君とお附合い‥‥。
  495. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。
  496. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か政治上のことは‥‥。
  497. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。
  498. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か政党の院外團関係というようなこともおありになるのでありますか。
  499. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 私のですか、ありません。ただ一昨年の選挙のときに黒田寿男君の影響下にある熊本農民組合の支持を受けましたので、社会党に入党いたしました。
  500. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと渡邊薫檢事との御関係は‥‥。
  501. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 渡邊君は私の郷里であります熊本縣菊地郡隈府町の、同じ町内の同郷の私の後輩でございます。年代はちよつと忘れましたけれども、かれこれ十五、六年程前じやないかと想像いたしますが、熊本の第五高等学校を卒業して、東京の帝國大学に渡邊君が入学いたしましたとき、非常に貧困の家庭に生れておりますので、学費がなく今の言葉でいうとアルバイトを捜して貰いたいという添書を持つて頼みに見えましたものですから、私がたまたま地方新聞の編集長をしておりましたので、初め校正に使い後に地方版の夜の編集をやりまして学費を出してやりました。その関係上爾來今日まで私みたいなものを兄か何かのように殆んど兄弟同樣に自分の家に遊びに來たりしております。その妻も私の社に一緒使つておりました女の事務員でありましたから、余計私の妻及び家族のものとも家族同樣に附合つておるような次第であります。
  502. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 極く近しく暮してございますか。
  503. 中島忠之

    証人(中島忠之君) さようでございます。
  504. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政という人と渡邊さんと会食するに至つた事情についてお述べ願いたいと思います。
  505. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 日にちは私もはつきり記憶いたしておりませんが、多分春の東京競馬のある頃でありますから、五月頃と想像いたしますが‥‥。
  506. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年ですね。
  507. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 明けまして昨年であります。渡邊君が、自分住所は茨城縣の土浦にあります関係上、何時とかの汽車に乘りませんというと、うまく帰れないそうでありまして、たまたま事件の捜査や何かで遅くなるようなときには、しばしば私の方に泊りに來ております。そのときも大変遅く私の方に泊りに來たものでございますから、一体この頃何をやつておるかねと聞きますと、実は昭和電工の家宅捜索をやつて非常に多忙だ、で私は日野原君とも一面識も今以てありませんし、誰も因縁はございませんので、非常に激励したようなわけでありまして、たまたまそれが翌日か翌々日かの新聞に出ましたものでございますから、この檢事は僕の書生同樣の男だというようなことを私は事務所で話しました。そうしますと、それから幾日か、一週間程経ちましてから、重政氏が一遍会いたいものだねというような話が出ましたので、それでは今度俺の家に泊りに來たとき、俺が連絡するから來たらいいじやないか、こう言つたのが起りでございまして、日にちもこれ亦はつきりいたしませんが、或る日その昭和電工の家宅捜索をしてから二週間目くらいだと思いますが、渡邊君がたまたま私の家に泊りに來ておつて、夜二人で酒を飲んでおりますときに、重政君が丁度その日は宴会があつたと思いますが、宴会先に私が電話して渡邊君が來ておるから帰りに寄らんかねと言いましたから、あの人が帰りに寄りましたので、そのときに会つたのが初めでありおしまいでございまして、ただ一回であります。
  508. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その最初に事務所でお話なつたときに、重政氏とそれから河野氏もおつたのですか。
  509. 中島忠之

    証人(中島忠之君) おつたろうと思います。
  510. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御両氏の外にどなたかおつたのですか。
  511. 中島忠之

    証人(中島忠之君) いつも二三人おりますけれども、その日おつたかどうかをはつきり記憶いたしませんが‥‥。
  512. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くともお二人はおつたのですね。
  513. 中島忠之

    証人(中島忠之君) おつたと思います。
  514. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときは雜談に終つたのですか。
  515. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 主に雜談であります。併し会社のことを、昭和電工のことをか、日本水素のことかは私も酒を飲んでおりますからはつきりしませんが、説明らしいものを重政氏がしておつたことは記憶にありますけれども、渡邊君はどうも余り緊張しておるようなふうではありませんでした。
  516. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは宴席の話ですね。
  517. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうであります。私の家での話であります。
  518. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私の今お尋ねしておるのは、最初渡邊氏がお宅に泊られたときにか寄られたときに、何をやつておると聞いたら昭電をやつてつて忙しいと聞いて、その翌日新聞に出ておつた
  519. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 翌日か翌々日です。
  520. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 翌々日かの新聞に出ておつた、その新聞を中心に河野氏の事務所で、この係の檢事自分の知つておる‥‥。
  521. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 自分の書生同樣のものだが、頭がいいからこんな大きな事件をやるようになつたと言つて私が話をいたしました。
  522. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときにはそれについて重政氏は何とも言いませんでしたか。
  523. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 言いませんでした。ははあというような調子でありました。
  524. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに少くとも重政氏が昭和電工関係があるということは御存じなかつたのですか。
  525. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 知りませんでした。
  526. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏と関係があるということを御存じなかつたのですか。
  527. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 存じませんでした。後に知りました。
  528. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政氏が関係があるから、そういう話を特に取上げてお話なさつたということじやないのですか。
  529. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうではありません。
  530. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただ新聞を中心にして、その事件の話をした‥‥。
  531. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうであります。
  532. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別にそれに対して何か詳しい質問はなかつたのですか。
  533. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありませんでした。
  534. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから後に一週間とか二週間経つてから‥‥。
  535. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 一週間ぐらいだつたと思います。
  536. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政氏から面会を頼まれたのですか。
  537. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうであります。
  538. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう必要だということをお聽きにならなかつたのですか。
  539. 中島忠之

    証人(中島忠之君) もうそのときは、私も重政氏は肥料行政の何と申しましてもエキスパートでありますから、昭和電工日野原氏と懇意であろうくらいのことは勿論想像いたしました。併しこれは委員長よくお聽き願いたいのでございますけれども、若し今度の事件になつたようなことがありましたならば、本來ならば河野君が私に言うべきことなんです。河野と私は二十数年來の親友でございました、今日の社会的立場は若干私が非常に何でありますけれども、併し貴樣が俺がという仲でありますから、こういう事件が起つたから骨折つてやろうということを言うならば、河野が私に言わなければならんのです。又その外の大野や松岡の話もありますけれども、議会の関して重政の工作すべき必要があるならば、重政はむしろ河野にすべきであります。でありますから河野から何の話もありませんし、誰からもそんな話がありませんでした。私は重政氏が昭本電工の日野原氏と懇意であるということは、勿論後には分りましたけれども、そのときまでは関係があろうとは思つておりませんでした。
  540. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ところが重政氏が、河野氏を通せずして直接にあなたに面会を、紹介を頼んだわけですね。そのときにあなたは、どういうようにお感じになりましたですか。
  541. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうでございますね。
  542. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特に係檢事がですね。
  543. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 若し日野原氏がそのとき收容でもされておりますれば、私ももつと愼重に眞面目に考えたかも知れませんけれども、何しろ五月頃のことでございますから、別に深く考えませんでした。
  544. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども昭和電工関係する檢事に特に面会したいというのだから、何か事件のことについて了解を求めるとか、或いは説明したいとか、何か事件のことを聞き出したいとか、何か必要性があるのでしようね。
  545. 中島忠之

    証人(中島忠之君) と思います。だけれども、そういう話は、酒も飲んでおりましたし‥‥。
  546. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、招介されたときの氣持をお聽きしておるのですね。一遍会いたいといつてあなたにお願いしたときの重政氏の‥‥。
  547. 中島忠之

    証人(中島忠之君) それは重政氏の氣持は、今の私の氣持とは大変違うと思いますがね。今ならばすぐそう言えます。
  548. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今のではない、そのときの‥‥。
  549. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そのときは、私はそういう氣持はありませんでした。
  550. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かその人に会いたいというのですからね。目的がなくちやおかしいですね。
  551. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 尤も渡邊檢事がどういう性格でどういう境遇であるかというようなことは、私も聽きましたですけれども、それはもう只今でも、いつでも、申上げられますが、率直に私は言うたことは事実でありますけれども、別に渡邊君を渡邊檢事を通じてどうしようというような氣持が動いていたとは考えられませんでした。その頃は。
  552. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども重政氏がだね、まだ面識のない人を、あなたが懇意だということをたまたま聞いたものだから、あなたに紹介を頼んだというのだから、何か重政氏が会わなくちやならん‥‥。
  553. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 今なら直ぐ分ります。今ならあの二人の関係から私を通じて重政氏に紹介すべきであつたろうということは今なら言えますが、そのときはそういうふうにして、まあ一杯飲めやくらいのことで、齢も丁度私と重政君と違わない。でありますから、三人共偶然に酒好きですから、よかろうくらいのことでありました。そのときは今の私の想像することとはまるで違つた氣持でありまして、特に重政が何らかの意図を持つていたことは勿論あつたでしようが、そういうふうには私は考えておりませんでした。
  554. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政として或る一つ目的を持つてあなたに紹介を頼んだことに違いない、漫然と会いたいということはないと思いますが‥‥。そうあなたとしてそれをお感じにならんか、少くともお話があつたのじやないかということをお尋ねするわけです。
  555. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そういうふうには感じませんでした。その証拠に、家内にも女中にも聞えるような大声で言つたのですから祕密的な話はしませんでした。
  556. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 漫然紹介したというわけですか。
  557. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうであります。
  558. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのとき何ら氣が附かなかつたわけですね。さては昭電のことについて何か頼みに來たなというふうにはお考えになりませんでした。
  559. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 今はそう思いますが、そのときはそう思いませんでした。
  560. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで予め日は決めたわけではないですね。
  561. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 決めたわけではありません。
  562. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今度來たときに‥‥。
  563. 中島忠之

    証人(中島忠之君) いつ來るかも分らないから‥‥。
  564. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 來たときに通知してやろう、たまたま見えたから……。
  565. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 電話をしたら宴会だということが分りました。間もなく電話がかかつて來て、行つてよいかと言うから、そのときは、よかろう‥‥。
  566. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこへ電話をするという約束はありましたか。
  567. 中島忠之

    証人(中島忠之君) うちに電話して‥‥。
  568. 伊藤修

    委員長伊藤修君) うちに電話を‥‥。
  569. 中島忠之

    証人(中島忠之君) やりません。うちに帰つたら、今電話をかけた、直ぐ折返し電話がありまして、宴会が終つたから行つてもよいか、よいとも來給え、一杯飲もうという態度でありました。
  570. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当夜のことは重政氏がまだ來ない前から食事を始めましたか。
  571. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 酒を飮んでおりました。これは私の家内に聞いても分りますが、彼も長酒、私も長酒。六時頃から八時半頃まで飮んでおりました。
  572. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつもあなたをおもてなしするのと、そのときは別段に違つておりませんか。
  573. 中島忠之

    証人(中島忠之君) いいえ、それは粗末なものでございます。
  574. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつもお出でになるときのもてなしと同じようなもてなしでしようか。
  575. 中島忠之

    証人(中島忠之君) さようでございます。
  576. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当お飮みになるようですが、どのくらいの量を飮まれましたか。
  577. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 二人でうちにありましたウイスキーを一瓶あけたくらいに飮みました。
  578. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 洋酒ばかりで‥‥。
  579. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 洋酒ばかりでありました。
  580. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから重政が見えたのですね。
  581. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうです。
  582. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこで先程の‥‥。
  583. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 酒を一升下げて來ました。日本酒を‥‥。
  584. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当長い時間‥‥。
  585. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 寢たのが十二時です。
  586. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政氏が見えてから‥‥。
  587. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 二時間半ぐらいおりましたろう。とにかく寢たのは十二時頃でした。
  588. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政の來たのは九時半頃ですか。
  589. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 九時半頃であつたと思います。とにかくもう寢ようじやないかということで、床を並べて寢たのはかれこれ十二時でありました。
  590. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、それだけの長い間、いろいろな話が出たでしようけれども、昭電の話も出たのでしようね。
  591. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 私醉つぱらつていたものですから、はつきり記憶いたしませんけれども、出たと思います。
  592. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 用事の目的がそこにあるのだから、何かいろいろ‥‥。
  593. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 併し渡邊君の言うたことは間違ないのですから、大したことはなかつたと思うのです。一流の官僚でもつまらんものですなと言うたのです。渡邊君から見れば一流の官僚に‥‥、重政は一流の官僚に相違ありませんが、一流の官僚といつてもつまらんものですなということを熊本の言葉でいつたのです。だからくだらんことだつたろうと思います。
  594. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政氏を評して、あとで‥‥。
  595. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 私と床を並べて寢ましたときに、先輩の前ですから、一流の官僚といつても、熊本の言葉で言わんと分りませんが‥‥、つまらんものですなと、こういう調子で言つたのでありますから、つまらない話ではなかつたろうかと思います。
  596. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先程ちよつとお話がありましたように、あなたからですね、宴席ではどういうような話をしたということはお覚えていらつしやいますか。
  597. 中島忠之

    証人(中島忠之君) とにかく私はけしかけられましたからね、余りけしかけるなよというようなことは重政君に私は言つたようでした。こういう私の氣持なんでありますから‥‥。
  598. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事件を断乎として徹底してやらなければならんということを、あなたから強いことを言つたのですね。
  599. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうであります。
  600. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政氏は‥‥。
  601. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 重政氏は、自分自身のことは一つも言わなかつたことは間違いありません。
  602. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社のことについてはいろいろ聽かれたのですか、頼まれたのですか。
  603. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 言いませんでした。
  604. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か昭電を中心にしていろいろお話があつたのでしよう。
  605. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 家宅捜査のときにおける社員の狼狽振りであるとか、女事務員に非常にしつかりした人があつたということは、印象的でありますので記憶にありますが、会社の中味のことは、仮に言うならば、日を改めたかも分りません。私は又妻や女中を近付けなかつたかも分りません。それは非常にオープンにやつたのでありますから、混み入つた話があつたとは思われません。どうも想像できません。記憶もありません。
  606. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 座談に藉口して、かどのないような話に形体を取つて事件の進行状態とか、或いは今後の捜査方針というようなことをお聞きになつたのじやありませんか。
  607. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そういうようなことは断じてありません。これはあとから私が想像するのでございますけれども、その日はほんの顔見せ程度で重政君が來たのじやないかと私は想像しておるのです。その後、これはこういうことをすれば、何遍も会つたり料理屋に行つたりなんかするようなことがあれば、相互に非常に迷惑を受けるようなことができはせんかということを、後に直ちに察しましたから、爾來会おうともしませんし、会わせようとも私しておりません。
  608. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政氏の意図としては、何かそこで聽き出そうという考えであつたことは想像されますがね。
  609. 中島忠之

    証人(中島忠之君) それはされます。されますけれども、三人とも酒飮みでございますから、家庭でありますから、いつものように猥談をしたりするようなことはありませんでしたけれども、まあ俗にいう酒の座の話が多かつた重政氏の意思は、一應懇親を結んで後、或いは何かそういつたような、委員長の言われたようなことの意図があつたかも知れませんけれども、私の家ではさようなことはありませんでした。実は今日ここへ來ますときには、家内や家のものに、どんな話をしたろうかねと聞いたら、わあわあ言つて大きな声で‥‥、三人とも声が大きうございますが、どうということはありませんでしたということを言つておりました。近所に聞こえるくらいの大声でやつてつたということですから‥‥。何か御参考になりはしないかと思つて、実は家のものに聞いて見たのですけれども、纏まつた話はなかつた言つております。
  610. 伊藤修

    委員長伊藤修君) でも両方とも相当の人ですから、座談に紛らわしまして、その片鱗を掴んで行くという話術もありますものですからね、直接そればかりに話を向けて行かないといつた話術がありますから‥‥。
  611. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 併し何といたしましても、昨年の五月頃には重政氏があの事件にかかり合があるということは容易に想像はできませんし、もしそういう危險があるならば、重政は私に言いにくかつても、少くとも、親友河野を通じてでも、おれの身辺は危險だからよろしく頼むということは言つた筈です。
  612. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当時の重政立場としてはむしろ自分のことよりも昭電の事件に対する関心が深かつたと思いますね。
  613. 中島忠之

    証人(中島忠之君) それならば重政氏は私に何も言わない。私は日野原は反対ですから、ですからそれははつきり分つておりますから言う筈はありません。とんでもないことを言うなと私に叱られるのが落でありますから‥‥。
  614. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電事件に対する進行状態、檢事局の考え方を打診する意味ではなかつたでしようかね。そういう話がそこで‥‥。
  615. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 話はありませんでした。若し本当に腹を割つて日野原を助けたいとか、捜査方針を訊きたいとか、今の進行模様を訊きたいということを重政君が考えておつたとするならば、もう少し私に対する工作をしなければならない筈です。私はそんなに弱くないんですから、一遍くらい喧嘩をするくらいしなければ、私は容易に應じない筈ですから、それにはどんなことがあつても河野を使わなければならない筈です。河野の言うことなら一遍は私は聞かなければならない義務があるのですか‥‥、河野には何にも言うておりませんので謀があつたかも分りませんけれども、その後会わせなかつたし、又会つてもしませんから、家に一杯呑んで話したこと以外の深さは考えられません。
  616. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときは重政氏は昭電の事件の説明はされたんですか。いわゆる國家的に重要な会社であつて‥‥。
  617. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 何かしおるようでした。
  618. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渡邊さんからそれを聞く、聞かんは別として‥‥。
  619. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 渡邊さんはそういう性格の男ですが、ふふんという態度をする男でありますが、私がおるものですから不礼な態度をとれなかつたものです。ははあという程度でした。
  620. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くとも説明はしなければならんのですね。
  621. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 併ししませんでした、取り止めて‥‥。
  622. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くとも話題に上つてつたんですね。
  623. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 多少あつたかも知れませんが‥‥。
  624. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからその問題については渡邊さんにもう一遍紹介してくれということは会いたいとかいうことを言うて見たことはありませんか。
  625. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。
  626. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ちつとも。
  627. 中島忠之

    証人(中島忠之君) はあ。
  628. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その件について、若し昭電のことについて河野さんを通じて何かそういうような話はなかつたんですか。
  629. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。
  630. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あつたけれども断つたということではありませんか。
  631. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。それは本件に関係がございませんので、申上げませんけれども、河野君に重政氏がそういつたようなことでまあ仮りに私に工作する必要があるとするならば、河野を通じなければならんことは、今申上げた通りでありますけれども、河野君はむしろ松岡、大野両君と重政氏が親しかつたことを不快にさへ思つておるくらいでありますので、言う筈はありません。
  632. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 話はちよつと前の戻りますが、今のは席上で重政氏が、いわゆる昭電は、つまり政治献金はしていないのであるから、まあいろいろな言葉で言うたんでしようけれどもよく了解して貰いたいという、要約すればそういうような趣旨のことを述べたのじやないでしようか。
  633. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 述べておりません。私は聞きません。
  634. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政氏はそういうふうに述べたということを言われておりますがね。
  635. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 私は聞いておりません‥‥。管原通齋という人が日野原のために政治献金をしたとかいうようなことは絶対にないというようなことは言いましたが‥‥。
  636. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 絶対にないということは、要するに了解を‥‥。
  637. 中島忠之

    証人(中島忠之君) いやそれは違います。管原と日野原とは義理の兄弟であるそうでありますが、非常に仲が惡いというようなことは言いました。それは私は記憶にあります。記憶にあることの一つでありますが、了解運動的な若しくは捜査方針を探索するといつたよう意味の意図があつたかも分りませんが、私はどうもそのようには記憶いたしておりません。
  638. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重政がそのときに私は渡邊檢事に現今では政党献金がないこと‥‥何故なら融資の問題は資金計画ができと、それによつて嫌でも融資することになるからであります。その外は占領下において渉外費を使うことは避けられないこと、日野原氏は全面的に見て功績があるから、檢察廳としてはこの事件を高い見地から御判断を願いたいと申しました。渡邊檢事はそれに対して何の意見も申しませんでした。こういうようなことを言つておりますがね。
  639. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 私は聞いておりません。記憶がありません。
  640. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは中座されたんですか。
  641. 中島忠之

    証人(中島忠之君) いいえ、中座しませんけれども、そういう筋道の立つたきちんとした話はしておりません。
  642. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論これは文章になりますからきちんとなりますけれども、座談でそのときにはこういう表現はしていないでしようが、要するにこういう趣旨が全体を通じて話があつたのじやないですか。
  643. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 記憶がありません。
  644. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当飲んでいらつしやつたのですか。
  645. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 相当飲んでおりました。
  646. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは自分のことでないのだから、両者を引合せすれば、両者がどんな話をしようが無関心で御酒を召上つていらつしやつた、そういう意味ですか。
  647. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 非常に無関心でありましたし、私の家は‥‥委員長の前ですが、廣くないのです。應接間で飲んでいて、その隣に何疊かありまして、その隣には家内や女中がおるのでありますから、今私が申上げるような声ならば完全に家の中に聞えるのでありますから、もつと大きな声で言つておりましたから、まあそう言つたような筋道の通つた話は聞きもしません。自分も勿論言いませんが‥‥。けしかけたことは勿論ありません、惡い言葉でありますが、激励したことは勿論ありません、私から‥‥。
  648. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先程昭和事件がやかましくなつて來たが、渡邊君のためにもそれに会わせることはよくないから会わせなかつたとおつしやつたですがね。それはどういう意味ですか。
  649. 中島忠之

    証人(中島忠之君) それはその後私の所へ何遍かやはり寢泊りに來ましたけれども、まあ会わせようと思えば会わせられるわけであるます。又重政氏の身辺に後日起つたようなことがあるような氣配がいたしましたならば、私は恐らく会わせたでしよう。併しそのときはもう何も知りませんし、又そういうことが私も二十五年新聞記者をしておりますから、大体の空氣というものは、今現役でありませんけれども察知ができましたから、これは檢察廳あたりでは了解しておるなということが大体察知できましたから、そういうことはしてならんという建前から、一切渡邊君が私のところへ参りましてもそういうことに触れないように普通の話をした程度であります。況んや重政若しくは日野原君の便宜を計るというようなことは言いたくも言いませんでしたし、その後一遍も会うておりません。
  650. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するにあなたとしては、あなたの後輩であつて、本人を育て上げた立場があるから渡邊氏の身を思つて、そのことには携られんようにしたわけでありますね。
  651. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうであります。
  652. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 從つてあなたは渡邊氏からいろいろのことを、特に昭電についてお聞きになつたということはないのですね。
  653. 中島忠之

    証人(中島忠之君) 聞いても恐らく言いますまい。
  654. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お聞きななつたことはないのですね。
  655. 中島忠之

    証人(中島忠之君) はあ。
  656. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは河野氏を通じて話をするということもないわけですね。
  657. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。
  658. 伊藤修

    委員長伊藤修君) するとそれは一回だけですね、御関係は‥‥。
  659. 中島忠之

    証人(中島忠之君) そうであります。
  660. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の方からあなたにお願いして了解運動の橋渡し、若しくはあなたの御存じない範囲においてそういうことを渡邊君にしたことはありませんか。
  661. 中島忠之

    証人(中島忠之君) ありません。
  662. 大野幸一

    ○大野幸一君 その渡邊檢事があなたに、寢んでから一流の官僚でも詰らんものであると、こういう話をされた意味は、渡邊氏が、重政了解運動らしいことを言つたために不愉快に感じて、そういうことを言つたんですか。
  663. 中島忠之

    証人(中島忠之君) それは大変御尤もな御質問でございますが、ちよつと申上げるとお分りになりますと思いますですが、実は渡邊君は初め裁判官になるはずではなかつたのであります。あれは中学校を出ておらんので、農学校なんです。非常に秀才であつたために、熊本の高等学校に行つて、後に法科に行つたんですが、農林省の文官試驗を受けたんです。そのときに重政は選考委員なんです。多分廣田内閣ではなかつたかと思いますが、島田俊雄氏が農林大臣じやなかつたかと記憶しますが、私運動したんです、入れてくれと言つて‥‥。文官試驗の成績も非常によろしいし、人物も非常にいいけれども、採用になるはずのところをどういうわけか採用になりませんでした。どうして採用にならんだろうかということをいろいろ研究をして見たところが、余りに家が貧困だからということであつたらしいのであります。それで彼は非常に憤激しておりまして、一時私の社にも寄り付かんようにしておりましたから私呼び付けて、それじや行政官を止めて司法官試驗を取るかねと言いましたところが、司法官試驗はやさしいから直ぐ通りますよというので、受けて見給えと言つたら、直ぐ通りました。併し農林省に採用されないくらいの、乞食と人間との間くらいの家庭なんでありますから、折角通つてやつを採用されなければ困るので、先輩にもお願いして、見習に採つてつたような次第でありまして、渡邊君の心底には、農林省の官僚というものには何といいますか甚だ面白くない氣持があつたんじやないかと思うのです。殊に重政氏であるとか、今の農林大臣の周東君であるとかいう人は非常に優秀な官僚で、農林省を志す人間はみんな知つておる人間で、非常に尊敬しておつたから、分らんものですから、そういうことを言つたのでなかろうかと思います。不思議なこともあるものだね。採用のときには君を拒絶して、今又おべつかを言うのはおかしいというようなことがあつたのです。こういう話を申上げればよく分ると思います。
  664. 大野幸一

    ○大野幸一君 渡邊檢事としては立派な考えつたんですね。
  665. 中島忠之

    証人(中島忠之君) と思います。
  666. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうもお忙がしいところを‥‥。
  667. 中島忠之

    証人(中島忠之君) いいえ。    〔証人水池亮君着席〕
  668. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 水池亮さんですか。
  669. 水池亮

    証人水池亮君) はい、水池亮であります。
  670. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は。
  671. 水池亮

    証人水池亮君) 五十才です。
  672. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いは呼出しを差上げた所ですね。
  673. 水池亮

    証人水池亮君) そうです。
  674. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御経歴をおつしやつて頂きます。
  675. 水池亮

    証人水池亮君) 大正十五年に東京帝國大学を卒業しまして、その年に内務省に入りました。それから鹿兒島縣の事務官、それから奈良縣の警視、北海道の警視、その後警保局の事務官、それから宮内書記官、それから警視廳の官房主事、内務書記官、それから警視廳の特高部長、それから内務省の書記官にもう一度帰りまして、海軍司政長官、それからその後東京都の防衞局長、最後が内務省の警保局長であります。それで昭和二十年の八月終戰と共に退官いたしました。
  676. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじや終戰当時は警保局長をおやりになつたんですね。
  677. 水池亮

    証人水池亮君) そうでございます。
  678. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それが最後の官歴ですね。
  679. 水池亮

    証人水池亮君) はい。
  680. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原節三氏とはいつ頃からお知り合いですか。
  681. 水池亮

    証人水池亮君) 日野原氏は私は別に附合いはありませんが、学生時代から知ることは知つておりました。それで、学生時代、まあ顏と名前を知つておるという程度で、卒業後の附合いは全くありませんでした。ところが一昨年の、時期ははつきり覚えておりませんが、確か七月前後だつたと思うのです。
  682. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十二年のですね。
  683. 水池亮

    証人水池亮君) はい。二十二年の七月頃だつたと思つておりますが、親友の菅波稱事君これは私共より日野原君に更に近しい学友です。それの引合せで日野原君の会社をお訪ねたことがあります。その時に、今申しました学友の菅稱事君から、私と今日証人にやはり喚ばれております学友の入江誠一郎君と二人に対して、日野原君が先般昭和電工社長に就任したから、それで君たち二人は日野原自分相談したんだが、顧問を引受けないかと、こういう話がありました。そのときにその突嗟の話で分らんからということで、それから数日後の菅波君と入江君と私が、昭和電工の本社に日野原君を訪ねました。そのときに、要するに学生時代から初めて日野原君に会つた機会だと思つております。そこで日野原君から会社工場がどこにあるとか、生産能力がどれくらいあるとか、今増産に非常に馬力をかけておることだとか、そういうことを大分ながなが説明してくれました。それで顧問というのにお願いするといつても、そんなに常時用事はないんだ、まあ特に用事がある場合は、私の方から連絡しますからと、こういうことで、菅波藤も同席におつて、どういう話も菅波君と四人でして、そこを散会したことがあります。
  684. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは証人日野原氏に最近に懇意になられた事情ですね。
  685. 水池亮

    証人水池亮君) そうでございます。
  686. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから以來は顧問としてその職に携つていらつしやつたわけでございますね。
  687. 水池亮

    証人水池亮君) そうでございます。それから以來と申しますと、今申しましたその話が二十二年の七月前後だつたと思うんですが、それからその間日野原君のところへは会社に一回ぐらい寄つたと思つております。それから今日も証人に見えておりましたが、砂原という秘書が二、三回私のところへ寄られたことがあります。それでその間に大して纏つた話もなかつたのですが、この砂原君から伺つたことか、日野原君からか、どつちから伺つた話か正確に覚えておりませんが、大体総合いたしますと、日野原昭和電工を引受けられて入つたが、内外に相当反対の人などもあつて、相当中傷といいますか、各方面に投書なんかがあつて大変迷惑をしておる、こういうような話を誰からか、いつだつたか正確に覚えておりませんが、伺つたことがあります。それでそのぐらいな話で私のところへ特に顧問にお願いしたいといわれて、自分の方から連絡を取るといわれたことに相当したような用事を持つて來ずに翌年になりました。それで確か昨年の二月か或いは三月頃だつたと思いましたが、その頃に砂原君が私のところへ寄られたのが最後で、勿論その年になつてからは日野原君に会う機会もありませず、そのままになつております。顧問ということは自然消滅の恰好になつたのが経過であります。そしてちよつと皆申上げさせて頂きます。
  688. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうぞ。
  689. 水池亮

    証人水池亮君) 丁度一昨年の、これも時期は余り正確に記憶しないのでありますが、十月か十一月、十二月、或いは昨年の一月になつたかも知れません。その間に先程申しました日野原君か、砂原君かどつちからか伺つておりました、相当内外に反対意見の人もあつて、その人の関係等から各方面に投書、中傷がある。こういうので困つておる話と、もう一つは、これは更に記憶が正確じやないのでありますけれども、会社の方に警察官の人がときどき來られて、そうして責任の位置にいないような人から会社全体のようなことをちよちよい聞かれるようなことがあるのです。社長のところへ耳に入る、これではその会社のことを警察の人がお聞きになる場合には、一つそれぞれ担当者があるから、それに聞いて貰うようにしたら工合がいいのだがというようなことを、確かその両氏のどちらからでありましたか聞いたように思います。で、私この二つの事柄とどうも一々こう受け答えするのは当然の、大して格段の考のあります事柄でもありませず、その二、三回の話を聞きましたものを総合いたしまして、これが時期は先程申しました、確か一昨年の十月から去年の一月までの間だと思うのでありますが、その二つの点け警視廳の刑事部長だつたと思うのでありますが、そのところにこれはあの辺に立寄つた機会に、日野原君と私の関係を前置きに話しまして、そうして会社の方では何でも大分各方面に投書や中傷が行くので迷惑しておるような話だということと、それから警察官の人が、会社のこと全体を心得える立場じやない人のところで、いろいろなことを聽かれることが一、二あつたということで、会社の方は氣を使つているようだがということを、別にお願いするとか、或いは意見をいうとかという程のことはなくて、そういうことを耳にしているがということを話したことを記憶しております。大体その間に起りました経緯として、纏つて頭にあるのは以上の通りであります。
  690. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとあなたは顧問として一昨年七月就任された‥‥。
  691. 水池亮

    証人水池亮君) 一昨年の七月頃だと思つております。
  692. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顧問に対する報酬といいますか、俸給といいますか、それはどういうことになつておりますか。
  693. 水池亮

    証人水池亮君) 顧問の報酬は、当初は確か二千円だと思つておりました。それで後昨年の三月頃まで三千円に上げて來ておつたように思つております。毎月届けて來ておりました。その額なり時期はちよつと正確に存ぜん点がありますが‥‥。
  694. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 年末とか半期に何割とかいうものを‥‥。
  695. 水池亮

    証人水池亮君) どうもそういうことは記憶しておりませんが、確かなかつたと思つております。
  696. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か間に附け届けでもするわけでありますか。
  697. 水池亮

    証人水池亮君) 間に附け届けと申しますと‥‥。
  698. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお金以外の物品を顧問の人に会社から何か附け届けするわけでありますが、そういうものはありませんか。
  699. 水池亮

    証人水池亮君) そういうものは別段ありませんが、何か会社へ寄つたときにウイスキーを一本貰つたことがあります。
  700. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家庭の方へ送つて來るようなことはございませんか。
  701. 水池亮

    証人水池亮君) ございません。
  702. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 職務の範囲というものは、何もこれというものもないわけでありますね。
  703. 水池亮

    証人水池亮君) 範囲といつても、就任のときに引受けましたときの話は先程申上げた通りで、途中において起りましたことはそのくらいの程度であります。そうして昨年の三月前後に自然解消の恰好になつておりまして‥‥。恰好と申しますか、当初から辞令も貰わないし、全然どちらからも沙汰が絶えてしまつておりますから、全部の経緯はそれだけであります。
  704. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三月からこつちは顧問料を送つて來ませんか。
  705. 水池亮

    証人水池亮君) 送つてよこしません。挨拶も何もありません。
  706. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると最初就任した当時は日野原氏が社長に就任した当時ですか。
  707. 水池亮

    証人水池亮君) 就任というのは私が就任いたしましたのがですか。
  708. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  709. 水池亮

    証人水池亮君) それは日野原君が社長になつてつたんです。一昨年の七月前後だと思いました。たしか大分暑くなつておりましたから七月頃だと思つております。
  710. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとあなたの考ではどうですか、あなた方は、檢察関係に御関係の深いあなたたちを顧問に特にお願いいたして、その儘放つてあるわけでありますね。
  711. 水池亮

    証人水池亮君) はい。
  712. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その意味は、結局警察方面に將來何かいろいろなことをお願いしなくちやならん、そういう意図の下に特に顧問にお願いしたと、こういうわけではないですか。
  713. 水池亮

    証人水池亮君) どうもそういう話は改まつて言葉にないのでありますが‥‥。
  714. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 言葉にはないかも知れませんが、日野原氏の考え方としては‥‥。
  715. 水池亮

    証人水池亮君) それは人の考でよく分りませんが、こういうことも考えます。当時就任匆々そういう話がなかつたことは申上げた通り。それからこれはまあ人の心持を察してどうということも不適当かと思いまするけれども、実は昨年の三月、四月の時期を越した後が実はいろいろな問題があつたときだと思つております。その当時私には全然連絡がなかつたことを思いますと、さほど今委員長お話のように、御期待をかけておつたようでないようにも思われるのです。
  716. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しああいうなかなか深い考のある人だし、そういう点は如才なく構成を立ててかかられるような人ですから、予めそういつた方面に万一の場合、若しくは必要の場合、そういう方面によく親しい人を顧問にお願いしておくということも考えられるわけですね。
  717. 水池亮

    証人水池亮君) お言葉を返すようですけれども、そういうことが主眼で非常に期待をかけられておつたとすれば、昨年の春以降活用しなくちやならんと思うのでありますが、私はその間にはどういう意味合があるか存じませんが、全く連絡がないのであります。
  718. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特にあなたはああいう事業に御造詣の深い專門家ではないのでありますから、あなたの御経歴は結局そういう方面に多くの知己があるわけですから、それを目指して顧問にお願いしたのじやないでしようかね。
  719. 水池亮

    証人水池亮君) それはまあ御解釈にお委せするより外ないと思いますが、私はそういう話を特に受けた記憶はございませんし、それから経過を見ましてそういう期待の一部に副うたとも思つておりません。
  720. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 刑事部長というのは藤田さんですか。
  721. 水池亮

    証人水池亮君) 藤田二郎さんです。
  722. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それに対してこういう了解運動をしてくれ、若しくは了解するように話をしてくれという日野原さんから特に話がありませんでしたか。
  723. 水池亮

    証人水池亮君) そんな話は特にありませんでした。先程申しましたように、会社の状況の話を日野原君自身か砂原君から、どつちかから聞いたように思うが、それを私の頭でそう話しただけのことでございます。それでお尋ねにはありませんが申上げておきたいのは、私そのときに先程申しましたように、会社側がそういう希望を持つておるということを話しただけでありまして、そのときに責任者の人にそれをどう思うかというようなことについての返事を求めるような話方をしませんでした。だから特にそのときに返事らしい返事が聞けなんだと思います。私も以前警察に勤めておりましたからそんなことについて返事を求めるということは、不適当なりと存じておりますから、返事をしなくてもよいような話であつたと思つております。返事はありませんでした。
  724. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏、或いは砂原氏の考え方としては、要するにあなたを煩わして会社立場というものを、そういう当局に了解を求めておく、知つておいて貰うということが、相当に会社としては有利な立場におかれるというような意図からして、あなたに了解運動をして貰うようにお願いしたわけじやないでしようか。
  725. 水池亮

    証人水池亮君) 特にそういうことをやつてくれといつたように思つておりません。そうしてその話は、その当時聞いたり、私が話したときの模樣はそういう具体的に差迫つた問題でなく、今日からいうとその点は御理解が附けにくいかもしれませんが、非常に漠然たる話でありまして、急いで誰か知つた人に話して頼んでくれというような状況でなかつたのであります。
  726. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとまだ秩父とか大町とか富山の工場が、闇で摘発される前のことでありますか。
  727. 水池亮

    証人水池亮君) それは私新聞知つたのであります。
  728. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことが現われたあとですか。
  729. 水池亮

    証人水池亮君) 私はその書類のことについて発言した覚えがありません。
  730. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが藤田刑事部長を訪問されたのは、その前ですか、あとですか。
  731. 水池亮

    証人水池亮君) それは事件の起る前だつた記憶しております。
  732. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先程のお話にもありましたように、当時そういう司法権の発動は、或る意味において投書とか何とかいろいろ内紛しておるわけでしようね、事件が萌しておるわけですね。
  733. 水池亮

    証人水池亮君) 萌しておるというか、それ程でなく新聞方面などで投書をいろいろ持ち廻る程度で、そういう消息に通じた方面に話が出た程度と私思つておるのですが、私が発言しました当時は‥‥。
  734. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏のような人は、そういうことがあればこれはいけないというので各方面に手を延ばして了解を求めておく、未然に防ぐという方向に出ることは想像されますね。
  735. 水池亮

    証人水池亮君) 私は知りませんが、話したときに何にもそんなことは‥‥。
  736. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが警視廳を訪問されたときは、事件は表面的に切迫しておりませんでしたか。
  737. 水池亮

    証人水池亮君) 私が両氏のどちらからか話を聞いたかはつきり記憶いたしませんが、そのとき聞いた感じでは、そんなに私に是非やつて呉れというような熱意のある話には記憶しておりません、だからその当時においては、そんなに差迫つた状況になつていなかつたと思います。
  738. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後警視廳に話に行かれたことがありますか。
  739. 水池亮

    証人水池亮君) 話したことは記憶にありません。ただ先程申上げましたように刑事部長のところに寄りまして話しました。その機会に、たしか課長のところに寄つたような氣がします。課長が二、三回代りましたからどの課長だつた記憶ありませんが、部長のところで話をした程、纒めて別に話をしませんでした。ちよつと行つた序でに寄つたようなことでありました。
  740. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは藤田刑事部長を訪問された日と同じ日ですか。
  741. 水池亮

    証人水池亮君) その日だつた記憶しております。
  742. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 部長にも話し、又課長にも話して來たわけでありますね。
  743. 水池亮

    証人水池亮君) はい。
  744. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外に、昭電のことについてあなたが警視廳方面了解運動をされたということはないのですか。
  745. 水池亮

    証人水池亮君) 私はないと記憶しております。それは間違いありません。
  746. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の方を頼んで警視廳方面に働きかけたことはないのですか。
  747. 水池亮

    証人水池亮君) 私が‥‥。
  748. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏からそういう話を聞きませんか。
  749. 水池亮

    証人水池亮君) そんなことは日野原君から一度も聞いたことがありません。
  750. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏から誰それを頼んだがうまく行かん、あなたが顧問だからというので御相談なつたことはありませんか。
  751. 水池亮

    証人水池亮君) そういう記憶はありません。
  752. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏はこういうことを言つておるのですが、昭和電工の事業運営の実情を関係方面に理解を求め、手入れされても見当違にならないように、角を矯めて牛を殺すことのないようにして貰うつもりでありました。警視廳方面工場方面を叩けば埃が出ると思いましたから、私の就任後昭和二十二年五月頃学校の先輩に当る元警保局長の水池亮君、入江誠一郎君を嘱託とし、今度の事件についても両氏から藤田刑事部長、捜査第二課長に適当に了解運動をして貰いました。こう言つておる。あなたを顧問にしたのは、こういう意図の下に採用し、こういう方面に利用しよう、こういう考え方から顧問にお願いして、それでその方面を担当して貰うという如才のない戰陣を取つたわけでしよう。
  753. 水池亮

    証人水池亮君) 日野原氏がどう供述しておるか知りませんが、私が就任したときは全然そんな話はありません。その後も只今委員長の言われたような話は聞いた記憶がありません。その話がありますれば、了解運動というものについて、私その言葉をそのまま日野原氏から聞いておりますれば聞きなりにできないことだと思つております。
  754. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 人を使うことは上手なんでしようから、恐らくそんなことはむきつけに申せばあなただつてつてしまいます。就任もしないでしようが‥‥。
  755. 水池亮

    証人水池亮君) むきつけだけでなくてもどうしてもそういう意味合の、意味の限つた顧問なんだぞということを察しさせる‥‥。察しが惡いと言われればそれまでですけれども、どうしても暗黙の間にもそうだというようにそういう意味の顧問だということでありましたら、私は当初から引受けていないと、これは私良心を以て申上げられると思います。  それから先程お読上げになつた中に、警視廳の幹部に対しての了解運動、こういうことを供述しておるようでありますが、私は言葉尻をなにするようでありますが、警視廳の方に昭和電工関係の話をいたしましたのは、今委員長に申上げた通りの事柄でありますので、これをひつくるめてこういう種の事件によくあります了解運動の中には、ちよつと入れられるのは苦しいように思います。私は聞いておりましても、これは当り前なことだと、当り前というのは、事件内容ではなくて言い分の方が、いろいろな立場の人が、当初の何かあるような立場の人が心配するのはこれは当然のことだ、それについてそれくらいにして貰いたいという愬えがあるのは当然のことであると思いますし、それから警察官の方で聞くべき人から聞いて貰えば、余り手間も取らず、又間違いも起らない、そういう氣持があるのは私は誰がどこへ行つてもこれは差支ないこととこう思いますので、裏からの了解運動の種類のことだ、その範疇には実は入れて頂かないようにお願いしたいと思います。日野原君の供述に対しては、私は全面的に、そんなことで簡單にひつくるめられると非常に迷惑であります。
  756. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからあなたが今おつしやつたように、裏からの了解運動と、そうでなくして公然と事態をよく見究めて貰うために説明をすると、こういう意味と二通りあると思いますが、どちらの意図で言つておるのか分らないのでありますが‥‥。
  757. 水池亮

    証人水池亮君) 諄くなりますが、警視廳とお話するときに、これはそう含みのある話じやないと承知してさらつとして話をしたのでありまして、向うさんもそうですかと言つて話が終つたようであります。
  758. 大野幸一

    ○大野幸一君 弁護士の資格はあるのですか。
  759. 水池亮

    証人水池亮君) ございません。
  760. 大野幸一

    ○大野幸一君 公職追放の方は‥‥。
  761. 水池亮

    証人水池亮君) 追放でございます。追放の時期は忘れましたが、仮指定になりまして、訴願せずに時期になりまして決定になつたというわけでございます。
  762. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最後に一つお聞きしたいと思いますが、結局あなたを顧問にお願いした趣旨はどこにあつたかということは、あなたどういうふうにお考えですか。
  763. 水池亮

    証人水池亮君) 私はこれは日野原君の言葉にあつたというと、向うさんに迷惑がかかるから、そうおとりにならず、私の解釈で‥‥。
  764. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。あなたの‥‥。
  765. 水池亮

    証人水池亮君) 私、人の分まで申上げますが、後で喚ばれます入江誠一郎君、これはどちらも内務省育ちですが、それで当初溜池の昭和電工の本社に行きましたときに、日野原君から聞きましたのは、工場が地方に非常にあるので、地方との連絡なんかに、多少元内務省におつたから地方の事情に通じているだろう、こういう当初の説明の、私の感じが、地方に用事があつたら、工場が地方にあるから、そういう意味で便利なのかと、こう私はひとり決めかも知れませんが、そう解しておりました。ただ併しそれじや警察官の方は、そこの中から除外したかと言われると、それまで明確に突つこんで考えておりませんでした。それでもその間に顧問にする趣旨が、相互食い違いがあるとおつしやられれば、それはいたし方ないのでありますが、私は警察の方の関係を主にして、或いは限定して顧問になつたということは、これはもう自分では全くこれは考えておりません。その後の行動なり、経過を御覽下さると‥‥。そうなら私はもう少しそれらしう働いた思つております。これは多少口幅つたいかも知れませんが、重ねてのお尋ねだから申上げますが‥‥。
  766. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原氏のお考えとあなたの御就任のお考えと食い違いがあるかも知れません。
  767. 水池亮

    証人水池亮君) 又そういうことでありましたら、もう少し私のところにそれらしい相談事があつたと思います。爾後の経過を見ますと、これを頼んだから誰にこうやつて下さいとこういうならば、私も多少駈け廻つたでしようが、そういうことが起つておりませんから、或いはそういう方の專門の顧問の方に‥‥。これらの説明は拔きにいたしましても、爾後の実行に移つたのと違うのだということを御覽頂きたいと思います。
  768. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三月頃にも何もなかつたのですね。
  769. 水池亮

    証人水池亮君) 確かその時期ははつきりいたしませんが、とにかく五月には入つておりません。その頃に何もないというのは、二月頃は砂原君が私のところに寄られたと思う。その後日野原君が砂原君に会つております。先程の手当を届けるということも途切れておりますから、自然私もそのうちに何か音沙汰があるものと考えておりましたら、五月、六月になりまして、新聞にいろいろな事件が出た。これは私共の出る幕じやないので‥‥。こういうことでございます。多少何月々々というように記憶はつきりしない点がありますが、ここらの前後の大筋には間違いないと思います。
  770. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和電工が表面化して來る前は、それから後には関係ない、こういうふうに伺つていいのでありますね。
  771. 水池亮

    証人水池亮君) はい、そうでございます。
  772. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではどうも御苦労樣でした。    〔証人入江誠一郎着席〕
  773. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入江誠一郎さんですか。
  774. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます。
  775. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は幾つですか。
  776. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 四十九才でございます。
  777. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住居は呼出状を差上げたところで‥‥。
  778. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます。
  779. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御経歴を簡單にお話願いたいのでありますが‥‥。
  780. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 簡單でよろしうございますか。
  781. 伊藤修

    委員長伊藤修君) はい。
  782. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 大正十五年に学校を出まして、その年の四月に内務省に採用されました。福井縣と福岡縣の課長をいたしまして、それから内務省の事務官で入りまして、これは会計課の事務官でございます。六年ばかりやりまして、厚生省の秘書課長をやりました。内務省の外事課長、内務省の文書課長、内務省の人事課長、それから海軍の司政長官としてセレベスに参りました。厚生省の健民局長、内務省の地方局長、そうして一應退職いたしまして、引揚援護院の次長をいたしました。昭和二十一年の六月に退職いたしました。それ以來民間にいるわけでございます。
  783. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最後の管職は。
  784. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 引揚援護院の次長でございます。
  785. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原さんとはいつ頃どういう御関係でお知合になつたのですか。
  786. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 私は高等学校時代に日野原社長が高等学校の下級生でございましたが、日野原社長と私とは高等学校時代は別段の交友ではございませんでした。日野原社長と今回知合いになりましたのは、やはりその日野原社長の先輩である菅波稱事という人がおりました。それが私とか水池君あたりと高等学校時代の同期生で懇意でございました。その菅波君が水池君と私とに日野原社長一つ相談相手にならんかという相談を受けたのでございます。
  787. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃ですか。
  788. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) それは一昨年の六月の中頃だつたと思います。
  789. 伊藤修

    委員長伊藤修君) で顧問に就任されたわけでありますね。
  790. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 顧問と申しますか嘱託し申しますか、そういうふうな一種の私設顧問と存じます。
  791. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私設顧問ですね。
  792. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) まあその、社長に顧問というふうに聞いておりました。
  793. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顧問の手当‥‥。
  794. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 手当は一昨年の七月から毎月送つてくれまして‥‥。
  795. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いか程‥‥。
  796. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 最初二千五百円でございました。それが数ケ月続きまして、一昨年の暮に三千円になりまして、それが又二三ケ月続きました。最後が昨年の四月でございましたが、その頃三千五百円でございました。
  797. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四月で送金は途切れたわけでございますか。
  798. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) はあ。
  799. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四月で解任になつたんですか。
  800. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) これがその‥‥元來辞令を貰つたわけでございませんで‥‥。
  801. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自然消滅ですか。
  802. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 自然消滅と思います。
  803. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か意思表示があつたんですか。
  804. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 何もございません。
  805. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自然消滅‥‥。
  806. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) はあ さようでございます。
  807. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その間には年末賞與とか、半期賞與とか、何かそういうものはございませんか。
  808. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございません。
  809. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か時には、あなたの方へ贈物をするとか謝礼の意味か、その他の意味で贈物をすることとかあるのですか。
  810. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ウヰスキーを一本会社へ参りましたとき貰つたのでございますが、しれ以來ございません。
  811. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 以外にない‥‥。
  812. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) はあ。
  813. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に特段に何か仕事をしたときに謝礼を呉れるとか貰つたことはございませんか。
  814. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 旅費を貰つたことがあります。埼玉縣へ参りましてそのとき旅費を貰いました。
  815. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 埼玉へ出張ですか。
  816. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) はあ。
  817. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外にはございませんか。
  818. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございません。
  819. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると顧問としての職務の内容はどういうことでございますかね。
  820. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 最初、その先程申上げました菅波君というのが、水池君と私とに顧問にならないかという話がございまして、菅波君が水池君と私とを案内いたしまして、やはり一昨年六月に会社へ参つたわけでございます。そのときに日野原君と会いまして、まあこちらも別にそうお役に立つ自信はないと思つてお話したのですが、何か又相談することがあるかも知れんし、学校時代の先輩でもあるしするから、一つ相談相手になつてくれと、若し何か相談をしたいときには一つこちらの方から申出るからという話でございまして、それ以來実は余りその相談に與かりませんで、最近に至つたのであります。
  821. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顧問としてどういう仕事をするという明示はなかつたんですか。
  822. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございませんでした。
  823. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではどういうために顧問になつたということをお考えにならなかつたんですか。
  824. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) まあ私は一つはその中間に立ちました菅波君が、私と非常に懇意でございますので、何かその日野原君の手傳いをさせようというふうな関係であつたろうと思います。やはり内務省に長くおりました関係上、いろいろ地方にも知合いがおりまするし、丁度始まつたときに昭和電工工場が大分地方にありまして、その方の関係のことがございまして、やはり何か地方なんかのことで役立つことがあるんじやないかと私は思つておりましたけれども、別段社長の方からはこういうことをしてくれという意思表示はありませんでした。
  825. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると会社に御出勤になつたのですか。
  826. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 会社には最初も申上げました通り、別に來ないでいいというので、手当の方も別に会社の方から自宅に送つて呉れまして、手当を受けましたときに二三度、何と申しますか、受取つたという意思表示かたがた礼に行つたことはございますけれども、別段出勤するということはいたしませんでした。
  827. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 向うから訪問を受けたようなことはございませんか。
  828. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございません。
  829. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、会社仕事としてどんなふうなことをおやりになつたのですか会社関係で……。
  830. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 会社関係仕事をいたしましたのは、先程申上げました埼玉縣に出配をいたしました問題でありまして、それは昨年の二月頃でございました。祕書課長に砂原君という人が居りまして、その人から昭和電工秩父工場がございまして、その工場の方が突然檢事局の方で檢挙された。工場長以下その工場の方から殆んど情報もないので、一遍実情を調べて見て呉れないかという依頼を受けたのでございます。それで外の用事もございましたものですから、埼玉縣廳に参りまして聞きましたのでございます。この問題は全然檢事局が檢挙いたした問題であつて、縣廳の方では全然知らないのだという話でございまして、それなら仕方がないことでございますから、実情分らずに帰りましたのでございます。そうこうしておるうちに、工場の方からも本社の方に連絡があつたと思います。その後私の方へこれを調べて呉れという話はありません。
  831. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
  832. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 昨年の二月頃であつたと思います。
  833. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年、二十三年の。
  834. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 二十三年のことでございます。
  835. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その外に日野原氏のプライヴエートとして何かお仕事をなさつたことはありませんか。
  836. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 何もございません。
  837. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特に日原野氏からお願いしたことはございませんか。
  838. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございません。
  839. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か警視廳に一つ昭和電工について非常にごたごたしておるし、こういう風聞もあるし、司直の手が伸びるという虞れもあるから、了解して貰いたいという了解運動をあなたにお願いしたことはございませんか。
  840. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 私はそう申しては何ですが、警察の経驗が短こうございまして、警視廳方面にも比較的知合いが少いものですから、たまたま水池君が警視廳の経歴のあるものですから、私にはそういう方面については別段依頼はありませんでした。
  841. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視廳方面お話なつたことはありませんか。
  842. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございませんか。
  843. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう話もないのですね。
  844. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございません。
  845. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 頼まれもないのですね。
  846. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございません。
  847. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か官廳方面へあなたに昭和電工立場というものを説明して呉れというので御依頼はなかつたのですか。
  848. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 今の何と申しますか、秩父工場事件を調べて呉れと言つた以外については、私に対しては特にございません。
  849. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 砂原氏からでも…。
  850. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 水池君と私とはあの水池君の事務所が、水池君の友人の菱華産業という会社の二階にございまして、そこに私もときどき参つておりましたので、水池君と私と一緒におりますときに話合つたことはございますけれども、別に私に対して話しても、その後は大して役に立たんと思つたのかも知れませんが、特に私に対して依頼したということはございませんでした。
  851. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 水池さんと御相談の上そういうことについて何か了解の話においでになつたことはございませんか。
  852. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 水池君が警視廳の方へ頼みに行つたということは知つておりましたけれども、特に相談してどうというわけでございませんで、それと私も家庭的に郷里に親父が病氣して、老年でおりましたものでございますから、留守がちであつた関係もございますけれども。
  853. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 水池さんか、社長からか、日野原君を通じてか、警視廳の方へ一つ了解に行つて呉れと、こういう依頼があつておいでになつた、その事前に御相談があつたわけですか。
  854. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) いや、事前と申しますか、一緒でございますね。
  855. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一緒にいらつしやつたのですか。
  856. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) いや、警視廳へは私参りませんけれども、つまり水池君と私とが昭和電工の顧問となつておりましたから、どつちともなく依頼があつたことはございます。
  857. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それについて御相談なつたわけですね、水池さんとは。
  858. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 相談と申しますか、大体警察関係については私は顔がききませんのでございますから。
  859. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ君行つて呉れとこういうことになつたのですか。
  860. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) まあ自然にそういうふうな状況になつたと思います。
  861. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どちらから言うとなしにですね。まあ水池さんの方の係だと。
  862. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 係というわけでもないのですけれども、別にそういうわけでもないのですけれども。
  863. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 行つて呉れと、そういうことになつたわけですね。
  864. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 自然にそういうふうなことになつたと思いますけれども。
  865. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうふうにして了解を得ようとか、方法ということについて御協議になつたことは……。
  866. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) いや、そういうことは全然にざいません。了解を得ようというような意味じやなかつたと思いますけれども、大分投書なんかがあるので、まだこういう事件の起る大分前でございますから、いろいろそれがやはり反対の立場にある人なんかがあつた、投書なんかが頻りにあるものでございますから、そういうことについて適当の機会によく氣を付けて呉れというふうな意味のことはあつたと思いますけれども、特に予解を得て呉れというような話はなかつたと思います。
  867. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは秩父に出張された後ですか、先ですか。
  868. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) いや、それはもう大分前だと思います。つまり一昨年秩父へ出張いたしました前後から殆んど……。
  869. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 水池さんは二月頃だとおつしやつたのですがね。
  870. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 二月頃でございますかな。
  871. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秩父工場事件が起つた前後ですね。
  872. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) はあ、その頃でございましたかな。
  873. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそういうふうに現実的にも現れて來たし、投書もあるし、それから会社の中枢部にその情報が入つて來るものだから、事前に一應司直の方に、若しくは警察方面了解を得ていて、事件というものに対しての認識を深めて置かなくちやならんということで、あなたたちにそのことをお願いがあつたのでありませんか。
  874. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 全然ございません。
  875. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 担任としては水池さんの方が顔がきくわけですから、水池さんがその衝に当られたと、こういう恰好になるわけじやないですか。
  876. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) まあそうなるか知れません。
  877. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別にそういう点については水池さんとはお話があつたけれども、特段にあなたとしてはお動きにならなかつたわけですね。
  878. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) そうでございます。
  879. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは秩父事件については縣廳においでになつただけで、檢察廳の方へはいらつしやらなかつたのですか。そうすると主任の高木檢事やなんかにお会いになりませんか。
  880. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 名前も存じませんし、全然会いません。
  881. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢察廳方面了解に行くとか、説明に行くとかいうことはなかつたのですか。
  882. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 全然ございません。
  883. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 縣廳の方へは何かどういうために行かれたのですか。
  884. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) まあ縣廳の方は大体檢事局のやつておられることでございますと、縣廳の方で分つておることと分つていないこととがあると思いまして、分つていることであれば縣廳へ行つても分るのじやないかと思つてつたわけです。
  885. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただ聞きに行つたわけですか。
  886. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます。
  887. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その衝に当つた人にはお会いになつたのですか。
  888. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 防犯課長と申しましたか、経済防犯課長と申しましたか、その人に会いまして……。
  889. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたなされたことを聞いただけですか、いろいろとお話になつたのじやないですか。
  890. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 秩父事件があつて大分檢挙されたという話があるが、縣廳の方で何か情報がお分にりなつた事柄があれば、別に御迷惑をかけない範囲で若し分つておれば伺わして呉れと言いましたところが、この問題は縣廳は連絡がなくて檢事局のやつた問題で、全然分らんのだという話がありまして、埼玉縣の地方新聞が大分書立てたそうでありまして、大分こちらの新聞では書いておるというような話を、新聞のことなど話がございましたけれども、これはまあそれだけのことで、実際に縣廳の人の立場の問題でございませんから、私も大して問題にせずに帰つたわけであります。
  891. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 帰つて復命されたわけですか。
  892. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます。
  893. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰に。
  894. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 日野原君にもちよつと申上げましたし、私の復命と申しますか、復命に前後して向うから、昭和電工の人から報告があつたものですから、深く昭和電工の方でもその点は氣にかけておらなかつたと思います。
  895. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外には何か昭和電工のことについて、つまり事件のことについて、お話なつたことがありますか。
  896. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) いえございませんでございます。
  897. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全然関係ないわけですか。
  898. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます。
  899. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 防犯課長というのは誰ですか。
  900. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) それが実は今日お喚び出しがあるにつきまして、或いはお尋ねがあるかと思いまして、そのとき名刺を貰つたのでございますけれども、氣を付けましたのですが、ちよつと名前を失念いたしまして、若し御必要であれば、昨年の二月頃防犯課長をしておつた人でありますから、聞けば分りますが……。
  901. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 関口というのじやありませんか。
  902. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) そうでございますかなあ、そこいらちよつと記憶がございません。
  903. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年の二月頃、縣の方のですね。
  904. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます、縣の方です。
  905. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四月からこつちは何もあなたにお願いしなかつたですか。
  906. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 何もございません。二月の秩父の問題以後全然依頼がございませんで、その前も余りございませんが、これは私事に亘りますので、どうも仕事の依頼がなくて手当を受取りますにも大変遠慮の氣持がありまして、水池君とも一つやはり適当の機会に罷めさして貰つたらどうかと話しておつたような状況でございまして、勿論なんでございます、特別御依頼ございません。
  907. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今水池さんは何をしていられますか。
  908. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 水池君でございますか、会社社長か何かしておられるのじやありませんか。
  909. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう……。
  910. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 塗料の方をやつておる会社社長をしておると思いますが……。
  911. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは昭電の関係のある会社ですか。
  912. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) いや全然関係ありません。これは水池君のずつと若いとき、学生時代の先輩が実際やつておる会社だと思います。
  913. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ招聘されたわけですか。
  914. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます。
  915. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に何かございませんか。
  916. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなた弁護士の資格はお持ちですか。
  917. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) ございません。
  918. 大野幸一

    ○大野幸一君 公職関係は、追放の関係は……。
  919. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) 追放関係はございます。
  920. 大野幸一

    ○大野幸一君 追放されておる。
  921. 入江誠一郎

    証人入江誠一郎君) さようでございます。
  922. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうもお忙しいところを……。    〔証人石井春朗君着席〕
  923. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 石井春朗さんですか。
  924. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 石井春朗であります。
  925. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は。
  926. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 四十でございます。
  927. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いは呼出を差上げたところですか。
  928. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はい。
  929. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの経歴を簡單に一つお願いいたします。
  930. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 昭和五年に一高を出まして、昭和八年に東大経済科を卒業しました。それから陸軍の見習主計に入りまして、ずつと終戰まで陸軍におりました。終戰のときは主計中佐であります。それから昭和二十一年に、終戰のときに中支におりましたから、中支から引揚げて参りまして、郷里山口縣におりましたが、一高時代の友人が東京へ出て來んかという勧めもありまして、昭和二十二年、一昨年の十一月大藏省の銀行局におります三井武夫という人の推薦状を頂きまして、日野原社長に初めてお目にかかつて入社したのであります。入社しまして大体庶務課員で庶務課におりました。現在もまだ庶務課に勤務いたしております。
  931. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、昭電におけるところの地位は庶務課員ですか。
  932. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 庶務課員でございます。
  933. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長室でないですか。
  934. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 違います。
  935. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 庶務課の係長ですか。
  936. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 係長にもなつておりません。まだほんの一平社員であります。
  937. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 砂原さんよりあなたの方が上席だと思うのですが……。
  938. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 砂原さんは祕書課におります。私は庶務課でありますから、上席というようなことはどういうことになりますか、ちよつと比較できないのじやないかと思います。
  939. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 命令系統はどつちが上ですか。
  940. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 命令系統といいますのは、私は庶務課長は、吉田という方が庶務課長でありまして、総務部に庶務課がございますから、その上に総務部次長、これは吉田さんが兼ねておられました。その上に総務部長に藤井さん、それから取締役を兼ねておりました。その上に社長がおる。祕書課というのは社長の直属の課でありまして、総務部とは別個のものになつております。
  941. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書課というのですか、社長室というのですか。
  942. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 当時は祕書課といつておりました。
  943. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長室というものはないのですか、正式には……。
  944. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 社長室とは申しませんけれども花田という人がおりました。
  945. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長室には……。
  946. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 祕書課と申しておりました。
  947. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長室ですか、砂原君の所属ておるのは‥‥。あなたの方では秘書課というのですか。
  948. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 秘書課でございます、社長室と同じようなものかも知れませんけれども、私が入りましたときには、社長室に花田という人がおりました。
  949. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他に、社長機密室というものはありませんか。
  950. 石井春朗

    証人(石井春朗君) ありません。
  951. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 機構の上において‥‥。
  952. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はい。
  953. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 蔭の人が……。
  954. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 聞いておりません。
  955. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたは庶務課で何をやつていらつしやるのですか。
  956. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それで、初め入りましたときは、軍人生活から入りましたものですから、会社仕事に馴れていないので、庶務で見習をやれというようなことでありまして、殆んど吉田庶務課長命令を受けてやつておりましたけれども、当時は新聞記者なんかを各地方工場を案内しましたり、それから又庶務のいわゆる雜務というような仕事に使われておりました。
  957. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それだけですか、仕事は‥‥。
  958. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それから事件が起りまして、それは事件なつたと思いましたのは、五月二十四日でしたか、本社に手入れがございました。あれからが我々の事件となつたのですけれども、それまでは地方工場の闇流し事件というようなものが秩父なんかにございましたけれども、その事件になりましてからは、いろいろ事件に対する対策と主として総務部が当りましたものですから、その方の仕事に使われて参りました。
  959. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いわゆるあなたのおつしやる本社に手入れがあつた、それからあなたは事件考えておられるですね。その以前におけるところの事件に関する仕事はあなたが担任されてやつておられるわけですか。
  960. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私はそれはやつておりません。それは地方工場でありまして、あれは確か秩父なんかの問題だつたと思いますが、吉田さん、それからその時の係長に尾沼という人がありました。その人が主にやつておりました。
  961. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人の命令によつて事件関係についてあなたがいろいろ機密のことを担任されておられるわけじやないですか。
  962. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 関係しておりません。秩父に出張を命ぜられたことはございましたけれども。
  963. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大町とか富山とか。
  964. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうときには吉田さんと尾沼さんが殆んどやつておりました。
  965. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その外檢挙されまして、その事件の小さく納める、或いは全部揉消すというようなことについてあなたはいろいろ‥‥。
  966. 石井春朗

    証人(石井春朗君) やつておりません。
  967. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お使いをしておるわけではないですか。
  968. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 使いはしておりません。
  969. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは今日から考えて、事件についてのいろいろな拡大を防止するとか、揉消すということについての運動というですかな、お仕事に携つたのはいつからですか。
  970. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私自身は揉消しとか、そういうような仕事には使つて呉れる筋合でありませんけれども、事件が起りまして、弁護士なんかの連絡に、初は吉田さんが主になつてやりまして、その補助に私が吉田さんと一緒に弁護士の連絡係に使われておりました。
  971. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは事件が起つてからですね。
  972. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、それからです。それまでは何も本格的の事件もありませんし、ただ地方工場から來られますが、私が入社して間もないのですから、余り顏見知りもないものですから、大抵吉田さん、尾沼さんが地方工場長なんかと連絡しておられました。
  973. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは司法関係の方に主として斡旋役を勤めたんじやないですか。
  974. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いいえ、それは私が入社しまして、それから一應ずつと仕事の傍ら挨拶廻りに参りました。私陸軍からこういうことになつて昭和電工に入社したという挨拶に‥‥。その前に大体におきまして、私のときの高等学校の友人が課長から、課長の古いところまでにずつとおりまして、それで一應挨拶しまして、司法省の方には澤田さんが私が学校時代、同じ寮生活をしておりましたものですから、澤田さんのところに挨拶に行きました。それが始まりなんです。それでこの人とは一高時代に私もボートの組選をやりましたし、澤田さんも組選をやつておりまして、江戸川なんかの試合でもしよつちう一緒にやつておりまして、よく心易くしておりますから、こういうふうになつたので、挨拶に行きました。その外に勝田さんも知つております、あの人も運動をやつておりまして、勝田さんのところにも挨拶に行きました。そうして澤田さんに会いましたときに、一遍懇親会をやらんか、こういうことを私から話したのです。それは私入社しますときに、日野原さんも初めてのものですから君は一高の後輩だから採用する、こういう話が社長からございました。そういうふうに、方々官廳なんか歩きましたときに、一高の方がいるもんですから、一高の懇親会をやつたらどうだろうかということを社長に話したことがあるのですが、そういう趣旨の懇親会なら結構だからやれ、こういう話がありましたものですから、澤田さんにお目にかかつたときに、一杯飲まんかと、これは昨年の初だと思いますが、それで社長に話しますと、よかろう、自分も出る、こういうふうな話がありまして、杉並の社長の別宅でやりましたのが初めてなのでございます。
  975. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは後でお尋ねしますが、あなたが先程命令系統をお尋ねしたとき、あなたは総務部の庶務課の一社員だとおつしやつたのですが、その社員の人が、課長も部長も通ぜずして、いわゆる社長秘書のごとく、いきなりそういうことで携るのですかなあ。
  976. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは私が入りましたときに、一高の関係で入れてやる。こういうようなことがございましたものですから、それで一高の先輩という親しみを社長感じておつたものですが…。
  977. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長秘書じやなかつたのですか。社長秘書ということじやないのですか、あなたの職務というものは‥‥。
  978. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私はそうじやなくて‥‥。
  979. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 形はそうじやないかしらんが、実際の仕事社長機密事項に携つたのじやないですか。
  980. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういう機密事項に携つたことはありません。
  981. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、平社員で入社して、いきなり社長機密事項に入つと行くというのは変じやないですか。
  982. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 機起事項とは思わなかつたのですが‥‥。
  983. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ機密事項かどうか分らんでしようけれども、
  984. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、要するに非常に親しみのある社長でした。要するに私としても恩義を感じまして‥‥。
  985. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたを庶務課に置いておいて、それで社長直属の仕事をやるのじやないですか。
  986. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうことじやありません。これはお聞きになつたら分ると思いますが‥‥。
  987. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたがその一高の関係で入つたからというので、一高の先輩とか、そういう人を訪ねて挨拶廻りしたというのは、どことどこを廻つたのですか。
  988. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 商工省、大藏省を廻りました。
  989. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう意味で廻つたのですか。
  990. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 今度入社したから、一つよろしく頼む、そういう‥‥。
  991. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社のためにか、あなた個人のためにか。
  992. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうことは別に考えませんでしたけれども‥‥。
  993. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し就職したと言つて関係のない先輩のところに‥‥。
  994. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 大体同僚の者がいるものですから、それで挨拶に廻りましたのですけれども、自分のためか、会社のためかはり余り突き詰めて考えなかつた
  995. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい廻られたか。
  996. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それはいろいろ用もございましたから、そのときに一緒に挨拶に廻りました。
  997. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう人です、名前をおつしやつて下さい。
  998. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 参りましたのは、大藏省の勿論三井さんのところに行きました。
  999. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは紹介を受けた人だから、当然行かなければならない。
  1000. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、それからあそこに私の同期で久米というのがあります。地方課長に‥‥。
  1001. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 官廳と名前だけおつしやつて下さい。
  1002. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それから河野という人もおりました。今官房か何にかにおります。
  1003. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこの‥‥。
  1004. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 大藏省の‥‥。商工省は石炭廳の川上、これは私、同じ部屋におりました。それから生活物資局に和田という人がおりました。
  1005. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが行つた所だけですよ。挨拶廻りしたところだけですよ。知つた人じやいですよ。
  1006. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうです。そういう所をずつと挨拶に‥‥それから上野幸七‥‥。
  1007. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこです。
  1008. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 商工省の総務課長です。
  1009. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから‥‥。
  1010. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 石炭廳に、木材課長をしておりました村田という人です。
  1011. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんなものですか。
  1012. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、それから今度は、興業銀行の調査部長をしております梶浦、これ亦一緒でございます。できるだけこの機会に挨拶に行つて置こうと思つて‥‥。
  1013. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとこれは、いずれも昭和電工関係のありそうな官廳ばかりだね。あなたの今の学校関係を辿つて挨拶廻りされたのは‥‥。
  1014. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 運輸省、逓信省にも行きました。
  1015. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主として会社関係のためですね。
  1016. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうように自分は突き詰めておりませんけれども、それから陸軍時代に、官廳で知つている人がございますから‥‥。
  1017. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いろいろ会社仕事のなす上において、いろいろ便宜があるからと、そういうことでずつと顔出ししたのではないですか。
  1018. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうことになつております。
  1019. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 司法省もやはりそういう意味で顔出ししたわけですか。
  1020. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 司法省は、澤田さんと勝田さんは、特別いろいろ親しみを持つているので参りました。
  1021. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、それはいつ頃からいつ頃まで廻つたか、就職すると直ぐですか。
  1022. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 就職しましてですね、こういうこともあつたんです。一つは、私は初め何にも仕事がありませんものですから、新聞記者なんかにいろいろ案内しておりました。
  1023. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはさつきお聞きしました。
  1024. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そのとき吉田という庶務課長が一生懸命に、いろいろ知つている人がおつたら、本社に呼んで來て、そうして課長以上ぐらいの、全員といいましたら大変なものですから、制限しまして、そうしていろいろ知識を吸收する意味で、お話を聞く会をやつたらどうだろうかということで、そういうことも命ぜられたのです。それで先ず石炭廳の川上さんとかなんか二、三人來て頂いた、そういうときにも、いろいろそれを兼ねて、挨拶に廻つたわけです。
  1025. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから吉田庶務課長は、まだ課長である、その課長が、大体会社のために、あなたの学校関係の人を訪ねて、それから官廳方面のコネクシヨンを附けると、何かの役に立つと‥‥。
  1026. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 会社だけでも知識は分りませんから、廣くいろいろ知識を吸收したいという意味であつたと思います。
  1027. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからあなたを採用したゆえんは、そういうあれを利用するというわけじやないですか。
  1028. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そこまで、吉田さんにそう深い意味があつたのじやないと思いますけれども‥‥。
  1029. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 無理に採用したと、ですから、採用した以上は、そういう方面にあなたを利用するという考えではなかつたですか。
  1030. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そこまで考えておりませんでした。
  1031. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから司法関係の方は、なぜその事件が起つて來てから訪問したですか。
  1032. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 事件が起つてから訪問しません。
  1033. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 初め、五月事件じやないですよ。事件の兆しが起つて來ているわね。
  1034. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは私は、入社したばかりで、今から考えると迂濶だつたと思われるかも知れませんけれども、こういう大事件とは夢にも思いませんでそれで地方工場の事柄なんかは、どこにもあることじやないからぐらい思つてつた。こういう事件関係して行つたわけでも全然ありません。
  1035. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、そのときは、そういう意識しておるかどうか存じませんが、入社されたのは、二十二年の十一月ですから、そのときに直後にやられるのはともかく、すでに年を越して、二月になつてから‥‥。
  1036. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いや來ましたのは一月頃ではないかと思います。
  1037. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一月頃だね。そういう兆しが見えて來てから‥‥。
  1038. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 兆しというのは全然知りません。
  1039. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 投書とかいうもので、ごてごてしておるのですから、社内では‥‥。
  1040. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そのときは何のお話もなかつたのです。
  1041. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは庶務課長の包括的命令に基いたのか、特にそういう命令があつたのですか、社長から包括な命令か、希望が‥‥。仕事の指針が分りませんが、そういうお話があつたからそういうことに廻つたと今おつしやつたが、今の司法省関係に廻つた場合は、あなたのやはり自発的意識ですか。
  1042. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 一通り自分の知つている人を訪問して歩きました。
  1043. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 庶務課長から行つて來いと言われたのですか。
  1044. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そんなことはありません。
  1045. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうもあの直前枚だね、行くということは変ですね。
  1046. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 直前というのは結果から見られて、私は全然事件というものをそう思いませんですし、それから実際問題として、何もそういうふうな因縁を附けるために行つたわけではありません。
  1047. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ですから、あなたとしては、一社員ですから、大局がどうなつているかということは分りませなけれども、首脳部の方では肚がうつてつている仕事ですから、事件がどのくらい拡大するとか、あの点を押えられると困るとか、いろいろ内心的に危惧しているに違いない。それは投書とか、いろいろ風評とかいうようなことで現れて來るとかして、事態が大きくなつて來ると困るというので、未然の防ごうとして‥‥。
  1048. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは後のことではないかと思いますが‥‥。
  1049. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは首脳部としてはそういうことを杞憂しているのですから、そういう点がちよつと口火が附いて來るとですね、それで君が知つているのを幸いに行つて來いと言われたのではないのですか。
  1050. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうのでは全然ございません。
  1051. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう関係で以て、いわゆる一高会というものは‥‥。
  1052. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 一高会というのは大袈裟過ぎるのですが‥‥。
  1053. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大袈裟過ぎるけれども、あなたたちが一高会というもので、あなたが廻つた人を全部寄せなかつたのですか。
  1054. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それはあれなんです。結局川上さんなどは会社に來て頂いて、お話を承わつて、後で会社の中で簡單に礼儀としまして、一緒に飲食をしたことがありますけれども、それから澤田さんなどに行きましたときに、前から特別に知つていますものですから、一緒に一遍呑もうではないかということを私が誘いかけたのです。それで社長からよかろうという話があつたものですから、別に何もそういうあれではないと思うものですから‥‥。
  1055. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ程一高会という、一高のクラス・メムバーと親しくしようというならば、そういう人も全部包含してやるべきものであつて司法関係の一高のものばかりと飲むということは変ではないですか。
  1056. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 司法関係といつて何もそういう企みはないのでありまして、それから初め澤田さんと一緒に飲んで、それでは面白いからときどきはいいではないかということを私が言つて、その第一回のときには勝田さんもいませんでしたし、二回のときは勝田さんを入れてもう一回やろうではないかということを私は話したのです。
  1057. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの信念か、社長命令か知りませんけれども、そういう人のみ選んで、飲食の会を数回開いておりますが、何と考えたところが、檢事局に対する了解運動考えられるのではないですか。
  1058. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういう意味は全然ございません。
  1059. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ないと言うことは変じやないですか、それなら何故皆一高の人を寄せなかつたのですか。少くともあなたが廻つただけでも寄せらるべきものではないですか。
  1060. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 実際そう言われますけれども、皆官廳でいろいろ御都合がありまして‥‥。
  1061. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全部が悉く‥‥、司法省、檢事局ばかり‥‥、檢事局だつて忙しいのですから‥‥。
  1062. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 会社なんかでいろいろ後援して頂いたときには、簡單なことであれしておりますけれども、全然司法省ばかりに特に‥‥。
  1063. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが幸い澤田さんや勝田さんと知己があるからということを利用して、課長が君はそういう方面を担当して働きかけろ‥‥。
  1064. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いやそういう意味じやありません。又それまで会社の中で力のあるように認識されておりませんし‥‥。
  1065. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 力もない認識されておらないようなあなたを利用して、その衝に当らした、というのは了解できませんよ。一平社員のあなたを抜擢してその方面運動に利用したということは分らんじやないですか。あなたがそれほど信任を得ておるのじやないでしよう。社長室付きでもないとおつしやるなら、庶務課の一社員にそういう衝に当らせるのは考えられないじやないですか。あなたのために一高会を開いて、莫大な費用を出して、宴会を開いてやるのは、ちよつと考えられないじやないですか。
  1066. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは御尤もだと思います。結局工場の中にはいろいろ新聞記者が出て來て‥‥。
  1067. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新聞記者は分つております。
  1068. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうときに社長と段々接触する機会がありまして、そういうときに飲んだときに、一高会はどうですか、それは大いにやれということは、何といいますか私としましては日野原さんは非常に親しみ易い先輩のように感じられて來て、それで私の知つております一高会というと、いかにも大袈裟ですけれども、その知つている方と一度旧交を温めると同時に、社長にお出で頂いたというのが‥‥。
  1069. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの友人関係の旧交を温めるために、忙しい社長がそういう会合を設けて、みずからも出席するというのは常識的に考えられんじやないかということです。又社長の事業上の必要上されるとかいうなら社長が全部をよぶべきものですよ。殊に興銀の人も出ておるし、商工省関係の人も出ておるのだからそういう人もよぶべきじやないですか、公にやることならば‥‥。
  1070. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 一高会についてこういう例もあるのですが、文部省に挨拶に行きました。そこに向井という人がおるのですが‥‥。
  1071. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうのはあなたに必要ないじやないですか。
  1072. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いえ、それで向井さんがおるときに向井さんの同期に大野という人がおりまして、大野さんが満州で亡くなりまして、その遺族が東京でいろいろ洋裁か何かをやつて暮しておられて非常に困つておられた。そのときに、社長が一高出だからいろいろ何とか遺族の救済をやつてくれとかいう、こういう話を持つて來たのです。私はこれは一高の先輩としての社長のところに行つてお願いして、社長自分のポケツト・マネーから額は知りませんが出した。そういう後輩を思つてくれる社長である、私も亦非常に一高の良い先輩であるとして同僚にも‥‥。
  1073. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭電には一高の人はあなた一人ですか。
  1074. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 社長室付の花田という‥‥。
  1075. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 花の田ですか。
  1076. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、それが一高の‥‥。
  1077. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから‥‥。
  1078. 石井春朗

    証人(石井春朗君) ときどき出ました。後は知りません。殆んどおらんらしいです。
  1079. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いないですか。
  1080. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 殆んどいないと思います。よく調べておりませんけれども‥‥。
  1081. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんなことないでしよう。花田さんも友達もそうやつて社長がよぶのですか。
  1082. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは詳しいことは聞いたことはありませんが、同窓会をときどき開いたことがあると思います。
  1083. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが入社早々の人であつて別に親しい人でもないのにあなたの一高関係の人だけをよび、而も司法部面の人を一高関係としてよぶということは、ちよつと考えられんじやないですか。昭電の人は相当沢山いるのですから‥‥。
  1084. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私の方は調べておらないけれども、一高出身の人は私一人じやないけれども、余り聞きませんけれども‥‥。
  1085. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 納得行きませんな、その点は‥‥。そうでなくて一高会なんというのは後でもつてでつち上げられた名前であつて‥‥。
  1086. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いえ違います。
  1087. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例えばですね。あなたの知合いを利用して抜擢されて働きかけたのじやないですか。
  1088. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 違います、それは‥‥。
  1089. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたが初めからあなたの意思でできたのですか。そういう会合は‥‥。
  1090. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私の意思ということはありませんけれども、その都度‥‥。
  1091. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの意思じやないのですか、社長は知らないでしようが‥。社長は澤田という人も知らないでしようが‥‥。
  1092. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうです。
  1093. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから、あなたの発言に基いてできたわけじやないですかね。
  1094. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうので、秘書室へ行きましたら、澤田さんがおつて‥‥。
  1095. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから澤田さんとあなた、勝田さんとあなたという関係社長が知つて、そういう機会を持つたのじやないのですかね。
  1096. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうです。
  1097. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから、あなたがそういうことを知つているということを利用して、社長がその方面了解運動をするために、そういう会合を設けたのじやないのですかね。
  1098. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうじやないと思います。私は‥‥。
  1099. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 変じやないかね、そういうことは‥‥。ここであなたが述べられることは、あなた現在ひつかかつている事件よりこちらの方が重いのですよ。こちらの方は重く処罰される。今日あなたのおつしやることが間違いであるか、何であるかは、これから何十人も調べるのだから、後でちやんと出て來ますよ。今当面事件になつている問題以上に、こちらが重く処罰されるのですから、いい加減なことをおつしおらないように……。
  1100. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私はそういう懇親の意味で……。
  1101. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別にあなたをここで処罰しようとか何とかという意味じやないのですよ。私共はただ司法関係運営が正しくなされることを希望するがために、こういう事案についてお調べして、そうして今後の参考に供しよう、こういうわけでありますから、率直におつしやつて頂いた方がいいと思います。
  1102. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私は他意あつてつたわけでも何でもありません。
  1103. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他意あるなしは別問題として、社長があなたにそういう働きかけをしたということは、社長の方に意思があつたのじやないかというのだ、少くとも……。
  1104. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは社長には、そういう氣持は私はないと思つておりますが、今日まで……。併しそれは実際問題としまして、こういう結果を惹き起しまして、大事件になりましたその結果から見ますと、如何にもそういうふうに誤解されても、これは又止むん得んところもあると思いますけれども、私自身でもあのときにこういう事件とは思いもしませんし、夢にも思つておりませんから、実際問題として……。
  1105. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 而もその酒席で、会場で昭電関係の話がどんどん出ているのですから、昭電のことを聽き出すとか、捜査方針を聽き出すとか、或いは了解運動を求めるとか、そういう揉消し運動をするとか、こういうようなためにその会合を催されたということは、結果から考えても、そういうふうに考えられるのじやありませんか。
  1106. 石井春朗

    証人(石井春朗君) ですから、話の内容は、決して電工事件というものではございません。
  1107. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ございませんと言い切れるかね。
  1108. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、私覚えておりません、それは……。
  1109. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが聽かなかつただけであつて、なかつたということは言い切れるかね。ここで……。
  1110. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは、私言い切るのは間違いかも知れませんが、全然私は存じませんです。
  1111. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 記憶がないというのですか……。
  1112. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ。
  1113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どちらです。
  1114. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 記憶がございません。それは実際問題として覚えておりますのは、一高の寮歌を歌つて、昔の……。
  1115. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 騒いだことはありましよう。一高の寮歌を歌うために、わざわざ忙しい体をそういうことに費やすということは、考えられんじやないですか。この忙しい世の中に、國民は皆食うに困つているのに、あなたたちだけが贅沢な二号の家で、大酒盛りを行うなんということは、考えられんじやないですか。
  1116. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私自身は、そういう一高の本当の昔の思い出の会だと思つて……。
  1117. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それならば一般に廣くあなたの少くとも廻つた範囲の人をよぶべきじやないですか。又それでこそ面白いし、意義をなすのでないですか。あなたが司法官なら司法官の人だけをよぶということも考えられるけれども、あなたは司法官には緑故のない人です。むしろ商工省とか、大藏省とか、興銀の人とき、そういうものを混えてやつてこそ、あなた顔も廣くなるというもんじやないですか。特に司法部面の人だけを、固苦しい人ばかりをよんで、そういう会を開いたつて余り面白くないじやないですか。してみれば、何かそこで訊き出そう、了解を得よう、揉消ししようという、何かの話がしたいという目的があつてこそ、初めてそういう会合が作られるのでないですか。
  1118. 石井春朗

    証人(石井春朗君) ですから、興銀の方なんかも一緒に飲んだこともあります。
  1119. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは又必要があつて、融資問題とか何かで了解を附けるためにやるのでしよう。今まで日野原さんのやり方は皆そうじやないですか。日野原さんの歩くところは、すべてそういう面に行われたことは、今日として明らかじやないですか。その明らかなこともあなたは否認するのですか。
  1120. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いいえ、私は結果からいえば、私自身の氣持としては、それを爲にせんとしてやつたわけでないのでありまして、飽くまで懇親のためにやつたんであります。社長は今日結果から見ましたら、あれだけ大事件を起した中心人物ですから、そういうふうに見られるということは……。
  1121. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 見られたじやない。社長がそういう意図をもつて、何も知らんあなたを利用したのかも分らん。そうじやないですか。
  1122. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 社長氣持は、私はそうでないと思つております。
  1123. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 又そういうふうにあなたとしても、常識ある人ならば、考えられるじやないですか。自分を利用してそういう方面に渡りを附けるのだなということは、考えられるじやないですか。
  1124. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 結果から見れば、私は利用された形になりますけれども、私自身としては、本当にそれは、追放の身を採用してくれた一高の先輩であるという感激をもつて仕えておつたのです、正直なところ……。結局結果から見ましたら、そういうふうに思われましても、これはいたし方ないと思います。
  1125. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたとしては飽くまで、それは單純な旧交を温めるために、その会を催したんだとおつしやるのですね。
  1126. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうです。
  1127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そう言い切るのですね。
  1128. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、又今日こういう事件とは夢にも思いませんでした。
  1129. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そう言い切れますか。
  1130. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、私はそうです。
  1131. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじやこういう檢事の人にいろいろな贈物をしたのは、どういうことです。
  1132. 石井春朗

    証人(石井春朗君) これは私は……。それは秘書が全部そういうことをやつておりまして、私はそれ、私には直接、私は何もしたことはありません。
  1133. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた持つてつたことはありませんか。
  1134. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私は國宗さんのところへ、秘書課から言われまして持つて行きまして……。
  1135. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秘書課から……。
  1136. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、届けてくれと……。
  1137. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秘書課からそういうところへ届けるということは、どういう意味です。会社の顧問でもなし、あなたの一友人の、社員の友人のところへ会社から物を届けるということは、どういうことですか。
  1138. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いや、私は自分の友人のところへ届けませんけれども、國宗さんのところへ……、國宗さんと私との関係は、これは或とき、いつ頃ですか……。
  1139. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私の聞いておるのは、あなたの旧交を温めるために聞いておる会合に出席した人に、会社から、秘書課から又物を届けるというのは、どういうことかと言うのだ。
  1140. 石井春朗

    証人(石井春朗君) これは、物を届けるのは私は全然関知しないのでありまして……。
  1141. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、あなたが持つてつた場合もあるでしよう。
  1142. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いえ、私は持つてつておりません。
  1143. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの命令で持つてつて、言い付けで持つてつた言つております。さつき砂原君は……。
  1144. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私、贈物は皆社長秘書相談してやるんだと思いますから、私は秘書にそれを命じたことはありませんが……。そういう立場でもありませんし……。
  1145. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 砂原君は、あなたが上の人であつて、あなたの言い付けに從つてつてつた言つておりますよ。
  1146. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私の言い付けということは、それは覚えがありませんが‥‥。
  1147. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは会社の物を勝手に、自分の恣にどんどん贈るのですか。
  1148. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いや、それは私はそういうことは全然、私の権限でもありませんい、いたしません。
  1149. 伊藤修

    委員長伊藤修君) じや、持つてつたこともないし、命令されたこともないというのですか。
  1150. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 國宗さんのところへ持つて行きました。
  1151. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこか國宗さん以外に持つてつたことはありませんか。國宗さん以外でも持つてつたことがあるかどうかを先ず聞いております。
  1152. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 國宗さん以外にはありません。
  1153. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰に持つてつたんですか。
  1154. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 國宗さんです。
  1155. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 國宗さんに持つてつたんですか、あなたが‥‥。
  1156. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、それは秘書課から届けてくれと言われて持つて参りました。
  1157. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう関係で持つてつたのですか。
  1158. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 國宗さんとの関係はいつ頃でしたか、或る日社長から今日自分に附いて來いと言われまして、社長の杉並のお宅へ附いて行つたことがあります。そのときその席上に國宗さんがおられまして、それが重政さんとか、國宗さんとか、ああいうふうな方が集まるときに、そのときに初めて國宗さんに紹介を頂きましたのですが、その後社長の命で國宗さんを川崎工場へ御案内したことがあります。その前後だと思いますが、秘書の方から届けてくれと言われまして、届けに参りました。
  1159. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは何を持つてつたのですか。
  1160. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは樽の物で、大体そういうのは小使さんがよくやつてつたのですが、樽の物であります。お米だつたと思います。
  1161. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 醤油一斗と米二斗を持つてつたのですね。
  1162. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はい、そうだと思います。
  1163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何のために持つてつたのですか。
  1164. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは届けてくれと言われまして‥‥。
  1165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 單純に届けるなら小使でも何でもあなたの手を煩わさないでも‥‥。
  1166. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 結局小使のやる仕事みたいことなんですが、届けるということを‥‥。
  1167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重要なあなたをそんなことに使うことはないじやないですか。
  1168. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それ程ではないと思うが、そのとき実際届けてくれと言われまして参りました。
  1169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外にはどうです。
  1170. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それ以外は覚えておりません、ありません。
  1171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは命令したことはないのですか。
  1172. 石井春朗

    証人(石井春朗君) ありません。
  1173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 澤田檢事のところに二十三年の四月の二十七日に、あなたはお米を届けるように砂原さんに命令したのではないですか。
  1174. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 全然そういう記憶はありません。
  1175. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが届けてくれと言うから持つてつた言つておりますが‥‥。あなたは今日おつしやることはみんな否認して見えますけれども、外の人はみんな言つておるのですよ。まだその外に、二十三年の四月五日に醤油一斗を澤田氏のところにあなたが持つてつたのじやないのですか。
  1176. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いや、それは砂原さんに頼んだというのは、記憶がないのですが、小使さんが持つてつたということは聞いておりますが、澤田さんのところに‥‥。
  1177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたの命令ではないかと言うのです。
  1178. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私は命令した覚えはないのですが‥‥。
  1179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 覚えがないのですか、命令したことがないというのですか、どつちですか。
  1180. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 覚えがありません。
  1181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) やつたかも分らないのですか。
  1182. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 覚えがありませんが‥‥。
  1183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 澤田君のところはどうですか、澤田檢事のところは‥‥。
  1184. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは秘書の方で届けたということを聞いております。
  1185. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが持つてつたのではないのですか。
  1186. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、違います、持つて参りません。
  1187. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたそれについて澤田君から文句を言われておるのじやないですか、ああいう物を届けて貰つては困ると‥‥。あなたいい加減に口を濁してあなたは帰つて來たというのじやないですか。
  1188. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは小使が届けたのです。そのあとにやつたときにそれは小使が届けたのです。
  1189. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが持つてつたのではないですか。
  1190. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 違います。
  1191. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたが持つて行けと言つたのですね。
  1192. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういう覚えはありませんのですけれど‥‥。持つてつたということは聞きました。
  1193. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 覚えがないと言つても、問題は調べられてあるのですよ。覚えがないという程日も経つていませんよ。
  1194. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 贈物は全部秘書の方でやるのでありまして、私が特に命令するというようなことは‥‥。
  1195. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが一友人のところへ会社が何のために持つて行かなければならんのか。そうしたら昭和電工には何千人おるか知りませんけれども、そこへ皆持つて行かなければならんのですよ。社員の友人のところへ皆附け届けをするのですか。
  1196. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 附け届けというのは全部秘書の方からやつております。
  1197. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秘書がやるにしても、あなたの友人以外に何の関係もない人じやないか。
  1198. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 社長ともいろいろ知合いになつたわけですが‥‥。
  1199. 伊藤修

    委員長伊藤修君) なつても一面識じやないか。  御馳走して物を届けて、あなたの友人に、何の必要性もない人に‥‥、常識的に考えられないじやないか。それで通りますか。だからざつくばらんに言えば、結局あなたの友人を利用して、たまたまあなたが友人であつたことを利用して、そうしてそれをあなたを通じて招待して、そこで以て昭電の事件の進行状態、捜査の方針を聞き出すか、進んでは了解を得て揉消しをするか、そういう意図の下にそういう会合が催され、そうしてそれを善三行なつて、又他面においては物を贈つた、これが実情じやないですか。
  1200. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私に関する限りそういうことは全然ございません。それは例えばそういう捜査の方針とか何とかを話したということも、その席上ではございませんし、それから事件そのものを私は存じません。社長も初めは先輩として後輩をよんだのだと思つておりましたから‥‥。その社長の本当の肚はお前知つておるのかと言われたら、私は知つておると断言することはできませんけれども、結果から見ますと、あれだけのことを起した人物じやないか、そういう肚があつたのだろうと言われますと、結果から見られますと、そういうように見られても止むを得んと思いますけれども、私が接した社長は、そういうふうには受取れません。
  1201. 伊藤修

    委員長伊藤修君) くどいようだけれども、ただ單純にあなたの知合いだけにそういう御馳走をしたり、贈物をしたり、それも秘書課を通じて会社の物を贈るということは考えられませんよ。
  1202. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 贈物をしたのは私は全然‥‥。秘書がやつたのですけれども‥‥。
  1203. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 贈物をしたことにはちつとも関係ないのですね。
  1204. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは秘書の方で全部やつております。
  1205. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書の方でやつておるけれども、あなたが命令したことはないのだね。
  1206. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私が持つてつてくれということは覚えておりません。
  1207. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自分で言うたことを、いい加減なことも言うものじやないよ。命令したか、せんか聽いておるのだ。
  1208. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 命令したことはありません。
  1209. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 持つてつたこともないのだね。
  1210. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 國宗さんのところへは持つて行きました。
  1211. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外にはないのですね。
  1212. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はい。
  1213. 伊藤修

    委員長伊藤修君) よろしいですか。
  1214. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はい。
  1215. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か外に品物を持つてつたのじやないですか、金とか何とか‥‥。
  1216. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いえ、全然持つてつておりません。
  1217. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたその宴会に三回列席しておりますね。
  1218. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ。
  1219. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですね。二号の小林という家で、澤田と藤原とあなたですね。それから二回目も澤田、勝田、山之内、日野原砂原、これ皆檢事ばかりですね。
  1220. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ。
  1221. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから三番目が澤田、山之内、勝田、高橋ですか。
  1222. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ。
  1223. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう人ばかりよんだのですね。
  1224. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうです。
  1225. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その外にまだ二回ぐらいやつているのじやないですか。
  1226. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それに記憶にもございませんし‥‥。
  1227. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十二年中にもやつているのじやないですか。
  1228. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 二十二年中にはないと思います。
  1229. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その宴会には藝者はいつも來ておりますか。
  1230. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いいえ來ておりません。
  1231. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴会の費用は誰が拂つておりますか。
  1232. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは私は一應懇親会で社長と、「どうですか社長」「やつてよろしい」あと私は全然金のことは社長がよろしいというのでやつて呉れるのですから、社長が然るべくやつて呉れたと思います。
  1233. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 料理はそこで作りますか。
  1234. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 大抵あそこの家で作るのだと思います。
  1235. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕密課は贈物をするのに相当いろいろな日用生活品を‥‥、あなたの方の会社は、贈物にはいつも現実的に一番便利な米とか醤油とか味噌とかを使つておりますね。そういうものを闇で買つておりますね。
  1236. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは祕書の方でやつております。
  1237. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 庶務の方も拂つているのでしよう。
  1238. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 庶務の方は拂つていないと思います。
  1239. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい使うのですか一年に‥‥。
  1240. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私は金額も数量も余り知りません。
  1241. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まだ使い物に骨董品なんかも使うのですね。
  1242. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは存じませんけれども‥‥。
  1243. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 庶務課でもつてそういういわゆる高等政策にそういうものばかり使つているわけですか。
  1244. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 庶務課ですか。
  1245. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 庶務課とか社長室とか祕書課とか‥‥。
  1246. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そういうものは扱つておりません。それは祕書だと思います。
  1247. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書の方で一切やつているのですか。
  1248. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ庶務の方では扱つておりません。
  1249. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士の方はどうしているのですか。
  1250. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 弁護士は総務部で連絡係をやつております。
  1251. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その選任は誰がやつておりますか。
  1252. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 專任というのは初め吉田という庶務課長‥‥。
  1253. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それが選考するのですね。
  1254. 石井春朗

    証人(石井春朗君) ああ選ぶ方ですか。
  1255. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  1256. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 選ぶのはこれはやつぱり藤井さん、重役社長の方で決めます。
  1257. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 報酬は‥‥。
  1258. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 報酬は重役が直接手渡したと思います。
  1259. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何百万円と使つているそうですね。
  1260. 石井春朗

    証人(石井春朗君) いやそういう噂も聞きますけれども、実際私は全然関知しておりませんが、吉田庶務課長‥‥。そんなに出ていないと思います。
  1261. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは勿論弁護士料を拂つておりますか。
  1262. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私は弁護士に手渡した覚えはありません。これは重役か吉田庶務課長とどつちかです。
  1263. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士の連絡ということはどういうことをやるのですか。
  1264. 石井春朗

    証人(石井春朗君) ですから初いろいろ定期的に集合をしておりましたけれども、まあ弁護士でもいろいろ方々例えば檢察廳なんかの方に連絡に行きますので、その結果を聞かして呉れたり、重要なことは直接來ていろいろ重役の方にも話しておりました。又会社のいろいろ事情も弁護士の方に連絡するとか、そんなことです。
  1265. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士團との打合せは会社でするのですか。
  1266. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 初は会社でやりました。
  1267. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう斡旋はあなたがやるのですね。
  1268. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 何時に集まつて頂きたいとか、そういう電話をかけたり、その人に車を迎えてやつたり、そういうような仕事です。
  1269. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金の方はあなたは扱つていないのですか。
  1270. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ、扱つておりません。
  1271. 大野幸一

    ○大野幸一君 会社に祕書課というものが、社長室と別にあるのですね。
  1272. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうです。
  1273. 大野幸一

    ○大野幸一君 それで社長室の方に花田という人がいた‥‥。
  1274. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はあ。
  1275. 大野幸一

    ○大野幸一君 その人は一高の人ですね。あなたの後輩ですか。先輩ですか。
  1276. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 社長と同期です。
  1277. 大野幸一

    ○大野幸一君 社長と同期で、社長の祕書のようなことをやつているのですか。
  1278. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 新聞関係をやつております、社長室で‥‥。
  1279. 大野幸一

    ○大野幸一君 それで、一高会にはこの人をどうして連れて行かなかつたのです。
  1280. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 出たこともあります。
  1281. 大野幸一

    ○大野幸一君 それから弁護士は誰ですか。
  1282. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 会社でお願いしておりましたのは太田耐造という弁護士、それから清原弁護士、それから淺沼弁護士、それから黒川弁護士、松阪弁護士それから事務所におります玉田弁護士、桃澤弁護士、それから清原弁護士のところへ川村弁護士、そのくらいで、あとは秋山弁護士、あとは今度重役自分で私選といいますか、傭われる弁護士でありまして、それには行塚という方がおります。私選の方の方はあまりよく憶えておりません。
  1283. 大野幸一

    ○大野幸一君 それで、誰が一番主でしたか。
  1284. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 主は勿論やはり清原弁護士と太田弁護士でございます。それから秋山さん。
  1285. 大野幸一

    ○大野幸一君 それであなたにその人たちが報告したのはどういうことを報告したのです。
  1286. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 私に報告というのは、重要なことは重役に報告されますけれども、例えば砂原さんが引つ張られましたときに会いに行きまして、差入れしなければ工合が惡いとか、それから川村さんが会いに行つて、元氣でやつているということ、そういつたことでありまして、事件の主なことは直接会社へ來て、その事件を担当しておられました重役に話しておりました。
  1287. 大野幸一

    ○大野幸一君 それで、初は大勢弁護士が附いていたのですが、あとは小人数にはなつたということなんですが、そういうことはどうですか。
  1288. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 結局小人数と会社の方でお願いをしてあるのだと思いますけれども、初はいろいろ定期的にも集まりまして、一週間に一回ぐらい集まつておりましたけれども、あとはそういうことは止めまして、いろいろ今度は用のあるとき、重役の方から向うの方へ、事務所へ出かけたり何かして連絡をとりましたから、人数は減つておりませんけれども、実際に動かれた方は減つて來たということになるのじやないですか。
  1289. 大野幸一

    ○大野幸一君 実際に動かれた最後の人はどういう人です。
  1290. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それは弁護士の方に聞いたら皆憶えていると思いますけれども、私なんかの見たところでは、清原さん、それから玉田さん、桃澤さん、太田さんなんていうのが動かれたのでろうと思います。あとの方は余り連絡がなかつたのです。私ばかりじやありませんで、会社の方へ連絡されました。
  1291. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一つお尋ねいたしますが、先程ちよつとあなたからお話があつたのですが、國宗さんが見学に見えたことがありますね。そのとき夫人と令孃を伴つて見学に見えたのですね。その帰りに御馳走しておりますね。
  1292. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はい。
  1293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは、前にコーヒーだけ御馳走したとこう言つておられるが、そうでなくて支那料理を御馳走しておるのじやないですか。
  1294. 石井春朗

    証人(石井春朗君) そうです。
  1295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その代金は、あなたが拂つたのですか。
  1296. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 社長が拂つたと思います。私は拂いません。
  1297. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の一高の先輩と、そういう一高会をやつたということを、さつきあなたがちよつといつておりましたが、どこでやつたのですか。
  1298. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 芝の神谷町に、寮みたいなところがありまして、そういうところを使いました。
  1299. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ。
  1300. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 日にちは、はつきり覚えておりませんけれども、それも三、四月頃だと思います。
  1301. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰と誰でありますか。
  1302. 石井春朗

    証人(石井春朗君) はつきり覚えておりませんが、商工省の川上さんとか、商工省の上野幸七さんとかと一緒にやつたことがあります。
  1303. 伊藤修

    委員長伊藤修君) やられたのは、それ一回きりですか。
  1304. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 後は、会社お話に來られたときに、簡單にやりました。
  1305. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこでやつたのですか。
  1306. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 会社の中です。
  1307. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外の人たちと非常に待遇が違いますね、司法省の場合とは‥‥。又社長も出ていないのでしようし、そういう場合は‥‥。
  1308. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 神谷町のときは、大体内容は同じだと思います。
  1309. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときは、社長も出ておりますか。
  1310. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 社長は遅れて出られたと思います。
  1311. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうところへわざわざ行くのですか。
  1312. 石井春朗

    証人(石井春朗君) あのときは出られたと思います。
  1313. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他の場合は‥‥。
  1314. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 会社の中でやつたときは、都合の付く限り出て貰つておるが、それは出られん方が多い。
  1315. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 殆んど出ないのじやないですか。
  1316. 石井春朗

    証人(石井春朗君) 神谷町の場合には出ました。
  1317. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 神谷町と会社だけですか。
  1318. 石井春朗

    証人(石井春朗君) それだけです。
  1319. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にお尋ねはありませんか。それではどうも‥‥。本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            鬼丸 義齊君            岡部  常君    委員            大野 幸一君            齋  武雄君            來馬 琢道君            松井 道夫君            松村眞一郎君   証人    昭和電工社員  砂原 季也君            石井 春朗君            中島 忠之君            水池  亮君            入江誠一郎