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1949-01-09 第4回国会 参議院 法務委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年一月九日(日曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件檢察及び裁判運営等に関する調査  の件(仙台事件に関する件)   —————————————    午前十時五十五分開会
  2. 岡部常

    理事岡部常君) これより委員会を開会いたします。本日御遠方からお出下さいましたお方に御挨拶申上げます。お忙しいところ御苦労樣でございます。当委員会におきまして仙台事件と称しておりますそのことについて、皆樣を証人としてお出を願つたわけであります。先ず宣誓をして頂きたいと思います。そこに書いてありますのを御銘々お読みを願いたいと思います。    〔総員起立証人は次のように宣誓行つた〕    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 澁谷 順誠    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 南出 一雄    宣誓書  良心從つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 清水  直    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 管原 弘毅    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 岡  琢郎    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 宮城竹三郎
  3. 岡部常

    理事岡部常君) どうぞ御宣誓の上は、それぞれ違いますと制裁がございますから、予め御承知置きを願います。  では澁谷順誠さんだけ、他の方は……。  澁谷順誠さんでございますね。
  4. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はい。
  5. 岡部常

    理事岡部常君) お年は幾つですか。
  6. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 年ですか、その前にちよつと申上げたいことがあるのでありますが、私が本日参つて理由ちよつと簡單に申上げたいと思います。昨日突然九時三十五分に電報が入りまして、これは市役所内市会議員澁谷順誠ということから打電なされ、場所はそういう関係から、私の手許には今申上げた通り、九時三十五分に受領しておるのであります。直ちに役所に参りましてこの理由を質しました結果、澁谷順誠殿宛電報遅配証明ということで、宿直と文書係との引継ぎ手続によつて本月八日午前九時三十五分配達したことに相違はございません。こういう証明貰つて参つたような次第であります。
  7. 岡部常

    理事岡部常君) 分りました。それでこちらから承わりたいと思つてつたのでありますが、こちらから通知は出しました、出ましたのが届かなかつたのであります。それで更に電報を出しまして……確かめて置きたいのでありますが、あなた樣の御住所をこの際仰つしやつて頂きたいのであります。先ずお年は……。
  8. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 年ですか、四十六歳であります。
  9. 岡部常

    理事岡部常君) それでは御住所……。
  10. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 仙台東十番丁三十八番地。
  11. 岡部常

    理事岡部常君) それからお仕事は……。
  12. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 坊主でございまして、浄土宗久寺住職であります。
  13. 岡部常

    理事岡部常君) それで市会議員をやつておるのでありますか。
  14. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) さようでございます。
  15. 岡部常

    理事岡部常君) その他に何か公職はお持ちでございますか。
  16. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 目下のところは民生委員と、それから少年保護司をやつております。
  17. 岡部常

    理事岡部常君) その外にはございませんか。
  18. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) その外には宗教関係といたしまして、浄土宗の全般を司つております宮城教務所長をやつております。
  19. 岡部常

    理事岡部常君) あなたは梅原順治さんを御存じですか。
  20. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 知つております。
  21. 岡部常

    理事岡部常君) いつ頃から……。
  22. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 梅原順治君とは、私は仙台東十番丁のその寺に入りましたのは、二十二年前であります。  その当時から梅原氏は山の上、山の下が私というようなわけで、上下の関係にあるのです。
  23. 岡部常

    理事岡部常君) それはただ位置関係ですか。
  24. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 位置関係です。
  25. 岡部常

    理事岡部常君) 御宗旨の関係ではなしに……。
  26. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) そうでございます。
  27. 岡部常

    理事岡部常君) それでどの程度の御交際でございますか。
  28. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私は、主として梅原順治さんの家庭というのは、梅林という旅館でございます。今旅館は義理の兄さんが旅館主をして弟さんの順治さんは別になつております。そういう関係から私は自警團長並びに公会長、続いて自治会長、衞生組合長などを経ました関係から、兎角梅原さんの家庭は有力な家庭関係で、いろいろ御援助を願わなければならん、こういう関係で、そのお家との関係はそういう関係になつております。と同時に梅原順治君は当時幹事として役員関係で、その中に加えられておるのであります。
  29. 岡部常

    理事岡部常君) 家庭的な御交際でございますね。
  30. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はあ、行つたり來たりしておる仲でございます。
  31. 岡部常

    理事岡部常君) その梅原さんと、昭和二十三年の七月頃、御一緒仙台檢察廳お出でになつたことがありますか。
  32. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 七月……、参りましたと思います。
  33. 岡部常

    理事岡部常君) どういうことでお出でになつたのでありますか。
  34. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) それは私のすぐ傍に、やはり私の副会長をなされておりました加藤胞古という方が仙台事件関係で取調べられておりました関係と私は信じております。
  35. 岡部常

    理事岡部常君) その他台事件というのは、ここで申す仙台事件でございますか、或いは御当地で……。
  36. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 何と言いましようか、贈賄收賄関係の問題でございます。
  37. 岡部常

    理事岡部常君) どこの事件ですか。
  38. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 萩原さんの一件でございます。
  39. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか。それをあなた方は仙台事件とおつしやつたのですか。ここでは仙台事件というのは皆さんお出で下さいまして、証人になられたのを仙台事件言つておりますから、それとごつちやにならないようにお願いします。その今おつしやつた事件なんですね。
  40. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) ええ、荻原さんの事件でございます。
  41. 岡部常

    理事岡部常君) それであなたはどなたに御面会になりました。
  42. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 布は誰にも会いません。
  43. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか。そのときにあなた樣はどなたにもお会いならないで、梅原君が会つた‥‥。
  44. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 多分そうと私は信じております。
  45. 岡部常

    理事岡部常君) それでは何故御一緒になつたのですか。何かあなたに紹介して貰いたいとかいうようなことですか。檢察廳の誰かに紹介してくれ、或いはあなたの顔を通して氣安く行きたいという意味なんですか。どういう意味一緒に‥‥。
  46. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私の当時のことを追憶して見ますと、加藤さんはそういうような町内関係でもありましたし、六十二歳の年寄りでもありました関係で、起訴も既に済んでおる関係から、梅原さんの方から保釈のことをお願いした方がいいのじやないかという話が出ました。それで私も一緒行つてくれないかというような関係で参つたような次第と私は信じております。
  47. 岡部常

    理事岡部常君) 何か贈賄事件についてあなた運動なさつたことはありませんか、その贈賄事件について何か運動なさいませんか。運動というと語弊がありますが、人物の保証をするとかいうようなことは、これはよくあることなんですが。
  48. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) そういうことは全然私は関係ありません。
  49. 岡部常

    理事岡部常君) 全然それに触れておられないですか、それでは梅原君と一緒行つたのは何の目的で行つた‥‥。
  50. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 梅原さんがですね、要するに加藤さんとも亦深い関係があるのでありますから、梅原さんは。で起訴も終つたようなわけから、一つ保釈の方をお願いした方がいいのじやないかというような関係で、私はとにかく裁判所の方々は知らないのでありますから、まあ梅原さんと一緒行つて、そうして梅原さんが私に一緒行つてくれないか、こういうわけでありますから、それじや私も参りましよう、こういうわけで裁判所行つたわけなんです。併し私はどなたにもお目に掛りません。
  51. 岡部常

    理事岡部常君) そうすると裁判所にあなたが御一緒行つたというのは、ちよつと意味が取れませんね、道を知らないわけでもあるまいし、子供でもあるまいし‥‥。
  52. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 加藤さんがもう長く入つておるのでありますから、それで梅原さんも何とかして、一つ保釈の方をお願いした方が、いいのじやないかというようなことで、私の方に話されたのであります。それで私も行くが、あなたも一緒に行かないかというような関係で私は参つたのであります。
  53. 岡部常

    理事岡部常君) 何もそれに工作しようというわけではないのですか。
  54. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 全然そんなことはありません。
  55. 岡部常

    理事岡部常君) ただ一緒道連れになつたというわけですか。
  56. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 道連れになつたと言えばそれまでですけれども、私は梅原さんと同じ氣持で、同じ町内でもあるのだし、長くお互しに手を取つてつておりました関係から、保釈の方をお願いした方がいいのじやないかというような関係で、話合いの結果参つたような次第です。
  57. 岡部常

    理事岡部常君) だからそのお願いですね、そのお願いをなさつたかどうかということですね。
  58. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 誰にですか。
  59. 岡部常

    理事岡部常君) どなたかに。
  60. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私はいたしませんです。
  61. 岡部常

    理事岡部常君) では專ら梅原氏が‥‥。
  62. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 梅原さんがやつたわけです。
  63. 岡部常

    理事岡部常君) あなたはただ一緒に。
  64. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 一緒行つただけです。
  65. 岡部常

    理事岡部常君) どなたにも会わずに、梅原氏がすべてをやつたのですか。
  66. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はあ。
  67. 岡部常

    理事岡部常君) でそれはそのときの被告人というのは、加藤氏だけのことですか。
  68. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はう、加藤さんです。
  69. 岡部常

    理事岡部常君) で加藤さんとの御交際は、今ちよつとお話になりましたが、ここで更に改めてお聽きいたしますが、どういう‥‥。
  70. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 加藤さんはですね。丁度梅原さんのすぐ下になつておりますのです。又私の場合もちよつと小半丁離れた所に住んでおります。長い間のやはり役員関係から行つたりきたりしておる、こういう関係でございます。
  71. 岡部常

    理事岡部常君) そうするとあなたと加藤さんの関係、それから梅原さんと加藤さんの関係ですね、それはどつちが親密なんですか。
  72. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 親密と言えば、梅原さんはもう昔からの梅林であり、昔からの加藤さんでありますから、私がその住職をしたのが二十一年前のことでありますから。
  73. 岡部常

    理事岡部常君) それが、実際に檢察廳行つて、何か頼むということは梅原さんがやる、そのやる運動というと語弊があるかも知れませんが、その交渉はあなたも、心の中では同じ考えでおられた、こういうわけですか。
  74. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) つまり加藤さんを保釈して頂きたいという念願があつたんです。
  75. 岡部常

    理事岡部常君) それをただ一緒に何かしようということではなく、同じ氣持で行かれたのですね。
  76. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) そうでございます。
  77. 岡部常

    理事岡部常君) ではこれはまああなたにお伺いするのもちよつと間接になりますが、梅原さんはどうしてそういう貰い下げを‥‥、貰い下げ言つていいかどうか分らないが、そういう‥‥。
  78. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) それはいろいろ‥‥。
  79. 岡部常

    理事岡部常君) そういう保釈運動をされたか、それは何か述懐されたところでもお聞きになりましたか。
  80. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) そういうことではなく、私の家庭よりも、尤も私は親類交際のような加藤さんと梅原さんの関係は、そういうような関係のようにも私は思うんであります。それ程昵懇なんであります。
  81. 岡部常

    理事岡部常君) 成る程‥‥それでなんか梅原氏は檢察廳に行くときに、誰々に頼むんだとか、誰に頼めば聞くとかそんな話はありませんでしたか。
  82. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) ありませんです。
  83. 岡部常

    理事岡部常君) ない‥‥。
  84. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はあ、ただ電話でですね、檢察廳行つて一つ保釈の件を頼みたいからというような関係から、一緒行つてくれんかというわけで、私は出掛けて行つただけであります。
  85. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか。
  86. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 深い事情はございません。
  87. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか、ではもう贈賄事件に対しては、大した御関係はないわけですね。
  88. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 全然ございません。
  89. 岡部常

    理事岡部常君) 大した御関心もなく、ただ知り合いのため何とか助けたいと、早く出て貰いたい、そう承知してよろしゆうございますか。
  90. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はあ。
  91. 岡部常

    理事岡部常君) それで、あなたはそのときの樣子から御判断になつて梅原氏が特別の関係を、直接檢察廳に持つておるとはお考えにならなかつたですか。
  92. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 全然私は分りません。私は梅原順治さんの住いまでにはちよつと懸け離れておりますから、約十丁以上離れておりますから‥‥。
  93. 岡部常

    理事岡部常君) それからあの仙台市の宮城竹三郎氏は御存じですか。
  94. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 全然承知しておりません。通りで一遍くらい会つたくらいのことです。宮城さんという人は全然私は知らないのです。
  95. 岡部常

    理事岡部常君) ああ、そうですか。名前知つておるでしようね。
  96. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 名前知つております。
  97. 岡部常

    理事岡部常君) 仙台における評判は御承知でしようね。
  98. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 評判と言えば評判ですが、旅館としては、宮城さんは相当旅館ですから‥‥。
  99. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城氏と言えば、旅館業者とこういうことになるのですか。
  100. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) そうです。
  101. 岡部常

    理事岡部常君) それとも或いは町のボスとか‥‥。
  102. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) そういうことは私は一向存じません。旅館としての宮城さんは承知しておりますが、そういうことに関しては一向に存じません。
  103. 岡部常

    理事岡部常君) それでも実際にはいろいろ問題になりまして、皆さんお出でを願う一つ理由にもなつておりますのですから、相当町の評判というものはあるだろうと思います。あなた樣が公の人として、或いは私としての知つておる評判一つ聞かせて頂きたいと思います。
  104. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 本日の招請状の中に、私は宮城竹三郎氏の件についてという前文が入つておるんですが、この内容自体すら私にはちよつと考えつかない点なのでございまして‥‥。
  105. 岡部常

    理事岡部常君) ああ、そうですか。
  106. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 全く私はお付合いをしたこともないし、ほんに見たこともないと言つてもいい程の方なんでありますから、從つて新聞曾つてちよちよこ問題のときに名前が出ただけで‥‥。
  107. 岡部常

    理事岡部常君) その新聞を御覽になつてどういうふうにお感じになりましたか。
  108. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私たちは御存じ通り原案を支持いたしました関係上、宮城さんとは‥‥。
  109. 岡部常

    理事岡部常君) それは曲直問題ですね。
  110. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はあ、そんな関係宮城さんは眞つ直ぐの方だが、私の方は原案というふうなことであります。
  111. 岡部常

    理事岡部常君) その曲直問題に限らず、その外にいろいろ問題があるんではございませんか。
  112. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私はそのことについては、ここに申上げる点というものは私は一つもないと申上げていいと思うんでございます。
  113. 岡部常

    理事岡部常君) ああ、そうですか。
  114. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) ですから私今日ここに招請せられるということすら、どうも納得が行けないのでございまして‥‥。
  115. 岡部常

    理事岡部常君) ああ、そうですか。
  116. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 誠に別世界の人間だと言えばそれまででございますが。
  117. 岡部常

    理事岡部常君) 併しあなたも議員をやつておられる関係で、曲直問題については相当関心があると思いますが‥‥。
  118. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 曲直問題としては、議員四十四名が当時仙台駅が北に移動することを以て、眞直ぐにするということを決議したのであります。併しいろいろ鉄道省方面建設省方面と折衝なされた結果‥‥。
  119. 岡部常

    理事岡部常君) 曲線決つたのですか。
  120. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) それがいかんということになりまして、最後に一松総裁の御來仙を願いまして、断が下つたようなわけでありまして、私はその復興方面の事業は全然タツチしないのでありまして、主として民生と教育の部門である関係から、とかくその問題には余り触れなかつたのであります。
  121. 岡部常

    理事岡部常君) やはり市会議員でも分科的に分担されるのですか。
  122. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 主として分科的にやつております。
  123. 岡部常

    理事岡部常君) その時に直接御関係ないでしようが、同じ議員であられれば直線曲線利害損失なんということはいろいろお聞きになつておると思いますが、それが決つたのは主として財政問題ですか。直線が蹴られて、原案曲線になつたのは財政の点ですか、直線の場合は余りに金が掛かり過ぎる、曲線の方が金が要らない、それで原案の方に行つたというように聞いておりますが‥‥。
  124. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) それは結局移轉とか、何とかというような関係の費用じやないかと思います。
  125. 岡部常

    理事岡部常君) それが主たる原因じやないですか、どうですか。
  126. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 結局現在の姿を見たとき相当掛かるのじやないかと思つたのであります。
  127. 岡部常

    理事岡部常君) 曲線の方が余り手を入れないで済むのですね。
  128. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はあ。
  129. 岡部常

    理事岡部常君) そのとき直線問題で宮城氏が敗けたと言うと語弊がありますが、敗けたわけですね。そこで御本人も相当損害を受けて、運動費三百万円も無駄にしたというようなことも言つたらしいのです。そういうようなことについて世の中の‥‥。
  130. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私は少しもタツチしておりません。
  131. 岡部常

    理事岡部常君) お聞きになりませんか。
  132. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 聞いておりません。
  133. 齋武雄

    齋武雄君 梅原という人は今寮に入つておりますか。
  134. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 寮ではないですね。南町の組合の事務所ではないかと思いますが‥‥。
  135. 齋武雄

    齋武雄君 そこにおるのですか。
  136. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) はあ。
  137. 齋武雄

    齋武雄君 檢察廳をどうして知つておられますか。梅原さんは‥‥。
  138. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 梅原さんの御親戚の方が行つておるとかということを耳にしたこともございます。
  139. 齋武雄

    齋武雄君 今も‥‥。
  140. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 今はいらつしやらないのです。よく存じませんが、何でも去年の七、八月頃まではいらつしやつて青森の方にいらつしやつたのじやないか、盛岡方面に轉任なされたのじやないでしようか。
  141. 齋武雄

    齋武雄君 檢察廳におつたのでしようか。
  142. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 警察署の裏にお住いしておつた方です。
  143. 齋武雄

    齋武雄君 こういうことは聞きませんか。梅原順治はその寮ですか何ですか、そこにおる場合に、檢察廳で宴会をした。檢察廳に心易くなつておるから、自分が行つたら貰ひ下げが貰えるとか、こういう考で行つたじやないですか。
  144. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私は全然そういう、檢察廳の方がそこにいらつしやつておるということは一向私は耳にしておりません。聞いておりません。
  145. 齋武雄

    齋武雄君 ところが梅原順弁護士がついておるのだから、何も行く必要はない。弁護士が行けばいいのですが、それが更に行つたというのはそういう関係があるのではないですか。
  146. 澁谷順誠

    証人澁谷順誠君) 私はそういうところまでは考えておりません。
  147. 岡部常

    理事岡部常君) それではどうも御苦労樣でした。    〔証人南出一雄君著席〕
  148. 岡部常

    理事岡部常君) 南出一雄さんですか。
  149. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。
  150. 岡部常

    理事岡部常君) どうぞお掛け下さい。お年は‥‥。
  151. 南出一雄

    証人南出一雄君) 四十六歳。
  152. 岡部常

    理事岡部常君) 住所は。
  153. 南出一雄

    証人南出一雄君) 仙台市霊屋下、十番地。
  154. 岡部常

    理事岡部常君) 從前の御経歴をちよつと簡單に。
  155. 南出一雄

    証人南出一雄君) 昭和二年三月に司法官試補になりました。その後東京、靜岡、廣島、松山、下関、札幌、函館、横浜、千葉仙台青森、まだ二三、間に小さいところがあります。檢事で在職しておりました。
  156. 岡部常

    理事岡部常君) 学校は。
  157. 南出一雄

    証人南出一雄君) 中央大学の法学部。
  158. 岡部常

    理事岡部常君) 檢事はいつまでですか。
  159. 南出一雄

    証人南出一雄君) 昭和二十年の十月。
  160. 岡部常

    理事岡部常君) それは仙台でおやめになつた
  161. 南出一雄

    証人南出一雄君) 青森次席檢事観察所所長兼務でございました。その関係依願退職
  162. 岡部常

    理事岡部常君) 追放でございますか。
  163. 南出一雄

    証人南出一雄君) 追放でございます。個人審査は受けておりませんけれども、取扱が‥‥。
  164. 岡部常

    理事岡部常君) 只今弁護士をやつておりますか。
  165. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  166. 岡部常

    理事岡部常君) おやめになつて直ぐ弁護士を‥‥。
  167. 南出一雄

    証人南出一雄君) 昭和二十年の十月にやめまして、たしか二十一年の六月頃だつたと思います。登録しました。
  168. 岡部常

    理事岡部常君) 仙台には大分長く御在職でしたか。
  169. 南出一雄

    証人南出一雄君) 一年‥‥。その点私はつきりしなかつたので、高等裁判所檢察廳履歴書を見せて貰いましたが、昭和十八年の十二月に発令しまして、仙台地方檢察廳に行きました。それで十九年の九月に控訴院の方へ轉勤しまして、二十年の四月に青森へ轉勤しております。ですから一年と四ケ月に及んでおります。
  170. 岡部常

    理事岡部常君) 控訴院だけでございますね。宮城は……。
  171. 南出一雄

    証人南出一雄君) 地方控訴
  172. 岡部常

    理事岡部常君) 一年何ケ月の間に両方やられた。
  173. 南出一雄

    証人南出一雄君) 一年四ケ月。
  174. 岡部常

    理事岡部常君) 大分土地には親しみができたでしよう。
  175. 南出一雄

    証人南出一雄君) 一年四ケ月おりましたですが……。
  176. 岡部常

    理事岡部常君) 今御家族は何人ですか。
  177. 南出一雄

    証人南出一雄君) 子供五人と夫婦。
  178. 岡部常

    理事岡部常君) お財産は。
  179. 南出一雄

    証人南出一雄君) ございません。
  180. 岡部常

    理事岡部常君) 不動産はお持ちじやないですか。
  181. 南出一雄

    証人南出一雄君) 家が一軒。
  182. 岡部常

    理事岡部常君) それは仙台
  183. 南出一雄

    証人南出一雄君) 仙台に今住んでおる、小さな家。
  184. 岡部常

    理事岡部常君) その外動産ですね。
  185. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。
  186. 岡部常

    理事岡部常君) 仙台市の宮城竹三郎氏と御昵懇の間柄であると思いますが。
  187. 南出一雄

    証人南出一雄君) 存じております。
  188. 岡部常

    理事岡部常君) いつからです。どういう切つ掛けから。
  189. 南出一雄

    証人南出一雄君) 昭和二十年の十二月に発令しまして、子供千葉市の中学校に入つておりますから、一学期が終るまで子供を連れて行かれない。單身赴任しなければならないというので、たしかその暮れの押し詰つてからだと思いますが、様子を見かたがた仙台まで行つた。駅に着いたのが午前二時だつたと思います。で、駅前交番で宿を心配して呉れと言つたのです。そうすると丁度偶然の一致ですが、控訴司法檢事が夜二時頃來るなんて、出迎えできない。駅前で然るべき宿を心配して呉れと言われておりましたので御案内しますと言つて連れて行かれましたのが、当時宮城氏の経営しておりました竹屋旅館、そこで最初二晩程泊りました。
  190. 岡部常

    理事岡部常君) 交番で予め知つてつたのですね、あなたのおいでになることを。
  191. 南出一雄

    証人南出一雄君) 檢察廳に方から交番の方に、若しこういう男が行つたら案内して呉れと、こう言われておつたらしいのです。
  192. 岡部常

    理事岡部常君) それがたまたま宮城氏経営の竹屋旅館
  193. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  194. 岡部常

    理事岡部常君) それは宮城氏の本拠でございますか。
  195. 南出一雄

    証人南出一雄君) ええ、その時分はそこだけしか。おやぢのやつておりますのはその旅館だけです。元寺小路の……。
  196. 岡部常

    理事岡部常君) その時からのお知り合いですね。
  197. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  198. 岡部常

    理事岡部常君) それから……、それは二晩泊つて
  199. 南出一雄

    証人南出一雄君) 二晩泊りまして、檢察廳なんかに御挨拶しました。それから私竹屋旅館から恐らく三四丁の距離と思いますが、大拂前という所に家が一軒、借家があつたのです。それを控訴院の判事が借りておつて青森に轉勤するので、すぐ入つて呉れないとなくなるというので、そこを手配しまして、そうして一應千葉に引揚げた。そうして正月に私一人で大拂前の家に行つたわけです。
  200. 岡部常

    理事岡部常君) そのときに家を新らしく仙台に持たれましたね。それの世話などは誰が……。
  201. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは控訴院の山岸という判事が、轉勤する前から懇意な判事なものですから、その判事から私の所に手紙が來ておつたのです。いつ幾日発つから、その前に打つ合せたいというので、まだ入つておるうちにその判事さんと話をつけて、家主に交渉しました。これは別に役所にもどこにもお世話にならなかつたと思います。
  202. 岡部常

    理事岡部常君) それで宮城氏とは、お泊りになつたときから個人的のお付き合いが始まつたのですか。
  203. 南出一雄

    証人南出一雄君) まあ個人的の付き合いつて、私は最初は知らなかつたのですか、大拂前に家を持ちましてから、單身赴任だものですから、大概外で食つたり何かしておりますから、風呂がないのです。宮城氏の家は旅館なんですから、よく風呂を貰いに行きました。そうして茶話で、お茶なんか飲んだときに夕飯なんか招ばれたことがあるものですから、そのうちにだんだん知り合いになりました。それからどういう閲歴の男ですか、現職ですから私も当時の特高の連中に、あのおやぢはどういう男かということは聞いたことがございます。以前はまあ相当町で評判が惡かつたが、近頃宿屋を始めてからは堅氣になつて、いろいろ警察や何かのためにもやつて呉れる。その点は檢事さんも御安心下さいという話でありました。会つてみますと、そう以前のことは存じませんが、惡い男でないようでございますから、それで個人的に付き合う……。
  204. 岡部常

    理事岡部常君) 今の家は宮城氏の世話ではないんですか。
  205. 南出一雄

    証人南出一雄君) 違います。
  206. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか。何でも事務所は宮城氏の所なんですね。
  207. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  208. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城のどういう所ですか。
  209. 南出一雄

    証人南出一雄君) 宮城の今申したのは、元寺小路の竹屋旅館が焼けましたので、その後へ竹屋旅館というのができております。私の事務所を借りておりますのは、駅前の裏五番丁の一番地、これは駅前で、これは息子がやつております。
  210. 岡部常

    理事岡部常君) それが宮城ホテル……。
  211. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。
  212. 岡部常

    理事岡部常君) そこに事務所を持つているのですね。
  213. 南出一雄

    証人南出一雄君) 一部屋を借りております。
  214. 岡部常

    理事岡部常君) 今承わりまして、家を持たれた当初、風呂がないから風呂を貰いに行くかというようなことで大分交際が深くなるわけですね、それから後の私の間の交際というものは続いておりますか。私的交際は……。
  215. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私的の交際は特にあれでございます。その間に私青森なんかへ行つたりしておりますので、それと戰爭が激しくなつて來て、仕事の方が、私司法檢事つたものですから、その仕事が忙がしくなつたので、私的な交際といつても、こと珍らしくしよつちゆう往復はしておりませんでした。ただ普通の付き合いはしておりました。
  216. 岡部常

    理事岡部常君) でも今度弁護士をなさるについて、事務所を借りられるくらいな間柄ですから、相当私的にも交際があるはずですね。
  217. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます、あるはずです。最初あそこへ事務所を借りたわけではないのであります。外に事務所を借りていたのですが、それが進駐軍のダンス・ホールというか集会所見たいになり、うるさくていけないと言つて事務所で困つておりました。自宅の方はちよつと奥へ入つておりますから、それを宮城の息子の方へ交渉して、あそこを借りたのであります。
  218. 岡部常

    理事岡部常君) 今では弁護士をやつておられるし、大分交際は深くなつて行くわけですね。
  219. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  220. 岡部常

    理事岡部常君) それでいろいろ家庭的にもお付き合いでございましようか。
  221. 南出一雄

    証人南出一雄君) 家庭的の付き合いといつても、なんと言いますか、盆ではないが、暮には向うから鮭の一本とか、下駄とか、歳暮とか又正月の贈答に、今年もそうでございましたが、年に一回ぐらいでございます。まあ今度こういうことになつていろいろ聞いたのですが、毎月、月々相当に生活の補助を受けておるんじやないか、あそこにいるとそういうふうに思われても仕方がないというような話がありましたが、そういう何は一切ございません。
  222. 岡部常

    理事岡部常君) 御在職中はどうでございますか。
  223. 南出一雄

    証人南出一雄君) ございません。ただ時々風呂を貰いに行きますから、それは夕飯の馳走を受けたこともございますけれども。私は酒はやらんものですから、甘いものぐらいはつまんだことはございます。
  224. 岡部常

    理事岡部常君) あなたは酒はやらないのですか。
  225. 南出一雄

    証人南出一雄君) 異常体質というのですか、二三杯よりいけないんです。
  226. 岡部常

    理事岡部常君) その当時は宮城氏は大分実業家としてよくなつて、惡評もなかつたわけですね。
  227. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。本当に宿屋のおやじで、風呂なんかばつかり焚いておりましたから……。
  228. 岡部常

    理事岡部常君) 併しまあ世の中では相当まだ惡く言う人もあつたでしようが……。
  229. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは私たちが特にあそこへ出入りしてからは、昔のことは私の耳に特に入れなかつたのかも知れませんけれども、そういう噂は敵も相当多い人物とは知つております。
  230. 岡部常

    理事岡部常君) それで何かそういういわゆるボス的の振舞いというものは眼につかなかつたですか。
  231. 南出一雄

    証人南出一雄君) ついておりません。
  232. 岡部常

    理事岡部常君) それから又あなたの御職掌柄に対して、何かこうして、くれああしてくれということはないですか。
  233. 南出一雄

    証人南出一雄君) ありませんでした。
  234. 岡部常

    理事岡部常君) 相当町の方では頼まれるのではないですか。そういうふうな氣配はなかつたですか。
  235. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私はこれはまあ余談ですが、宮城が頼まれて、すべて私を介して檢事局に働きかけたというようなことを言うている者があるそうだが、ところが私のところで宮城氏の話で仕事をしたというのは、私の記憶に殆んど残つていないのです、この弁護士業務としても……。ですからまあ心外と言えば心外なんですが、ただあそこへ看板を掛けておる以上、そう疑われても仕方がないというふうに考えております。
  236. 岡部常

    理事岡部常君) ただ宮城氏との交際関係、又事務所をお持ちになつておるために、何か便宜がありそうに考えられますが、宮城氏の関係から事件というものは出て來ないですか。依頼されたことはございませんか。
  237. 南出一雄

    証人南出一雄君) 來ていい筈だと思いますが、この前もいろいろなお調べのときに申上げたんですが、こういう事件について記憶に残るものはないんです。
  238. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか。
  239. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは事件をお調べになつてもお分りになると思いますが……。
  240. 岡部常

    理事岡部常君) それでも事務所が宮城氏の家にあるために、何かいいことがあるだろうと思つて來るようなことがございませんか。いろいろな紹介でなくても……。
  241. 南出一雄

    証人南出一雄君) いや、一面そういうように惡くいわれておるが、それは私駅前というこの場所ですね。この場所が外ですと、私は新らしいものですから、客の関係で商賣が偏るんです。それを私一番恐れるんです。ですから私のところへ來ております依頼人、そういう方面は割合に偏つていないんです。ですからそういうことをお調べ下されば、宮城のあれで來たというようなものでないことはお分りになると思います。
  242. 岡部常

    理事岡部常君) 今お扱いになつておるのは民事と刑事とどちらが多いんですか。
  243. 南出一雄

    証人南出一雄君) どうしても刑事です。
  244. 岡部常

    理事岡部常君) 今事務所は幾らでお借りになつておりますか。
  245. 南出一雄

    証人南出一雄君) 月千円です。
  246. 岡部常

    理事岡部常君) 月千円はそれは相場でございますか。
  247. 南出一雄

    証人南出一雄君) 外の弁護士さんで三百円で随分安いなんという話も聞いたんですが……。
  248. 岡部常

    理事岡部常君) 千円というのは安い方じやないですね。
  249. 南出一雄

    証人南出一雄君) 今の相場では安いんですけれども……。
  250. 岡部常

    理事岡部常君) 前々から借りておる者は三百円では安いわけですね。
  251. 南出一雄

    証人南出一雄君) まあもつといい事務所もありますけれども……。
  252. 岡部常

    理事岡部常君) 話は違いますが宮城ホテルは戰災後建て直つたんですね……建て直つたというよりも新らしく始めたんですね宮城氏が……。
  253. 南出一雄

    証人南出一雄君) 息子です。
  254. 岡部常

    理事岡部常君) その開業の際に檢事正から花環が贈られたということがございますが、御承知でございますか。
  255. 南出一雄

    証人南出一雄君) 知つております。
  256. 岡部常

    理事岡部常君) それはどういう関係で……。
  257. 南出一雄

    証人南出一雄君) あれはたしか今のはこう問題になると申訳ないと思いますが、私があそこへ事務所を設けると、旁々花環を呉れないかということを、たしかこれは宮城氏の息子からの話もあつて、私が檢察廳の死んだ鈴木書記長だつたか、その点ははつきりしないんですが、若し差支えなかつたら花環でも呉れんかというような話がありました。
  258. 岡部常

    理事岡部常君) そうすると宮城ホテルの開業祝いと、あなたの事務所開設と一緒ですか。
  259. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。
  260. 岡部常

    理事岡部常君) そうするとお祝いは宮城ホテルのお祝いと、又あなたの事務所開設のお祝いになつたわけですね。
  261. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。あれはたしか正月だつたか暮だつたか、寒い頃だつたと思います。
  262. 岡部常

    理事岡部常君) それで宛名は何も書いてないんですか。
  263. 南出一雄

    証人南出一雄君) 宛名はないんです。
  264. 岡部常

    理事岡部常君) そうすると見方によるとホテルのお祝いでもあり、又弁護士開業のお祝いというふうにも見えるわけですね。
  265. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは見方によりますが……。
  266. 岡部常

    理事岡部常君) そこはわざと曖昧にしたんですか、両方兼ねるという意味ですか。
  267. 南出一雄

    証人南出一雄君) 両方兼ねるとんじやないかと思つておりましたが、名札がどうなつてつたか、私は今記憶にありません。
  268. 岡部常

    理事岡部常君) それは檢事正からでしようか。
  269. 南出一雄

    証人南出一雄君) その名札の名前はどうだつたか……。
  270. 岡部常

    理事岡部常君) 檢事一同としてですか、檢察廳としてですか。
  271. 南出一雄

    証人南出一雄君) 檢察廳つた檢事正の名前つたか、そこははつきりしないんです。
  272. 岡部常

    理事岡部常君) 余程立派なものですか。
  273. 南出一雄

    証人南出一雄君) 大したものではありませんが、あの時分普通の……。
  274. 岡部常

    理事岡部常君) そのときあなたは自分に祝つて呉れたと言われたのか、ホテルの祝いと思われたか……。
  275. 南出一雄

    証人南出一雄君) これは両方だと思いました。
  276. 岡部常

    理事岡部常君) 景氣がいいと思いましたか。昔の仲間からも花環を贈られて……。
  277. 南出一雄

    証人南出一雄君) はあ嬉しかつたです。
  278. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城ホテルに贈つたとしたらどうなんですか。現職の檢事正、或いは檢察廳がホテルに贈つたとしたら……。
  279. 南出一雄

    証人南出一雄君) それで私もですね。若し差支えなかつたら……、勿論私もいろいろ考えましたから言つたのですが、あの当時は今とは違いまして、仙台では宿がなくていろいろ泊り客やなんかの世話になつている宿屋は一軒くらいしかなかつた筈です。それでまあその礼するのもこういうときじやないかというような氣がしたので……ただ差支えなかつたらいいじやないかと……。
  280. 岡部常

    理事岡部常君) 檢察廳関係の施行でもしている人はそこに多く行つたわけですか。
  281. 南出一雄

    証人南出一雄君) はあ、もう宿がなかつたですから……。
  282. 岡部常

    理事岡部常君) その開業祝のときには檢察廳の方は御出席になりましたか。
  283. 南出一雄

    証人南出一雄君) 開業祝のときはどうも私も招かれたような……、あの時分ごたごたしておりましたので、招かれたような記憶がないのでありますが……。
  284. 岡部常

    理事岡部常君) それでもあなたの……。
  285. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私の開業祝ですか。
  286. 岡部常

    理事岡部常君) 一緒なんでしよう。
  287. 南出一雄

    証人南出一雄君) 違います。
  288. 岡部常

    理事岡部常君) 祝いは別ですか。時期が同じですか。
  289. 南出一雄

    証人南出一雄君) 時期が同じです。私の開業祝は別個でございます。
  290. 岡部常

    理事岡部常君) 何日か隔たつた……。
  291. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。花環も両方に共通です。
  292. 岡部常

    理事岡部常君) 併しそのお祝いに、あなたは事務所を持つておられるくらいだから招ばれないことはないのじやないですか。
  293. 南出一雄

    証人南出一雄君) 招ばれても差支えないのですが、どうも私はのべつ建前やなんとかでしようちゆう飲んだり食つたりしておりましたから、いつの祝いがそうなのか分り兼ねるのです。
  294. 岡部常

    理事岡部常君) それとも余り檢察廳の方の出入りが多いから分らんのですか。(笑声)
  295. 南出一雄

    証人南出一雄君) いやいや。
  296. 岡部常

    理事岡部常君) お祝いといつたら何人か行つたら分りますでしよう。一人二人行かれるのと違いますから……。
  297. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私がこの前お調べ受けたときも、家に帰つて、はてな自分も開業祝のときに出なかつたように思う、開業祝があつたのかねというようなことを家に帰つて家庭と話してみたのですが、どうもその点がいつのが開業祝であつたかはつきりせんのであります。
  298. 岡部常

    理事岡部常君) はつきりせんですか。
  299. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。
  300. 岡部常

    理事岡部常君) そのときの御記憶は‥‥、何か宮城君から祝物、引出物が出たとかいう御記憶ありませんか。
  301. 南出一雄

    証人南出一雄君) 存じません。どんな引出物か、私も勿論貰つたことはありません。
  302. 岡部常

    理事岡部常君) 話が違いますが、世間では宮城氏と仙台檢察廳とは相当密接な関係がある、それは宿屋の関係、いろいろな面倒をみて貰う関係から來るのでしようか、いろいろ評判もあつたようですが、あなたの御覧になつた点をお聞きしたいのですが、宮城氏と特に墾意にしておる職員はどんな人ですか。
  303. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私は、これはここに齋さんもおられるのですが、外の弁護士の方にも私のことはよく知つておる筈ですが、そういう風評を特に私が宮城氏と墾意だというので、隠したのか、耳に入れなかつたのか、一切私に入つてなかつたのです。今度こういう事件になりまして、そんな中には仲のいい弁護士もいるのですから、そういう同僚が何故私にこういう問題が起る、こういう風評がある、注意しろということを言つてくれなかつたのだろう、私はむしろ逆にそう考えるくらいなんです。私の耳には故意に入れなかつたのかも知れませんけれども、私は聞いておりません。
  304. 岡部常

    理事岡部常君) 新聞なんかには出ませんでしたか。
  305. 南出一雄

    証人南出一雄君) ございません。
  306. 岡部常

    理事岡部常君) 世間の噂は‥‥。
  307. 南出一雄

    証人南出一雄君) 聞いておりません。
  308. 岡部常

    理事岡部常君) ございませんか。
  309. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。
  310. 岡部常

    理事岡部常君) あなたがこの事件をお知りになつたのはいつ頃ですか。
  311. 南出一雄

    証人南出一雄君) この事件‥‥。
  312. 岡部常

    理事岡部常君) 今日おいで願つておりますね。この証人にあなたが喚問せられておる。國会の問題になつておりますね。こちらから調査に行つて初めて‥‥。
  313. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。
  314. 岡部常

    理事岡部常君) その前から檢察廳あたりからなんにもお知りになりませんでしたか。
  315. 南出一雄

    証人南出一雄君) ございません。
  316. 南出一雄

    証人南出一雄君) 殆んど去年一ぱいは宮城のおやじにも顔を見ずくらいです。
  317. 岡部常

    理事岡部常君) そうすると、特に檢察廳のうちで、誰か墾意だということは御存じないのですか。
  318. 南出一雄

    証人南出一雄君) 存じません。
  319. 岡部常

    理事岡部常君) 檢事長はいかがですか。
  320. 南出一雄

    証人南出一雄君) 檢事長‥‥。
  321. 岡部常

    理事岡部常君) 今の檢事長‥‥。
  322. 南出一雄

    証人南出一雄君) 存じません。
  323. 岡部常

    理事岡部常君) あなたの方は‥‥。
  324. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私は一緒におつたときの、前からの知合いでないものですから‥‥。
  325. 岡部常

    理事岡部常君) 今の檢事正は宮城氏と相当知合いじやありませんか。
  326. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私は一切、知合い、知合いでないということは、私に関係がないのでありますから‥‥。
  327. 岡部常

    理事岡部常君) でもまあ第三者として御覧になつて往來なんかないのですか。
  328. 南出一雄

    証人南出一雄君) 存じません。
  329. 岡部常

    理事岡部常君) その外の檢事の方も‥‥。
  330. 南出一雄

    証人南出一雄君) これは御記憶願わなければなりませんが息子が経営しております。事実上経営は息子なんです。おやじの頃には元寺小路の竹屋ホテル‥‥。
  331. 岡部常

    理事岡部常君) 余程離れて‥‥。
  332. 南出一雄

    証人南出一雄君) 離れております。五六丁、四五丁はありますか。お互いに、私も一つの仕事を持つているものですから、下の息子の方にも会うことが一月に何回くらいしか会わないのです。
  333. 岡部常

    理事岡部常君) 息子さんは幾つぐらいですか。
  334. 南出一雄

    証人南出一雄君) 三十七八じやないかと思います。
  335. 岡部常

    理事岡部常君) それが主に宮城ホテルを経営している‥‥。おやじさんは外のを沢山経営している。
  336. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。
  337. 岡部常

    理事岡部常君) そういうふうに檢察廳宮城氏の関係をお知合いにならないといえば、これはまあお聞きしてもなんですが、あなたの御関係と同じような意味でいろいろ出入は始まつたと思いますがね。この宮城氏と檢察廳関係ですね、やはり宿が少いときで、宿を借りたとか、そういうようなことから交際が始まつているのでしようね。そういうことは御存じでしよう。そういう程度のことは‥‥。
  338. 南出一雄

    証人南出一雄君) それはよく泊りに参りますから‥‥。
  339. 岡部常

    理事岡部常君) この宿の関係だけでしようか。その外に‥‥。
  340. 南出一雄

    証人南出一雄君) その外、以外には‥‥。
  341. 岡部常

    理事岡部常君) ない‥‥。
  342. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい、それでこれも余談ですが、今度の事件もなにか私が宮城と組んで檢察廳を動かして私憤を晴らすために檢挙さしたとかいうようなことを噂している者もあるそうですが、へえといつてびつくりしたのですが‥‥。
  343. 岡部常

    理事岡部常君) なにかそんなことは疑でも受けることはありませんか。
  344. 南出一雄

    証人南出一雄君) 看板が出ているから、あそこは家主だからそう思われても仕方がないなあと、それは私が元が元、私が出が出だから仕方ないと‥‥。それは私の氣持知つている弁護士諸君は了解ができているはずです。
  345. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか。
  346. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。
  347. 岡部常

    理事岡部常君) 巷間ではいろいろ噂をしているようですね。
  348. 南出一雄

    証人南出一雄君) あそこに事務所があつたために、そういう噂をする者があるかも知れません。
  349. 岡部常

    理事岡部常君) あなたが近くに來ていて、前職もあるし、檢察廳と密接な関係があるというようなことからいえば、相当利きそうですね。そんなことは宮城言つていませんでしたか。
  350. 南出一雄

    証人南出一雄君) 宮城には言つたかどうか知りませんが、外の仲間の弁護士から後で、こういう問題になつたからそう思われても止むを得んなあという話は聞いております。
  351. 岡部常

    理事岡部常君) あなたの御覧になつたところでは、宮城氏はどんな人物ですか。人物といつては余り廣くなりますが、どういう性格ですか。
  352. 南出一雄

    証人南出一雄君) 一本氣な男のように私は考えておりますが、義侠といいますか、義侠、それが封建的と言えば封建的かも知れませんが、可なり義侠心の強い、まあ或る場合には銭金に拘わらず救おうというような、そういういい面が‥‥。
  353. 岡部常

    理事岡部常君) いわゆる、親分氣風がありますか。
  354. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうですね。これは親分と言えば親分かも知れませんけれども、まあ引揚者や何かで困つておるという、そういう連中には宿屋のおやじ以外に、そういう金銭を惠んでやつたり‥‥。
  355. 岡部常

    理事岡部常君) 日常の行動については、実業家タイプという方ですが、親分タイプですか。どつちですか。
  356. 南出一雄

    証人南出一雄君) 最近のことは存じませんけれども、宿屋のおやじになつてからは、実業で伸びたいという氣持が多いんじやないかと思います。
  357. 岡部常

    理事岡部常君) どんな方面に手を伸しておるんですか。
  358. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは私、おやじの方のことはよく分りませんけれども。
  359. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか。あなたはそういうふうな御相談に乘りませんか。
  360. 南出一雄

    証人南出一雄君) 一切。
  361. 岡部常

    理事岡部常君) 顧問とか何かというふうにはなつておるんですか。
  362. 南出一雄

    証人南出一雄君) なつていないんです。ただ息子は、おやじから、自分はこういう男だが、息子は最初からの堅儀で、それで息子には頼るものがないから、万事相談相手になつてつてくれと、こういう話で、私の交際は主として息子になつておるわけです。
  363. 岡部常

    理事岡部常君) おやじさんの元の交際というものが何か続いておるようなことはございませんか。
  364. 南出一雄

    証人南出一雄君) 宮城のですか。
  365. 岡部常

    理事岡部常君) ええ、宮城の元の。
  366. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは存じません。
  367. 岡部常

    理事岡部常君) そういう氣配はありませんか。
  368. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。
  369. 岡部常

    理事岡部常君) 先程も伺つたんですが、宮城氏からの紹介された事件というものは殆んどないのですか。
  370. 南出一雄

    証人南出一雄君) 殆んどないのじやないかと思います。
  371. 岡部常

    理事岡部常君) 皆無ですか。
  372. 南出一雄

    証人南出一雄君) その間に小さいのが一つ二つあつたかどうかと私考えるのですが、私の記憶ではないと思います。
  373. 岡部常

    理事岡部常君) どうもそれはちよつと不思議なくらいですね。
  374. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。はたはそう思うんでございますが、これは一つずつ見て参るとすぐ分るのでございます。併し世間ではそう思つていないかも知れません。
  375. 岡部常

    理事岡部常君) それから、仙台相当問題になつたのは、曲直問題というのがございますね。これは宮城氏が相当タツチしておつたんでしようが、その点で御承知の点があつたら。
  376. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私がタツチ……、宮城は勿論生活の問題ですから、相当然を上げておつたと思うのですが、私がタツチしたのが、建設院総裁がおいでになる直前ですから、もう殆んど終る頃でございます。
  377. 岡部常

    理事岡部常君) もう終る頃。
  378. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。
  379. 岡部常

    理事岡部常君) 曲線に決まりかけておつたんですか。
  380. 南出一雄

    証人南出一雄君) 原案、そうです。
  381. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城氏が何かそれについてあなたに御相談でもありませんでしたか。
  382. 南出一雄

    証人南出一雄君) ですから建設院総裁がおいでになる……。
  383. 岡部常

    理事岡部常君) そのとだけですか。
  384. 南出一雄

    証人南出一雄君) 終る頃ですね。地元から五人くらい代表を出して、それで公聽会といいますか、そういうものをやる。ところがこつちで喋る者がない、一つつてくれんか。
  385. 岡部常

    理事岡部常君) 公聽会の公述人にあなたはなつたわけですね。
  386. 南出一雄

    証人南出一雄君) 出たわけです。
  387. 岡部常

    理事岡部常君) そのときは宮城氏の意思を汲んでお話になつたんですか。
  388. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。それはあの、併し意思を汲みましても弁護士でございますから、自分の余り理窟に通らんことは喋らない。今までの資料を出して見ろというので、資料を出させまして、その資料によると、宮城の言い分の方が正しいというように見えたものでございますから、それで私も一役買つて出たわけでございます。
  389. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城氏の意見に賛成だつた点はどんな点でございますか。いい点はどんなふうでございますか。御記憶でございませんか。
  390. 南出一雄

    証人南出一雄君) 古くて、資料を済んでしまつたのであれしたんですが、原案の決め方が、原案というのは曲る方でございますが、原案の決め方が少し公正を欠いておるんじやないかというように思われました。尤もあの時分、終戰直後のことでございますから、いろいろ議事とかそういう方面で手落があつたのじやないかと思うのですが。
  391. 岡部常

    理事岡部常君) それはその、專ら宮城氏の材料によつてあなたが判断されたんですね。
  392. 南出一雄

    証人南出一雄君) 宮城の材料といいましても、向うで公に出された材料も、速記録とかいろいろなものを組み立てまして、それからこちらの言い分……。
  393. 岡部常

    理事岡部常君) それは消極、積極両説があつたんですか。公述人に。
  394. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  395. 岡部常

    理事岡部常君) 何人くらいずつやりましたか。
  396. 南出一雄

    証人南出一雄君) 五人くらいずつ地元代表でございました。後は縣会議員市会議員
  397. 岡部常

    理事岡部常君) それであなたは地元代表の一人になられたのですね。
  398. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうであります。
  399. 岡部常

    理事岡部常君) それでそのときに、大分宮城氏が運動費を使つたということですが、そういうことをなにかお聞きになりませんか。
  400. 南出一雄

    証人南出一雄君) 存じません。
  401. 岡部常

    理事岡部常君) 三百万円使つたという噂がありますが、一般にそう言われておる員‥‥。
  402. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは知りませんが、しかし曲線派にしろ直線派にしろどつちかが相当の金を使つておれば、あれほどに行かんで決つたのではないかと後で笑つたのですが。
  403. 岡部常

    理事岡部常君) あなたの御覽になつたところは曲線、詰り原案が通つて直線が破れた。それはどういうところに原因があるのですか。
  404. 南出一雄

    証人南出一雄君) それははつきりしませんですが、なんと申上げたらいいのですか‥‥。
  405. 岡部常

    理事岡部常君) 財政方面ですか。直線の方は金が掛りますか。
  406. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうです。建設院総裁の話のときはそうでございました。それから理論としては直線がいいのかも知れないが、それでは動かせない建物があるから、これを動かすには莫大な費用が掛かる。それと直線にすると、それに付いておる道路の周辺の肉の厚味に薄いところができる。そういうことからです。
  407. 岡部常

    理事岡部常君) 曲線にすると宮城氏の個人的の利益は大分損害を受けるわけですか。
  408. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  409. 岡部常

    理事岡部常君) 直線の方が宮城氏のためによかつたわけですか。
  410. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。直線にすると動かないで済む、少し外れますが。
  411. 岡部常

    理事岡部常君) 先程來いろいろな方面から伺つておりましたが、宮城氏に対する一般の評判は、民間とか官廳方面の批判をお聞きになりませんか。
  412. 南出一雄

    証人南出一雄君) 最近は私聞いておりません。
  413. 岡部常

    理事岡部常君) 一般的にどうです。分類しないで申せば‥‥。
  414. 南出一雄

    証人南出一雄君) 一般的に‥‥、私の耳に特に入れないのかも知れませんけれども、私も成るべくそういうふうに一つの党派とか一つのあれに偏りますと、これは商賣上決つてしまいますから、私も実際深入りせずにやつております。
  415. 岡部常

    理事岡部常君) そうでございますか。又重ねてお聞きするようになりますが、あなたと宮城氏の関係というのは、事務所を借りておられるということが一番でございますね。その他になにか世話を受けておるようなことがございますか。
  416. 南出一雄

    証人南出一雄君) 絶対ありません。
  417. 岡部常

    理事岡部常君) 嘱託とか顧問をされておりますか。
  418. 南出一雄

    証人南出一雄君) 顧問というわけでありません‥‥。
  419. 岡部常

    理事岡部常君) 忰さんの目付ですか。
  420. 南出一雄

    証人南出一雄君) 相談相手です。今度あすこに支店を開くがどうですかと相談などされますが、私は商賣のことは分りませんし、そういうときには殆んど息子さんの方で腹が決つております。
  421. 岡部常

    理事岡部常君) 法律問題なんかの相談を受けておるわけですね。
  422. 南出一雄

    証人南出一雄君) そうでございます。
  423. 岡部常

    理事岡部常君) それはただ好意でやつておるのですが。
  424. 南出一雄

    証人南出一雄君) 家主ですから……。
  425. 岡部常

    理事岡部常君) それから仙台に丸谷事件、沼田事件、或いは塩竈の賭博事件とかいろいろ世評に上つておる事件がございますが、それらについて宮城氏が檢察廳と連絡して運動しておるという噂が專らですが、それについてなにかお感じになつたことはありませんか。
  426. 南出一雄

    証人南出一雄君) 今お話の塩竈の賭博事件というのは‥‥。
  427. 岡部常

    理事岡部常君) 相当大きな賭博事件があつて、揉み消しされたという事件があるのですが。
  428. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは私が関係した事件かも知れませんが。
  429. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか、前の事件ですから‥‥。
  430. 南出一雄

    証人南出一雄君) それは私が行つたので、それはしかし処罰になつております。ただ身柄ですね、留置されないように一晩くらいの留置だつたと思います。身柄を行つて貰い下げして來た関係です。
  431. 岡部常

    理事岡部常君) 処罰は相当されているのですか。
  432. 南出一雄

    証人南出一雄君) はあ、もう証拠のあるやつは皆処罰されております。
  433. 岡部常

    理事岡部常君) それは本当の博徒の博打ですか、紳士賭博なんですか。
  434. 南出一雄

    証人南出一雄君) まあ紳士賭博みたいなものですな。
  435. 岡部常

    理事岡部常君) その外の事件はいかがですか。
  436. 南出一雄

    証人南出一雄君) 存じません。
  437. 岡部常

    理事岡部常君) ああそうですか。それには宮城氏や何んかが工作しているということは‥‥。
  438. 南出一雄

    証人南出一雄君) 私も勿論関係しておりませんが、その事件自体がどんな事件であるか知らないのです。
  439. 岡部常

    理事岡部常君) 今の塩竈事件ですね、あれは弁護士としておやりになつたのですか。
  440. 南出一雄

    証人南出一雄君) 弁護士を開業しておりました。
  441. 岡部常

    理事岡部常君) ああそうですか、それは誰の紹介で行きましたか。
  442. 南出一雄

    証人南出一雄君) 宮城氏でございましたか誰でございましたかな‥‥。
  443. 岡部常

    理事岡部常君) やはり宮城君も紹介人の一人であるかのような感じがされますか、はつきりした‥‥。
  444. 南出一雄

    証人南出一雄君) はつきりしたことは言えないのですが。
  445. 岡部常

    理事岡部常君) 相当親分も入つておるのですか。
  446. 南出一雄

    証人南出一雄君) 親分は入つておりません。大したものはなかつたらしいです。どんなのが親分やらはつきり分りませんが‥‥。
  447. 岡部常

    理事岡部常君) 八甫谷とか何とかいう人がいますか。
  448. 南出一雄

    証人南出一雄君) 八甫谷。
  449. 岡部常

    理事岡部常君) 八甫谷、それはあなたが弁護なすつたのですか。
  450. 南出一雄

    証人南出一雄君) いえ年は幾つでありますか。
  451. 岡部常

    理事岡部常君) 八甫谷忠助の子供‥‥。
  452. 南出一雄

    証人南出一雄君) ああ忠一郎、そうです。
  453. 岡部常

    理事岡部常君) そのときは八甫谷は関係ないのですか。その賭博事件には‥‥。
  454. 南出一雄

    証人南出一雄君) ない筈です。
  455. 岡部常

    理事岡部常君) それから後に八甫谷の息子が‥‥。
  456. 南出一雄

    証人南出一雄君) 不良であります。
  457. 岡部常

    理事岡部常君) 南署に檢挙されたことがある。
  458. 南出一雄

    証人南出一雄君) はあ。
  459. 岡部常

    理事岡部常君) そのときは何か‥‥。
  460. 南出一雄

    証人南出一雄君) あれは二回くらい檢挙になつておるのです。その度に私やつておりました。
  461. 岡部常

    理事岡部常君) それはどうなりました。二回檢挙されて‥‥。
  462. 南出一雄

    証人南出一雄君) 保釈中にやつたり何かして‥‥。
  463. 岡部常

    理事岡部常君) ああそうですか。その事件は片付かないですか。
  464. 南出一雄

    証人南出一雄君) まだ保釈中にやつたのですから今控訴中ですか、上告中ですか‥‥。
  465. 岡部常

    理事岡部常君) とにかく有罪の判決を受けたのですか。
  466. 南出一雄

    証人南出一雄君) はあ、そうです。最近聽きましたらどこか外でやられて、そつちに引張られて行かれたように聞きました。
  467. 岡部常

    理事岡部常君) 釈放というのは保釈で出たのですか。
  468. 南出一雄

    証人南出一雄君) 最初は保釈で出たのですが‥‥。
  469. 岡部常

    理事岡部常君) それから更に保釈中に犯罪を犯してそれで今上訴しておるのですか。
  470. 南出一雄

    証人南出一雄君) はあ、そういうふうに‥‥。
  471. 岡部常

    理事岡部常君) そのときに係檢事は佐々木檢事ですか。
  472. 南出一雄

    証人南出一雄君) 実際の調べは佐々木檢事がやつたか、事務官がやつたか知りませんが‥‥。
  473. 岡部常

    理事岡部常君) 何か宮城氏とあなたと一緒になつて佐々木檢事に働きかけたというような‥‥。
  474. 南出一雄

    証人南出一雄君) そんな大きな事件じやないのです。
  475. 岡部常

    理事岡部常君) 窃盗というとどんな窃盗ですか。
  476. 南出一雄

    証人南出一雄君) 空巣です。不良子の空巣みたいなようなものです。それほど四角張つてお願いしなければならんような事件じやありません。
  477. 岡部常

    理事岡部常君) 二度となれば不起訴になるということは全然ないですか。
  478. 南出一雄

    証人南出一雄君) はい。
  479. 岡部常

    理事岡部常君) 執行猶予も無理なんですね。
  480. 南出一雄

    証人南出一雄君) ええ、もう二度目ですから。
  481. 岡部常

    理事岡部常君) そうですか、松村さんよろしうございますか、それじやどうも御苦労樣。    〔証人岡琢郎君着席〕
  482. 岡部常

    理事岡部常君) 岡琢郎さんですか。
  483. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そうです。
  484. 岡部常

    理事岡部常君) お住いはどちらですか。
  485. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 港区芝高輪。
  486. 岡部常

    理事岡部常君) お歳は。
  487. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 五十六になります。
  488. 岡部常

    理事岡部常君) 今御職業は。
  489. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 最高檢察廳檢事兼法務廳研修所長。
  490. 岡部常

    理事岡部常君) 御家族は何人ですか。
  491. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 今七人おります。
  492. 岡部常

    理事岡部常君) 財産は。
  493. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) ございません。
  494. 岡部常

    理事岡部常君) 不動産はお持ちになつておらないですか。
  495. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 持つておりません。
  496. 岡部常

    理事岡部常君) 動産はないのですか。
  497. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 動産も大したものはございません。
  498. 岡部常

    理事岡部常君) あなた仙台檢事正をやつておられましたね。
  499. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) はあ、やつておりました。
  500. 岡部常

    理事岡部常君) いつからいつまでですか。
  501. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 二十一年の七月からですか、二十二年の八月まででございます。
  502. 岡部常

    理事岡部常君) 御在任当時に宮城竹三郎氏とお知り合いでございますか。
  503. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そうです、知つております。
  504. 岡部常

    理事岡部常君) どういうところから‥‥。
  505. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) それは最初ですね、私が首席檢事をしておりました時分に、二十一年の六月か七月頃でございますが、あそこで東京から來ました檢事の宿をとりましてあそこに一泊いたさせました。
  506. 岡部常

    理事岡部常君) それは一体に檢察廳関係の方はその宿に泊つたのですか。
  507. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) はあ、その当時はたしかそういうふうになつておりましたようです。
  508. 岡部常

    理事岡部常君) あなたは。
  509. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私はあそこを辞めまして一度泊りました。
  510. 岡部常

    理事岡部常君) あなたがおいでのときには官舎があつたのですか。
  511. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私の時分には官舎がありました。
  512. 岡部常

    理事岡部常君) 燒けませんでしたか。
  513. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 燒けないです。
  514. 岡部常

    理事岡部常君) それから宮城氏は相当檢事局の方に出入りしておるようですが。
  515. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私の方には全然ございません。檢事正室にはございません。
  516. 岡部常

    理事岡部常君) 併し宮城氏はいろいろ宿屋だけでなく、飲食店など、そういう関係のものを経営しておるようですね、それに檢察廳の方が相当行かれるように聞いておりますが、
  517. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) その点は私存じませんが‥‥。
  518. 岡部常

    理事岡部常君) あなたはおいでになつたことはございませんか。
  519. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私は宴会はあそこでやつたことがございます。鉄道檢察官の会合をやりまして、その晩に慰労会をやりました、そのときにあそこに参りました。
  520. 岡部常

    理事岡部常君) それは竹屋旅館ですか。
  521. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 駅の前のですね。
  522. 岡部常

    理事岡部常君) 駅の前の宮城氏の経営しておる料亭ですか、何というのですか。
  523. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) やはり竹屋と申しておつたと思いますが。
  524. 岡部常

    理事岡部常君) それは何度もおいでになりましたか。
  525. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) いえ、一回です。
  526. 岡部常

    理事岡部常君) 一回だけですか。
  527. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) はい。
  528. 岡部常

    理事岡部常君) その外檢事の方は度々行かれるのですか
  529. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) その辺私よく注意しておりませんですが。
  530. 岡部常

    理事岡部常君) 今宮城ホテルというのがございますね。その直ぐ傍ですか。
  531. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 駅の前にあるのがその宮城ホテルでございますか、あそこの直ぐ離れた所にありますね。
  532. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城ホテルというのは、仙台ホテルの近くにありますね。
  533. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 仙台ホテルというのはどれですか、私はよく存じません。
  534. 岡部常

    理事岡部常君) 御在在中、宮城竹三郎氏はあなたのところに訪ねたことがございましたか。
  535. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 役所でございますか。
  536. 岡部常

    理事岡部常君) ええ。
  537. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 役所では、そう、一回ぐらい來たかと思います。それもよく私は覚えておりませんけれども。
  538. 岡部常

    理事岡部常君) 若し行くとすれば、どんな用で行きますか。
  539. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) それはたしか宴会のあつた後でございまして、或いはお金せ貰いに來たのかなにか知りませんが参りました。大変有難うございましたという挨拶だけに來ました。
  540. 岡部常

    理事岡部常君) 官舍には出入りを‥‥。
  541. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 参りません。
  542. 岡部常

    理事岡部常君) 官舍なんかには全然出入りをいたしませんか。
  543. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 全然出入りをしておりません。
  544. 岡部常

    理事岡部常君) その外の檢事との関係について、どんなふうにお感じですか。
  545. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 檢事と竹屋との関係ですか。
  546. 岡部常

    理事岡部常君) ええ。
  547. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私のおりました時分は、別に関係はそうなかつたと思いますが。
  548. 岡部常

    理事岡部常君) なにか宿屋の方のお得意様になつているわけですね。
  549. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) あの時分に、仙台の方は随分燒けまして、宿がないものですから、よくあそこに宿を頼んでおつたようでありました。
  550. 岡部常

    理事岡部常君) 檢事が新任して來られた時など、あそこに足を留めるということ‥‥…
  551. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私の知る範囲内では、あそこに泊つた者はなかつたと思います。私共も、廳舍の裏になんとかいう小さい下宿のような宿がありまして、そこに漸く宿つたような次第でありまして、あそこを使うようになつたの相当後だつた思つております。
  552. 岡部常

    理事岡部常君) それでも、外からの出張者などは、そこに紹介されるのですね。
  553. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) よくあそこに頼んでおつたようであります。
  554. 岡部常

    理事岡部常君) その機会に宴会をするということは、あなたは御存じなくても‥‥。
  555. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) それはありました。
  556. 岡部常

    理事岡部常君) そんな関係で常得意になつているわけですね。
  557. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 常得意でございましようね。
  558. 岡部常

    理事岡部常君) その点で、なにか附け届けなんかしやしませんか。
  559. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういうことは全然やりません。
  560. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城氏からございませんか。
  561. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 全然ありません。
  562. 岡部常

    理事岡部常君) とに角宮城氏と相当関係ができているわけでございますね、檢察廳と。
  563. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) さあ、私共の知る範囲の、関係とはどういうような関係でございましようか。
  564. 岡部常

    理事岡部常君) 出入り‥‥。
  565. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 指定旅館という趣旨で、いろいろ宿をとるということについてならば関係がありましようが。
  566. 岡部常

    理事岡部常君) とに角出入りはしているわけですね。
  567. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 出入りはしております。
  568. 岡部常

    理事岡部常君) そういうふうな関係から、職務上のなにか便宜を要求するとか、それに頼まれたのでしようがないからというので、おやりになつたようなことはなかつたですか。
  569. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) それは全然ありません。
  570. 岡部常

    理事岡部常君) 世間はそういうことを相当つているようですけれども、そういうことはございませんか。
  571. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私のいる間では、そういうことは全然ございません。
  572. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城ホテルが開業いたします時に、あれは戰災の後からできたのですが、開店祝の時に、檢事正の名前で、或いは檢察廳名前で、或いは檢事一同とかいう名前で、なにか花を送つておられる。或いはお祝の金も送られたということですが、そのことを御存じですか。
  573. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) それは私は、宮城ホテルにそういうふうなことをやつた覚えは全然ありません。金の問題は全然ございません。それから花環の問題は‥‥、たしかあの当時、南出弁護士が開業をすると、そのお祝をやるという話がありまして、次席檢事から、南出君の將來を祝つて上げたいから、一つ檢事正のお名前を借りて、花環を出してやりたいと思いますが、いいでしようか、ということで、私は非常に結構だと言つたことはあります。恐らくその問題じやないかと思います。
  574. 岡部常

    理事岡部常君) 檢事正の名前でおやりになつたのですね。
  575. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そうです。
  576. 岡部常

    理事岡部常君) その時の次席は誰ですか。
  577. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 稻葉厚です。
  578. 岡部常

    理事岡部常君) 稻葉厚ですね。
  579. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) ええ、稻葉君は、たしか南出弁護士檢事時代の同僚かなんかでありまして、例の追放で、たしか南出君は辞めたと思つております。そんな関係で、將來を一つつてやりたいという話でありましたものですから、そういうことで祝われたことと思います。
  580. 岡部常

    理事岡部常君) 実際扱つたのは、書記長か何か。
  581. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) どういうことでやつたか、私はたしかに存じません。
  582. 岡部常

    理事岡部常君) その時あなた様は、若し出ているとすれば南出さんのために‥‥。
  583. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私はそういうことで承諾しました。
  584. 岡部常

    理事岡部常君) 相手方は宮城ホテルではございませんか。
  585. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そうじやありません。
  586. 岡部常

    理事岡部常君) なにも宛名もなしで行つているそうですね。
  587. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そうですか。その点存じません。
  588. 岡部常

    理事岡部常君) 開店祝のときに、あなた方、御招待を受けたのではありませんか。
  589. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私は受けておりません。
  590. 岡部常

    理事岡部常君) 外の方はどうですか。
  591. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私は存じません。
  592. 岡部常

    理事岡部常君) なにかその時も、大変にぎにぎしくやつたように傳わつておりますが、そんなことはありませんか。
  593. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私は存じません。
  594. 岡部常

    理事岡部常君) こちらで調べましたところによりますと、南出さんの開業と、ホテルの開業祝と大分離れているそうですね。
  595. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) その点私はよく存じません。
  596. 岡部常

    理事岡部常君) 何ヶ月か離れている。だからこの弁護士の花環だというのはちよつとおかしい。弁護士の開業祝に花環もおかしいし、ホテルの方がぴつたり合いそうですね。宮城氏自身も、檢事團から貰つた言つているそうですね。それから現に鏡なんかが残つているというですね。檢事團から宮城さんに行つた。つまりそれはやはり開業の祝いじやないかと思われます。そんなことは御存じありませんか。
  597. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 存じません。
  598. 岡部常

    理事岡部常君) 檢事團となつていると、檢事正も入るのではありませんか。
  599. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 全然そのことは聞いておりません。花環の点だけは、私は次席に、よかろうと言つて許しましたが、その外は許しておりません。
  600. 岡部常

    理事岡部常君) その時に、南出さんの開業が大分前で、おかしいという‥‥。
  601. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) その時は存じません。南出の話を聞いたときは、そのときが始めてであります。同僚のためで、よかろうと言つたので‥‥。
  602. 岡部常

    理事岡部常君) 南出弁護士はあなたにはお目にかかつたことはありませんか。
  603. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) ありません。そのあとだつたと思います。
  604. 岡部常

    理事岡部常君) それが檢事をやつてつた南出というのを御存じありませんか。
  605. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 知りません。私は檢事控訴の、各管内を、追放のことで廻つたことはあります。そのときにお目にかかつてつたかも知れませんが、私、御本人の名前を記憶しておりません。
  606. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城氏が前科があつたというようなことは知つておりませんか。
  607. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私は、それは最初知りませんでしたが、何かなんの機会でありましたか、仙台を出る前か何かに、そういう話を聞いたことがありますね。
  608. 岡部常

    理事岡部常君) けれども、ああいう宿屋の主人がどういう人間だというような噂なんかもあつたのではありませんか。
  609. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そうですね。噂は‥‥私は、それに関心を持つていなかつたために‥‥。
  610. 岡部常

    理事岡部常君) ボスとかなんとかいう、相当噂がありそうに思いますが。
  611. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういう話は聞きませんが、ただこういう話を聞きましたが、人の面倒を見る、義侠心を持つている。
  612. 岡部常

    理事岡部常君) あなたが見たところでは、ボス的な何か臭いが。
  613. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういうことはありません。会つたのは、機会が少いが、感じたところでは、ボス的の臭いはないと感じております。
  614. 岡部常

    理事岡部常君) そうすると、普通の実業家という感じで。
  615. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういう考えを私は持つておりました。
  616. 岡部常

    理事岡部常君) そうすると、むしろ宮城氏に対しては、一種の信頼感をお持ちになつて‥‥。
  617. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 別に信頼をするわけではありませんが、私などは、檢事正である以上、実際公正な立場に立たなければなりませんので、よくよくの場合でなければ、信頼するというわけには行きませんが、併し人間としては‥‥。
  618. 岡部常

    理事岡部常君) 感じは惡くないと‥‥。
  619. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 感じは惡くないと感じております。
  620. 岡部常

    理事岡部常君) 宮城氏の息子さんは御存じありませんか。
  621. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 存じません。
  622. 岡部常

    理事岡部常君) それがホテルを経営しているらしいが、その方は御承知ありませんか。
  623. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) はあ。
  624. 岡部常

    理事岡部常君) 南出さんを知るに至つたのは、花環の問題で‥‥。
  625. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そのときが始めてであります。そのときはお顔も全然知りません。
  626. 岡部常

    理事岡部常君) 南出氏と宮城氏との関係というようなことはやはりそのとき初めてお知りになつた‥‥。
  627. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そのとき初めて聞きました。それは南出弁護士の事務所がないので、非常に困つていたところへ、宮城氏がそれは非常に氣の毒だ、特に一つ部屋を提供しようということを言つて仕事ができるようにしてくれたのです。こういう話を聞いたのです。
  628. 岡部常

    理事岡部常君) 何か前に檢察廳に勤めていた方でもあるし、そういう人がそういうところに事務所を持つということについては、何かちよつと危惧の念をお持ちになつたようなことはありませんか。
  629. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私自身何も感じませんでした。その当時は‥‥。
  630. 岡部常

    理事岡部常君) 併しそういうように、檢察廳関係のある方がそういうところに行く一方、宮城ホテルの方も、檢察廳相当関係があるのですから、そういうところに事務所を弁護士が持つと困るというような、何かまずいことがありはしないかという御懸念はございませんでしたか。
  631. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私自身としてはそういう懸念は別に持つておりませんでした。
  632. 岡部常

    理事岡部常君) 例えばそのために宮城氏が働いて、事件の揉み消しとか、貰い下げをやるとか、運動がましいことをやるというようなことはお感じになりませんでしたか。
  633. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういうことは私自身にとつてはございませんでしたので、別に心配いたしておりませんでした。その後南出弁護士にも会いましたけれども、決してそういうような人ではなかつたようです。弁護士と申しましても、申上げてはいけませんが、非常に人格の点においては、高い人もありますし、低い人もありますが、南出弁護士さんは立派な弁護士だと、こう私考えておりました。
  634. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) あなたの在任中余り御存じなかつたということですが、檢察廳の方は相当宮城氏のところで飲食する機会もあつたと思うのですが、度数の多募は御存じないかも知れませんが、その宴席のときなどは、何か特別に便宜を図られておらなかつたでしようか。
  635. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういうことはなかつたと思います。大抵役所のなんでやります場合、全部皆の世話でやらさせ、且つ酒などの不足についても、後で皆届けさしてある筈であります。
  636. 岡部常

    理事岡部常君) それが、そのとき料理を不当に安くしたり酒を不当に出させるということは‥‥。
  637. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういうことはないと思います。ない筈です。これは全部書記長に任せ切りでございますから、具体的なことを一々私見ておりませんから、そういうことはないと思います。
  638. 岡部常

    理事岡部常君) 御在任中はとにかく特段のことはなくても、宮城氏と‥‥。
  639. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私としては簡單に、そういうふうな程度で付き合つていただけでございますが‥‥。
  640. 岡部常

    理事岡部常君) その当時何も宮城氏の行動におかしいと思われることはありませんでしたか。
  641. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 私別に不審を持ちませんでした。
  642. 岡部常

    理事岡部常君) 任務を離れるときに、後に間違いがなければいいがなということはお感じになりませんでしたか。
  643. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 感じませんでした。
  644. 岡部常

    理事岡部常君) 今になつていろいろ問題が、実は噂かも知れませんが、起つておるのですが、それで思い当る節はございませんか。
  645. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 別にございません。
  646. 岡部常

    理事岡部常君) それから話が違いますが、松尾啓三市会議員をやつておる‥‥、市会議員と縣会議員を……。
  647. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) おります。
  648. 岡部常

    理事岡部常君) あの人のテキ屋の関係の親分の襲名祝というようなことがございましたね。あのときに皆さんおいでになつた‥‥、あなたもおいでになりましたか。
  649. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 参りました。
  650. 岡部常

    理事岡部常君) あなたはどういう動機でおいでになつたのですか。
  651. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) これは最初鑓水という弁護士がおりまして、その弁護士から私共の方の次席檢事に、今度テキ屋の親分が襲名披露する、それで一つ見られたらどうか、こう言つて來たそうです。次席檢事が私の方に参りまして、珍らしいものだから檢事局全部一つ御覧になつたらどうでしようという話だつた。それじや行こう、こういうことを言いまして、そけで一度行つたのです。
  652. 岡部常

    理事岡部常君) それは殆んど檢事総出でおいでになつたのですか。
  653. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 総出とまで言えないと思います。行かなかつたのは二三人あつたと思いますけれども‥‥。
  654. 岡部常

    理事岡部常君) どういう所でやりましたですか。
  655. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) あそこの劇場でやりました。
  656. 岡部常

    理事岡部常君) 映画劇場ですか。
  657. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そうでした。
  658. 岡部常

    理事岡部常君) それで、そのテキ屋の連中は舞台でやつてつた‥‥。
  659. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 舞台で‥‥。
  660. 岡部常

    理事岡部常君) 皆さんは下で御覧になつた‥‥。
  661. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 下で見ました。
  662. 岡部常

    理事岡部常君) どういうふうに招待されたのですか。
  663. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 別に招待はないわけです。
  664. 岡部常

    理事岡部常君) ただ見に行つた‥‥。
  665. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 見に行つたのです。
  666. 岡部常

    理事岡部常君) 誰でも見せたわけですか。
  667. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) その点はどういうふうになつてつたか存じませんが、私共には別に公の招待はなかつたわけです。
  668. 岡部常

    理事岡部常君) そのとき檢事長も行かれたですか。
  669. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 恐らく行かれたと思います。
  670. 岡部常

    理事岡部常君) それで式が済んでからどんなことがありましたか。
  671. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 何にもございません。私共直ぐ帰りましたから‥‥。
  672. 岡部常

    理事岡部常君) 何か宴会か何かございましたか。
  673. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) ございません。
  674. 岡部常

    理事岡部常君) 何か引出物がございましたか。
  675. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 何か折かなんか呉れたように思つております。
  676. 岡部常

    理事岡部常君) 特に仲間の宴会なんかにはおいでにならなかつた‥‥。
  677. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 出ません。
  678. 岡部常

    理事岡部常君) それとも随分珍らしいことがありそうですが‥‥。
  679. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そういうものは、私共としては飲食というようなものについては特に関心を持つておりますので、全部差控えておるわけです。又別に向うからそういうことを申出たこともありませんのです。
  680. 岡部常

    理事岡部常君) 何かそのときに挨拶として何かお持ちになつたのですか。
  681. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) いいえ、そのときは持つて参りません。
  682. 岡部常

    理事岡部常君) お祝かなんか‥‥。
  683. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) そのあとで折なんか呉れたものですから、貰いばなしじやいけないというので、酒かなんか持たせてやつたと思います。
  684. 岡部常

    理事岡部常君) お祝に‥‥。
  685. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) 折詰を呉れましたから‥‥。
  686. 岡部常

    理事岡部常君) それの謝礼ですか。
  687. 岡琢郎

    証人(岡琢郎君) それの謝礼として‥‥、私共貰う理由も何にもありませんから、そういうことはやつて置いて筈であります。
  688. 岡部常

    理事岡部常君) 皆さん、よろしゆうございますか‥‥それではどうも有難うございました。これで休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後一時三十九分開会
  689. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それでは午前に引続き開会いたします。    〔証人管原弘毅君着席〕
  690. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 管原弘毅さんですか。
  691. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  692. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの御経歴は。
  693. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 昭和十七年に大学を卒業すると間もなく司法官試補を拜命いたしまして、それから大阪地方裁判所司法官試補になりまして、すぐに軍隊の方に取られまして、昭和二十一年の五月まで龍部隊の方に勤めておりました。それから帰つて來てから、五月に帰つて参りましてから六月に直ちに大阪に赴任いたしまして、二十三年の五月まで大阪で司法官試補を勤めておりました。それから直ちに仙台地方檢察廳の方に來て、地方檢察廳檢事を拜命いたしまして現在に至つております。
  694. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御家族の関係は。
  695. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 父親とそれから母親、それから私の家内、それから子供、今年三つになります子供と私、これだけです。
  696. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何れも赴任地に御一緒ですか。
  697. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  698. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 仙台宮城竹三郎という人がおりますが、御存じですか。
  699. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 知つております。
  700. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) いつ頃からどういう関係御存じですか。
  701. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) これは私が赴任をして來て十日ぐらいだと思いますが、佐々木檢事のところに何か魚釣だつたと思いますけれども、そのときに、打合せに行つたときに宮城竹三郎なる人が來ておりまして、佐々木檢事から、この人が今度新任の管原檢事ですと、こういうようなことで、私紹介を受けたように記憶しております。
  702. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それから宮城との御関係は。
  703. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 別段関係というようなものはありません。
  704. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城が何か経営しておる旅館とか飲食店とかがありますね、そういうところへおいでになつたことがありますか。
  705. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 九月だつたですか、私が今の家内と一緒になるときですから、昨年の九月頃に、家内が栗原郡の岩ヶ崎から仙台に参りまして、汽車が遅れたというので駅前つたと思いますが、そこに泊つたので、そういう通知を受けて私が行つて一晩あすこで泊めたことがあると思います。それだけであります。
  706. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それ一回切りですか。
  707. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) はい。
  708. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かのいろいろな会合か、そういうことで宮城の経営しておるところに行つたことがありますか。
  709. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 行つたことがありません。
  710. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) おいでになつたことがありませんか。何か宮城から品物とか、お金をお受けになつたことがありますか。
  711. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ありません。
  712. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か職務上のことで宮城があなたに御便宜をお願いしたことがありますか。
  713. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ありません。
  714. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城は何ですか。檢察廳に頻々出入りするのですか。
  715. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 私が檢察廳で見たというのは二回ぐらい見たと思いますね。
  716. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) これは他の檢事の方を訪問するわけですか。何の用事で來たか分りませんか。
  717. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 分りません。
  718. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳檢事官の方、若くは事務局の人と宮城というのは非常に懇意ではないのですか。
  719. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) さあ、それはちよつと分りませんが‥‥。
  720. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたに最初にそうやつて宮城に引合わしたということから察しても仙台檢察廳に赴任しておいでになる本官の人は何れも宮城にそうやつて引合わされて、懇意になつて行くのではないでしようか。
  721. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) さあ、そこは私分りませんね。ただ私が赴任して來たときに、そう紹介を受けたのですが、あとで宮城というのは何しておるのだと言うと、何か檢察廳の指定旅館とかなんとかということを聞きました。
  722. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたに赴任したときに宮城にお世話になりましたか。
  723. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 赴任して來るときですか。私は世話になんかなりません。
  724. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 他に轉任されるお方な赴任される方はいずれも宮城の世話になるんじやないですか。
  725. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは聞いておりませんね。分りません。
  726. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 仙台檢察廳にお勤めになれば宮城と非常に心易くなるということが一つの傳統的になつておるじやないですか。
  727. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは私來たばかりですから分らないですね。
  728. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一般に宮城という者が檢察廳に対して非常に懇意であるということは御承知ですかその程度は‥‥。
  729. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) まあ、指定旅館だということ、聞いておりましたから。ですから何というのですか。檢察廳だけでなくて、最高檢なんかから來たときは行くのじやないですか。私は行つたことはありませんから。
  730. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると檢察廳の、高檢若しくは地檢の何かいろいろ会合のときに、宮城の所を利用するのですね。
  731. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 私の言つたのは最高檢です。
  732. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 最高檢が來たときに利用するのですか。
  733. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) というようなことは聞いておりました。あすこのお客さんを泊めるのだということを聞いておりました。
  734. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳の何かいろいろ会合とか或いは会食する場合に、宮城の所を常に御利用になるじやないですか。
  735. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 私は行つたことがありませんから分りません。
  736. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 外の方は御承知ありませんか。
  737. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) どうですかね。それはちよつと分りません。
  738. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたに宮城を紹介する程ですから、佐々木檢事は心易いわけですね。
  739. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) まあ、心易いかどうですか、その点は‥‥。
  740. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 今度あなたが赴任して來た場合、こういう人だということを紹介する程ですから、まあ先輩顔して‥‥。
  741. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 内部の点は分りません、どんな関係があるかということを聞いたことがありませんから‥‥。
  742. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 相当心易くなければ一私人を紹介の労を取るわけもないでしようから。別段に檢察廳の上役ならばとにかく‥‥。
  743. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) その点分りません。聞いておれば申上げます。けれども、私は何も聞いておりませんから。
  744. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城に紹介されましてどうお感じになりましたか。
  745. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) どう感じたといつて、私はそうおりませんでしたから、私は土曜日の日だつたと思うのですが、何処に行くのだというようなことから、何かあの人は鯉釣りが專門ですから、何処か鹿島台とか何とかに行こうかというような話で、直ぐ別れたと思います。
  746. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 大体宮城という人は檢察廳を背景にして、自分の営業上とか或いは仕事の上において便宜を得たいとか、或いは少くともそういう威力を肩に着たいとかというような考えを持つておるのではないですか。檢察廳はそれに利用されておるわけじやないですか。
  747. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) さあ‥‥。それは分りませんね。私には‥‥。
  748. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳の方でそういうことを意識しないでも、檢察廳の人が皆頻頻お出入になつておる、そういうことから、そういう利用を受けるのじやないですか。
  749. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) どうですかね、その点は‥‥。併し竹三郎という男はそんな男なんですかね。私は実際のところ分らないのですからね。
  750. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたのお勧めになつておる同僚諸君、若しくは事務局の人で宮城のところへ出入する人を御存じですか。
  751. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 檢察官でですか。
  752. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 若しくは檢察事務官、或いは職員で。
  753. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 聞いていませんね、そういうことは。
  754. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ただ宮城の開店する時には花環を檢察廳から贈るという程ですから。余程檢察廳と懇意でなければ、そんなことをする筈はありませんね。
  755. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、その花環の点は法務委員会の方ですか、この間仙台に來られた時に、その話を聞いたのですが、私は全然知らないのです。
  756. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう点から見ても相当懇意であるべき筈ですね。花環を贈る程だから。
  757. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) その点は分りませんね。
  758. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ただ檢察廳から花環を贈るということは余程の名誉ですね。
  759. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) さあ、どういう経緯で花環を贈つたものかよく分りませんですが。
  760. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると宮城とあなたが会食なさつたということはないのですか。
  761. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ありません。
  762. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた失礼ですが相当お酒いけるそうですね。
  763. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 酒つて、まあ軍隊にいた時は大分酒を飲みましたけれども、南方へ行つてマラリヤを始終起しまして、帰つて來てからも大阪で三回程やりまして、あまりやると直ぐ足の方に響きますのでやりません。
  764. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 大分お飲みになるとかいう話ですが。
  765. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) まあ、それは一つの噂で、事実上飲むと左の足が殆ど駄目になりますから。
  766. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 怪我なさつたのですか。
  767. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 怪我つて‥‥四つの時に父親が台湾におりまして、信濃丸という船に乘つて‥‥丁度四つの時、内地にいた時、母親を失くしまして‥‥四つですから、ちよちよこ歩き二等デツキから落ちた。それからずつと左の足が惡い。特にマラリヤというのは関節が非常に酷くなつて來ますから、そういうふうに刺戟物を與えると、とてもたまらないのです。
  768. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何だか明けて昨年末、あなたは大分御酩酊で、その結果何だか松尾の子分連中から暴行を受けられたということがあるじやないですか。
  769. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、そんなことはありませんね。
  770. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた醉つていらして投げられたということがおありではないですか。
  771. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、ありません。
  772. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お飲みになると相当飲めるのでしよう。
  773. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) まあ、飲むことは飲みますね。
  774. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一升ぐらいゆくですか。
  775. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 一升‥‥さあ、そんな‥‥一升飲めば当時だつて七百円、今だつて千円、我々の俸給では、とてもいけません。
  776. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた千葉知事の招宴は御出席になりましたね。
  777. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 何処のですか。
  778. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 仙台千葉知事。
  779. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 場所は。
  780. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何処か招宴にお出でになつたことはないですか。
  781. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、ありません。
  782. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 知事の招待を受けてお出でになつたことありませんか。
  783. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ありません。
  784. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一回もありませんですか。
  785. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ありません。
  786. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた何だか招宴を受けまして、その招宴の席上で醉ぱらわれて何か醜行があつたとかいうようなこと。
  787. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 醜行ですか、いやそんなことはありません。
  788. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう噂もありますがね。根本的に招宴に御出席になつていなければそういうことはないことにしてそれ以上お尋ねいたしません。
  789. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、ありません。
  790. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは何か山口屋酒店の招待を受けていらつしやつたことはありますね。
  791. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) あります。
  792. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは、どういう理由つたのですか。
  793. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは、何か石巻の司法保護委員の、名前は忘れましたですけれども、その人が何か青梅寮の開店‥‥と言うとおかしいですが、國からお金を貰つて、その披露宴とかなんとかいう名目だつたと思いますが‥‥。
  794. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると、そのときの話は。
  795. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 話は、私なんかは後に行きましたから分りません。
  796. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それはどういう‥‥名指しで招待されたのですか、どなたからか誘われたのですか。
  797. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 上の方から出ろと言われましたから出ました。
  798. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢事正からですか。
  799. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ええ、回覧が廻つて來ましたから‥‥。
  800. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そのときは廳員の人全部招ばれて行つたのですか。
  801. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 殆んど行つたと思いますが‥‥。
  802. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 本官の人だけですか。
  803. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 檢事だけ。
  804. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 事務官の人は行かなかつたのですか。
  805. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 事務官の者はあのときはどうだつたですかね。檢事だけは兎に角行きました。
  806. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 仙台檢察廳は、よく檢察廳全体が招かれてそういう席に絶えず御出席になるのですか。
  807. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、私はそれが一遍ですから。
  808. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう風習があるのですか。
  809. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、それは分りませんね。
  810. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そのときの宴会はそういう司法保護の宴会としては相應しくない豪華な宴会だつたそうですね。
  811. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 豪華な宴会といつても、あのときは三皿ぐらいしか出ておらなかつたと思いますが、料理が。
  812. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そう大したものではないですね。
  813. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) まあ、私が戰地……私は昭南におりましたので、あのとき話をしたのが、確か青山檢事つたと思いますが、そのくらいの蝦が一つ出ておつた。私は昭南に長くおつたことがありますから、戰地の昭南の蝦の話をして、これはちよつと珍らしいというような話をしておつたのですがね。料理としてこのくらいの蝦が出ておつたので、それがちよつと珍らしいなと思つたくらいです。
  814. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると、その宴会は普通な、儀礼的な招待として見られるものですか。
  815. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 儀礼的といつてまあその程度のものですかね。私は一遍しか出ていないのですから、ちよつと……。
  816. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あのときは大変な御馳走だつたというふうには思われなかつたですか。
  817. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ええ。
  818. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは松浦正隆の事件を御担当になりましたか。
  819. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ええ、やりました。
  820. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) これは最初からお取扱いになつたのですか。
  821. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  822. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どんなような概要ですか。
  823. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) これは昨年の六月十日ですね、仙台の近くに鹿島台というところがあるのですけれども、その鹿島台の農業倉庫に元の陸軍糧秣廠のゴム袋……ゴム袋というのは、投下用の糧秣投下用のゴム袋ですが、そのゴム袋が約二千トンといつておりますが、そのくらいのものが隠匿されておる。こういう、佐藤善吉郎というテキ屋だと思いますが、それの申告、投書が來たのです。それで私は赴任して間もない話ですが、六月十日の日に臨時物資需給調整法違反事件として、鹿島台の農業倉庫に押收搜索に行つた。ところが、その鹿島台の倉庫に行きますというと、米だけ積んでおりまして、現品はそれらしいものが全然なかつたのです。それで農業庫倉の長に、ざつくばらんに君と話をするのだが、こういう投書が來ておるが、そういう件について知らないか、ということをいいましたが、自分は轉任して來たばかりでよく知らない。前にいた人が近くにいるから、その人に話をして見てくれというので、その前任者の人を呼んで聞いたのですが、六月十日に行つて、その年の二月初旬頃までその品物が倉庫に相当沢山あつた。ところが、丸通会社のものの委託によつて、それを北海道であるとか、それから小樽というようなところに運び去られたというようなことを、私が聞いたのです。そこでその品物の性質は、どういうものであろうかと思つて、直ぐ近くの駅前に丸通がありますから、丸通の会社に行つて帳簿を見せられた。ところが、その帳簿に、一昨年、昭和二十年の五、六月項から相当の数量の、そういうゴム袋があつて、それが昨年の二月初旬頃までの間に、東北戰災者更生團の松浦正隆とか、それから大村義夫、こういう名義で、その品物が送られておる。こういうところから、東北戰災者更生團というものの事件の発端になつたのです。
  824. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それからその処理は。
  825. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうして先ず大村義夫を呼んで、実際東北戰災者更生團というものは、私は知らなかつたのですが、大村義夫を檢察廳の方に任意の形式で呼んで、話を聞いたが、事実その品物はあつた。それは宮城縣知事だつたのですが、そういう人のところから特殊物件として讓り受けたものである。ところが、それを最初讓り受けたそのときには、戰災者更生團のゴム靴だつたと思いますが、そういうものに全部更生をして、戰災者或は引揚者にそれを分配をしてやるのだ。こういう名目で、それを讓り受けたものである。ところが事実その品物が北海道であるとか、或いは札幌、小樽方面に賣却をされておるという点は、これは戰災者更生團の理事長であるところの、松浦の指示によつて一切やつたものであつて、自分の関知するところではない。こういうようなことを彼がいうのです。それで先ず戰災者更生團というものについて知りたいが、一体誰を呼んだらいいか。大村義夫は常任理事ですが、そのメンバーについて聞いたところが、佐藤至立、それからもう一人渡邊儀之助。こういう人々に聞いたならば、特に渡邊儀之助は戰災者であつて、非常に戰災者更生團のために、盡力しておる人であるから、その人に聽いたらよかろう、こういうことで早速渡邊儀之助を呼んで、そうして主として戰災者更生團の内容、それから今問題になつておるところのゴム袋というものの性質、而して賣却したところの理由、それから賣却代金、それから代金の支拂状況、それから御代金のいわゆる経理の方面、こういう各項目に亘つて聽いて行つたのですけれども、そのときに渡邊儀之助の言うのには、そのゴム袋の件の外に、兎に角松浦という人間は相当ひどい人間である。要するに彼は戰災者更生團というものの名前によつて、何というのですか、自分の利を得るというようなことをやつておる人間である。特に戰災者更生團のために貨物自動車が、これは新品の貨物自動車だと言つておるのですが、この新品貨物自動車が拂下げになつた。これは七万五千円だつたと思いますが、それを二ヶ月くらいの内に、二十五万円で賣却してしまつた。而もそういう賣却の件に関しては、戰災者更生團の理事会に全然かけておらん。更にその全員の川納というものについて、全然戰災者に対して発表もしておらない。それから又母子寮の建設のために使用する木材約二千石、これを農林省の方から切符制で以て、拂下げを受けることになつてつたのだが、その木材の行方というものが全然分らん。果してその木材を闇で流したのか、或いはその切符を闇で流したものであるか、全然そういうことについて報告をしておらない。それから又現在入つておるところの、松浦正隆の戰災者更生團の事務所なるものは、相当立派な二階建の中に、彼は住み込んでおる。それから家財道具を見ても、相当な品物が新品ばかり揃つておる。それから又彼のところにある骨董品というものも、時價に見積れば数十万円に上るだろう。渡邊儀之助が言うのには、そうしたような我々戰災者或いは引揚者が本当に品物がなくて、食く米もなくて喘いでおるのに、彼自身は、戰災者更生團の團長であるというような名前によつて、そういう宏壮な建物に入つて、而もその宏壮な建物の中におつて何をしておるか、評判によれば大村とか、或いは二、三の者とばくちをやつておる。こういうのでは、我々戰災者更生團というものの名目が立たない。要するに彼の專断的な行爲によつて犠牲になるのは、戰災者更生團の團員だけである。こういうようなことを言うて來たのである。それでこれでは、とても戰災者更生團というもの、特にこの松浦正隆の行状というものが、どうも不明朗である。要するに、一應戰災者更生團の一件は取上げて見て、而も更生團に、そういう不明朗な点があるならば、これは明らかに両客のために、更生團の團員のために、而もそういうような疑念を受けておる松浦のために、明らかにしてやらなければならない。こういうようなところから松浦の事件の取調べをするようになつたのです。それで貨物自動車の件につきましては……。
  826. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 細かいことはよろしいですから……それでどういうふうに処理なされたのですか。
  827. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それでこのゴム袋で作つたところのゴム長靴五十足を彼の選挙費用のため借財の弁済のために使用したというので、いわゆる業務上横領で起訴しました。それから又このゴム袋一枚四円で受けたものを、一枚七十円だつたと思いますが、それで賣却したというので、高檢の方に打合せして、いわゆる不当利得、不当利得というとおかしいのですが、不当高價なもの、いわゆる物賣統制令違反、これで以て起訴をしたのです。
  828. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) この事件の端緒は何によるのですか。投書によるのですか。
  829. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。鹿島台倉庫の投書です。
  830. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは宮城の密告によるのじやないですか。
  831. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いえ、この六月十日の佐藤善吉郎という人の投書がありますから、押收搜索をするとこにはこれを必ず附けて参りますから、これはまだ檢察廳に残つております。
  832. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城の密告によつてこの事件が釀してされたとか……。
  833. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうじやありません。
  834. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) この事件に対して宮城関係ありませんか。
  835. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 関係ありません。
  836. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それから萩原の事件で発展して行つたのは、どういうところから発展して行つたのですか。
  837. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) こういう渡邊儀之助のいわゆる私に対する取調べにおいて、こういう貨物自動車であるとか、それから木材の横流し、今申上げましたようなことを調査をしておるときに、私は渡邊儀之助にこういうことを頼んだことがあるのです。現在問題になつておるところのゴム長靴というようなもの、或いは君が言うところの被服修理材料であるとか、或いは木綿の布が四十ヤールある、そういう品物が果して戰災者更生團の團員の方に分配されておるかどうか、その点は須らくこのブロツクがありますから、例えば長町だつたら長町、或いは北出町だつたら北出町のブロツクになつて、これが一つの戰災者更生團になつておりますから、それで渡邊儀之助にブロツクごとに調査をして呉れないか、そういうことを私は頼んだことがあるのです。一々そういうように、例えば一人二人というようなところならば、自分のところに直接葉書が何かで、手紙でもよろしい、自分は何月何日にこういう品物を受けた、或いはこういう品物は受けないというようなことについて詳細に書いて來て呉れ、こういうことを私は頼んだことがあるのです。ところが頼んでから約一週間ぐらいしたときに、私のところに投書とは見られなかつたのですけれども、何とか悩める團員とか何とかいうので、私が戰災者更生團の事件をやつておるので非常に御苦労である。自分たちはこの戰災者更生團の團員として、この貴官の努力をお願いして止まない。こういうようなことから、現在の更生團の役員というのは実際なつておらない。而もその名簿に、名簿といいますかそういうような誹諦したようなものなんですけけども、その中に松浦正隆が長町だつたか、どこかに妾を囲つておる、而も彼の行状は、更生團を名前にして私の利益を図つておるようないわゆる團長である。それから彼は元松浦天外と言いましたが、天外というような名前は金山活牛から受けた名前であるが、彼の行状にいわゆる反感を持つて金山活牛が止めたというようなこと。それから大村義夫はたまたま彼の家で博打を打つておる、そういうような役員であるということ。それからさつき申上げた佐藤至立、これが何か小樽で石炭の横流しをやつた、そういうようないわゆるブローカー的な人間である。それから萩原富雄は戰災者更生團の会計主任であつて、自動車を、恐らく貨物自動車だろうと思うのですけれども、貨物自動車を選挙のときに、團員に告げないで勝手に使つた。而も新品の物が古くなつてしまつて、彼が團員に諮らないでそれを賣つて、そうして彼の使つたところの選挙費用が七十万円と言つておりますが、その七十万円の選挙費用に使つて、その費用は松浦から貰い受けたものである。その一部が長町の菊田友吉という者に、十万円か七万円か知らんけれども、それを贈賄した。こういうようないわゆる役員同士であるから、この際貴官の盡力によつて須らくこの更生團を解散をして、新らしいいわゆる團員のための更生團を作つい貰いたい。こういうような私に対する手紙が來たのです。それから貨物自動車の不正使用ということについて荻原を調べたのが大体のそもそもの始まりであります。
  838. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると、その投書が來てから逮捕するのに、どれだけ期間があつたのですか。
  839. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうですね。荻原に一度來て貰つて、佐藤を呼び、それから渡邊も呼び、大村も呼びましたから、一週間くらいはあつたのじやないかと思います。
  840. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると、その投書を取上げまして、その荻原を一週間の間調べたのですか。
  841. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 調べました。というのは、私は贈賄という点は初めから問題にしておらなかつたのです。それで自分の重点は、どこまでも戰災者厚生團のゴム袋という点ですから、その点にずつと集中して行つたのです。ところがゴム袋の点は、今申上げたように、自分で勝手に使つたと言うから、それは一段落終つて、その次に貨物自動車の件です。これも一つの問題になつておりますから、それで貨物自動車の件について、一体不正に使用したのかどうか、それからそれを賣つたところの賣先、それから賣却代金、それからその経理の方面、こういうような方面について聽いて行つたのです。
  842. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) いや、一週間の間にそれをおやりになつたのですか。
  843. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  844. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それで犯罪ありと思料されたのですか。
  845. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 貨物自動車の方はなくなつたので、それで要するにその自動車の件を片付けてしまうのに二日か三日かかつたと思いますけれども、それで菊田という者が出て來ておりますから、それで自分で呼んで、お前実際そういうものを貰つたのかどうか、十万円貰つたのかどうかということを聽いたのですが、それから二度ばかり菊田を呼んだと思います。そうしたところが、実はここで申上げられないことであるけれどもというような話から、贈賄の点が出て来たのです。
  846. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると、そういうような点についてお調べの上、本人を逮捕したのですか。
  847. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  848. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それで逮捕状にはそういう理由はお書きになつているのですか。
  849. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) はあ、書きました。
  850. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 逮捕はされて警察かどこかへ預けたのですね。
  851. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 刑務所に行きました。
  852. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 刑務所ですか。
  853. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) はあ。
  854. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 最初いきなり刑務所に行つたのじやないでしよう。
  855. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  856. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 警察に一晩泊めたのじやないでしようか。
  857. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  858. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 最初は。
  859. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  860. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その晩にあなた本人に会われたですね。
  861. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 本人には……警察で会いました。
  862. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そのときに、大変あなたが御酩酊になつて、こういう机の上の腰掛けられて、煙草をそつくり返つてつて、そうして本人に対してお前はこれからどういうふうにして料理つてやろう、何から料理つてやろうかなどと、そうまつしやつたのじやないですか。
  863. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは最高檢の橋本檢事が聞いたときも言われたのですが、私もちよつと記憶にないのです。何のために彼がそんなこと言うのですか、そんなこと大体できる筈ないのです、私は。
  864. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そのときに酒を飲んでいらつしやつたのじやないですか。
  865. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 飲んではおりません。但し私の家でよくコーヒーにウヰすキーを入れて飲みますから、それで酒を飲んだというようなことを言つてるのじやないのかと思うのですけれども。
  866. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ飲む飲まんは第二といたしましても、あなたがそういう……。
  867. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 正式には酒は飲んでおりません。
  868. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう態度ですね。本人にそういうことをおつしやつたという……。
  869. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、言いません。私はそんなことは大体言える筋合いのものじやありませんから。
  870. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 常識から考えちよつとおかしいですがね。
  871. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そんなこと、最初から何も私は荻原自体に恨みもあるわけでも何でもないですから、如何にしてやるかということは、ちよつと檢事としてもこれは言えないです。
  872. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 本人はそう言つておりますがね。
  873. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ははあ。まあ皆さん方の、檢察官というもの、檢事というものが果してそういうことが言えるものかどうか、まあ御明察お願いします。
  874. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあそういうような仮に言葉があるといたしますれば、何かあなたが含んでこの事件を取扱われたとかいうようにも考えられるし、又その投書というものが何かのためにするためになされたとかいうふうにも考えられますわね。
  875. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは荻原さん自体はどういうように考えておられるか知りませんけれども、私の信念としては、いわゆる檢事というものは、私司法官試補時代も盛んに言われたのですけれども、檢事というものは、罪はどこまでも憎まなければならん、併し人間というものは、女房もあるし子供も皆あるのであるからして、そういう人間についてのいわゆる憎みというものを持つてやれば、事件そのものが面白くなくなるというようなことを以てやつているのです。私も荻原事件のみならず、天外を調べるときにも、強盗事件或いは殺人事件を取扱うときにおいても、どんな小さな罪でも自分がこれはおかしいと思つたときにはがつとどこまでも食い附いて放さないのですが、一面人間というものを考えると、やはり氣の毒だというような点も十分に考慮してやつているのです。
  876. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そのときに、警察にいらつしやつたときに、どういうお話をなさつたのですか。
  877. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) あの点は、要するに、まあどういうことを言うたかつて詳しいことは分りませんですけれども、中橋組から十万円貰つたのかどうかという点ですね。
  878. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その日にお調べになつたのですか。
  879. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) その日一應聞いたのです、私は。聞いてとにかく犯罪の嫌疑が濃厚であれば、これはもう直ぐに強制処分にしなければいけませんから、それから濃厚でないとすると直ぐ釈放してやるのが檢事の立場ですから、そういう意味で私は聞いたのです。
  880. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 今の投書というのは、宮城の投書じやないですか。
  881. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) さあ、それは分りませんね。
  882. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 当時曲直問題というのが起つておりましたね。いわゆる反対側の有力者たる荻原を陷れるためにそういうことがなされたのじやないですか。
  883. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 私ですか。いや、そんなことは私はしません。大体私は赴任して來たのは六月のちよつと前ですから‥‥そうして大阪に二年間おりまして、もう判決々々で、判決の起案ばかりやつておりますから、そういうことは実際分らないです。まあ橋本檢事もそういうことは突つ込まれましたけれども、私は橋本檢事も、ここで申上げるのも皆同じですけれども、事実上私は知らない。
  884. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 曲直問題が起つているということは御存じですか。
  885. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは大阪におりましたときに‥‥。
  886. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 赴任された当時ですね。
  887. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) こつちですか‥‥仙台ですか。
  888. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ええ。
  889. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、知りません。大阪におりますときに、一松総裁が來て解決をせられたという点は、あれは父親から、何か、下駄か何かを送つて貰うのに新聞紙に包んであつたの、あれにちよつと書いてあつたのを見ました。そのときです。
  890. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると荻原を逮捕したときにそういうような政爭の渦中にある人物だということは御存じなかつた‥‥。
  891. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 知りません。
  892. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 調べておるうちに分つたのですか。
  893. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それが、参議院の方が來られてから、たしか新聞社の方だつたろうと思うのですが、聞いたのですが、荻原と、それから松浦天外がその反対側の人であるということを私は聞いたと思います。
  894. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 荻原を四十日勾留されたそうですね。どうしてそんな長くかかつたのですか。
  895. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは、あれは最初に贈賄の件と、それから金融緊急措置令違反と、それからもう一つは脱税だつたと思います。その脱税の件で、税務署の方とよく打合せてやつたのですけれども、そういうような三つの、いわゆる方向に事件がばつと進んで行きましたから、そのために長くなつたと思います。
  896. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると、檢事勾留の期間が十日間でしよう。それをどういうふうにおやりになつたのですか。
  897. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 一部分追起訴したのです。最初追起訴しまして、それから脱税の方面について捜査をして行つて、それからやりました。
  898. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 前の事件が不確実であつて、とにかく本人を挙げて置いて、それで搾り出そうとなさつたのじやないですか。
  899. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 私ですか。いや、そんな考えはないですね。それでは大体不当拘束ですから‥‥。現在新憲法が出てからそういうことはいけないということが言われておるのですけれども、そんな考えは私はないです。
  900. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 微々たる事件起訴して置いて、あとどんどんほじくり出すというやり方を多く檢察廳の人がやられますがよくないことだと思いますけれども‥‥。
  901. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それはよくないですけれども、併しまあ、私も前にも申上げましたように、とにかく荻原さんに対して私は恨みも何もないですから‥‥。ただ檢察官として工合が惡い、おかしい。一つの犯罪があつておかしいと思えば、とにかく私は犬のようにガ誠と噛みつきます。そうして絶対に放しません。併し放さないでいるうちに、不当にそれを長くするということは、私も大体今までも考えたことはない。
  902. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) とにかく法律上御承知の通り短期間に仕事をなせということは、基本的に守らなくちやならんと思います。だから追起訴という手段によつて荏苒として勾留期間を長くせしめるということになれば、以前とちつとも変らんということになりますね。
  903. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ええ。
  904. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どうもこの事件の取扱い方はそういうふうに見られますがね。
  905. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) はあ、私も非常に‥‥主任の檢事で、とにかくこういうところは自分の性格の現われじやないかと思いますが‥‥。
  906. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、あなたが一つ事件を捉えると絶対離さんというお考え方も治安維持の上においていいことでありましようが、だからと言つて基本的人権を無視していいという考え方は是認できないですね。
  907. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。私はそういうような人権を無視するというようなことは考えてやつたわけじやないのですから‥‥。
  908. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) けれども職務に御熱心の余りそういう結果に至りますれば、これは又非難すべきことですね。
  909. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。非常に教えられて、自分の間違つているところは、いわゆる新憲法に即してこれからは大いに改めたいと考えております。
  910. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お仕事はおえらいでしようが、又事件の取扱の上において思うように運びのつかん場合もあるように思いますが、成るべくは期間を尊重して頂いて、速かに本人の身柄というものは拘束を解くような方向に進んで頂いた方がやはり新憲法の精神じやないかと思います。そうして得てして余り長い間でございますと、或いは非難が出て來るわけですね。
  911. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) はあ。
  912. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それで事件はどういう事件が立つたわけですか。
  913. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 荻原の事件ですか。
  914. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ええ。
  915. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 荻原の事件は贈賄とそれから金融緊急措置令違反、それから脱税の件です。
  916. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 贈賄の件は何か相当影が薄いようじやないですか、我々考えて見ましても‥‥。
  917. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ええ、まあ彼に対して恨みを持つておれば、無罪ということになれば、それは檢事控訴というようなことも考えられますけれども、併し一應そういうふうに、いわゆる世評がそういう工合になつておるということにおいては、一應晴らさなければ、これは檢事としての役目が立たない。それで公判に立つてお互いにいわゆる公判鬪爭をして、一應自分の方の法律的な見解が間違つているというならば、潔く、それはもう何と言いますか、いわゆる彼のために無罪を祝福することは吝かでないと私は思います。
  918. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その贈賄で最初起訴されたわけですね。
  919. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 贈賄事件、金融緊急措置令違反‥‥。
  920. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それで期間内に起訴されたわけでありますか。
  921. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  922. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それから今の税務署の関係一つ起訴されたわけですね。
  923. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  924. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 税務署関係の分も何だか無理遣に掘じくられたような‥‥あなたの御性格からであるかも存じませんが、したように感じられるのですが、そうじやないですか。
  925. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) いや、それは違います。それはですね‥‥。
  926. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か一つ事件が、基本的に起訴された事件が不確実だと、支え棒のためにあとからから追起訴するというのは從來の檢察廳のやり方ですね。そんなふうにも事件の立て方が見られますね。そうじやないですか。
  927. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そういう考えはないですね。
  928. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かかつちりしたもので、かつちりと一つで叩きつけてもよいのですがね。そんなような非難を臆測的に言われる人もありますから‥‥。
  929. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) はい。
  930. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そんなような関係上、この事件が時恰かも曲直問題が政治的に発展しておる中途に、そういうような事情からして宮城がこの事件相当タツチしておる、蔭で動いておる。それであなたがそれに動かされておるというような非難もあるわけでありますがね。そういうことは毛頭ないですか。
  931. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ありません。
  932. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城が何だか電話を掛けて、この事件相当荻原の方にもお礼する、この事件というわけでもないけれども、お礼してやるというようなことを言つておるらしいですがね。
  933. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 私にですか。
  934. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) いいえ、荻原の方に電話を掛けて、曲直問題に対するお礼をこの事件でしたというふうでありませんか。
  935. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それは聽いておりませんね。
  936. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう蔭の働きによつてあなたが動いておるということはないですね。
  937. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ありません。
  938. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 南出弁護士宮城相当深い関係ですか。
  939. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 南出さんという人は、この事件になつてから初めて知るようになりました。それまで顔を合せたことがないです。
  940. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは松尾啓三の襲名披露に出席されましたですか。
  941. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 行きません。
  942. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 荻原の事件を御取扱中に加藤という被疑者がありますね。
  943. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) あります。
  944. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それを梅原澁谷があなたのところに頼みに來て釈放の懇請をしたことがありますか。
  945. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 記憶にありませんね。ないです、そういうことは‥‥。
  946. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 本人たちは行つておるようなことを言つておりますが‥‥。
  947. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 私のところにですか。
  948. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ええ。
  949. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) それはありません。
  950. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 加藤はどういう手続で釈放されたのですか。
  951. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 加藤ですか。加藤は荻原と一緒つたと思います。
  952. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると勾留はどのくらいされておりましたか。
  953. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 勾留は荻原と一緒でないかと思いますね。
  954. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 保釈によつてなされたのですか。
  955. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  956. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは意見書に同意されたのですか。
  957. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 同意しました。
  958. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは起訴になつて大分事件が済んだからですか。
  959. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) ええ。
  960. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 公判は聞かれていないですね。
  961. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) 今月二十二日に開かれます。
  962. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 公判前に保釈したわけですね。
  963. 管原弘毅

    証人(管原弘毅君) そうです。
  964. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どうもお忙しいところ有難うございました。    〔証人宮城竹三郎君着席〕
  965. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城竹三郎さんですか。
  966. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はい、宮城竹三郎でございます。
  967. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 年はお幾つですか。
  968. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 六十歳です。
  969. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お住いは呼出状を差上げた所でございますね。
  970. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はい。
  971. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 現在のお職は何ですか。
  972. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 旅館でございますが。
  973. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 公職は何か就いておられますか。
  974. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  975. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か委員か‥‥。
  976. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 仙台区画整理委員をやつております。
  977. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それから司法関係では何か‥‥。
  978. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  979. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か沢山仕事を御経活になつていらつしやいますか。
  980. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) やつております。
  981. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どういうことをやつていらつしやいますか。
  982. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私は旅館でございますけれども、忰は仙台駅前で喫茶店、それから夏はキヤンデーをやつております。
  983. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると旅館と喫茶店と‥‥。
  984. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そうでございます。忰の方は‥‥。
  985. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それから‥‥。
  986. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そんなものでございます。
  987. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの支配下といいますか‥‥。
  988. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私の何は旅館だけでございます。
  989. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた個人はそうですが、あなたの投資によつて仕事をなさつている部分があるでしようが‥‥。
  990. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) え、旅館にキヤンデー、それから娘の方はパーマネント、それから麻雀クラブは今止めましてございます。そんなものでございます。
  991. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か料理店もやつておりますのですか。
  992. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 割烹をやつておりました。
  993. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) やつておるのですか。
  994. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) これは休んでおります。
  995. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 今できないことになつておりますからね。
  996. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) え、そうでございます。
  997. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたが経営していらつしやるのですね。
  998. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 経営しております。貸席、そんなものでございます。
  999. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると四つですか。
  1000. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1001. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 旅館と喫茶店と、料理屋とパーマネント、麻雀は止めたと‥‥。
  1002. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1003. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そんなものでございますか。
  1004. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そんなものでございます。
  1005. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) もつと沢山経営しているのじやないですか、何か‥‥。
  1006. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) やつておりません。
  1007. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの身内の人とか、子分衆とか、あなたの資本で以てやつている人はないのですか。
  1008. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1009. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 失礼ですが財産はどのくらいおありになるのですか。
  1010. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 借金もございますけれども、この前も申上げましたが一千万くらい皆であるかと思います。皆家財道具から入れて‥‥。
  1011. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 建物は皆あなたのものですか。
  1012. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 忰のものと私のものと、妻の名義になつております。
  1013. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 法律上の問題は別として、要するにあなたの実力支配下にある財産ですね。
  1014. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1015. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 時價に見積ればもつとあるのですね。
  1016. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そうでございます。もつとあるかと思います。
  1017. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 收入は相当おありになりますか、收入はどうですか。
  1018. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 收入はあります。
  1019. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 月にどのくらいありますか。
  1020. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そうでございますね、全部でございますか。
  1021. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ全部から取上げる‥‥一ヶ月にどのくらい‥‥百万円ぐらい入つて來るとか、五十万円ぐらい入つて來るとか‥‥。
  1022. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 全部で七、八十万ぐらいあるかと思いますが‥‥六十万ぐらいあるかと思います。
  1023. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 経費も相当要るでしよう。
  1024. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、経費は随分‥‥。
  1025. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 経費をお拂いになつて剰るのですか。
  1026. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 剰るでございましようね。今のところはとにかく旅館の方が本分でございまして、キヤンデーも休んでおりますし、使用人も多くおりますけれども、今のところ暇になりました。旅館は三軒やつておりますから‥‥。
  1027. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か前にお間違いが一、二回ありますのですか。
  1028. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) あります。
  1029. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何回ぐらいあるのですか。
  1030. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 四回ございます。
  1031. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一番終いはいつ頃ですか。
  1032. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 昭和十四年。
  1033. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それが一番終い‥‥それから間違いはありませんね。
  1034. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1035. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは元西方組とどういうような関係があつたのですか。
  1036. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、あります。
  1037. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
  1038. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) それは今から十五年か、二十年ぐらい前でございまして、西方親分というのがありまして、私と同年で友人関係でございます。
  1039. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 西方何というのですか。
  1040. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 人方哲四郎。
  1041. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 数字の四郎ですね。
  1042. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 哲学の哲という字と‥‥。
  1043. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一、二、三、四の四郎ですね。
  1044. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1045. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは相当の親分ですか。
  1046. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そうでございます。
  1047. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 東北一番ですか。
  1048. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 東北でも名が聞えておつたようであります。
  1049. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると縄張りというのはどの範囲ですか。
  1050. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 仙台だけでございます。
  1051. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 奥州一円というわけでありませんか。
  1052. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 仙台だけでございます。
  1053. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 当時の子分衆は相当つたのですか。身内は‥‥。
  1054. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) その当時は子分は随分あつたと思います。
  1055. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どのくらい。
  1056. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 二、三百人あつたかと思います。
  1057. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは皆仙台におりますか。
  1058. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1059. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どういう御関係でお入りになつたのですか。
  1060. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 入つたというわけでございませんけれども、入つて子分だとか、兄弟分という盃をしたわけじやございませんで、小さいから、仙台で生れまして友達関係でございますから、それで手遊びをして遊んだことがありますから、勢いそういうことに‥‥。
  1061. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 今のあれじやありませんが、その当時では、あなたはどういう地位ですか、客分という地位ですか、兄弟分という地位ですか。
  1062. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 兄弟分という‥‥。
  1063. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは盃をしてない‥‥。
  1064. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) しておりません。
  1065. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 五分々々ですか。
  1066. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 五分々々というわけでもございません、やはり親分と言つておりましたから、子分というわけでもございませんが、遊びに來れば親分々々と言つておりました。
  1067. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの方が歩が少いわけですね。
  1068. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1069. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると何か代貸し見たいなこともやるのですか。
  1070. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いえ、そんなことはやつたことがありません。
  1071. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 仙台市だけですか、縄張りは‥‥。
  1072. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 仙台市だけです。
  1073. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 市外には及ばないのですか。
  1074. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1075. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 外にありませんか。
  1076. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 仙台市だけです。
  1077. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 外に、仙台市外には別の親分があつたのですか。
  1078. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、ございました。
  1079. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かそういう縄張りで爭うことはありましたか。
  1080. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ございません。
  1081. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その時分は‥‥。
  1082. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) え。
  1083. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その外に、西方にいらつしやつた関係上、いわゆる親分衆とのお附合いはあるのですね。
  1084. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありました。横田組というのがありました。
  1085. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それとも、お附合いをしておる‥‥。
  1086. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1087. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その外にある‥‥。
  1088. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 今から十年前ですから。
  1089. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたのお附合いは‥‥。
  1090. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1091. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 横田組との附合いを親密にしておつたわけですね。
  1092. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1093. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 仙台の方のそういう團体の人はおとなしいのですか。
  1094. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 割合におとなしうございました。
  1095. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か出入り等があるのじやありませんか。賭場の爭いや何かで‥‥。
  1096. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そんなことはありませんでした。
  1097. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 血を見るようなことはありませんでしたか。あなたの関係しておるうちに‥‥。
  1098. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1099. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 斬つたり、はつたりしたことはありませんか。
  1100. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1101. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたはいつ足をお洗いになつたのですか。
  1102. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そのとき私カフエーを営業中でございましたので、私は最後に執行猶中になりまして、昭和十四年に、それから直ぐ旅館に轉向いたしまして、それからでございます。
  1103. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 昭和十四年から足を洗つた‥‥。
  1104. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1105. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 依然としてそういう人はあなたのところに出入りするでしよう。
  1106. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 今、西方親分は松島におりますし、殆んど出入りが‥‥。
  1107. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 子分衆とか、身内の人があなたのところに頼つて來ることはありませんか。
  1108. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 誰一人出入りいたしません。
  1109. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは何かお仕事する関係上、そういうものに手を貸せとかいうことをなさつたことはありませんか。
  1110. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私の方で謝つて遠ざかつております。私の方で‥‥。それでもやはり興行師とか、何とか來ますけれども、興行師だからと言つて招待券なんか持つて参りますけれども、切りがありませんから成るたけ遠ざかつております。
  1111. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういうお附合いはやらないのですね。
  1112. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 持つて來たときは御祝儀をやる程度でやつております。
  1113. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、旅人やなんかあなたのところに草鞋を脱ぐとか、あなたのところに仁義をきりに來ることはありませんか。
  1114. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そんなものは一人もございません。
  1115. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) よく來るでしようが。
  1116. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 多少は來ますけれども、私のところには絶対参りません。
  1117. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 來ないですか。
  1118. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、殆んど忘れられたようなもので一人も‥‥。
  1119. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 世間ではあなたがそういう團体のまあ背景があるとこう思つてやしませんですかね。
  1120. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 今では思つていないかと思いますが、成るだけ遠ざかつておりますから‥‥私はこの戰爭になりましてから‥‥。
  1121. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは西方化の身内の一家衆とか、まあ準というか、或いは客分とかいうようなふうに見てやしないでしようか。
  1122. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 見ていないかと思いますが、まあ交際しておりませんから‥‥。
  1123. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 現在は失礼ですが、博打はおやりになりませんか。
  1124. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) やりませんです。
  1125. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの使用人やなんかやりやりませんか。
  1126. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) やる者は一人もありません。私はやかましくしておりますから。尤も番頭一人二人ですか一軒には‥‥。生は女中だけで女が多いですから。
  1127. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたが仙台檢察廳に出入りされた最初はどういう動機からですか。
  1128. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 何年か分りませんけれども、四、五年前に、終戰前でございましたが、南出さんという檢事さんが轉勤になつてからと思つております。
  1129. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) はあ、その人は‥‥。
  1130. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) その前にはやはりお客さんお泊りになつたことはございますけれども、開業してから南出さんが私のところにお泊りになつてから主に出入りするようになりました。
  1131. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 南出さんが弁護士を開業されてからですか。
  1132. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いや、千葉から轉勤になりまして、仙台檢察廳お出でになつてから。それから夜中に來まして私のところにお泊りになつたものですから。それから近所に家を見付けてお引越しになつたものですから。そのとき夜なんかお出でになつたりなんかしておりました、風呂入りに‥‥。それから今度檢事さん方お出でになつたこともあるのですから、それからずつと出入りしております。
  1133. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
  1134. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 終戰の一年ばかり前です。今の旅館の燒けない前ですから一年ばかり前と思つておりますが。
  1135. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それから始終檢察廳の人が出入りするわけですか。
  1136. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、始終お泊りになつております。
  1137. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると新らしく赴任して來る人は皆あなたのところに御厄介になるのですね。
  1138. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、外もお泊りになりますが、多分私のところに泊ります。
  1139. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 轉任する人も大体あなたのところに‥‥。
  1140. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、轉任する人もお泊りになります。
  1141. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 荷物なんかの世話もしてやるわけですね。
  1142. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1143. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 生活や家の面倒も見てやるわけですか。
  1144. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いええ。そういうことは見ておりません。
  1145. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 好意的にね。
  1146. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 生活なんかの面倒は見ませんが……。
  1147. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ醤油が足らんとか、味噌が足らんとか‥‥。
  1148. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そういうことはございません。
  1149. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お米が足らんとか、いろいろ不自由しますから‥‥。
  1150. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そういうことは頼まれませんから。
  1151. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ちよつと宮城君頼むと言いやしませんか。
  1152. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いええ。頼まれたことはございません。
  1153. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 家を探してやるとか、そういう面倒は見てやるのですね。
  1154. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、家を探して、南出先生の家だけ私は何しましたが、後は家というものを探してやつたことはありません。ただお嬢ちやんとか、お坊つちやんとか耳鼻科の医者をどうとかと電話で來るのはお世話申上げたこともございますが‥‥。
  1155. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢事局はあなたの方が便宜があるからいろいろ市井のことに交渉になることは頼んで來るわけですね。
  1156. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、そのお医者さんとか、或いは家がなかんべかぐらいの御相談になつたことはあります。でも家がないものですから頼まれても迷惑です。家が拂底なものですから頼まれることは頼まれますけれども家がないものですから‥‥。
  1157. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢事局としては結局便利だし、あなたのところへ御厄介を持つて來るわけですね。
  1158. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いや、厄介を持つて來るわけではございませんが‥‥。
  1159. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 厄介か厄介でないか知りませんが‥‥。
  1160. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そういう相談を持つて來ることもございますが、何もかも皆何するというわけではございません。ただお泊りになるというお電話がございますから、そのときはとにかく夜でも部屋を空けましてお泊めするようなことはございますが‥‥。
  1161. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 指定旅館となつているのですか。
  1162. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 指定旅館のつものでおりましたが、別に看板を上げたわけだはございませんが、とにかく大事なお得意さんと思つております。
  1163. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お得意さんですね。
  1164. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 檢事さんばかりではありませんで、判事さんも電話で來ますからお泊めしておるわけです。
  1165. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 裁判所及び檢察廳に來てお泊りになる人は皆あなたのところへお泊りになりますね。
  1166. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1167. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは勿論縣下の判檢事の人が打合会とか、何とかいうことで招集された場合も勿論來るわけでございますね。
  1168. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) お泊りになるときは、はあ‥‥。
  1169. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その外に何か檢察廳裁判所でいろいろ会合する場合もありますが、打合したいとかで料理屋に行くわけにも行かんし、あなたのところの席を借りるようなこともありましようね。
  1170. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 打合せをして、多分遠くからお出でになつたときは檢事さん方は仙台の高等檢察廳地方檢察廳の方へお出でになる。
  1171. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 事務局やなんかの頼みによつて席を貸すようなこともあるのですか。
  1172. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そういうことはございません。席を貸して呉れというようなことはございませんが、多分お泊りのお客さんのときは皆さんお出でになるようです。
  1173. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの方は今休んでいますけれども、表の営業はできないですけれども、料理屋の方もお使いになるのでしよう。
  1174. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 料理屋は貸席になつておりますので‥‥。
  1175. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その貸席もお使いになるのでしようが‥‥。
  1176. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、多分私の方に、私の元寺小路の方へ参ります。
  1177. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どちらですか。
  1178. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 元寺小路が私の住いで、駅前は忰の方ですが、私の家の方へ、お客は電話で元寺小路の竹屋の方へお出になります。駅前の方は宮城ホテルとなつておりますので、多分私の方へお泊りになります。駅前は‥‥。
  1179. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宿屋が二つあるのですね。
  1180. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、ホテルはどうも終戰後建てたので‥‥。竹屋の方が少し体裁がいいものですから、元寺小路の方へお出でになります。駅前はうるさいものですから、竹屋ホテルの私の方がよいように思つております。
  1181. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 竹屋ホテルの方に‥‥。
  1182. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) お出でになります。駅前の方へはお出でになりません。
  1183. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 料飲店の方も使うわけですか。貸席は‥‥。
  1184. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 使いません。
  1185. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 貸席は空いておるのですから使つてもいいじやないですか。
  1186. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、忰の方では使つておりますが、元寺小路では貸すことはしません。
  1187. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると、そういう関係でありますと、自然檢察廳の人は、新らしく見えた人が順次あなたの方へ顏出しされておるわけですね。
  1188. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 顏出しというわけではございませんけれども、お出でになつて知らない檢事さんもございますけれども、まあとにかくお泊りになる方はお泊りになると思つております。
  1189. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、いずれも檢察廳の人は全部あなたのところへ御厄介になつておるわけですか。
  1190. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、お泊りになるのは私の家へお泊りになつております。
  1191. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、こういう時節柄ですから、どうも料理屋に行つて飲むわけに行かないから、まあ、お互いに宿屋に行つて便宜飲むということもございますか。
  1192. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、遠くからお出でになつたときは酒なんかお持ちになつてお飲みになるようです。
  1193. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 持参かどうか分りませんけれども‥‥。
  1194. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) さようでございます。
  1195. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 相当に利用するわけですね。
  1196. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1197. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その外まあそういうような赴任、轉任及び会合という以外に個人的にまあ一人々々遊びに見えるということもあるのですか。
  1198. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ございません。
  1199. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ない‥‥。
  1200. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 一つもありません。
  1201. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ちよつとそこまで來たから寄つたというような人はありませんか。
  1202. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1203. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あるように聞いておりまかが‥‥。
  1204. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そこまで來たからというようなことはございません。
  1205. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの留守のところへ來るのじやありませんか。
  1206. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ただ会合の帰りにやはり、一人ずつということはありませんけれども、四、五人くらいお出でになることはあります。
  1207. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 先程のお話の宴会帰りに一人とか二人、どつかの宴会の帰りとか、会合の帰りに一服しにお寄りになるということはあり得べきことですね。
  1208. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 五、六人ぐらいでお寄りになるということもあります。
  1209. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういうように親しくすると結局何か面倒を見てやらなければならん‥‥。
  1210. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 随分私は面倒を見て、とにかくお部屋でも何でも無理をして、そういうときには何してただお返しするということは絶対しておりません。
  1211. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) いや個人生活に対しても檢察廳は貧乏ですから、いいお得意でないから、ですから結局面倒を見てやらなければならんことになるでしよう。
  1212. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 生活云々では私何したことはございません。
  1213. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 少くともお客さんとしては闇價格を取れますまいし、いわゆる公定價格でサービスしてやらなければならん、そうじやないですか。
  1214. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 料理の方ですか。それは酒でも何でもお持ちになつておりますから、料理やそうした物を煮て呉れとか何とかしてと言われて差上げたことがございます。
  1215. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 料理の材料を持つて來る場合もありましようし、あなたの方で便宜立替えてやらなければならん場合もありましよう。
  1216. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) お酒も立替えるとがございます。
  1217. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 表面上は持込みということになつておりますが事実上は‥‥。
  1218. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 立替えることがございます。若し立替えるときは返して貰う建前で‥‥。
  1219. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう場合は結局実費でしようね。
  1220. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) さようでございます。
  1221. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一般のお客さんなら千円とか千五百円取れるが‥‥。
  1222. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) さようでございます。
  1223. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳のお客さんの場合は、結局公定價格以下しか取れますまいね。
  1224. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1225. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうでないですか。
  1226. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 公定價格が何ですか。
  1227. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 公定價格以上取れないでしようと言うのです。
  1228. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そうでございます。
  1229. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 普通のお客が、仮にお邪魔すれば普通のお客さんとして千円なり千五百円取られますが、そういう場合は、この人々がお出でになるときは、公定價格以上取れないでしようと言うのです。
  1230. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そうでございます。
  1231. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それだけ利益するわけですね、勉強して‥‥從つて御無理をするということになる。余所に行けば高く取られるから‥‥。
  1232. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、安いし、便宜がいいからお出で下さるのでございましよう。御贔負下さるのでございましよう。
  1233. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 今時公定價格で飲まして呉れればみんな行きますよ。
  1234. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) お客さんは無理をしても竹屋さんに行けば泊めて呉れる。電話を掛ければよろしうございますというので直ぐお泊めするわけです。随分遅くなど電話を掛けまして、お部屋のことで苦しいことがございますが、始終のお得意樣でございますから‥‥。
  1235. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) つまりあなたのところに行けば無理が利くということですね。
  1236. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、そうでございます。
  1237. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 最初あなたは南出さんを通じて檢事長と親しくなられた、その当時の仙台のそのときの控訴院長でしたか、その時分は控訴院檢事長と言つておられましたか、一木さんという人が見えておりましたでしよ。その時分は親しかつたのですか。
  1238. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いや、親しいわけではございませんけれども、私の初孫の名前を頂戴しました。名附けの親になつて頂いたわけでございます。
  1239. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そんなところも家庭の最も親しい事柄をみずからなさるくらいですから非常に親しかつたのでしよ。
  1240. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いや、そうじやございません。余り親しいことはございません。けれども書記長さんにお願いいたしまして、今度初孫ができたのだから檢事長閣下に、お名前を頂戴したいものだとお願いしましたら、宮城さんどつちがいいんだね、閣下は男爵でもあるし、お願いできないものでしようか、こうかこうお願いしたところが喜んでお名前を下さつたのです。
  1241. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) おめでたのことですからね、結構なことですけれども‥‥。
  1242. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) それでお名前を頂戴したわけでございます。
  1243. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、そんなような関係上お親しくしていらして、何か電蓄とかそういうようなものをお貸ししておるようなこともあるのですね。
  1244. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いえ、お貸ししたことはないのです。
  1245. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) やつたのですか。
  1246. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) やつたんじやないのです。実は私は疎開をするので、それでよもや檢事長閣下のところは焼けることは私も思わなかつた。それで書記長さんにお願いしまして、そうして新らしい大きな電蓄があつたものですから、私はそのときに吉岡の方にやろうと思いましたけれども、焼けると思わなかつたものですから、それで書記長さんにお願いしまして何とかお預かりできないでしようかというのでそのときは方々で皆疎開中ですから、私の方でお願いしたのです。
  1247. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 電蓄だけを一木さんの方に疎開するということはどういうのです。
  1248. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 出來たものが大きなものですから……。
  1249. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 相当なものらしいけれどもね、今買えば大したものですね、何万というものですが……。
  1250. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私の方でお願いしたのです。
  1251. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お願いしたんだけれども、電畜だけを一木さんにお預けするということはどういうことです。もつと外に大事な物もあるでしよう、そういうものも一緒にそこにお預けしたのですか。
  1252. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そのときに電蓄が出て來たものですから、一個ばかりであつたものですから、それでお願いしたのです。
  1253. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 差上げたわけではないのですか。
  1254. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 差上げたわけではございません。随分いいものです、カフエーで使つて……。
  1255. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたたちが商賣上カフエーでお使いになる電蓄と言えば、当時としても相当の價格のものです。我々素人にも手に入らないのですね。
  1256. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ええ、そうです。
  1257. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一木さんは借りたと言つておりますね。あなたから……。
  1258. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私はお預けしたのです。
  1259. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 借りたと言つておる。あなたは疎開でお預けしたというのですね。
  1260. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) その隣りの人の戸澤さんという人にお預けした。
  1261. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 預かつたということと、借りたというここと、やつたということと違うのです。あなたは預けたと言うんだけれども、向うから見て借りた、貰つたとは言わんが借りたと言つております。
  1262. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私はお預けしたつもりです。それは全部焼けました。
  1263. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 結局なくなつてしまつたわけですね。
  1264. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 焼けてしまつたのです。
  1265. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か一木さんのところには相当家庭上物資が不足しておつて、極度に苦しいときですから、いろいろお勝手許のものも相当お贈りしてやつたらしいですね。
  1266. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いえ、なにしません。初孫のときに祝に上げましたけれども……。
  1267. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) この頃こそ俸給も上つて相当暮しもよくなつて來ましたけれども、当時は非常に司法官が苦して時代でしたからね。あなたが面倒見てやつたわけではないですか。
  1268. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いや、そんなふうに面倒見たということはありません。
  1269. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 面倒見たということは惡いことではありません、普通のことで……。
  1270. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 面倒見たということはございません。私も本当に苦してときでございましたが、孫のときに御祝儀のものを持つて行きました。
  1271. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 向う樣が、いわゆる一木さんからはあなたから頂いたと言つておりますけれども、野菜物とかお勝手許のものを貰つた言つておりますよ。
  1272. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 孫のときから、とにかくお祝を上げたし、向うからも人形なんか貰つたりしております。
  1273. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 間にちよちよい持つて行つてつたそうですが。
  1274. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いえ、ありません。
  1275. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それから孫の祝のときに野菜みたいなものを持つて行くわけはないですね。
  1276. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いえ、お魚を上げたのです。
  1277. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 私の聞いておるのは平素の生活に必要な味噌とか、野菜とか、お米とか、そういうものを補給してやつたかどうかということを聞いておるのであります。お祝の返礼で名附親としての祝餅を持つて行くということは、これは当り前のことですが、そのことではないのです。向う樣は貰つておるというが、あなた贈つておるのでありますか。
  1278. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 贈つたことはありません。若し又忰の方の子供ですから……。
  1279. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御子息や御家内の方が持つて行つたことはありませんか。
  1280. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) それは分りません。私は二十一日に桃太郎の人形を頂いたということで、私のところへ見せたことがありますが、後は子供のことですから分りません。私は上げたことはありません。
  1281. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一木さんが退官されたときには、あなたのところへ郷里かどこかにお帰りになるために御厄介になつたそうですね。
  1282. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) お泊りになりました。
  1283. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 長く泊つていらつしやいましたか。
  1284. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 一晩か二晩かお泊りになつたと思います。参議院の方が來られたときに家内の者が二晩お泊りになつたということを申上げたということを後で聞いております。それは十番丁の方の旅館に泊りました。
  1285. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城ホテルというのは駅前の方ですね。
  1286. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はい。
  1287. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その開店のときに檢事正から花環か何かを贈られたそうですね。
  1288. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はい、頂きました。
  1289. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それはどういう経路で頂いたのですか、ただ向うから持つて來たのですか。
  1290. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 宮城ホテルの開業のときに南出弁護士の二階を拵えて上げたのですから、南出弁護士の事務所の開業と宮城ホテルの開業と一緒でございましたので、そのとき方々からも頂きましたから……。
  1291. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そのときあなたの方から頼んだわけではないのですね。
  1292. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1293. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳の方から檢事正の名前で頂いたわけですね。
  1294. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そうでございました。随分他の方からも花環を頂きましたが、檢察廳から頂いたもので喜んでおりました。南出先生の事務所の方のお祝だか分りませんが。
  1295. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 花環は御覧になりましたか。
  1296. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 見ました。
  1297. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) やはり岡檢事正と書いてありましたね。
  1298. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 岡檢事正か、仙台檢察廳一同と書いてあつたかはつきり分りませんが……。
  1299. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) いずれにしたところが贈主の名前の店くべきものですから、仙台檢察廳一同か、若しくは岡檢事正と書いてあつたと思いますが、それはあなたの店の箔をつける意味においても必要なことですね。
  1300. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ、書いてありました。
  1301. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かあなたが宮城ホテルにお客樣用の寄贈鏡を贈られたことがありますか。
  1302. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありませんです。
  1303. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういうことはないですか。
  1304. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1305. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か他に貰つたことはありませんか。
  1306. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1307. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういうふうに向うから祝物を呉れる程ですから、余程あなたの方も好意を盡してある筈ですね。檢察廳の方にね……。
  1308. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 花環でございますか……。
  1309. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 花環を貰つた程ですから、あなたの方からも相当いろいろ面倒を見てやつておるわけですね。
  1310. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1311. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 池田檢事長か清水檢事正の官舎へあなた行つたことがありますか。
  1312. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1313. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ないのですか。
  1314. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1315. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かいろいろ先程申したようなお勝手許のものを贈られたことはありませんか。
  1316. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1317. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御家内の贈られたのはありませんか。
  1318. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 池田檢事長閣下には裁判所の裏の方におりますから、お加減が惡いというので私が持つて行つたことがあります。扁私腺を患つておりましたから水飴を罐に入れて‥‥。そうして掛図を頂戴したことがあります。勝手許へ行つて下の婆さんのところへ渡して來たことはあります。
  1319. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 役所へお出でになつたことはありますか。
  1320. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 役所はあります。役所では会います。役所へはたびたび参ります。
  1321. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 一月の何回くらい行かれますか。
  1322. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 一月に何回ということでなしに一月に一回も行かないこともございます。二月、三月に一回も行かないこともございます。一月に何回も行くこともございます。
  1323. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 用事がなくても訪問するようなことはございませんか。
  1324. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ございません。書記長さんから御勘定とか、或いは補佐官の方から用事というときには、そういうときには電話でやるのでそういうことに参りますけれども外に‥‥。
  1325. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳自体にいろいろお客さんを宿直室へ‥‥お客さんなんかをせんければならんという場合もありましようが、味噌醤油を補給したようなことはございますか。
  1326. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1327. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) してやつているようなことはありますか。
  1328. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ありません。
  1329. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたのところで先程お伺ねしたようにいろいろ飲み食いしたり、泊つたりするときはその支拂は‥‥。
  1330. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 頂きます。
  1331. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どつから呉れるのですか。
  1332. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 裁判所の書記長さんから、或いは勘定を取りに來て呉れというので私が行つて頂くこともありますし、お持ち下さるときもあります。
  1333. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳の書記ですね。
  1334. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はい。
  1335. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの曲直問題というのはやかましいのでありますが。
  1336. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はい。
  1337. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたが大分運動なされましたですね。
  1338. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はい。
  1339. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、大体筋は分つておりますが、運動された主なものは‥‥。
  1340. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 主として新聞にも三十二名の請願者を出して地元から何してやりましたがとうとう負けまして、宮城ホテるの屋敷を取られました。随分運動しましたけれども檢事局の檢事正から二、三回呼び出されまして、私の側に朝鮮人も三百人もおるものですから、そのときに浜松事件、神戸事件ということで非常に御心配になつて駅前の巡査は呼ばれる、とにかく池田檢事長閣下からも騒ぐなと再三電話が掛かつて來ておりましたので、六十人ぐらい市役所へ参つて随分に私の方でも朝鮮人のことがありますので一松総裁閣下もお出でになつたときに、これを檢事局もそういうことを言われるものですから、まあ、御約束の通りそういうことはしない、しませんというのでとにかくそういう運動をしないでとうとう負けてしまつたのであります。
  1341. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 外にどういうことを‥‥上京をして運動したこともあるのでありますね。
  1342. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 上京は東京の方へ請願に参りまして、そうして建設省だの運輸でございますか、汽車の方の汽車の蒸氣を引くとき参りました。
  1343. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 市会の方も働き掛けましたか。
  1344. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 市会として直線ということを何したのでありますけれども、途中おかしくなつたのであります。
  1345. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 最初はあなたの方が‥‥。
  1346. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 直線でございました。
  1347. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 大体切り崩されたのでありますね。
  1348. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 市会議員が半数以上‥‥とうとう一松総裁お出でになるというの非常に喜んでおりましたけれども、総裁閣下の御賛同で直線が至当であるということを申されたということで、今協力しております。
  1349. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 市会の方へは何か運動するためにお酒や何か贈つたそうですね。
  1350. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 忰がどうも‥‥申訳ございません。
  1351. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたと御相談ございませんで。
  1352. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私の方で叱りつけたのであります。
  1353. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういうようなことで相当お金をお使いになつたのでありますね。
  1354. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) とにかく向うでは会費を集めましたけれども、私の方では会費は絶対に集めちやならんというので叱りつけましたのであります。
  1355. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 百万円使つたとか、三百万円使つたという人もありますが。
  1356. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 三百万円というのは、この前参議院の方の申上げましたが、議事堂で宮城竹三郎は三百万円ばら撤いたというような怪文書を差上げて置きましたが、ああいうデマは飛びましたが‥‥。
  1357. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どのくらい使いましたか。
  1358. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) どのくらいと言つてもそんなに使いません。
  1359. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 百万も使いましたか。
  1360. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 百万も五十万を使いません別に‥‥。
  1361. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どのくらい使われたのですか。
  1362. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 忰のことでございますから分りませんが、忰が主としてやつたのです。請願書でも歎願書でも宮城宗男でやつておりました。
  1363. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 少くとも二、三十万使つておるとか‥‥。
  1364. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 絶対そんなに使いません。
  1365. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何でも大きな話ですね。世間の話では‥‥。
  1366. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 怪文書では三百万円ばら撤いたというが、三百万円も使つて負けて黙つているわけはありません。とにかく負けたからというので泣き寝入りです。怪文書にございます三百万というのは‥‥。
  1367. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 併し何十万という金が要るでしよう。
  1368. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 運動費ですか。
  1369. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ええ、今の物の高いときですから。
  1370. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 曲直問題ですか。そんなに何十万という金は使いません。
  1371. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの家では曲線になると取られるから、壞さなければならんから、それを考えると相当使つてもいいわけですね。
  1372. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 別に金を使う必要もないですから、紙代だの何だの随分それはかかりました。とても紙なんかも一枚七円とか七十銭とか上る。そういうものを随分印刷なども刷りましたが‥‥。
  1373. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それを印刷されるのに相当、当時の印刷費としては高いですね。
  1374. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1375. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたは荻原、松浦という人を御存じですね。
  1376. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 知つております。
  1377. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは曲線問題の反対側ですね。
  1378. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) はあ。
  1379. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) だからあなたが曲直問題に負けたものですから、これは腹いせのために、檢察廳にあなたは申告をなさつたことはないですか。
  1380. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そういう噂でございますが、そんな卑怯ことは絶対にいたしません。ただ私は荻原氏、松浦氏と友達で二十年の友人関係でございますから、松浦氏は何もございませんけれども、荻原氏はとにかくこの前お目に掛けましたが、布の三百万円ばら撤いたという怪文書、怪文書というのは電信柱や塀などに夜中に貼るものと思つておりましたが、堂々と議事堂で議員方に配付したものでありますから、余り‥‥どうも布の家内とか仲がいいのでして、親類で、荻原の妻君とは‥‥それにも拘わらず余りじやないか。何も荻原氏に恨まれることはない。それがああいう怪文書を廻すのは卑怯だというので恨んでおりましたが、負けてしまつたものですから‥‥一松総裁閣下が來たときに議長が欠席したので、副議長でありましたから、一松総裁のところでも反対論をやつたわけであります。
  1381. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それだけあなたは恨んでいるから、結局何か松浦のところ、荻原氏のところに電話を掛けましたね。
  1382. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 掛けました。
  1383. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かお礼するとか何か‥‥。
  1384. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) お礼じやない。怪文書のことで申しました。お礼といつて、別に私は命を取られるとかいう問題ではなくて、道路問題でございますから。
  1385. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 忿懣遣る方なく、鬱憤を晴らそうというので電話をしたのですか。
  1386. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 電話で鬱憤を晴らそうというような、そんな大した問題ではございません。
  1387. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは何とおつしやつた‥‥。
  1388. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いや、随分家の家内とも仲がよいのに、親類とも仲がよいのに、あなたの父さんも何だ、道路問題に殺氣立つて、最初は四十何名満場一致で決めたものを、途中でそういうことをして、怪文書を廻したのは余りひどいじやないか、何もあなたに恨まれることはない、よく言つて下さい。その三百万廻したなんという怪文書も、そう恨まれることはないからと言つて、直接に電話を掛けたことがございましたが。
  1389. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、そのようなことから荻原氏のことを檢察廳へ耳打ちしたのじやないですか。
  1390. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) いや、そんなことは絶対ありません。そんな卑怯なことはいたしません。人をこうだというようなことなんかは‥‥。
  1391. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かあなたは先程お伺いしたように、檢察廳へお出入りになつておるから非常に親しい。これは人情として、外の人があなたに頼んで、有利に展開して貰うとか、在いは保釈して貰うとか、釈放して貰うとか、揉み消すというよなことを、いろいろなことを持込まれるでしようね。
  1392. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 話されたとか、そういうことは私は聞いたことはございません。
  1393. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 底通そういうことを持込みそうなものだな。
  1394. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 持込みそうなものだといつて、私はとにかくそういうことをしたことはございません。ただ一回、この前お手紙を見せましたが、私も執行猶予の身ですから、この執行猶予を非常に私も感じて、今日旅館ということについても、絶対一人でも善良にしたいというのでやつておりました。でそのときに社会党の菊地養之輔先生からですね、引受人あれば執行猶予、それからなければ八ケ月の懲役であると言われたものですから、執行猶予というのは今尚非常に感じておりますから、それで私は判事さんの方から引受人になつてつたことがあります。人尚模範使用人として使つております。
  1395. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは結構です。私のお尋ねするのは、まあ、そうやつて檢察廳に非常に心安いから、世間の人は、あなたは非常に心安いと見ておりますからね、いろいろなことをあなたに頼みに來ることがあると思いますが。
  1396. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ございません。又そういうことをしたことはございません。
  1397. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたが頼んで、現に釈放して貰つた人もあるというのですがね、どうですか。
  1398. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ございません。
  1399. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、世間ではあなたが非常に檢察廳に親しいですから、であなたがまあ、檢察廳という権力を持つておる官廳を背景にして、商賣上有利な地位に立つておる、或いはまあ顔が利く。一面においては西方組の関係がある、遠い関係でしようけれどもね。というので非常にあなたの顔を恐れておる人もある‥‥。
  1400. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 恐れて、それがどうも今尚古疵ですから、昔西方でありますが、西方とは出入りしておりませんし、尚どこをお調べになつても何ですが、尚顔役とは出入りしていないようにしておりますから‥‥、私は今尚困つておるわけであります。その古疵が。
  1401. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、檢察廳を背景にして、虎の威をかるようにして、いろいろなお仕事の上に有利に‥‥。
  1402. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) そういうことは絶対に。私は檢察廳を背景にして云々ということは絶対にいたしておりません。そんな卑怯なことはいたしませんから。尚駅前交番にお聽き下されば分ると思います。曲直問題に負けまして、そうして私は認識不足であつた、今まで騒がして済まなかつた町内会で申上げたところが、去年の十一月から防犯会というものを置きまして、そうして敵側のその旗頭になつた福島さんという人が発言しまして、そうして向うも区画整理の、私も会長になつておりますから、で協力します。で仙台駅前のためと申して、そうして私は皆さんの満場一致で、御遠慮申上げましたけれども、防犯会長にされたわけでございます。尚駅前交番はよく分つておりますから、随分一昨年あたり二百人の浮浪兒も駅前におりまして、二時、三時頃御飯をやつたり、或いは随分汽車賃なども立替えてやつたりしたのを駅前交番の巡査も見て知つておりますが、私は、そういうことをしております。そんな檢察廳を背景にして云々ということは絶対いたしません。若しありましたら、どうぞ証拠でもお出し下さればどんな制裁でも受けます。そういう卑怯なことは絶対いたしません。今日檢察廳或いは縣廳とか市役所とか、税務署とか、それから宮城ホテル、竹屋ホテルのあるあの辺は皆燒野原でした。あの当時十番丁辺が一番早かつたのです。旅館の経営をしたのが‥‥。それで去年、一昨年あたりは非常に食糧事情も惡く、税務署の方も、檢察廳の方も、米を持つて來ない方がありました。そういうときは私は自分で食べる物を上げたり、闇米を買つて足りないところは上げました。それで宮城ホテル、竹屋ホテルと言われますが、この檢察庁の方がお出でになるのは十番丁が主に多かつたですから、それで私はそんな檢察庁を背景にしてこうだ、この前もおつしやれましたが、鏡を貰つたということは根も葉もないことです。そんなことはありません。花を貰つたことは確かでございますが‥‥。
  1403. 齋武雄

    齋武雄君 参考までに伺いますが、いわゆる世の中で博徒という者が足を洗うときには何か披露をするとか、触れを出すとか区切りをつけるものでしようか。
  1404. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 私は本当の遊び人ではございませんで、根が鉄道の機関士の出でございまして、二十八歳のとき仙台の機関区を振出しに、それから農機具株式会社の支配人をやり、カフエーに轉向して手遊びを覚えただけでありまして、本当の遊び人ではありません。カフエーをやるようになつてから西方というのと遊んだだけでありまして、別に盃をどうのこうのということはございません。世間樣では宮城竹三郎は遊び人だ、親分だなどと言つておりますが、根が本当の‥‥私の父親は暫く刑事をやつておりまして、警察官をやつて來ましたので、警察官の方々も出入りしておりますが、親父の顔もございますので、それでいつも足を洗つたらどうだと言われて嫌になつてしまつたのです。又戰爭にもなりましたし、又カフエーになりましてから自警團長などになりました。成る程東京方面では、随分足を洗うとか、盃を交すとかいうようなことがあるそうでございますが、私はそういう本当の根からの遊び人でないのでございます。
  1405. 齋武雄

    齋武雄君 もう一つ、今お聽きしていると、浮浪兒に対して給食をしてやつたというようなお話でありましたが、檢察廳関係や、役所関係以外に、何か慈善事業などに寄附されたことがございますか。
  1406. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) ございます。
  1407. 齋武雄

    齋武雄君 どういうところへ……。
  1408. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 一昨年の水害のときも、女中から番頭から、率先してお見舞金をやつたことがあります。
  1409. 齋武雄

    齋武雄君 その外公益法人なんかに出したとか、市役所に出すとか……。
  1410. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) 公のことは私はやりません。公に新聞に載つたり、受取を頂いたというようなことは私しませんけれども、とにかく人さんのために、苦しんでいる方には私やつております。
  1411. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それではどうも御遠方を御苦労様でございました。
  1412. 宮城竹三郎

    証人宮城竹三郎君) どうもお手数を掛けて済みません。本当に檢察廳皆さんに御迷惑を掛けて衷心よりお詫びを申上げます。お手数を掛けて……有難うございました。皆さんどうも済みませんでございます。    〔証人清水直君着席〕
  1413. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お掛け下さい。清水さんの御経歴を簡單ちよつと……。
  1414. 清水直

    証人(清水直君) 私は神戸の司法官試補を振出しに、それから奈良に行きまして、高知に行まして、それから徳島、大津、長崎、名古屋、それからもう一遍長崎に帰りました。それから樺太、函館、福島、仙台と、これだけです。
  1415. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 仙台はいつお出でになりましたか。
  1416. 清水直

    証人(清水直君) 仙台は、二十二年の八月の末頃でございます。
  1417. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御家族は。
  1418. 清水直

    証人(清水直君) 家族は、家内、長男、次男、三男と、目下これだけの数です。
  1419. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 皆さん仙台にいらつしやるのですね。
  1420. 清水直

    証人(清水直君) ええ。
  1421. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城竹三郎氏といつからお知合いになつたのですか。
  1422. 清水直

    証人(清水直君) 去年頃……、いつ頃だつたか……二十三年くらいからですがね。二十二年のときにはまだ知らなかつたと思いますが……。
  1423. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どういうような動機から……。
  1424. 清水直

    証人(清水直君) あれは、あそこが宿屋になつておるので、本省の人、それから最高檢の人なんかがやつて参りましたときにあそこに泊られるようなことが二、三度あつたと思いますが……それで宮城にそのときに二、三度くらい会いましたか……そのくらいの知合いです。
  1425. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういういろいろな御職業柄御用事以外に個人としてお出でになることがありますか。
  1426. 清水直

    証人(清水直君) ありません。
  1427. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうするといつもお出でになるときは、本省とか、そういう関係の人が來て泊るという場合だけですか。
  1428. 清水直

    証人(清水直君) そうですね。
  1429. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か会合なんかそこでお催しになつたことはありませんか。
  1430. 清水直

    証人(清水直君) 私共の方はありませんな。
  1431. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳の方の会合は……。
  1432. 清水直

    証人(清水直君) ありません。
  1433. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 事務局かなんか会合をそこに持込んだことはありませんか。
  1434. 清水直

    証人(清水直君) いや、ありません。私の方の分としてはありません。
  1435. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 事務官とか檢察の人だけで私的にやつたようなこともないのですか。
  1436. 清水直

    証人(清水直君) ありません。
  1437. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お聞きにもならんのですか。
  1438. 清水直

    証人(清水直君) 聞きません。
  1439. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた個人としてお出でになつたこともないのですか。
  1440. 清水直

    証人(清水直君) 個人としてもありません。
  1441. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 向うから來るようなことはありましたですか。
  1442. 清水直

    証人(清水直君) 役所でやはり二度やそこらは見掛けましたですな。
  1443. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの許へ來るようなことはなかつたですか。
  1444. 清水直

    証人(清水直君) あれはいつ頃でしたか、昨年の何月頃でしたか、丁度浜松事件、それから、犬山事件、鮮人のところの露商店かなんかの騒動がございましたですね。あの頃にやはり何でも駅前の曲直問題がありまして、あのときに宮城氏の方は直線になる方だつたと思いますが、そうするというと、その附近にやはり戰災者とか、或いは、引揚者とか、鮮人とかが露店をやつておるので、朝鮮人も何人おつたか今記憶しませんけれども、朝鮮人がおる。そうするというと、自分の生活権を奪われるということになるので、そういう連中が騒ぐようなことがないか知らんということを考えたものですから、二度くらいでしたか、宮城氏を呼んで、一つ鮮人が附近におるそうだから、浜松事件もあるし、犬山事件もあるから、騒動を起さんように注意して置いて呉れということを忠告したことがあります。忠告というか、氣をつけて呉れるようにと言うたことがあります。
  1445. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それ以外に何か職務上のことであなたに頼みに來たようなことはないですか。
  1446. 清水直

    証人(清水直君) ございませんね。
  1447. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城は御承知かどうか存じませんが、あなたが御赴任になる前から檢察廳と繁々出入りしておつて極く親しいですがね、そういうことは御存じですか。
  1448. 清水直

    証人(清水直君) 知りませんですがな。
  1449. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの前任者の時から檢察廳関係ができていて、出入りして、檢察廳宮城にいろいろなことを頼み込むとか、お客さんがあつた場合とか、会合のある場合によく利用したらしいですが、そういうことは御存じないですか。
  1450. 清水直

    証人(清水直君) 知りませんですね。
  1451. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたになつてからそういうことは……。
  1452. 清水直

    証人(清水直君) 私のときには、今申上げたように、私になつてからあすこを利用したことはありません。
  1453. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 個人的には余り交際しないわけですか。
  1454. 清水直

    証人(清水直君) そうです。
  1455. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたのお宅にお伺いするようなことはございませんですか。
  1456. 清水直

    証人(清水直君) ございません。
  1457. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 前任者の人は相当親しくしておつたらしいですがね。檢事長と檢事正も相当親しくしていらつしやいましたようですがな。
  1458. 清水直

    証人(清水直君) 私は知りません。
  1459. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう一つの流れがあなたが赴任なさつてからも引続き継続されたわけではないでしようか。
  1460. 清水直

    証人(清水直君) ございませんですね。私としては……。
  1461. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう御関係だというと、宮城さんから何か物を持つて來たということはあり得ないわけですね。
  1462. 清水直

    証人(清水直君) ございません。
  1463. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると宮城という男を特段に信頼しておるということもないのですね。
  1464. 清水直

    証人(清水直君) 関係がないので、特に関心をしたとかですね。特に氣をつけたというようなことはございませんですね。
  1465. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢事局のためによく世話をして呉れるから感心な男だと思つたこともないのですね。
  1466. 清水直

    証人(清水直君) 別にそういうことも感じません。
  1467. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そんなに余り交際していらつしやいませんから……大分元の方は世話になつたらしいですがね。まあこれは宮城が意識的にやつておるか。ただ宮城が、得てしてああいあふうな社会の人は、権力関係のあるところと極く親しいということを、まあ看板にするか、世間に吹聽もしまいけれども、世間に知れることによつて、自分の箔がつくというような氣持から、極く親しいということを世間に見せておるわけですね。そういうようなことで、何か弊害のことがお耳に入りませんか。
  1468. 清水直

    証人(清水直君) さあ、そういうごとき氣がつまきせん。ないと思います。檢事局を嵩に着てですとか、そういうことはあつたことはないのですね。
  1469. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 世間ではそういうことをよく言うのですがね。
  1470. 清水直

    証人(清水直君) はあ。
  1471. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたの現在の部下の人で、宮城の世話になつておる人はありませんか。
  1472. 清水直

    証人(清水直君) まあ、ないと思いますが‥‥。
  1473. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたが御赴任になつてから、轉任したとか赴任した人がありませんか、管原氏だけですか。
  1474. 清水直

    証人(清水直君) 轉任した者‥‥本田という弁護士の人が辞めましたがね。それくらいのもので、その外轉任したのは石原という檢事がおりましたですね。
  1475. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう人がいつも御厄介になつていませんか。
  1476. 清水直

    証人(清水直君) いや、厄介になつたということは聞いておりません。
  1477. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 轉任、赴任の節は荷物の世話まで宮城がして呉れるのではありませんか。
  1478. 清水直

    証人(清水直君) ありません。
  1479. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢事局長は世間に余り親しくないのですから、いろいろな世間的に頼むことは、お医者の世話だとか、或いは経済上の物資の購入の世話だとか、そういうことまでさせるのではありませんか。
  1480. 清水直

    証人(清水直君) 聞きません。
  1481. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた御自身は勿論ありませんね。
  1482. 清水直

    証人(清水直君) 勿論ありません。
  1483. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か宮城仙台檢察廳がそういういろいろな前任者時代からいろいろ親しくしている関係上、檢察廳に顏が利くという、世間の通りが通つておるのですね。そのためにそれを利用していろいろの貰い下げだとか、或いは揉み消しだとか、そういうことをあなたの部下の人に頼んで不正な利得をしておるというようなことがお耳に入りませんか。
  1484. 清水直

    証人(清水直君) 耳にしたことはございませんがな。
  1485. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういうような疑いを抱くような人もございませんか。
  1486. 清水直

    証人(清水直君) 今までそういうことを考えたこともありませんし、そういう者もおらんと思いますが。
  1487. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ宮城氏が、先程あなたのお言葉からもありましたが、例の曲直問題ですね、について宮城相当力瘤を入れたらしいのですね。それがために、檢察廳の威をかかるとか、手をかりるとか、若しくは利用するというようなことをしたことはないですか。
  1488. 清水直

    証人(清水直君) 私の耳には入つて來ませんがな。
  1489. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、そういうような一つの流れとして、いわゆる松浦事件とか、或いは荻原事件というものが起つて來たのではないですか。
  1490. 清水直

    証人(清水直君) そういうことはないと思いますがね。私としては‥‥。
  1491. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう非難はお耳に入りませんですか。要するに政争の具に供らせれたと‥‥。
  1492. 清水直

    証人(清水直君) 今度のなんか荻原さんとか、松浦さんとか起訴されておりますね。ああいう事件に或いは疑いを持たれたかも知れんと思いますね。そういうような考えの下であつたらば‥‥けれども私はもう別にそういう評判ということも聞いたこともないんですがね。まあ、その後その人たちがそういうふうに考えておつたかも知れませんが‥‥。
  1493. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何とか荻原の事件のごときは、非常に薄弱な、いわゆる贈與事件ですな、法律上の見解から言つても多少疑義があることと思いますが、そういうものを起訴して、そしてそれを利用して、四十日も勾留して何かないかとほじくり返して、やつと税務に関する事件を附加して迫起訴さして、四十日も勾留さしておる。曲直事件の鬱憤がそこで晴らされたというようにも世間で言うておるのですがね。あの事件の取扱い方としてはどうでしようか。
  1494. 清水直

    証人(清水直君) 私はその四十日も拘束しておるかどうか、そういうことも知らなかつたんですが、まあ、大体事件は主任檢事及び次第檢事でやつておるものですから‥‥。
  1495. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あれは、次席さんは佐々木さんですか、西海枝さんですか。
  1496. 清水直

    証人(清水直君) ええ、西海枝檢事です。
  1497. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城と佐々木檢事とは非常に心安いそうですな。
  1498. 清水直

    証人(清水直君) そうですか、私よく知りませんが‥‥。
  1499. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、そういうところへ息が掛かつて、そういう事件が殊更に強く敢行されたんではないですかな。
  1500. 清水直

    証人(清水直君) いや、檢事局としてはそんなことはないと思いますがね。
  1501. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ええ、まあ公平であるべき筋合ですから‥‥。
  1502. 清水直

    証人(清水直君) そんなことはないと思いますがね。私たちは長くやつておりますけれども、そういう事件で左右されるようなことはないと思いますがね。
  1503. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、ちよつと外形的の事実から見ますと、事件の内容等を考え合せまして、四十日も勾留するということは、ちよつと度が過ぎておるように考えられますがね。
  1504. 清水直

    証人(清水直君) まあ、当時は御承知の通り、いろいろな事件——そんなことは理窟にもなりませんけれども、御承知の通り縣農会の事件から、それから食糧営團の事件から、それから水産物、まあ三崎旋風から出てですね、大掛かりな鮮魚介の取締をやりまして、それから二百一号事件をやりまして、その外現在の檢察廳の実体は御存じでしようが、もうとにかく報告ものとか、実に人数は沢山おるようですけれども、殆んど寧日ないくらいにやつておるので、幾らかその拘束が長くなつたようなことがあるかも知れませんけれども‥‥。
  1505. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) お忙しいことは重々我々としても了承できるんですが、だからといつて四十日も拘束して、そしてその期間を利用して、いわゆるほじくり返すと、まあ不正のあるところは、これに勿論摘発しなければなりませんが、殊更に何かないか知らんといつて、埃を叩き出すというやり方は、余り感心しないと思うのですが‥‥。
  1506. 清水直

    証人(清水直君) それは感心しません。殊更にやつたかそこは分りませんが‥‥。
  1507. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) どうも起訴する專案を発見するために非常に苦心されたようですがね。それはいいか惡いか別問題といたしまして、そういうやり方ですね、殊にそれが最初逮捕して來て、最初の調べをするときに、まあ係檢事の人が、お前をこれから料理つてやるから‥‥何から料理つてやろうかというような言葉から思い合せますと、何か意趣があつてその事件というものが進行されたようにも考えられますがね。
  1508. 清水直

    証人(清水直君) その点なんかについては、御承知のごとく、あの最高檢察廳から橋本檢事が來まして、そして引つ繰り返したように、まあ、いろんな点から、勿論書類その他多くの人を沢山呼びまして、詳細に調べましたのですがね。
  1509. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは拜見して承知しておりますが、一應念のために伺つて置きたいと思うのです。
  1510. 清水直

    証人(清水直君) それだけで、私としては別にそういうことで何かこう別に目的があつてつたと、そういうようなことはちつとも考えてもおりませんでした。
  1511. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何かその係檢事の方がお酒が大変好きだつたらしいですね。
  1512. 清水直

    証人(清水直君) とにかく元氣なことは元氣です。酒はどのくらい飲んだか、一向酒の席がないですから‥‥。
  1513. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 若氣に委せてやつたんじやないですか。
  1514. 清水直

    証人(清水直君) いや、まあ元氣がいいものだから、言葉も荒いということで、世の中の人から誤解される、或いは実際調べられる者としては誤解もあつたかも知れませんけれどもね、そういう点があつたかも知れませんけれどもね、普通まあ檢事御存じ通り元氣に‥‥おとなしく調べる人もあれば、なかなか元氣に調べる人もおりますし、性質で‥‥。
  1515. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、その人の氣質によつて違いますが、どうも食いついたら放さんというような元氣を以ておやりになるらしいから、相当お調ベも荒つぽいらしいと想像されますがな、あなたの御調査ではそういうことはなかつたわけですか。
  1516. 清水直

    証人(清水直君) そうでございます。
  1517. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何だか先程の管原さんですかね、年末に酒に泥醉して、路上で以て松尾の子分か何かに袋叩きになつたとかいう話、そういうことはお聞きになりませんですか。
  1518. 清水直

    証人(清水直君) 聞きませんですな、そんなことは。
  1519. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城と池田檢事長とは非常に親しくしていらつしやるんですか。
  1520. 清水直

    証人(清水直君) さて、どうでしようか。
  1521. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御存じないですか。
  1522. 清水直

    証人(清水直君) 知りません。
  1523. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か檢事長の官舎へ、宮城のところの女中がしよつちゆう手傳いに行くというようなことは……。
  1524. 清水直

    証人(清水直君) 聞きませんですね。あれは御存じ通り構内におられますがね。
  1525. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) だから宮城に池田さんが御病氣のときも非常にお世話になつたとか……。
  1526. 清水直

    証人(清水直君) 池田さんが病氣のとき…。
  1527. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ええ。
  1528. 清水直

    証人(清水直君) 病氣されたか知らん。
  1529. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そんなことも聞きになりませんか。
  1530. 清水直

    証人(清水直君) 聞きません。
  1531. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 宮城本人の言葉によりましては、檢事局へしよつちゆう出入りするらしいですね。
  1532. 清水直

    証人(清水直君) しよつちゆうはどうか知りませんが……。
  1533. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) しよつちゆうというのは、毎日という意味じやありませんがね。
  1534. 清水直

    証人(清水直君) ときどきね。
  1535. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ときどき出入りするらしいですがね。そういうことについて、廳内で御不審にお思いになつたことありませんか。
  1536. 清水直

    証人(清水直君) いや、ございません。それというのが、やはりときどき泊る人があるものですから……。そういうふうな金取りに來るのが……。
  1537. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなた山口屋酒店の新築祝と、そう後にもう一遍お出でになつたんですか。
  1538. 清水直

    証人(清水直君) 参りました。
  1539. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは新築祝は向うから何か招待があつたんですか。
  1540. 清水直

    証人(清水直君) そうです。
  1541. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは單なる新築祝だつたんですか。
  1542. 清水直

    証人(清水直君) 新築祝でした。それであれは前にも調査員の方に申上げたと思いますが、皆お祝か何か持つて参りました。
  1543. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それは面識も何もなかつたわけですね。その前に挨拶に來られたことがあると思います。
  1544. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳一同を招待したわけですか。
  1545. 清水直

    証人(清水直君) 一同でしたかな。
  1546. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か関係がなければ檢察廳一同招待するということはないですね。何も関係ないのですか。
  1547. 清水直

    証人(清水直君) 前から酒屋で……。
  1548. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 招んだ趣旨がお伺いしたいのですが、どういう趣旨で……。
  1549. 清水直

    証人(清水直君) あの酒なんか今まであそこから取寄せたのじやないかと思いますね、そういう……。
  1550. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳のお出入りというのですか。出入り商人……。
  1551. 清水直

    証人(清水直君) 出入り商人というのは……。
  1552. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、そんな繋がりで招待したわけですね。二回目のは又趣旨が違うのですね。
  1553. 清水直

    証人(清水直君) あれは調査員のときにはその趣旨を忘れて曖昧なことを言うておりますが、あとで考えて見るというと、西條さんですね、あの人が昭和十八年、昭和十九年頃からか、清海寮という保護團体をやつておられましたですね。まあそのことで私も承知しておるのですが、御下賜金を頂かれたので、その披露というような意味で招待を受けました。
  1554. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そうすると外に他意はなかつたわけですか。
  1555. 清水直

    証人(清水直君) そうでございます。
  1556. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あなたが福島に御在任中ですね、北島、矢萩、森山の三名が司法保護委員に任命せられました理由はどういう理由ですか。
  1557. 清水直

    証人(清水直君) あれはですね、北島という人は十年ばかり前科がなく、そうして戰爭中は同じ町内でありますがね、官舎がある所と同じ町内ですが、戰爭中に私はおりませんでしたけれども、あすこに行つて評判を聞くところによると、防空壕を掘る場合にも非常に骨を折るとか、燈火管制のときなんかにも非常に骨を折る。それからルンペンというようなものですね。それから浮浪兒、こういうのを自分の家に連れて來て飯を食わして見たり、それから旅費がないというたならばその親許とか親威のところまで旅費を出して送り届けてやるとか、非常にそういう方面に骨折つた人だと私は聞きました。それから相撲の興行なんかをして、その利益金は何でも警察の後援会か何かに全部寄附してですね、そうしていろいろその留置場の改築だとか、そういう方面に盡してやつたというふうなことも聞いてですね、まあ町では非常な評判がいい人になつてつたんです。それで保護の方から言うて見ますと、そういう人を保護委員にして置くというと、非常に浮浪兒、ルンペン、職業のない者というような者に対して非常に便利である。又町の有志もああいう人を保護委員にして置く方がよいという意見も聞いたものですから、まあ適当な人だというふうに思つて北島氏を保護委員にすることにしよう。それから矢萩という人は商工会議所の会頭で、まあ福島市では一番資産家でありまして、これは私は立派な人だと思つてつたのです。森山という人もまだ四十にならんと思いますが、青年事業家として非常に賣出したこの人も実直な人なんです。この三人を司法保護委員にと、そういうわけでこのなには森山氏あたりはいろいろな仕事をしておりますから、仕事をさせるには、まあルンペン、或いは浮浪兒とか、当時やはり仕事がなかなかないし、監督するというような人も必要だ、そういう関係で司法保護委員にしたのです。
  1558. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 北島については何か推薦があつたのですか。
  1559. 清水直

    証人(清水直君) これは町の有志の、森山とか或いは矢萩というのが、それから評判も聞いたのですが、前には前科があつたけれども、改悛するというとあれだけ立派な社会のために盡すものかと、改悛すればあれだけになるかというようなことがあつたものですから、それで結局まあ保護委員としては適当な人だというふうに思いまして任命したわけです。
  1560. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) その後ですか、その前ですす存じませんが、北島と相当親しくお附合いになつておりましたね。
  1561. 清水直

    証人(清水直君) 親しくというのではありませんが、仕事上のこともあるものですから、それにあの人は相当信用されておりました。今度でもあれは大分いろいろな事実で起訴されているようですが……。
  1562. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、いろいろな理由で以て北島と会食をなさつているようですね。
  1563. 清水直

    証人(清水直君) 私は会食したというのは送別会のとき一回、それからもう一回くらいのものです。
  1564. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か北島から日用品の供給を受けていらつしやるとか、或いは難小舎くらいは作つて……それから難を受けたとか……。
  1565. 清水直

    証人(清水直君) 難小舎を作つて、難を受けたとかですね。
  1566. 清水直

    証人(清水直君) 難小舎をちよつと手助けして貰いました。それから家の材料でなにして、ちよつと來合せたものですから……。
  1567. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 作つてつたのですか。
  1568. 清水直

    証人(清水直君) いや、全部作つて頂いたわけじやない、材料が全部あつたものですから。
  1569. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ちよつと手傳つてつたわけですね。
  1570. 清水直

    証人(清水直君) ちよつと手傳つて貰いましたが……。
  1571. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 鶏を呉れたわけではないですか。
  1572. 清水直

    証人(清水直君) 難は別に私が買うたのです。
  1573. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 何か日用品を送つて呉れたようなことは‥‥。
  1574. 清水直

    証人(清水直君) ありませんね。私はこの向うから頂いたものは果物とかですね。果物一遍‥‥梨くらい貰つたことはあります。その代り私の方でもいろんなものを向うに上げております。
  1575. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 御承知の通り、何か問題になつておりますがね、北島というのが‥‥。
  1576. 清水直

    証人(清水直君) ええ、北島が。
  1577. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 今日から見るというとちよつと推薦が間違つてつたと‥‥。
  1578. 清水直

    証人(清水直君) そうですな、私はその点においては、今日ああいう者を任命したということは、これは又私の目の誤りだと、こう思つております。
  1579. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、それに附加えまして、あなたといろいろそれから親しくなられたものがですね、いろいろあのときには出入りされましてですね。いろいろあなたにお世話しているというようなことが、関連いたしまして‥‥。
  1580. 清水直

    証人(清水直君) 向うが私を世話したというんですか。
  1581. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ええ。
  1582. 清水直

    証人(清水直君) 世話になつたということはないですがね。
  1583. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) ないのですか。
  1584. 清水直

    証人(清水直君) それはその、どのくらい起訴されておるかどうか知りませんけれども、犯罪事実が三十なら三十おるとしまして私、の時代に、私がおりました在職時代に、まあそれが惡いことになるのかならんのか、有罪の認定を受けるかどうか知りませんけれど、何か私の時代の月日からいうて見ましたら一つか二つくらいは私の時代に起訴されたような事実があるようですが、後は私が出た後の事実であつて、私のおる時代は、私はがつちりとして一つも惡い人間だとは思わなかつたのです。
  1585. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ、あなたのお見込のように改悛しましてですね、より以上の人になられる人も沢山ありますですけれどもこういうような人はたまたまそういうような権力を利用して、それを背景にして自分の利害にそれを供しようとかいうような人もあるのですが‥‥。
  1586. 清水直

    証人(清水直君) そうです。私の時代には相当働いて呉れたと私は思つてつたですがな。
  1587. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) この宮城の場合もやはりそういうような状態であつてですね、檢事局へいろいろなお世話をしたり、出入りしたりして、恰かも檢事局の最も親しい内輪の人のごとく世間に見せびらかして、そうして自分の商賣上とか、或いは交際上にそれを利用していたというようなことはないですか。
  1588. 清水直

    証人(清水直君) そういうことは見受けられませんし、あの人はちよつとも惡いことをするような人じやないというような評判なんですな、一方から言うと‥‥。
  1589. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 街の顔役として通つているのじやないでしようか。
  1590. 清水直

    証人(清水直君) 顔役というような者じやないのじやないでしようか。
  1591. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) まあ一つのボス的存在というような‥‥。
  1592. 清水直

    証人(清水直君) 今のボスというような言葉は、私たちの時代にはなかつたのですが、この頃ボスと言われておるが、ボスとは私は見ておりませんですがな。別に権力を張つて‥‥。
  1593. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 自己の権力ではなくして、この場合にはいわゆる檢察廳という後ろ立てを利用して顔を利かして、そうして自分の意のままにいろいろなことを支配して行こうとか‥‥。
  1594. 清水直

    証人(清水直君) そういう政治性のあるような人でしようか。私はそう思いませんけれども‥‥。
  1595. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 或いは政治的にでなければ経済的に、或いは自分の営業の上において、あそこへ行けば檢事局がついているから、いわゆる治外法権であるというような、安心して商賣ができる、お客さんも余計來るというような恰好じやないでしようかね。檢事局が知らんうちに利用されておるかも知れませんけれどもね。
  1596. 清水直

    証人(清水直君) 私はただ知つているだけですけれども、評判もまあいろいろあるでしようけれども、少くとも私の今まで見ておつたところによると、別に檢察廳を利用して、或いは経済上においても、それからボス的存在に一層力をつけるというようなふうにも見ていませんし、そういうふうに思えんとは思いますね。
  1597. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 檢察廳から花環をやつたりすると、世間ではそういうふうに誤解しやしませんですかね。
  1598. 清水直

    証人(清水直君) 花環をいつか‥‥。
  1599. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) そういう開店祝に花環をやつたりするとそういうふうに思いしやませんかね。
  1600. 清水直

    証人(清水直君) それは開店祝のときに檢察廳から花環をやつたというようなことがありますか。
  1601. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) あるんです。世間の人は檢察廳から花環を贈られるんだから余程の勢力があるだろうと、こういうふうに思いやしませんかね。
  1602. 清水直

    証人(清水直君) どういう考えでやりましたかねそれは‥‥。
  1603. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) 外に何かお聽きになることがありますか。
  1604. 大野幸一

    ○大野幸一君 その花環の問題ですが、あなたは長い間檢事に奉職されておる経驗上、参考までに‥‥これは本件の事件とは違つて、異なつた意味で、管内の旅館業者が開店をする、そこで檢察廳の指定旅館見たいになつておる、こういう場合においてでも花環を贈るということはどうお考えになりますか。これは一般的な場合です。あなたはそういうことをしても構わないと思いますか、こういうことはちよつと遠慮すべきだと、こう考えられるか。
  1605. 清水直

    証人(清水直君) 檢察廳そのものから贈つたんでしようか、個人として贈つたのか。
  1606. 大野幸一

    ○大野幸一君 個人としてでなく、檢察廳として‥‥。
  1607. 清水直

    証人(清水直君) どんなものですかなあ、それはいろいろその事実が出て來て、そういう場合を問われると、どつちを答えていいか分らなくなりますけれどもね。どんなものですかなあ、何氣なくやる場合もありましようしね、景氣をつけてやろうと思つてやる場合もありましようし、それはその時代によつても違いますしね。
  1608. 大野幸一

    ○大野幸一君 それではお伺いしますが、今あなたが部下からそういう相談を受けられたらどうしますか。
  1609. 清水直

    証人(清水直君) 今だつたちよつと遠慮した方がいいと思いますね。
  1610. 大野幸一

    ○大野幸一君 その程度の御認識ですか。
  1611. 清水直

    証人(清水直君) 今だつたらそういうところですね、特に‥‥。
  1612. 大野幸一

    ○大野幸一君 私の期待するところは、言下にそういうことは誤りである、こう私はお答えになるかと思つたんですが、併しそれはまあ認識の相違で、それは併し何でしようか、今でなくても十年前の檢察廳も、二十年前の檢察廳も、ちよつと檢察廳の威信として、開店祝に花環を贈るというようなことはよくないようにも考えられますが、檢事正の方がそういう御認識では‥‥ともかくとしてこういうことを私は経驗として聞きたいんですが、塩野檢事正というのがありましたね。不幸にして今度亡くなられたようですが、要するに司法保護事業については、先程ちよつと御証言にもあつたように、いわゆる博徒であつても、足を洗つたと世の中から見られておるような人を利用することが、却つて毒は毒を以つて制するというような考えで、相当博徒仲間に面倒を見ておられた人じやありませんか。
  1613. 清水直

    証人(清水直君) 博徒ということは詳しく知りませんけれども、相当保護事業に力をしておられたことは承知しておりますね。
  1614. 大野幸一

    ○大野幸一君 保護事業はどの檢事正でも、別に塩野檢事正ひとりでなく、その保護事業に力を入れるために、例えばいわゆる根岸の三ちやんというのがありましたね。
  1615. 清水直

    証人(清水直君) 知りませんけれども。
  1616. 大野幸一

    ○大野幸一君 そういう人が丁度福島に起きたような事件を公々然とされた時代がありますが、そういうことは御存じないですか。
  1617. 清水直

    証人(清水直君) 知りません。
  1618. 大野幸一

    ○大野幸一君 あなたは塩野さんが東京の檢事正をしておられたときはどこにおいでになりましたか。
  1619. 清水直

    証人(清水直君) 塩野さんが檢事正時代は私は関西辺りにおりました。
  1620. 大野幸一

    ○大野幸一君 一緒に部下になられたことはありませんか。
  1621. 清水直

    証人(清水直君) ございません。
  1622. 伊藤修

    ○委員長(伊藤修君) それでは遠路どうも御苦労樣でした。  本日はこれにて散会します。明日は午前十時より開会します。    午後前時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            鬼丸 義齊君            岡部  常君    委員            大野 幸一君            齋  武雄君            深川タマヱ君            來馬 琢道君            松村眞一郎君   証人    仙台市会議員  澁谷 順誠君    弁  護  士 南出 一雄君    法務廳研修所長 岡  琢郎君    仙台地方檢察廳    檢事正     清水  直君    仙台地方檢察廳    檢事      管原 弘毅君            宮城竹三郎