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1949-01-08 第4回国会 参議院 法務委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年一月八日(土曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件檢察及び裁判運営等に関する調査  の件(仙台事件に関する件)   —————————————    午前十一時五分開会
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではこれより法務委員会を開会いたします。  本日は仙台事件についての証人を取調べることにいたします。  各証人の方、本日御出頭願いました。これより御証言を願うことになつておりますが、証言を願う前に先ず宣誓をお願いすることになつております。宣誓は各自御朗読の上宣誓をして頂きます。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 松浦 正隆    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 新井田喜左久    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 西條芳次郎    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 松尾 啓三    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 梅原 順治    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 荻原 富雄    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 中澤 しげ    宣 誓 書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 浦山きえ子
  3. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これより証言をお願いいたしますが、この証言嘘僞りがありますと、法律上の制裁がありますから、御注意申上げて置きます。では松浦さんからお願いいたします。    〔証人松浦正隆君著席〕
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松浦正隆さんとおつしやいますね。あなたの御職業は……。
  5. 松浦正隆

  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外に何か公職をやつておられますか。
  7. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 月刊の東北経済新聞の雜誌を出しておりましたが、紙の都合で只今は休刊をいたしております。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年はお幾つですか。
  9. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 六十一でございます。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いはお呼出し差上げた所ですか。
  11. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) はあ。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仙台宮城竹三郎という人がありますね。
  13. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) はあ。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じですか。
  15. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 存じております。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城竹三郎という人の、何と言いますか、町の顏役として、或いは人柄ということについてですね、御承知範囲をお述べ願いたいのですが。
  17. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 私が仙台に参りましたのは約三十年前でございますが、二十年ばかり前から存じておりまして、現状は見ませんが、世間風評その他から見ますと、よく賭博をやつてつて遊び人風の男だと承知いたしております。カフエーを開いたりいろいろなことをやつております。終戰前もいろいろそういうような営業をしておりまして、宿屋を始めております。只今では宮城ホテル宮城旅館その他のいろいろの商賣をやつておるようでございます。顏はよく存じておりますが、別にまあ大惡人というような性格ではないのですが、いろいろの風評から言えば親分氣質な男で、そうして最近に至つては非常に仙台檢察廳の方に懇意な人ができて、そうして弁護士行つて貰い下げができないとか、或いは保釈にならんとかいうのが、宮城が顏を出せばそれが貰い下げできるとか、或いは保釈ができるとかいうような評判をいろいろの方面から聞いたことがございます。最近は大変殊に財産を作りましたので、曲直問題について……仙台に曲直問題ということがありまして、道路の問題で、都市計画の問題で、宮城君が中心になりましていろいろ曲つた方がつまり市会を通過し、復興院も通過したのですが、それを眞直ぐにするというようなことで、大変に運動をやつたように聞き及んでおります。私はこの問題には関係しませんので、ただ私の友人であります荻原富雄君などが丁度市会議長をいたしておりましたので、そういう人から傳え聞きますところによると、宮城中心になつて一生懸命運動をやつたと、かように聞いておりますのであります。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城竹三郎という人は町の顏役と称せられる程度の人ですか。
  19. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) まあそうでございましようね。元は宮城は大した顏役という程でもなかつたのでございますが、最近は非常に財産ができましたし、まあ何かによらずいろいろなところに顏を出し世話をいる、こういうようなふうに聞いておりますのであります。私の申上げるのはどこまでも世評でございまして……。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは自分子分があるとか、或いは財産的に顏がきくのですか。どういう意味から町の顏役として……。
  21. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 子分という程の大した子分は持たないと思いますが、併しまあ子分と申しますのはいろいろな今は事業をやつておりますから、宿屋も三軒か持つておりますし、それから食料品であるとか、いろいろな附随した喫茶部であるとかいうようなことをやつておりまして、その方に使われておる者、出入りします者、そういう者がまあ子分程度じやございませんでしようか。その他只今どうか存じませんが、從前はやはりばくちなどをやつてつたような関係で、そういうような仲間が相当いる。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松尾何某という親分とも繋がりはあるのですか。
  23. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) やはりこれは勿論どのくらい深い交際をしておられるかということは存じませんが、曲直問題などに関しましては、松尾氏は宮城氏の方を助けてやりましたので、一方は從來からの日本古來からのテキ屋親分でございますが、宮城君はこの程度ではございませんね。ですから普通の交際はいたしておりましようが、非常に深い交際があるかどうかということは私にはよく分りませんから……。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城君は顏がきくということはどういうところから來るのですか。
  25. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) まず只今財産ができたとかいうような関係でございましようね。金の力でございましようね。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 背景に檢察廳の勢力があるということから顔がきくのじやないのですか。
  27. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) まあその点もございましようね。いろいろ頼みに行く、あの人が頼めばいいということも始終耳にいたしておりますから……。
  28. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するに宮城君の後に檢察廳の力というものが光つておるというところから、その人の顔がきくのじやないでしようか。
  29. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) さようでございますね。そういうような見方もございます。
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城君と檢察廳関係はどうですか。
  31. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 私の聞きました程度では、まあ常に仙台檢察廳の人々は殆んどあそこに出入りをしておる。始終飲食をいたしておる。從つてその間においてはやはり人情的にも宮城君が頼めば無理がきくというように聞き及んでおります。まあこちらの調査の方からもおいでになりまして、御調査になりまして、或る程度までお分りになつておると思いますが、私一人ではありません。相当知識階級の人がさような風評をいたしております。又高檢の橋本檢事がこの間來られて、私共も調べられたのですが、お聽きになつていろいろ話したのですが、やはり始終檢事局としていろいろの会合がある時分には、あそこに行つて実費でやつて貰つたというようなことはある、こういうような話をしておられましたが、要するに一つ営業としてやつておりまするところへ行つて実費御馳走をして貰うということは、こういうことが一つ檢察廳あたりにいろいろな風評が生れる因じやございませんかと思うのでございますが、営利事業をしておるのに、檢察廳なるが故に実費でやるということは、一度や二度ならよろしうございますが、始終そういうことがあるとするならば、儲けだけは御馳走になつたという結論になります。そういうことからいろいろな惡評が立つておるのじやないかと思います。私は知らなかつたのですが、聞くところによりますと、宮城ホテルが開店になりました時分には、檢事一同とか檢察廳一同とかいうような花環貰つたとか、或いは鏡がかけてあつたとかいうようなことを私は聞いてびつくりしたのですが、常識じや考えられないことであります。私は長い間日刊新聞をやつておりましたが昭和十五年まで……、そういうように私共まあ公式な場合には、裁判所を代表して裁判長が來られるとか、檢事局を代表して檢事正が來られるとかいうようなことはありましたけれども、一商店に檢事一同花環を贈るとか、或いは記念品を贈るとかいうことは、私共には常識的には考えられないことであります。只今そう思つております。
  32. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その外には御存じないのですか、宮城檢察廳関係は……。
  33. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) はあ、まあそういうことが主でございまして、別にその他のことについては、まあ世間の人はいろいろなことを何だかんだと申しましようが、具体的に申したところで証拠があるわけでもございませんです。一切轉任とか就任とかいう時分には宮城のうちに泊つて、すべて宮城世話しておる、荷物世話からいろいろなその他の食糧問題については世話しておるというようなことを噂に聞いております。私の聞き及んでおりますのは、宮城檢察廳との間の関係はその程度でございます。
  34. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢察廳としては一切の会合はいつも宮城のところで世話になる。而もそれは実費世話になる。從つて営業上の利益というものを供與しておるのだ、得べかりし利益を供與しておるのだ、ということは、轉任就任の場合には、その都度、荷物に至るまで一切世話しておるのだ……。
  35. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) さように聞いております。
  36. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金銭的の関係はお聞き及びになりませんか。
  37. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 金銭上の関係、そういうことまでは聞いておりません。
  38. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 物品を贈つた花環を贈つたというようなことは聞いたわけですね。
  39. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) そういうことは世間の人が想像して言うのかどうか知りませんが、始終何かいろいろなものを宮城が一から万事世話しておるのだ、こういうような噂でございます。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城檢察廳に始終出入りするのですか。
  41. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 始終出入りいたしておるようでございますね。何かありますと、やはり貰い下げだとか何とかいうことで始終行つておるように聞いております。
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃ですか。そういう檢察廳とのコンネクシヨンを付けたのは……。
  43. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) はつきり私は存じませんが、やはり戰爭の終戰直前当りからではございませんでしようか。尢もそれが言葉で申しますと、厚くなつたと申しますか、深くなつたと申しますか、そういうようなことは、南出という弁護士が、あそこに事務所を置いております。そういうような関係からも……、南出というのは檢事をしておつたそうでございます。私は存じませんが、そういうことからも來ておるんではございませんでしようか。
  44. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 荻原富雄というのですね。この人の事件のことを、ちよつと簡單におつしやつて頂きたいのですが。
  45. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 荻原氏の事件は、私は選挙のときに、永い間友だちで、私の方の理事をいたしておるもんですから、私は專属的に荻原氏の應援演説をいたしたんでございますが、その後副議長に当選しまして、副議長をやつており、曲直問題になりましてからは、いろいろな問題が起きたんでございますが、私の聞きました範囲では、荻原というのは、極めて單純な男でございまして、決していろいろな画策をして、こうだ、ああだということをしない男でございますが、宮城竹三郎只今家を建てましたところが、道路に取られるというので、それを宮城竹三郎氏にたき付けて、宮城竹三郎を踊らした何者かがいたと思います。そういうような関係で、曲直問題でいろいろ渡り合つたのでございますが、荻原富雄氏が今回引つ張られましたような事件は、私どもの方から考えますと、一つ謀略によつて檢察廳何者かが組んだんではないかということを私は考えるのでございます。起訴せられた起訴状には、何でございますね、贈賄問題があるんでございますが、この贈賄問題なんかというのは、一年も過ぎ去つた後のことを、選挙違反のような工合で取調べておるのでございます。こんなのはどうも私どもの今日の常識から考えて、問題にならないことなんです。それを以て收監して、四十日もぶち込んで、今度は脱税でほじくり出して、荻原君に言わしめれば、脱税というものは、税務署行つて、相談づくでやつたことなんだ。然るにも拘わらず檢事から税務署の官吏に対して告発せよというようなことを言つたということを言つておりますが、私は荻原氏が全く今度四十日もぶち込まれたということは、私ども常識から言えば、全く一つ謀略によるものだとしか私どもには考えられない。これなども檢察廳の手を、そこに感情的にいろいろな何者かの手によつて檢察廳が動いたんではないか、かように思います。
  46. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その何者かが宮城だと言うのですね。
  47. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 宮城君と言うわけではございませんが……そういうような連絡でもあつたんではないかと思われる節がございます。
  48. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城荻原とは何か対立しておる関係になつておるのですか。
  49. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) さようでございます。曲直問題で……。
  50. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 曲直問題で……だからそういうふうに想像される……。
  51. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) さようでございます。
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは曲直問題について、宮城はどういうふうなことをしたんですか。
  53. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 宮城氏のしたのは、宮城氏が殆んど自分が何でございますね、大將株になつて、いろいろな運動費などを宮城君が出して、大いにやつたということを聞いております。これは私は内部に入りませんですから、詳しいことを存じませんでございますが、まあ世間風評は、宮城竹三郎が総帥だ、それに以て行つて、いろいろな連中が加担をして行つた、こう聞いております。
  54. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城がその問題について百万円も使つたという話ですが、そうですか。
  55. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) そういう噂でございました。
  56. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会議員は何名くらい手に入れました……。
  57. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 市会議員が何名おりましたか……、やはり相当な数でございます。
  58. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 贈賄関係も起つたわけですね。
  59. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 贈賄関係ということは聞きませんが、当局に言わしめれば……。今日の金で百万円と申しても、五人も七人も大勢來ますれば相当金もかかりますでしようが、贈賄とまでは聞いておりません。
  60. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会議員に酒を贈つたとか……。
  61. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) そう聞いております。二本ずつとか三本ずつとか全部の市会議員に贈つた
  62. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全部に贈つたのですか、反対側にも贈つたのですか。
  63. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) それは曲直問題が賛否両論に分れておる場合に、反対派にも皆配つたのでございます。、味方だけではない。それを返したと、こういうのです。それは宮城竹三郎の長男の名儀で配つたそうです。それなども荻原氏を調べに行つたので、そういうのを檢察廳が調べなければならんにも拘らず、そういうのをほつたらかして、一向調べておらないというようなことも、やはり我々から見ますれば、甚だやることが不公平だ、こういうように私共考えるのでございます。
  64. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松尾啓三という者について何か御存じのことは……。
  65. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 松尾啓三氏もずつと前から存じておりますが、これは普通のテキ屋親分で、世間周知のことで、別にどうだこうだということは聞いておりません。ただ普通のテキ屋親分として、すべてのことを牛耳つて行つておるだけです。
  66. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 東北地方では余程大きな親分ですね。
  67. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) そうでございます。東北地方でもやはり親分でございましよう。あれは全國的の繋がりがあるものですから、仙台においてはテキ屋として、相変らず昔流儀に行つておるのでございましようから、まあ旅から來れば、あすこに顏を出すとか、草鞋をぬぐという工合に……。
  68. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらいの子分を持つておりますか。
  69. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 子分というものは、どのくらいあるか私分りませんがテキ屋は、仙台になんぼばかりのテキ屋がおるか分りませんが、悉く松尾支配下におるものと思いますから、相当の数がおるのでございましよう。
  70. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この人は、檢察廳と何か関係がありますか。
  71. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) これは檢察廳との関係は、別に聞いたことはございません。
  72. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少年保護司になつておるそうですね。
  73. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) なつておるそうでございます。
  74. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう関係でなつておるか御存じですか。
  75. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) それはちよつとも存じません。少年保護司になつておることもこの頃聞いたので、ああそうかなあと私思つたのでございます。
  76. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 沼田事件というものを御存じですか。
  77. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 沼田事件というものは、私よく存じません。噂には聞いておりました。
  78. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの知つてる程度、お話し願います。
  79. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) これを聞いたのは、荻原君から聞いたのか、誰から聞いたのか、何か土地の問題かで檢察廳に引つ張られたのを、宮城氏が貰い下げをして、それがためにうまく行つたとかいうようなことを聞いておりますが、詳しいことは存じません。これは荻原君などがよく存じておる筈です。
  80. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 貰い下げして事件にならなかつたのですね。
  81. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 事件にならなかつた
  82. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それも宮城関係しておるのですね。
  83. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 宮城君が運動したとか聞いております。
  84. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 丸谷事件というのは……。
  85. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 丸谷事件ですか。丸谷事件というのは、これも誰から聞いたのでございましたか、これは荻原君から私は聞いたのでしたか、何でも坂井という市会議員がおるのですが、それが大変骨折つたとかと、宮城君だつたか、骨を折つたとかといつてつたと、佐々木檢事でしたか、あれを調べた何檢事でしたかのところにそのお礼に行つたところが、そうしたら詰まらない家に住んでおつた。成る程檢事などは少しばかりの金をするというと、自分がおかしな所に住んでおるものだから大したものに思うのだと言つて、どこかで人のおるところで喋つたということを聞いておりますが……。
  86. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは事件は何なんです。
  87. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) これは繊維の横流し事件でございましよう。
  88. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで起訴になつたのですか。
  89. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 起訴しましたのでございますかな。起訴したのでございましよう。
  90. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると身柄の貰い下げをしないのですか。
  91. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) さようでございます。保釈を早くしたというわけでございましよう。
  92. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは宮城君が関係しておるというのですか。
  93. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) そういうように聞いておりました。
  94. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 塩釜の賭博事件というのはどうですか。
  95. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) これは私今度の問題になりましてから、話されるのを聞いたので、全然私は存じませんのでございます。
  96. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 噂も聞いたことはありませんか。
  97. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 噂は今おつしやるような工合に、これも一生懸命揉消して宮城君の手でやつたのだと、宮城君だけでございますか、誰でございますか。とにかく揉消した。あれなどは大きな賭博つたというようなことを聞いておりました。
  98. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは賭博事件起訴になつたのですか。
  99. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 賭博事件起訴にならないのではございませんかね。
  100. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 揉消しが成功したのでございますね。
  101. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 揉消しが成功したのでございますかね。
  102. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田辺義夫の酒の密造事件御存じですか。
  103. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 存じません。
  104. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お聞きになつたことはございませんか。
  105. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) はあ。聞いたこともございません。
  106. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仙台市の清水小路のカギ中旅館というのがありますね。そこの子供の窃盜事件のことを御存じですか。
  107. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 存じません。
  108. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お聞きになつたことはございませんか。
  109. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 聞いたこともございません。
  110. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 以上お聞きした他に、宮城竹三郎檢察廳関係することで御承知のことがあつたらお述べを願いたいと思いますが……。
  111. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 別に只今申上げた以上のことは存じません。
  112. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か仙台檢察廳についてのあなたのお聞きになつたことはありますか。
  113. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 三馬ゴムというのが大体大きな脱税をしたのですが、その脱税に関連しておるか関連しておらないか存じませんが、佐々木檢事菅原檢事南署の千葉という署長の三人が魚釣りと称して招待せられて、大分豪華版魚釣りをやつたというようなことを聞いております。それ以外にはあまり……。
  114. 齋武雄

    齋武雄君 最高檢察廳橋本檢事が調べておつて檢察廳は健全なりという発表をしたのですが、それについてどういうふうにお考えですか。
  115. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) あれは私はどうも不審に思つたのですが、橋本檢事はどの程度にお聽きになつたか知れませんが、恐らく現在仙台でいろいろな評判のあることは、これは相当知識級だけじやありません。大分廣く私はこの話は仙台市民に行き亘つておると思うのですが、然るに仙台檢察廳というものについてはそういう噂があつたけれども、それは噂であつてデマであつたというようなことを発表せられたことは、どういう意味でそういうことを発表せられたのか。いろいろなことをお聽きになつたならば、遺憾の点があるくらいのことは発表せられることが僕は至当じやないかと思うのですが、如何にもどうも仙台檢察廳は、同じ檢事さんだから、庇われるかも知れませんが、一般私共から考えれば、そういうことじや、せつかく最高檢最高檢としての権威を失堕せられるのじやないかというような感じを私は持ちました。
  116. 齋武雄

    齋武雄君 それについてあなたは不満ですね。
  117. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 勿論不満ですね、ああいう発表は。
  118. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市民輿論はどうですか。
  119. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 市民輿論も私と同感の人が相当おると思います。相当ないろいろのことが話題に上つておるにも拘わらず、話題に上るということだけでも、権威のある檢察廳としては、そういうことが噂に上るだけでも、私は遺憾だと思うのです。而もこの法務委員会まで多くの証人が張つ張り出されてお調べ願わなければならんというようなことに立ち至つたことから見ましても、デマであつて仙台檢察廳はそういうことはないなんというような言葉をお使いになることは、甚だ不当だと私は考えております。
  120. 齋武雄

    齋武雄君 いま一点。法務委員会がこういうことをすることについて、輿論はどういうふうに考えておりますか。
  121. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 非常に期待を持つております。
  122. 齋武雄

    齋武雄君 期待ということ……。
  123. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) 今までは、檢事檢察廳でやられたことなどは、皆泣き寢入りしなければならなかつたのですが、今度はこういう彈劾裁判が出て、法務委員会というものがありまして、そういう寃罪を蒙るとか或いは不当ないわゆる勾留とかというようなことに対しては訴えることができるので、これは本当に我々が浮ぶことができるというような感じを多くの人が持つておるようでございます。殊に私はこの感を深くいたします。  私は大正十五年に日刊新聞の宮城毎日新聞というものを発刊したのですが、以前私は憲政会時代に院外團として政治の末端に若くして触れておりましたのでございます。仙台に大正十年に参りまして、大正十四年に仙台市会議員に当選をしまして、そのうちにいろいろの、あまり長くなりますから簡單に申上げますが、ごだごだのために憲政会から私は除名処分を受けました。そこで社会民衆党の安部磯雄先生に共鳴しまして、そうして私は仙台に社会民衆党の支部を持つて行つて、そうして私は第一回の支部長でありまして、その時分に私は借家同盟とか小作争議などをやりましたときにも、或る借家人が非常にいじめられたので、移轉科を取つてつたのを、私はその当時彈圧を食つて一年二ヶ月の懲役をやられております。権力を檢察とか檢事局などが、自分の目的を達するためにはいかなる手段も選ばない、善人であろうが正義を無視するというようなことも平氣でやつているというのが、今日までの私は警察なり檢事なりあたりの行き方じやないかと思うのでございます。今回の私の問題につきましても、私は甚だ公憤を感ぜざるを得ない点が多々あるのですが、民主主義になつた今日相変らず手錠を嵌め、そして刑務所の中へ入つているとき、相変らずコンクリートの上に座らせたり、打ち打擲をしているのを私は目撃しております、宮城刑務所の中で……。こういうようなことが平氣で行わけている、こういう場合に民衆の本当の正しい者の味方のために、ここの参議院の法務会員会、或いは彈劾裁判というものができたということは、全く何と申しますか、青天の慈雨を得たような感じを持つております。
  124. 齋武雄

    齋武雄君 それじや法務委員会期待を持つているわけですね。
  125. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) はあ、大なる期待をかけております。これなくしては、現在のこういう制度がなけらねば、相変らず長い間の封建的なことに苦しむ國民がどれだけあるかも知れないと思います。
  126. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじや御苦労さまでした。
  127. 松浦正隆

    証人松浦正隆君) ありがとうございました。    〔証人荻原富雄君著席〕
  128. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 荻原富雄さんですか。
  129. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) さようでございます。
  130. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は。
  131. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 四十七歳です。
  132. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いは呼出を差上げたところですか。
  133. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 相違ありません。
  134. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御職業は。
  135. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 鉄工業です。
  136. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 公職は何かおありになりますか。
  137. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 現在市会議員です。
  138. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仙台市会議員ですか。
  139. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はあ。
  140. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城竹三郎というのは御存じですか。
  141. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 存じております。
  142. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃から御存じで、どういうような人柄ですか。
  143. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 存じているが、知己はないです。ただ宮城竹三郎という人物は知つておりますが、親しくお話などしたようなことはありません。
  144. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうような人柄の人ですか。
  145. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうですね……。
  146. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例えば町の顔役とか、何か博徒とか、テキ屋とか暴力團の團長とか……。
  147. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 勿論以前が町の相当の顔役であつた関係上、引続きそうした顔役であると思います。
  148. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城君が顔を出すと問題が治まるのですか。
  149. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) というようなこともあるように伺つておりました。
  150. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう根拠からそういう勢力があるのですか。
  151. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 大体元があの人は、仙台に有名な西方という親分がありまして、その西方親分の最も有数な、いわゆる兄い株であつたというようなことを聞いております。そんな関係で……。
  152. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西方というのは今でもいるのですか。
  153. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) いると思います。
  154. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 親分ですか。
  155. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はつきりは……もう御年配でしようから、今は殆んど顔役でないかも知れません。
  156. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると西方の跡目を相続しておるのですか。
  157. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) していないでしようけれども相当兄い株であつたと聞いております。
  158. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると西方の勢力というものを背景にしておるわけですか。
  159. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 多少そういう関連性があるかも知れません。
  160. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうやくざの付き合をしておりますか。現在は……。
  161. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 現在は立派な職業を持つておりますから、その点まではつきり存じません。
  162. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう子分や何かを利用することは見受けられるのですか。
  163. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 社会的の一般の問題について余り詳しく存じておりません。
  164. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金も持つておるわけですね。財産は……。
  165. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 大変この頃は懐中工合がよいように伺つております。
  166. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから今一つ檢事局を背景にしておるのではないのですか。
  167. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) ということも伺つております。非常に檢事さんの轉任などの場合にあすこを利用されるということで、そういうことも後援といいますか、相当懇ろであるというようなことを聞いております。
  168. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事局との関係はどの位の程度にあるということを御承知ですか。
  169. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 私も現場を見たことはありませんから……。
  170. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお聞き及びの範囲においては……。
  171. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) ただいろいろと私共事件にぶつつかつたので、それからいろいろ綜合的の話を世間のニュースなどを伺つておりますが、宮城がこういうことをしたとか、ああいうようなことをしたということは存じておりませんけれども、ただ檢事局相当出入りして、一日に二回乃至二日に一遍とか、よくちよちよ檢事局に出入りしております。
  172. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事局の方も、いわゆる檢事さんの連中が宮城の家に出入りすることもあるのではないのですか。
  173. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そういう話も伺つておりますけれども……。
  174. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か檢察廳はいろいろな宴会とか、食事をする場合には、いつも宮城の所に御厄介になるとか、轉任とか、赴任して來た場合に、その荷物世話まで宮城のところで世話するというようなこともあるのではないのですか。
  175. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はい。
  176. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 非常に懇ろである……。
  177. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 非常に懇ろであるということだけは……。
  178. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうふうに檢察廳というものの背景と光ですか、それからお金の光、それから西方という博徒の出の力と、こういうものが背景になつて、いわゆる顔がきくのではないのですか。
  179. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) だと思いますね。が今は一番力になるのは金の力です。
  180. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論金でしようが、金ばかりではいけないので、権力も必要だと思いますね……。いわゆる仙台の曲直問題というのはどういう問題ですか。
  181. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 曲直問題はこういうわけです。大体曲線、直線という二派になつたのです。曲線というのは原案で決定いたしまして、私共は原案を支持して決定いたしたのでありますが、不幸にして宮城君の方は曲線になりますと自分の原案であつたところが非常に取られてしまいます関係上、直線運動が起きたのです。盛んに新聞紙上で直接問題を挙げまして、そうして一松さんが來て原案支持で決定せられまして、その後においては別に換地の問題などが円満に行きましてその問題は付いたのです。
  182. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その過程において宮城君はいわゆる直線派ですね。その自己の主張を通すがためにいろいろな運動を起したのですね。
  183. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 運動を起されたことは事実であります。
  184. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのような運動を起されたのですか。
  185. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) こちらの衆議院の方へも再三上京せられまして、個人的にも、市会議員と共同して運動されたことも私は聽いておりますし、又仙台市の市会議員にですね、この曲直問題については、非常に應援をして頂くというような意味合か存じませんが、多数の議員に酒を配つてお願いに歩いたというようなことは聽きました。私のところでは幸いにそういうようなこともありませんでしたが、併し事実受取つた者は二、三の人に限られたということは私はつきり伺いました。
  186. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると中央に対する働きかけと……。
  187. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はい。
  188. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会に対する働きかけと……。
  189. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はい。
  190. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にまあ運動の具体的な……。
  191. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) その他の運動のつきましては、地元のいわゆる直線派の連中を糾合して全面的に総合的な運動を試みたということは、これは合理的にやられたと思いますが、個人的に行われたことは、私の知つている範囲ではそんなになかつたと思います。
  192. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会の方の分野はどういうふうになつていたのですか。
  193. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 市会の分野は、ちようど直線、曲線の分野、ちようど二分くらいになりましたね。等分されたような形になつておりました。
  194. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると僅かの数で以て、どちらとも決定せられるものでしたか。
  195. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) これは市会の問題でなかつたものですから、市会はこの問題が非常な重要な問題なので、この原案執行することを、直線に変更するということに多額の費用を投じなければならないというようなことが、大体の結果でありましたものですから、議員一般としても非常に最初は直線ということに賛成者もあつたようですが、いろいろ研究し考究した結果、そこに直線派の人が曲線派になつてやはりこれは原案執行が妥当であるというふうになりまして、結論として、これは一つの議会の問題でないから、もうすでに決定したのだから、建設院総裁の裁断を仰ぐより仕方がないという結論に到達いたしまして、復興院に現地を視察して貰い、いろいろ研究した結果、総裁に裁断を任して、その結果が原案執行ということに決定いたしたのであります。
  196. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 経過はそうでしようが、少なくとも仙台市長が直線派に賛成して多数を得た場合には、中央に対する影響は……。
  197. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 勿論あります。
  198. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうために市会の多数を受けて、宮城運動を開始したというのではないのですか。
  199. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは要するに市会の中に最も宮城と懇切なる議員もありましたので、議会の内部はそういう議員がですね、非常に……、いわゆる私は副議長をしておりましたけれども、その不信任案も出ましたので、非常に議会としても懸命にこの問題には働きかけたということは事実であります。
  200. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると宮城の企図は成功しなかつたのでありますね。
  201. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうでございます。
  202. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうような運動のために、酒食はどうであろうとも、要するに酒を配つたのですね。
  203. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はあ。
  204. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現実は受取られた人は僅かだつたのですね。
  205. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうでございます。
  206. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その問題はうやむやであつたらしいですね。
  207. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうです。そのまま実は議会の問題になりまして、酒も問題は究明しなければならない、誰が貰つてどういうふうになつたかということで、私、議会から委託されましてその審査に当りまして、檢察廳にこれを頼んで、その眞相の究明方をよくお願いしまして、それではつきりなつたわけでございます。併しそれは檢事局へその書類が送付されたということは、新聞紙上又は本人からも、警察署長からも伺いましてはつきりいたしたのであります。
  208. 伊藤修

    委員長伊藤修君) はつきりはしたけれども……。
  209. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) その問題が檢察廳の方でははつきりしないようでありますが……。
  210. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事件がはつきりしても、捜査が終つて起訴、不起訴ははつきりしなかつたわけですね。
  211. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 未だにはつきりしておりません。
  212. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会で握られているわけでございますね。
  213. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうでございます。
  214. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 失礼ですが、あなたも何か刑事事件を起されましたですね。
  215. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はあ。
  216. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それの概略をちよつとおつしやつて下さい。
  217. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 内容をでございますか。
  218. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ筋道だけでもよろしゆうございます。
  219. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 私は余りにも偶然に逮捕されましたので、何で逮捕されたかということの逮捕状もその当時見ませんで、そのまま連行されました。後になつてはつきり分つたのですが、実はその私を逮捕をしたという逮捕状に、記録に残りましたものを見ましたところが、いわゆる直線派の議員に菊田という議員がありまして、その菊田議員の証言によつて私を贈賄の嫌疑により逮捕するのだというような逮捕状でありましたので、私は意外に思つたのでありますが、私は取調べにおきまして、よくその黒白をはつきりと、贈賄をした、しないということは申上げたのでありますからそれは記録に残つておりますが、それからただその問題から、いろいろ実は逮捕されたときに、私は菅原檢事という檢事さんに終始取調を受けたのでありますが、そのときには第一線の檢察の取調におきましてひたすら市のいわゆる謀略を暴くために君を挙げたのだということですね。長期に亘つて君を調べるから、ここに入つたからには覚悟しろとこういうふうに言われましだが、結局その内容の何たるかは分らないで調べられたのでありますが、結局市政の問題については何もなかつたので、その結果ははつきりしたわけでありますが、最初の動機は私が殆ど惡政治家であるかのごとく非常に頭からきめつけられまして、いわゆる私みたない者はボスであるというようなことで非常に威かされました。
  220. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは、いつ頃のことですか。
  221. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは六月二十九日でございます。確か……。
  222. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年の……。
  223. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はあ。
  224. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年の六月二十九日ですね。
  225. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうです。
  226. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時曲線問題が起つたのですか。
  227. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは決定した後の……一松総裁が決定したのが、あれが六月の三日か四日と記憶しておりましたが、その後におきまして二十日ばかり経つて突然そういうことで……。
  228. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると檢事局の狙いはどこにあつたのですか。
  229. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 狙いは最初の調べ方の順序で見ますと、私が市会議員とし副議長として非常に内部の謀略があるというような狙いであるように私は思つたのです。ところがそれについて私は檢事と非常に戰いまして何でも事実まだ新議員であり、そういつた事件も何も存じませんから、何らそういうことも扱つてもおりませんし、心にも覚えありません。これは再三佐々木檢事、菅原さんがいないために佐々木さんが調べましたが、やはりこれも三日ばかり三回程調べを受けましたが、何事もない。これは問題なくそのまま取調べは聽取書も取らずに終つてしまつた。ところが私の逮捕の事件贈賄の問題、結局市会議員に私が一万円の贈與をして副議長になつたというような向うの疑いがあつたのですが、事実はそういうことでなかつたのですが、それもはつきり存じませんが、起訴されたものは、それは私が料亭……祝賀会と称されて、曲線派の、直線派の議員ですね。それは元は曲直以前は別に一派でもなんでもなかつたのですが、或る一つの振興会というクラブがありまして、その振興会のクラブの当選祝賀会に私招待されまして、その席で、丁度選挙日の当日であつたので、町内の挨拶廻りがあるので、拒否したが、ちよつと顔を出してくれというので伺いまして、約十五分ばかり、その席に同座いたしまして、すぐ帰つて参りました、ところが今日その金を、その当時四千七、八百円だと思うのですが、約五千円弱の金でありましたが、これが再三、二度私のところへ伺い、料亭から金を集金に來られた、それで私は当然招待されたのですから私は支拂うべき筋合のものではなかつたのですけれども、いろいろな考え方から結局私拂つてしまつた、結局それが贈賄したということで何されました。それからいま一つは金融処置法違反ですが、私封鎖を四十万円程切替えましたときに、進駐軍の仕事をしておりましたものですから、進軍駐の工事を施行するのにどうしても新円がなければいけないというので、実は一割という手数料を出して、四十万円程の金を実は切替えて貰つた、これが金融処置法違反で問われた、これは止むを得ないと思います。  それからいま一つ最後に、所得税法違反というので、私はこの問題は税務署と、更正決定を、二度行きまして、了解の上で決定通知を頂いたのでした。ところがその帳簿などよく調査した。ところが税務署へ呼ばれて、結局非常に利益が多かつたけれども、これは脱税をしたのだというようなことで所得税をやはり取られた。この三つの理由で起訴せられたのです。
  230. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事件はどうなつたか、進行中ですか。
  231. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 事件は先方の都合で善延べになつております。
  232. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 而してこの三点だけで起訴されたのですか、その拘留日数は……。
  233. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 拘留は私非常に長かつた、四十日だつた
  234. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その事件がいわゆる曲直問題に端を発して、そのしつぺい返しとして宮城の示唆に基いて起つて來たというような風評があるのですが、それはどうですか。
  235. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは当然私拘束をされたときに、すでにこれは曲直問題より端を発したのだろうということは私は考えられたのですが、尚四十日の拘留を食いまして帰つて來まして、いろいろな風評を伺い、そのいろいろなものを綜合的に考えて見ると、やはり宮城さんと檢事局の問題が、間柄が非常に懇ろであるというような関係で、或いは問われたのではないかというふうに考えられましたが、併しこの問題は自分の不徳のいたすところでありますから別に恨んではおりません。
  236. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが感ずるだけですか。何かそういうような証拠があるのですか。そういうように疑われるような根拠があるのですか。
  237. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは第一逮捕状にあります菊田議員の証言により逮捕するとあるのです。菊田議員は何故に私を、懇意の間柄でありながら、而も副議長として非常に應援しながら自分でこういう証言をして私を逮捕したかということを具さに考えれば菊田君と宮城君との間が非常にもう切れない間柄でありますから、或いはそういつたことではないかというふうに、まあ帰つて來てから考えられた。それまで実は、証言の記録を見てから私はつきりと分つた
  238. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると逮捕状の逮捕原因は菊田の供述に基いている、而も菊田というのは曲直問題の直線派である。而して宮城との関係が深い間柄である。そういう点からそういう疑いを抱く。こうおつしやるのですね、その他には何かありますか。
  239. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) その他におきましては、ただこういうことがあつたのです。これは重要な問題でありますが、一松さんが縣へ帰られた時に、私が当時議長が腹痛でその席へ出なかつた。各仙台市民関係者が、技術者とか、市会議員が全部出まして一松さんを囲んでの公聽会があつた。その席上議長が出席しなかつたもんですから、私が議長の代理を務め、全部経過を報告申上げた。ところが、その経過の際において、その晩だと思いますが、それが済んでから宮城君から私のところに電話があつた。私は丁度不在だつたので家内が電話に出た。ところが家内に、あなたのところの親父さんが今日一松さんの前ではつきり曲直問題について言われたので、愈々直線派は敗けた。これがために宮城は三百万円を棒に振つてしまつた。併しあなたの親父のお蔭だからよく覚えといて下さい。こういうことを家内に直接電話がかかりまして、家内は驚いて私に、こういう電話があつたということを言つたことがあります。
  240. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城君からかかつたのですか。
  241. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 宮城君から。
  242. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しその棒に振つたというのは結局運動費に三百万円……。
  243. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) いや、つまり家屋を撤去するとか……それはまあ分りません。
  244. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いろいろな引つくるめての損害ですか。
  245. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 損害を蒙むつた。こういう宮城君の……。
  246. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お礼をするというのですか。
  247. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) いや、ですからこの酒に醉つてつたのかも知れませんが、だからお恨み申上げるということで……。
  248. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お恨み申上げると、それだけですか。何かお礼するということはないんですか。
  249. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) お礼すするなどということはないです。お恨み申上げるということだけだつたと思います。
  250. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ、そういうふうな事実を綜合して、あなたの事件というものは、でつち上げられたとお考えになるわけですか。
  251. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 私は考えるのであります。問題は内容が、私の事件が内容だけにそういうふうに特に考えたのです。
  252. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 而して拘留期間を長く引つ張つておるというふうなことを、どこに焦点があるのか、そういうような調べ方をしておつたという点から考えられたわけですね。
  253. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうです。
  254. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松尾啓三というのは御存じですか。
  255. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 知つております。
  256. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう人ですか。御存じですか。人柄とか……。
  257. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 私同様の市会議員なんですが、全然何といいますか、思想の持ち方、考え方がおのずから別な見解に立つておる人です。
  258. 伊藤修

    委員長伊藤修君) テキ屋親分で、東北地方では有数な親分だそうですね。
  259. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうですね、現在……。
  260. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 子分相当あるのですか。
  261. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 相当あるのじやございませんですか。
  262. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じじやないですか。
  263. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 相当あるだろうと思いますがね。
  264. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会、縣会では御存じないですか。市会あたりで相当顔を利かすのじやないですか。
  265. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 結局勢力があるから……。
  266. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勢力があるということは、そういう親分衆のために勢力があるのじやないですか。
  267. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) まあそうですね。
  268. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 楯突けば殴られるというような……。
  269. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 立合いすればかなわないというような……。
  270. 伊藤修

    委員長伊藤修君) つまり反感を買うと自分の個人の生活、或いは商賣に影響するわけですね。
  271. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) ええ。
  272. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは市会では相当発言権を持つわけですか。
  273. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうですね。発言ということは、余り弁の立たない人ですから発言ということはないけれども、内部的な工作、操作、そういうことには力があると思います。
  274. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会では或る程度牛耳つておるのですか。
  275. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 併し縣会に重きを置いておるようですから、市会の方は余りぱつとはいたしません。
  276. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 縣会の方ではどうですか。
  277. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 縣会の方には力を注いでおると思いますがね。
  278. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自分の同志というか、グループというものを作つているのですか。
  279. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうです、市人も無論ですね。
  280. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会はどのくらい。
  281. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 市会も四十四名の中十七名ですか、清和会というものを設けまして、伊藤君なんか中心になつております。
  282. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 縣会の方は。
  283. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 縣会の方は私は人数や名前もあまり存じておりません。
  284. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今まで市会で暴力を振つたというようなことはありませんか。
  285. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そういうことはありません。
  286. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大声出して人を威圧するというようなことはありませんか。
  287. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そういうことはありませんが。
  288. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するに腕捲くりをして刺青を見せるというようなことはいたしませんか。
  289. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そういうことはいたしませんが。
  290. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し何となく威圧されていた……。
  291. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 何となく私どもは恐い。
  292. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 沼田事件というのは御存じですか。
  293. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) あれは別に沼田事件というわけではなかつたのですが、この前も私取調を受けたことがあつたのですが、農地委員か何かになつておりまして、実は警察で取上げられて書類を送檢されたという事実があつたのです。この問題がそのままになつて有耶無耶に葬られたということがどういうわけだろうというような、とにかくこの問題が出まして、私の問題がいろいろと取沙汰されておつたため、いわゆる沼田問題として取扱いを受けておつたため、どうしてあれが檢察廳で撤回されてしまつたのだろうというので、いろいろなことを取沙汰することは、結局沼田君が例の菊田議員が振興会の大將ですから、菊田議員を宮城君に頼んであの問題は取消して貰つたのではないかというような風評です。こういうようなことを人が耳うちをしたことがありました。
  294. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとこれは今の清和会ですか。
  295. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 清和会です。
  296. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 菊田君の方の一派ですね。
  297. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうです。菊田君、沼田君、みんな清和会です。
  298. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう関係上菊田君のために宮城君を頼んで、檢事局に働きかけて……。
  299. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは私よく分りません、事実は。
  300. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう噂があるのでありましようか。
  301. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 噂があつたのでありましようね。
  302. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 丸谷事件というのはどうですか。
  303. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) これは私あまり……。
  304. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですか。
  305. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 存じておりません。
  306. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 噂もお聞きになりませんか。
  307. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はあ。
  308. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなた御存じのことがあるのじやないですか、噂か何か。丸谷……。
  309. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それはですね、丸谷君が逮捕されまして、私事件の内容は何も知らないのですが、ただ釈放をされたということは私知らなかつた。ところがそれは学校で会つたところが、いわゆる宮城君の方の派の坂井という議員がおりますが、これは宮城君の弁護團の議員であります。その人と学校で会つたところが、丸谷さんが出たのを知つているかいと言われたので、それはよかつたね、何時出たのと聞いたら昨日か一昨日釈放されたよ、それは結構だね、いや実は骨を折つたよ、こういう話を坂井君から聞いたことがあります。
  310. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 骨を折つたということはどういうことですか。
  311. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 宮城君が骨を折つたという……。
  312. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城君がどういうふうに骨を折つたのでありますか。
  313. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) つまり出して貰うように盡力した意味なんでしよう。大した問題ではないのであります。別に丸谷さんの問題では私知つておるのはそんなところであります。
  314. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは金でも持つて行つて……。
  315. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) その内容まで私……。
  316. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 放つては置けないね、お礼に行かなくちやならんね。そういうことはお聞きにならなかつたのでありますか。
  317. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それはその後においていろいろ聞きました。何だか佐々木さんのところへ行つたとか、何だとかいうことは……。
  318. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何処へ。
  319. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 佐々木檢事のところへ……。
  320. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事のところへ……。
  321. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 行かれたとかいうようなことは聞きました。
  322. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰か行つたのでありますか。
  323. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 丸谷君が……。
  324. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一人では行かないのでありますね。
  325. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは知らないのであります。いろいろただ流れるようにいうのでありますから、辻褄が合いませんけれども、そんなことを言つておりました。
  326. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特別に宮城君の方でお礼に行つたということはお聞きになりませんですか。
  327. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうは聞きませんでした。
  328. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると宮城という者は余程弁護士以上に檢事局に対しては力があるのでありますね。弁護士に頼むより早いのでありますね。
  329. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 仙台市民として全面的に考えればそういう勢力が非常にあるというふうには考えておられる人も多いかも知れません。
  330. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると市民の間に宮城君に頼むと大体檢事局の問題では目的を達する……。
  331. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 宮城君を知つておる一部の人は宮城君が力があるということは分つておるのであります。
  332. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私設檢事とか、私設弁護士のようなもの、そういうものですか。
  333. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) まあ、そういうようなものじやないのでありますか。大体私は反対の方ですから。
  334. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 叩き込まれた方ですからね。
  335. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はつきり申上げられますけれども……。
  336. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう存在は恐ろしいと思わないのでありますか。あなた自分で体驗されたのでありますから。
  337. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 私は飛んでもない目に会つた。恐ろしいと思いますから、こういえ時代ですから、特にこれが征伐されなければならん又これが、全國的にこういうものが整理されておるという、逆にこういうことがはびこつておるということは実に嘆かわしいと思います。
  338. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 塩釜の賄博事件というのは御存じですか。
  339. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは古い昨年か、一昨年じやないですかね。
  340. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなことですか。
  341. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そんな話ちよつと伺つたことはあります。それは何か大きな賄博があつたところが塩釜署に手を入れられるというときに、南出さんという弁護士宮城さんところにおるとか、宮城さんが入つてこいつを何事もなくしたというようなことをちよつと一昨年あたりですかね、私ちよつと聞いたことがあります。
  342. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士の入るのは当然のことですが、それについて何かお聞きになりませんでしたか。
  343. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 詳しいこと存じておりません。
  344. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこで何か饗應を受けたとか何とかいうことは……。
  345. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 存じておりません。
  346. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 余り御存じないのでありますね。
  347. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 話しておりませんのであります。
  348. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは市会で以てこういうパンフレットを、これは謄写版刷りのものをお配りになつたことはありますか。
  349. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それはこういうわけなんです。それで非常にいじめられたことがあります。
  350. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これです。ちよつと御覽下さい。
  351. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) これは私のところへ來たのじやないのであります。私の方に議員の手許に十二三枚でしたか一緒に入れまして事務局へ送つて來た。その封筒を私持つておりますが、それでその事務局へ來たものですから、私は中を……副議長をしておりますので、事務局を管理する責任がありますので、見たところが、皆名前が書いてある。名前の書いてあるところへ、何の氣なしに、事務局長に向つて、來たらばこれを皆んなに渡して呉れということを申したのであります。私のところへ來たのではないのであります。ところが外の議員の名で來たのであります。私は副議長として管理しておるから事務局長に頼んで渡さしたのであります。
  352. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは出所は分らないのでありますか。
  353. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 私あのとき大切にとつて置いたのですが……こういうのです。(証人封筒を委員長に渡す)
  354. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは佐々木何というのですか……、佐々木佐十郎というのですか。
  355. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうですね。併しそのパンフレットは、もうすでにそれは、私あとで聞いたらば三回目くらいだそうです。それで私非常にきめつけられました。名誉毀損とか何とかで告発すると言われたのです。
  356. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論これは……。
  357. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 何事もなかつたのです。
  358. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは大町一丁目佐々木佐十郎とありますけれども、僞名ですね。確かめたことはありませんか。
  359. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうでしようね。私はそれには余り氣にしませんものですから。
  360. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ここに書いてある内容のことはどうですか。大体肯定できるのですか。
  361. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうですね。私はよく分りませんですが、内容につきましては……。
  362. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こういうような風評はあるのですか。
  363. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 傳わつたのですね。けれどもそれは、その問題についての内容については、事実どうですか、私も信じませんですね。別に問題にはしておりません。
  364. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こういうようなことは巷間には傳えられておるのですか。
  365. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) その関係しておる間の一部の人には傳えられておりましたですけれども……。
  366. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 荻原咲子さんというのは奥さんですね。
  367. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) そうです。
  368. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 奥さんから、御存じないかも分らんが、柴原輝子さんに電話をお掛けになつたことがあるのですね、何かこの件について……。
  369. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 柴原輝子さんというのは宗教の関係で家内の友達なんです。
  370. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か電話をお掛けになつた……。
  371. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 電話の内容は何ですか……、最近はそう出入しておりませんですけれども……。
  372. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事局のことについていろいろお掛けになつたらしいですが……。
  373. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) ああそうですか、私には報告しておりませんが……。
  374. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは御存じない……。
  375. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) はあ。
  376. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたを逮捕した檢事ですね、係檢事の、菅原さんですか、それが酒に醉つぱらつてあなたの拘置されておるところへ來て、いろいろ啖呵を切つたということはありますか。
  377. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それはですね。私丁度九時半頃でして、外出しておりまして、私自分で自動車を運轉するものですから、ダツトサンで帰つて來たのです。檢察廳の自動車に乘つて來て、玄関に入らないで、そのまま直ぐというわけで、その入るときに、私のところに家宅捜索に來たことがあるので、それで菅原檢事をよく知つておりますが、煙草を吹かして、胸を反らして、帽子をあみだにかぶつておりました。それから一緒に行つたのです。とにかく十時半頃警察の一階の司法室に入つて調べられたんですが、そのとき非常に語氣が鋭かつた。そのときの取調べ方が、こういうわけでした。萩原大人、君をここに連れて來るのには、菅原は一週間畫夜兼行、夜も寝ないでこの証拠書類の作成に努力した。今日君がここに入つたからには観念せよ。君の証言によつて岡崎市長初め高位高官を数珠繋ぎにするぞ。こういうことを言つた。私、意外に思つたのです。私、伺つたのです。かかる証拠書類とはどういうのですか。こんなにあると、こう言うのです。それこそ不祥の、邪念の籠つた書類でしよう。私は公人として行動は何等惡いことはしないのだ。眞面目一方で通つて來たのだ。それを邪道と言うのなら早く調べて呉れと言つて、逆らつて暫く闘かつたのです。胸を反らして煙草を吹かしながらですが、どうも酒氣を帶びておるように思いました。それから帰つて來て、家内に、あのとき檢事さん醉つぱらつてつたのじやないかと聞いたら、家内も、いや確かに門のところによつ掛かつてつたから醉つてつたんでしようね。それは家内と私だけの問題で、知る人はない。連行した事務官は知つてるかも知れんが。語氣が鋭いから私はそう直感的に解釈しました。あとで菅原檢事は非常にお酒が好きだということを聞いたから、多分飲んだんじやないかということを直感しました。
  378. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが出てからでも訪ねて來たことがありますか。
  379. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それはありません。
  380. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外に……。
  381. 齋武雄

    齋武雄君 菅原檢事は酒を飲んであなたを訪ねたということがありますが、その酒を飲んだのは宮城のところに行つて飲んで來たのですか。
  382. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) 分りません。
  383. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それはありません。
  384. 齋武雄

    齋武雄君 常に宮城のところに行つて酒を飲んだということは聞きませんか。
  385. 荻原富雄

    証人荻原富雄君) それは菅原は赴任が浅いから、そういうことがあつたけれども、そんなに回数を重ねてはいないだろうということは聞いておりました。ただ出入りしておつたというだけの風評はありました。
  386. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでし、どうも遠路御苦労樣でした。それではこれで暫時休憩しまして、一時半から始めます。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後一時三十八分開会
  387. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは午前中に引続き開会いたします。    〔証人浦山きえ君著席〕
  388. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは浦山きえさんですね。
  389. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そうです。
  390. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は……。
  391. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 三十です。
  392. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いは呼出し状を差上げたところですか。
  393. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そうです。
  394. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自分でやかたを持つておるのではないですか。
  395. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい。
  396. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何というやかたですか。
  397. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 分竹ふじといいます。
  398. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの藝名は……。
  399. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 泰枝と申します。
  400. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの稼業のお客さんの先ですね。主にどういう方面に紹聽されますか。
  401. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 主にと言つてもいろいろなんで……。
  402. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例えば実業界の方面に多く呼ばれるとか、官廳方面に多く呼ばれるとか、そういうあれはありませんか。
  403. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そういうことは別に……。
  404. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 裁判所方面に呼ばれませんか。
  405. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そんなにありませんね。
  406. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 呼ばれたことがあるのですか。
  407. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 氣が付かないで行つておるものですから……。
  408. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢察廳方面はどうですか。
  409. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 行つたことはないですね。
  410. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 呼ばれたことはあるですか、記憶はないですか。
  411. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 記憶はないことはないんでしようが、何だか分りません。何だか……。
  412. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事さんやなんかに呼ばれたことはないんですか。
  413. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 檢事さんに呼ばれたことはないと思いますが。
  414. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 或いは外のお座敷で檢事さんが同席されておるようなことはないですか、裁判所の人が同席しておるようなことはないですか。
  415. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 檢事さんの方は分つはおる方はないだろうと思います。
  416. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは昨年の八月か九月頃、山口屋という酒店がありますね、そこで宴会が催されたことがあるんでしよう。
  417. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はいございます。
  418. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへあなたは呼ばれて行かれましたね。
  419. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい、呼ばれました。
  420. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこから電話が掛けられましたか。
  421. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) お清という仕出屋さんからです。
  422. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこは仕出屋ですか、料理屋ですか。
  423. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 仕出屋さんです。
  424. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこの宴席を主催した人はどなたでしたか。
  425. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 主催した方つて、あすこの家の旦那さんじやないかと思いますね。
  426. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 旦那さんというのは……。
  427. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 山口屋さんです。
  428. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人が主催したんですか。
  429. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) ……。
  430. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日の御主人公は誰だということは、あなたたち商賣柄分るでしよう。
  431. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そうじやないでしようか、山口屋さんじやないでしようか。よく分らないですけれども
  432. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ呼ばれた人は、あなたたちの仲間では……。
  433. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 小鶴さんという方です。
  434. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから。
  435. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 二人きりです。
  436. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二人きり……、そうすると藝者衆は二人きり。
  437. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい。
  438. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで、どんなような人がおいでになつたんですか。
  439. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 知つている方というのはいなかつたような氣がしますけれども、忘れていて、どういう方で何だつたか。
  440. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ここでは知つていることを言わなくても僞証罪になりますからね。知つていることは皆おつしやつて頂かんと……。
  441. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) よく思い出さないと分らないんですがね。知つておる方つて……。
  442. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは問題になつたんだから、あなただつてここへおいでになるまでに、このことを聞かれることは分つておるんだから。
  443. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 相済みません。
  444. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外のことであなたは関係ないんですからね。
  445. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) あすこにいらした方は……、古いことなんで何だか。
  446. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 余り古いことではないです。山西造船所の主人の西條芳次郎という人が來ておつたんじやないですか。
  447. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい、いらつしやいました。
  448. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人が主催者じやないですか。
  449. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) どちらなんでしよう。
  450. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴席を見ておると、どの人が御主人公だということは分つておるんでしよう。御挨拶があるだろうし。
  451. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 御挨拶なんて聞いていませんでしたから。
  452. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 酒席を取もてば御主人公は分るでしよう。
  453. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい。
  454. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あの人が御主人公だということは、商賣柄すぐぴんと來るわけでしよう。
  455. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 西條さんもいらつしやつたようですね、そこへ……。
  456. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ仙台檢事正も來ておつたんでしよう。
  457. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい、一人來ていらつしやいました。
  458. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 菅原という檢事
  459. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい、知つております。
  460. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知つておるんじやないですか。
  461. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そう言われませば……。
  462. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから檢事局の事務官が來ておりましよう。
  463. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 事務官の方は分りません。
  464. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にどういう方が來ておりますか。
  465. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 菅原さんは私一遍お目にかかつてつております。
  466. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 菅原さんと清水檢事正。
  467. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) それは分りません。菅原さんは知つております。
  468. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 清水檢事正は知つておりませんか。
  469. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そう言われても、どなたか私は知りません。
  470. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にお客さんは何人あつた
  471. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 八九人位でないでしようか。十人までいらしつたか……。
  472. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三島という弁護士も居りましたか。
  473. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 居りました。
  474. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの知つておるのは、誰と誰が知つておりますか。
  475. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 西條さん……知つていると言つても、よく知らない方もあるので、西條さんもよく知らない……。
  476. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知つているというのも懇意という意味ではありません。知つている方は。
  477. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 知つている方は山口屋さん、西條さん、三島さんと菅原さんぐらいでしたね。
  478. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 山口屋もそこに同席して居ましたか。
  479. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) ええ、居らつしやいましたね。私覚えているのは……初めから居らしつたかどうか覚えておりませんが……。
  480. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこに見えたのですね。
  481. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はあ。
  482. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 八九人。
  483. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 八九人か七八人、はつきり覚えておりませんが、それぐらいではないでしようか。
  484. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何時から何時頃まで。
  485. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 夕方からかけて、五時頃から二時間ぐらいだと思いますけれども……。
  486. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当豪華な料理だつたそうですね。
  487. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 料理ですか。何だか記憶ないけれども、やつぱりテーブル……なにになつていましたから、二三品ぐらいは出ていましたね。何だかよく分らない……。
  488. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 酒は余計いつたのですか。
  489. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) お銚子は出ました。
  490. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた歌でも唄つて、三味線でも彈いたのですか。
  491. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) いいえ。
  492. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことはなかつた
  493. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はい。
  494. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこでどういう話がありましたですか。
  495. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) どういう話つて
  496. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お客さん同志でどういう話があつた
  497. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) さあ、そこまで分らないですね。
  498. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴会は誰がやつているということは御存じないですか。
  499. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) やつぱり山口屋さんが御主人かなあと思つたぐらいでね。
  500. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御主人とは。
  501. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 御宴会の。
  502. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 山口屋が御主人かと。
  503. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) ええ、かと思つたのです。私は。
  504. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 費用は誰が拂つた御存じないですか。
  505. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 分らない……。
  506. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祝儀は。
  507. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) お清さんから届いた來ました。
  508. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お清さんから……後でも先でも、今日はどなたの御宴会ですということは、あなたは聞くでしよう。商賣柄。
  509. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) どうも……。
  510. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた方座敷がかかつた場合に、どちらさんの御宴会ですと聞くのでないですか。
  511. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そんなこと一々聞きませんから、頼まれればどうも有難うございますと言つて、まあ……。
  512. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御連中はどなたかと聞くのが普通ではありませんか。
  513. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) いえ、聞きません。
  514. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御贔屓になる先を、これから又御贔屓にならなければならんのだから、聞いて置くのが当り前ではありませんか。
  515. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) でも外はどうでしようけれども、私は何だか知らん、どうも有難いと思つて……。
  516. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御祝儀はどれ位ありましたか。
  517. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) そう、大体忘れてしまいましたが、二時間だつたから、あの頃のまあ御祝儀、五百円も戴いたでしようか。
  518. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは線香代でしよう。
  519. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 線香代も何も一緒じやないでしようか。
  520. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に御祝儀は出ませんか。
  521. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 出ません。
  522. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御祝儀を括めて五百円ですか。
  523. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) だと思いました。
  524. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では一時間幾らです。
  525. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 一時間いまお客さんによつて……御祝儀や何かして何ですけれども、いろいろなところから推して百円ぐらいの程度からいろいろにね。変つていましたから……。
  526. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 見番で決まつているのではありませんか。夏頃は。
  527. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 去年の夏百五十円ぐらい程度でしたね。まあ……。
  528. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは宮城竹三郎という人を知つていますか。
  529. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) いいえ、知りません。
  530. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知らない……。
  531. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はあ。
  532. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今食堂に一緒に見えた中に見えるんだが……。
  533. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 分りません。
  534. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一緒にあなた席におつた人が中におるんですが……。
  535. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 一向分らないんです。
  536. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知らないですか。
  537. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) はあ。
  538. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから名前を聞いているでしよう。
  539. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) ええ、名前は聞いてますけれども
  540. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当あなたは、料理屋もやつておるし、宿屋もやつておるし……。
  541. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) 行つたことはありません。
  542. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御贔屓になつていないですか。同じ仙台の人で知つているでしよう。
  543. 浦山きえ

    証人(浦山きえ君) やつぱり会わない方は会わないですね。    〔証人中澤しげ君著席〕
  544. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 中澤しげさんですね。
  545. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) はい。
  546. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお年は。
  547. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 四十一歳です。
  548. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いは呼出しの行つた所ですね。
  549. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) そうです。
  550. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは置屋をやつていらつしやるんですか。
  551. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) やつております。
  552. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何という家ですか。
  553. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 鶴吉本です。
  554. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自分でやつているのですか。
  555. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) はい。
  556. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの藝名は。
  557. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 小鶴と申します。
  558. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのよく呼ばれるお客さんの先はどういう方面でよく呼ばれますか。
  559. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) さあよく分りませんです。お得意といつていいお出先がないものですから。
  560. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 裁判所や檢察廳へは呼ばれませんですか。
  561. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 呼ばれませんです。
  562. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外のお客さんで、そうした人が同席していることはありませんか。
  563. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) さあ、はつきり分りませんです。
  564. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 覚えないですか……昨年の八月か九月ですね、明けて昨年なんですが、二十三年の八月か九月に、山口屋という酒店ですね、そこに呼ばれたことはありますか。
  565. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 参りました。
  566. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうお客さんでしたか。
  567. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) お客樣は分りませんです、私。
  568. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこから掛つたんですか。
  569. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 「おきよ」という仕出し屋から頼ませて参りました。
  570. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこに出ておつたお客さんは知らないですか。
  571. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 山口屋さんは存じておりますけれども、後の方は顏と名前と私はつきりいたしませんです。
  572. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西條という人が見えているんではないですか。
  573. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) その方も私名前と顏がよく分らないものですから。
  574. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 山西造船所というのをやつている人ですがね、御存じないですか。
  575. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) よく分りませんです。
  576. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 清水という檢事正が行つてつたんではないか。
  577. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 分りませんです。
  578. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 菅原という檢事は。
  579. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 分りません。
  580. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外に知らないですか。
  581. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) はあ、お名前は私知りませんので、全然分りませんです。
  582. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お客さんがいろいろ話しておるんだからな、これはどういう商賣の人だということは、あなたたち商賣柄実業家か官吏かということは、直ぐ目につけるはずだがな。無関心でおるということはないじやないですか。
  583. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 無関心でおるから分りませんです。
  584. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いい年増しておつてそんなこと分らないはずはないじやないですか。駈け出しの藝者じやないじやないですか。このお客さんはどういうお客そんか、どういう方面の人か、あなたたちは分らないというはずはないじやないですか。
  585. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) とにかく初めてお会いした人ですから……。
  586. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 初めて会つたなら尚更関心を持つて、どういうお客さんかぐらいのことは、あなたたちは直ぐ目先利かすものでしよう。
  587. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 分りませんです。いくらいわれても分りません。
  588. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた知つておることをここで隠されますと、制裁がありますからね。それじやどういうお客さんだということを、あなた聞きませんでしたか。
  589. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 聞きませんです。
  590. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた終いまでおつたんでしよう。
  591. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 私途中で帰りました。
  592. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらいおつて……。
  593. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 二時間ぐらいで帰りました。
  594. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二時間で途中だつたんですか。二時間おつて、その宴会は途中だつたのですか。
  595. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) お客さんも半分ぐらいお帰りになりましたから、帰りました。
  596. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まだその後ずつと続いたわけですね。
  597. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) さあどうですか、分りませんです。
  598. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当豪華な宴会だつたそうですね。あなた宴席には始終お出になるんだから……、どうですね。
  599. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) そうとは思いませんですけれども……。
  600. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 普通ですか。
  601. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) まあ普通です。
  602. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藝者衆はあなただけですか、二人。
  603. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) そうです。
  604. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴会に三島という弁護士行つておりませんですか。
  605. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) いらしつていました。
  606. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの知つている人は三島さんだけか。
  607. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 三島先生は知つております。
  608. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外は……。
  609. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) あとは全然知りません。
  610. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三島さんにどういうお客さんですかと聞きませんでしたか。
  611. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 聞きませんです、私。
  612. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴会でどんなような話があつたですか。
  613. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 私無我夢中ですから、そこはどういうお話ですか全然分りませんです。
  614. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたたちは何か歌でも唄つたんですか、歌でも唄うか三味線でも彈くか……。
  615. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) いえ彈きません。
  616. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、酒席におつて、お酒の斡施してお話聞いておるだけですか。
  617. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 何かよく分らないですけれども……、そういうふうにいわれると……。
  618. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自分のやつたこと分らないということはないでしよう。あなた自分でやつたことですが……、何やつていたんだね。そこにお見えになつたんでしよう。
  619. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 参りました。
  620. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その席におつたんでしよう。
  621. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) おりました。
  622. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうような話し合いだつたかということ。
  623. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 分りませんです。
  624. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはその支拂はどこから受けたんですか。
  625. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 「おきよ」さんから貰いました。
  626. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いくら貰つたんですか。
  627. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 五百円貰いました。
  628. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城という人は御存じですか。
  629. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 深くは存じませんです、人は知つております。
  630. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城さんに呼ばれたことありますか。
  631. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 後から個人として呼ばれたことはありません。
  632. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城さんの同席する会に呼ばれたことありますか。
  633. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 宴会にたまにお見えになつておるくらいのものですね。
  634. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その時はどういうような種類のお客さんですか。
  635. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 数の中ですから分りません。
  636. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 裁判所の人は一緒じやないですか。
  637. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 分りません。
  638. 伊藤修

    委員長伊藤修君) くどいようですけれども、三島さん以外には、あなた知りませんですね。
  639. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 知りませんです。
  640. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外の人から知つておるということを聞かれますと、あなたが知つておるということになりますと、あなたは偽証になりますよ。
  641. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 分りませんです。
  642. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外の人知りませんか。
  643. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 知りませんです。
  644. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたは名指しで呼んだのですか。お清さんが。
  645. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) お清さんからですか、かかつて参りました。
  646. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お客さんの名指しかね。
  647. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) いいえ、そうじやありません。
  648. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その仕出屋の名指しですか。
  649. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) そうだと思うのですけれども、私が帰つて來たときは、うちで受けてありましたから参りました。
  650. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この山口屋というのは表は酒店をやつてつたのだね。裏では料理屋みたいのことをやつているらしいですね。
  651. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 私初めて参りました。そちらのうちへそのとき初めて参りましたから分りません。
  652. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いわゆる表と裏とは商賣が違うらしいのですが初めてですか。
  653. 中澤しげ

    証人(中澤しげ君) 私初めて参りました。
  654. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじや、どうも御苦労さんでした。    〔証人西條芳次郎君著席〕
  655. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西條芳次郎さんですか。
  656. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はい。
  657. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は。
  658. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 五十一歳です。
  659. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御商賣は。
  660. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 海運業をやつております。
  661. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 造船所をお経営ですか。
  662. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 造船所は経営しておつたのですが、その会社は罷めまして、造船所とは直接関係ありませんです。
  663. 伊藤修

    委員長伊藤修君) おところは呼出状を差上げたところですね。
  664. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はい、そうです。
  665. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと三島弁護士とはどういう御関係ですか。
  666. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 古く大分前からの友人として付き合つております。
  667. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは何か事件が起つたことがあるそうですね。
  668. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 事件と言いますと。
  669. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か刑事事件が起つたこと。
  670. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、ありませんです。
  671. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か労働爭議かなんか起つたですか。
  672. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 会社で労働爭議というのはありませんけれども、会社の労働組合が賃金の値上げと、それから労働契約を作つて來ましたから、それを締結さして呉れという要求があつたのです。
  673. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの主催ですか、或いはあなたが招ばれたのですか、昨年の八九月頃仙台檢察廳の職員を接待されたことがありますね。
  674. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はあ、あります。
  675. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは山口屋という酒店でお呼びになつたのですか。
  676. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) そうです。
  677. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはいつ頃のことです。
  678. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 去年の八月の末頃だと記憶しております。
  679. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう目的で呼ばれたのですか。
  680. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) それは私は昭和十八年頃から青海寮という保護少年の委託團体を経営しておりました。それが御承知の通り少年法が改正になりましたので、相当大きい約二千余坪に相当大きい建物の施設を持つておりましたが、それで法務廳から命ぜられまして、ちよつと日にちは記憶ありませんが、夏の初めだと思います。今度少年法が変つて民間のこういう團体は以後廃止になるのだ、そうして全部國が直接にこういうものを一つやることになつたので、その施設を國に利用さして呉れんかという法務廳から依頼状がありまして、その点に関しまして私は、実際を申上げますと私は子供がなかつたですから、可愛い犯罪少年を何とかしてよくしてやりたいといういろいろな希望を持つてつたものですから、相当私財を投じてやつて來たわけです。それを急にそういうように止めて、國に利用さして呉れんかというお話もあつたので、それまで相当実際問題として成績よくやつて來たわけですから、それには職員の並々ならん苦労もありましたし、或いは檢察廳その他からいろいろな指導なり、助言なりを受けたものですから、私の立場としては急に即答できません。併しいろいろ関係者の方に御相談申上げ、國に移管するとも、利用されるとも御返答申上げますというので、法務廳から來た係官二三人おいで願つて、早速返事して呉れという話もありましたので、青海寮の経営に関しては、直接監督であります檢事正、その外にしよつ中御指導を受けた方もありますから、早速そのことをこうこうこうなんだから、一遍先生の御意見を承りたいが、一つお会い申したい。それにはできるならば最高檢察廳の方も、地方檢察廳の方も、一緒においで願つていろいろお話を承りたいということを申上げておつたのです。その儘になつてつたのですが、その返事を急いて來たものですから、督促して來たものですから、法務廳の方から。それで督促を受けましたから、八月の末頃と思いますが、その話もありましたので、私も予ねて古くから知り合つている山口屋さんの家を借りまして、そこで皆さんお寄りになつて、その問題のことにつきましていろいろ御意見を伺つたわけです。そのときの話によりますと、福島の少年院も立退かなければならんことになつておりますし、仙台の少年院の建設も亞炭鉱区の関係で、ちよつと目安がつかず、是非國が利用せられるようにして呉れんかというような話も承つたものですから、私としてもそれを決心して、國にお渡しするということに決意いたしまして、直ちに法務廳の方にお話申上げる。成るたけ急いで仙台に立派な少年院を造つて欲しい。その間無償で建物、敷地、これをお渡しましよう。成るたけ早く仙台に立派なものを造つて頂きたい。その間無償でお貸しいたしましようということをお話申上げ、そういうような集まりでお会いしております。
  681. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときにお招びした人で出席した人はどういう人ですか。
  682. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 詳しく一人々々よく存じませんが、最高檢察廳檢事長殿、山田首席殿、それから清水檢事正、それから菅原檢事、高橋檢事、柴田檢事は記憶しておりますが、後は分りません。
  683. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから三島さん。
  684. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) そうです三島さん。
  685. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 山口屋さんは……。
  686. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 山口屋さんはずつと遅れて後から参つております。
  687. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、お話は、そういうお話があつたわけですか。
  688. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) ええ、そうです。
  689. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 費用はどのくらいかかつたのですか。
  690. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 費用は幾らぐらいかかりましたか、ちよつと今記憶しておりませんが……。
  691. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か土産物でも差上げたのですか。
  692. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、何もありませんでした。
  693. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは一回きりですか。
  694. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) その前に、二十一年頃でしたか、終戰後お会いしたことがあります。お呼びしたことがあります。
  695. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、豪華な宴会をやつたとか……。
  696. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや大したことでなく……。
  697. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 料理はお清というところから取つたのですか。
  698. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) そうです。
  699. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藝者なんかは……。
  700. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 二三人見えて、そのときは記憶なかつたのですけれども、その後二三人上つただけでということです。
  701. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方から名指したのですか。
  702. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、そうじやありませんです。
  703. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お清の方に委してあつたのですか、
  704. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 全部委してありました。
  705. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが呼ばれた檢事の中で、その呼んだ藝妓の、宴席へ呼んだ藝妓の家へ家宅搜索したことがあるか御存じないですか。
  706. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) さあ分りませんです。
  707. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですか。
  708. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はあ。
  709. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特段にそういう関係の人を呼んだわけでもないですね。
  710. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) それは檢事殿にお話申上げ、その適当な日に成るたけ高等檢察廳の方、幹部の方へおいで願つて、日にちも向うで決めたわけです。人数も向うの方で決めたわけです。できるだけ余計に出て頂いて、いろおいろお話をざつくばらんにして頂きたいと……。
  711. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、事件関係の、若しくは事件関係になりそうな藝者の人を呼んだわけじやないですか。
  712. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いいえ、何にもしたのでありません。
  713. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが名指し、したわけでありませんね。
  714. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はあ、そうです。
  715. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなたの方で、この漁業に関して闇事件がありまして……。
  716. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 私としてですか。
  717. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、あなたの方の……。
  718. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 地方ですね。
  719. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  720. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 地方では宮城縣各地に亘つてそういうことがあります。
  721. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうものの了解運動でなかつたのですか。
  722. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、そういうことは全然私も関係しておりません。
  723. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはそういう漁業問題に関係がありませんか。
  724. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや関係ありません。
  725. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、目的は先程お話になつた以外に全然なかつたのですか。
  726. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はあ、そうです。
  727. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三島さんはどういう関係弁護士に入られたのですか。
  728. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 三島さんはしよつちゆう懇意であります。ただ單にそういうことだけであります。山口屋さんが店を新築される前に三島さんと山口屋さんは同じところに行つております。私共もしよつちゆう行つておりますから、そういうような單に……。
  729. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると山口屋も存じておるしあなたも御存じであるのですね。
  730. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はあ、そうです。
  731. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢察廳とあなたの関係との中ヘ入つておるということはないのですか。
  732. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いいえ、そういうことは全然ないように思います。
  733. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今のあなたのお話の、無関係の人ですね、どうしてそれは入つておるわけですか。宴会の目的から無関係の人ですね。
  734. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 三島先生ですか。
  735. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  736. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 三島先生は私共といろいろな点で打合しておりますから、しよつちゆう私共行つております。
  737. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法律顧問としてですか。
  738. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 法律顧問として、友人として行つておりますから、その場限りでなく、その外の場合も同席しておりますから、特定に言うことはないわけであります。
  739. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 山口屋のその宴会の目的は表面上の目的ですよ。新築はどうか存じませんが、表面上の目的は山口屋酒店の新築祝のために招待を受けたのじやないですか。
  740. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) その前、そうですね。その前の年ですか、暮に招待を受けたことがあります。そうです。その前の年の年末ですね。新築の場合に招待を受けたことがあります。
  741. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのとき、裁判所の人は行つてつたのでありますか。
  742. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 見えております。
  743. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔振れは……。
  744. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) さあその当時の顔振れはよく存じておりません。
  745. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事正は來ておりましたね。
  746. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 檢事正も見えておられたようですね。
  747. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると結局二回ですか。
  748. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 私が申上げたのはその前の年すね。戰爭の終つたとき一回あります。
  749. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると三回ですね。
  750. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 三回です。
  751. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの御記憶では……。
  752. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はあそうです。
  753. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 山口屋というのはあなたの御懇意だけれども、実は酒店ですね。奥だけでそういう宴会のために始終催しておるわけですね。
  754. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、そんなことはないです。私はよく分りませんけれども、私共そういうことはないて思いますがね。
  755. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 殊にそれは裁判所に限つて檢察廳に限つて宴会を催されるということじやないですか。
  756. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、そんなことはありません。
  757. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢察廳の宴会はそこばかりでやるのじやありませんか。
  758. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) その点はよく存じません。私山口屋に呼ばれましたのは、新築に呼ばれましたときと、去年の八月の末私の方で呼ばれただけであります。
  759. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう御関係檢察廳の寮、蔭の寮、公の寮でなく蔭の寮になつておる関係上、そこへ宴席を設けられたのじやありませんか。
  760. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、そんなことはありません。
  761. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外に……。
  762. 齋武雄

    齋武雄君 山口屋へ宴席を頼んだというのはどういうのですか。
  763. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 私共仙台でよく素人屋として昵懇していますのは山口屋だけしかありませんから、しよつちよう山口屋さんへは前から三島先生と私共は行つたり來たりしています。
  764. 齋武雄

    齋武雄君 宴会をするということは迷惑じやありませんか。
  765. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 山口屋さんも私のところに來たりしておりますが、私の家へ來たりしたことがありますから、別に迷惑とは感じておりません。
  766. 齋武雄

    齋武雄君 迷惑というか、考えないというか、どうも受取れませんが、素人の家で宴会するというのは迷惑じやないですか。
  767. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) さあ、そういうところは考えないと思います。
  768. 齋武雄

    齋武雄君 十人ぐらい集会しているというのは迷惑であると考えませんか。
  769. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 迷惑とは私共特別に考えておりませんけれども……。
  770. 齋武雄

    齋武雄君 始終やつているから……
  771. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) いや、そういうことはありません。しよつちゆういろいろな点において付き合つております。山口屋さんは進水式の関係で來てくれたりしてくれますから……。
  772. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 そうすると、あなたの方で檢察廳の方に御招待申上げたということを言われているのですが、場所もあなたの方で言うたのですか。
  773. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 勿論私の方で言つたのです。
  774. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 日だけは檢察廳で決めたのですか。
  775. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) はあさそうです。
  776. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 場所はあなたの方から先に決めたのですか。
  777. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 私の方で決めたのです。
  778. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 場所はあなたの方から決めたのですか。
  779. 西條芳次郎

    証人西條芳次郎君) 私の方からです。仙台としては、ここでやりたいと思う。日にちは役所の都合もあるでしようが、なるべく早く申上げて、返事しなければならんということを申上げておきました。
  780. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじや御遠方御苦労様でした。    〔証人新井田喜佐久君著席〕
  781. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新井田喜佐久さんですか。
  782. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そうです。
  783. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御商賣は酒屋ですか。
  784. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 酒類配給公團仙台支部第三部長をやつております。
  785. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は幾つですか。
  786. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 四十五歳です。
  787. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御住所は呼出し状を差上げたところですか。
  788. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) あそこじやないです。あれは店ですが、自宅は別です。
  789. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこですか。
  790. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 茂市ヶ坂九番地です。
  791. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと檢察廳とは、仙台檢察廳とはどういう御関係がありますか。
  792. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 関係は、一番最初は檢察廳でありませんが、これは個人的ですが、今から十二、三年前に私の縣から山本という檢事正がおりました。その人とは同郷の関係で知つておりました。後その後は全然関係ありませんでした。
  793. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたとは西條さんとはどういう関係ですか。
  794. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 西條さんとは友人関係です。
  795. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 極く親しいわけですね。
  796. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 極く、これは兄弟みたいにしております。
  797. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと三島弁護士とどういう御関係ですか。
  798. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) これは私の國が会津なんですが、三島先生も会津で、私が仙台に店を出してからいろいろお世話になつております。これは西條さん以上、むしろそれ以上、私の兄より以上親しくやつております。
  799. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのところは、お店は酒店をやつておりますか。
  800. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 酒店をやつております。
  801. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お座敷を檢檢廳の宴会に常に利用させているわけですね。
  802. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) いや、そういうことはありません。この前、西條さんから一回と、私が店を新築いたしましたときに一回です。
  803. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 常にやつているのじやないですか。
  804. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) やつておりません。
  805. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一般の人はやつてないらしいけれども、檢檢廳の限つて席をお貸しになつているんじやないですか。
  806. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 貸しておりません。
  807. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 個人として、或いは数人の人が檢察廳から來ては、あなたのところで酒食をやつているわけじやないのですか。
  808. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そういうことはありません。
  809. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西條さんにお貸ししたときはどういう趣旨だつたのです。
  810. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) それは私はよく分らないのですが、その宴会の場合も私は事情がございまして、宴会が始まつて、ずつと遅く行きまして、そうして少しおりまして、又外の仕事があつたもんですから早く帰つておりました。
  811. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴会の目的はどういう目的でしたか。
  812. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) それは私もよく分りません。ただ宴会をやるから、あなたも都合が好かつたら來て呉れ、こういう話でありました。
  813. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 席上の話はどういう話でしたか。
  814. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 席上の話はちよつと忘れましたが、少年とかなんとかいう話がありましたが、私はそういうことは氣にも止めませんでしたから……。
  815. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ藝者を招いたというのはどういうわけですか。
  816. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 私も行つて始めて藝者が來ておるのを知つて、何で藝者なんかを呼んだと思つたのですが、私の家が遠いものですから、店の者も皆帰つてしまいますから、それで料理や酒を運ぶのに頼んだと言つておりました。
  817. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方から頼んだのですか。
  818. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 私の方からは頼みません。私はその宴会には全然関係ありませんが、ただ友人なものですから都合好かつたら出て呉れ、こういうことで出たわけです。
  819. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西條さんが自分でいろいろな準備をしたわけですか。
  820. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そういうわけです。
  821. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所は席を貸しただけですか。
  822. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そうです。
  823. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所を選定したのは常にあなたの所が檢察廳の宴席の供給場所という関係があつたからでしよう。
  824. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) いや友人としてです。
  825. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 友人としてですか。
  826. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) はい。
  827. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所で落成式のときに檢察廳の人を呼びましたね。
  828. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 呼びました。
  829. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどなたをお呼びしましたか。
  830. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) それはこの間も三島先生からいろいろ聞かされましたが、檢事さん個人にお使いしたのです。私自身といたしましては、山本さんが最初のお付き合いで、そのとき山本さんは綺麗な生活をしておりましたから……偶々それ以前に檢察廳の人などの今の生活はどうであるとか、小学校の先生がどうであるとかいうことがあつたものですから、三島先生に御相談申上げまして、檢察廳の方にお使い申上げたらおいで下さるでしようかと申したところ、あなたならば來るだろうというのでした。今までの生活も檢察廳となんの関係もありませんが、申上げたらおいで下さいました。私の今までの生活状態から小学校の先生であるとか、或いは私の國の方から來ております学生であるとかすえものも、その際呼んでおります。実際あの頃の生活です……檢察廳の人などにも我々の酒でも一杯呑んで頂けばというつもりでお使いを申上げたのであります。又私といたしましても今まで檢察廳に御厄介になつたこともありません。今後も私自身意識してあの人達の御厄介になる行動は取らない自信もありますので、お使いを申上げました。今どなたであつたか、はつきり分らないです。なんでも六、七人おいで下さつたと思います。そのとき御祝儀なども多分に頂いて却つて散財を掛けて迷惑をしたのではないか、こんなこともこの間話合いました。
  831. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお取礼先の関係の行政官廳の方をお呼びになるとか或いはお知り合いの人を呼ぶなら別ですが、一面識もない檢察廳檢事ばかり御招待になるということはどういうわけですか。
  832. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) それは一番最初西條さんが檢察廳を御招待になつたときに、私と三島先生が招待されたことがあります。そういう縁故もありましたし……。
  833. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新築祝はその前でしよう、西條さんが招待した前でしよう。
  834. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) その後です。
  835. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新築祝はいつ頃ですか。
  836. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 新築祝は一昨年の十一月か、十二月頃です。
  837. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西條さんが招んだのは昨年の八、九月頃でしよう。
  838. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) その前にあつたと思います。
  839. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一度それもお宅でやつたのですか。
  840. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 私の方では、やりません。ようよう一昨年できたばからですから。
  841. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこか外でやつたのですね。
  842. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そうです。
  843. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのとき顔付き合いをやつたのですか。
  844. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そういうわけです。
  845. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときどうしておなたは招ばれたのですか。
  846. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) それは今の西條さんと、三島先生と、先程申上げました通り……。
  847. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう関係で……。
  848. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そういうわけです。
  849. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで顔知りになつたから今度新築祝に檢察廳から檢事さんばかり招ぶことになつたのですか。
  850. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) それは先程申上げましたように、一昨年あたりの生活は本当ひどかつたものですから……。
  851. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、あなたのお氣用はよく分りますが、幾ら檢事が生活は苦しいから、まあ美味い酒でも一杯飲ましてやりたいというあなたの氣持は分るが、だからといつて知らない檢事を招ぶというのもちよつと飛躍して來ますね。
  852. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 今の学校の先生を招んだのもありますが、これは受持の先生は私の知つていたのもありますし、私の子供も一人おりますが、併しその外の先生方も、全然面識にない人も沢山招んでおりますし、又私の國から來ております学生も、これも私は全然……一人だけ知つておりましたが、その外の学生も招んでおりますから、ですから知らない人を招んだというのは結局……。
  853. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一人か二人ですね、中に知つた人があれは、その人のお連れとしてお招びになることはありますけれども、全部知らないのですから、あなたの……。
  854. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) そうです。
  855. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全部知らない人を全部招ぶということは、何かそこに趣旨がなければ……。
  856. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 趣旨は全然ないですね。私の場合は、どの檢事さんがどうであるかと今思い出して呉れと言われても、その当時の方を思い出すこともちよつと今直ぐ出ません。
  857. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新築祝とか何とかいう名目が付きますれば、親しい人とか、少くともあなたを知つた人とか、仙台市における裁判所長とか、檢事とか、檢事正、知事、そういう名士の人ばかり招ぶとか、何かそこに招ぶ趣旨があるでしようね。
  858. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 私としては全然ないのです。
  859. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事に至るまで招ぶということは、ちよつと理解しかねるのだが……。
  860. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 私先程申上げましたような氣持なのです。
  861. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城竹三郎御存じですか。
  862. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 知つておりません。
  863. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 付き合いありませんか。
  864. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 付き合いありません。
  865. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 酒屋の注文なんかもありませんか。
  866. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 全然知らないのです。
  867. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは石巻辺りの漁業に関係ありませんか。
  868. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 漁業に関係ありません。
  869. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 只今の学生たちをお招びなさることは、これはちよつと了解できますが、併し立派な檢事さんや、檢事正を顔を揃えて、御招待になるのは、学生を招ぶのと同じような氣持というのはどうかと思いますが、如何でございましようか。
  870. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 今こう言われて見れば、私は自分のそういうあれを浅はかであつたという感じがしますが、併し私は招待する場合は心から純粹な氣持で招待しております。
  871. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 御祝儀を頂いたのですね。
  872. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 御祝儀を頂戴しました。
  873. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 どのくらい頂いたのですか。
  874. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 今ちよつと分りませんが、千円か二千円頂戴しておると思います。
  875. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 それから前に西條さんが席を設けられた場合に、席料というのは貰つておるのですか。
  876. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 私ですか。
  877. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 はい。
  878. 新井田喜佐久

    証人(新井田喜佐久君) 貰つておりません。
  879. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではどうも御遠方恐れ入りました。お帰り下さい。    〔証人梅原順治君著席〕
  880. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 梅原順治さんですか。
  881. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 梅原です。
  882. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうざお掛け下さい。お年は幾つですか。
  883. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 三十八です。
  884. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お仕事は……。
  885. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 現在宮城旅館協同組合、旅館の方の事務長をやつております。東北六縣旅館の事務の嘱託をやつております。
  886. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お所は呼出状を差上げた所ですか。
  887. 梅原順治

    証人(梅原順治君) さようでございます。
  888. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは三馬ゴム会社……
  889. 梅原順治

    証人(梅原順治君) あそこもただ一時入れて貰つておるだけです。管理人として入つております。
  890. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 管理人ですか。
  891. 梅原順治

    証人(梅原順治君) はあ、全然仕事はまだやつておりません。
  892. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三馬ゴムには関係ないですね。
  893. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 関係ありません。
  894. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 給料を貰つておるわけでもないですね。
  895. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 貰つておりません。
  896. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 留守番というわけですか。
  897. 梅原順治

    証人(梅原順治君) ただ管理人としてあそこに入る身元のはつきりした人がいないから入つてくれという……丁度旅館の塩釜の理事をやつておる支部長の柏さんという方が社長と昵懇なんです。その関係で私を推薦してあそこに入れて貰つたわけです。
  898. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた達以外に入つていないのですか。
  899. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 入つておりません。私と家内だけです。
  900. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 空家にしておくわけに行かないからかたがた管理の……。
  901. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 丁度事務所が向いになつておるものですから、交通公社の……。
  902. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは社宅になつておるのですか、どういうわけですか。
  903. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 営業所です。まだ仕事をやつてないのです。全然……。
  904. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 営業所であるけれども、仕事をやつてない……。
  905. 梅原順治

    証人(梅原順治君) まだ統制解除にならないために全然やつておらんのです。
  906. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 余程大きいのですか。
  907. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 八疊に、六疊に六疊、それにあとに八疊の應接間です。それだけです。あとに店が四間問口ですか、奥行が三間……。
  908. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで、あなたはその家で幾部屋を使つておりますか。
  909. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 私は一部屋を使つております。一部屋とあと女中一人いますから、向うの六疊……八疊間一間空いておるだけです。
  910. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこにその社宅を……社宅というか、寮というか……。
  911. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 社宅でございます。
  912. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社宅と言つておりますか、その社宅を仙台檢察廳がよくお使いになるのですね。
  913. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 私覚えておるのは二回ぐらいだと思います。
  914. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二回ぐらいですか、再三使うのじやないのですか。
  915. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 使いません。
  916. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはいつから……。
  917. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 私は六月の初めです。そう六月の半ばです。六月の十五日頃だと思います。
  918. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 去年の……。
  919. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 去年の……。
  920. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからずつと今日までそこに住つておるのですか。
  921. 梅原順治

    証人(梅原順治君) はい。
  922. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その間に二回ですか。
  923. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 私の記憶しておるのは三回です。
  924. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃といつ頃ですか。
  925. 梅原順治

    証人(梅原順治君) それは全部七月の初めだと思います。中頃か初め……ちよつと記憶しておりませんが……。
  926. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年のね。
  927. 梅原順治

    証人(梅原順治君) はあ。
  928. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうしてそんな所で宴会をやるのですか。
  929. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 宴会といつても私は事務所に行つておりますから……。
  930. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは管理人として……
  931. 梅原順治

    証人(梅原順治君) ただあそこは何か東北六縣の事務局長会議をあそこでやつたらしいのです。そのとき何か金を五千円だか六千円ですか、私は記憶しておりませんが出して、何か御飯を食わしてくれというようなあれで、それは二回目ですが、三回目は池田檢事正ですか、私はよく覚えておりませんが、誰も会いませんですが、その方が折箱とか酒を沢山持つて來たようです。あそこで部屋を貸して碁会をやつたらしい。それだけです。
  932. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一つあるでしよう。三回だと言いましたね。
  933. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 二回が事務局長の会議であります。
  934. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 料理は持込みですか。
  935. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 持込みです。二回目は五、六千円貰つてつてつた
  936. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰がですか。
  937. 梅原順治

    証人(梅原順治君) うちの家内がまづい御馳走ですが……。
  938. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう関係で家を使うのですか。
  939. 梅原順治

    証人(梅原順治君) それは関係というか私は分りませんですが、柏さんと甲野という事務局長が前から友達か何からしい。その関係で社長に話してあそこを借りたらしいのです。
  940. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの関係じやないのですね。
  941. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 私は全然関係しておりません。
  942. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長の関係ですか。
  943. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 社長というか、結局社長ですね。
  944. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのゴム会社と檢察廳とは何か関係があるのですか。
  945. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 分りません。
  946. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かその噂があるのじやないのですか。
  947. 梅原順治

    証人(梅原順治君) そういう噂はありますが、私は全然誰も來たことも、会つたこともないのですから分りませんです。塩釜の事務所に朝九時から夜まで行つておりますから……。
  948. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仙台昭和事件だというような噂があるじやないのですか。そのゴム会社には仙台昭和事件という噂があるのじやないですか、昭和電工事件として……。
  949. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 私は聞いたことはありません。
  950. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんな噂があるのじやないのですか。
  951. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 噂は聞いたことはありません。
  952. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何だか三回ぐらいじやなく、しよつちゆうそこへ來て、いわゆる寮というのですかな、飲み場所にしているのじやないですか。
  953. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 絶対ありません。
  954. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはそういうために……檢察廳檢事の人々をよく御存じですね。
  955. 梅原順治

    証人(梅原順治君) いや知りません。
  956. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなたは檢事が始終出入りをするために、檢察廳の人の顔知りができたために、被告人の貰い下げ行つたことがあるのじやないですか。
  957. 梅原順治

    証人(梅原順治君) ありません。
  958. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 澁谷順誠という人と一緒に行つてつたことがあるのじやありませんか。
  959. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 行つたことがあります。それは会食をしたので、ちよつと顔を知つておりましたから、保釈、つまり出して貰うことをよろしくお願いしますとただ頼んだだけであります。効き目も何もありませんが……。
  960. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 効き目のあるなしは別問題として、それはどういう事件なんですか。
  961. 梅原順治

    証人(梅原順治君) それは加藤という、あのときは荻原さんの方の事件か何かだつたと思いますが、その事件の内容と言いますと、ただ何か一万円荻原さんから貰つたとか貰わないとか、その点までは私は分らないのですが、私はよく澁谷さんとか加藤さんというのは、うちの近所で、その関係でよく知つておるもので、警防團長とか公会長を元やつたものですから、その関係でうちと昵懇にしておるわけであります。
  962. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 荻原さんから一万円貰つたとか貰わないとかいう事件で、要するに贈賄事件に連坐して引つ張られたわけですね。
  963. 梅原順治

    証人(梅原順治君) そうです。新聞で見たのですけれども……。
  964. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは澁谷順誠から頼まれたわけですね。
  965. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 澁谷さんから頼まれたわけじやないですよ。私は家庭のこととか、いろいろのことで世話になつたものですから、自発的にお願いに行つたわけであります。
  966. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 澁谷さんと一緒に行つたという理由は……。
  967. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 澁谷さんと懇意にしておるものですから、澁谷さんと加藤さんは親類のように付き合つておる……。
  968. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人も被告の人と昵懇で……。
  969. 梅原順治

    証人(梅原順治君) そうです。
  970. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたがたまたま檢事が始終出入りするために顔知りだから……。
  971. 伊藤修

    委員長伊藤修君) たまたまと言いますけれども、前の会食をなすつたときだけで、あと自分の私用のために何もしておりません。
  972. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで、それは貰い下げたわけですね。
  973. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 暫く経つてからです。
  974. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうように親しくなれるということは、あなたのところへ始終檢事が出入りしておるのじやないですか。
  975. 梅原順治

    証人(梅原順治君) ありません。
  976. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのような噂がありますが……。
  977. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 絶対ありません。嘘つきません。絶対そういうことはありません。
  978. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方は御存じないですが、殆んどあなたのところを借りておるというような氣持で……。
  979. 梅原順治

    証人(梅原順治君) そんなことは嘘です。評判です。
  980. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ゴム会社のことと檢事局との関係御存じないですか。
  981. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 分りません。
  982. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 噂もお聞きになりませんか。
  983. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 私はそういう話も余り聞いたことはございません。
  984. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 摘発される……。
  985. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 社長というのは割合に眞面目な方で、三島事件を起しましたね、税務署のあれ以來、社長としても全然会つていないようであります。社長は眞面目な人で……。
  986. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 税務署事件のことが第二の昭和事件だとか何とか言われておるのですが、それはそういう関係上、深く摘発もされずに済んでおるということはお聞きになりませんか。
  987. 梅原順治

    証人(梅原順治君) そういうことは分りません。私はまだあそこへ行つてから日が浅いのですから……。
  988. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仙台地方の昭電事件だとか何とか言つて噂が高いというのですが、御存じないですか。
  989. 梅原順治

    証人(梅原順治君) はあ。
  990. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 社長は余り親しくしていないのですか。
  991. 梅原順治

    証人(梅原順治君) 親しくしていません。社長も現在のところ、私の営業所へ月に一回來るか來ないかです。
  992. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお尋ねになることはありませんか。よろしうございますか……。それじやどうもありがとうございました。    〔証人松尾啓三君著席〕
  993. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松尾啓三さんですか。
  994. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  995. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうぞお掛け下さい。お年は……。
  996. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 四十八でございます。
  997. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御商賣は……。
  998. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 仙台の睦商業協同組合の專務理事、株式会社東北興行專務取締役。
  999. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 公職は……。
  1000. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 縣会議員と仙台市会議員と二つやつております。
  1001. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの資産はどのくらいおありになりますか。
  1002. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 二、三十万のものじやないかと思われます。
  1003. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは東北地方の「やし」の親分衆ですか……をおやりになつていらつしやいますね。
  1004. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 別に東北地方というわけじやありませんが、これは私の方では、まあ「やし」の親分と言われれば、それに違いないでしようけれども昭和十一年に小川商工大臣のときだと思いますが、そのときに商業組合を拵えまして、許可になつて、商業組合で運営しておりまして、その後商業組合法が廃止になつたので、任意組合になり、その後協同組合法ができましたので、協同組合になつて今日に至つたわけであります。
  1005. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 「やし」の人はあなたのところへ挨拶しなければ商賣できないわけですか。
  1006. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1007. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは宮城縣だけですか。東北六縣全部ですか。
  1008. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 仙台市だけです。
  1009. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城縣下ではありませんか。
  1010. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 縣下ではありません。
  1011. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 縣下でやる場合には……。
  1012. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 縣下では、塩釜は塩釜で露天組合があります。みないわゆる露天の普通出ている場所には、みな組合があります。任意であるわけなんです。
  1013. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたの何と言いますか、下部組織じやないのですか。
  1014. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありません。
  1015. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたと対立しているわけですか。
  1016. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 対立というとおかしいのですが……。
  1017. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 平等の地位にあるわけですか。
  1018. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1019. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、そちらから別に何らの挨拶もありませんね。別に向うの組合長から……。
  1020. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。
  1021. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの仲間というのですか、子分衆というのはどのくらいですか。
  1022. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 組合員は全部で千二、三百人おりますかね。詰り私の子分という意味ですか。
  1023. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ、それは組合員として伺つてもよろしいのですが……。
  1024. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それならば五十人ぐらいのものです。
  1025. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 千何百人というのは全部組合員ですか。
  1026. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それは全部組合員であります。
  1027. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどのくらいですか。
  1028. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 千二、三百名と記憶しておりますけれども、非常にその月によつて変動があるもんですから、殖えたり減つたりやつておりますから……
  1029. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは地附きの人ですか。渡りの人ですか。
  1030. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それはみな地附きです。渡りというのは月に二、三人しか來ません。
  1031. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは主にどちらから渡つて來るのですか。
  1032. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 東京から來るのが多いです。
  1033. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのところへ草鞋を脱ぐのですね。
  1034. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 草鞋といつて何も脱ぎもしませんが、何かの商賣に來たというときに、この宮城縣では露天鑑札というものを発行しているものですから、その請人になる関係から、やはり挨拶に來るわけです。
  1035. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの盃を受けている子分はどのくらいですか。
  1036. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 五十人くらいです。
  1037. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その五十人の中に階級があるのでしよう。
  1038. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。
  1039. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの一の子分とか、二の子分とかありますか。
  1040. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そういうことはありませんね。
  1041. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小坂という代貸があるのでありませんか。
  1042. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 代貸というわけじやありませんが、親分があります。小坂明治。
  1043. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたの代貸みたいものじやありませんか。
  1044. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 親分は同じですけれども、銘銘独立しておりますから……。
  1045. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 独立しているけれども、あなたの支配下にあるのでしよう。
  1046. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうじやなく、やはり五分五分になつております。
  1047. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたとはどういう関係になつておりますか。兄弟ですか。
  1048. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 俗に言えば、兄弟分関係ですね。
  1049. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 兄弟になるのですか。
  1050. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1051. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの親分は何とおつしやつたのです。
  1052. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 横田末吉です。
  1053. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その場合にあなたの弟分ですか。小坂は……。
  1054. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) いや、このことはちよつと申し上げないと分り難いかと思いますが、香具師には五分五分の兄弟分と、四分六と、七・三というような分け方があるのです。五分五分というのはどちらも五分五分ですから、弟兄なり難く、対等な者を五分五分というのです。それから四分六というのは、詰り兄貴と弟分と……。それが五人しかありません。その他四分五里と五分五厘というものがあるのです。それは兄貴、兄弟というふうにいろいろ呼び掛け方があるのです。小坂というのは五分五分です。
  1055. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、そういう五分五分の兄弟は何人ですか。
  1056. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 仙台ですか。全國ですか。
  1057. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仙台では……。
  1058. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 仙台では五人ぐらいですね。
  1059. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう人ですか。
  1060. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 田中銀次郎、阿部益次、小坂明治、それから阿部倉喜三郎というのです、それから、昔そうで今足を洗つて堅気になつているのが二人あります。
  1061. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは誰ですか。
  1062. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 大山九郎、面來登作というのです。
  1063. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは何れも五分五分ですね。
  1064. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1065. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは皆各組合を持つておるのですか。
  1066. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) いやいや、そうじやないのです。御案内の通り、仙台仙台睦商業組合というのが一つしかないのですから、それですからそのその商賣をしている者は皆その組合に入つておるわけです。
  1067. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、独立の組合を持つておるわけでないのですか。
  1068. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。
  1069. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、今の千何百人の中に包含されておるわけですか。
  1070. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 全部入つております。
  1071. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、千何百人はあなたが統率しておるのでしよう。
  1072. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私は選任されて組合の専務理事をやつております。
  1073. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 統率しておるんだから、身分関係は五分五分でも、構成の上においてはあなたの下になるわけですね。
  1074. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 営業するということにおいては、当然私の監督下になるということになりますな。個人的の関係においては何もありませんが……。
  1075. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 五分五分で仕事をされるわけですね。
  1076. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1077. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人の直系というものはないのですね。今の七人の方の輩下というものは……。
  1078. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 輩下というものはあります。
  1079. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらいあります。
  1080. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 二、三十人くらいなもんじやありませんか。
  1081. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一人が?
  1082. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。大山、面來というのはありません。これは堅氣なんですから……。
  1083. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他の人は皆、大山という人を除いたあとの人は……。
  1084. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 大山と面來というのは土台が香具師でないですから……。
  1085. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その二人を除いたあとは全部三十人くらい子分がある……。
  1086. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 三十人くらいありますね。少いので十人くらいですな。
  1087. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの伯父分とかいう人はありますか。
  1088. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 仙台にはありません。
  1089. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから分の違うあなたの上の人、分の上の人……。
  1090. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 上の者で、仙台にはありません。
  1091. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 下の者は?
  1092. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) あります。
  1093. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何人くらいですか。
  1094. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 四人あります。
  1095. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何というのですか。
  1096. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 川崎永吉、清水守、高橋金之助、武田敏明。
  1097. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その人もやはり今の千何百人の中に、そのグループに入つておるのですね。
  1098. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。けれども、こういう者は旅から旅を渡り歩いて、仙台で商賣しませんね。組合に入つておりません。
  1099. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 子分を持つておりまか。
  1100. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 持つております。
  1101. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらいですか。
  1102. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 十人くらいのもんですね。極く昨今ですから……。
  1103. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全國的にはどうですか。
  1104. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 全國的にはただ今日知つておるというだけで、別に一連のつながりというものはないですね。
  1105. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、あなたの兄弟分とか伯父分とかは……。
  1106. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 全國的に十五、六人あると記憶しますが……。
  1107. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何処のどういう人ですか。
  1108. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 山形で山田三郎、青森で吉原徳太郎というの、それから札幌で星辰太郎、それだけが私の兄貴分になつております。それから五分五分の兄弟は、宮城縣では佐沼に鹿野久男というの、それから東京に茂木武治というのがおります。それから木村勇藏、それから弱つたな、覚えがない……。岡山に兒玉源太郎というのがおります。京都に數本兼太郎、それから石巻に二見豊太、盛岡に元持榮吉、大館に八神錦造、高木正和、そんなもんですね。
  1109. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それらはあなたのどういう何ですか。
  1110. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私と兄弟分です。
  1111. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 五分五分ですか。
  1112. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 五分五分です。
  1113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前のは五分五分とおつしやいましたか。
  1114. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 前のは兄貴分です。
  1115. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 伯父貴分というのがありますか。
  1116. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 伯父貴分というのは横浜にあります。登内重輔と言います。
  1117. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一人ですか。
  1118. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 一人です。
  1119. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津とはどういう関係になるのですか。
  1120. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 尾津喜之助と私とは親分が一緒の関係上、小倉米三郎というのが親分でありまして、尾津とは「のれん」兄弟になつております。その子分に尾津喜之助も私もいたわけです。それで私は親分から盃を貰うと間もなく仙台に行きまして、横田末吉の家に家業養子に行きました。
  1121. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると盃兄弟とは違いますね。
  1122. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうじやないのです。いわゆる「のれん兄弟」で親分が一緒なんです。
  1123. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 同じ流れから出たというのですね。
  1124. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1125. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう場合には兄弟付き合いをするのですか。
  1126. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。飯島一家というのが東京にありまして、その飯島一家の中に小倉米三郎というのもいた、いろいろなのがいたわけです。その乾分の中には尾津喜之助とか、そういうのが枝葉になつて分れているわけです。別に付き合うしいつても奥州に來てしまつた関係ないことになるわけです。終戰前は汽車が逼迫しない間は、かなり行つたり來たりしましたが、全然一年に一回も会いません。
  1127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると只今お伺いしたような地位でいらつしやると、奥州では第一等だつたわけですね。
  1128. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありません。奥州にはまだまだえらい人が沢山おります。仙台はそんなことじや駄目なんです。
  1129. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた以上の人がありますか。
  1130. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) はあ何人もおりますね。外は皆個人経営みたいなやり方をしていますね。私のところは協同組合でやつておりますから。ここにも齋さんがいらつしやいますから聞きになつたらよく分ると思います。
  1131. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だけれども組織の方から言うと整備されておつて、あなたの右に出る者はないじやないですか。
  1132. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) さあどんなもんですかね。
  1133. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは今の家業養子なさいまして二代目の襲名をなさいましたね。
  1134. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) しました。
  1135. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは何時頃ですか。
  1136. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 昨年の六月だと記憶します。
  1137. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 明けて昨年ですか。
  1138. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 二十二年の六月です。
  1139. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは古式に基いておやりになつたのですね。
  1140. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 古式といつて大体傳統の式がありまして、それによつてつたわけです。
  1141. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 正式なものですね。
  1142. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) はあ、そうです。
  1143. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは親分衆とか兄弟衆とか全部御列席の上ですね。
  1144. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1145. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今おつしやつたような人が全部來ましたね。
  1146. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 來ました。
  1147. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから、そういう式には素人は混ぜますか。
  1148. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 皆來ましたね。檢事も來ましたし、知事、市長、ああいう連中みんな來ました。
  1149. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは招待するのですか。
  1150. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) つまり丁度アイヌの熊祭りをやるみたいで、珍らしいというので好奇心に驅られるのと、一つは商賣柄どういうものがいるか参考にしておきたいというので、是非見たいというようなお申込が警察でも方々でも随所にありました。
  1151. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しそれは招待しませんか。
  1152. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) こつちからはわざわざしません。大体人に見せるものじやありませんから、ところが、こういうわけで参考に見たいからというので、それでは混雜するといけないから招待状をやるから見に來て呉れというわけで差上げたわけです。
  1153. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると向うから申込があつて、それから招待状を出したのですか。
  1154. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1155. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると式には招待するというのは法則にありませんね。
  1156. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) こつちから正式に招待したのは舞台に上りますから、一般の芝居か何か見るような積りで好奇心に驅られて見ていると言うのが妥当じやないかと思います。
  1157. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから、あなた方の家業柄から言えば、招待すべき人は兄弟とか伯父分とか、いろいろ身内の衆で決つておりますね。
  1158. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1159. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 素人衆を招待するというのは本來ならあり得ないですね。
  1160. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) あり得ない。ところが先程申上げた東北興行の專務取締のあれで南松竹映画劇場、そこでやつたものですから、これは珍らしいというので評判になつて、何がなしわあわあ來たというのが本当じやないか。
  1161. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その点は略式になるわけですね。
  1162. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 向うから申込があつたから招待状を出した。
  1164. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しあなたの方の正式の招待とは区別しましたね。
  1166. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 席は別にしたのですか。
  1168. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 映画館ですから観覽席へ椅子がざあつとあるから、そこへずらつといたのです。
  1169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 素人衆の招待の口だけは、席は別にしたのですね。
  1170. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) いやそうじやない。舞台の上へ上るのが本当に招待をした家業の者です。あとの方は、つまり面白半分で來るので、いわゆる映画を観ているようなわけで、腰掛に掛けてじつと観ているわけです。
  1171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは黙つて入らないで、招待状に基ずいて……。
  1172. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。誰も彼もは入れません。
  1173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 形の上において招待したけれども、それは、あなたたち家業柄の招待ではないという意味ですね。
  1174. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。要請によつて……。知事も、これは珍らしいから一遍見せてくれないか。それでは來たらよかつぺえというので來ているのですから、本当の意味の出した者は……。招待状には違いありませんが、実質上は招待という意味ではありません。
  1175. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう、いわゆる第二次の種類の人は知事と……。
  1176. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 知事に警察部長、それから次長も來ました。それから警察署長、警察官、それから檢事局からも三四人お見えになつておると思います。
  1177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢事長、檢事正そんなものですか。
  1178. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 檢事長、檢事正は……私、稻葉という当時経済の檢事の人がいたのです。その人が檢事局の方にも見せてくれというので、その人に上げたので、混雜しておりますから誰が來たかということは、記憶はありません。
  1179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはモーニングで行つたというじやありませんか。
  1180. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) モーニングの人もありましたし、普通の服の人もあります。いろいろありました。
  1181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは何か祝を持つて來るのですか。
  1182. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 何も持つて來ません。
  1183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこまで……。今まで伺つておれば、御趣旨はただ見物に來たというふうに伺えるのですが、そうではなくて、襲名披露に、いわゆる檢事正として、或いは檢事として列席したのじやないのですか。
  1184. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それは個人で來ているのでしよう。
  1185. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう意味で招待をしたのじやないのですか。
  1186. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんな意味ではありません。
  1187. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 招待状は檢事正某として招待状を出してあるのですね。
  1188. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) いや、そうじやないのです。檢事局で五人ぐらいというので、それでは五名というので出したのです。
  1189. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 招待状というのは刷つてないのですね。
  1190. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 刷つてありません。何も何々檢事正閣下とか何とかいうことは書いてありません。
  1191. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入場券みたいなものを出すのですか。
  1192. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 入場券みたいなものです。当時新聞や何かで盛んに書き立てたから、何だか無暗に皆見たがつて、わあわあやつて來ましたから……。
  1193. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ちよつと一般の観念から行きますと、あなたたちの家業の襲名披露に、そういう役付の人が正式に列席するというのはちよつと異に感ずるですね。
  1194. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 貫録を付けるという意味だというのですか。
  1195. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 奇異に感ずるのです。
  1196. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ところが、そうじやないのです。それではアイヌの熊祭りをそういう人が見に行つたといつて奇異に感ずるでしようか。つまり常識的に、好奇心に驅られるのと、研究心で來たのだと、私は考えております。
  1197. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それならばあり得るわけですね。家業に関係のない、そういう役にある人が、あなたの御招待で來るというのは、ちよつと奇異に感じますね。
  1198. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなむずかしい意味じやないんですよ。
  1199. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは宴会か何かあつたのですか。
  1200. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 宴会はありましたが、そういう人は大切來ません。家業人ばかりです。
  1201. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう人は一切入れなかつたのですか。
  1202. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 入れるも入れんも、向うもそんな意思はないのです。
  1203. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは、あなたがさつきから仰しやつておるように、見物を許したという……。
  1204. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうなんです。
  1205. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなたの方で宴席に出てくれというお話があつたのですね。
  1206. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありません。
  1207. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうしたら向うが断つた。こういうのじやないですか。
  1208. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 断つたつて……。大体檢事の名前をはつきり知らないのです。これは隠して申上げておるのではない。率直に言うのですが、檢事なんて言つたつて、稻葉檢事と、それから少年保護司をしておりますから、藤井尚三という所長は知つております。それから昔の檢事長でよく知つていた人で、蘭の繪をうまく書く檢事長がおりましたが、その人ぐらいしか知りません。
  1209. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かそういう際に、記念品とか土産品は出しましたか。
  1210. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなものはありません。ただ折箱か何かを渡したと思いますが、すしか何であつたか、ちよつと忘れました。
  1211. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは一般の人にですね。
  1212. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1213. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが、少年保護司に任命されたのは何時頃ですか。
  1214. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 昭和二十二年頃かと記憶しますが、それは少し違うかも分りませま。
  1215. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは、どなたのときですか、任命した人は……。
  1216. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 藤井尚三という人が少年院の院長といいますか、所長をしておりまして、それで、したわけです。
  1217. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その方面のお仕事は、何かなさいましたか。
  1218. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 結局不良兒を預かつて直して見ました。五人ばかりですが、矯正というとおかしいのですが、直したり何かしておりました。
  1219. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは預つてですか。
  1220. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私の知り合いのところに預けるとか、自分の手許に置いたりして、大体預つております。
  1221. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 任命されてから四、五人ですか。
  1222. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1223. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在は。
  1224. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 現在は一人もありません。
  1225. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは、手許に預つておりましたか。よそにやつておりましたか。
  1226. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 知り合いのところで。子供がなくて困つておるようなところへ君、預つてくれとかいつで……、今のところでは皆失礼です。
  1227. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城竹三郎を知つておりますか。
  1228. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 知つております。
  1229. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あれは、あなたの方のグループじやないのですか。
  1230. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうではありません。
  1231. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あれは、博徒仲問ですか。
  1232. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 世間ではそう言つておりますが、私は見たことがないし、あまりよく知つておりません。
  1233. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 系統としては、そういう人ですか。
  1234. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1235. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西方とかいうのは……。
  1236. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) あの人とは兄弟分だから、そういうことになるのじやないか。
  1237. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西方という人は、大きな親分ですか。
  1238. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 見る角度によつてですね。私は別に大きいと思つておりませんが、世間で大きいといえば大きいでしよう。
  1239. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仙台では相当に……。
  1240. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 昔はよかつたらしいのですが、今は大したことはありません。
  1241. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当子分衆はありますか。
  1242. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 三十人くらいじやないかと思います。
  1243. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこの兄弟分ですか、一の子分といいますか、宮城さんは。
  1244. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 兄弟分ということは聞いておりますが、詳しいことは知りません。
  1245. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 西方と兄弟分ですか。本人はばくちを余りやらないらしいですが。
  1246. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 実事家ですね。仙台において実業で立つておられるのです。
  1247. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 付き合いをしておりますね。
  1248. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 付き合いはしておるでしようね。來れば。
  1249. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 過去はどうですか。
  1250. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 過去といつても、宮城さんを知つたのは、仙台市にロンドンというカフエーを開いたときから知つておるので、それ以前は知らない。私は仙台に厄介になつてまだ足掛け十八年しか経たないので、余り詳しいことは知らないのです。
  1251. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの御存じ範囲は、実業に入つて來てからの経歴しか御存じやいのですね。
  1252. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1253. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今まで相当いろいろのことをやつていらつしやるのですね。
  1254. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 宿屋をやつたり、キヤンデー屋をやつたり、いろいろのことをやつておられますね。
  1255. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主として水商賣をやつておりますか。
  1256. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうですね。
  1257. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城さんのところへは、相当檢事が親しく出入りしておるそうですね。
  1258. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 知りません。私はあまり行つたことがありませんから。南出という人の行つてことは知つておりますが。あの人が出入りをしておることは知つております。
  1259. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 檢察廳で非常に親しいので、宮城さんのところで料理を喰べるとか、或いは宿るとか、いろいろ水商賣だというと、政令その他で違反になることが多いが、あそこだれ治外法権だということを言つておるのじやないのですか。
  1260. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そういうことは、やきもちで言つておるのでしようね。
  1261. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あそこで喰べると、安心して喰べられるとか、安心して泊れる。あそこで賭場を開けば安心してやれるというように、治外法権的な性資を帯びておるじやありませんか。
  1262. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはないと思いますね。
  1263. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことをお聞きになりませんか。
  1264. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 聞いておりません。
  1265. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 町の人は、相当宮城さんに恐れておるのじやないでしようか、檢事局と親しいというから……。あなたは恐れはしますまいと思いますが。
  1266. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そういうことを言つておる人もあるし、殊更にないのじやないかと思います。たしかに私より檢事の人がよく知つておりましようが……。
  1267. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 曲直問題は御存じですか。
  1268. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 知つております。
  1269. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これに対して宮城さんは、どういう働きをされたのですか。
  1270. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) あの人はいわゆる直線派なんです。それで可なり運動されたということは聞いております。
  1271. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二、三百万円使つたという話ですが……。
  1272. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 大体あの人が二、三百万円の金を持つていますかねえ。
  1273. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当大きいことを言いますが、どうですか。
  1274. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私の聞いておるのでは三徳無盡というのである。その方が宮城さんに金を貸して、融資しておるわけです。そこで曲と直と、ちよつと曲げられるというので、可なり心配して、運動しておつたということは聞いております。
  1275. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 人の言う程、使つたわけでないのですね。
  1276. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 使つておりません。三百万円使うなら、それで他のことをやつた方が、もつと利口じやないか。
  1277. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家をどかされれば相当の損害が生ずるから、それと比べてどのくらい費用がかかるか分らんが、それを計算してやつたのでしようか。
  1278. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それは実際のことを言えば、私五月一日に市会に当選して、それで復興常任委員になつたので、都市計画その他のことについて、復興局で議員を全部連れて実地を歩いた。そのときに誰言うとなく、この線が福島線だ、福島という市会議員がいたが、その人が運動してこの道を曲げた。そういうことを考えて、誰言うとなく乗合バスの中で、これは眞つ直ぐにしなければならんという話が出た。議員仲間で話が出た。これは眞つ直ぐにする方がいいというので、当初四十四名の市会議員のうち三十八名が、これを眞つ直ぐにしろということの意見書を出して通つたわけです。その後曲だ直だということになつて、おかしくなつた。その頃になつて宮城さんが運動しておるということが、初めて分つたのです。
  1279. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会方面にも大分働きかけたらしいですね。
  1280. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 運動したのです。何とか眞つ直ぐにして貰いたいと、請願書などしよつちよう出おるから……。
  1281. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市会議員相当働きかけたのですね。
  1282. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) やつております。
  1283. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはどつちですか。
  1284. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私は初めから、直線の方です。それで宮城と仲が好いとかいろいろ言われております。
  1285. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのとき、市長や総務部長のところへ、子分宮城君が差向けて、相当強く談判したのじやないですか。
  1286. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そういうことは聞いておりません。第一、宮城子分を持つておりせん。
  1287. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家業の子分でなくても、昔の繋がりで……。
  1288. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そういう嚇かしに乘る人ではありません。御覧になれば分りますが、そういうことはありません。
  1289. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが加担してやつたのじやないですか。あなたが宮城の直線運動の旗頭でやつておる。あなたが親しいので應援してやつたのではないですか。
  1290. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 應援という意味でなく、請願書を持つて來たので、それに三十八名が署名して、それで市会で確定して、執行部に渡した。それからが今度どうも話がややこしいのですが、議会で決つたときに、復興局の係員がおりまして、あんなことをやつたつて、何が通るかというふうなことを、ひよいひよいと洩した。それでつまり議会側でも硬化したわけです。市長は議会の意思を十分尊重する云々と言つたが、結果において原案賛成の方であるということが、後で分つた
  1291. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一時は直線派が頗る多数を占めた……。
  1292. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 多かつた、縣会も満場一致で通過したのです。
  1293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは初めから多かつたのですか。途中で多くなつたのですか。
  1294. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 初め多くつて、それが切崩れて直が曲に廻つて行つたのです。
  1295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最初は直線派の方が優勢で……。
  1296. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 三十八名と記憶しますが、出席したのは全員で賛成した。
  1297. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だんだん曲線派が勢力を占めたわけですね。あなたの方が負けたわけですか。結局市会が直線の決議をすれば、又中央においても相当考慮されることでしようが、要するに問題は……。
  1298. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) あの儘で行けば私は立派に直線になつていたと思います。むしろ曲線派の方が一生懸命運動して、引つくり返すような運動があつたと思つております。
  1299. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 原案は曲じやなかつたのですか。
  1300. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それがややこしいのです。いろいろ調べて見たのですが、全然都市計画委員に対する記録がないのです。ところが原案というのが直であつたということを聞いておりますが、それがいつの間にか政府に出て行くときには曲になつてつたというような、いろいろな話もとんでおります。それで二年生議員は、曲だというものもあり、曲でないというものもあつて、頗るその点が杜撰なんです。
  1301. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その運動相当酒とか何とかを市会議員にばらまいたとかということはありません。
  1302. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 一升ずつ二三人貰つたということを聞いております。
  1303. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大部分貰つた人だけは引つ掛つたというわけですね。
  1304. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありますね。
  1305. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その事件はまだうやむやになつておるのですか。
  1306. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) その後何とも別に聞いておりません。
  1307. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは宮城君がやつたのだろうけれども、息子ということになつておるらしいですね。
  1308. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私は頂いておりませんから、ちよつと分りかねます。
  1309. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城竹三郎というのは、先程もお話した通り、檢察廳と非常に関係が深いので、いろいろ揉消しとか或いは摘発とか、いわゆる檢事さんを陰で指揮しておるとか、檢事さんを利用しておるとかいうような話をお聞きになりませんか。
  1310. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんな話もあまり聞いておりません。
  1311. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城君はあなたの市会の同僚の荻原という人を摘発したとかというような話はどうですか。
  1312. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことは聞いておりませんが、厚生何とか連盟というのがありまして、それがつまり摘発されたのから、こう芋蔓式に出て來たということは聞いております。
  1313. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは少年保護司をおやりになつておるようですね。
  1314. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ええ。
  1315. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 司法保護かどつちかの関係で、二万円寄付したことがあるのですか。
  1316. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 司法保護が建築の資金を百万円か当時集めたことがあるのです。そのときに少年の方も何か建てるとか何とかということを記憶しておりますが、とに角十万円ばかり金が要るというので、皆で一万円ずつ出したことがあります。
  1317. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは二万円出したのですか。
  1318. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私は一万円で、二万円出したのは仁羽博君じやないかと思います。二万円になつておりますか。
  1319. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いえ、お伺いするのですが、一万円ですか。
  1320. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 一万円と記憶しております。
  1321. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その際、大山という古物商がありますね。
  1322. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ええ。
  1323. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから三菱鉛筆の鈴木要祐、この人にも一万円ずつ寄附するように話したのですか。
  1324. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。そのときに集まつたのが鈴木要祐、大山小郎、私、それから八木榮治、仁羽博は欠席したのですが、五六人じやなかつたかと記憶しております。
  1325. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その寄附は誰の申入れによつてつたのですか。
  1326. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 誰というのでなく、少年保護司をしておりますから、金があまり……、二年くらい前ではつきりした記憶がありませんが、とにかく家を建てるか何かのことで資金がない。それなら十万円ばかりあればよかろうというので、それならみんなで出そうじやないかと言つてつたので、別に要請したということでもないのです。
  1327. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、理事会か何かでそういう話があつたのですか。
  1328. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。理事会というふうな正式なもんじやなかつたのですが、その当時少年保護司になつたのが、五六人は記憶がありますが、それが集まつて、そんならば拵えようじやないかというわけでやつたわけです。
  1329. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは選挙をなさいましたね。
  1330. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) はあ。
  1331. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その際、渡邊寅三、それから元警部補の土井という人、こういう人の應援を受けられたのですか。
  1332. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。土井さんは選挙中には警部ですがたまには來たことがありますけれども、別に應援を受けたことはありません。渡邊寅三さんは当時警察署長ですから、全然見えません。
  1333. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その際にあなたは、映画館の招待券を数千枚配付したとかいうのじやありませんか。
  1334. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありません。
  1335. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 東町通りのマーケットはあなたの経営ですか。
  1336. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。今言う睦商業協同組合の経営です。
  1337. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市立病院の敷地にあるマーケットもそうですか。
  1338. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。市立病院の敷地ばかりじやないのです。市立病院のは八十坪ばかりと記憶しております。
  1339. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それもあなたの経営ですね。
  1340. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1341. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これらのマーケットの敷地は皆市有地ですか。
  1342. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) いや、下の方の中央公設市場というのは組合のものです。それから片つ方は東植株式会社というものの土地もありますし、四人が地主なんです。それは本願寺も地主です。それから中村という運動具屋と、それから市立病院の方というふうに、四つから借りて一つの市場ができておるわけです。
  1343. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは市の土地じやないですか。
  1344. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) いや、市の土地は八十坪ばかりです。その市の土地八十坪というのは、都市計画で將來道路になる土地です。それで、どうせ道路になるのだから、道路になるまでの問は使つてもよいというわけで、やつてつたわけです。
  1345. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 市に無断でお使いになつたのじやありませんか。
  1346. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありません。いつか共産党の連中がそういうことを言つて來ましたが、受取りも皆やつておるのです。
  1347. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは市に土地の賃料を拂つておるのですか。
  1348. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 占用願いを出して、代金を拂つております。
  1349. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 占用願いを出しておるのですか。
  1350. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 出しております。
  1351. 伊藤修

    委員長伊藤修君) マーケットに店を出しておる人々から、あなたに対して襲名祝いとか、或いはあなたの舎弟分ですか、弟の死亡の香奠だとか火事見舞だとか、或いは選挙の陣中見舞というような名目を附けて出せというような措置をなさつたことがあるのですか。
  1352. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。
  1353. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お取りになつたことがあるのですか。
  1354. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。
  1355. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ちつとも。
  1356. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。
  1357. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうのは、あなたが必求して止むを得ず出しておるという……。
  1358. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 要求したということも全然ありません。個人的に銘々で呉れた者も十人や二十人はあつたと記憶しますけれども、決して強要すべき筋合いでもありませんから。
  1359. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが御存じでなくても、子分衆が取つておるようなことはありませんか。
  1360. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 切符を賣つたり……。
  1361. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや切符でなく、親分の襲名祝いで出せとマーケットの店子に言うたり、或いは舎弟が死んだから香奠を出せと大分衆が言うて行くのじやありませんか。
  1362. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありません。嚴重に監督しておりますから。
  1363. 伊藤修

    委員長伊藤修君) よく親分が全然知らないで、子分の人が親分の名前を使つて弊害が多いのですがね。
  1364. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私の名前を全然関係のない者が用いるということはよく耳に入りますが、会つて見たつて全然知らないというような結果が幾つもあるのです。
  1365. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 街のチンピラ連中があなたの名前を使つておるというようなことはお聞きにならないのですか。
  1366. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) かなり惡用しているということは聞いておりますけれども……。
  1367. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの名前を使つて親分の襲名披露祝を出せと言つて、半威嚇的に要求しているということはお聞きにならんですか。
  1368. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) マーケット内にはそんなことは言つて來ないでしよう。
  1369. 伊藤修

    委員長伊藤修君) マーケット内を相当歩いているということもありますが。
  1370. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことはありませんね。
  1371. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 子分の中にそういうことをやつてつて、あなたの耳に入つていないのじやないですかね。
  1372. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 入つていないかも知れませんけれども、それは私はないと確信しております。
  1373. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは渡邊という警察署長に北六番町に家を一軒おやりになつたのですか。
  1374. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) やりません。
  1375. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 貸してやつているのですか。
  1376. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 貸してもいません。それはこうなんです。東一番町に交番所が後援会で建てて寄贈したのです。その住民がです。一昨年くらいでしたか、ちよつと忘れましたが、そのときに落成式をやつたことがあるのです。そのときに渡邊さんが來ておつたのです。今度署長を辞めるのだが家はなし、それは困つたなあと言つたところが、たまたま列席しておつた人間が明月という喫茶をやつてつたのですが、それじや俺の家がちようど空いているから使つたらいいじやないかというので、それじや借りようということで話がとんとんと行つたのです。何もやつたのではない。ところが明月という親父が、それじや俺の家が空いているがどうだということで、渡りに舟で入つたのです。
  1377. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは明月という人の家ですか。
  1378. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1379. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人が貸したのですか。
  1380. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。
  1381. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたに関係はないのですか。
  1382. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。ただ家を持つている奴はいないかというので、そこに偶然ちようど持つているのがやつたということで、先月も共産党が盛んに放送をやつておりますが、今お調べになつたようなことをやつておりますが、全然関係ありません。
  1383. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのものではないですか。
  1384. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ええ。ないです。
  1385. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 明月はあなたの子分ですか。
  1386. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 何でもありません。東一番町のマーケットの隣家にいるところの主人です。
  1387. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 親分子分関係は何にもないですか。
  1388. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ないです。
  1389. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か誤り傳えられているのですね。
  1390. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。だから公開状を出すというので、そんならば持つて來いと言つてがん張つているのですが。
  1391. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると明月はただ貸しているのではないですか。
  1392. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それは家賃を取つているでしよう。それは幾ら取つているか、私の家でないから知りません。
  1393. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは知りませんね、そういうふうな事情なら。
  1394. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 知りません。
  1395. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 公安委員に佐藤幸三という人がありますか。
  1396. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) あります。
  1397. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この人の子供の結婚式がありましたね。
  1398. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありました。
  1399. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ結婚願を一万円贈つたことがありますか。
  1400. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) あります。
  1401. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう理由ですか。
  1402. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それはこうなんです。簡單に申上げますけれども、中央公設市場をいよいよ建てようということになつたのです。そのときにクラースという大尉がありまして、そういう露店の汚いところがあると傳染病の憂慮に堪えないというので、衞生部長から、そのときの医師会長である佐藤幸三が呼びつけられて、クラースという大尉からえらいお目玉を頂戴した。結局私が責任者として呼び出されて、それじやあ、このままでは仕方がないから土地を借りてマーケットを清潔にやろうじやないかというので、その土地を借りるのに非常にお世話になつたことがあるのです。横山有伍という医者があつたのですが、その土地が約八百坪ばかりあるのです。なかなか貸して呉れない。そこで佐藤幸三先生が保証人になつて借りて呉れました。その後その土地は買つてしまいましたけれども、そんな関係があるものですから……。
  1403. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう関係があるためにお祝儀を出したのですか。
  1404. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ええ、そうです。
  1405. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 公安委員としての関係……。
  1406. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 公安委員にならない前の話です。公安委員になると思つてつたのでも何でもないのです。
  1407. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃ですか、一昨年ですか。
  1408. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 去年だと記憶します。
  1409. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 去年とすると公安委員になつているでしよう。
  1410. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 公安委員になる前です。寒くないときでしたね。ちよつと月日は忘れましたが……。
  1411. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くとも公安委員に就任する前のことですか。
  1412. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうです。暫く前のことです。私の所の組合の衞生顧問になつておるし、それで、いつも健康診断を受けますから、そういう関係もあつて非常にお世話になつておるわけですから、結局組合からいうならば、組合の発祥の恩人です。その土地が問題だつたのですから……。
  1413. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在でも顧問をしておりますか。
  1414. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 今は辞めました。息子さんのトシキさんが出て來て健康診断をして呉れております。
  1415. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 公安委員になつたから顧問を辞めたのですか。
  1416. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) いいえ、正式に顧問の依頼を出したわけでもないのですから、自然消減の形になつております。
  1417. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのところは火事があつたのですか。
  1418. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありました。市場が二回出ました。
  1419. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宮城から見舞金五千円持つて來たですか。
  1420. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 貰つたかも分りません。
  1421. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは純粹の火事見舞ですか。
  1422. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 純粹の火事見舞です。
  1423. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 火事見舞としてこのくらい出すのが普通ですか。
  1424. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 大抵五千円や一万円ぐらい皆呉れますね。呉れるとすれば……。五百円ぐらいもないわけでないですが。
  1425. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か外の意味があるわけではないですか。
  1426. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 五千円ぐらいで……。
  1427. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは大して持つていらつしやるからね……。いつ頃ですか。
  1428. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 二回燒けております。一回は二月、それから八月……。去年の一回目の火事が二月頃だと記憶しますが……。あと建ち終つてから六月か七月頃でないかと思います。
  1429. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、これはいつ頃のことですか。
  1430. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) どつちの時に貰つたですかね。とにかく貰つたことは間違いありません。
  1431. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、火事は……。
  1432. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 火事は二月の時か、六月の時じやなかつたかと思いますが、貰つたのは初めの火事の時でなかつたかと思います。
  1433. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いずれかの時に貰つたわけですか。
  1434. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) どつちか貰いました。
  1435. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当時曲直の問題の最中ですか。済んだ時ですか。
  1436. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことは済んでしまつた時です。
  1437. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 時期は同じ時期ですね。
  1438. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 曲直問題が決まつてからですよ。
  1439. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 決まつてからとすれば後の火事の時ですね。
  1440. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 後の火事でと記憶します。
  1441. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 五千円は曲直問題の謝礼も含んでおるのではないのですか。
  1442. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことは誰も何も宮城さんがいようがいまいが、私は直線が正しいと思つてつておるのですから……。私個人に貰わないのです。組合自体が貰つたのですから……。
  1443. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 組合にしたところが、結局帰するところはあなたの……。
  1444. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それはおかしいじやないですか。組合の専務理事貰つたのを松尾啓三個人が使えるわけはないじやありませんか。
  1445. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併しそういうふうに解釈すれば……。
  1446. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そういうふうに解釈しようと思えばできないこともありませんが……。
  1447. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そじやないですか。
  1448. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そうじやありません。
  1449. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは檢察廳の人と飲食を共にされたことがありますか。
  1450. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありません。いつか大分前に檢事長がおりました。二、三代前の人かと思いますが、その人らと一諸に藤井さんと少年保護司の連中と一諸が会食したことがあるように思いますが……。
  1451. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三越仙台前支店長の宇都宮という人を御存じですか。
  1452. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 宇都宮平……知つております。
  1453. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今、会社の社長をやつておりますか。
  1454. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 仙都商事株式会社の社長です。
  1455. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何を商つておりますか。
  1456. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) それは玩具でも何でも……いわゆる商事会社ですから、三越に今までおつた体驗を生かして、別に玩具と限つておりませんが、大体において玩具を扱つております。
  1457. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か経済関係事件を起しそうな人でありませんか。
  1458. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) そんなことありませんね。三越に長くおつた人だけに固い人です。
  1459. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはその取引に関係があるのではないのですか。
  1460. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 会社が創立する時には盡力しましたね。
  1461. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 重役ですか。
  1462. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 私は重役じやありません。家内が監査役をしております。
  1463. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのはお連れ合が監査役ですか。
  1464. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ええ。
  1465. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると株を相当お持ちですね。
  1466. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 株は五万円持つております。
  1467. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 幾らの会社ですか。
  1468. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 百万円のやつが八十何万円で止つちやつたのです。それはこうなんです。宇都宮という人が仙台の、本店の洋服部長に轉勤するということになつたのです。ところがそのとき明月会という会がありまして、その前に亡くなりましたが、河北新報の社長の一力五郎とか、伊澤平勝という人が皆集つて、明月会という会を作つて月に一回ずつ会食しておつたのです。宇都宮氏が仙台にいて何か仕事をしたらいいじやないか。いつまで勤めていてもしようがないじやないかという話がたまたま出て、本人もそのつもりで、一力五郎というのがそれはいいことだからやれというので、本人もやるつもりで希望しておつたのですが、そのとき不幸にして一力五郎さんは死んでしまつた。急性肺炎で亡くなりまして、それで構うやつがないので皆で何かしてやろうじやないかというので、できたのが仙都商事というのですが、それは眞面目な人です。
  1469. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か相当闇商賣をやつて檢察廳の御厄介になりそうな……。
  1470. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 三越が闇をやらないということは断言できないが、仙台じや堅い方じやありませんかね。
  1471. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの子分衆で以て相当乱暴するような人はありませんか。
  1472. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありませんね。第一私は貰い下げとか、一切そんなことはしません。
  1473. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 貰い下げのことは別として、相当町で乱暴することはありませんか。
  1474. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) ありませんね。むしろ小坂氏の子分の方にあつたので非常に誤解されておつたという点はありますがね。
  1475. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは子分衆の背景があるので、あなたは相当恐れられておるのじやないですか。
  1476. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 恐れられても十二貫足らずの男で……。
  1477. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは小柄にしたところで、あなたについていらつしやるそういう組織によつて……。
  1478. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 組織といつても、ここら辺の尾津組というようなそんな組織じやない。そんな考えでおられるかどうか分りませんけれども……。その点仙台が一等進歩しておるのじやないかと自分じや自負しておるわけです。昔から親分子分というようなことは余り好きな方じやないのです。
  1479. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから政界方面におきましては、そういうあなたたちの組織する團体の威力は陰に陽に畏怖しておるのじやないか。
  1480. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) どうですか。私は議会では一回も発言したことがない。
  1481. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 喋らんところに強味があるのじやないですか。
  1482. 松尾啓三

    証人松尾啓三君) 余り分り切つたことは喋らん方がいいのじやないかと思つてつておるのですが、ただ縣会の方では運営常任委員長をいたしております。
  1483. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か御質問ありませんか……。  それじや御遠方のところありがとうございました。  それじや本日はこれを以て散会いたします。明日は午前十時から始めます。    午後三時四十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            鬼丸 義齊君            岡部  常君    委員            大野 幸一君            齋  武雄君            來馬 琢道君            松村眞一郎君            星野 芳樹君   証人    東北北海道戰災   者更生團理事長  松浦 正隆君            中澤 しげ君           新井田喜左久君    石巻市山西造船    所長      西條芳次郎君    前仙台市会議員 荻原 富雄君            梅原 順治君            浦山 きえ君    仙台市会議員  松尾 啓三