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鬼丸義齊君 元來
檢事が取調のために勾留をする必要があるという場合に、この
檢事勾留中の期限を定めて
檢事に強制搜査権を認めたことになりました。ところが從來警察は行政執行法等を惡用いたしまして、一晝夜以上の留置を許されてお
つても反覆これを止めて強制搜査をや
つておりましたことが余りにも人権を軽んじていけないというようなところから、強制搜査権はただ
檢事に限られることに大体な
つております。そこで現在の私のお尋ねいたしておりますることは、勾置所の非常な過剩勾禁によりまして、警察署が代用監獄を許されておるというような現状でありまするから、警察において
一つの被疑者を捕まえて、逮捕状の期限が終り、
檢事勾留の期限になりまして、元來
檢事勾留になりましたならば、そのいわゆる被疑者は未決勾留、或は勾置所でこれを留置しておいて、
檢事直接の指揮の下において、
檢事みずからこれを調る場合もありましようし、或いは檢察
事務官の方において調る場合もありましよう。そうして
檢事が直接に搜査をして行くというところに人権というものが非常に護られるのであります。というような
趣旨から
檢事の勾留期限を、勾留としう強制処分を認めたのであろうと思うのであります。ところがそれがそのままにして直ちに警察の方に引続き十日間尚十何日か警察に置いておいて從來の
規則と少しも変らずに滔々として行われておりますことは少くとも法の本旨には私どもは絶対にそれを適法だというふうには思
つておりません。或いは適法だということにこじつけてる言い訳に過ぎんという手段に過ぎない、又
裁判所のいわゆる勾留をこれは
起訴しております
事件についての外部との連絡、いわゆる証憑煙滅、逃走等を防ぐ
意味においてのいわゆる
裁判所の勾留だと思います。
檢事が次に同じ被告に対する
檢事事実を調べるための勾留じやないと私ども思います。いわゆる
裁判所が被疑者を勾留いたします。いわゆる
被告人を勾留いたしませんには
起訴にかかります
事件について勾留をして、その
事件の
審理のための勾留だと思
つております。同じ被告に対する他の
事件の嫌疑のためにその勾留をしておるものじやないかと思います。然るに現実の事実はこの一件によ
つて起訴し、それによ
つて勾留しておりまするところに便乘をして他の
事件の方に專らこれを利用しておりますることはもう覆うべからざる
一つの事実であります。成るほど違法でないということに対しまする
一つの限界はできるでありましよう。できるでありましようけれども法の
趣旨からいたしましたならば私はいかなる口実を以てするといたしましても法の
趣旨にはも絶対適わんことでないかと思います。
裁判所の勾留いたしますのは
起訴の範囲以外に出ることはできないのであります。若しその
檢事が新らしい
事件によ
つて強制捜査の必要上勾置するというわけでありますれば、その
起訴事件に対する
意味においての勾留ならいいわけであります。
裁判所が少くとも勾留しております勾留というものの
趣旨はすなわち
起訴にかかります
事件の範囲に留まるべきものと私どもは信じておりますので
長官は現にさようなことを行われておりますることが何ら違法に非ず法の
趣旨に副
つておる
取扱いだと御
解釈にな
つておとかどうか重ねてその点を伺いたいと思います。