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証人(
上村文一君) それが丁度
只今申上げた瑞牆山の調査を始めております頃でありまして、たまたまそこで瑞牆山のことで参りますというと、長官の言葉で、この
官舎の道路を引揚者か何かが開放しろなんと
言つて來ておるという
お話を聞きまして、それはどういう方がや
つたということは知りませんが、その直ぐ直後に
檢事正が私のことを、お前のところのスピーカーは非常にやかましくて、二階では僕のところの街燈が丸見えだし、向うの方にスピーカーを廻して呉れないかということでありました。私は十字路に向
つて客を呼ぶ商賣でありますから、これをやめることも、小さくすることもできませんということを笑い話でしました。たまたまそのときから紅梅町の町内会の皆樣なんかも、
あすこを換地を見付けて、そうしてどこかへ
移轉して、商店街か何かにした方がいいという運動を起したことを開きました。そんな話を聞きまして……これはそうでありません。長官からこういうふうに言われました。こんなことを言われておるのだけれども、君はどうだ、ここを開放して一つ
映画館にしたらどうですかというような
お話がありましたので、
本当ですか、
本当でしたら是非私の館も小さいしするから、
映画館でもこちらに
移轉して、大きいものにしたいと思う。私の
映画館の周りも地所が狭くて困りますから、是非できましたら、そういうふうにさせて頂きたいということを話しました。そうしましたらそのままでいましたら、今度は町内会の
人たちが私
たちのところへ、社長、判こを押して呉れないかということを
言つて來ました。で、何ですかと言
つたら、町内会の陳情書だという、陳情書だと
言つても、私は判を押さんと
言つて、私は慌てて
役所へ行きまして、長官こんなことを言いますけれども、若し解放しせるということであ
つたならば、是非私は半解放したいと思いますが、館のためにもなるし街のためにも立派な名物を作るから一つお願いいたしますと
言つて、お願いいたしましたら、それは一存には行かない。これは國有財産であるから、だから上司に聽いて見なければ分らんというふうに
お話でありました。ですから私は是非それはお伺いして頂きたいというふうの話をしまして、それから聞いて下さいましたか、聞いて下さいましたかというふうに、私は何回か伺
つたつもりであります。そうしていました矢先に、とにかく君場所がなければ駄目じやないかということで、場所はということで、私は場所を選択して、物色して、それは一番先は
あすこの地所は六百坪ですから、私は六百坪のものを見付ければいいと思
つて、六百坪ばかりを分譲で買
つて置こうと思
つたんでありますが、たまたま若し買
つても、これは上司に聞いたら駄目ということで、駄目にせられたら困るという
考えで私はいましたので、ですからその後よくはつきりしてからでなければ困るからというので又行きました。そうしたらそれでは場所はどこだということであ
つて、皆な書類を作
つて伺
つて見ようじやないかということの話でありましたので、是非お願いしますということで、結局それからは
本当に眞劍にそれをやり始めまして、地價が何ぼくらい、向うは何ぼ、こつちは何ぼというので、当時長官は價格が三千円くらい、私は二千円くらいですと、なぜ私が二千円くらいだと申上げた理由は、直ぐ前に甲斐物産というのがございまして、あのお宅の地所は二千五百円で賣買された直後であります。それで私も
自分の
映画館を買
つた直後でありましたので、通りは三千円しましようけれども、その奥の方は二千円と見て、平均で二千五百円くらいになると、こういうことから價格の査定をして、えらい儲けもある。
土地ももつと沢山買
つたらどうかということで、それでは、どうせそこに空いておる地所がありますので、千二百坪に、倍にしましよう。倍にしてもまだ賃貸價格の差も大変あるので、それでは君、檢事も今困
つておるので、檢事
官舎でも建
つたらどうか。計算したら幾棟建てられると長官に言われました。で私はもう
自分が儲けるつもりの計算でありますから、最低の線で、
自分の方の地價を最高の價格に、又それから買う方の價格を二千五百円にして、その價格の差を一坪一万円と、こういうふうに見まして、これだけで概算が出ますとい
つて持
つて行つたところが、長官の
考えで皆さんが寄りまして、それで君地價が違い過ぎる、それでは君が儲け過ぎるので、今一棟の
官舎を建
つたらどうかと言われました。私は工事を
自分でやるつもりでありましたから、木材は持
つておるという
関係で、是非それはいいと、私は
あすこは
自分のものにしよう、幾らにしても金を儲けることができると思いまして、とつさにいいですと答えまして、今の姿でやるように
なつたんです。