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政府委員(岡咲恕一君) 金子
委員長のお尋ねに対してお答申上げます。第十四條の二に、「
最高裁判所に
裁判所図書館を置く。」という
趣旨の
規定を設けたのでございますが、これは
只今御指摘の
國会図書館法第二十條の
規定に鑑みまして、
司法部門に設けられまするところの
図書館は、当然
國会図書館の
支部になるのであります。こういうふうに解釈いたしまして、現在誠に聊かな
図書館程度のものではございまするが、
最高裁判所にもすでに
図書館がございまして、
國会図書館長から
支部図書館長の任命を見ておる次第でございまするので、その現にありまする
裁判所図書館の存在將來非常に発展いたしまして、最も優秀なる
図書館となるものと確信いたしておる次第でございまするが、そういう
裁判所図書館でありまする以上、
裁判所法の中にこれを示すのが適当と考えまして、十四條のこの
規定を設けた次第でありまするが、これは
國会図書館の
支部たる
裁判所図書館を置くという考えでございまして、決して
國会図書館法の適用を受けない別個の
裁判所図書館を置くという考えではございません。第二項に
支部の
規定を設けましたのは、現在は
最高裁判所では
支部設置を具体的にはお考えにな
つていられない樣子でございますけれども、將來重要なる
裁判所所在地には、
支部図書館を設ける必要が恐らく生ずるであろうというとこを考えまして、これを設けた次第でございまして、この
支部図書館もその言葉が示しますように、
裁判所図書館の
一つの
支部でございまして、
國会図書館支部たる
裁判所図書館の、
一つのブランチと申しますか、になるわけで、
裁判所図書館の中に包含せられておるものと、こういうふうに考えた次第でございます。
それから五十六條の二の
裁判所図書館長の
規定でございまするが、これは
裁判所職員の中からこれを任命するということに定めたのでございまするが、これも
國会図書館法の
規定が当然適用される
支部図書館の館長に関する
規定でございまして、今御指摘になるました任命に関する館長の
権限を掣肘するものではございませんで、ただ國立
國会図書館法の
規定によりますと、館長は、苟くも推薦があれば如何なる人でも任命し得られるわけでございまするけれども、
裁判所図書館の使命を完遂いたしますためには、
裁判所職員の中からこれを命ずることが至当であると考えまして、その旨の
規定を設けた次第で、この点におきましては、多少國立
國会図書館法の第十七條の第一号の
規定を制限するかのごとく形の上では考えらける次第であります。が併し第十七條の第一号が示しておりますように、連絡
調整委員会の委員の推薦によ
つて任命いたすのでございまして、連絡
調整委員会の委員は、
最高裁判所の、現在は、判所でありまするが、
判事の推薦によるわけで、恐らく
最高裁判所の
判事におかれましては、
裁判所の
職員の中から適当なる方を推薦されるに相違ございませんし、又現在はさようにお取扱いにな
つておられます次第で、形の上では如何にも館長の任命権を制限するように見えますけれども、実質的には館長の
権限について何らの影響を及ぼすものではないと考えている次第でございます。
只今委員長から
裁判所法の一部を
改正する等の
法律案に対する修正の御意見が御披露せられましたが、
裁判所図書館に関する部分につきましては、
政府といたしましては賛成でございます。それは
只今御
説明申上げましたように、
裁判所図書館は、國立
國会図書館の
支部として設けられるものであることは、この修正案によりまして非常に明確になりますし、殊にこの度の
裁判所法の
規定は、國立
國会図書館法の
規定の適用を妨げるものでないということが、非常に明らかになりまする次第で、法文といたしましては極めて整理された形になりますので、この修正案に対しましては
政府といたしましても賛成を申し上げます。
ただ
判事補の
職権の
特例等に関する
法律の修正部分につきましては、
國会におきましてこの三年を二年に修正されますことについては、甚だしき反対は申上げません次第でございまするが、先程申しましたように、外地の
弁護士、或いは朝鮮総督府における
裁判官、
檢察官との権衝を考えますると、三年でも必ずしも不適当ではないと考える次第でございます。