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証人(
杉山喬君) 私自身は、その前に私の印鑑盗用
事件というのがありまして、それで私に言わせればひつかけて來たのです。それは殆んど
本庄は取材活動が困難でありまして、しやべ
つたことは翌日脅かされてひつくり返してしまう。例えば河野組がこういうことをや
つたということを被害者がしやべ
つた、それを取るというと、翌日脅かされてひつくり返してしまうのです。そういうことが始終ありまして、五人くらいの
記者が会
つておるのに、全然会
つたことはないということを言われたりする。で私が豊受招宴
事件、その宴会を調べたいということで、岸君と二人で豊受に行
つたのです。当時その問題は檢察廳に言
つてあるが、二十日町民大会が済んでも、この豊受招宴の闇の揉消だという
事件に対しては、全然檢察廳が調べようとしいない。我々の手で
事件を究明する。で毎日新聞は、あれは織物業者の招宴でも何でもない、あれは
警察の懇談会だ、あれは公安委員の連絡協議会だ、こういうことを盛んに書いた。併し織物業者は自分が招待したという立場に立
つておるから、本元に行
つたら、分るだろうというので二人で
行つて話して、そうして靜米門という人に会
つて話を聞いたら、あれは織物業者の招待だ、こういうことを言うのです。で
本庄警察で何か懇談するというが、どんな懇談をするか、何か毎日の記事を見ると、原料が
本庄警察に押えられるが、正規の物が押えられては困るから、押えられないようにする懇談だと言
つておるが、それは事実か、押えられたことがあるかと言
つたら、そんなことはない、あれは單なる織物業者の招待だということで、それ自体が今までの事実をひつくり返す、つまりあの宴会は正当なものだ、公安委員会とか協議会とかはあとで附けた名前です。そういう弁解を全部ひつくり返してしまう
言葉を靜米門がしやべ
つた。私はそれをメモに取
つてお
つたから、原稿用紙で四枚くらいだが、それを靜氏に見せて、あなたの言うことはこういうことか。そういうことだ。では一つ署名か何かしてくれないか、我々は始終記事をひつくり返されて困る。いや、個人の名前が出たら困る。それでは自分がここに來た印でもいいから、卓上にあるスタンプでも何でもいいから捺さしてくれと言
つて、捺して帰
つて來た。
ところが
田上檢事がこれを聞込んで、これは印鑑盗用だと言
つて、すぐに豊受付に行
つたのです。行きまして豊受付の宴会の本筋など一つも調べないので、僕のや
つた印鑑盗用
事件を專門に調べて、そうして翌日ですが、翌々日ですか、私を檢察廳へ呼付けると、それと同時に各新聞社で、朝日の
記者が印鑑盗用被疑
事件で引張られた。そういう檢事と新聞の連絡の下にそういう拔討的の記事を発表したのです。それは私が
田上檢事と前に会
つたとき、実に
關口の口からも、野上檢事が荒井の家へ
泊つたということを聞いておる。
田上檢事に謎をかけたらぼろが出るのじやないかという、
ちよつと
記者的のは
つたりから、野上さん、あなた行田の方へ
行つて泊つたじやないか、こういうことを言
つたことがある。そうしたら野上檢事が
ちよつと狼狽してお
つたが、いや、そんなことはないということに言
つてお
つた。
併しこれは、これから私の推測ですけれども、
田上檢事は、そのときにすでに行田の
事件、荒井の
饗應事件その他を私に握られて、朝日新聞が前々からマークしていたということから、
田上檢事からは印鑑盗用
事件で私を引張る。引張
つて両方の問題を相殺する。こういう意図ではなか
つたかと思います。これは勿論測です。
その後どうしても我々としては、印鑑盗用を起訴されようと、それからそれがどんな問題に発展しようとも、印鑑盗用は印鑑盗用として、若しこつちに
惡いことがあ
つたらどんどんや
つてくれ、併し我々の方では、熊谷の檢事局のボス
事件は究明する、こういう態度に出た。それで
關口が
田上の所に事実を告げた。で
田上があわてて、まあその問題は内々にしてくれという、そういう
意味の覚書をよこしたと思います。