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1948-12-09 第4回国会 参議院 文部委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年十二月九日(木曜日)
—————————————
委員氏名
委員長
田中耕太郎
君
理事
河崎 ナツ君
松野
喜内
君
高良
とみ君
岩間
正男
君
委員
梅津 錦一君 若木 勝藏君
小野
光洋
君
左藤
義詮君
大隈
信幸
君
木内キヤウ
君
梅原
眞隆
君
河野
正夫
君
堀越
儀郎
君
三島
通陽
君
山本
勇造
君 中野 重治君
鈴木
憲一
君 西田 天香君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
教育公務員特例法案
(
内閣送付
)
—————————————
午後二時三十四分開会
田中耕太郎
1
○
委員長
(
田中耕太郎
君) それでは
文部委員会
を開会いたします。先刻
予備審査
のために付託せられましたところの
教育公務員特例法案
につきまして、
政府当局
の
提案理由
の
説明
を願います。
下條康麿
2
○
國務大臣
(
下條康麿
君) 本
委員会
に付託になりました
教育公務員特例法案
につきまして、その
提案
の
理由
を御
説明
いたしたいと存じます。 六、三の
義務教育制
を根幹とする新
学校制度
は、今や著々
実施
を見つつあるのでございますが、直接新
教育実施
の任に当る
学校
の
校長
、
教員等
の選任を公正且つ適切ならしめると共に、
教員
の地位を確立し、以て
教員
をしてその
職務
に專念させることは、
教育刷新
、
教育振興
の
基礎條件
でありまして、現下における喫緊の要務と考える次第であります。
國家公務員たる者
につきましては、
國家公務員法
の
規定
がありまするが、これを全面的にそのまま
学校教員
に対して適用することにつきましては、その
職務
と
責任
の
特殊性
に鑑みまして、必ずしも適当ではなかつたのみならず不十分と思われる点もあるのであります。これにつきましては、
國家公務員法自体
におきましても、かようなものについて
特例
を設け得べきことを
附則
の第十三條に
規定
しているわけであります。 ここにおきまして、
政府
は先に第二
國会
に
國家公務員法
の
特例法
として、
教育公務員
の
任免等
に関する
法律案
を提出いたしたのであります。併し
同案
は
國会
の会期の
関係
上成立を見るに至らなかつたのでありますが、
國会
におきましては、
同案
の
重要性
を認められまして、閉会中も
審議
を續行する旨を議決され、
從つて
第三
國会
に
継續案件
とな
つて
おつたような次第であります。然るところ第三
國会
におきまして、
同案
に対する
一般法
たる
國家公務員法
の改正が行われましたので、これに
伴つて同案
にも所要の修正を施す必要が生じました。又一方におきましては、
教育
の
地方分権
を目指す
教育委員会法
は、去る七月十五日から公布施行され、十一月一日から都道府
縣及び
五大市、その他若干の市町村において
教育委員会
が成立いたしました。
公立学校
の
教員
は、現在官吏の
身分
を持
つて
おりますから、かくてはこれらの者の
身分
の
所轄廳
たる
教育委員会
の性格に適應しないことになりますので、この際これらの者の
身分
を
地方公務員
に切替えることが適当であると共に、
教員
の
人事
に対する
教育委員会
の
関係
を具体的に明示する必要があると思うのであります。 以上の点に基きまして、
教育公務員
の
任免等
に関する
法律案
は、先に第三回
國会
の承諾を得てこれを撤回し、更に檢討を重ねたのでありまするが、この際成案を得ましたので、ここに改めて
教育公務員特例法案
として提出いたしたような次第であります。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
でありまするが、次にこの
法案
の要点を御
説明
いたしたいと思います。 先ず
本案
の
適用範囲
でありまするが、それは
國立
及び
公立
の
幼稚園
から
大学
までの学長、
校長
、
教員
、及び
部局長並び
に
教育委員会
の
教育長
、及び
專門的教育職員
であります。
本案
では、これらのものを総称して
教育公務員
と称することとしたのであります。
從つて國立学校
の
校長
、
教員等
は
國家公務員
たる
教育公務員
であり、
公立学校
の
校長
、
教員等並び
に
教育委員会
の
教育長等
は、
地方公務員
たる
教育公務員
ということになる訳であります。 次に
一般公務員
に対する
特例
として
規定
いたしました主要な事柄は、次の三点であります。第一は
採用
及び
昇任
の
方法
に関する点であります。
國家公務員法
によりますと、
職員
の
採用
及び
昇任
は、
原則
としてすべて
競爭試驗
によることとな
つて
おりまするが、
一般
に
教育者たる
に必要な
人格的要素
は、
競爭試驗
によ
つて
は到底判定し難いものと考えられます。而も
高等学校
以下の
学校
の
校長
、
教員
並びに
教育委員会
の
教育長等
の
教育公務員
につきましては、嚴正な
手續
を経て下付される
校長
若しくは
教員
又は
教育長等
の
免許状
を持
つて
いることが、必須の
資格要件
とされているのでありますから、その上に
競爭試驗
を行うことは不必要であり、又不適当とも考えられるのであります。特に
大学
の
教育公務員
につきましては、その
職務
の性質上、極めて專門化された学力、技能を必要とするのでありまして、
競爭試驗
によることは不適当でもあり、且つ、
実施
困難の場合が多いとさえ想像されるのであります。 以上申述べました
理由
により、
教育公務員
の
採用
及び
昇任
は
競爭試驗
によらず、適正な
選考
によ
つて
行うべきであり、この点に関する
規定
を
本案
に設けたのであります。 第二は
研修
に関する点であります。
教育公務員
はその
職責
の遂行上、当然
研究
と
修養
に努めなければならないものでありまするから、この点につきまして、
國家公務員法
の
教育訓練
に関する
事項
を積極的に拡充明示して
規定
いたしたのであります。 第三は
学問
の自由の
保障
と
大学
の
自治
の尊重に関する点であります。
大学
の
教員
の
人事
に関しましては、
從來慣例
上、
大学自治
の
原則
が認められていたのでありまして、今後も
大学
の
自治的運営
に俟つことを大体とし、その
任免
、
分限等
につきましては、
大学
の
自治機関
の定める基準によりまして、各
大学
で自主的に行うのが適当と考えるのであります。從いまして、その
採用
及び
昇任
の
方法
の外に、
分限
、
懲戒
、
服務等
についても相当の
特例
を設けたのであります。 その
外校長
、
教員等
の特殊な
職責
上、
詰核性疾患
による
休職
については、その期間を二年とし、その間俸給の全額を支給し得ることとして、被
教育者
と
教育者双方
の保健の促進を期し、又
校長
、
教員等
が本務以外に、
教育
に関する他の
職務
に從事することができる
規定
を設けるなど、
一般公務員
に対する
特例
を
規定
いたしたのであります。 以上
簡單
でありまするが、この
法律案提出
の
理由
と
内容
の大要について
説明
いたしたのでありまするが、何とぞ
愼重御審議
の
上速
かに御議決あらんことをお願いする次第であります。
辻田力
3
○
政府委員
(
辻田力
君)
只今文部大臣
から本
法案
の
提案理由
並びに
内容
の
主要点
につきまして御
説明
があつたのでありますが、私からこの
法案
につきまして若干詳しく御
説明
を申上げたいと存ずる次第でございます。 この
法案
は四つの章に分れておりまするが、その第一章の総則におきましては、この
法律
の制定された趣旨並びにこの
法案
の中に掲げられております特別の
事項
につきましての
定義等
を書きまして、尚第三條におきまして、
從來官吏
の
身分
を持
つて
おりました
公立学校
の先生が、
地方公務員
として
身分
を有することをはつきり
謳つたの
でございます。 第二章におきましては、この
法案
の中核をなすものでありますが、
只今大臣
から御
説明
のございましたように、
幼稚園
から
大学
に至るまで
採用
と
昇任
については、全面最に
國家公務員法
の
一般
的な
原則
でありまする
競爭試驗
の
方法
をとりませず、
選考
によ
つて採用
並びに
昇任
をいたすということを謳つたわけであります。尚
大学
につきましてはこの
採用昇任
の外に、
轉任或い
は降任、免職、
休職
或いは任期、停年、
懲戒
、その他
服務等
に特別に、
大学
としての
自治
の精神、
大学
の自主情或いは
学問
の自由の
保障
という観点から、それぞれ
大学
におきまして、
原則
として
自治
的に自主的に運営できるような
規定
を各條に設けた次第であります。 この第三節におきまして、
教育委員会
が設置されました後の
教育長
、
專門的教育職員
について
身分
が限定されておらなかつたのであります。それに関しまして
採用
及び
昇任
の
規定
を設けまして、
教育長
及び
專門的教育職員
の
身分
の取扱を明らかにいたしました次第でございます。 それから次に
教員
はその
職務
と
責任
の
特殊性
から考えまして、
研究修養
ということは常になさなければならないし、又それが單に義務的になされるということでなくして、権利的にもそういうことができるような仕組をしておかなければなりませんので、そういうふうな
研修
に関する
規定
を特に明記いたしまして、
一般
の
公務員
については極めて
簡單
な
規定
しかありませなのでありますが、本
法案
におきましては相当詳しい
規定
を設けまして、
教育者
が本然の
職務
を十分遂行されるに必要な
研究修養
をなし得る機会を持つようにしたのであります。 尚その他の点につきましては、
附則等
におきましていろいろ経過的な
規定
或いは他の
法律
との
関係等
について
規定
してございますが、これらにつきましては、各條について御
説明
いたしまする際に、詳しく申上げて御了承を得たいと思
つて
いる次第であります。 甚だ
簡單
でございますが、概略申上げた次第であります。
田中耕太郎
4
○
委員長
(
田中耕太郎
君)
速記
はよろしうございます。 午後二時四十八分
速記中止
—————
・
—————
午後三時十四分
速記開始
田中耕太郎
5
○
委員長
(
田中耕太郎
君)
速記
を始めて……、それでは本日はこれにて散会いたします。 午後三時十五分散会
出席者
は左の通り。
委員長
田中耕太郎
君
理事
松野
喜内
君
高良
とみ君
岩間
正男
君
委員
大隈
信幸
君
木内キヤウ
君
梅原
眞隆
君
河野
正夫
君
堀越
儀郎
君
三島
通陽
君
山本
勇造
君
鈴木
憲一
君
國務大臣
文 部 大 臣
下條
康麿
君
政府委員
文部政務次官
小野
光洋
君
文部事務官
(
調査局長
)
辻田
力君