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政府委員(
今井一男君) 今回の
人事委員会の家族手当の
算出は、いわゆる理論
生計費に基きまして、二人目は夫婦、三人目は三歳の子供、家族四人のときは三歳と八歳、こういうふうな
一定の標準型を採りまして、後は本人の計算を準用されてお作りに
なつたものであるかのように伺
つておりますが、これも勿論
一つの
考え方であり、計算の
方法には違いないと思うのでありますが、ただ全
官公のように非常に
職員の数が多い場合にはそういう雛型の
通りの人員構成ができておりませんので、果してそれをそのまま適用することが適当であるかどうかという点につきましては、私共のみならず、
政府の
関係事務当局の間に疑問が持たれたところであります。主といたしまして安本、
労働、
大藏各省の事務当局が協議いたしました結果が今回の案のようなことにな
つたのでありますが、CPSの分析によりますと、
お話の
通り本人を一〇〇といたしました場合に、一人目が四三・七、二人目が三八、三人目が三三・二、四人目が三〇・三、五人目が二八・四、六人目が二六・七、七人目が二五・五、八人目が二四・四と、明らかに逓減を示しております。そうい
つたことからこれはやはり逓減すべきが理論的であると、こうい
つた考え方も出たのでありますが、この逓減をするという案は、又
給與支拂の上に極めて面倒な操作もございますので、そこは大掴みに一應最も経費の余計掛かります妻だけをこういうふうに採上げまして六百円、四百円と抑えたわけであります。尚これをかようにいたしました
一つの大きな
考え方は、やはり
民間におきましての家族手当の例を参酌いたしまして、大体
民間は概ねこの線のように相成
つておるように私共の部分的な調査では見受けられたのであります。尚又この家族手当で果してどれだけのものをカヴァすべきかという点につきましては、これ又非常に議論のあるところでございますが、一昨年アメリカから日本へ参りまして半年ばかり日本の
労働事情を調査いたしました派遣使節團の報告書によりましても、年齢と家族の
状態による
給與の差は速かにこれを廃せという勧告書が出ておることは原
委員の御
承知の
通りでございます。勿論現在の
段階におきまして家族手当を廃止することは不可能であることは申すまでもございませんが、いずれ本格的な職階制の時代になりましたならば、平時経済に移りましたならば、これは全部本條の中に込められなければいけないであろう。そうい
つたことからこれをこの部分の経費を除除に本俸に繰入れて行く方が、結局におきましてあるべき姿の
給與体系を築き上げるのに却
つて早途であろう、これを非常に大きくして置きますというと、却
つて実際に理想的な体系を採るために、
最後の時になりまして非常に邪魔になりはしないか、のみならずこの点は現在の職階制と絡み合うのでありますが、現在の職階制というものは御
承知の
通り決して職階制というのもどうかというふうな
程度のものでございますが、御
承知の
通り日本の賃金体系にはいわゆる勤續給的な昇給の面が多分に織込まれております。これは本格的な職階制から見ますというと確に疑問の多い点でございます。多い点ではございますが、これは一朝一夕に止めますことも
実情とも合いませんので、現に本年四月全
官公廳と妥結いたしました線におきましては、この勤續給的な昇給というものを或る
程度認めておるのであります。即ち終身職におきましては、この原則から大体二倍半から三倍ぐらいまでは上がり得るような幅に持
つて行く、或いは
労働價値につきましては大した差はございませんで、そうい
つた仕組を妥結したのであります。この妥結がいいかどうかも亦議論がございますが、そうい
つた観点からその中に家族給的な分子が入
つておる、そうい
つたことと絡み合せまして、現在
民間におきましては、大体從來は月收の十〇%乃至二〇%、これが家族給の割合でありました。それが今一〇%近いように言
つております。大体半分を
俸給に入れるといういわゆる電産樣式等によりますと、一五%乃至一八%が家族給のあるべき姿と言われております。今回の
政府案は、これは一四%ぐらいになろうかと思います。それで
人事院の案は三〇%に相成りますが、そうい
つたことは余りに急激な変化でもございまするし、又
人事委員会の案を採用するといたしましても、現在の職階制を根本的に覆えしまして、例えば郵便集配手のような勤續何十年いたしましても、大して
労働價値が上がらない、むしろ逆に下がるような職種につきましては、結局一生を通じて殆んど昇給を認めないという、こうい
つた組織に切替える必要もございましよう。そうい
つたことは大変な難作業でございますから、この際は、やはり
民間との権衝
程度の域に止とむることが適当かと、かような結論から六百円、四百円という数字が出た次第でございます。