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細川嘉六君 この前から、私がこの
委員会で、或いは本
会議でも申したから、すでにお分りだろうと思いますが、十一月の初め、
ナホドカから
舞鶴に至る船の中、或いは
舞鶴の
復員局の中で
リンチ事件が起きた。このことについては、
質問主意書において私は
返答を要求したのでありますが、その
返答が十一月二十四日付で参りました。
皆さん御覽のことと思いますが、これは非常に杜撰なものであります。例えばどの船でどんな男が來た、それが
住所が
不詳であ
つたり、年齢が
不詳であ
つたり、兵隊における階級が
不詳であ
つたりしておるのが相当あります。こういうことはあり得ないことなんです。
現実に乘船から
上陸の間において
調べがあるのですから、これは
不詳というこはとない。それが
不詳とな
つておる、どうしてこういうことができたか、
一つの例はそんなんです。又この
調査はな
つておらんことも一々指摘されるのでありますが、これは簡單にするためにこれだけしか申上げません。こういう
政府の
回答で、この
事件を片附けて置くわけに行かん問題だろうと思います。すでに私は述べましたが、
帰還者の間から出ておることとして、
ナホドカから
舞鶴に至る船で、航行中
帰還者が投げ込まれた。それから
舞鶴において人が足りなか
つた。それから航海中に三人も死んだ。或いは
上陸地で二三人死んだ、こういうことが傳わ
つておりますが、これについては何もここにその片鱗も窺うことができないのであります。併しながら
帰還者の間にこういう話が傳わ
つておるということ。それから殊に今年の五、六月から、
リンチ事件というものは起きておるのであります。そうして現に幾人かの人が海に叩き込まれるという瞬間に立ち
至つて船長を説いてこれを止めさせたという
事件もあります。それからその船の中において
復員官が煽動した。こういう
事件が起きるのを煽動しておるということが
一つ、二つの証拠として述べられておるばかりじやない、詳しいことは述べませんが、ここに一二の例を述べまして、
復員官なり、
援護局の係の者が、こういう
帰つて來る者の間に、
リンチ事件まで起きるような素地を作
つて置くということが、過去においてずつとあるのであります。これは私が
舞鶴に行
つたときに問題にした。
特別委員会でもすでに
調べに行
つたときに問題にしたのであります。ところがそのときも十分な
調査ができなか
つた。現にその船の某が
復員官に会いたいと
言つても会うことができません。その他
調べようとしても
調べ得ないのであります。
政府の
特別委員会での報告におきましても、六月の
事件のごときは、十分警戒しており、公平に取
扱つておりますから、そういう点はなくな
つておるということであります。ところが事実はその
反対で、段々と起きておる。今度は一番ひどいのが起きておるという次第であります。それでありますから、そういう船から
上陸地における係が、どういう措置をなしたかということについての
答弁は非常に曖昧であります。それでありますから、この
委員会は事実に即して、その事実に基いてなすべきことをなすというのならば、單に
感情で動いて事を片付けて行くことを欲しないならば、ここにこの問題についての事実を
調べをなすべきであると思うのであります。それで
委員会としてはなすべき方策を立て、それに処すべきだと思うのであります。それで第一に
被害者がおるのです。そうしてその
住所も分
つておる。だからその
被害者を
調べ、
証人としてこちらに出て
貰つて、又そのときの乘船者の
実見者、その中から公平に事実を述べられる
人達を呼んで
事情を聞き、それから更にその当時の
復員船に乘
つていた
復員官、或いは
援護局に
おい復員者を
扱つてお
つた責任者、それらの人についても聞く、そういうふうにしてこの
眞相は一体どうであ
つたかということをこの
委員会で
調査して、
はつきりした爭うことのできない事実を得たいものである、それでどうか
調査委員会を、
一つ小委員会と言いますか、どつちなりと全体で
調べる、何これについての仕組みをや
つて欲しいということを
提案したいのであります。