運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1949-02-09 第4回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十四年二月九日(水曜日)
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
社会保障制度
に関する
調査
の件
—————————————
午前十時二十三分開会
塚本重藏
1
○
委員長
(
塚本重藏
君) これより
委員会
を開会いたします。昨日に引續いて
内野
さんから各國の
社会保障制度
についての
お話
を承わることにいたします。
内野仙一郎
2
○
説明員
(
内野仙一郎
君)
社会保障
を
実施
いたし、又
実施
いたさんとしておりまする國は十指に余るのでありますが、
民主主義國
の殆ど全部がこれを採用し、又は採用せんとしているのでございます。この國々につきまして全部を全部細かく申上げるということは時間も許しませんので、若干の
主要國
を一覧表的に申上げてみたいと思
つて
おります。申上げまする
順序
は必ずしも現在
世界
の注目を浴びている國とい
つた
ところから始めませんので、むしろ
歴史
的な
順序
というところを主にいたしまして申上げますると、先ず第一は
ニユージーランド
、
イギリス自治領
でございますが、この國におきましては、
社会保障
とは
社会
によ
つて
フアイナンスせられるべき
社会
の
義務
であるという
定義
をば、理想に近い
体系
で全
世界
に先駈けて法制化し、
実施
しているのでございます。私の研究いたしましたところでは、
文字
通りの
社会保障
の基本的な型を示しているのがこの國であると思われます。
イギリス
の
ビバリツヂ・プラン
というものに、非常に深い示唆を與えたということが謳われておりますのも、極めて理由があることであると思われたのでございます。有名な
ビバリツヂ報告
の
最初
の書出しのところに、これは
ニユージーランド
の
社会保障
を
参考
にした云々という
文字
が見えているように聞いております。本國におきましても非常に自慢していると申しますか、自分の國には立派な
社会保障
があるということをは、私も直接
ニユージーランド
の
渉外館
に勤めておられまするミスター・
チヤリス
というお方から伺
つた
ことがあります。私がこの
チヤリス
さんにお目に
掛つたの
は一昨年の暮でございましたが、その当時はまだ
社会保障
というものが、
外國
におきましてどのような姿で
実施
されておるかということが、余り審らかに
なつ
ておりませんものでしたから、あちらこちらで聞きましたところによりますると、
ニユージーランド
に非常に完成した
社会保障
があるということでありましたので、私お伺いしたわけでございました。
チヤリス
さんも立派なものができておるのを見たいという人が訪ねて來たということに、非常に好意を持たれたのかいたしまして、本國へ
無線電信
で
社会保障省
の方から資料を
飛行便
で取寄せてくれたのでございます。從いまして
ニユージーランド
の
社会保障
の
内容
を比較的詳細に御紹介しましたのは、多分私が
最初
ではないかと思
つて
おります。但しこの
ニユージーランド
の
社会保障
と申しまするものは、前にも
お話
しましたように、
社会扶助
の方を主眼といたしまして組立てられた
社会保障
でありまするために、これを我が
日本
におきまして採用するという段になりますると、比較的完成いたしました
社会保險
の数々を持
つて
おりまする我が國の場合には、どの
程度参考
になるかということは相当疑問であると思うのでございます。併し非常に完成した
社会保障
があるということは申上げられると思います。 次に
デンマーク
でございますが、これは大体我が國の四
國程度
の小さな國でありまするが、
社会保障
に関しまする限り、相当長い
歴史
を持
つて
おります。併しながらこの
デンマーク
の
社会保障
は、
社会保障
という
理念
が
國際労働機関
、或いはその他で問題になり始め、大体
社会保障
というものがどういうものであるかということが
定義
付けられまする前に着手された
社会保障
でありまするために、現在の
社会保障
の
理念
からいたしますると、少し無理なところがあるのではないかと思われまする。その点は
任意制度
の上に
強制色
をも織り込んだ準
任意制
の基礎の上に組立てられておるということであります。それは全國に対して
健康條件
と
資産條件
とによる
包括除外
ということをば
謳つたの
であります。
デンマーク
のやはり
渉外館
に私お伺いいたしまして、そこのレフラーさんという
事務官
から
お話
を伺いましたところが、近く
デンマーク
においても、新しい型の
社会保障
に切換える準備を進めておるということでございますから、近い
將來
に基本的な改正が行なわれ、本当の
意味
の完全な
社会保障
ができるのではないかと思
つて
おります。
デンマーク
につきましては後で些か細かく御説明申上げます。 次に
イギリス
につきましては、前に部分的或いはピツク、アツプしたものではありましたが、一應話をしてございますので、特に申上げませんけれども、大体が
ビバリツヂ・プラン
によりまする練り抜かれた構成が見られるのでありまして、我が國のように
社会保險
を主にして、これから
社会保障
を組立てて行くとい
つた
場合には、最も
参考
になる
制度
ではないかと思
つて
おります。 次に
アメリカ合衆國
は
社会保障
を一九三八年から
実施
しておるのでありまするが、昨日も申上げましたように、この
社会保障
は全
國民
を直接の
対象
といたしました
社会保險
を主にいたしておりませんで、
労働者
、
働らく人たち
の
社会保險
を主にいたしまして、それにその他の
社会扶助
、或いは
社会サーヴイス
とい
つた
ようなものを、困
つて
おる
人たち
に支給しようといたしまする点で、
イギリス
、
ニユージーランド
に比べますると、些か未完成なものではないかと思われるのでありまするが、それは
制度
の上からだけ眺めてさように思われるので、実際問題といたしましては、現在の
アメリカ
のような好
條件
に惠まれておる國におきましては、
十分効果
を挙げておる立派な
社会保障
だとも言えると思
つて
おります。 次に
ソ連邦
でありまするが、
ソ連邦
は
御存じ
のように、
社会主義國
の
社会保障
でありまする
関係
からして、
働らく人たち
に対する
給付
は、他の諸
外國
に比べますると、非常に至れり
盡せり
というようなものでございます。これも後の各説項におきまして
お話
し申上げるつもりでおりまするが、
ソ連邦
の一九三三年の
憲法
の中に明かに謳
つて
あるのでありまして、
文字そのもの
は私忘れましたけれども、大体の趣旨が
國民
の健康その他
社会
不安の原因となるものに対しては、
社会保險
を以て保護せられるのであるということが、
憲法
の中に明かに謳
つて
あるのでございまして、この点は我が國の
憲法
二十五條によりまする
社会保障云々
の
文字
よりは、はつきりいたしておるのでございます。 次にフランスは一九四六年七月一日に大体
社会保障
に該当する
國民保險
と申す
法律
は、
議会
の協賛を経ておるのでありまして、ただその
実施
時期は、戰前であるところの一九三八年の生産に比べて、一二五%に達するまで、
実施
を見合せようということに
なつ
ておるのでありまするが、
法律
の
趣旨自身
は、
國民
によ
つて可
とせられておるのでありまして、近き
將來
におきまして、
社会保障
が
実施
せられるであろうと想像されます。 又戰禍から免れましたスエーデンは、從來の
任意社会保險
を切り替えまして、一九四六年六月二十九日の
一般強制労廃保險法
と、いま
一つ
は一九四六年十二月十八日の、
國民健康保障法
と申す
二つ
の
法律
が
議会
を通
つて
おるのでありまするが、ただこれが
実施
は一九五〇年から
実施
しようといたしておるのであります。その他オランダ、
ベルギーあたり
も大体これにならいまして、たとえ今回の戰爭におきまして非常な打撃を受け、こうい
つた
社会保險
から
社会保障
への進展も立ち遅れたとは申しながら、いずれの國も
社会保障
への情熱を以て進行しておるのであります。 只今申上げましたのが、
世界
各國の
社会保障
につきまして、私が観察いたしました
程度
のことをごく大まかに申上げたのでありますが、それではこれらの國々における
社会保障制度
の面という点から総括して見たら、どんな
工合
になるだろうかと考えまして、一應総括的に申上げて見ますと、第一番に被
包括者
、つまり
社会保障
に入
つて來
る
人間
はどういう者であるかと申しますと、各國とも、大体
老幼男女
一切の
國民
を
対象
としておりまして、國によ
つて
は
資産
の
條件
とか、
健康條件
とか、或いは又
一定期間
その國内に定住していたのでなければならないというような
條件
はつけておるのでありますが、大体一般
國民
を全部含めるというのが
原則
に
なつ
ております。 次に
給付
はどんなことかと申しますと、これは現在までありました
各種
の
社会保險
が、
社会危險
であると認めて支給しておりまする
保險給付
と、それに
社会扶助
の領域に入りまするいろいろの
給付
、これを合せて支給しておるのであります。これはこの
二つ
の要素である
社会保險
の
給付
と、
社会扶助
の
給付
が一緒に
なつ
たものが、
社会保障
でありまする
関係
から当然のことであります。そうして
金銭給付
と
現物給付
、この
現物給付
は主として
医療サーヴイス
でございますが、中には
主婦
が
病氣
で寢ている如き場合には、その家事の
手傳い
をさせるために、
無料
で
派出婦
を派遣するというような
サーヴイス
まで含んでおりまするが、かような
現物給付
と
金銭給付
は所管を別にいたしました
二つ
の省がこれを
取扱
つて
いるというのが大体の
原則
であります。それで
金銭給付
の方は、
最低生活
の
保障
という点に
基準
がおいてあります。一方
現物給付
、即ち
医療サーヴイス
の方は、
医療國営
の形でこれを
実施
している國が多いし、又
將來医療國営
型ででこれを
実施
しようとしている國々が多いのであります。又併しこの各國とも
医療サーヴイス
の面におきましては、お
医者樣
が相当強い反対をいたしておりますることからいたしまして、その
診療報酬
の問題につきましては、各
國政府
それぞれ悩んでいるというのが、現在の事情のように思われます。次に財源はどういうことかと申しますると、大体
フラツト・レイト式
、これは
日本語
に訳しますと、基同
均一式
ということになりますが、この基同
均一式
掛金
によ
つて
いる場合が多うございます。併し中には又
所得税
式によ
つて
いる國もございまして、必ずしも軌を一にしておりませんが、何らかの樣式で
國民
の全部、又は一部から
掛金
を徴收しているのでございます。一方
事業主
から
掛金
を取る、取らないの問題につきましては、
事業主
に対しましては、
社会保險
におけるような
意味
から、
掛金
をさせているという例はむしろ少い方でございます。尚、國だとか
地方自治團体
からの
補助金
は、各國とも多額に支出されております。
最後
に施行はどんな
工合
に
なつ
ているか、これは
國家
が省であるとか、或いは局であるとか、それの
地方下部組織
を新らしく設けまして
事業
を
運営
している場合と、一面又
デンマーク
におけるように、
地域組合
、或いは
職域組合
を中心にして、この
事業
を始めているという國もございます。以上が各國の一
覽表的観察
とそれから
制度内容
を総括して観察して申上げたのでございます。 以下各國をいささか詳しく申上げたいと思うのであります。
最初
に
ニユージーランド
を申上げたいと思
つて
おりまするが、これは一九三八年九月十四日の
総合的社会立法
、即ち一九三八年の
ニユージーランド社会保障法
、これによりまして
運営
しているのでありまするが、この
内容
は
國際労働機関
の
常務理事
でありましたフエランという方が発表せられておりまする「
國際労働機関
及びそれの対策」という
報告書
によりますると、次のように言
つて
おります。全
國民
に対して老齡、
癈疾
、
疾病
、
失業
及び一家の
稼ぎ手
を失
つて
いるということに帰因して
生活
に困
つて
いるというような場合に、
最低生活標準
を維持し得る
給付
を支給しようとする全
世界
で
最初
の
法律
であると、この
ニユージーランド
の
法律
を批評しておるのでありまするが、この
意味
は、今までその他の國々におきましても実際上の
社会保障
はあ
つた
かも知れません。例えば
ソ連邦
とか
デンマーク
などでは、実際上の
社会保障
はあ
つた
かも知れませんが、
法律
で
社会保障
とし、又その
内容
を
近代的社会保障
のセンスから取上げたものは、この
ニユージーランド
が
最初
であるという
意味
でございます。この
イギリス
の
社会保障
の前例と
なつ
た
ニユージーランド
の
社会保障
がどうしてできたかということにつきましては、私かねがね深く掘下げて研究したいと思
つて
おるのでありまするが、まだそこまでは手が届きませんが、大体
ニユージーランド
におきまする
社会保障
の
体系
というようなものを、我が國におきます
社会事業家
として有名な
生江孝之先生
につきまして、いろいろその
実地視察談
を聞かせて頂きましたのでございますが、これによりますると、ニユードーランドという國は、
御存じ
のように、
氣候温暖
で、人口は適当な割合で分布されており、
生活
も非常に樂である、戰爭中におきまする食物の
カロリー
その他も、諸
外國
を引離して高い
カロリー
を保
つて
いる、又土着の
人間
である
マオリ種族
というのがおりますが、これなどに対する
取扱
も極めて公平なものでありまして、
マオリ族
の中から代議士の方とか、或は又
厚生大臣
なども出ておるそうであります。これを以てしても
ニユージーランド
が如何に人種というようなものに対する差別というものを、外の國に較べてより以上撤廃しておるかということがわかる訳でございまするが、而も
ニユージーランド
に住んでおります
イギリス系
の方々は、非常に家柄の良い方々から成立
つて
おるそうで、
ニユージーランド
に
行つた
場合には、むしろ祖先の話をしたらその土地の人は喜んでくれるというふうだそうであります。そういうようなことからいたしましてか、
社会政策
が非常に発達いたしておるのでありまして、例えばあちこちの國で眺められまするところの
労働者
の住宅の如きも、
長屋建
のものは殆んどないということであります。その他
各種
の
社会事業
、或いは
社会扶助
というものが、元來非常に発達してお
つたの
でございまして、今日これから
お話
しようとする
社会保障
のいろいろな
給付
というものは、今まですでに長いこと、この國において行われてお
つたの
でありまして、一九三八年の
社会保障法
ができて初めて
実施
されたという
給付
ではないのであります。むしろ新らしくできた
社会保障法
は、今まであ
つた
すべての
社会政策
が行
つて
おりまして
給付
を、ただ法制化したに過ぎないようなものであるという印象を受けたのでございます。併しやはりこの國におきましても、
イギリス
の
社会保障
ができまするときに、相当
國民
の間、或いは
利害関係者
の間にいろいろな物議を釀したと同じように、やはりこの國におきましても、
社会保障
ができまするときには、相当な反対があ
つた
かのようであります。その当時の
労働関係
でありました
サーページ
という方が、大変に努力してこの
法律
を樹立したということが傳えられております。かような
背景
があ
つた
ればこそ、今日のこうい
つた
完全な姿の
社会保障
というものも組立てられたのではないかと考えております。この國の
社会保障
を一口に申上げますと、大体次のようなことになります。
社会保障
とは
社会
が賄うべき
社会的義務
である。こういう
定義
の上に
社会保障
の
給付
は人が生れたときから支給して、
掛金
はその人が大人に
なつ
たときから支拂わせるという
根本原則
に從いまして、全
國民
に対しまして
老齢
、
癈疾
、遺族、
失業
、
家族手当
、それから
疾病
の諸危險の
給付
を支給しまして、これが費用といたしまして、全
國民
が十六歳で登録されて成年と
なつ
たときに
掛金
の
義務
を負うということに
なつ
ております。そうして
掛金
の高は
收入
の約五%を醵出させる仕組みに
なつ
ております。
給付内容
は概して高い
基準
に置かれておりまする
ミンステスト
、
ミンステスト
と申しますのは
資産調査
と、
日本語
では訳しておりますが、
ミンステスト
によりまして、或いは又
給付
によ
つて
はこの
ミンステスト
を行わないで困窮の度合に應じて差等をつけつつ
給付
を支給しようというふうに
なつ
ておるのであります。只今極く大まかに述べましたが、少しく詳細に亙
つて
申上げますると次のようなことになります。 第一番に
事業
の
運営
はどういうふうに
なつ
ておるかと申しますると、一九三九年四月一日に創設されました
社会保障省
が
金銭給付
を
取扱
います。一方
現物給付
は
保健省
というのが
取扱
います。それでこの
社会保障省
は
社会保障委員会
というものによ
つて
その
運営
を助けられておりまして、この
委員会
は大体
社会保障大臣
の監督の下にありまして、
委員
は
社会保障省
の
首脳官吏
及び三人の
公務員法
の下にある官吏として指名された者から成
つて
おりまして、全國に十九人存在しております。これが
事業
の
運営
に当
つて
おります。 一方
金銭給付
にはどういうものがあるかと申しますと、
老衰給付
、これは
老齢給付
と違うのでございます。
老衰給付
、これはすべての
國民
が六十五に達しましたときには
ミンステスト
なしに年に十ポンドを支給しようというのでございます。それから
老齢給付
、それから
廃疾給付
、
寡婦給付
、
孤兒給付
、
家族給付
、
鉱夫給付
、これは鉱山にありまする鉱夫に対する
給付
であります。それから
疾病給付
、これは勿論
手当金
だけでございます。
現物給付
の方は後で申上げます。
失業給付
、それから
緊急給付
、エマジエンシー、緊急なことに対する
給付
、それから
マオリ戰爭
というものが大分以前にお
つたの
でありまするが、この
マオリ戰爭
に從軍した者に対する
給付
、
マオリ戰爭給付
という以上の
金銭給付
があります。この金額或いは
支給條件等
細かく申上げておりますると、他の國々の事柄が申上げられませんので、簡單に素通りいたしますが、一方
健康給付
、
現物給付
の
健康給付
はどういうふうに
なつ
ておるかと申しますると、第一番に
國立精神病院サービス
、
分娩給付
、
病院治療
、
一般医師
による
健康サービス
、專門医の
サービス
、全時間嘱医の
サービス
、
医藥品
の
給付
、
エツキス光線
の
給付
、
マツサージ給付
、
地方看護婦
の
給付
、
最後
に
家事手傳人派出
の
サービス
、これは先程申上げました
主婦
が
病氣
で寢てお
つて子供
が沢山あるという家庭に対しましては、
無料
で
派出婦
を派遣しようという仕組でございます。 次に財源はどういうことに
なつ
ておるかと申しますると、全
國民
すべての俸給、賃金及びその他の
收入
の各ポンド毎につきまして、一シルリング六ペンスを醵出せしめておるのでございます。大体この
掛金
の集め方は、
所得税
の
掛金
を集めるのと同じ方法でやられると言われておりまして、この
掛金
は
社会保障基金
という
特別会計
に
なつ
ております。先程も申上げましたように、十六歳即ち成年に達した全
國民
は登録をいたしまして、この
社会保障掛金
の
義務
を負うことに
なつ
ておりまして、この
社会保障掛金
の
義務
というのは税金に準ずるごとき嚴格な取立てを受けるようで、例えばこの
掛金
を完納しておらないと
國外
に旅行する
旅行免状
も下付されない、船に乘
つて
行く場合、或いは飛行機に乘
つて
行くような場合には、
國外
の旅行は許可されないというふうに
なつ
ております。
ニユージーランド
におきまする
社会保障
につきましては、私が書きました各國の
社会保障設計
と申しまする本の大体三分の一を費やしまして詳細に書いてございますので、この方で御覧願いたいと思
つて
おります。 次に
デンマーク
でございますが、この
デンマーク
におきまする
社会保障
は、先程も申上げましたように、その発生が極めて古いのでありまして、一九三三年の頃から
実施
しております、この國は
社会保障
は次のような四つの
制度
から成立
つて
おります。第一に
國民保險
、この
國民保險
は
疾病保險
と
癈疾保險
と
老齢年金
というものから成立
つて
おります。それから
災害保險
、それから
職業紹介
及び
失業保險
、それから
最後
に
社会扶助
というこの四つの
制度
からこの國の
社会保障
は成立
つて
おりまするが、諸
外國
特に
イギリス
或いは
ニユージーランド
に比べまして、この國の
制度
には、全然
違つた基礎
の上に組立てられてある点は、
地域組合
を主にいたしました
組合組織
を以てこの
社会保障
が
運営
されておるということであります。これは
市町村單位
の
地域組合
を設けまして、これを
所管大臣
が認可して
公認組合
となるのでございます。この
公認組合
の
組合員
は、その地域に住んでおるすべての人と言うことに
なつ
ておりまするが、
資産関係
からこれを
二つ
の
組合員
に分けてあるのでありまして、
賛助組合員
と
正規組合員
との
二つ
に分れておるのであります。
正規組合員
と申しまするのは、
掛金
を拂
つて
決めてありまする一切の
給付
を全部が全部受けられるのでありまするが、一方
賛助会員
と申しまする方は、
一定
の
資産
以上を所持しておりまするいわゆるお金持でありまして、これらの人々は
掛金
だけは取られるけれども、
給付
は一時停止されておるという形になりまして、その金持が万一何かの事情で
一定
の
資産限度
以下に落ちた場合に、初めて
給付
の
請求権
が発生するというような行き方に
なつ
ております点に特徴があると思われるのでございます。話が前後いたしましたが、この
デンマーク
に比較的完成いたしました姿の
社会保障
が一九三三年当時から出來上
つて
おりましたのも、やはり
ニユージーランド
におきまするような
社会的背景
が
社会保障
を打立てるべく完成してお
つた
と言えるのでございまして、最近
ニユージーランド
の
渉外館
に行きまして、最近の
写眞
など見せて貰いますと、如何にも
社会事業
の
デンマーク
、ソシアル・
デンマーク
という言葉を如実に感ずるようないろいろな新らしい
写眞
を見せて貰いました。それによりますと、働く
人たち
が何千台という自轉車に乘りまして郊外を
厚生事業
の
一つ
として、
保健施設
として自
轉車旅行
をしておるような絵もありました。又一年に約二十日間ぐらいの
有給旅行
を許されまして、風光明媚な地に数多くのヒユツテが建
つて
おりまして、ここで働く
人たち
が
保健施設
を味わうことができるというような
写眞
を見せて貰いました。又そのときの話にも、我が
デンマーク
においてはお
百姓
さんというものを非常に尊敬しておる。
総理大臣
にも曾てお
百姓
さんであ
つた人
が
なつ
た例もある。お
百姓
さんは決して嘘を言わないから我々わ尊敬するのだと言
つて
おられましたが、嘘を言わないお
百姓
さんが
総理大臣
にな
つたの
でありますから、恐らく嘘は言わなか
つた
だろうと思うのでございますが、又
御存じ
のやうに
協同組合
が、
世界
一の
協同組合組織
を持
つた
ものが
デンマーク
であるということはこれはもう周知の事実でありまして、
協同組合
の観念は延いては
社会保障組合
の観念にも及ぶわけでありまして、こういうよき
背景
がありましたればこそ、
社会保障
も一九三三年の昔から樹立されてお
つた
と思われるのでございます。
給付
の
内容
につきましては特別に申上げる程の変
つた
ものはないように思われます。大体
社会保險
が予定しております諸
給付
と、
社会扶助
が予定しております諸
給付
が支給されております。 次に
イギリス
につきましては、断片的でありまするが、今まですでに
お話
がありまするので省略いたします。 次に
アメリカ合衆國
の
社会保障
について申上げますると、大体
アメリカ
の
社会保障
は、
二つ
の
社会保險
と
三つ
の
社会扶助
と、更に又
三つ
の
保健福利サービス
から
なつ
ております。
社会保險
は
失業保險
と
老齢
及び
遺族保險
の
二つ
、又
社会扶助
は
老齢扶助
、
盲人扶助
、それから扶養せらるべき兒童への
扶助
、この
三つ
、又
保健
及び
福利サービス
は
兒童福利サービス
、
不具兒童
への
サービス
、
母子保健サービス
、この
三つ
の
サービス
、以上八つのプログラムから
アメリカ
の
社会保障
は成立
つて
おるのでありまして、私が今かように申上げますると、すぐお感じになると思うのでありまするが、
世界
各國にありまするような
健康保險
というものがこの國の
社会保障
には欠けておるのであります。一昨々年でありましたか、やはり
健康保險
に類似しました
制度
が案となりまして
議会
に出たことがあ
つたの
でありまするが、これは
リンケル國民保健計画法
というのが出たのでありましたが、一九四六年十一月十九日に第七十九
議会
に提出されたのでありましたが、これは
議会
を通過しませんでした。
從つて
現在も
健康保險
、或いは諸
外國
におきまする
社会保障
で行う
健康保險サービス
というものは現在
アメリカ
にはないのでございます。御存知のように
健康保險
と申しまするものが
社会保險
の嚆矢として前世紀末にドイツに端を発しまして、諸
外國
において次々と採用せられ、
日本
のごときも長い二十年の
歴史
を持
つて
おるのでありまして、
健康保險
というものが
社会保險
、
從つて
それの発達した
社会保障
におきまして極めて重大な地位を持
つて
おるということは論を待たんのでありまするが、これが
アメリカ
におきまして末だ欠けておるというのは、誠に遺憾なことでおりまするが、これも一面から見ますというと、完成した
社会保障
を持
つて
おるということは角度を換えて見ますと、余り自慢にならない話だとも言えるのであります。結局
社会保險
とか
社会保障
と申しますのは、
社会
的欠陷を補うための
制度
なのでありまするから、
社会
的欠陷のない
社会
であるならばこういうものは不必要なのでありまして、本來
社会政策
とか、
社会保險
とか、
社会保障
というものでなくと、而もうまく行
つて
おるのには及ばないわけなのでありますから、
社会保障
の完成必ずしも自慢にはならんわけでございますから、
アメリカ
のような比較的
社会
不安の少ない國におきましては、現在ありまする
程度
の
社会保障
でも十分ではないかとも考えられます。 次に
ソ連邦
の
社会保障
につきまして
お話
いたします。先程も申上げましたように
社会
主義を実践しております國によ
つて
行なわれる
社会保障
でありまするから、諸
外國
に比べまして、即ち資本主義の下に
社会政策
を行う場合に比較いたしますと、極めて有利な
條件
の下にこれを組立ることができたのであります。
從つて
先程申上げましたように至れり
盡せり
の
給付
が支給されております。大体
ソ連邦
におきましては、
社会保險
と申しまするもの、即ち
社会保障
の前身であるところの
社会保險
と申しまするものを極めて重大に考えまして、一九一七年に労農政権が樹立いたされましたその日から僅か五日しか経たない五日の後に政府は
社会保險
に関する五大要綱宣言というものを発しておるのであります。これは第一には
社会保險
を一切の被傭者及び都市村落の貧民階級に適用しなければならない。第二に保險を労務不能の一切の場合についてこれを認めなければならない。第三に保險料は全部傭主側において負担せしめ、被保險者は
掛金
をしないようにしなければならない。第四に一時的労務不能或いは
失業
に際しては賃金報酬の全額が支給せられるべきである。諸
外國
におきまするように、賃金の五〇%を支給するとか、或いは六〇%を支給するとか、我が國の場合は六〇%でありまするが、かようなことではなくて全額を丸々支給するのでなければならない。第五に保險期間の更正については被保險者の完全な自治性を認めなければならないという五大要綱の発表いたしまして、この
社会保險
によりまして、労農政権の裏付とした感があるのであります。 以上のようなわけでありまするので、この國の
社会保險
が
各種
の
社会保險
部門を統一した一本立ての
制度
である。それから又被保險者の包括範囲が極めと開放的で廣汎である。
保險給付
の
内容
が被保險者の十分満足するに足るものであること。被保險者が無醵出であるということ。こういう
制度
と
なつ
て現われたということも当然であると思われるのであります。
ソ連邦
におきまする
社会保險
の予算は、その当時の他の諸
外國
に比べますると非常に厖大なものでありまして、聊か古い資料でありまするが、一九三七年の当時の收支予算が大体六十億ルーブル
程度
に
なつ
ておりました。又
ソ連邦
におきまする医療
制度
も諸
外國
と極めてかけ離れておりまして、
医療國営
と申しまするものが
文字
通りの形で表現されておりますると、又その
給付内容
も当時の
社会保障
になりまする以前の
イギリス
の
國民
健康保險
制度
の医療
内容
に比べますると、非常な相違があ
つた
ということを
イギリス
の專門家が言
つて
おります。例えば相当辺鄙な所で
病氣
を患
つた
という場合には飛行機に被保險者を乘せまして、相当の病院その他に輸送するというようなことまでや
つて
おりましたし、又夜間サナトリウムという特別のものを設けまして、工場におきまして仕事が済んで帰る場合には自宅に帰らないで、直接夜間サナトリウムに入ることに
なつ
ておりまして、そこで療養を受けて翌日又工場へそこから通うというような
制度
も設けてあります。 次にフランスはどういうふうに
なつ
ておるかと申しますると、フランスにおきましては終戰直後からすでに
社会保障
へ切換えなければならないという運動が起
つて
お
つた
そうでありまして、すでに一九四一年の
法律
によりますると、從前の雇傭如何に拘わらず六十五歳に達した賃金取得者に対しては、年に三千六百フランの
手当金
が支給されるというふうに改正せられておりまして、その当時からすでに
社会保障
への動きが見られたのであります。これが一九四六年七月一日の全
國民
を
対象
にした強制
社会保險
、即ち
内容
的には
社会保障
であるところの
國民保險
が
議会
を通過しておるのでありまして、ただ
実施
の時期が生産能力が一二五%に
なつ
た場合に初めて
実施
するということに
なつ
ております。尚、一九四六年の現在では生産の高は一九三八年のまだ七〇%にしか当
つて
おらなか
つた
そうでありますから、急にこの
社会保險
が、
國民保險
がすぐに
実施
されようとはちよつと考えられないのでございます。 それから
最後
にベルギーについてちよつと申上げますと、ベルギーにおきましては、すでにドイツの占領下にあ
つた
間にも、
労働者
と雇主とが祕密でその國内のあちらこちらの地下で会合いたしまして、何とかして
社会保障
の立派な案を拵えようとよりより協議したというようなことが、先だ
つて
日本
に視察に参りました米國
社会保障制度
調査團の西ヨーロッパ諸國視察
報告書
と申す
報告書
の中に、かようなことが出ております。それでドイツが敗退いたしまして、本國が自由回復をいたしますると共に、僅か四ケ月しか経たない一九四五年の一月一日には、
國民
社会保障
事務局というものが設立されておりまして、現在では全
國民
の過判数は大体強制
社会保險
制度
の下に入
つて
おるそうであります。併し今申上げましたように、全
國民
を未だ
対象
とする
社会保障
にまで行
つて
おりませんで、自営者とか、官吏、公吏、農夫、家庭使用人、船員等はまだこの強制保險から除外されておるそうでありまして、完全な姿の
社会保障
の
実施
にはまだ間があるのではないかと思
つて
おります。單に
社会保障
への第一のスタートが切られた
程度
でございます。 以上簡單ではございましたが、
社会保障
の
理念
、それから諸國におきまする
社会保障
の実情と申しまするようなことを申上げたのでございますが、各國共にそれぞれ自國の特徴をそれぞれ活かしております。又その
歴史
的発達も活かして現在の
制度
に織込んでおります。我が國におきまする
將來
の
社会保障制度
の組立方も亦我が國独自の行き方を織込んで組立てたならばよろしくはないかと考えております。例えて申しますると、
日本
には
御存じ
のように、十年ばかり前から
國民
健康保險
制度
というものがありまして、これは
任意制度
の基礎の上に組立てられた
社会保險
ではありまするが、現在この被保險者と
なつ
て入
つて
おりまする
人間
の数から推しましても、全
國民
対象
の
健康保險
ということができるのでありますから、かようなものを中心にして
日本
の
社会保障
を組立てるということも亦
一つ
考え得ると思
つて
おります。
アメリカ
は大体今回の勧告におきまして、
社会保障
の第一歩の途を手を引いて示してくれた
程度
でありまして、本当の完全な姿の、
イギリス
型の
保障
には、我々の力で以て組み上げて行かなければならないのであります。
社会保障
の完成は、なおなお
將來
に残すところが非常に多いのでありまするが、今申上げましたように、
國民
の一人々々が
社会
不安というものを体驗いたしておりまする今日、その
國民
を代表せられまする方々におかれましては、
社会
不安の今日ほど深刻に感ぜられまする折から、
日本
独特の
社会保險
を基礎にした
社会保障
を御考慮願いたいと思
つて
おります。
社会
不安などと申しまする言葉も、私ども昔本の上で見ますると、誠にぴんと來ないところがありまして、何が
社会
不安やら分らなか
つて
というと語弊がありますが、体驗しなか
つた
ものでありまするから、漠然としておるのでありまするが、今日のように、早い話が、朝日新聞のごとき手の取
つて
見ますると、
社会
情勢の反映であるところの三面記事のごときは、初めの上から、第一段から
最後
の廣告欄に至るまで殆んど全部が
社会
不安から出て來た記事ばかりでありまして、
社会
不安と凡そ縁のないのは
アメリカ
のブロンデーという漫画くらいではないかと思われる程
社会
不安というものが我々の身にひしひしと感じておりまする今日、國全体が一丸と
なつ
てこの
社会
的窒息を除去するように努めたいものだと考えております。 以上の
お話
で私の話を終ります。御清聽を煩わしまして有難うございました。
塚本重藏
3
○
委員長
(
塚本重藏
君)
内野
先生から、昨
日本
日にかけて長い間御研究になりました、その蘊蓄を傾けこの
お話
を拜聽することを得ましたことは、我我の非常な幸いでありまして、今後これを有効に、今
お話
の我が國における
社会
不安除去のために役立せるように
一つ
考えて行くつもりであります。尚時間が少しございまするから、何かお聞きになるようなことがありましたならば……
小杉イ子
4
○小杉イ子君 ちよつとお願いいたします。諸國の報告はそれぞれ信ぜられますが、ソ連の
社会保障制度
には幾多の疑問がございましたので、一昨日いろいろと質問したのでございます。 それからもう
一つ
伺いたいのは、
ニユージーランド
の項であると思いますが、十六歳の者が
社会保障
に対する税金を納るめことになると伺いましたが、この期間は大低普通教育期間でありますが、この納入する金額は親が代
つて
納めるのか、それとも通学して試驗、宿題で追われておるこの年齢者が何か内職でもできて納め得られるのか、どういうふうに
なつ
ておるのでございまするか。
内野仙一郎
5
○
説明員
(
内野仙一郎
君) これはまだ條文そのものが
ニユージーランド
の方から届いておりませんので、審かには申上げることはできませんが、実際問題としては、結局この家庭の責任者であるところの親が拂うことになるのではないかと思
つて
おります。併しこの十六歳でもどこかに勤めておる者でありますれば、
收入
もあるわけでありまするし、又その子供自身に属しておりまする
資産
とか、財産とか、株券とかいうようなものがある場合もありましようから、そういうものから差引かれるものと思います。又十六歳は学齢期を了えたものと私解釈いたしまするが、これは
イギリス
などにおきましても、十六歳の者は
成年
という言葉はどうか知りませんけれども、学齢期はすでに終
つて
おるものと思いまするが、どんなものでございましようか。初め
イギリス
におきましては、十六歳以上の子供が使用されました場合には、医療
給付
を支給されてお
つたの
でありまするが、それを今から七、八年前に、十四歳から支給するというふうにしたいということが出ております。即ち学校を卒業いたしましてから十六歳で職業に就くとすれば、その間二年間というものを医療保護を受けるブランクができる。十四歳までは学校におりますので、学校医というものが診療を担当してくれますが、十四歳から十六歳の間、十六歳に
なつ
て職業に就きまする間は、医療
関係
がブランクになるというようなことが出ておりましたので、私の解釈では、十六歳はもうすでに学齢期を了えておるのではないかと思いまするが、どんなものでございましようか。但し上の学校へ行
つて
、大学とかいうようなところへ行くのでございましたら、いわゆる
義務
教育以上を了えておる者でありましたら、当然
掛金
は請求せられるものと解釈いたしております。
小杉イ子
6
○小杉イ子君 若しその子の
資産
があるとすれば、それから出してやるということは、やはり親が出しておるわけになるのでございますね。
内野仙一郎
7
○
説明員
(
内野仙一郎
君) 親が保管しておりますれば、例えばその子供の名義の株券の
收入
の利子があるといたしますと、その利子から差引いてやるということに
なつ
ております。これはちよつと御
参考
までに申上げるのですが、株主負担というものがありまして、会社では株主に配当するに先立
つて
、一ポンドにつき一シリングの率において利益配当から差引いて納入させるという條項があるのでありますが、まあここらと考え分せますると、若し子供が株券を持
つて
おりまするような場合には、その子供名義の
資産
からそれだけ差引かれるのではないかと思
つて
おります。
井上なつゑ
8
○井上
なつ
ゑ君 後から伺いまして申訳ございませんが、昨日の英國のところでちよつと伺いたいのでございます。昨日開業医の方が四千人の患者を持
つた
らいいということだ
つたの
でございますか、四千人の人口とおつしや
つたの
でございましようか、ちよつとそこのところをはつきり伺いたいと思います。
内野仙一郎
9
○
説明員
(
内野仙一郎
君) これは私言葉が足りなか
つたの
で、さぞかし誤解された方もあ
つた
かと思いますが、実は
イギリス
の医療
制度
、或いは開業医の
社会保障
への参加というような問題を一、二時間
お話
させて頂くといいと思
つたの
でありますが、何分駈け足で参りましたので、言葉が足りませんで誠に申訳なか
つたの
でありますが、
イギリス
ではこういう
工合
に
なつ
ておるのです。一般の開業医は家庭医
制度
ということに
なつ
ておりまして、一年の初めに、その地区内の人々は自分のお医者を自由に選ばねばならないということに
なつ
ております。それで私はブラウンさんならばブラウンさんに診て貰いたいということをブラウンさんの所に申出まして、その人の持
つて
おりますところの患者帳簿というものに記入して貰うのであります。その記入名簿の一番多い数が四千人までというのでございまして、少い人は二千人の場合もあり、或いは又千人の場合もあるのであります。平均すると大体二千人くらいの人がブラウンさんの患者名簿に載る。それで料金の支拂方は、その患者名簿に載
つて
おりまする
人間
の数に一年間一人当り十五シリングを掛けました額がお
医者樣
の
診療報酬
と
なつ
て行くわけでありますから、患者を診ても診なくてもこの金は行くのであります。それから尚この外に基本給というものができておりまして、
日本
の金にいたしまして、大体年に三十万円に相当する額がこのお
医者樣
の俸給として行くことに
なつ
ております。ちよつと三十万円というと大金のようにも聞えますが、月にいたしますと、二万何千円くらいにしかならんのでありますから、大した額にはならんのであります。
井上なつゑ
10
○井上
なつ
ゑ君 それからもう
一つ
伺
つて
置きたいのでございますが、昔英國でや
つて
おりましたヘルス・インシユアランスは、年俸二百ポンド、当時の
日本
の金にいたしまして一千円くらいの報酬以下の人が入
つて
いたように伺
つて
お
つて
のでありますが、今度この
社会保障
によりますと、勿論全
國民
が報酬の如何に拘らず入
つて
行くのでありましようか。
内野仙一郎
11
○
説明員
(
内野仙一郎
君) そうでございます。あなた樣の只今の
お話
、年に二百ポンドというのは、そうでありましたが、今から十年ばかり前に改正されまして、四百ポンド以下の者だけど……ちよつとお待ち下さい。そうでございます。年報酬四百二十ポンドに満たない十四歳以上の被傭者はすべて加入
義務
を負
つて
おるというふうに
なつ
ておりまするから、あなた樣がおつしや
つた
二百ポンドと申しまするのは、その後改正された四百二十ポンドに
なつ
ておるわけでございます。それがひの度の一九四六年の
社会保障
ができまするまではずつとこれで來てお
つた
わけでございますが、今度の
社会保障
ができましたので、こうい
つた
報酬に関する一切の絆は断たれたわけでございます。働いておる者であろうといない者であろうと、又家庭の
主婦
であろうと、お爺さんであろうと子供であろうと、全部医療
給付
は
無料
で受けられることに
なつ
たわけであります。
井上なつゑ
12
○井上
なつ
ゑ君 この間伺
つた
ことでございますが、英國の友愛組合というものを伺
つたの
でありますが、あれの原語でございますが、英國ではどんなようなものを‥‥。
内野仙一郎
13
○
説明員
(
内野仙一郎
君) フレンド・ソサイテイーであります。これは今回の
社会保障
ができましてからは、友愛組合と申すものは解体せしめられるということになりました。つまり政府直営の
社会保障
が
運営
されることになりまして、從前の友愛組合とか、或いは
公認組合
、アプルーヴウル・ソサイテイーと申しまするようなものは、單に任意
給付
だけをやる組合としてならば存續せしめるけれども、いわゆる
法律
が規定しておる
給付
は支給しないといい建前に
なつ
ております。
井上なつゑ
14
○井上
なつ
ゑ君 もう
一つ
お伺いしたいのですが、ずつと前のプア・ローというのはどうなりましたんですか。
内野仙一郎
15
○
説明員
(
内野仙一郎
君) これは全部
イギリス
の
社会保障
についてもやはり駈足で理りましたので、
内容
がどういうものから
なつ
ておるかということは申上げませんで恐縮でございますが、
イギリス
の
社会保障制度
と申しますものは、こういうふうな大体五つ、六つくらいの
制度
からできておるのでございまして、その中にこういうふうに
なつ
ております。
イギリス
の
社会保障
は次のような
制度
から
なつ
ております。
國民保險
、それから
家族手当
法、それから
國民
健康
事業
法、それから
國民
扶助
助法、こういうものがあるのでございまして、プア・ローごときは
國民
扶助
法の中に入ることに
なつ
たわけであります。
井上なつゑ
16
○井上
なつ
ゑ君 それからもう
一つ
恐れ入りますが、もうすでにお伺いに
なつ
たかも分りませんけれども、
アメリカ
の
社会保障
でございますね、
アメリカ
の
社会保險
のことはまだ詳しく‥‥今日
お話
に
なつ
たかも知れませんが、承らなか
つたの
でございますが、
社会保險
の
給付
と申しますのは実は新聞では、
アメリカ
では六十歳以上になりますと、被保險者は非常に老年の
生活
が樂に行けるということが書いてございましたが、
社会保險
の
給付
はどういうふうに
なつ
ておりますか。
内野仙一郎
17
○
説明員
(
内野仙一郎
君) お尋ねになりますのは、この
給付
の養老年金の多寡の問題でございましようか。
井上なつゑ
18
○井上
なつ
ゑ君 何歳からか、これをちよつとお伺いいたします。
内野仙一郎
19
○
説明員
(
内野仙一郎
君) 老年及び
遺族
年金保險と申しまする
法律
によりまして、六十五歳以上の、六十五歳に
なつ
て働いていない賃金
労働者
、それから六十五歳に
なつ
た彼の妻、これに対して支給されます。この支給されます額は大体平均報酬ということになります。今まで勤めてお
つた
雇傭の平均月收が支給されることに
なつ
ております。
小杉イ子
20
○小杉イ子君 医者が登録によ
つて
二千人とか四千人ということを決めるということは、これは誠に結構なことと私は思
つて
おりますが、若しもこれが年がよくて無病息災の年が續きましたならば、殆んど資料も資材も要らないということで、大変医者に対して優遇に当ることと、こう思いまするが、又その
反対
に多数できたときには追加が得られるのでございましようか、まあ
收入
の額によりましてこれはできることでございますが‥‥。
内野仙一郎
21
○
説明員
(
内野仙一郎
君) ちよつと御質問の要点が‥‥。
小杉イ子
22
○小杉イ子君 年によりまして、医者が患者を引受けますということによ
つて
決定いたします、そうなりますと誠にいいことと思いますが、ところ員患者の少い年がございましような思います。年によりましては。そうすると少いときには医者の收穫が余りに多過ぎるということになりますと、患者の少いときですね、
保健
所から出ますところの報酬に変りがないとしますれば、二千人、四千人、の報酬を受けておるものでございましようか、なくても受けるのでございましようか。
内野仙一郎
23
○
説明員
(
内野仙一郎
君) これは先日も申上げましたように、一般の今まで普通の患者として
取扱
つて
お
つた
お得意樣、いわゆるお
医者樣
のそういう者から
社会保障
診療以外の診療として診察してお金を取ることは許されておるのです。大体が患者の方ゐいわゆる三等病室といいますか、
社会保障
診療以外の診療もして貰いたいと言
つて
請求いたしますれば、それはできるようには
なつ
ております。それから今
お話
のありました、つまり
社会保障
医療を引受けたためにお医者の
收入
が減るというような結果になりました場合には、それに対する政府の
保障
ということは考えておるということが文献に出ておりまするが、果してどういう方法でそれを
保障
しておりまするかはまだ研究中でございます。
小杉イ子
24
○小杉イ子君 私はただこの患者のないときの手当が余りに多過ぎるようなことはないかということをお伺い申すつもりでお
つたの
です。
内野仙一郎
25
○
説明員
(
内野仙一郎
君) 御尤もでございます。それから基本給のことはお聞き下さいましたでございましようか、例えばつまり一人頭十五シリングで一千人の患者を診る、その外に又別に俸給をくれるということも大体年に三十万円の俸給をくれるわけでございます。
小杉イ子
26
○小杉イ子君 その患者が來ないときのことを考えたのです。全然療治しないから‥‥。
内野仙一郎
27
○
説明員
(
内野仙一郎
君) それは來ても來なくても貰えるのであります。
小杉イ子
28
○小杉イ子君 そうすると医者の待遇がそのときは良過ぎやしないかということを考えたものですから、あるときにき請求できるがないときには殆んどないというような‥‥。
内野仙一郎
29
○
説明員
(
内野仙一郎
君) それはこういうことに
なつ
ておるのであります。治療というのは治療するばかりが過程でなく、自分のリストに載
つて
おる一切のものに対しては責任を持
つて
おるのでありますから、その地方に傳染病が非常にはやるといたしますれば、予防的処置をしなければなりません。注射もしなければなりませんし、努めて不潔な施設‥‥不潔なようなことがあれば、例えば蚊とか蚤とかいうものを追拂うこととか、予防的いろいろな施設を行使し、又その患者とは常々連絡を取
つて
おりまして、いろいろ指示を與えることに
なつ
ております。その過程におきまして全責任を持
つて
おるわけです。名簿に載
つて
おる過程におきます一年内の
病氣
に対する予防をも含んで責任を持
つて
おるわけでありますから、それ程暇であるとはちよつと考えられませんが‥‥。
谷口弥三郎
30
○谷口弥三郎君 ちよつとお尋ねいたしますが、家庭医の方はそういう登録制に
なつ
ておるようでございまはが、專門医に対しては登録制というものがないようですし、
イギリス
辺りでは最近どういうふうに
なつ
ておりますか。
内野仙一郎
31
○
説明員
(
内野仙一郎
君) それは先日私が医師会方面に招かれまして、やはり
お話
いたましたときも、大変追求されたのでございまするが、それは、はつきりまだお答えできる
程度
に固ま
つて
おりませんので、例えば
イギリス
の健康
事業
法という
法律
自身を訳させておりますのでこれができて参りましたら相当はつきりしたことが申上げられると思います。專門医に対する
取扱
がどう
なつ
ているかということは、まだはつきりいたしておりません。
竹中七郎
32
○竹中七郎君 先程ソ連の話が出ましたが、非常に
労働者
が良いようであるということですが、実際そういたしますというと、非常に何か
アメリカ
辺り、外の國よりも良いように見えますか、その他の人の
お話
を聞きますと、必ずしもそうではないような聞えますが、ただ文献や何かに書いておるだけでありますか。
内野仙一郎
33
○
説明員
(
内野仙一郎
君) あなたのおつしやる通りでございます。そういう話はしばしば耳にいたしましたが、これは引揚げその他は
背景
が大体シベリヤでございますね。そういたしますと、
ソ連邦
の大体文化の中心をなしておるところの欧洲方面ではないわけでございます。いわゆる聞きますところは‥‥ですから引揚者の
方々
の言葉だけを聞いて全般を推すということはちよつとできないのではないかと思いまするが、又一面
ソ連邦
におきまして、学手を卒業したお医者さんあたりは、
医療國営
を完全に
実施
しておりますことからして強制的に辺鄙な所へ割当てられて行かなければならない。お
医者樣
となりますと、シベリヤの山奥で、映画の
一つ
も全然見られないというような所へも派遣されて、そこで
義務
的に三年なり何年なり勤めなければならない、こういうことは非常に苦痛であるというので、学校を出て、そういう所へ割当てられた若いお医者さんたちが結束して、ストライキに近いようなことをや
つた
ということが数年前の文献で私見たことがございます。御
参考
になれば‥‥。
塚本重藏
34
○
委員長
(
塚本重藏
君) 一應この
程度
で打切りたいと思いますが、閉会中の
委員会
もこれを以て終るわけでありますが、閉会中におきまする継續
調査
の
報告書
を一應参議院規則の第五十五條で出さなければなりません。その
報告書
の
内容
等を
一つ
委員長
に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
塚本重藏
35
○
委員長
(
塚本重藏
君) 御異議ないものと認めます。左樣にいたします。尚この
報告書
にも多数意見者の署名が必要でありまするので、御署名を願いたいと思います。 〔多数意見者署名〕
塚本重藏
36
○
委員長
(
塚本重藏
君) 本日はこれを以て散会いたします。 午前十一時五十二分散会 出席者は左の通り。
委員長
塚本 重藏君 理事 今泉 政喜君 谷口弥三郎君
委員
山下 義信君 草葉 隆圓君 紅露 みつ君 竹中 七郎君 井上
なつ
ゑ君 小杉 イ子君 穗積眞六郎君
説明員
厚生省保險局調 査員
内野仙一郎
君