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專門員(木村盛君) 本陳情は東京都伊藤清外六名からの陳情でありますが、これはいずれもそれぞれの労働
組合の代表ということにな
つております。陳情の
趣旨は、
從來屋外自由労働者、いわゆる日傭労働者の人々に対しては、何ら社会的な保障
制度が適用されておらない。ところが他の
一般産業の労働者については言うまでもなく失業保險、厚生年金、健康保險等いろいろの
制度によ
つて保障の途が講ぜられております。最近仄聞するのに
政府においても、
一般屋外労働者にも適用するような
社会保障の途を漸次講ぜられているやに聞くのであります。ついてはさような立案企画等については、
從來の例ではと角雇傭主資本家
團体の立案をそのまま採り入れられる結果
一般労務者にと
つては非常に不利益に陷
つていることは、特に、我々というのは屋外労働者でありますが、屋外労働者の要望するところの
社会保障の將來への
内容は一方的な大衆負担による
方法ではなくて、でき得るだけ國庫負担並びに
使用者全額負担のものとして、立案企画されるように望む。こういつたような
趣旨が書かれてありまして、ここにその要請の
内容が凡そ五点挙げてあります。これは健康保險ばかりではございません。失業保險その他に関する問題が大分ありますが、一應申上げます。
第一は現行
一般職種別の平均賃金これはPW法律第百七十一号によ
つて制定されている平均賃金、これは餓死賃金であるから、その
実情を認識の上即時値上の
方法を取
つて貰いたい。第二の問題は六点ございます。
一つは失業保險
手当は識種別、年齢別、稼働日数の枠を拵えないで、不就労の日には最低生活を保障し得るところの賃金額の一〇〇%を
支給して貰いたい。第二の問題は不就労即ちその日の失業
状況の認定は職業安定所のみではなくて、民主的且つ自主的に組織さるるところの労働
組合の認定によ
つてこれを定むるようにして貰いたい。第三点は失業保險
手当を下廻るような賃金を
支給するところの就労場への就労
斡旋を個人が拒否することの自由権を認めて貰いたい。第四点は失業保險印紙の就労手帳へ貼付することを拒否するような
使用者に対する嚴重なる処罰を規定して貰いたい。第五点が失業保險、健康保險両方の日傭及び屋外労働者に対する適用の立法は、成案前に公聴会等を開いて民主
團体の
意見を採り入れて貰いたい。第六点は保險
委員会にも日傭労働者の
組合関係の代表者を加えて貰いたい。
その次が轉落者に生業資金を交付するように図られたい。戰争及び政治の失敗によるところの経済破綻が原因して、目下自由労働者に轉落しておるところの幾多の人々があるが、これらの人々に、それぞれの生活復興のための更生資金を與えて、正業に立返るような
方法を講じて貰いたい。
その次が、労務
加配米については、日傭労働者、屋外労働者に対しては、少くとも鉱山労働者と同樣な取扱によ
つて労務
加配米をや
つて貰いたい。
その次が、日傭労働者、屋外労働者に対する労務
加配米の取扱は、職業安定所登録の労働者と限定しないで、
從來通り、労働
組合によ
つて取扱われておるところの管理を継續してこれを認めて、その基本量を一〇〇%
支給されたい。
最後に、土建及び
一般自由労働者に対する事業税の賦課を撤廃して貰いたい。これは事業税の賦課をいろいろや
つておるのであるが、土建及び自由労働者の身分に関する証明は、労働
組合の証明書を以てこれを認めるような
方法によ
つて、かような事業税の賦課の撤廃をして貰いたい。かような一連の陳情の
内容を添えて來ております。以上でございます。