○竹谷
委員 今
大藏大臣からきわめて奇怪なる答弁を聞く。初めから三月中旬ごろに修正をしなければならないようなあやふやな予算を提出して組みかえもしないとは、
政府として重大な責任であり、めちやくちやな國務の執行であると思います。大体今
政府委員が言うところによると、まずまずどうにか同じ省内においては、行政共通費のうちの諸支出金というところに、給與特別措置費としてまとめてあるから、局とか廳とかの間で適当に流用し合うことができると言うておる。
あるいはその間におけるやりくりはできるかもしれません。しかしながら、たとえばここに例をと
つても、裁判所のごときは判事、檢事には
相当高俸の者がおる。反面において厚生省のごときは、たとえば保健事務に從事しておるような、二十歳前の公務員もたくさんある。そういうものは総体として平均給は非常に低い。ことに厚生省にはそういう女の若い職員が四六%おるということでありますが、今回
政府原案が
政府によ
つてまた修正せられた。その修正の比率を見ますと、非常にはなはだしいのであ
つて、たとえば今度二千四百円にな
つた一番下の一級一号の給與は、最初の
政府の原案に対して四〇%増にな
つておる。四級一号では三二%増である。ところが十二級一号になりますと二三・五%というように増加率が低い。しかるに最初出した
政府の原案は、大体三千九百七十円ベースに対する三割見当の一率の増額でありますから、裁判所の費用等においてはふえ方が多くなる。これに反して今度は、われわれ野党の修正案によ
つて下の方に非常に厚くな
つたので、現業廳等においては非常な増額を要する。そうすると裁判所は非常にたくさんの人件費が余るが、現業廳等においては非常なる人件費の不足を來すことはきわめて明瞭である。同じ省内であんばいができればいいが、他の省になると、このあんばいは予算の形式から行
つて流用は許されない。絶対に非常な多額の過不足を生ずることは明瞭である。これを放任しておいて、三月にな
つたら適当に改めるというような無定見な、でたらめな、すぐに変更しなければならないような予算を組みかえずに、われわれに審議せよということは不法きわまる話である。こうした予算に対しては、われわれはまじめな態度で審議はできない。現業員の諸君はこの予算では猛烈な不足を來すことは明らかにわか
つておる。一面において
政府は九十七億という人件費の節約をこの予算において見積
つておる。そうした官廳においては非常に節約され、今でも支拂いに困
つておるのに、その上今度の給與の改善における増額分によ
つて、非常な予算の不足を來すことは明瞭である。こうした点について、
政府は一体一年間の歳入歳出の確実なる見通しをつけて、われわれの審議のための予算を提供しなければならぬのに、それを初めから組みかえなければならぬ、修正をしなければならぬ予算、しかも現業廳の生活に困
つておる人たちの給與費が、明らかに非常な不足を來すという
現状をこのままにして予算を出すという、不誠意きわまる態度については、われわれは断固として反対せざるを得ないのであります。
予算を組みかえなければならない理由はこればかりではない。たとえば今
國会を通過せんといたしておるところの新しい野党共同の修正案によりますと、十二月から來年三月までの四箇月における標準賃金の総額は二万三千二十二円という
計算に相なります。すなわち十二月は六千三百七円、一月は五千二百四円、二月も同じく五千二百四円、三月に至
つて六千三百七円、この合計が二万三千二十二円であります。しかるに
政府案の方の
計算によると、十二月は六千三百七円、一月において五千五十円、二月に五千五十円、三月に六千三百七円、この合計が二万二千七百十四円ということに相なりまするので、野党案に比べて十二月から三月に至る四箇月間の官公職員の收入は、一人当り三百八円少い。野党案の方が三百八円多い。これは
計算上明瞭であります。さらに三百八円に対して官公職員の総人数三百万をかけますと九億円という金になります。これだけで少くとも予算の不足を來すことは明瞭である。はね返りはありますけれ
ども、そのはね返りは歳入の方に計上すべきであ
つて、歳出としてはやはり九億円計上しなければならない。なおまたただいま石炭なり電産なり、あるいは
海員なり、繊維、非鉄、金属、そういう重要基礎産業がそれぞれ賃上問題からストに入りつつあり、またストに突入せんとしている重大な情勢であります。こうしたものに対する予算もあとでよく詳細を聞きたいと思いまするが、現在のままではこれらのスト解決は困難な情勢にある。なおまたその他の問題についてもどうしても計上しなければならない予算がたくさん漏れておる。こういう予算は明らかにただちに修正を要する結果に相なるのでありまして、これに対しまして
政府はいかなる責任を感ずるか。正しい組みかえをして、正しい的確な現在の見通しとして、まず三月三十一日までこれでや
つて行けるという
相当確信のある予算を提出する意思がないかどうか、これを承
つておきたいと思います。