○叶
委員 主税局長にお尋ねいたしたいと思います。過ぐる夏に
予算委員会から、おもに第一線の徴税
状況につきまして、私どもの班は兵庫縣、和歌山、京都、大阪
方面をまわ
つて來たわけであります。われわれ
國会におきまして、また徴税事務の首脳部の方々がいろいろ御苦心をなさ
つておるわけでありますが、私どもは、数字をもてあそぶことはまず後刻にいたしまして、われわれの政治的な第六感によりますと、いろいろな具体的な現象から見ますと、
日本の徴税というものもようやくその飽和点に達して來ているではないかと思うのであります。現在私ども政治を口にします上におきまして、この徴税を現実に、実際的にどういうふうに民衆の協力を得て遂行するかということは、これは政治の根幹に横たわる大問題であると思う。本日の新聞等を見ますと、方々で
相当問題が起
つている。
相当手の混んだような問題が起
つて來ている。私どもの知
つております実際、あるいは
実情をよく知
つております農村におきます徴税についても、たえず紛爭がつきものにな
つて來ている。私どもは正式に
予算委員といたしまして、第一線の税務署をまわつたわけでありますが、私がまず感じたことは、か
つて戰爭中に勤労動員署であるとか、その他戰爭中のどさくさにできて、非常に不完備であ
つて、民衆の協力を得ないような雰囲氣におきまして、あらゆる惡條件を無理押しにやつたことが、すべて勤労動員につきましても、失敗の根源であつたとわれわれは
考えているわけであります。ことにいかにわれわれが美辞麗句を並べ、いかに綿密なる数字をここで論議いたしましても、何と申しましても、結論的に厖大なるところの徴税をやらなければならぬということは、これははつきりとわか
つていることであります。ところが私どもが概算をいたしますると、郵便の窓口であるとか、あるいは銀行の窓口までは、われわれは予想できないかもしれない。しかしながら
國民の義務であるところの税金というものを、われわれは拂いに來たのだという感じを、民衆が持つことができるような態勢にまで税務署はな
つていない。ことに税務署の諸君が非常に過労である。第一線をまわ
つて見ましたが、まず自轉車がない。それからまた税務署の人事の
関係でいろいろな因縁ができますると、徴税の事務につきましては、必然そこにいろいろの醜惡なる事件が起るわけでありますから、
相当長距離にわたる人事異動が行われているようであるが、しかしながらこれの住宅がない。かりに住宅を提供する人がありますると、これは人情の常であ
つて、住宅の提供者に対して、やはり税務署の諸君が個人的な親愛の情を感ずることは、これまた火を見るよりも明らかである。十人のうち一人ないし二人病氣欠勤者がある。しかもその病氣を直接聞いてみますと、肺病系統の人が多い。これはまつたく第一線の徴税事務に携わ
つている人々の疲労困憊というものをここに如実に表わしているわけであります。しかも税務署の諸君に聞いてみると、税務署をりつぱにすることは民衆の反感を買うものである。だから大藏省は
予算をくれないのであります。こういうわけでありますが、私どもが知
つておりますところの欧米
方面の徴税というものは、
日本のごとく陰惨なものではないのであります。
日本の徴税というものが、やはりこういうような体制を整えない限りにおきましては、
日本というものが革命体制に入
つて行く端緒はこの徴税の紛爭より起ると思う。農村におきましても、左翼的な急進的な勢力というものは、いわゆる全財労の精鋭分子と結びつきまして、こういう
方面からまず大衆の中に入
つて行
つているわけであります。こういうことは私どもとしては默
つているわけには行かぬのであります。こういうわけで、いかなる
予算を組みましても、徴税というものをどういうふうに私どもが近代的にやるかということは、非常に重要であると思うのであります。こういうわけで追加
予算また追加
予算でだんだんだんだんとこの税金がかさんで行
つて、
國家というものはその收入をあらゆる部門に求めなくちやならぬような段階に置かれているわけでありますが、第一線の人たちの氣分というものは、まじめな者は倒れるし、要領のよい者は收賄で投獄される。普通の人間は体力の上から行
つてサボタージュを起すのであります。われわれ
國会議員でも夜通しやれば、どんな元氣な者でも
國会に行く前に一眠りしなければならぬことは、人間が生き物である限りやむを得ないのであります。こういうふうな徴税の第一線に立
つております者は、そういう徴税に関しまして、すべからく事務当局の人たちは要求がなければならぬと思う。こういう実態を今のままで、いたずらに一夜つくりのこういうような
予算を組んでもどういうことになるか、まずこういうことについて
予算が大きくなればなるほど、あなた方の方としてはそれに対する体制の
準備がなされなくちやならぬ。徴税事務の民主化、それからまた機械化と申しますか、自轉車がないような者が、どうして廣い都会や農村を走りまわれるか、こういうことについては大藏当局として遠慮することはない。まずあなた方の偽らざる
見解を聞きたいと思う。そうでなければ何べん
予算を組んでもとれやしない。とれない
予算を組んだ
つてどうするのだ。まずそれから聞きたいと思う。