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徳田球一君(続) 五千三百円に対してどんどん
反対するがいい。よけいなことはせぬでよろしい。
この
法案は、表向きはきわめてきれいにできておるけれども、これを実際実行してみろ、これこそ実際もうやりきれなくなる。
労働者に恨まれるにきま
つておる。これまでは、
行政官廳がやりくりして、どうにかこうにかして、このせちがらい
状態を糊塗していたのである。今度の
法案ができた以上は、もうこれはできなくなる。今の、急轉して、まさに
難破船が大きな波にもまれておるようなこのときに、これを
規則ずくめにして、がちがちしたところに追い込んで行
つたら、どうするのだ。実際これはできない仕事である。(「
共産党は何をした」と呼ぶ者あり)
共産党が天下をとるなら、そんなばかなことはせぬ。そんなことは、
ちやんと
融通の
きくようにしておく。今度のように
融通がきかなくしておいたらどうなる。驚くことになる。今までの
既得権にしても、わが党が
闘つたから
既得権ができたのである。
公務員法で、
ちやんときめられている。お前らは何をした。さんざんストライキに
反対していながら何を言うか。
賃金ベースが六千三百幾らというけれども、眞に
労働が強化されている面、その他現場の制限されている面を
考えれば、実際上は五千二百円にしかならない。これは驚くべき
詐欺的法律である。さらに、これは税を離して
考えると、四千七、八百円にしかならない。今それくらいで食えるか。食えないことは明らかである。これで食えるか食えないかという
数字に対して、
給與局長——これは
政府のゆいいちのエキスパートでであるが、彼に聞いたならば、CPSがどうのこうのとい
つて、ただごまかしているだけだ。実際だれが見ても、これがどれだけのものになるかということは、ちよつとも言わない。言えないはずだ。だれが
考えてみても、これで食えない。
こういうものをも
つて公務員法ではさんざん
しぼつて、
労働者をま
つたく奴隷化しておいて、この
給與を與えて、一体どうするというのか。こういうような
状態では、いきおいこれは
行政機構を破壊するにきま
つている。
行政機構は腐敗せざるを得ないようにできている。そうすればどうなる。これはさらに
首切りを伴う。
政府が言
つているではないか。全体の
わくがきま
つているのだから、上げたり下げたりしても、結局つじつまを合せるには、スポンスポン首切らなければならぬ。君らは、やれ九億よけいになるとか。やれ、
あとのあれは十二、三億どうのこうのと言うけれども、これだけ多くなれば、結局
犠牲者をたくさん出すだけだ。
首切りにおいては、この
政府は実に名人で、また非常にすきである。これは
民主自由党の
首切りを促進するにすぎない。こういうことをして、
一体労働者のためなどということは、どこを押せば言えるか。
次に
考えておかなければならぬのは、
労働者側も、文句を言えば
監獄にぶち込まれる。ところが
行政官廳で、
労働者のために何とかしてやろうと思
つてしてや
つた者も、
監獄に入るようにできている。これは、どうにもこうにも動けないようにできている。きめられた穴の中に、ただ巣ごも
つているだけだ。そういう
法律をつくるということは、めつそうなことではないか。そういうことを実際行
つてみろ。一、二箇月の間には、これがいかに最悪の
法律であるかということが、よくわかる。來年にな
つてから、ああのこうのというよりも、そういうことにならない前になぜ用心しないか。君らは、どうのこうのと大きなことを言うな。前に
ちやんとゆとりをも
つて考えておかぬと、たいへんなことになる。それゆえにわが
共産党はあくまで
手取り七千三百円を
主張し、かつ年末
調整のために二・八箇月をどうしても
主張しなければいかぬ。今のような
勤労所得税では、どうしても年末
調整をしなければならぬのだ。
実際、今のようなこの
勤労所得税を撤廃するということを伴わずして
給與法を論ずるのがそもそもおかしい。この
給與を上げれば上げるほど、
勤労所得税にからみつく
部分は非常に大きい。君らは
勤労所得税を撤廃すること、これだ第一である。お前ら、何も言わぬじやないか。何言
つている。どこにも言
つていない。附帯決議だ
つて何だ
つて、や
つていはせぬじやないか。今や最大の問題は
勤労所得税の撤廃にある。この
勤労所得税の撤廃なしには、断じてこの
給與問題は解決せられないのだ。(「わか
つてるよ」と呼ぶ者あり)わか
つているなら、やればいいじやないか。やらなくて何を言うのだ。
かくのごとくして、わが党はあくまでも
労働者の要求を支持し、われわれは、すぐきようからでも、この
給與法案を突破して、われわれが食えるようにする方向に向うであろう。
ことに重大なことは、
寒冷地手当及び暖房用の
石炭のことに関しても、
政府は保障しているかのごとくにして、実はこれが実際上保障されるかどうかに対して非常な疑いを持つのである。そういうものを、われわれは今後どうしても実力をも
つて取らなければいかぬ。われわれは、断固実力をも
つてこの
給與法案の罪悪を暴露し、これを突破するに努めるであろう。それゆえに、わが党はこれに
反対するものである。(
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