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前田種男君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、ただいまの
承諾を求める一件に関し、
給與ベースに関する
法律案の問題につきまして、以下項目をあげまして、
総理大臣並びに
大藏大臣の明確なる
答弁を求めるものでございます。(
拍手)
給與問題の
論議は、先月の第三
國会再開以來、
公務員法の
改正とともに不可分の
関係におきまして、本
会議におきましても、
委員会におきましても、
毎日論議が集中されたのでございます。先月九日、
人事院は
人事院の
試案を発表いたしましたところが、
政府は
人事院の勧告に対してすら應じがたいという声明を発表いたしまして、今日までその主張を通して来たのでございます。(
拍手)しかもわれわれが、
公務員法の
改正と不可分の
関係にある
給與ベースの問題は、どうしても前
議会において提案し決定しなければならぬと問題を押し詰めました結果、わずか二日を残しまして、先月二十九日に、あわただしく
追加予算案を
提出いたしまして、今日なおその
審議が継続されておるのでございます。今日
政府が突如として大幅の
修正案を出すに
至つた過去の実際の経過を顧みましたときに、先月二十九日に提案した
追加予算、さらに本月三日に提案いたしましたところの本
法律案が、いかにずさんきわまるものであ
つたかということを、暴露しておるのであります。(
拍手)私はこの点について、
政府は本
法律案を提案するにあたつて
関係方面と十分なる
了解ができてお
つたかどうかということを、この
議場を通じて明確にしてもらいたいのが、第一点でございます。(
拍手)
もし十分なる
了解ができてお
つたといたしますならば、何をもつて今日こうした根本的な
修正案を出さなくてはならなか
つたかという
原因を明確にしていただきたいと思うのでございます。(
拍手)しかも
政府は、本
國会再開以来、連日
委員会を開き、
審議を継続して参
つたのでございましたが、最近一週間この方、この
法律案をたな
上げにして、全然
審議を不能の状態に陷れたところのその
責任は、まさに
吉田内閣か全部持たなければならぬといわざるを得ないのでございます。(
拍手)
吉田内閣は、
言葉を盡して、
人事委員会の
試案には應じがたしと
言つて來たのでございます。しかし、
野党三派が寄り寄り
相談をいたしまして、
修正案の
内容を検討して参りましたところが、それに抗しまして、あらゆる
策謀と謀略をもつて、
野党側に対していろいろな
陰險な手段を盡して來たのでございます。私は、その一例を申し
上げます。
政府案で行けば、十一月から五千三百円
ベースの
支給ができると
言つております。私は、五千三百円案で
行つて、はたして十一月一日から実施ができるという
確信があ
つたのかどうかということを、明確に
答弁を願いたいと思います。さらにわれわれが六千三百七円案をつくり
上げましたところが、
政府は、十二月に対しましては六千八百円の案を出すということを
言つております。十二月にはたして六千三百七円以上の手取がとれるようなことができるかどうかということを、明確にしていただきたいと思います。
さらに
佐藤官房長官は、次官、
局長の陳情に対して、こういうことを
言つて、おります。十七日の朝日新聞によりますと、
長官の
答弁によりますれば、
局長たちの気持はよくわかる、それだからこそ
政府は五千三百円
ベースの
給與予算の
追加に躍起に
なつていたのだ、
野党が妨害するから、こんなことに
なつた、
責任は
野党にある、ということを
言つております。一体、五千三百円
ベースと年末
調整金の問題と、いかなる
関係にあるかといういことを、はつきりしてもらいたい。われわれは、六千三百円に
なつた場合と五千三百円に
なつた場合とのいろいろな問題もあるのでありましよう。しかし、六千三百円
ベースに最後まで
反対いたしました
政府が何
ゆえに今日
大幅修正を出さなくてはならなか
つたかというところの
原因を明確にしなくてはならぬと思います。(
拍手)しかも、前
内閣が三千七百九十一円
ベースを決定したときには、これが
生活の
最低だといつて
勤労所得税の大の
軽減を実行したのでございます。
政府は、
責任をもつて五千三百円を出し、五千三百円が
生活の
最低との
確信を持つならば、何
ゆえ勤労所得税の
大幅軽減を同時に提案せなか
つたかということを、私は主張するものでございます。(
拍手)
さらに
政府は、今度の問題に対しましても、いろいろな
策謀はしておりますが、すでに去る十五日に、
関係方面からの六
原則が示されておるのでございます。この六
原則の中には、完全に
政府案は
廃案にひとしいものに
なつてしまつているのでございます。
廃案にひとしいものをたな
上げにして、今日の
議会の
審議を遅らせた
責任を一体どうとるかということを、明らかにしてもらいたいと思うものでございます。今回のように、
政府が自信をもつて出、した案を再び大幅に
修正せなくてはならないというこのやり方は、今日までの
議会政治の中にはなか
つた例であると私は言いたいのでございます。
吉田内閣は、今日のこの案に対しましては、大なる
失政なりといわざるを得ません。この
失政は、新らしい
國会史の上に大きな汚点を残したものといわざるを得ないのでございます。(
拍手)
私はこの
意味において、
吉田総理大臣は明確たる
答弁をされんことを希望いたしまして、私の
質問を終るものでございます。(
拍手)
〔
國務大臣吉田茂君
登壇〕