運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-12-12 第4回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十二月十二日(日曜日)     午後四時七分開議  出席委員    委員長代理 理事 石田 一松君    理事 辻  寛一君 理事 高橋 英吉君    理事 明禮輝三郎君 理事 梶川 靜雄君    理事 前田 種男君 理事 荊木 一久君    理事 中村元治郎君       大上  司君    尾崎 末吉君       松野 頼三君    足立 梅市君       佐竹 新市君    成田 知巳君       山中日露史君    小野  孝君       橋本 金一君    吉田  安君       萩原 壽雄君    田中 健吉君       太田 典禮君    宇都宮則綱君       寺崎  覺君    徳田 球一君  委員外出席者         証     人         (議員)    加藤 勘十君         証     人         (議員)    加藤シヅエ君         証     人         (議員)    鈴木茂三郎君         証     人         (議員)    吉田  茂君         証     人         (議員)    星島 二郎君         証     人         (議員)    林  大作君         証     人         (議員)    大野 伴睦君         証     人         (商工事務官) 鈴木 重郎君 十二月十二日  委員佐藤觀次郎君、田中稔男君、野本品吉君及  び野老誠君辞任につき、その補欠として梶川靜  雄君、佐竹新市君、萩原壽雄君及び太田典禮君  が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事梶川靜雄君及び河井榮藏君の補欠として梶  川靜雄君及び前田種男君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事補欠選任  証人出頭要求に関する件  いわゆる纖維疑獄事件に関する問題     —————————————
  2. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それではこれより会議を開きます。  本日は武藤委員長病氣欠席をなさいましたので、私が委員長の職務を行います。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。昨日理事河井榮藏君及び梶川靜雄君が委員を辞任なされましたので、その補欠を互選いたさなければなりませんが、いかがいたしましようか。
  3. 石田一松

    石田(一)委員長代理 では從前の例にならいまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。
  4. 石田一松

    石田(一)委員長代理 異議なきものと認めます。それでは理事として梶川靜雄君、前田種男君を指名いたします。なお梶川君は本日再び委員に指名されております。念のために申し添えておきます。  本日の証人として出頭を求められている方々は、昨日に引続き証言を求められている加藤勘十君及び加藤シヅエ君並びに本日出頭を求められている鈴木茂三郎君、林大作君及び鈴木重郎君でありますが、諸般の事情によりまして、できるだけ調査を進める必要があり、昨日以來問題なつております吉田茂君の証人喚問の件もありますので、この際多少証人喚問を変更追加いたしたいと存じます。明日の予定なつている星島二郎君を本日喚問し、新たに吉田茂君を証人として出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
  5. 石田一松

    石田(一)委員長代理 異議ないものと認めます。それではさよう決定いたしました。  また今回予定しておりました林大作君及び鈴木重郎君は、明日証言を求めることにいたしたいと思いますが御異議ありませんか。
  6. 石田一松

    石田(一)委員長代理 異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。  これよりいわゆる纖維疑獄事件につきまして、証人として本日お見えになつている方々加藤勘十君、加藤シヅエ君、昨日の証人方々であります。お二人には昨日宣誓をしていただきましたので、その継続として、今日はあらためて宣誓をしていただきませんが、昨日の宣誓は有効であります。  昨日の質問を継続いたします。昨日ちようど会議が開かれましたので、徳田委員質問中休憩いたしましたから、引続き徳田君の発言を許します。
  7. 徳田球一

    徳田委員 加藤勘十君にお尋ね申します。隅田川料亭かもめというところがあるはずでありますが、これを御存じでありましようか。
  8. 加藤勘十

    加藤(勘)証人 今の徳田君の質問にお答えいたします前に、きのうの証言の中で、私の記憶違いの点がありましから、それを訂正しておきます。それは八代君と会うに至つた紹介者が、速水君でないかという質問を受けましたことに対しまして、私はどうしても記憶がなかつたから、速水という人を知らぬと答えましたが、帰つていろいろ当時のことを考えてみますると、八代君が私の家に訪問されたときに、同行者がありました。その同行者が、多分新聞記者であつたか、上海から引揚げて來た人である。以前新聞記者時代に私を知つておるということを言われたことを思い出して、その人があるいは速水という人ではないかと思いますから、それだけ訂正しておきます。
  9. 石田一松

    石田(一)委員長代理 了承しておきます。
  10. 加藤勘十

    加藤(勘)証人 今徳田君の言われたかもめという料亭は、今初めて聞くので、全然知りません。
  11. 徳田球一

    徳田委員 ところで、梅村氏が檢事の尋問に対しまして、昭和二十二年、すなわち昨年の二、三月ごろ隅田川料亭かもめで、あなたと鈴木茂三郎君と会食したということを陳述しておるようでありますが、これはないですか。
  12. 加藤勘十

    加藤(勘)証人 それはありません。それはおそらく梅村君の何か感違いだと思います。全然知りません。
  13. 徳田球一

    徳田委員 そのときにあなたが——これまで言えば思い出されるかもしれませんから一つ聞いておきますが、加藤君が私に、すなわち梅村に、君はえらくもうけたそうだが、どうしてそんなもうけをしたかというようなことを問われ、そうして雜談があつて鈴木茂三郎君は加藤君の肩をたたいて、君これはいい金ずるができたと言われ、そうして選挙費用が要るようだからというので、その資金を頼まれた。そこでその頼まれた結果、すなわちかもめで会つたその約束として、梅村封鎖を五十万円、これは経済研究所の方で使うことになり、自由に使えるものを五十万円、これを送金したということに梅村が供述しているようでありますが、思い出せませんか。
  14. 加藤勘十

    加藤(勘)証人 全然ありません。まつたくないです。
  15. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、これは梅村の思い違いということになりますか。
  16. 加藤勘十

    加藤(勘)証人 さようでございます。
  17. 徳田球一

    徳田委員 私の質問はこれで終ります。
  18. 石田一松

    石田(一)委員長代理 では加藤さんに対する証言を求めることはこれで終りました。どうも御苦労さまでした。  証人加藤シヅエさんの尋問を始める前にお諮りいたします。ただいま臨時に理事会を開きまして、吉田茂君の問題に関連する証人として、大野伴睦氏を今日の委員会証人として喚問するということに理事会は決定いたしましたが、御異議ございませんか。
  19. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それではさよう決定いたします。
  20. 石田一松

    石田(一)委員長代理 加藤シヅエさんにお尋ねいたしますが、梅村清さんとあなたとの関係、要するにいつごろお知り合いなつて、どういうことでお知り合いなつたかということをちよつとお話し願いたいと思います。
  21. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 いつごろという時期はあまりはつきり覚えておりませんがこの前の選挙が済んで三、四箇月くらいつてからのことかと覚えております。
  22. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それではどういうことからお知り合いになつたのですか。
  23. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 加藤鈴木に対して寄付金をしていただいたということから、一度私にも会いたいというようなことで、別に用事があるわけではございませんが、一緒芝居でもお目にかけたいというようなわけで案内されたのが、そのころだつた記憶いたします。
  24. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そういたしますと、寄付金加藤勘十氏並びに鈴木茂三郎氏になされた、その寄付をした人が梅村清という人であるので、その人に会おうという意味で観劇でお会いになつたのですか。
  25. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 向うから招待されましたので参りました。
  26. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そういたしますと、寄付金加藤勘十君並びに鈴木茂三郎君がお受けになつたときは、まだあなたは梅村清君は御存じないのですか。
  27. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 存じません。会つたことはないのです。
  28. 石田一松

    石田(一)委員長代理 梅村清君のお使いの者とか何かにお会いになつたことはありませんか。
  29. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 別に使いではなくて、銀行から届けて來たように思います。
  30. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そういたしますと、銀行から届けたということは、梅村氏からだということで銀行から届けて來たのですか。
  31. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 そうでございます。
  32. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そのときは、あなたは梅村氏は御存じないわけですね。
  33. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 存じません。
  34. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは梅村氏からというので、銀行から届けて來た年月日とか、金額、どういう理由で持つて來たのか、またその金はどういうふうにお使いなつたが、御証言を願います。
  35. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 私の聞かされておりましたところでは、梅村さんという方は昔豊橋電燈爭議のことで加藤鈴木知合いであつたその方と長い間交際は絶えておりましたが、横浜の社会党員中村さんという方の御紹介で、いつか加藤鈴木両人がその梅村さんという方にお会いした。久しぶりでお会いして、たいへんに久しぶりであつたけれども、自分は今日たいへん成功しているというようなことを言われた。その程度のことを聞かされておりました。
  36. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その銀行から届けて参つたというお金金額はどれくらいでありますか。
  37. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 小切手の五十万円と現金の五十万円。
  38. 石田一松

    石田(一)委員長代理 小切手封鎖ですね。
  39. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 そうです。
  40. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それはあなたが全然御存じない梅村氏から届けられた。この百万円という金の届けられた理由は、何かそのとき使いの者は申しませんでしたか。
  41. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 いいえ、それはただ昔の同志としての贈りものというような意味で差上げるというふうに聞いておりました。
  42. 石田一松

    石田(一)委員長代理 これは梅村氏が偶然に昔の同志に差上げると、ふいにあなたの所に銀行から届けさせるということはないと思うのですが、あらかじめ何かそういう了解があつたので、梅村氏があなたのところへ届けたというふうなことはお考えになりませんですか。
  43. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 その前に中村さんの紹介久しぶり鈴木加藤両人及び中村梅村多分四人だろうと思いますが、会談をいたしましたときに、中村さんの口添えで、むだなお金を使わないで、加藤さんや鈴木さんのような方に少し寄付でもなさいというような話が出た、そうしたら自分はやります。そういう話が出たということは聞いておりましたけれども、その眞偽のほどは別に考えておりませんでした。それで突然電話がかかつて参りまして、前からこれをお届けしたいと思つていたものですから、お届けします、こういうわけで届けられたのです。
  44. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その金をお受取りになつたときに、加藤勘十氏は、あなたと一緒にはいらつしやらなかつたのですか。
  45. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 選挙の始まる少し前であつたかと存じますが、名古屋の方に行つておりまして、留守でございます。
  46. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると、あなたはそのときにその金をどういうふうに処置なさいましたのですか。
  47. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 鈴木さんの方へお電話をかけまして御相談いたしまして、鈴木さんの御指示を受けたいと思いました。そこで鈴木さんは自分もいろいろ考えがあるので、こんなふうに使つてらいたいと思うけれども、一應加藤さんの意見を聞いてみてくれ、こういう御依頼がございましたので、鈴木さんはこれを社会主義政治経済研究所研究費として使いたいと言つておられますが、そのように処理してよろしいかということを、たしか電話で聞いたと思います。そうしたら鈴木さんのよろしいようにしてくれ、こういうことで鈴木さんの方へ御連絡をして、鈴木氏に私の宅までおいでいただいてそつくりそのままお渡しいたしました。
  48. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それではもう一つ梅村さんから金以外に何か物品でおもらいなつたことはございませんか。
  49. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 けさ新聞で見まして……。
  50. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと待つてください。  ちよつとお諮りします。今次に喚問する予定なつておる鈴木証人がこの加藤シヅエ証人証言を聞いておることはどうかという尾崎さんからの御注意がありました。まことに恐れ入りますが、もし次に出頭する証人の方がこの委員会で傍聽していらつしやるようでしたら、退席を願います。  それでは証言を続けてください。
  51. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 けさ新聞加藤証言に、何か白いネルをもらつたとかいうようなことを申したようでありましたが、私はちよつとそんなことを記憶しないのでございますけれども、あるいは私が忘れたのかもしれません。
  52. 石田一松

    石田(一)委員長代理 物品で一切受取つたことはないですか。
  53. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 物品というのは金銭以外でございますか。
  54. 石田一松

    石田(一)委員長代理 はい。
  55. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 金銭以外にはその芝居に呼ばれたときに、私へのみやげとしてやはりきれをもらつたように覚えております。
  56. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そのきれと申しますのは……。
  57. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 あまりよく覚えていないのでございますけれども、何だかざくざくしたような織物であつたように思いますが……。
  58. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それはあなたが簡單に持つて帰れるという品物なんですね。
  59. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 そうでございます。
  60. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それからあなたは八代正昭さんという方を御存じでございますか。
  61. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 知つております。
  62. 石田一松

    石田(一)委員長代理 この方とお知合いになつたのはいつごろか、あるいはまたどういう事情でお知合いになつたのか、また八代氏からお金をもらつたことがあるかどうか、御証言を願いたいと思います。
  63. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 その方はうちへたれかの紹介でおいでになつたように思うのでございます。そのとき初めてお目にかかりましたが、たれが紹介したかということを、私はつい忘れました。
  64. 石田一松

    石田(一)委員長代理 八代正昭さんからお金をおもらいなつたことがありますか。
  65. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 お金をもらつたことはございません。
  66. 石田一松

    石田(一)委員長代理 お金以外で何か物品でおもらいなつておりますか。
  67. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 ぼろぼろのダツトサンをもらいました。
  68. 石田一松

    石田(一)委員長代理 このダツトサンは後にあまり修繕料もかかるのでお返しになつたのではありませんか。
  69. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 せつかくくださいましたけれども、あまりぼろぼろで、いくら直してもちつとも走らないのでございます。それで困りまして、八代さんのところへ私が参りまして、せつかく御好意でございますけれども、修理費ばかりかかつて一度も走らない、どうしたものでございましようと申し上げたことがあるのでございます。その当時電氣自動車が約六万円ぐらい配給が受けられるということで、それを申込んでおきましたのが、ちようど配給がございましたので、そのことを八代さんにお話いたしましたら、ではあまりお氣の毒で修理費もおかけになつたから、そのダツトサン自分がお引取りして、その代りにその電氣自動車の代を自分がお拂いする、こういうふうにしてあげましようというわけで、その電氣自動車の代金を、たしか六万円だつたと思いますが、いただきました。
  70. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると、これは昨日加藤さんもおつしやつたのですが、解釈のしようによつてはもらつたダツトサンを修繕しただけ損で、二万円もかけて修繕して、結局新たに六万円電氣自動車を買うためにもらつたんだと解釈しても、そうとも言えるということもおつしやつておりましたが、そうとも考えられますね。
  71. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 お金でいただいたのではなくて、たしか電氣自動車の方へ拂込んでいただいたと思います。
  72. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると、八代氏からお金に関するこうした問題はこれだけでございますか。
  73. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 それだけでございます。
  74. 石田一松

    石田(一)委員長代理 品物で何かおもらいなつたことがありませんですか。
  75. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 私がその店へお訪ねしたときに、デパートでございましたから、何か私の子供におもちやかなんかいただいたように思つております。
  76. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと前に帰りまして、もう一度記憶を呼び起してもらいたいと思いますが、先ほどおつしやつた百万円以外には梅村氏との間に金銭関係はございませんか。
  77. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 先ほどお聞きになつたの品物とおつしやつたのでございます。
  78. 石田一松

    石田(一)委員長代理 お金のときに百万円は銀行から届けられたということでありましたが……。
  79. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 そのときは百万円、それからあとで私が品物を持つて行つて買つていただいたことはございます。
  80. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それ以外にはございませんか。
  81. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 それ以外にはございません。
  82. 石田一松

    石田(一)委員長代理 何か今年の二月ごろ梅村氏から小切手か何かでそれ以外におもらいなつたことはありませんか。
  83. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 それはその品物を買つていただいたのでございます。
  84. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうするとその品物をお賣りになつたときの金額は幾らくらいでございますか。
  85. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 合計で四十万円でございます。
  86. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうするとその品物というのはどういう品物でございましようか。
  87. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 私の所持しておりました珍しい本とか絵画、それから宝石の指輪、そんなものでございます。
  88. 石田一松

    石田(一)委員長代理 これはおかしいことを聞くようですが、四十万円くらいの時價としては價値のあるものですか。
  89. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 こういうものはなかなか値打をはかることのむずかしいものでございますから、私は正確には言えません。
  90. 石田一松

    石田(一)委員長代理 今年の二月ごろ加藤勘十氏が党の大会で書記長選挙を爭う、そのためにぜひ要るのだというようなことをあなたから梅村氏に申込んで金の借用をなされたことはございませんか。
  91. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 梅村氏がそういうような陳述をしていらつしやるということをちよつと聞きましたけれども、それは何かの話のついでにそんなことがあるかということを聞かれたのがそういうふうに混合したのではないかと思いますけれども、私が品物を持つて参りましたのは、少しお金の必要がございまして、最初に物を賣りまして受取つた三十万円はたしか昨年の十二月ごろだつたと思います。
  92. 石田一松

    石田(一)委員長代理 品物のときには三十万円ですか。
  93. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 はつきり覚えてないのでございますけれども、二十万円と十万円であつたか、三十万円一度であつたか、あとはずつと離れて十万円でございます。
  94. 石田一松

    石田(一)委員長代理 あとのときもやはり指輪とか、そうしたものでございますか。
  95. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 その通りでございます。
  96. 石田一松

    石田(一)委員長代理 あとのときとはいつごろですか。
  97. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 今年の夏ごろかと思います。
  98. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それからちよつと、これは証人自身とは関係ないかもしれませんが、八代氏から相当額の何か社会党への献金があるというようなことが言われておるのですが、こういうお話はお聞きになつたことはございませんですか。
  99. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 それは私は存じません。
  100. 石田一松

    石田(一)委員長代理 今の八代氏のダツトサンの問題はよくわかつたのですが、そのほかにあなたが何か必要なものをお買いになるために金が必要だというので、借用になつたのか、おもらいになつたのか知りませんが、そういうことはありませんか。
  101. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 ございません。
  102. 石田一松

    石田(一)委員長代理 何か台所用品ですか、そういうもの、たとえば冷藏庫を買いたいというので三万円ほどお借りになつたことはございませんか。
  103. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 記憶ございません。冷藏庫は家にございますからいりません。
  104. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと話が変りますが、衆議院の隠退藏物資等に関する特別委員会、あるいは不当財産取引調査特別委員会梅村清君に関する何か投書が來たというようなことをお聞きになつたことはありませんか。
  105. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 全然ございません。
  106. 石田一松

    石田(一)委員長代理 鈴木茂三郎さんと梅村さんとの関係御存じであつたちよつとお話を願いたいと思います。
  107. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 豊橋のことでお知合いなつたということを聞いただけでございます。
  108. 石田一松

    石田(一)委員長代理 先ほど最初に御証言なさいましたあの程度ですか。
  109. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 そうでございます。
  110. 石田一松

    石田(一)委員長代理 梅村氏と星島二郎氏、あるいはまたそれに関連して吉田茂氏というような関係を、もし御存じでしたらこの際御証言を願いたい。
  111. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 全然存じません。
  112. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ほかに質問の方はございませんか。
  113. 徳田球一

    徳田委員 ちよつとお尋ね申しますが、東亞商事株式会社東京出張所におります平井という男を御存じでありますか。
  114. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 平井さんという方は存じません。
  115. 徳田球一

    徳田委員 この最後のプラチナの指輪によつて借りられまし十万円に対して、平井という男が仲介しておるようなことはありませんか。
  116. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 私は直接買つていただきましたから、仲介者はございません。
  117. 徳田球一

    徳田委員 大体この金につきましては、梅村君の陳述では二月ころに三十万円小切手で渡したということになつておりますが、それは違いますね。
  118. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 もう少し早かつたように思うのでございますけれども、それは私はそういうことが公の問題に関係があると思いませんから、別に私はメモも何もつけていないですからよく覚えていないのでございます。
  119. 徳田球一

    徳田委員 向うの言い分では三十万円を小切手で渡したと言うのですが、あなたの御記憶では現金で二十万円と十万円とを二回にわたつておもらいなつたということになつておりますか。
  120. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 どうもその辺はつきり覚えておりません。
  121. 徳田球一

    徳田委員 すると、とにかくこの三十万円と十万円とは別々であつたことは確かですな。
  122. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 そうでございます。
  123. 徳田球一

    徳田委員 それでこの十万円は指輪——大体一万円くらい指輪だと梅村氏は言つておるのでありますが、これに対して十万円貸してやつたというように言うておりますが、それはどうでしよう。
  124. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 別にその指輪は專門家に鑑定してもらつたわけではありませんから——私にとりまして永年愛用しておりました所持品は、たとえ一万円くらいのものでも十万円くらいのものになるわけでございます。
  125. 徳田球一

    徳田委員 ところで、もう一つお伺いしたいのですが、書記長加藤勘十君と淺沼稻次郎君とが爭いましたときに、あなたが代議員を御招待になりまして、相当多額の金を使われたと言われておりますが、そういう事実はありませんか。
  126. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 私は招待はいたしません。
  127. 徳田球一

    徳田委員 何もない……。
  128. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 会合はございましたけれども、私は招待いたしません。
  129. 徳田球一

    徳田委員 あなたが招待したのではない……。
  130. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 ございません。
  131. 徳田球一

    徳田委員 会合はあつた……。
  132. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 それはそういうときに会合があることはあたりまえのことでございます。
  133. 徳田球一

    徳田委員 單なる会合でなく、相当饗應をなさいまして書記長選挙に貢献せられたというような事実はありませんか。
  134. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 徳田さんの饗應とおつしやるのはどういう程度か存じませんけれども、私の考えるのは相当りつぱなお膳を出したり何かするのが饗應で、私の申します会合というのは、まあ折詰のおすしを半分ずつ食べるとか、あるいはお茶を飲むとか、そういうのが会合だというふうに思いますから、饗應はいたしません。
  135. 徳田球一

    徳田委員 そのときの費用が何でも十五万円くらいかかつたという話でありますが、そんなことはありませんか。
  136. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 これは私に関係ございません。
  137. 徳田球一

    徳田委員 あんたには関係ない……。
  138. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 はあ。
  139. 徳田球一

    徳田委員 会計はどなたが……。
  140. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 会計は社会党のそのときの人がやつておりました、私たちのグループの。それからいろんな物を寄付を受けました。たとえばみかんとかするめとかりんごとか、そんな物の寄付をあちこちから受けて、それを皆で食べたのでございます。
  141. 徳田球一

    徳田委員 会計の担任者はおわかりにならないですか。
  142. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 会計の担任者は、そのときいわゆる五月会というのがございましたから、大勢の人がおりましたので、別に私が担任者ではございません。
  143. 徳田球一

    徳田委員 いや、あなたは担任者じやないでしようけれども、担任者はあつたでしよう。どなたでしようか。
  144. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 さあ、それは私記憶いたしません。
  145. 徳田球一

    徳田委員 それからちよつとお尋ねいたしますが、この二十二年四月九日に持つて來られた封鎖小切手五十万円と自由小切手五十万円は、すべてあなたから鈴木茂三郎君に渡したきりで、あなたには何ら関係ないのですね。ただ取次いだだけですね。
  146. 加藤シヅエ

    加藤(シ)証人 そうです。
  147. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ほかにございませんか。——では御苦労さんでした。終りました。     —————————————
  148. 石田一松

    石田(一)委員長代理 鈴木茂三郎さんに申し上げますが、これよりいわゆる纖維疑獄事件について、一應証言を求めたいと思います。  証言を永める前に、証人に一言申し上げます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項、あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者については、職務上知つた事実であつて、默祕すべきものについて、尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、且つ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の徴役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。
  149. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ではこれから証言を求めますが、証人梅村清さんという方を御存じでございますか。もし御存じでしたら、いつごろからどういう事情で知合つたか、特にもし最近梅村清さんという方がやつておる事業関係等で御存じのことがございましたら、詳細に御証言願いたいと思います。
  150. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 承知いたしております。梅村氏は私と同郷の人でございますが、梅村氏が東京で苦学しておられるころ、労働組合運動に頭を入れられたということを聞きました。しかしその当時は存じません。その後豊橋に大きな電燈爭議がありまして、爭議の関係で應援に行つたことがございますが、その際知合いました。非常によく知つておるというほどの記憶はなく、かすかな記憶しか残つておりません。それはおそらく十何年前のことであります。たまたま社会党が結成されまして、豊橋から可知という医学博士を衆議院議員の候補者に立てたいと思つて、話に参りましたときに、たまたまそこへ話に來られた人が、その電燈爭議当時の仲間のうち二人事業をやつて自分は戰爭中に二百万円くらい残しました、梅村君は二、三千万円残したというような話を聞きまして、そうですか、それは一度昔話でもやりますかと言つて別れましたが、しかしそういう機会もございませんでした。その後この梅村という人は、私のよく知つております小岩井淨君を学長として、豊橋に愛知大学、これは主として文科、経済でありますが、これをつくられまして、その理事として梅村氏は相当な基金を寄付されたように聞いておりましたが、たまたま加藤君が名古屋の帝大の医科大学の学長をよく知つてつて、そこで名古屋には文科がございませんので、豊橋と名古屋を一緒にして総合大学にしてはどうかというようなことを、加藤君が考えておりました。これはおもしろいだろうというような話が当時ございました。私が会いましたのは東京で会いました。そういう関係であります。  それから事業関係については、その当時は纖維をやつておられた、こう聞いておりました。豊橋のことですから、深く聞きませんでしたが、大体絹織物だろうと想像しておりました。工場はいくつか持つておられるように聞いておりました。その程度しか存じませんでした。その後のことは今回の事件新聞によつて承知したわけでございます。
  151. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると梅村さんの事業が現在のように大きくなつたというような事情御存じないわけですね。
  152. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 さようであります。
  153. 石田一松

    石田(一)委員長代理 梅村清さんからお金をお受取りになつたことはございませんか。
  154. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 ございます。
  155. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その点について、そのお金をお受けになつた年月日、金額、受領した理由、その使い道等について、詳細に証言を願います。
  156. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 横浜の社会党の多分縣連の役員だろうと思いますが、中村武、新日本産業、これはよく私は仕事は存じませんが、小さい工場だろうと思いますが、その経営をやつている人がございます。私は党の関係で面識の程度でしたが、私より加藤君がその人と懇意だつたろうと思います。たまたま私と加藤君と梅村氏の旅館で会いましたときに、中村君が來ておりました。聞くと始終そこへ中村君は來ておつたそうであります。何か梅村氏が大きくなる前に一緒に長く仕事をやつて來たという関係のように聞いております。そこで梅村氏と四人でいろいろな昔話などをいたしました。その際梅村氏は私に、私はこうして事業をやつておりますが、私の心持は昔電燈爭議をやつたときの心持と少しもかわりません。あなたの本は全部読んでおりますと言つて、私の「労農ロシヤの國賓として」という本の名前が出ました。しかし私はこういう仕事をやるようになりましたが、長男はどうにか自分あとを継いでくれると思うが、次男はどうも同じ愛知縣の関係もあるだろうが、私なり加藤君などの新聞記事が出ると切り拔いて張つている、どうも次男はあんたの方へ行くんじやないかと思います。まあそういうことがありましたら、いずれ連れて來ますからよろしくお願いしますということで、二度目くらいのときに、ちようど中学四年くらいに在学しておりましたむすこをつれて参りました。そういうようなことで、仕事その他の話は別にいたしませんでした。その後中村君から梅村氏に対して、どうも梅村氏はむだな金を使うようだが、私としてはむだな金を使わないで、もつと加藤鈴木というような人を助けて、もう少し有効に、有益なことに使つたらどうです、こういうことを私は話しました。あなたの研究所のことなども話しました。こういう話がございました。しかしそういう話はございましたが、別に深く期待してそれを待つているとか、どうとかというようなことはございませんでした。ただその際、どうもえてそういうことは、何と言いますか変な金になつたりするようなことがあるから、そんな話ならやめてもらいたいという話をしましたら、いや絶対にそういうことはありませんというような話がございましたが、しかしその程度でございまして、別にそれを深くあれしておりませんでした。それはおそらく三月ごろではないかと思うのですが、期限ははつきりしておりません。総選挙のあつた前ですから一昨年だと思います。それから四月に入りまして、四月の初めごろと思いますが、加藤君のところへ封鎖小切手で五十万円、現金で五十万円届けて來たという話を奥さんから聞きました。どうしたものでしようということでございました。加藤君はそのとき選挙で名古屋へ立つておりました。そこでそれでは中村君の話のことだろう。そこで中村君に電話で、金が加藤君のところへ來たそうだがと言つたらそれは私が梅村に頼んだ金です、決して御心配はいりませんから、その点梅村もあなたたちに何かを頼むとか、そういうことは絶対にありません、前に梅村が話したような心持で、愛知大学に寄附したと同じような心持で、主としてあなたの研究所などで使つてらいたい、こういう氣持のものだからお受取り願いたい、こういう話でございました。そこでそういうことならば私が理事長をしておりますが、小さいながら社團法人でございます、社会主義政治経済研究所の経営が非常に困難でございますので——私が專心にそれに当つておればどうにかやつて行けると思いますが、何分議会の方が忙しくて研究所へ顏を出す機会もございませんで、非常に困難でございます。しかしまじめな研究をやつておりますので、何とか心配したいと思つてつた折柄ですから、それでは大体これは研究所でいただきたい。それから私なりまた加藤君なりが個人的にこれを受取つたり、私的に使つたりするようなことはしたくない。それから政治などにはこれを使いたくない。こういうような趣意でシズエさんにそういう話をしました。加藤君もいないが、大体加藤君も賛成してくれると思う。それで一應加藤君の了解をとつてらいたい。ともかく二人だけのものですからということを話しまして、奥さんから名古屋へ電話で話したら、鈴木君のいいようにしてもらいたいという返事だつたということです。それでこれは一應受取ることにしました。そのいろいろな使い道について申し上げますか、そこまででよろしゆうございますか。
  157. 石田一松

    石田(一)委員長代理 使い道の方もどうぞ……。
  158. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そこで封鎖はそのまま研究所の会計に渡しました。現金は私が一應預かつて選挙が済みましたときに——多分選挙が済んだ直後だと思いますが、中村君がやつて参りまして、実は小さな工場を経営しておるが、職工の賃金が二、三箇月拂つてないので、ひとつ二十万円くらい融通してもらいたい、こういうことでございました。そこで研究所関係の人とも相談をいたしまして、中村君の方としては借りるという心持でございましようが、私どもとしては何と申しますか、中村君に御礼と申しますか、そういつた心持で封鎖で十万円、現金で十万円中村君にお貸ししました。しかし大体は返されるか、返されないかということは中村君の自由にまかせるつもりでそのままになつておりますが、そこで残りの封鎖の四十万円、現金の四十万円でありますが、封鎖の四十万円は愛知銀行——もし名前が違つてつたあとで直しますが、愛知銀行の東京支店に——これは研究所の取引銀行でありますので、会計がそこに封鎖を入れて、会計が研究所の所定の規定によつて封鎖を毎月だんだん引出して研究に使つたようであります。それから残りの四十万円の処理につきまして、当時政治経済通信というものを週刊で発行しておりました。これは研究所の人が当つておりましたけれども、直接研究所の仕事ではございませんで、独立した会計のものでありますけれども、しかし大体研究所の仕事のような実際上の関係にはなつておりましたが、その経営が非常に困難でございましたので、その金として二十万円をその方の担当者の伊藤好道に渡しまして、その方で処理するということにいたしました。残りの二十万円は、ちようど私は昭和十二年に檢挙されまして、当時持つておりました本全部を押收されたままでございましたし、それよりも私どもが関係いたしました日本における社会主義運動に関する文献がそういう事件のために散逸しておりますので、それを集めたい、こう思つて、戰爭中でありますから機密にそういう資料をだんだん集めるような努力をしておりましたが、資金がないので中途で打切つた。それをひとつ完成して研究所に引継ぎたいと考えて、そういう了解を理事に求めまして、私がそれを扱つてだんだん資料の收集をして参りました。ここにいろいろ集まりましたものの表が全部ございますが、大体本年の四月ごろに一應まとまりましたので、それを整理しました。大体そういうふうです。なお私の扱いました中から、はつきり記憶しておりませんが、五、六万円くらいはやはり研究所の苦しいときにそれを研究所の方で使つたように思います。大体そういう事情であります。
  159. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうしますと横浜の梅村君の旅館で加藤さんと中村さんとあなたとがお会いになつた。そのときに今のいわゆる援助するとかいうような話が出たのじやないですか。
  160. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 横浜の旅館でなくて、東京の旅館です。そこで別にそういう話は出ませんす、多分中村君が別に梅林君に話されたように思います。なおちよつと言い落しましたが、中村君がその金の融通について話に來られたときに梅村氏から手紙が参りました。その手紙には君の依頼の件は約束を果した。しかし君の心配しておるように、こればかりの金で加藤鈴木両氏に何かを頼んだりするような、そういうけちな考えは毛頭ない。自分の氣持はそういうあれではない。その点は君は心配せんでいいという手紙を受取りましたということを、金を融通に來られたときに、そういう話を聞きました。
  161. 石田一松

    石田(一)委員長代理 この金はだれか使いに持つてつたのか、どうかということは御承知ありませんですか。
  162. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 それは承知しておりません。
  163. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そういたしますと、あなたと加藤勘十さんとで梅村さんに会つたときに、梅村氏の事業がたいへん盛大になつているというので、あなたたちの方から援助と言いますか、要請というか、そうしたことはなされていないということになるわけですか。
  164. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 私の方から別に話を切り出したのではございません。
  165. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうしますと、途中に入つた中村という人が、あなたと加藤氏がぜひそうしてくれと頼んでいるのだと言つて梅村氏を一應いつわつておる。こういうことになりますか。
  166. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 さあ中村君が梅村さんにそういうふうな話をしたか、別に私は聞いておりませんが、さつき申し上げましたように、むだな金なんか使わないで少し有益に使つたらどうかということを自分から話をしたと聞いております。
  167. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ただいま梅村君の手紙を持つて來た、その手紙は、あなたたちの要求通りの金を届けるという手紙であつて……。
  168. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 いやそうじやありません。梅村氏から中村君あての手紙でありますから中村君の、君の依頼の件を約束を果す、こういう手紙であります。
  169. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その後も梅村氏とどこかでお会いになり、あるいはまた会食を梅村氏あるいは加藤氏あたりとお三人でなさつたことはありませんか。
  170. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 私は芝居が好きでして、旧劇が好きですが、梅村氏の事務所に劇作家の妹さんがおられ、切符が簡單に手に入りますので、私とりましたが、二、三回芝居を見に行つたときに、おそらくそれは事務所だつたと思いますが、そこで食べたように思います。
  171. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その芝居とかあるいは事務所でお食事をなさつたようなときに、梅村氏は中村氏に会つた手紙の内容に反して、証人あるいは加藤氏あたりにどこか関係官廳に紹介状か、あるいは何か事業上の斡旋を依頼したようなことはありませんですか。
  172. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 向うからそういうこと、その他に対して何も頼まれたことは一つもございません。私の方から頼んだこともございません。
  173. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると、梅村氏に関する限りは金銭の面は、この封鎖五十万円、現金五十万円、これ以外には何もありませんですか。
  174. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 ありません。
  175. 石田一松

    石田(一)委員長代理 梅村氏から物品をおもらいなつたことはございませんですか。
  176. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 ちよつと数は覚えておりませんが、くつ下と何か敷布になるような木綿の地の厚いようなものを、多分一反もらつたように思つております。
  177. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ネルの反物というようなものじやないですか。
  178. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 さあどうでございますか、私別によく見ませんでしたが、何かそういう白いやや生地の厚いようなもののやうな氣がしますが、見ませんでした。
  179. 石田一松

    石田(一)委員長代理 証人八代正昭さんという方を御存じでしたら、その知り合つた事情なんかを証言願います。
  180. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 存じております。これは京橋の何といいますか私長く行きませんのでちよつと名前を忘れましたが、加藤さんのよく知つているお医者さんがありました。その時分私注射に通つておりましたので、そこへ八代さんが來られて、そこでの知合いか、そうでなければ加藤さんがそこの店で引合わしたのか、多分そうだろうと思いますが、八代氏とはあまり深い交際はありません。
  181. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは八代氏から何か金銭をもらつたとかいうことはございませんですか。
  182. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 金銭はもらいません。
  183. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは物品は。
  184. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 今はウイスキーなどは割合に自由に買えるようですが、そのころはちよつと酒を買うにも店にはなくてめんどうでしたが、何というか三級酒くらいのウイスキーだがどなたか飲まれるならばあげましようということで、私は別に酒は飲みませんが、たまたま何か大勢で一度下町の方で一緒に話し合いましたときに、ふとそれを思い出して、それでは一つあすこにウヰスキーがあるからということで、とりに行つてもらつたことがあります。金を拂おうと思いましたが、要らないということで、それではしいて拂うことはないとそのままにした。それで何本かはよく覚えておりませんが、四本か五本じやないかと思います。
  185. 石田一松

    石田(一)委員長代理 先ほど私も梅村氏の関係でお尋ねしたと同じように、この八代氏の関係で何か官廳とか関係方面に紹介状などお書きになつたことはございませんでしたか。
  186. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 別にございません。
  187. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ほかに……。
  188. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 証人に伺いますが、梅村さんと証人並びに前に述べられた加藤証人との三者の関係は、今伺つておりますと、前の加藤証人よりも鈴木証人の方がやや近しい関係のように承つておりますがそういう点は……。
  189. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 大体同じ関係だと思います。別に加藤君と私と比べて特にどちらが親しいということはございません。同じような関係だろうと思います。ただ私の方は同じ郷里だということでありまして、だからといつて特にどうしたということもございません。
  190. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それでは伺いますが、前の寄付された封鎖小切手五十万円、自由小切手五十万円の問題でございますが、封鎖小切手は御承知の通り、これは支拂う場合に受取る方からの封鎖小切手受取らなければならない請求書もしくは証明書というものが必要であつたのでありますが、何らかのそうした手続をされなければ、銀行から突然に封鎖小切手を持つてつて提示することは困難と思うのですが、そういう点について前もつて何らかの手続をなされたかお伺いしたい。
  191. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 今お尋ねの中に封鎖小切手、自由小切手というお言葉でありましたが、あとのは現金であります。封鎖小切手は見ておりませんが研究所の会計がシヅエさんのところへいただきに行つてもらつて帰つて、研究所の会計が処理した。私はそういう手続のことは存じておりません。
  192. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 先ほど加藤シヅエ証人お話を伺いますと、たしか届けて参つたの銀行の人だつたように思うというお話であつたが、その点をもう一度はつきり……。
  193. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 ちよつとお尋ねの意味がよくわかりかねますが、むろん封鎖小切手ですから銀行を経て來ておるのだと思います。それを手続をとつて研究所の会計が銀行に入れただろうと思います。私は詳しいことはよく知りません。
  194. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 前の加藤シヅエ証人は、さきに申しましたように、自分はなぜ届けたかということははつきりわからずに、前に今証人が述べられたような話の一部は聞いたことがあつたが、届けて來た手続なり、また届けて來たその直接の金の贈呈の意味はわからずに、ただ受取つただけだ、そうしてこれは電話で今の鈴木証人に相談をされた、こういうことを言われたのでありますが、今の封鎖小切手支拂いについての手続はきわめて重要な点であります。そこらの点おわかりにならぬということですが、そうしますと加藤証人がそういう手続をなされたというふうに考えてよろしゆうございますか。
  195. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 今シヅエさんがあまり事情を知られなかつたというようなお尋ねでありましたが、おそらく私はシヅエさんもそうだろうと思います。それからシヅエさんのところへ來た小切手をどんなふうにシヅエさんが処理されたかということは、現金は私が今の電話でいろいろ加藤君と打合せが済みましてから受取るということになりまして、シヅエさんが現金を私の宅へ持つて來られることになりましたときに、封鎖は私のところでは処理できませんので、研究所の会計が直接シヅエさんの方へいただきに上つたのでありますから、そのときどんなふうな手続がとられたか、私は手続は存じません。
  196. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それではその点は鈴木証人からでもけつこうでありますし、加藤証人からでもけつこうでありますが、どういう手続で五十万円の封鎖小切手銀行から持つて來られたか、こういう点に関してこの委員会へ御報告願いたいと思います。
  197. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは証人に申し上げますが、ただいま尾崎委員が要求しましたその五十万円の封鎖小切手を、銀行から拂い出したその手続がいかになされたかということを、会計課などにお問合せくださいまして、なるべく早い機会にこの委員会へ御提出を願います。
  198. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 承知しました。
  199. 徳田球一

    徳田委員 鈴木君にお尋ねしますが、この封鎖五十万円と現金五十万円を受取るにあたりまして、名古屋におられます加藤君と打合せをなさつたそうでありますが……。
  200. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 私でなくて、シヅエさんから電話で話して來たのです。
  201. 徳田球一

    徳田委員 あなたが直接じやないですか。
  202. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 直接ではないのです。
  203. 徳田球一

    徳田委員 そのときに加藤君から、これは梅村君に頼んで送つた金であるから、すなわち加藤君が積極的に梅村君に頼んで送つた金であるから、無條件のものであるから受取つてよろしい、こういうお話があつたわけですか。
  204. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 加藤君とシヅエさんとの間にどういう電話のやりとりがあつたか別に聞いておりませんが、先ほど申しましたようにシヅエさんに話して、それから加藤君に了解を得てもらつた、こういうことでその結果シヅエさんから鈴木君のいいようにということであつたので、詳しく加藤君がどういうふうに言つたということは聞いておりません。結論だけはわかつております。
  205. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、あなたの方から直接梅村君に金をくれというような要求をしたことは絶対にないですね。
  206. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そういうことはございません。
  207. 徳田球一

    徳田委員 そうするとこれは中村君がそうしたわけですな。
  208. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうだと思います。
  209. 徳田球一

    徳田委員 そうすると中村君が要求したことは果したというのは……。そういう手紙があつたという話でしたね。
  210. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうであります。
  211. 徳田球一

    徳田委員 この五十万円と五十万円、すなわち封鎖現金とをあなたに渡したことになるわけですか。
  212. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 その金のことを意味しております。
  213. 徳田球一

    徳田委員 中村君が要求したわけですね。
  214. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 さあ、そこのところは中村君と梅村氏との話を聞いておりませんから、どういう話合ですか……。たださつき言つた通り、中村君はむだに使わないで少し有益に使つたらどうかという話をした。こういうことを私は聞いただけで、その梅村氏と中村君との話合いは、それ以上別に聞いておりません。
  215. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、あなた方から中村君に、梅村君から金を出させるようにという要求とか、あるいは要請をしたようなことはありませんか。
  216. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そういうことは絶対にありません。
  217. 徳田球一

    徳田委員 あなたは東京で梅村君と会食をしたようなことはございませんか。
  218. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 さつき言いましたように、芝居を見に行つたときに、多分これは主として梅村氏の事務所だつたと思います。
  219. 徳田球一

    徳田委員 隅田川の「かもめ」という料亭御存じではありませんか。
  220. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 知りません。
  221. 徳田球一

    徳田委員 これは実は梅村君があなたと——かもめ」ということになつておりますが、どこで会食したか、加藤君並びにあなたと会食をした席上で、加藤君が梅村君に、君はえらい金もうけをしたそうだが、どうしてこんなにもうけたかというような雜談をして後に、あなたが加藤君の肩をたたいて、君よい金づるができたというようなことを言つた梅村君が供述しておりますが、そういうような覚えはありませんか。
  222. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そういうことはございません。私はそういう軽い言葉はあまり使わない性格ですから、そういうことを言つたようなことはないと思います。
  223. 徳田球一

    徳田委員 これは梅村君の間違いですか。
  224. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 もし梅村氏がそう供述していれば、何かの思い違いだろうと思います。
  225. 徳田球一

    徳田委員 もう一つお尋ねしたい。この封鎖の五十万円は、すべて直接あなたがこれを手にせずに、政治経済研究所に渡されたのでありますか。
  226. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうであります。
  227. 徳田球一

    徳田委員 この政治経済研究所の会計主任はどなたでありましようか。
  228. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 ちよつと名前をよく覚えておりませんが、年寄りの田中という人であります。
  229. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、このことに関しては田中君はおわかりになつているわけでありますか。
  230. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうであります。
  231. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、先ほどの尾崎君が云々せられたことも、田中君に聞けばわかるわけですか。
  232. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 私も実は田中君にどういうふうにやつたか聞いてみようと思います。
  233. 徳田球一

    徳田委員 ところであなたがもう一ぺん封鎖の十万円を中村君にやつたというお話でありますが、これはあなたがわざわざ別の金で封鎖をしてやつたのか、それとも政治経済研究所封鎖の金からやつたのか、どちらでありますか。
  234. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 それは私直接関係していないから、よくわかりません。
  235. 徳田球一

    徳田委員 中村君に渡したのはあなたではないですか。
  236. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 私ではありません。
  237. 徳田球一

    徳田委員 たれですか。
  238. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 それは研究所に聞いてみないとたれかわからないが、いずれにしても研究所の人です。
  239. 徳田球一

    徳田委員 あなたの先ほどの御供述では、貸したには貸したけれども、贈與する意味であつた、とるような氣はなかつたというようなお話でありましたが、そうすると、これはあなた自身からではないですね。
  240. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 私別にそうむずかしく解釈しておりませんが、中村君が來て支拂いに困るから何とかしてもらいたい、こういうことでございましたので、それでもう現金の処理はあれしておつて、それで研究所の人に皆渡してあつたので、研究所の方の人でだれか渡してくれ、こういうことを傳えたわけです。いろいろの手続は研究所の人がやりましたので、どうも私は……。
  241. 徳田球一

    徳田委員 研究所のだれがやつたのですか。やはり田中君ですか。
  242. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 だれがやつたかよく知りません。
  243. 徳田球一

    徳田委員 この封鎖は政治経済研究所の方に使うべきものであるが、残りの現金の五十万円は選挙のために使うべきものであるというふうに指定されておるように梅村君は供述しておりますが、そうではないのですか。
  244. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そんなこと……とにかく今私が申し上げた通りであります。それ以上何も話合いのいきさつはありません。
  245. 徳田球一

    徳田委員 それも梅村君の間違いであると理解してよろしいですか。
  246. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 もし梅村氏がそういうふうに考えたとすれば、それは梅村氏の考えたことであつて、そういう趣旨は私の方に通達はしてございません。
  247. 徳田球一

    徳田委員 そこであなたが昨年の選挙のときに、大体左派と申しましようか、社会党のほかの方々にいろいろ選挙費用の援助をなされたようなことはございましようか。
  248. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 これは何と言いますか、お互いに困つている者はできるだけ、事情の許すだけのことをやりたいと思つたものですから、私の所の何と言いますか、寄附などを為替で送つて來たのもありますから、私別に必要がないものですから、二、三人くらい困る人に贈つたということはありますが、それは私のほんの私的のことで、別に大勢の選挙資金の面倒を見るとかいうようなことはございません。
  249. 徳田球一

    徳田委員 個人的のものだけですね。
  250. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  251. 徳田球一

    徳田委員 島上善五郎君、島田晋作君、安平鹿一君に相当の御援助をなさつたようなことはないのでしようか。
  252. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 私、別に存じておりません。
  253. 徳田球一

    徳田委員 ないのですか。
  254. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  255. 徳田球一

    徳田委員 さて社会運動資料史というものを設けられたそうですが……。
  256. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 社会運動史文庫です。
  257. 徳田球一

    徳田委員 これは研究所の附属のものですか。
  258. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そういうつもりでやつております。
  259. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、これはいつごろ開かれたのですか。開設されたのは。
  260. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 開設とかいうのではなくて、社会運動の歴史に関する資料を收集してでき上つたところでこれを文庫の形にして研究所に存置して、皆んなが使う、こういう意味のもので、今まで資料を集めて参りまして、四月ごろ大体のものが集まつたので、今整理しております。
  261. 徳田球一

    徳田委員 これを始めたのは四月ごろから始めたのですか。
  262. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 御承知のように今文献が分散しておりまして、文献を集めるのにそう簡單に集まりません。それでずつと引続きあらゆる努力をして、一應四月ごろに大体のものが集まつた、こういう程度です。
  263. 徳田球一

    徳田委員 四月ごろに集まつた。そうするとこの金は四月九日に來ておりますが……。
  264. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 いや、そうではなくて、去年の四月ではなくて今年の四月ですよ。去年の四月からずつと集めて來て、ようやく今年の四月になつていろいろの資料がまとまつてこれを研究所に引渡した、こういうことになつております。
  265. 徳田球一

    徳田委員 金が來たのは去年の四月九日でありますが、その文庫を收集するというのはいつごろからお始めになつたのですか。
  266. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 それからずつと集めております。
  267. 徳田球一

    徳田委員 去年の四月ですね。
  268. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  269. 徳田球一

    徳田委員 そうすると一年間やつておるというわけですね。
  270. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  271. 徳田球一

    徳田委員 これに関してどこからだれのものをどういうふうにして買い、どれだけのものを買つたかということは、ちやんと文書があるのでございましようね。
  272. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 これは徳田君も御承知でしようが、今文献を集めるのには、忙がしい中にかりに九州に遊説に行つたときに、人に頼んで持つているものを集めてもらうとか、方々に頼むとか、みな忙がしいですから、大体は自分で行つたときに本屋を見て歩いてはそういう必要なものを買い集めてはためて來た。少しずつ一万円ぐらいそこら中のものを買い集めたりいろいろしたものでありますから、私も忙がしいからそういう面倒をとてもやつておれません。しかしこれは大体研究所で了承の上、この收集をやつて來たのです。
  273. 徳田球一

    徳田委員 そうするとあなた一人でおやりになつたのですか。
  274. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 大体そうです。
  275. 徳田球一

    徳田委員 文献の目録はできているのでしよう。
  276. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  277. 徳田球一

    徳田委員 ひとつ文献の目録をお出しください。この事件に関する調査の資料になると思いますので、これを委員長から願いたいと思います。
  278. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは証人に申し上げますが、ただいま徳田委員から要求がありました政治経済研究所のあなたの主宰なさるその文庫、文献のメモと言いますか、それをあす先ほど申し上げました提出書類と同時に御提出を願います。
  279. 荊木一久

    ○荊木委員 そういう資料の要求は、本人から要求があつたからといつて諮らずにただちにきめてもらつては困る。ほとんど必要はないではないか。一應諮つていただきたい。
  280. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ただしこれは文献と言いましても、もし証人記憶ならばこの際すぐこの場で証言しなければならない問題なのです。しかし証人にその記憶がないので、便宜上記録というものを徳田委員が要求するのですから、これは委員会に諮らないでもいいと考えました。
  281. 梶川靜雄

    梶川委員 必要があるというのは徳田君の主観であつて、客観的にはこれだけ大勢の委員がおるから、それが必要であるかどうかということはおのおの意見が違うかもしれぬと思います。從つてそれを主観的な意見のみによつて全部きめるというわけには行かない。一應諮つてから、あなたが御採用なさるべきものなら御採用なさるべきだと思います。
  282. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと速記を止めてください。
  283. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは速記を始めてください。  先ほど証人に対して委員長から徳田君の発言に関連して要求しました、あの部分を取消しまして、この問題は疑義がありますので、後刻理事会に諮つて決定することにいたします。御異議ありませんか。
  284. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ではさようとりはからいます。  引続き証言を求めることに移ります。
  285. 松野頼三

    ○松野委員 証人に一、二点お伺いいたしますが、五十万円と封鎖の五十万円は條件なしで、あまり期待なしに受取つた。こう了承してよろしゆうございますか。
  286. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  287. 松野頼三

    ○松野委員 当時といたしますと、御承知のごとく金融措置の行われた非常に通貨の逼迫した時代でありますし、殊に当時の選挙をなさつた御経驗もございますので、一万円、五千円という現金に非常に苦しんだ時代である。しかるに五十万円という現金を持参されて何も條件もなしに、期待もなしにとるには、あまりに、多額な金だというお考えはございませんでしたか。
  288. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 無論そうです。期待しなかつたというのは、何と言いますか、そういう話はあつても別に窮屈にされることがあるかないか、そういうことについてよくわからぬから、あまり期待しなかつた。來たものについてはあなたのおつしやる通りです。
  289. 松野頼三

    ○松野委員 おそらく現在一千万円の金を集めるよりも当時の五十万円は苦しい時代であると私たちも想像しておりますが、それは贈り主に対して何かお問い合わせになりませんでしたか、受取つてから……。
  290. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 別にそういうこともございませんでした。何しろこつちも選挙で忙しいときですから……。
  291. 松野頼三

    ○松野委員 それでは普通の金、あるいは正業な金としてはおそらく五十万円という金はむずかしいが、何かこれは特殊な金ではないか。と申しますのは、特殊な行為をもつて利益を得た金ではないかという御不審は一應ありませんでしたか。
  292. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 その当時のことですから、全然そういうことはございませんでした。そういう中村君の言葉も信じましたし……。
  293. 松野頼三

    ○松野委員 その後においてその金の使途について梅村氏に話をされましたか。
  294. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 会つたけれども、別に話したことはないと思います。
  295. 松野頼三

    ○松野委員 その後においても会合はされたように存じますが、一言も触れておりませんか。
  296. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 会つたときにはお礼ぐらい無論言つたと思いますが、別に詳しい何をしたとか、どうしたとかいうこまかいことは話ませんでした。それほど会う機会もございませんでした。
  297. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 ちよつと一、二点お伺いしたいのですが、私あとから來ましたから、よくわかりませんが、二十二年の四月ごろでしたね。
  298. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  299. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると、その当時あなたの方が加藤勘十よりは御懇意な梅村さんじやなかつたかと思うんだが、金を贈られるのに、あなたの方へ出される金をどういうわけで加藤さんに贈つたのでしようか。そこのところが理解できませんが。
  300. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 さつきも同じようなお尋ねがございましたけれども、それまでの私と、加藤君と、梅村氏との関係は、別に私の方が特に深いということはございませんでした。同じ事情ですから。
  301. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 同じ事情でありますれば、ことさらこの金を贈られるのに、あなたの方へ——どうもあなたが今まで述べられたような点から行きますれば、あなたの方へ贈られるべき筋合いではないかと思うのですが、その点はどういうわけですか。
  302. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そういうことは考えたことがございません。
  303. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 考えたことはありませんが、私ども常識で考えるとどうも……。
  304. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 強いてそういうことであれば、あなたがそうお尋ねになるからここで考えてみると、つまりそういうことについて話をされた中村君は私よりも加藤君と懇意であるというようなわけであるかもしれません、しかしそれは今お尋ねになつたからそう想像しただけであつて、別にそうだと考えておるわけでありません。
  305. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 何だか私ども檢察廳の書類をちよつと見ましたところによりますると、この金はあなたの方で半分と加藤さんの方で半分とお使いになつたのでないかというような点をちよつと感じたのですが、そうじやありませんか。
  306. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 ええ、たびたび申し上げますように、梅村氏はどういう考え方でどういうように区別されておつたか知りませんけれども、直接そういう詳しい話も何もちつともしておりませんですから、私たち五十万円と五十万円、百万円を一口として考えておりました。これは加藤鈴木一人の名前でございます。こういうふうに考えておりましたから別にそう私の方は区別しておりません。
  307. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 区別じやないが加藤さんの方へ送つて來たのですから現金五十万円を半分づつとか、あるいは封鎖の方、その点はどうでしよう、私ども普通考えると、そういうふうに檢察廳の書類も何か選挙費用に使つたようなことも書いてありますから、その点だけ疑問ですから承つておきます。
  308. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 それは梅村氏がそういうふうに考えておられるのだろうにしても、事実はそういうことはありません。
  309. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 事実は違う、それで結構です。
  310. 荊木一久

    ○荊木委員 ちよつと一点だけ、証人梅村氏と懇意であつた。今も依然として懇意である。金は梅村氏は諸君に同じようにやつたと述べておる。この同じ梅村氏が著しく違つた民主自由党にも別に百万円出しておる。それで梅村氏の聽取書によると、この民主自由党には党献金のつもりで出したらしいが、あなたがそう考えられても、本人は後日になつてはともかくとして、当時出す意思がなかつたのでないか、その点錯誤じやありませんか。
  311. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そういうことは全然ないと思います。
  312. 荊木一久

    ○荊木委員 錯誤はないく地に出し億た。
  313. 鈴木茂三郎

    鈴木証人 そうです。
  314. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ほかにありませんか。
  315. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは終りました。どうも御苦労さまでした。     —————————————
  316. 石田一松

    石田(一)委員長代理 引続き証人尋問を行います。  星島さんに申し上げますが、これからいわゆる纖維疑獄事件についての証言を求めることにいたします。御承知でありましようが、証言を求める前に念のために一言申し上げます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。
  317. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは、先ほど申し上げましたいわゆる纖維疑獄事件に関しての証言を求めます。星島さんが商工大臣でありましたその在任期間についてまず御証言を願います。
  318. 星島二郎

    ○星島証人 第一次吉田内閣成立のとき、すなわち昭和二十一年五月終りでしたか、それから昭和二十二年一月の終りまで商工大臣を動めておりました。それから、吉田内閣が改造になりまして國務大臣になりました。
  319. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと速記をとめてください。
  320. 石田一松

    石田(一)委員長代理 委員会にお諮りいたします。ただいま吉田総理大臣がお見えになりまして、風邪の氣味で発熱の氣味もあるので、あまり夜遅くなることはいかがかと思うので、星島氏の証言途中ではあるが、勝手を言つて申訳ないが、ぜひ今ただちに証言を求めてもらえないだろうかという申出がありました。
  321. 石田一松

    石田(一)委員長代理 では委員会として、星島氏にも御了承願いました。異議なきものといたしまして、では順序を変更いたしまして、吉田茂氏より証言を求めることにいたします。  吉田茂さんに申し上げますが、御承知でもございましようが、証言を求める前に一應念のために申し添えておきます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、且つ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。
  322. 石田一松

    石田(一)委員長代理 では吉田さんにお尋ねいたしますが、吉田さんは梅村清という男を御存じですか。もし御存じでしたら、お知合になつた経過を御証言願います。
  323. 吉田茂

    吉田証人 まつたく知りません。私は会つたことも見たこともありません。
  324. 石田一松

    石田(一)委員長代理 証人梅村清あてに礼状をお出しになつたことはございますか。
  325. 吉田茂

    吉田証人 それはあります。
  326. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その礼状の作成の名義人といいますか、これは証人自身の名義人となつておりますか。
  327. 吉田茂

    吉田証人 実はあまりはつきりした記憶はないのですが、とにかく党に献金をする人であるから、総裁としてでしよう、礼状を書いていただきたいということを星島君から頼まれて、そうして書いたことが記憶にあります。
  328. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その礼状は自分でお書きになりましたか。
  329. 吉田茂

    吉田証人 自分で書きました。
  330. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると、その書いた内容については御記憶がございましようか。
  331. 吉田茂

    吉田証人 今はつきりした記憶はありません。
  332. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その礼状をお出しになつたのはいつごろでございますか。
  333. 吉田茂

    吉田証人 これもはつきりした記憶がありませんが、三月のいつとかいうことになつておるそうであるということを聞いたのであつて、いつ何日というはつきりとした記憶はないのです。
  334. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ただいま証人も申されておりましたが、党への献金者がある。百万円献金してくれた。これに対して礼状を出してくれと星島氏から依頼されたので書いたということでございますが、この点に対してもう少し詳しくこの経過をお述べ願いたいと思います。
  335. 吉田茂

    吉田証人 実はそれ以上の経過はないのです。從つてこの間議場で申した以上の事実は記憶に何もない。頼まれたから書いたという程度のものであります。
  336. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そういたしますと、梅村清なるものから百万円の政党への献金があつたので、総裁として星島氏に頼まれてこの礼状をお出しになつた。こういうことになるのですか。
  337. 吉田茂

    吉田証人 そうであります。
  338. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その礼状は郵送をされたのですか、それともだれかにお手渡しになつたのですか。
  339. 吉田茂

    吉田証人 多分星島君に渡したと思います。星島君から頼まれて、即座に書いて渡したと記憶しております。
  340. 石田一松

    石田(一)委員長代理 星島氏があなたに礼状を書いてくれと依頼したのは、どこで依頼したのでございますか。
  341. 吉田茂

    吉田証人 荻外莊という近衞公の……。
  342. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それであなたは党に対する百万円の献金があつたというので礼状をお出しになつた。しからばその百万円の金銭の処置とか、使途についてどうなさいましたか。
  343. 吉田茂

    吉田証人 全然承知しておりません。ただ献金があつたから礼状を出してくれということで礼状を書いた。
  344. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると証人としてはその金は全然見たことも何もなく、ただ礼状を出してくれと言われたのでお出しになつた。こういうわけでありますね。
  345. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  346. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ほかに委員の方の発言を許します。
  347. 前田種男

    前田(種)委員 証人にお伺いしますが、党に献金するという星島さんからのお話があつたから、党に入つたものとして礼状をお出しになつたという今の証言でございますが、党に入つたものと確実に思つておられるかどうか、もう一度その点をはつきりしてもらいたいと思います。
  348. 吉田茂

    吉田証人 党に入つたかどうか、実は入つたというよりも礼状を出してくれということが主であつたものでありますから書いたのであつて、どこにどうして、どういうような手続きで入つたとか、出すとかいうことは一切承知いたしません。
  349. 前田種男

    前田(種)委員 きのうの本会議における答弁の中にも、明確に党への献金だということを言つておられます。参議院における質問に対しましても党に献金があつたからこれに対して礼状を出したということを明確に言つておられるのですが、今の証言によりますと、党に入つたのか、どこに使われたかわからないという点は、ここにギヤップがあるのです。この点をもう一度明らかにしていただきたいと考えます。
  350. 吉田茂

    吉田証人 党に献金をしたからそれで礼状を出してくれということであつて、現実入つたか入らないか、これは星島君の話に信頼して私は書いたのであります。
  351. 前田種男

    前田(種)委員 今のお言葉によりますと、入つたかどうか実際にわからないということでございますが、昨日本院における答弁によりますと、はつきりと党献金であるということを言つておられるのです。われわれはこの言葉を信じなくてはならぬと考えるのです。その点で党に入つたかどうかわからないということであれば、党に入つたものであるにもかかわらず、あるいは惡く考えると星島氏が勝手に適当なことをやつたのじやないかという推測もできますが、きのうの総理の答弁によりますと、はつきり党献金としてもらつたものだというように、答弁内容から見ると受取れるのです。この点をもう一度はつきりしてもらわなければ、星島さんが個人で勝手にしたのか、あるいは当時は党に入つたものとはつきり認識して、本会議において答弁をされたのか、速記は明確にそうなつておるということが……。
  352. 吉田茂

    吉田証人 党に献金があつたから私に礼状を出してくれということで出した。
  353. 前田種男

    前田(種)委員 さらに重ねて私はこの機会にお聞きしたい。千葉合同無盡の玉置との関係でございますが、実は三百万円の國債を百八十万円の現金にかえておられるという点がございますが、この関係について吉田さんはどの程度内容を知つておられるか、ちよつと御証言願いたいと思います。
  354. 吉田茂

    吉田証人 その点は全然私はあずかり知らないのです。
  355. 前田種男

    前田(種)委員 かつて勅選議員になりました特殊鋼管の社長の渡邊三郎氏から三百万円の國債を党献金として吉田さんがもらわれたという話でありますが、この事実はお認めになりますか。
  356. 吉田茂

    吉田証人 全然その事実はありません。
  357. 前田種男

    前田(種)委員 ないとおつしやれば、これ以上は今後の事実によつて明確にしなければならぬと思いますが、もう一点お聞きしておきたい点は、去る十月十四日の本委員会で、九州の麻生鉱業株式会社の社長であるところの麻生太賀吉君の証言によりますと、これは親子の関係もあるのでございますが、昨年一年間を通じて百三十万円吉田さんに渡した。このうちで七十万円党に献金した。さらに一昨年は一年間に十五万円出した。本年は十月までに三十五万円出したという証言が明確になつておりますが、この事実は認められますかどうか、お聞きします。
  358. 吉田茂

    吉田証人 事実は認めます。
  359. 前田種男

    前田(種)委員 この事実から行きますと、一昨年は第一次吉田内閣のとき、相当金も要つたと私は考えますが、一昨年は十五万円、本年は野党であつた関係もございましようが、インフレその他の関係から行きますと、金の價値がないのですが、三十五万円、昨年は一年間を通じて百三十万円もあなたがもらつておられる。あるいは借りておられる。しかも昨年は石炭國管が一番問題になつたときであります。麻生鉱業は御承知のように九州の代表的な炭鉱であるわけです。民自党——その当時は自由党ですが、自由党の総裁として國管問題が非常にやかましくなつた時に、一昨年に比べて百三十万円という金をもらつたということは、國管問題と関連してどうもこれはいろいろ世間に思われるというような印象を——そういう考えを持たれたことがあるかどうか。これは親子の関係だからあたりまえのことだというように思つておられるか、この点をもう一度お聞きします。
  360. 吉田茂

    吉田証人 これは麻生が証言したろうと思いますが、借りたのであります。また党の総裁として一昨年ですか前年よりもよけい入費があつたために借りただけの話であります。
  361. 前田種男

    前田(種)委員 どうもその点が、いろいろ言つたけれども借りたという名義にはなつておりますが、御承知のように、天下周知の事実のように、石炭國管の問題は今後もいろいろ出て來ると思います。しかも一昨年の十五万円、ことしの三十五万円に比べますと、昨年は一年間を通じて百三十万円もあなたがやつたということになれば、これは國管問題といろいろ関係があるように世間では見るのです。これを世間が國管問題と関係ないというようにするためには、むしろはつきりする必要があろうと私は考えます。しかも麻生氏は九州の代表的な炭鉱の社長でありますから、この点をもう一度明確にしてもらいたいと思います。
  362. 吉田茂

    吉田証人 これ以上にはつきりするはつきりのしかたもありません。今申した以外につけ加えて申すことは何もありません。
  363. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 証人にお尋ねいたしますが、梅村君に礼状を出したのは三月のいつごろとか申されましたが、本年の三月ですか、昨年の三月ですか。それをまず伺います。
  364. 吉田茂

    吉田証人 ちよつと私は記憶がないですが、昨年であつたか、一昨年であつたか、それは記憶がない。多分本年だつたか、ちよつと記憶がないのです。
  365. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 重ねてお尋ねしますが、民主自由党に献金のあつた場合は、総裁が必ず礼状を今までお出しになつておつたのでありますか。どうですか。
  366. 吉田茂

    吉田証人 いや、必ずということはありません。何か星島君から頼まれたから書いただけの話で、私は礼状を出した覚えはあまりありません。
  367. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 お尋ねいたしますが、昨日総理大臣の議会での御答弁を拜聽いたしますと、百万円の党の献金ということでありましたが、昨朝の新聞を見ますると、そのうちの五十万円は、星島君が自分で使つたというようなことが新聞に出ておりましたが、もし党に百万円献金したものであれば、星島君が勝手に使つたということになりますると、党費を横領したというような疑いもここに起るのでありますが、そういう刑事問題の起りましたときには、総裁は党員の中に……。
  368. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと発言中ですが、公用ですから、サインせられるまでちよつと待つてください。——それでは宇都宮君、続けて発言をしてください。
  369. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 昨日の総裁の御答弁中に百万円の献金のあつたことをお認めになつております。のみならず礼状を出したということもお認めになつておりまするが、昨朝の新聞を見ますると、そのうち五十万円は星島君が勝手に使つたということを新聞に発表されておるようであります。こうなりますと、われわれの直感するところでは、百万円のうち五十万円は星島君が勝手に使つたということになると、党の金を自分でもつて勝手に費消した。いわば横領にひとしいような問題がここに起るのではないかと思います。そこで証人は武士道かたぎの人であつて、恥を知つておる方であると私どもは常に尊敬いたしておるのでありますが、もし党内にそういうような不祥事件が起りましたときに、総裁はその責任をいかにおとりになるか。それをちよつとお伺いいたしたい。
  370. 吉田茂

    吉田証人 私はそのとき党に献金があつたから礼状を出してくれというだけの話で、金の始末、その他については星島君が責任を持つておるので、私はその始末等については何ら考えたことはないのです。また関係したことはありません。
  371. 梶川靜雄

    梶川委員 ちよつと吉田さんにお尋ねいたしますが、昨年自由党に対しまして、どのような御献金をなさつておるでしようか。
  372. 吉田茂

    吉田証人 私の記憶では七十万円と記憶しておりますがね。
  373. 梶川靜雄

    梶川委員 どのように、一遍にそれは献金されたのでありますか。
  374. 吉田茂

    吉田証人 私の記憶はあまりはつきりしないのですけれども、選挙費用として五十万円ですか、選挙費としていくらとか、実はあまり記憶がないのですが、そういうふうに記憶しております。選挙費として二十万円か。七十万円ということだけ記憶しております。
  375. 梶川靜雄

    梶川委員 私の方で調べたのでは、昨年の三月五日に十万円、四月二日に五十万円、十二月二十九日に十万円となつております。御記憶はそのように呼び出せませんか。
  376. 吉田茂

    吉田証人 記憶はあまり確かでありませんが、あなたのおつしやる通りでしよう。七十万円という記憶だけがあります。
  377. 梶川靜雄

    梶川委員 そうするとあなたが昨日の本会議におきまして御答弁になつております他から借りたものであるという他からは、一体どこからお借りになつたのでありますか。
  378. 吉田茂

    吉田証人 麻生からです。
  379. 梶川靜雄

    梶川委員 麻生氏から、それではそれ以外に金銭の授受はございませんでしようか。
  380. 吉田茂

    吉田証人 これは私が麻生との間に、ある所の私の所有地を抵当にして、これは自由党の総裁になつたときに党の費用も要ると思つて、その所有地の限度において借りたいといつて借りておるわけです。
  381. 梶川靜雄

    梶川委員 そのある所の土地と言われますのは、廣尾の三千七百坪でありますか。
  382. 吉田茂

    吉田証人 そうであります。
  383. 梶川靜雄

    梶川委員 そうしますとこの前十月十四日の麻生さんの御証言によりますと、別に担保権というようなものは設定していないというお話でありますが、それに相違ありませんか。
  384. 吉田茂

    吉田証人 担保権は設定しておりませんが、担保にしておるわけです。これはこのたびに限られたことではないです。私が役人をしておるときに、金が足りなくなつたこともあつて、その他の地所も引受けてもらつたこともあります。それで同じような意味合いで総裁になつたから、金が要るだろうと思つて、そういうことを話して借りることにしてあります。
  385. 梶川靜雄

    梶川委員 そうしますと、その所有権というものは吉田さんの方に依然として殘つておるわけですか。
  386. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  387. 梶川靜雄

    梶川委員 ところが昨年度吉田さんの御申告になりました所得の問題に関連して調査して見ましたところが、財産総額は八十一万五千三百二円、そのうち宅地が六十五万円でありまして、畑が横浜に二万六千円、それから田が横浜に四万四千円ばかりでありまして、東京というのは一向に載つてないのでございますが……。
  388. 吉田茂

    吉田証人 載つておるか載つておらないか知りませんが、所有地として確かにあります。
  389. 梶川靜雄

    梶川委員 それではあなたは澁谷の方にお家を持つておられたのでありますか。
  390. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  391. 梶川靜雄

    梶川委員 それは今どういうふうになつておりますか。
  392. 吉田茂

    吉田証人 それは一つは麻生が引受けてくれ、他の一つは今のお話の担保になつておる所があるわけであります。
  393. 梶川靜雄

    梶川委員 引受けてくれというのはどういう意味でありますか。
  394. 吉田茂

    吉田証人 これは支拂いが不能になつたとき、もしくはあまり借金が多くなつた場合には、勝手に賣り渡す。
  395. 梶川靜雄

    梶川委員 そうしますと、現在はまだあなたの方に所有権があるわけですか。
  396. 吉田茂

    吉田証人 その通りであります。
  397. 梶川靜雄

    梶川委員 麻生さんの十月十四日の御証言によりますと、担保流れで、私が住んでおるというふうに言われておるのですが、そうすると、これは麻生氏が偽証されたことになるのではありませんか。
  398. 吉田茂

    吉田証人 そうではありません。澁谷の松濤にある家が担保流れになつたので、廣尾にあるのはなお私の名前であります。
  399. 梶川靜雄

    梶川委員 廣尾の方はそうでありますが、私が先ほど伺いましたのは、澁谷の家はまだ所有権があるというお話でありますから、そう伺つたわけであります。さつきのはお間違いですか。
  400. 吉田茂

    吉田証人 それでは先ほどのは間違いであります。
  401. 梶川靜雄

    梶川委員 廣尾のは担保にならずに、三千七百坪殘つておる。
  402. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  403. 梶川靜雄

    梶川委員 そうしますと、澁谷の方は、あなたは土地を貸しておられるわけですか。
  404. 吉田茂

    吉田証人 そうです。三千何百坪、貸しておるわけです。
  405. 梶川靜雄

    梶川委員 貸してあると言われるのは、約定をやつて貸しておられるわけですか。貸借契約をやつておるわけですか。
  406. 吉田茂

    吉田証人 住友信託が管理しております。
  407. 梶川靜雄

    梶川委員 管理しておるというお話でありますが、そうしますと、麻生さんから地代をとつておられるわけですか。
  408. 吉田茂

    吉田証人 そうではありません。住友が管理しておつて、そうして私が借金が拂えなかつた場合には、賣り渡すとか、あるいは買つてもらうということになります。
  409. 梶川靜雄

    梶川委員 あなたの昨年度の所得の御申告によりますと、不動産の貸地代として澁谷からの收入が一万五千八百二十円のうち、管理人の費用として差引残り三千七百九十五円というものが所得というふうになつておりますが、今の御証言はどうものみ込めません。
  410. 吉田茂

    吉田証人 住友信託が直接管理しておりますから、どうぞ住友信託についてお調べ願いたい。
  411. 梶川靜雄

    梶川委員 あなたの方では、その中で三千七百九十五円入つておるというふうに申告しておるのです。それから麻生氏から七十万円の党献金を借りておられる。そうしてそのほかに担保にして借りておると言われるのですが、どれぐらい借りて、どういうふうに使われたわけですか。
  412. 吉田茂

    吉田証人 それは記憶がありません。
  413. 梶川靜雄

    梶川委員 麻生さんの御証言によりますと、そのうち三十五万円は財産税の立てかえというお話で、封鎖解除をしてお拂いになつたというふうに言つておられるのです。
  414. 吉田茂

    吉田証人 それはそうでありましよう。麻生がいろいろ世話をしてくれておりますから。
  415. 梶川靜雄

    梶川委員 そうしますと、あなたの財産税は、昨年度四十一万二千六百二十五円でありまして、三十五万円という立てかえを差引きますと、六万二千六百二十五円というものがあなたの手で完納されたことになる。それに相違ありませんか。
  416. 吉田茂

    吉田証人 それは違いありますまい。しかしながらほかの地所が……。
  417. 梶川靜雄

    梶川委員 しかし昨年度の所得金額は七万九千五百七十一円という額にしかなつていない。そのうち総理廳の方からもらつておられる分、衆議院議員の歳費、不動産の今の澁谷の貸付け地、あるいは横浜の貸付け地、そういうものを合せますと、全部で七万九千五百七十一円になる。しかしながら六万一千二百なにがしというものがあなたから差引かれることになりますと——相当なお生活をしておられるわけでありますし、それ以前の金が相当に入つておるというふうに考えなければならないと思うのですが。
  418. 吉田茂

    吉田証人 それは住友についてお調べ願います。こまかいことは私は知らない。
  419. 梶川靜雄

    梶川委員 住友というものは、不動産の貸地代の問題でありまして、それ以外の所得の問題ではないと思います。麻生氏からの百五万円以外の——三十五万円の立てかえと七十万円の党献金というもの、これ以外の御関係をお伺いしておるわけです。
  420. 吉田茂

    吉田証人 それは、私は麻生に頼んで家の会計をやつてもらつておりますから、これまでどういうふうになつておるかもわかりません。
  421. 梶川靜雄

    梶川委員 麻生氏は百三十万円ということを言つておるのです。
  422. 梶川靜雄

    梶川委員 発言を妨害する者には、退場を命ぜられたい。
  423. 石田一松

    石田(一)委員長代理 梶川君にちよつと注意しておきますが、今晩忙しいところ総理大臣をお呼びしたのは、いわゆる百万円の政党献金問題、このことがまず本筋でありますので、なるべく中心を離れないように、本筋に向つて質問されんことを望みます。
  424. 梶川靜雄

    梶川委員 しかしこの問題は前の麻生証言と非常に重大な関係があります。もしも麻生氏に間違つた証言があるならば、これは重大問題になりますので、この際やはり関連事項としてお伺いしたいという意味でお伺いしておるのです。
  425. 石田一松

    石田(一)委員長代理 お靜かに願います。
  426. 吉田茂

    吉田証人 私の家計は麻生君がやつてつてくれるものですから、麻生の方が確かです。私自身は、いくら使つたかというようなことは記憶がありません。
  427. 梶川靜雄

    梶川委員 麻生さんの方は、担保流れになつたとか、親子の情にも合わぬようなことを言つておられるのです。そういう不可思議なことはないと思つて……。
  428. 吉田茂

    吉田証人 事実がそれです。事実は、私の借りた金を返すだけのあれがないから、それで松濤の地所を引受けてもらつた。さらに自由党の総裁になつて金が要るだろうということで、廣尾の地所を新たに担保にして、そうしてそれの限度において貸してもらいたいという話をしたのであります。
  429. 梶川靜雄

    梶川委員 廣尾の地所を貸しておられるので、それは直接に麻生さんにお貸しになつておるのでしよう。
  430. 吉田茂

    吉田証人 貸しておりません。住友が管理しております。
  431. 梶川靜雄

    梶川委員 しかし住友が管理しておる場合に、澁谷の方には貸地代が入り、廣尾の方には入らないというりくつがわからないのですよ。
  432. 吉田茂

    吉田証人 松濤の方は麻生のものになつております。
  433. 梶川靜雄

    梶川委員 しかし松濤の方は、貸地代として御申告しておられるのでしよう。そして廣尾の方は載つていない。
  434. 吉田茂

    吉田証人 賣り渡しております。お調べになつたらわかります。
  435. 梶川靜雄

    梶川委員 調べて來たのですよ。そういうぐあいになつておるのですが、それはお間違いではないでしようか。
  436. 吉田茂

    吉田証人 それはあなたの方が間違いです。私がイギリスから帰つて來たときに……。
  437. 梶川靜雄

    梶川委員 それでは麻生氏からあなたが授受されたお金というものは、全部土地の範囲内において借りたというふうにおつしやるわけなのですね。
  438. 吉田茂

    吉田証人 將來借りることもあるから、その限度において貸してもらいたいという話をした。
  439. 梶川靜雄

    梶川委員 それ以外にはお金は授受していないということになるわけですね。この百万円のことなんですが、あなたが礼状をお書きになつた場合に、星島さんが党へ献金があつたから出してくれというので、何ら関知せずに書かれたという点には間違いないわけですね。
  440. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  441. 梶川靜雄

    梶川委員 そうしますと、そのことについて党の責任者はどなたであるというふうにお考えなつたわけですか。
  442. 吉田茂

    吉田証人 そんなにむずかしい話ではなくて、礼状を書いてくれというから書いただけの話で、責任者がだれであるかとか何とかいうことを考えて書いたわけじやないです。
  443. 梶川靜雄

    梶川委員 それはだれであるというようなことはないとは思いますが、そうしますと、星島さんが言つて來られたから、ただそれに礼状を書いたというだけの話なんですか。石橋さんなんかに出された分に礼状は書かなかつたのですか。
  444. 吉田茂

    吉田証人 石橋さんとはだれですか。
  445. 梶川靜雄

    梶川委員 石橋湛山先生。
  446. 吉田茂

    吉田証人 石橋さんに礼状を出すというような必要はなかつたから……。
  447. 梶川靜雄

    梶川委員 石橋さんから報告は何もなかつたわけですか。
  448. 吉田茂

    吉田証人 何もない。
  449. 梶川靜雄

    梶川委員 それから先ほど前田君がちよつとお伺いしたのですが、渡邊三郎氏という名前が出て來ておりますが、二十一年の九月に勅選議員なつておる。あなたが総理の第一次吉田内閣の時代になつておるのでありますが、当時勅選という問題については、総理自身で一應諸資料を御審査の上、御決定になつたものでありますか。
  450. 吉田茂

    吉田証人 そうであります。しかし渡邊という人は知りません。
  451. 梶川靜雄

    梶川委員 渡邊という人は御存じないけれども……。
  452. 吉田茂

    吉田証人 この人は適当の人であるというので、報告を受取つて閣議でこれを決定して勅選にしたのです。
  453. 梶川靜雄

    梶川委員 それではどなたから御報告があつたという御記憶はありませんか。
  454. 吉田茂

    吉田証人 ありません。
  455. 梶川靜雄

    梶川委員 あなたの当時なされたということは御記憶ありますか。
  456. 吉田茂

    吉田証人 これも私にはつきり記憶はありません。
  457. 梶川靜雄

    梶川委員 あなたの総理在任中に、勅選議員なつたかどうかということも御存じないですか。
  458. 吉田茂

    吉田証人 存じません。
  459. 梶川靜雄

    梶川委員 勅選議員の数はそうたくさんあるわけではない。大体從來は内閣退陣のときに置みやげというようなものが通例になつておつたように聞いておるのでありますが、そういうような関係で相当嚴選されてしかるべきものじやないのですか。
  460. 吉田茂

    吉田証人 むろん嚴選しましたが、今日私は一々どういうわけでどういう人を勅選にしたか、勅選にした人のことを一々覚えておりません。
  461. 梶川靜雄

    梶川委員 しかしその問題につきましては、あなたはずいぶん相手を見込んだらとことんまでこれを何してやるというお方なんでありますが、それと反対によく知らない者は、やはり盲判を押さないという御性分のように承つておるのでありますが、それが非帶に数の少い勅選を盲判でというようなことは……。
  462. 吉田茂

    吉田証人 相当当時調べがあつて、その調べを確実なりと認めて、閣僚が同意もし、われわれも同意をしたのだと思います。しかし詳細のことは一々覚えておりません。
  463. 梶川靜雄

    梶川委員 しかし玉屋喜章という人は御存じですか。
  464. 吉田茂

    吉田証人 知つております。
  465. 梶川靜雄

    梶川委員 これは民自党の御所属ですね。
  466. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  467. 梶川靜雄

    梶川委員 この方は無盡の社長をやられておるということも御存じですね。
  468. 吉田茂

    吉田証人 それはあまり懇意にしておりませんから知りません。
  469. 梶川靜雄

    梶川委員 今玉屋喜章氏が收容されておることは御存じですか。玉屋喜章氏がこの取調べにおいて、やはり割引をして出したというようなことを言つておるのでありますが、御否定になりますか。
  470. 吉田茂

    吉田証人 何ですか。
  471. 梶川靜雄

    梶川委員 玉屋喜章氏が檢察廳の取調べにおいて、これを肯定しておるのです。
  472. 吉田茂

    吉田証人 それは知りません。
  473. 梶川靜雄

    梶川委員 先ほど前田君の質問した三百万円のあれを割引して、六がけで百八十万円という金を小切手で支拂つたということを是認しておるのですが……。
  474. 吉田茂

    吉田証人 それは私の知らないことです。
  475. 山中日露史

    ○山中委員 一点明確にいたしておきたいと思うのでありますが、証人は昨日の本会議場で、党への献金であるから私は何ら届出も何もいたしません。この党への献金でありますから、私は何も届出もいたしません。これはどういうことを意味されておられたのか。
  476. 吉田茂

    吉田証人 これは私が金を直接受取つたものでもない。礼状を書いてくれという関係だけであつて、税務署の問題は毛頭ないということを断言したわけであります。
  477. 山中日露史

    ○山中委員 私のお尋ねしておるのは、党への献金であるそうでありますから、私は何ら届出をしておりませんというのは、税務署のことをおつしやつておるのですか。
  478. 吉田茂

    吉田証人 それは質問がそうだつたと思います。
  479. 山中日露史

    ○山中委員 そうではないのではないですか。これはあのときの本会議における質問は、高津正道君から第一次の質問がありまして、そのときに税務署云々のお話があつて、さらに再質問のときにこの届出の点について、つまり党への献金届出の問題について質問があつた。そのときの答弁に、党への献金であるから、私は何ら届出をなさなかつた。こう申し述べておる。從つてこの党への献金についての届出の関係については、これは答弁されておつたはずであります。この意味はどういう意味ですか。
  480. 吉田茂

    吉田証人 あなたの今の意味がわかりませんが……。
  481. 山中日露史

    ○山中委員 党への献金であるそうでありますから、私は届出も何もいたしません。この意味はどういう意味ですか。
  482. 吉田茂

    吉田証人 党への献金とすれば、党の幹事長なり何なり、係りの人が始末すべきものであつて、私が何も始末しなければならぬことはない。そういう意味です。
  483. 山中日露史

    ○山中委員 そうすると現在におきまして梅村氏から出ました百万円の金は届出たかどうかということは、現在でもおわかりになりませんか。
  484. 吉田茂

    吉田証人 わかりません。
  485. 山中日露史

    ○山中委員 わからない——これは言うまでもないことでありますが、党への献金であればそれは届出をしなければならないということは御存じでしようね。
  486. 吉田茂

    吉田証人 これは党の係りの者がすべきであつて、私が、一々しなければならぬということはないと思います。
  487. 山中日露史

    ○山中委員 党へ献金があつた場合に、届出なければならぬということは御承知でしようね。
  488. 吉田茂

    吉田証人 それは政令がありますから……。
  489. 成田知巳

    ○成田委員 ごく簡單にお尋ねいたしますが、その前に委員長にお聞きしたいのは、きのう加藤勘十氏の証人尋問のときに加藤氏がすわつてつたというので、委員長は特に証人に起立を求められた。しかるにきようは吉田首相は……。
  490. 石田一松

    石田(一)委員長代理 これは諮らないで委員長の独断で、たいへんお苦しいようで、質問があまりにこまかくて絶えず起立していなければならぬことになりますので、特に私は好意をもつてお腰かけのままでいいと今私が申し上げたのであります。
  491. 成田知巳

    ○成田委員 ただいまの山中氏の質問に対しまして吉田さんがお答えになつたのは、單なる礼状であると思つたから出したのだと、党への献金だから届出よ。こういうことは知つてはいたけれども、これは單に事務的にやるものと思つたというので、自分あとのことについては関知しないというお話であつたのでありますが、政令百一号を見ますと、政党の主宰者は届出の義務があるということになつておるのですが、総裁というものは主宰者だから、当然届出があつてもいいのでありますが、それに対して……。
  492. 吉田茂

    吉田証人 私は何かあるかは知りませんが、私が星島君から聞いたのは、礼状を出してくれという話であつたから出した。その百万円の寄附をどう処置するかということは星島君も総務であり、党の幹部でありますから適当に処置すべきもので、私は礼状を出してくれということを頼まれたから書いたというだけの話です。
  493. 成田知巳

    ○成田委員 頼まれたからお書きになつたということはわかりますが、政令百一号によりますと、党の主宰者というものは届出しなければならぬ。総裁というものは主宰者だから当然届出なければならぬ。それを届出されたかどうかということは、それだけの届出があつたかどうかということについて注意をした、また届出すべきであるというふうに、十分それだけの努力をされたかどうかということを……。
  494. 吉田茂

    吉田証人 努力は何もしません。ただ礼状を書いてくれというから……。
  495. 成田知巳

    ○成田委員 努力されていないということに対して責任をお感じになるかどうか……。
  496. 吉田茂

    吉田証人 私は責任を感じません。それはおのおの係があつて……。
  497. 成田知巳

    ○成田委員 係というのはどういうのですか。
  498. 吉田茂

    吉田証人 私は総裁というものは、そこまでこまかくするものだとは思わない。
  499. 成田知巳

    ○成田委員 幹事長がやつたかどうかということに対して、またやらなければならぬということに対して当面の責任者であるあなたが届出をしろということを慫慂されたかどうか。
  500. 吉田茂

    吉田証人 私は慫慂しません。
  501. 成田知巳

    ○成田委員 これに対して責任をお感じになりませんか。
  502. 吉田茂

    吉田証人 感じません。これは党の幹事なり幹事長なりがやることです。
  503. 成田知巳

    ○成田委員 そうすると法規を無視するわけですか。党を総括主宰する者はだれだと考えておりますか。
  504. 吉田茂

    吉田証人 私であつても、人にはそれぞれ職務があつて、職務を怠つた場合には党の総裁として注意もしなければならぬでありましよう。けれども幹事なり幹事長なりがある以上は、それがそれぞれ職務を完全に遂行しているものと総裁は了解して、かくのごときことまで総裁は関與すべきものではないと思います。
  505. 成田知巳

    ○成田委員 総裁は関與しないでもよい問題だとおつしやいますが、たまたまこの問題の中心となられたのは吉田さんでしよう。
  506. 吉田茂

    吉田証人 私は中心になつたとは思わない。
  507. 成田知巳

    ○成田委員 金の献金があつて礼状を出せと言われたのだから、この問題について吉田さんは中心でしよう。
  508. 吉田茂

    吉田証人 あなたの御意見はそうだろうと思いますが、私はそうは思いません。
  509. 成田知巳

    ○成田委員 そうすると総括主宰者としての責任をお感じにならないということですね。
  510. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  511. 橋本金一

    ○橋本委員 前に組閣せられたのはちようど二十一年五月ですが、その当時星島氏が商工大臣になられ、その後二十二年の一月に星島氏が國務大臣に左遷せられたように聞いておりますが、これは何か理由があつたのでしようか。
  512. 吉田茂

    吉田証人 それは何も事情はありません。そのときの人の関係であります。
  513. 橋本金一

    ○橋本委員 なお当時巷間傳うるところによれば、星島氏が落下傘の附属品等に対する不当の拂下によつて國務大臣に左遷をせられたというようなことも承つておりますが、そういうような考えはお持ちにならずしておやりになつたのですか。
  514. 吉田茂

    吉田証人 そうです。
  515. 石田一松

    石田(一)委員長代理 他に御質問はありませんか——それでは終りました。御苦労樣でございました。     —————————————
  516. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それではさいぜんに引続きまして星島二郎氏の証言を求めることにいたします。先ほどは商工大臣の在任期間についてお尋ねいたしましたが、星島さんは酒井弘という人を御存じでございますか。
  517. 星島二郎

    ○星島証人 存じております。
  518. 石田一松

    石田(一)委員長代理 この人との関係についていつごろからお知りになつて、どういう関係で交際をしたかということを御証言願います。
  519. 星島二郎

    ○星島証人 事実知りましたのは、私がまだ商工大臣に就任をいたします前から存じております。しかし交際的のことはありませんでした。ただ酒井氏の親族の八田嘉明氏との関係につきまして、私の家庭の者が存じあげておつたようなことでございます。その後におきまして別段深い交りはありませんでした。
  520. 石田一松

    石田(一)委員長代理 証人梅村清という男を存じておりますか。
  521. 星島二郎

    ○星島証人 存じております。
  522. 石田一松

    石田(一)委員長代理 もし御存じでしたらいつごろどういう事情でお知りになつたのか。
  523. 星島二郎

    ○星島証人 梅村君を知りましたのは私が商工大臣をやめまして、國務大臣となりましたときでありましたが、多分二月の終りか、三月の初めごろかと記憶いたしますが、私は時日の覚えの惡い男でありますから、多少間違いがあるかもしれません。酒井弘というのは当時商工省の何かの課長でありましたが、それが私が十数年使つておりました私の部下が落下傘の廃品を三菱の電氣会社から受けまして、これを再製してやるという仕事を始めたことがあつて、長い間自分の願望しておつた纖維界に雄飛することになつたので、ぜひ纖維当局とお近づきになつて一席の宴、披露の宴を設けたい。ぜひ私にも顏出しをしてくれ、こういうようなことで、十数年來使つておりました部下のことでもありましたから、氣持よくこれをいれて、参りましたことがございます料亭かつらと記憶しておりますが、二月のたしか終りごろと思いますが、参りましたところが酒井が先に來ておりまして、ほかのお客さんはなかなか來なかつたことを今記憶しておるのであります。その際にちようど選挙の話が出まして、いろいろ話しておるときに、私が選挙も近づいたが実は選挙費問題で頭を悩しておる、こういうことを何か話のついでに申したのです。そうですか、それなら実は私がいい人を御紹介しますよ。それはだれですかと聞きましたところが、豊橋梅村清君という人です。これは普通の商人ではありません。実は何か話を受けておることもありますのでというような話でございました。ああ梅村君は私は会つたことはないが、交際したことはないが、ただいま豊橋に住まつておられる先輩の大口喜六翁から、かねてあれはからだは小さいけれどもえらい男ですというようなことを聞いたことがあつた。私のいとこが医者をやつておりますが、それもそんな話をしておつたのをかすかに聞いておりましたので、そうか梅村君ならいわゆる新興成金と言われるような人ではないから、きれいな金ならもらいたいものだなというようなことが話のついでに出たことがあります。そうしましたら酒井君が自分は特殊な、お仲人さんをしたとか、してもらつたとかいう関係で、職務を離れていろいろな相談を受けたことがあるのだが、これはひとつおせわをいたしましよう、あの人は変な條件なんかをつけるけちな男ではありませんよ。それではぜひひとつ頼みますよ。そういうことでした。実は三月八日、九日青木孝義君が大口喜六氏の地盤のあとを継いで出ておられました。現在青木君はわが党の政調会長です。その人が私が國民党時代から御懇意にしておるから、私に來てくれると実はたいへんつなぎがいいというので承諾しまして、三月の八日に参つたように記憶しております。一日くらいずれがあるかもしれませんが、豊橋に行くからぜひそれは会いたいものだというようなことを申しましたら、今梅村君は東京に來ておるのですよ。何らこの席はよその宴会じやないから呼んでもいいじやないかというような、これは懇意づくの人が集まるのだからいいだろうというようなことで、電話をかけられたと見えまして、そこへ見えたのであります。そこでお目にかかつたのが私は初めてのように思うのです。多少そこに記憶のずれがあるかもしれませんが、なるほどいろいろ話をしておると、からだは小さい人だが、氣骨のあるさすがに大口さんあたりがほめた人であると私は見てとつたのであります。梅村君を知りましたのはこのときが初めてでございまして、まあ梅村君をどういうふうに知つたか、いつごろから交際したかとおつしやるから、大体その始まりの話をありのままに一應申し上げておきます。
  524. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと諮りますが、今議長から、議場において採決を要する案件が二、三あるが、定足数の欠けるおそれが多分にあるので、ただちに休憩をして、本会議場に入場せられたいという議長からの命令でありますか傳言が來たのですが……。
  525. 徳田球一

    徳田委員 委員でない方は出ていただいて、このままやらぬといかぬ。これを流すとまただめです。きのだつてそうだ。だから委員でない方はひとつ出てもらつて、こつちはやりましよう。
  526. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ではお聞きのような次第ですから、委員以外の方はなるべく本会議にお入りください。  それでは続行いたします。そういたしますと三月中旬ごろ築地の料亭梅村招待して食事をなすつたというようなことは、それが今の件でございますか。
  527. 星島二郎

    ○星島証人 どうもそれとごつちやにされておつたのではないかとも思いますが、しかしどうもその辺は明瞭でありません。築地の何と言いますか。
  528. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ただ築地の料亭なつております。金田中とは出ておりませんが……。
  529. 星島二郎

    ○星島証人 ちよつと記憶がありません。
  530. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでこの梅村清君から金品の贈與をお受けになつたことがあるそうですが、それは金額はどれくらいで、またどういう理由で、どういういきさつでお受取りになつたか。ただいまの中に一應その理由も含まれておりましたけれども、もう一應その点について詳しく御説明願いたいと思います。
  531. 星島二郎

    ○星島証人 ただいま申し上げましたように、酒井君に選挙の話が出たところからその話が始まつたのですが、たしか私が三月の八日、九日豊橋におりまして、豊橋の市の公会堂で演説会をいたしましたときに、梅村君親子が聞きに來てくれたようです。演説会のあとで私の申したことが——梅村君は非常な思想の進んだ方でありまして、私の意見と若干違つた点があるように思うけれども、しかしそのときに私の話を非常に感激したと言うて、ことに子供さんも一緒におつて、そういうことを申されておりましたことがあるのですが、酒井君より聞いておりますと、若干お助けしましようというようなことを聞きましたように覚えておりました。帰りまして三月の十三、四日ごろと思いますが、私の長男東一と申しますのが私の祕書をしたり嘱託をしたりしていたのですが、酒井君から電話がかかつたのか、その電話事情はわかりませんが、梅村さんから金が届いたから來てくれというので伺いまして、何でも帝國銀行木挽町支店あての五十万円の小切手二枚を受取つたようです。これはそのままその銀行に子供の名儀で預けておくように命じまして、預けておきました。これが最初受取りました百万円であります。豊橋でその話がありましたけれども、これはあなたの話を聞いたり、また酒井さんから何か私に対するお勧めの言葉があつたようですが、民自党では石橋さんとあなたが好きだというようなことをおつしやつて、しつかりおやりなさい。これは党に出されようと、何に使われようと、あなたの政治資金として御自由にお使いください。こういうようなお話でありましたので、私は非常に感謝してそれをお受けしたようなわけであります。私は梅村という人は傑物だと思いましたから、こういう人を、私のみならず、党のパトロンにしたいものだ。これは総裁に御報告して、総裁にも一ぺん会つていただきたい。かように思いまして、十八、九日ごろだつたと思いますが、当時荻外莊の吉田総裁を訪問いたしまして、今回豊橋梅村という人から私個人として百万円の献金を受けましたけれども、これは党に差出したいと思いますから、ひとつ礼状を書いてください。そして一ぺん荻外莊にお呼びください。私が御案内して來ますからというようなことを申し上げたのを覚えております。達筆な総裁は、そうか、それはけつこうな話だと言つて、その場ですらすらと巻紙に書いてくれました。それを私が持つて帰りました。その文面等は私は覚えておりませんが、とにかく百万円出してくれてありがたいというような、いわゆる礼状の意味であつたように覚えております。昨今やかましいことになつておりますけれども、当時の氣持でありますと、とにかくありがたいという意味のことを書いてくださつたように覚えております。それを私が郵便で出さないで、そのままもらつて來て、これを梅村君にお渡ししたのですが、その場所と日と時間等はどうも覚えませんが、あるいは先ほどお尋ねのところで渡したのか、その点はもし梅村君がそうだと言えば、梅村君の記憶は確かだと思います。私はどうも覚えておりませんが、とにかく渡したことは確かです。その当時金のことなんかは一切幹事長の大野君が扱つてつたわけです。私はむろん総裁に会います前に、党へ出すといたしますれば、こういうことは大野君に諮るはずでありますが、その当時大野君はどこかへ應援演説に行つたか、岐阜へ帰つたか、いなかつたことはたしかです。大野君が帰りましたあと、実はこうこうなんだ、党へ出して総裁から礼状を書いてもらつた。そうしたら大野君が申しますのに、それはありがたい話だ。実は今度は閣僚級は五十万円ということにいたしているのだから、これが均一を欠くと、あとでわかることなんで、五十万円でよいのだよ。君はすでに星島藤村会という君の後援團体からその金は出すことになつている。出たあとか、出すことになつておつたか、大野君が憶えているのですから、出したあとだと思いますが、せつかく梅村君が自分で自由に使つてよいということなら、どうせ選挙のために使うのだろうから、あなたの責任において使つたらどうだ。そうか。そうしてもらえたらありがたい。実はぼくは岡山の自由党の支部長をやつているので、いくらあつても足りない。それじやそうしてもらいましようということで、これは結局総裁から礼状を出していただきましたが、選挙に行きます四月四日ごろまではそのまま銀行に預け放しにして、党には納めませんでした。その後、今度は選挙應援に私がずつと東海道を自動車で二十日の間、熱海を振出しに靜岡からずつと行きまして、豊橋へ参つたのが四月の九日か十日と思いますが、青木君の應援に行きまして、豊橋においてまた演説会をやりました。ちようど一箇月目に行つたわけですが、そのときにも梅村君が出て來てくれまして、あるいは街頭演説、あるいは久々に一緒に大口翁を訪問したり何かいたしました。また晝時間があつたときに、梅村氏の工場を参観したようなこともありました。そのときでありましたか、その以前でありましたか、よほど私をひいきに思つてくれたのか、もう少し出してもよいというようなお話でありました。それじやお願いします。五十万円出してもよいようにおつしやるから、それはありがたい、それでは岡山の私の取付の銀行へ振り込んでいただきましようというようなことを申しておきましたらば、その後十日もかかつて岡山に着いてみますと、すでに安田銀行支店の私の普通口座に振込んでありまして、非常に私は感謝したようなわけであります。そのために私は非常に安心して、おちついて選挙をいたしました。
  532. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その金額はいくらですか。
  533. 星島二郎

    ○星島証人 百万円が一回と、五十万円、都合百五十万円です。非常に感激をして、それぞれ当時の選挙費用にこれを使いましたようなわけです。  大体金の問題についての経緯は右に申したようなわけであります。選挙中はそのままでありましたが、選挙から帰りまして、総裁からの礼状が出ておりますことが氣になつておりましたから、梅村君に会いましたときに、その日時や何かは憶えておりませんが、あれは少し話が変りましたから、党に正式にいただいておりませんが、御了解を願いたいと申したことがありました。そのときに梅村君は、初めからあなたに上げたのだから、承知しましたというようなことであつたことを記憶いたすのであります。大体梅村君と私との短い交りでありますけれども、そういう関係におきまして、その後選挙が済みましたあと、たびたび梅村君とは会つたことがあります。たとえば選挙のときであつたか、豊橋で市長や皆で歓迎会をしてくれまして、いろいろ意見を交換したようなこともあります。大体今お尋ねの趣旨はそうであります。
  534. 石田一松

    石田(一)委員長代理 先ほどお尋ねしました三月の中旬ごろ、築地の料亭梅村氏を招待したことはないかという——多分そのときではないかと思うというような御証言でございましたけれども、それが今申された梅村氏と料亭でお会いになつた、要するに礼状をお渡しになつたときですか。
  535. 星島二郎

    ○星島証人 多分先方がそうおつしやればそうでございましよう。私よく覚えておりませんので、私はいつも行けば梅村君にはごちそうになつた方で、自分がよんだことはちよつとはつきりしないのですけれども、しかし私が手渡しをしたことがあるのですから、多分先方の御記憶があるいは確かかもしれません。
  536. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その席上ですぐその場で手渡したのではなくて、梅村氏を特に別室か何かに呼んでお渡しになつたのではございませんか。
  537. 星島二郎

    ○星島証人 どうも時と場所も覚えておりませんので、その辺の前後の記憶はつきりしませんが、要するに郵便ではなくてお手渡ししたことは事実であります。
  538. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そのときにあなたから梅村氏にこういうふうに党の方にはこれを出して総裁も喜んでいる。実はこれは党の献金であるが、自分も実は選挙費などに困つているので、個人的に私が自由に使えるような献金を頼めないものだろうかという話をそのときになさつたのではございませんか。
  539. 星島二郎

    ○星島証人 どうも私は割合心臓が弱い方で、百万円もらつてすぐまたそういうことは——大体この献金は最初から私が頼んだのではなくして、むしろ酒井さんのお取次ぎで願い、額等は決して私が注文したのではないのでありまして、ほんとうにきれいな、今までいろいろのことがありますが、こんな氣持よくもらつたことはないのでありまして、その場ですぐということは私の性質といたしまして、言うたように思いませんが、しかしあるいは豊橋の演説会等に参りまして、何かお願いしたかもしれませんが、大体そういう調子でございます。
  540. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでこの前の百万円をお受けになつたのはどこでお受けになつたのですか。
  541. 星島二郎

    ○星島証人 先刻も申しましたように、私の長男東一が小切手でいただいて、それはたしか酒井君が受取つて、酒井君から長男がもらつたのではないかと思います。自分受取つたのでないからよくわかりませんが……そしてそをれ帝國銀行にそのまま預けておいたようなことでありました。
  542. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ここでちよつとお尋ねしますけれども、帝國銀行とはお取引があるのですか。
  543. 星島二郎

    ○星島証人 いや今までなかつたのであります。それが大金でもあるし、先方の送り先が帝國銀行でありましたから、受取つてそのままそこへ長男が自分の名儀ですぐ普通の預金に預けておきました。
  544. 石田一松

    石田(一)委員長代理 その百万円をあなたは梅村氏か、あるいはまた使いの者かが渡すというときには、あなたは全然その時も場所も、自分の息子さんがおもらいになつたの御存じないわけですね。
  545. 星島二郎

    ○星島証人 酒井さんから話がありまして、私が命じて私の代理といたしまして長男が参つたのですから、むろん承知しております。たいへんな大金に感謝しておりました。
  546. 石田一松

    石田(一)委員長代理 長男が参つたとおつしやいますが、それはどこへいらつしやつたのですか。
  547. 星島二郎

    ○星島証人 それははつきり記憶がありませんが、とにかく酒井さんのお宅へ行つたか、酒井さんにどこかへ持つてつていただいたか、酒井さんがどこか長男と会う場所へ持つて來てくださつたのではないかと思います。
  548. 石田一松

    石田(一)委員長代理 持つて行く予定なつていたところが、これが変更されたかなんかしてどこか違う場所で渡されたのではありませんか。
  549. 星島二郎

    ○星島証人 どうもその記憶はつきりしません。
  550. 石田一松

    石田(一)委員長代理 実はあなたのお宅へ参りまして渡したと言うのですが。
  551. 星島二郎

    ○星島証人 それは御記憶間違いだろうと思います。私の宅へは、私が桂でお目にかかつた二、三日あとかわかりませんが、正式にわざわざごあいさつに來てくださつたことを覚えております。そのときにはまだ小切手は、それは長男が酒井君からもらつたところを見ますればその日じやなかつたと思いますから、何か御記憶違いじやないかと思います。何かそういうことをおつしやつたとすれば、日にちはこれが三月で、私は少くとも豊橋から帰つたあとと思いますから、豊橋の演説会のときにそういうことがあつたことを覚えておりますし、豊橋の演説会があつたのが九日でありますから、どうしても十三、四日ごろと記憶しております。
  552. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そういたしますと、あなたは先ほど築地の料亭かなんかで吉田氏の礼状を渡したのかもしらん、そこであなたの方からそのときに社交的辞令かもしれませんが、梅村氏が、ひとつ今後とも事業の方も何分よろしく頼むということを一應御依頼申し上げた。そこであなたは何か梅村氏にお約束なすつたことはございませんか。
  553. 星島二郎

    ○星島証人 先ほども申しましたように、私はなぜ梅村君に感心したかといえば、これは何かほかの話のときのことでありましたが、豊橋であつたかと思いますが、前には酒井君が、そんな條件をつけるようなけちな男ではないと言つたことが頭に残つてつたことが一つと、こういう献金をいたしましても、これによつていろいろなことを何かあなた方にお願いするようなことは私は毛頭ございません。それをはつきり私に申されたことを覚えております。但しこうやつて話している間に、たとえば演説を聞いている間に、話の片鱗を聞いて悟るところがあります。こういうようなことを申されたことを聞いて、私もいよいよ同君を信ずる氣持になつたようなわけです。だからして献金をしたからこれによつて何か頼むというようなそんなけちくさい考えは毛頭持つていない人であることを私は心の底より感じました。
  554. 石田一松

    石田(一)委員長代理 先ほどもちよつとあなたの証言の中に出ましたが酒井君があなたを纖維関係で相当しつかりやつているのがある。それで今後とも顏見知りになつてもらいたいという意味で、顏つなぎの意味で案内しようとした。その酒井君の言葉の中に、落下傘の絹ひもかなんかの端ぎれを利用して事業をやつている者があるというお言葉でしたが、この言葉をあなたは梅村君におつしやつたことはございませんか、たとえば落下傘の絹ひもの端ぎれでいい事業をやつている者があるので、ひとつその人にも一ぺん紹介しようとかなんとかいうことで、あなたはお話なつたことはありませんか。あなた自身から梅村氏に……。
  555. 星島二郎

    ○星島証人 どうもそういう記憶はございません。また梅村君と会つて早々にそんなことを申すはずもありませず、たまたま江口君の会合に酒井君が懇意ずくで梅村君を電話で呼んだことがありますから、そういう席上で何か話が出たのかもしれませんが、江口君がこの間もいろいろ調べられたことを聞いておりますが、何でも江口君の会社は、それが二月でした、その後八月から九月に会社をつくつたようなことで、そのときには契約もできて、これから仕事を始める。そうして仕事を始めるについての披露というような意味の初会合でありましたから、そうい席でそんなお話が出るとは考えません。しかし同業の間であるから、同君が紹介されたあとお互いにいろいろな話が出たかもしれませんが、私としては何か頼む、頼まれるというような考えは全然ない。殊にそれがあまりにもはつきりしているので、私は非常に安心をし、感激をいたしました。何か新聞にも変なことを書かれましたり、あるいは長男が呼び出されたりしましたが、今日では釈放になつておりまして、ただいまお尋ねのような氣持は毛頭なかつたことを私は証言したいわけです。
  556. 石田一松

    石田(一)委員長代理 酒井君があなたを案内してある料亭にいらつしやつた。あなたの証言ではそのときに酒井君は來ていたが、ほかの客はずつと遅かつたということでありましたが、ここに衣料統制会社の重役なんかが同席したのではありませんか。
  557. 星島二郎

    ○星島証人 衣料統制会社の重役は同席しておりません。それは江口という人の披露の会であつたのですから、同席しているはずはないのであります。
  558. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうすると総裁の礼状をお渡しになりました三月中旬の築地の料亭においても、衣料統制会社の重役か何かが同席したことはありませんか。
  559. 星島二郎

    ○星島証人 それは梅村君の支店にでも伺つたのではないかと思いますが、場所もおぼえないくらいですから、ごちそうをしてお礼をするというようなことはいたしません。何かの間違いではないかと思います。
  560. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは証人は商工大臣就任中に梅村君に対して設備とか資材及び原料等の拂下げまたは割当とか何とか特別の事業に関しての便宜を與えるとかいう、有利な條件を提供したということはございませんか。
  561. 星島二郎

    ○星島証人 その当時は梅村君は知りませんし、また商工大臣としてもそういうことなどにタツチするような役ではありませんので、そんなことは断じてありません。
  562. 石田一松

    石田(一)委員長代理 何かほかに質問ありませんか。
  563. 成田知巳

    ○成田委員 証人にお尋ねいたしますが、梅村さんから最初百万円、次五十万円、通算して百五十万円受取られたらしいのでありますが、そのうち党へ寄附されたのは、いくらの金額になりますか。
  564. 星島二郎

    ○星島証人 党へは寄附しておりません。初め党へ出そうと決意して総裁にその点申し上げました。総裁はまつたく入つたものとおぼしめされたと私は思います。ところが党の金のことは全部幹事長がやつておりますので、総裁としては儀礼的にお礼を出していただいたものであります。
  565. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと昨日の朝日新聞でありますが、星島さんの談話といたしまして、結局私の名前で五十万円だけ党へ献金したと言われた。この五十万円というのは先ほどの御証言にありました星島藤村会の五十万円でありますか。
  566. 星島二郎

    ○星島証人 さようであります。それが何か間違つて書かれたように思います。
  567. 成田知巳

    ○成田委員 先ほどの総理大臣の御証言でも、百万円は党に寄付があつた。だから礼状を出してもらいたいという依頼が星島さんからあつて、礼状を出したと言われた。それから朝日新聞にも星島さんの談話といたしまして、当時自由党へ百万円もらつたので、総裁に礼状を出してもらつたということになつております。はつきり党への献金ということになつておるわけでありますが、その百万円を星島さんがお使いなつたとすれば、どういう理由でお使いになつたのでありますか。
  568. 星島二郎

    ○星島証人 先ほども申しましたように、総裁とお話するときには、党へ差出すつもりでそうお願いいたしたのでありますが、その後におきまして幹事長に話したときに、幹事長から、それはひとつ君の方で使つたらよかろうということで、私はありがたいというので、結局出していないのであります。そこで昨日來、この問題で総裁がああいうふうにお答えになつたことは当然であります。また一面これはあの当時党への献金とおぼしめすのは当然だと考えられますけれども、事実は今言つた通りでありまして、私はその後におきまして選挙の済んだあと、日時はよく覚えませんけれども、梅村さんにお目にかかつたときに、こういう事情なつておるということは梅村さんに了解をいただいたいたことがあります。そのとき梅村さんは、それは初めからあなたに出したのだから、というような御返事もありまして、私は了解を得ておりました。それで問題はなくなつていると思つておりましたが、今回こういう問題が起き、その手続等についてはなはだ至らぬものがあつたことに対してははなはだ恐縮しておりますし、お騒がせして相済まぬのでありますが、事実はその通りであります。
  569. 成田知巳

    ○成田委員 百万円最初党へ献金があつたということは事実だということを御承認になつたのでありますが……。
  570. 星島二郎

    ○星島証人 違います。党へ出そうと思つたのです。党へ出したのではないのです。梅村さんが初めくださつたときにも、個人が使おうが党が使おうが、ということでありましたから、大野君はそのときに、これは梅村さんから党へ出したというのではないんだな、そうなんだよ、僕を信じて僕にくださつたのだ、それならあなたが使われたらどうだ、こういうことで私は氣持よくいただいた。しかし選挙が済んだあと、いつごろであつたか、私が梅村さんに会つたときにもそういうことは申し上げたように思います。その点はどうぞ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  571. 荊木一久

    ○荊木委員 同じことですが証人に伺いたい。これは幹事長に伺つた方がいいのかもしれませんけれども、御存じでしようが政令の百一号、それから三百二十八号に党の献金をえらく規制して、届出の義務を規定している。あなたの氣持はよくわかるのですが、本人の出した意思は証人にまかせるということでしようが、証人自身は一應党へ献金するとおぼしめしたからこそ、総裁に話されたのだと思う。そういうふうに寄付者の意思は一應党でもよければあなたでもよし、あなた御自身は一應党へ出そうということになつて総裁が礼状を出された。そういう場合に事前に本人の了解なくしてそれを個人献金——何と申しますが、それは本人の意思を蹂躪したものではないと私は思いますが、そういう場合に、政令の百一号とか三百二十八号に届出の義務があることになつておりますが、この点に関しては長い間政界で苦労された証人としては、一体政令というものをどういうふうにお考えなつておられますか。その点に関してはだれかが責任を持たなければならぬが証人はどういうふうにお考えになりますか。
  572. 星島二郎

    ○星島証人 たいへん苦労しておりましたけれども、一向そういう法律はいまだに何條かということも知りませんのでありますから、多分大野君がそのこともよく存じてくれておるが、私は大野君からそう言われたから安心して、やれやれこれは助かつた、というわけで帰つたのでございます。しかしそれでも氣にかかつたものでありますから、あと梅村さんに御了解を得たのでありますが、私の後援会から出しました金額あとでお調べがありまして、そうして何月何日にどれくらい出したということはそのときはよく印象に残つておりまして、五十万円を一回、そうしてあと十万円を二回本部の方に出しましたが、みなきちつと帳面につけてありますから、これはえらいきびしい法律が出たということが印象に残つております。当時梅村君からもらつたもの、これも党に出そうというのは、梅村君を、將來はこういう人をパトロンにしたいという氣持があつたから、それでこういう人を総裁のところへひつぱつてつて、総裁から手紙を出してもらおうという氣持になつた。それはどつちもほれこんだわけなので、あとで均一を破るというのはいかぬなというようなことで、なかなかそういう点は大野君もぞんざいなようできちんとした男でありますから、その点はどうぞひとつ御了承を願いたいと思います。
  573. 前田種男

    前田(種)委員 先ほど党への献金問題で、必ずしも党への献金でなくして、証人へ献金した、証人が自由に使つてもいいというふうに、考えたというような証言でございましたが、梅村君は檢事局ではつきり百万円は党へ献金した、しかも星島さんが総裁の礼状を渡されたときに、梅村君は感激して、あの礼状から見れば当然党へ百万円は渡つたものだと梅村君は考えて、さらに星島さんに対して五十万円出そうという氣持になつたということを証言にしているようなところがあるのです。その点、その礼状を見せてもらつてはつきりこれなら党へ渡つたものだというように梅村君が考えておると思うのです。だからもう百万円はがつちり星島さんの手から党へ渡つたものだと考えているから、さらに五十万円をいろいろな話のあつた後にあなたに献金したということを言つているようでありますが、その点をもう一ぺん……。
  574. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと、ただいまの前田君の発言のうちに、梅村氏が檢察廳で述べた言葉を引用されましたが、私たちの了解するところでは、梅村氏が百万円の金を星島氏に渡していた。それが思いもよらない自由党の総裁からの領收書形式の礼状を星島氏が手渡されたので、星島氏をまことにこれは偉い方だなと信頼したということを言つている。そのときに、私は政党へ献金をしたのでということははつきり言つていません。そういう意味の檢察廳の……。
  575. 前田種男

    前田(種)委員 しかしそれは、それとつけ加えて礼状をもらつて感激して……。
  576. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そのあとの方は事実ですが、前の点が……。
  577. 前田種男

    前田(種)委員 本人は百万円が党へ行つたものと思つている。本人がそう言つている。
  578. 星島二郎

    ○星島証人 その点は梅村君も私も感激した。総裁に紹介し、荻外莊に招きたいとまで考えておりましたことは、その氣持なんです。それで私がまたきれいにこれを党へ差上げようといたしましたのも、まさにその通りなのであります。総裁はもうそれは党へ入つたものだと思つておられた。私はその点については恐縮にたえません。でありますから大野君にそれを話して渡そうとした。銀行に金がありますから、銀行に持つてつたわけじやないが、大野君が銀行から帰つた、これはあとでぐずぐず言われては困るからという話があつたから、そうか、それもそうだなということであつた。私はそれはありがたい、幸いにそれは自由に使つていいというのだからその趣旨に背くわけじやないから、それはすぐそのときに私は、梅村さんにこういうふうになつたからあの礼状は云々というようなことを申し上げればよかつたが、申し上げずに出てしまつたあとで私は氣がついたのですが、惡かつたと思います。そういうことを御了承願いたい。氣持はまつたくその通りであります。
  579. 前田種男

    前田(種)委員 さらに、それならば百五十万円以外には一銭も梅村君から金銭上の授受、貸借等はありませんか。
  580. 星島二郎

    ○星島証人 その以外には全然ありません。
  581. 前田種男

    前田(種)委員 この中に梅村君を紹介した人は、酒井君が中心ですが、酒井という人は商工省の役人ですが。
  582. 星島二郎

    ○星島証人 役人でございます。
  583. 前田種男

    前田(種)委員 現在でもそうですか。
  584. 星島二郎

    ○星島証人 現在でもそうでございます。
  585. 前田種男

    前田(種)委員 かつてはあなたの部下であつた商工省の役人がこの間の斡旋をして懇意になつたということになるわけですね。
  586. 星島二郎

    ○星島証人 そうじやありません。酒井君と梅村君とは親族関係か何かよほど懇意なものらしいようです。梅村君は私のみならず何かほかの方にも献金されたようなことを——これはあとで聞いた話でありますが、よほど親交があるように私どもは聞いております。全然役人というものを離れてのお話だと思います。これは前後のお話で私はそう信じております。
  587. 前田種男

    前田(種)委員 酒井君はあなたと梅村君との間を斡旋してそういう関係になりましたが、かつては商工大臣であつたあなたをだしにして酒井君は梅村君との関係でいろいろその他のことをやつておりませんか、あるいはあなたは非常にそのことのためにあとで迷惑になつたことがあるかどうか。そういう事実はないですか。
  588. 星島二郎

    ○星島証人 全然ありません。ただ今回この事件が起りまして酒井君も調べられておつたようであります。まことにこれは氣の毒であつたと思いますが、そういう氣持は毛頭ありません。ほんとうの好意と好意によるものであつたことは事実が証明いたしておる次第であります。
  589. 前田種男

    前田(種)委員 もう一つ、先ほどの証言の中に、大阪の江口四郎君の問題が出ましたが、江口四郎君と証人との関係、あるいは江口四郎君と証人との間に金銭上の寄附を受けたことがあるかないかという点について一應承つておきたいと思います。
  590. 星島二郎

    ○星島証人 私は十六年の間、岡山縣の藺草組合に関係をいたしておりました。これは私が理事長で理事に木村という人がおりました。その木村君のいとこが江口君。それから木村君の細君と江口君とは非常に濃い関係でありまして、弁護士の三宅正太郎氏も当時私が司法政務次官であつたときに次官をしておりましたが、その人といとこ関係で非常な経理の明るい人でありますし、江口君は仕事を持つていなかつたから、私は学生の服の組合の理事長をいたしておつた当時に、江口君を頼んで昭和十二、三年ごろからずつと戰爭中その方の経理課長をいたしておりました。同郷でもありますし、親族関係がよいから非常に信頼しておりましたので、あなたが出てくれるなら私も出るということになつたわけで、金銭関係等はありません。まだまだ江口はもうけるところまで行つておらぬ。相当やつておるようですが、まだまだそこまで行つておりません。この間お調べを受けまして、零細にすべてのことを明らかにしておりますが、私の部下として働いておるわけですから、まだこれからというところです。何ら今まであなたのおつしやるようなことは毛頭ありません。
  591. 前田種男

    前田(種)委員 江口君は終戰後、最近では相当新円成金と言われるほど事業に成功しておるとわれわれは見ておるのですが、その後江口君のために便宜あるいは事業を成功するために努力をしてやつたことがあるかどうか。その点お聞きしたい。
  592. 星島二郎

    ○星島証人 江口君は私の部下ですから、江口君の仕事の発展を望むのは当然であります。去年の八月ころでしたか、江口君が会社をつくるときに、私にも入つてくれと頼んで來た。私は三つ以上の会社に関係することはできないし、だめだというので私の長男を代りに出した。それはほんとうに名義上の重役ですが、今度長男が呼ばれたおはそのことなのです。今から考えると厄介なことになつて長男をかわいそうに思いましたが、長男が日本銀行に勤めるようになつてやめました。それも僅かの間でやめましたが、そういう関係です。ところが江口君はまだまだ成功しておりません。落下傘の何か残品を処理するのに、非常な補償金をとつて、その價格差益金というものがあるのです。それを計算するとまだ利益を計上するまでに行つておらない。これから間違いなくやりたいというので、監査役に三宅正太郎氏、重役に東寳の田辺前社長、東京銀行の重役、三宅君の同窓なども全部入れて、大いにやりたい。見ておると、相当派手にやるけれども、そういうやり方なら間違いないだろうと思つて安心しておつた。重役会なんかあるときに行つて、宴席に連なるということぐらいが関の山でありまして、そのほかには何もありません。
  593. 小野孝

    ○小野委員 二、三ちよつとお伺いいたしますが、証人は商工大臣に就任されない以前に、酒井弘という人を知つておられましたか。
  594. 星島二郎

    ○星島証人 あるいは面識したかもしれませんが、名前と顏が繋ぎ合うようには覚えておりません。私は商工大臣就任以前は、日本衣料統制会社の社長をいたしておりました。その前から纖維関係には相当関係しておりましたから、いろいろなことであるいは会つたかもしれません。また商工省の轉任などがありますから、拜命後におきましても顏はよくわかりませんので、まず面識なしと申すことが正確だと思います。
  595. 小野孝

    ○小野委員 そういたしますと、商工大臣在任中にも特に酒井弘という事務官の御記憶はなかつたわけでございますね。
  596. 星島二郎

    ○星島証人 先ほども申し上げましたように、その後におきまして、酒井君の親族が八田嘉明さんの姪をもらつておる。私の長女が八田さんの娘と同窓であつたりした関係で、私の家庭の者が非常によく存じ上げておるというようなことから、あるいは知つてつたかもしれないというような印象の程度でございます。
  597. 小野孝

    ○小野委員 それは大臣の在任中のことでございますか。
  598. 星島二郎

    ○星島証人 そうだと思います。
  599. 小野孝

    ○小野委員 そこでお伺いいたしたいのは、酒井弘という事務官の紹介梅村氏と知り合つたというのですが、われわれの常識によりますと、商工省の一事務官、当時あるいは酒井君は課長になつておつたかとも思われるのですが、そういう人が政治家の政治活動、あるいは廣い意味での政治活動に紹介の労なりあつせんの労なりをとるということは、ちよつと考えられないので、酒井君が御両氏を紹介したということには、やはり商工省の事務官なりあるいは課長という肩書が背後にあればこそ、そういうことにまで乘り出して参られる筋合いのものだと思うのです。証人紹介されましたときには、酒井君は当時あるいは商工省のその方の課長であつたのではないかと思うのですが、そういう立場でおればこそ紹介もできるのだというふうには、証人はお思いにならなかつたのでございますか。
  600. 星島二郎

    ○星島証人 一應お尋ねの御趣旨は、世間並から見ますれば、そうお考えになるのはごもつともかと思います。私は決して酒井君を通して紹介してくれと言つたのではなく、まつたく偶然に宴席で選挙の話が始まつて、金の話が出て來たときに、これはあとからわかつた話ですが、酒井君と梅村君が普通のつき合い以上の人であつた梅村君は酒井君を非常に信用し、また酒井君も梅村君に結婚やその他で非常にお世話になつたようであります。そういう関係におきまして、酒井君が推薦する人に默つて金を出すことは、政治献金のみならず、ほかのことでもそうらしいことがわかつたのでありますが、特別の関係のように考えられます。ちよつと一般から見れば、今あなたのおつしやるように考えられることは当然だと思います。だからそういうことがもとになつて、今回いろいろな疑いを受けて、長男まで引出されていろいろ調べられた。その結果釈放を受けておりますが、私も氣持といたしましては、なるほどそうこれはたくさんある例ではないと思います。だからちよつと考えますれば、そういうふうにおつしやるのもごもつともかと考えますが、しかし実際はまさにその通りであります。もちろんどちらもちよつとかわつた人物のように私は思います。そこで意氣投ずるところがあつたのか、こういうことが生れたのであります。だから私は梅村君なり酒井君に対しては、去年の選挙前後において非常に心から感謝しておつたような次第であります。
  601. 小野孝

    ○小野委員 料亭かつらで、酒井君が突然それならばこの席にまで呼ぼうといつて呼べることも、その席に元の大臣であつた星島氏に紹介することも、一私人の酒井弘としては恐らく考えられないことで、やはりその席に呼び出した力も、また前大臣である証人紹介した力も、商工省の関係課長であるという肩書きが物を言つてつたのではないかと、われわれには想像されるのですが、証人はその席でさようなことを御想像になりませんでしたか。
  602. 星島二郎

    ○星島証人 全然ありません。これは一課長の言がそんなに金を動かすようなことは普通考えられません。これは特殊の結ばれと私は今でも信じております。
  603. 小野孝

    ○小野委員 それではその問題はその程度にしまして、まつたく別個の問題ですが、証人が多分昨年の二月ごろ、商工大臣をやめられて、國務大臣にされたことがありますが、その際に総理からかわつてらいたいという理由でどういう話があつたのか、承りたいと思います。
  604. 星島二郎

    ○星島証人 総理からのお言葉は、今度國務大臣の方にかわつてらいたい。その前から多少新聞に出ておりましたから、私も多少首をなにしていたわけですが、君は各政党間に出ておつていろいろ事情がよくわかるから、いわゆる政党調節係というか、その方をやつてらいたい——今の國務大臣は何かおのおの仕事を持つておりますが、私のは全然無任所であります。それで自由な身になつて、政党方面の係になつてくれということで、私はお受けして帰つたようなわけでございます。しかし内面は、私が肥料問題等について、和田君が農林省に肥料を持つて行くというようなことで、だいぶやり合つたことがあります。私は負けたのかも知れませんが、これは内輪話ですけれども、そこに至る経過はどうかわかりませんか、当時はそういう調子で私は國務大臣になつたわけであります。
  605. 小野孝

    ○小野委員 その間証人の身辺にとかくのうわさがあつたことが更迭の理由なつたというふうには今日でもお考えなつておりませんか。
  606. 星島二郎

    ○星島証人 そういうことは私は最も侮辱を感ずるものであります。私は纖維関係に身を置いておりましたから、過去六、七十名ぐらいの人に紹介状を出しました。だから原侑君の事件がああいうふうに書かれたが、原侑君は今日無罪の判決を受けている。私は当時においても平然としておりました。実は長い間纖維関係の統制等に加わつておりましたから、ある程度こつはわかつておりました。だからそうへたなことを私は紹介したり何かやるわけはありません。どうぞその点はひとつ御信用を願いたい。
  607. 梶川靜雄

    梶川委員 二つお伺いしたい。第一番は、合計百五十万円になるわけですが、百万円の方は礼状を出していただいて、そして五十万円の方は出していただいておらぬわけなのですか。これは五十万円の方は初めから個人として受取るつもりでおられたから出していただかなかつたわけですか。
  608. 星島二郎

    ○星島証人 もちろん私はお金がついたときに手厚いお礼状は出しております。
  609. 梶川靜雄

    梶川委員 総理からの礼状のことは……。
  610. 星島二郎

    ○星島証人 それは総理は知られませんから……。
  611. 梶川靜雄

    梶川委員 そうすると、あとでもらわれた五十万円は今の総理にはお話なつていないわけですか。
  612. 星島二郎

    ○星島証人 選挙が済んだあとではいろいろ打明け話をしましたが、大野君には多分私は話したと思います。それは岡山へ送つてもらつたのでありますから、報告しておるかもしれません。初めのものはそれは、ほんとうに党に出すつもりでいたのですが、先ほど申したような調子で、大野君の御指示通りにこれを個人献金として使わせてもらつたわけでありまして、これは党、これは個人というような分けた感じは私にはなかつたのです。
  613. 梶川靜雄

    梶川委員 それは大野幹事長から、多過ぎるから、前に五十万円出ているからもうこれでよいと言つて、君が使えと言われたという氣持はよくわかるのですが、そのときにやはり、総裁の方に一旦礼状を出してもらつて、どうもぐあいが惡いというふうにはお考えにならなかつたのですか。
  614. 星島二郎

    ○星島証人 ぐあいが惡いと思いましたから、わざわざ梅村君の方にお断りに行つたようなこともありました。選挙中は忘れておりましたが……。
  615. 梶川靜雄

    梶川委員 総裁の方の話です。梅村氏は別として総裁の方へは……。
  616. 星島二郎

    ○星島証人 何か大野君から話してくれたと思いますが……。
  617. 梶川靜雄

    梶川委員 あなたから直接には総裁にお話にならなかつたわけですか。
  618. 星島二郎

    ○星島証人 よく覚えておりませんが、しかし一週間に二度は朝飯会をやつておりましたから、何かの機会に話したと思います。総裁にこの間話したら、ぼくはよく覚えておらぬと言われました。礼状を出したことすらはつきり覚えていなかつたらいですから……。
  619. 梶川靜雄

    梶川委員 かた苦しく考えると、党献金にこういうよい人が見つかつたと言つて総裁に礼状を出してくれと言つて出させておいて、そうして幹事長との話合いで、今度自分の方に——それは何に使われるにしろ持つてこられるというようなことに対して、あとで総裁にそのことを報告されたかどうかということを私はつきりお伺いしたいのです。
  620. 星島二郎

    ○星島証人 どうも私も梅村君にわざわざ断りに行つたのだから、きつと何か言つたろうと思います。しかしそれは、いつどういうふうにしたというようなことは全然記憶がありません。
  621. 梶川靜雄

    梶川委員 それでは総裁は、この問題が起つてからは別ですが、それまでは知らなかつたわけですか。
  622. 星島二郎

    ○星島証人 多分そうだと思います。この間の御樣子を見ると……。
  623. 梶川靜雄

    梶川委員 そうしますと、あなたが梅村氏から受取られた金が百五十万円で、それは全部星島氏個人で使われたということになるわけですね。
  624. 星島二郎

    ○星島証人 さようでございます。個人と言いましてもいろいろなことに使つておりますが、大部分は選挙で使つております。
  625. 梶川靜雄

    梶川委員 それであなたが二度目の五十万円を受取られるときに、向うからまだ要れば出してやる、それならよいことだから出してくれと言われたときに、自分の系統というか一党の者のめんどうを見なければならぬからということをやはりお話になつたのですか。
  626. 星島二郎

    ○星島証人 何か先方の方から私に親切な言葉があつたように覚えておりますが、しかしそれは私は酒井君に何かその間にお話を願つたようにも覚えておりますが、どうもその辺ははつきりいたしません。
  627. 梶川靜雄

    梶川委員 それがはつきりしないとすれば、その百五十万円というのはあなた個人で全部使われたわけですか。またはあなたの名義で公的なことに使われたわけですか。選挙費用に全部使われたのですか。
  628. 星島二郎

    ○星島証人 私個人にも使つております。それからずつと調べてみたのですが、二十日間ずつと自動車にお金を積んで行つたようなこともあつて、いろいろなことに使つております。大体は選挙に大部分使つております。
  629. 梶川靜雄

    梶川委員 それからもう一つ、これは別のことで、今小野君からも尋ねたのですが、酒井氏があなたを紹介されたということに関連して、梅林氏が、酒井氏が出世すれば——簡單な言葉で言えば、出世すれば相当都合がよいというようなことを考えたというふうに本人は言つておりますが、そういうようなことはあなたはお考えにならなかつたのですか。
  630. 星島二郎

    ○星島証人 とにかく酒井君は纖維局でもなかなか有数なんだということを聞いておりました。しかしそういうことによつて酒井君が出世をすることを梅村氏が……。
  631. 梶川靜雄

    梶川委員 あなたに梅村氏を紹介して、第三者としての梅村氏からあなたに好意の献金があつたということは、それを裏返して考えれば、あなたに酒井氏を引立ててもらいたい、あるいはあなたから政界の人に引立ててもらえるだろうという條件はなかつたわけですか。
  632. 星島二郎

    ○星島証人 さあそんなことはないと思いますね。
  633. 梶川靜雄

    梶川委員 普通の場合ならば、大体政界の人にそういうぐあいに梅村氏から金を持つて來れば、そうすればあなたの肝いりで酒井氏も引立ててもらえる、酒井氏が引立ててもらえば、よりよい反対給付がもらえるだろう……。
  634. 星島二郎

    ○星島証人 そんなけちくさい考えはないと信じます。梅村という人は、私のみならず、相当大きな額をほかの人にも出されておりますから、酒井君のためにそんな何百万円もの金を使うということはないと思います。
  635. 梶川靜雄

    梶川委員 梅村氏の陳情では、そういうように酒井氏が世に出て行けば都合がいいと思つたから……。
  636. 星島二郎

    ○星島証人 それは問い詰められればそういうようなことも……。
  637. 梶川靜雄

    梶川委員 普通常識的に考えると、そういうふうに考えられるのです。
  638. 星島二郎

    ○星島証人 そんなことはないと思います。
  639. 梶川靜雄

    梶川委員 古い方は余計そういう点に警戒されるのだから、そういうことを感ぜられたのではないかと思います。われわれなどそれほど取り立てる力がない者でもそういうことを感ずるのですから、あなたのように政界の有力者であり、ときの台閣に列しておるというような人ならば、当然そういうことを考えられるのではないかと思うのです。
  640. 星島二郎

    ○星島証人 その場合に條件を出すとは毛頭考えません。これは相当な者だというように感服しておりましたから……。
  641. 梶川靜雄

    梶川委員 酒井氏が植原悦二郎氏とも懇意だということは御存じであつたのですか。
  642. 星島二郎

    ○星島証人 知りません。
  643. 梶川靜雄

    梶川委員 八田嘉明氏とは……。
  644. 星島二郎

    ○星島証人 それはよく知つておりました。奥さんがピアノの先生をしておりますその関係で、よく娘が話しておりましたから知つております。
  645. 梶川靜雄

    梶川委員 それからもう一つ梅村氏がすぐおいそれと言つて百万円くれ、そしてまたもつといれば出してやると言つて五十万円くれて、それから、ほかの人にも相当出しているということは、その当時お感じになつたわけですか。
  646. 星島二郎

    ○星島証人 そうです。
  647. 梶川靜雄

    梶川委員 これは先ほど松野君からもほかの証人に対して話があつたのですが、当時そういうぐあいにどんどん献金できるようなぼろ儲けができるということは、しかも商工省の纖維局の課長の紹介でそういうようになつているということは、その金は尋常一樣の金でないというふうにはお考えにならなかつたのですか。あなたも仕事をせられた経驗から、そんな金儲けは生やさしいものじやないとは考えられなかつたのですか。
  648. 星島二郎

    ○星島証人 それは最初に申したように、大口喜六氏から、あれは普通の人ではないのだ、体は小さいけれども、とにかく傑出した男だということを聞いておりましたから、そういうことを信じておりました。あの人は、この人と思うと借金しても出す人ではないかとにらんでおります。
  649. 徳田球一

    徳田委員 ちよつとお尋ねしますが、落下傘の絹ひもやはしきれを利用する、いわゆる再生事業でありますが、これをあんたの十数年間使つてつた部下がやつておるというお話でありましたが、この人は何と言う人ですか。
  650. 星島二郎

    ○星島証人 それは大阪在住の江口四郎という人です。
  651. 徳田球一

    徳田委員 そこでこれは梅村が言うておることをその通り読みますから、ちよつと聞いていただきたい。あんたが選挙應援のに豊橋に行かれたときだと思われます。四月七日であります。「このとき星島から自分の知つた男が落下傘の絹ひもや、はしきれを拂下げて事業をしておる者がいるから、君の工場に反毛設備があるならタイアップしておもしろい仕事になるから、いずれ東京で話をしようという話があつた。」あなたからお話があつたということを言つておりますが、この事実はいかがでしようか。
  652. 星島二郎

    ○星島証人 どうも記憶がありません。江口君と梅村君は先ほど申したように、最初妙な関係で偶然会つたというようなわけで、そのとききつと両者はお互いにいろいろな仕事の話が出たかもしれません。もつとも大勢関連していたからそうじやないかと思います。演説会に行つて選挙の忙がしい最中にそういう仕事の話なんかしたことはどうも私は記憶がありません。ただ市長の招待会が公会堂か何か近所であつたときに、たいへんな國家的な仕事をやるのだから株を募集するんだというような話があつたことを私は記憶しております。その名前もわかりません。それ以外に記憶はありません。
  653. 徳田球一

    徳田委員 現在江口氏と梅村君との間にこういう事業上の関係や提携は事実存在していませんか。
  654. 星島二郎

    ○星島証人 存在していないと思います。
  655. 徳田球一

    徳田委員 その次に、ちようどやはり同じ日でありますが、「この際自分自分が経営しておる日本セルローズ工業会社の事業内容について話をして、今後ともめんどうを見てくれるようお願いをした」こう書いてありますが、こういうふうな事実はありませんでしたか。
  656. 星島二郎

    ○星島証人 よく記憶しませんが、ただいま申したような市長のみんなの宴会の席で何かたいへん大きな國家的な仕事をするんだ、そして株を募集するんだという話が今耳に残つておりますから、あるいはその会社の名前かもしれません。ただその宴席の場で起つた話があつたように記憶しております。しかし私は会社の名前さえ忘れておるのです。
  657. 徳田球一

    徳田委員 これらのことは幾分雜談はあつたかもしれんが、脳裡に印象として残つておるほどのことじやないということですか。
  658. 星島二郎

    ○星島証人 残つておるのは、よほどの大きな國家的の仕事をするのだということが残つておる。
  659. 徳田球一

    徳田委員 これはあなたが援助を與えるという話はなかつたのですか。
  660. 星島二郎

    ○星島証人 まだ自分もその地位にありませず——セルロイドですか。
  661. 徳田球一

    徳田委員 「日本セルローズ会社の事業内容について話をした」こう書いてある。
  662. 星島二郎

    ○星島証人 それは覚えておりません。
  663. 徳田球一

    徳田委員 そこであんたに百万円あげるという話は二月下旬ころであつたそうです。かれの陳述には書いてあるように思いますが、そうじやないでしようか。
  664. 星島二郎

    ○星島証人 二月下旬ならば、よほど三月に近いことでしようね。私は二月の終りか、三月の早々じやないかと思います。私がどうしてそう覚えているかと申しますと、三月八日に私は豊橋に演説会に行つている、それならそこで会いたいがということを言つているから、青木君の計画がそう二週間も三週間も前にあるはずはないのですから、やはり二月の終りか、三月の早々じやないかと思います。
  665. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、大体合います、向うは二月の下旬としてあるから……。そこで三月の七日に豊橋の靜岡銀行豊橋支店と帝國銀行豊橋支店から帝國銀行京橋支店あてに自由支拂小切手で百万円送つた。これは酒井が受取つたということになつておりますが、この受取はあんたの方にはこの酒井からいつころお受取りになりましたでしようか。
  666. 星島二郎

    ○星島証人 演説会から帰つたあとですから、どうしても十日過ぎです。十三、四日ころに受取つたように思います。
  667. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、十日過ぎに受取られて、あんたが総裁に礼状を書いてくれと言われたのは、受取つた後でしようか。
  668. 星島二郎

    ○星島証人 ずつと後、二十日前後じやないかと思います。そこはちよつと日時ははつきりしませんけれども、相当後のように思います。
  669. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、あんたが大野さんにこの金をお出しになるという決意でもつて大野さんに御面談をなされまして、この百万円を出そうと言われたときはいつでありますか。
  670. 星島二郎

    ○星島証人 総裁と会いましたあとかと思います。
  671. 徳田球一

    徳田委員 総裁にお会いになつあととは、いつころですか。
  672. 星島二郎

    ○星島証人 それも私ははつきりしないですが、二十日過ぎだと思います。十八、九日ころに総裁に会つたとすれば、どうも明瞭でありませんが、要するに総裁と会いましたあとだということだけははつきりしております。
  673. 徳田球一

    徳田委員 そこで問題はここにあると思います。総裁に礼状を書いていただきたいと言つたのが三月の十八、九日ころ、二十日前後と言われますと、これは三月の十五日ころにあんたからの紹介で築地の金田中で夕食をした際、酒井があんたから総裁の礼状を受取つたとありますが、そうすると、大体話は合いますね。
  674. 星島二郎

    ○星島証人 ちよつと時間のずれがありやしませんか。そこに礼状の日にちは書いてありませんでしようか。
  675. 石田一松

    石田(一)委員長代理 礼状の日にちは出ておりませんが、ただ築地の料亭で三月の中旬にとなつております。
  676. 徳田球一

    徳田委員 向うの供述では十五日ころと書いてあります。だから、二十日前後なら合うじやないでしようか。
  677. 星島二郎

    ○星島証人 二十日前後なら合います。
  678. 徳田球一

    徳田委員 十九日ころとなつている。これはころですから、二十日前後なら大概合うじやないかと思います。その文句には自由党に百万円献金してくれてまことにありがたい。この金は國家のために有効に使うといつた趣旨のことが書いてあつたのですが、これは間違いないでしようか。
  679. 星島二郎

    ○星島証人 間違いありません。
  680. 徳田球一

    徳田委員 そうすると、これには明らかに自由党に献金したということになつておりますから、最初の趣旨はそうであつたことは明らかですね。
  681. 星島二郎

    ○星島証人 そうです。
  682. 徳田球一

    徳田委員 これはむろんかれ梅村が言つたのは、あんたがお使いなつても、個人がお使いなつても、総裁がお使いなつても、どなたがお使いなつても、いずれでもいいという氣持で言うたには間違いない。これは石橋さんにもそう書いてあります。あんたがこういうふうなものを持つて來たために、かれはこの方はたいへん正直な方だと思つた、こういうことにこの供述ではなつております。そこで大野君にお会いになりましたのは、この後ですな。
  683. 星島二郎

    ○星島証人 私も大野君が旅行しておつたことはかすかに覚えておりますが、金なら幹事長に言うべきですが、その幹事長に言わないで礼状を書いてもらつたと思います。その当時大野君が旅行しておつたのを私は何か記憶しておるように思うのですが、大野君に尋ねて見たいと思つておりました。私はとにかく最初のもちろん党に差出したいというその氣持はそのままなのでした。それで総裁にも金銭の取引みたいでなく、こういうパトロンを見つけたから、礼状を一本書いてくださいと言うチヤンスがなかつたのですけれども、それが儀礼的な礼状だと——私は文句まで覚えておりませんがそういう氣持だつたのです。ですから私はその氣持そのままを大野君に言いまして、先ほど申したような相談をしたようなわけであります。
  684. 徳田球一

    徳田委員 そこでこの後にあなた個人のものに変つているところすなわち氣持はどうでもいいですけれども、梅村の方はどつちでもいいけれども、こつちでは公の手続をしていますから、総裁がわざわざあの礼状を書いてありますので、受取つた人はあなたであろうとも、党であろうとも、どつちでもかまわぬけれども、もうこれは党のものになつてしまつたという感じを梅村君は持つたと思うのですが、その後にこれが変更されているところにこの問題は非常な間違いの起る元になつている重点になつておりますから、こういう点につきましては、当時は自由党でありましたが、自由党はどうでしようか、党の方に献金と言えば事のいかんにかかわらず、とにかくたとえば星島さんなら星島さんが党に献金をする割当がいくらあるとかいうようなことにかかわらず、党に献金と言えば、これはそういうことにかかわらずに献金するのじやないでしようか。
  685. 星島二郎

    ○星島証人 昨今は大分嚴重になりましたけれども、まだこの前の選挙は旧体制と言いますか、氣持が変らないのです。私は文句は覚えていないのですが、総裁に礼状を書いてくださいということをお願いしたように思うのです。その点は昨今は非常に嚴重になりましたからきちんとしておりますけれども、氣持としてはその当時は今申したように金額が多いからお前少し使えというようなルーズなことで、今日皆樣をお騒がせしておることは非常に恐縮しておるわけですけれども、氣持としてはまさにその通りであります。それから氣にかかつたから梅村君にあいさつに行つたことがある。きつと梅村さんは覚えていてくれると思います。
  686. 徳田球一

    徳田委員 そうしますと、ここで問題が起つておりますが、その当時は党とあなた個人ということに対しまして、政治的な活動及び資金では相当入組んで不明朗なところが常時相当あつたために、こういうことが起つたということになるのではないですか。
  687. 星島二郎

    ○星島証人 当時私は岡山支部長をしておりましたから岡山支部で勝手に使える。党に贈ればほかの支部にも贈らなければならぬということになりますので、これは私に任されておるし、岡山支部で困つておるときなので、これはいいものをいただいたという氣持がしたものですから、大部分は岡山支部で使つたのでありますけれども、そういう氣持でした。
  688. 徳田球一

    徳田委員 そのために岡山の支部で使つても、どこの支部で使つても、結局そういう慣れ合いであるから届出はしなかつた。こういうことになりますか。あなた個人でもらいましても、党機関のためにお使いになる可能性がありますね。たとえば山の支部でお使いになる、そういうときでも個人のあなたがもらつたということでお届けにならない。こういうことになるのですか。
  689. 星島二郎

    ○星島証人 一旦百万円が、手紙を差上げた当時にほんとうに党に納めてしまつて大野幹事長が受取つておれば、一旦記帳されて私の手に渡すということになつたと思いますが、私は銀行に預けたまま、こういう金が入つたのだ、とてもこれはすばらしい男で、ぜひ大いにひとつ、というようなわけで、そこでまあ一本書いてくださいと言つたということでありますから、金はよこさないで党にはいつていないのです。党の帳面には一つもそれが記入されていないというような手続になつておるのであります。しかし岡山の方に行つた分は何か支部できちつと記帳しておるようであります。
  690. 徳田球一

    徳田委員 岡山の支部では記帳になつておるのですか。
  691. 星島二郎

    ○星島証人 その中の一部分でございますけれども……。
  692. 徳田球一

    徳田委員 そのことは政党の資金規正法でちやんとお届けになつた……。それはいくらくらいなつておりますか。
  693. 星島二郎

    ○星島証人 岡山支部が五十万円です。
  694. 徳田球一

    徳田委員 そこであとの五十万円というのは、四月の七日と彼は言うておりますが、それに対しては何か御記憶はありませんか。
  695. 星島二郎

    ○星島証人 先ほど申したように私が豊橋を立つた後だと思いますが、岡山の銀行へ振込んでおきました。だからよく覚えております。そうしてむろんそれに対して到着した旨の感謝の電報を打つたと思います。
  696. 徳田球一

    徳田委員 わかりました。
  697. 梶川靜雄

    梶川委員 大野幹事長に相談されたときに大臣は、大体五十万円という話だつたと言われるのですが、それは選挙の資金として五十万円出すように話されたのですか、どうですか。
  698. 星島二郎

    ○星島証人 多分そうだと思います。つまり選挙準備の本部の金だ。かように考えております。あるいは選挙の前後でありますから……。
  699. 梶川靜雄

    梶川委員 幹事長一存で大臣か大臣級か知りませんが、実際には大臣の方ばかり突いているようですけれども、きめられたのは幹事長一存できめられたことなんですか、または幹部会できめられたことなんですか。
  700. 星島二郎

    ○星島証人 それは選挙対策委員会というのがございまして、大久保君などが選挙対策委員なつておりまして、われわれは注文を受けた方です。
  701. 梶川靜雄

    梶川委員 あなたは幹事長から五十万円になつていると言われたので、初めて五十万円と知つたのですか。
  702. 星島二郎

    ○星島証人 いやそうではない、その前から閣僚級は五十万円だから、これは早く納めてくれというような話があつたように思います。
  703. 梶川靜雄

    梶川委員 藤村会から五十万円出ているから、もうよいから大臣級に五十万円だというふうに、あなたは先ほど御証言なさつているのですけれども、あなたがここで初めに五十万円納められて、それからさらに百万円來たから相談したいというわけですか。
  704. 星島二郎

    ○星島証人 まあそういう意味です。
  705. 梶川靜雄

    梶川委員 そこのところは初めの御証言によると、初めて幹事長から言われて知られたお答えだつたのですけれども……。
  706. 星島二郎

    ○星島証人 いやそうではない。その金を集めるにはずいぶん苦労して集めたのですからよく覚えております。藤村会にずいぶん金が集まりまして、その中から五十万円、後から二十万円出したということになります。
  707. 梶川靜雄

    梶川委員 そうするとその五十万円は選挙対策委員会できめられたわけですね。
  708. 星島二郎

    ○星島証人 そうです。私はその当時閣僚になつておりましたから、注文を受ける側です。
  709. 梶川靜雄

    梶川委員 選挙対策委員には入つておられなかつたのですね。
  710. 星島二郎

    ○星島証人 入つておりませんでした。多分それは大久保君だつたかと思います。
  711. 梶川靜雄

    梶川委員 わかりました。
  712. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと証人に念のために私は聞いておきますが、梅村君からお受取なつ金額の総額は百五十万円で、この百五十万円の中からは閣僚級の政党献金というものが出ていない。新聞の報道は誤りである。結局百五十万円は一文も政党献金としては政党へ入つていないということですね。それからもう一つはその当時大野幹事長にこの話をなさつたときに、大野氏の方から閣僚級は五十万円ときまつているのだから、君はもう五十万円出しているからこれ以上出すこともない。結局残つた君が持つている百五十万は、君の党の支部の関係とか、選挙に使つたらよいじやないかと大野幹事長が言つたのですね。それであなたもその当時旧態依然たる非常にルーズな昔の政党のような考え方で、まあまあというような氣持で非常に便利に思つて使いなつた。しかしそれまではあなたはこれは自由党へ献金するものであると、固くそう思つていらつしやいましたね。
  713. 星島二郎

    ○星島証人 それはちよつと違います。梅村君らは党へ出したという意味ではない。私は党へ出したいと思つて一應相談しました。
  714. 石田一松

    石田(一)委員長代理 そうしますと梅村君は党へ出されても星島さん個人がお使いなつてもかまわないと思つていて、総裁の礼状があなたの手から梅村氏に渡されたときに梅村氏は、先ほど徳田君が言いましたように政党に献金されたりつぱな方というので信頼した。結局出した本人は党でもよろしいし、あなたでもいいと思つていたのですが、その礼状を受取つたときには政党に献金されたものと梅村氏はこれを信じたわけですね。そこであなたもそうであつたので、その後これを大野幹事長にお話なつた。そうするとこれがあなた個人が使えるようになつたの大野幹事長の話によつて、あなたとの話合いで、そのときからお二人の間だけでこれが個人の金になつておるわけですね。そういたしますと大野幹事長とあなたがお話になるまで、総裁の礼状が梅村氏に渡され、大野氏にあなたからお話になるまでは、少くともこの百万円は、受けたあなたにもそうであるし、贈つた梅村氏もこれは政党献金であると、こういうことになつておつたのですね。
  715. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ちよつと黙つていてください。念のために聞いておるのです。妙な解釈ではない。
  716. 星島二郎

    ○星島証人 それは先ほど來たびたび申し上げましたことによつて御判断を願いたいと思います。
  717. 石田一松

    石田(一)委員長代理 ほかに御質問の方はありませんか。
  718. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それでは終りました。
  719. 徳田球一

    徳田委員 大野伴睦氏を呼んでおるのですけれども、これまでのあれによりますれば、何ら証言を求めることはないと思いますし、また自由党から出た委員方々も、もう呼ぶ必要はないだろう、自由党側の有利のために言つたんですから、そこで取下げられておるのだからこれはやめて、もう九時だからこの際散会せられんことを望みます。
  720. 石田一松

    石田(一)委員長代理 徳田君の散会動議に御異議ありませんか。
  721. 石田一松

    石田(一)委員長代理 それではこれにて散会いたします。     午後八時五十三分散会