○石井
委員 園田委員の
提案に対しまして
賛成をいたすものであります。
外崎君の今回の問題につきましては、いろいろ本人の
意見等を聞きますと、
愛國の熱情のほとばしり出たものであり、また本人も非常に感情的の熱血漢でありまして、その立場からほとばしり出まして、少しく行き過ぎたということも考えられ、またその前に
引揚者問題で共産党の
人々に包囲され、非常に興奮され、また突然に本
会議におけるところの
討論参加を党議によ
つて命ぜられた、いろいろ準備の手落ちがあ
つたので、非常にそこつをして済まなか
つた、さように申されるのでありますから、非常に同情すべきを点はあるのでありますが、以下述べるがごとき
事情によ
つて、われわれは相当のこれに対しては制裁を與えなければなるまいと考える次第であります。
言うまでもなく
議員の言動というものは、院の内外を問わず、非常に氣をつけなければならない問題であります。特に本
会議におけるところの
議員の言動というものは、非常に重大視すべきものでありまして、これを
発言者において軽々になし、あるいは言動に対しまして
國会議員が軽視するがごときことがありますれば、
民主政治というものは成り立たないものであります。
議員そのものが言動を愼み、かつその本
会議におけるところの
討論あるいは言論に
権威がつけられまして、初めて
國会の
権威というものはあがるものであります。いろいろなる
事情におきましてそこつなる点がありましても、一度本
会議において述べたるところについては、
議員としては当然
責任を負わなければなるまいと考えるのであります。
近時
國会議員の言動が、院外においてはもちろん、本
会議等における言動も逐次粗暴になりまして、
國民の顰蹙を買うようなことが起りつつあるのであります。かような傾向はやがては
國会の
権威を失墜せしめ、
民主政治の崩壊の端を発すべきものではなかろうかと思われるのであります。今回
外崎君の述べたところの
言辞は、二点におきまして
注意をしなければなるまいと思うのであす。
一つは
民主政治の否認というごとき
言辞であります。特に
外崎君はあの
討論参加は諸
政党を
代表いたしまして
賛成の
討論に立
つたものだと、かように
運営委員会から承
つております。つまり
社会革新党を
代表してではなく、あるいは
社会党その他をも
代表して
賛成の
討論に参加しておる。しかるに一たび壇上に立ちまするや、自己の党派の、あるいは小
会派だけが正しくして、民自党、あるいは
社会党、あるいは
民主党のごときは、これは
━━━━である。日本の
國家に対して害毒を流す、これを解党しなければ日本の
政治は正しくならないというような
言辞が現われておるのでありまして、非常にこれは遺憾のきわみであります。
國会議員外でありまして、ちまたにおきまして
國会を論ずる、あるいは
政党を論ずる人は、あるいはさような
言辞を弄することも、これを看過しなければなりませんが、
國会議員みずからがさような
言辞を弄するということは、実は重大な問題であります。昔から言わるる通り、おのれを侮る者は他人がこれを侮るようになる。
國会議員が
政党政治を侮り、あるいは
議会政治を侮るようになりますならば、その累はやがて
國会自体に及んで來るものであります。われわれはあるいは民自党あるいは
民主党あるいは
社会党が、完全なる
政党であるとは申されません。早々日浅くしまして、今後幾多の修練と
國会議員各位の幾多の努力によりまして、完全なる
政党にならなければならない。早々なお日浅くしまして幾多の欠陷がある。この幾多の欠陷を是正して、完全の
政党になるところに日本の
民主政治の前途があるのであります。それらの点に言及せずして、ただちに幾つかの誤りあるいは行動をとらえまして━
━━━━あるいはかかる
政党は解消すべきであるというような
言辞を
議員みずからの口から出されることは、日本における
民主政治、
政党政治のためにゆゆしき大事であります。これらの点につきましては
國会議員でなく、ちまたの論説であればいざ知らず、
國会議員の口から出ましたとすれば、これを重大視いたしまして、
懲罰をいたさなければならないものであろうと考えるのであります。
なお
外崎君は
議員の人格あるいは名誉の点につきましていろいろと論及されたのであります。これら人格あるいは名誉を毀損するような
言辞につきましては、
議長の
注意によりましてこれを
取消したのでありまするが、しかしながら
議長の
注意の際における
態度等にかんがみましても、なおこれを繰返しまして、それらの
人々の
氏名を申し上げる。率直に取消せと言われて初めて取消すというような
態度でありまして、つまり
議員の人格あるいは名誉を尊重しない、傷つけるということについても、あまり意を介しないような
態度であ
つたと考えられるのであります。各人の人格を尊重し、その名誉を尊重するというところに、やはり
民主政治の基盤はありまして、かような
態度がその言動に見えましたことは、はなはだ遺憾なのであります。
議長の
注意によりまして
取消しはされたいといいますけれども、しかしそれのみをも
つて一切のそれらの行動が解消したとは考えられないのであります。
かような
見解から見まして、近時ともすれば
國会議員の
委員会あるいは本
会議等における言動というものが低下しつつあるというときにおきまして、昨日の
外崎君のような
言辞を看過いたしますれば、今後
議員が本
会議をあるいは
選挙におけるところのおみやげ
演説の議場というふうに考えて、そうして正しく問題を論議し、正しく國策を論議するというのでなく、
國民にいろいろと訴えて自分の評判をとる、大衆の盲目的な人氣を博しようというところの場面に本
会議場を利用するような傾向の発生をもおもんばかるのであります。その影響はなはだ恐るべきものがあるのであります。