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門司委員 私から特に大藏大臣の御出席をお願いいたしまして御
質問申し上げたいのは、大藏大臣のお
考えにな
つております
地方財政に対する所感であります。なおそれとともに、一つ一つ申し上げるといいのでありますが、時間の
関係もおありと思いますので、私は一括して御
質問申し上げたいと思います。
地方財政が非常に窮屈であるということは、しばしば新聞その他でおそらく大臣も御
承知だと思います。もし時間がありますならば詳しく申し上げたいと思うのでありますが、時間がございませんので私は申しませんが、本
年度の
予算を見ましても、
地方財政というものは大体二百数十億が
地方起債にまつというような
状態にな
つておること、この
起債はなかなか完全に消化ができないこと、そういう
状態でありますことのために、
地方財政というものはま
つたく行き詰ま
つている。その原因としては、御
承知のように自治権が非常に拡大されて参りまして、
從來政府で行
つておりました
仕事の大
部分が
地方で行わなければならないような
状態にな
つているということ、
從つてその
財源を生み出すことのために、
地方においては非常に困
つております。私は個々のことはあまり詳しく申し上げませんが、各
町村の実情というものはま
つたく行き詰ま
つておりまして、私
どもが調査をしました
範囲内におきましては、ほとんど町の
財政がやれないので、
町村長の個人的の信用において金の融通をしているとか、あるいはその他のものは村有財産の賣拂いによ
つて辛うじて
町村行政を続けている。しかもその使途というものが大
部分人件費に
支拂われておりまして、
從つてこういう不健全な
財政にな
つているのであります。御
承知のように、
地方の
公共團体がその
財源をあるいは
起債に求めるとか、財産の賣拂い代に求めるということは、一つの
事業計画に基く
財政計画なら一應うなずけるのでありますが、これが人件費に使われるということにな
つて参りますと、そう長くたたないうちにその村の
財政計画というものはま
つたく破壊されなければならないということが私は言い得ると思う。その結果はどういうことにな
つているかと申しますと、しばしば申し上げるのでありますが、人的に申しましても、昨年の四月に一万二百有余の市
町村長の改選を行いまして、その後本年四月までの間に、すでに六百十名のこれらの辞職者が出ているということであります。そのうちの大
部分というものは、
財政の
行き詰まりから
町村政の円滑なる運営ができないというのが大
部分であると私は思う。その
理由の中には、あるいは
病氣であるとか、一身上の
都合とか、家事の
都合とかいうようなことが書かれておりますが、大
部分そういうことであろうと思う。もう一つは議会との衝突によ
つて五十数名の者が辞職しているということが書かれておりますが、これらの者を見ましても、すべてその原因するところはことごとく
財政の問題で行き詰ま
つているということが私は言い得ると思う。そういう
状態でありますと、せつかく
地方自治権を拡大いたしまして
地方の
民主化をはかり、
地方の
民主化というよりも全部の
日本の
民主化を
行政的にはか
つて行くという措置を設けておりましても、
財政的措置が完全でないために、金融措置のできる者でなければ
市長になれないという形ができて参りますと、
日本を再び封建的な制度の中に追込むということができるであろうと私は言い得ると思う。
從つて地方民主化のために非常に大きな影響を持つであろう。もう一つは警察あるいは教育の問題であります。警察権を
地方に移讓しましたが、この点にも大きな影響を來すということであります。もしこの
費用が
地方自治体によ
つて完全に
支拂われないということにな
つて参りますならば、治安維持の上においてもきわめて大きな影響を及ぼす。これを十分お
考え願いたい。それから教育の問題にいたしましても、六・三制の問題についてことごとく
地方に責任を持たして参
つておりますが、これが完全に行われないということにな
つて参りますと、教育上の問題にも非常に大きな影響を及ばすということにならざるを得ないと私
どもは
考えられるのであります。そういうことを
考え合せまして、今度の追加
予算に組まれております
地方財政の面を要約して申し上げてみますと、こういうことが書かれている。
財源所要額といたしまして、会計
事務促進
地方職員
國庫補助廃止による
財源所要額というものが二千七百万円見込まれている。六・三制実施に伴う
地方職員
國庫補助金廃止に伴う
財源所要額が二千三百万円出されている。保健所の運営に要する経費が同じく二千七百万円、鼠族昆虫駆除に要する経費四億六千二百万円、恩給増加に要する経費五億九千八百万円、共済組合健康保險組合に対する
負担金が四億一千九百万円、生活保護法による保護費の引上げに要する経費が四億二千八百万円、蚕業技術指導所設置に要する経費一千万円というものがまず最初に挙げられているのであります。これらの問題は
從來の経費の中に加算されていなか
つた部分だと私は
考えますので、大した問題はないと思いますが、その次に掲げられております給與水準引上げに要する経費、この中には石炭手当、寒冷地手当を含むと書いてありますが、これが七十五億五千七百万円という所要額が出ているのでありますが、この中には一体どういうものが含まれているかということ、もし給與水準引上げに要する経費をこういうふうに認めて参りますと、その
内容といたしまして次の
財源收支のところで、給與費の余裕というものが四十二億五千六百万円見込まれておりますが、これはおそらくこの所要額の中から差引かれるものであるとわれわれは
考えなければならない。
当局はそういうことはお
考えにな
つていると私は思いますが、これがもし差引かれるということにな
つて参りますと、ほんとうに給與を受けるものは、税金を差引きますとわずかに二十六億四千百万円というような数字にな
つて参りますので、これを
地方職員の概数であります百二十三万千六百十九名に割当して参りますと、月額わずかに四百二十八円八十銭ということに相なるのであります。この給與水準の引上げに要する経費を計上いたします場合におきましては、大体
地方において千五百円くらいの給與水準引上げという予定のもとにこういう数字が現われて参
つてお
つたのでございますが、こういう処置によ
つてなされますと、おそらく先ほど申し上げるように、千五百円でなくして四百二十八円八十銭くらいの給與水準の引上げにな
つて参ると思いますが、この間の
事情をひ
とつお聞かせ願いたいと思うのであります。
次に申し上げたいと思いますのは、
政府貸付金の全額償還に要する経費であります。この
政府貸付金の三十五億九百万円というものは二十三
年度、四
年度、五
年度にわたる貸付金であ
つたと思いますが、これを三
年度の分の十九億円は当然償還しなければならないといたしましても、残額をこの場合償還しなければならないというりくつはないと私は思う。この点は一体どういうふうにお
考えにな
つているか。こういうむりな
財政処置が要求されているということであります。この点についてひ
とつ大藏大臣の御所見をとくと私は伺いたいと思うのであります。
その次に
財源処置として配付税の自然増收が見込まれておるのであります。これが百一億三千四百万円見込まれておるように書かれておりますが、この配付税の自然増收は、この
財源が
地方にとりましては
地方財政の上の
財政的処置の唯一の
財源であります。当初
予算のみにおいて
地方財政の運営ができませんので、ただ
地方においてはこれのみによ
つて地方の
仕事をや
つて行くことが頼りにな
つておる。これを
政府が一つの
財源の処置としてお取上げになるということは、
地方の運営の上にはきわめて大きな支障を來すのではないかということが一應
考えられるのでありますが、この点に対する大藏大臣の、こういう処置をなさろうというお
考えをこの機会にお聞きして置きたいと
考えております。以上非常に
簡單でありましたが、御答弁を願いたいと思います。