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千賀委員 私は夏休みのうちに本
委員会から
東海地区並びに
北陸地区の
出先機関廃止に関する
地方の声を
調査する、その班長に御
選任をいただいたのでございまして、
愛知縣、
岐阜縣等の
調査をいたしました。さきに本
委員会におきましても、数種の各
地方の御
報告がございましたが、内容が大同小異でございまするので、私は取立てて御
報告する煩を避けましたけれ
ども、その精神とするところはま
つたくよく似通
つておりまする上にことに
東海地区の各
縣知事が訴えましたところにおきましては、
農林関係の
出先機関に対して最も
眞摯な叫びをあげております。早くやめてくれろ、いつまでも與える権利だけは
政府が握
つており、農民から取立てる
義務だけを
縣知事に負わしてお
つたのでは、とうてい縣の
行政というものは満足にや
つていけないのだ。むしろかようなことであるならば、縣を
廃止してくれろ。
縣知事というものさえ
政府がすつかり取入れてくれたならば、かような
苦しみもないのであろうに、
縣政はかようにそのままおいて、先ほど申しましたとる
義務だけを負わされてしりをたたかれても、
縣政の運用はできるものではないと、
愛知縣、
岐阜縣の
縣知事並びに縣会の
役員諸君は口をそろえて訴えておるのでございます。ただいまの
大臣の御
答弁では、
食糧に関するもの、
農林関係のものは
あとまわしということでございます。もちろんわが國の
政治は、われわれ民族の欲するがままに運行し得ないという
事情は、われわれは十二分に
同情をいたしまするけれ
ども、
地方行政が行き詰りましては、いかによくやるつもりでもやはり國の
政治は満足な運行はし得ないと思います。ことにわれわれ
地方行政委員会は
地方行政の母であり父である。最も
地方廳の
苦しみのよくわかるのは、わが
委員会をおいては他にないと
考えてもさしつかえないのでございまするが、どうか
大臣も
閣議におかれまして、この
地方の声に対しましては十二分の御
同情と御理解を持
つて、強硬に御推進を願いたいと思います。特に
農林関係におきましては、肥料の
関係につきましても、あるいは材木の
関係につきましてもいろいろな面がございまするが、何といいましても、一番重要な食の問題につきましてかような困難がございます。
次に衣の問題について若干申しまするならば、これは
商工局関係でございまするが、現在
日本の
國民がいかに衣ということについて苦しんでいるかということは、われわれが指摘する必要もないのでございまするが、辛うじて
解決のついているのは、
紡績会社から
國有綿を操作します間に出て來る
落ち綿の約二割の量、これが
國民の
一般需要の方にまわり、また
國民が
生活している間に出て参りまする
くず纖維、
裁断くずであるとか、あるいは
ぼろであるとか、こうしたものが再製せられて、がら紡であるとか、あるいはミユールであるとかいうような、
くず綿工業に適当な
紡績機械によ
つて糸にされ、織物にされて
國民の手にまわされておるのでございますが、これが今までは
商工局の
統制の
わく中に入
つてお
つたのでございます。すこぶるその
統制が幼稚でまずいために、ほとんどこのルートが動いておりません。と申しまするのは、一番この
くず纖維工業の重要な役割をする
ぼろのごときは、現在の
統制におきましても、一貫匁十円というような値で
取引が許されております。
ばた屋がそこらで
ぼろを買い集めて自轉車にたとえば十貫匁積んで來るといたしましても、百円にしかならないのであります。この百円が純益ならまだよいのでありまするが、百円の賣上げをするのにはまた数十円の元手がい
つておるということになりまするので、
ばた屋は今全然
ぼろなどに目をかけないでおるのであります。しかしながら民間の
需要におきましては、その
ぼろの貴重なることは各
工場が知
つておりまするから、もつと高くても持
つて來れば買いたい。しかしながらこれは
統制があ
つて、それ以上に
取引をすることが許されないということで、
ぼろを処理する
工場ではのどから手が出るほど欲しいのに、家庭から
工場にこれを持
つて行く
方法が、
統制のためにさえぎられて働いていない。ゆえにこの
衣料不足のために
國民は寒空に泣いておるというのに、その
ぼろはみすみす肥しに
なつたり、ふろの下でたかれたり、あるいはどぶに捨てられたり、かようにして有用な
資源は
統制のために失われ消えて行くのでございます。これをどうしたらよいかというと、結局
統制をやるならばもつと巧みな上手な
統制で、ほんとうに
実情に即した
統制をも
つて臨むなら
けつこうでございまするけれ
ども、これほどなたくさんの
役人をかけ、これほどな熱をかけてお
つても、
統制というものにおきましては、この
種々雜多な品種を持
つている
ぼろ、こうした
複雜な、しかも價の安いようなものにな
つて参りますると、これ以上の
統制をも
つてその
取引を是正していくことは不可能だということのいわゆる幻滅の悲哀、
統制はここにおいて行き
詰つたからかような
事情にな
つているのであります。もう一路あるところは、
統制撤廃以外に道はないのでございまするけれ
ども、その
撤廃がなぜできないかといえば、これは
商工局というものがあ
つたり、あるいは
商工省の纖維局というようなものが必要以上に大きな組織であ
つたり、一
應役人たちに何らか
仕事をさしておくというようなかつこうをつけなければならないということから、この不必要な
統制が依然として
商工省または
地方の
商工局の手に握られておりながら、
國民のためには前述したような不便をか
けつつあるのでございます。そこでかような点から申しましても、
商工局というようなものはすみやかに
廃止をいたしまして、できるだけ
國民の実際の
衣料資源、その日の
生活になければならない
衣料資源というようなものは早く
統制をはずすということが必要であると思います。きようあたりの新聞を見ましても、
日本に流通せられる
國有綿の量はますますふえて参りまして、その
連合國から認められておりまする
出勘二割の量というものも、非常に大きな量にな
つておりまして、
統制がはずされさえすれば、その二割と、
國民生活の間から自然に出て來る
ぼろとを合せますれば、当面の
國民衣料というものは十分
解決して、
危險状態には陷らないということは見通しがつくと思うのであります。かような点につきましても、私はぜひとも
商工関係の
出先官憲もすみやかに
廃止をされたいと思うのであります。重ねて
大臣の御高見が承れれば非常に幸いだと思います。