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1948-12-20 第4回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十二月二十日(月曜日)     午後五時十五分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 大上  司君 理事 島田 晋作君    理事 梅林 時雄君 理事 堀江 實藏君       石原  登君    苫米地英俊君       野原 正勝君    松井 豊吉君       松田 正一君    宮幡  靖君       川合 彰武君    佐藤觀次郎君       重井 鹿治君    中崎  敏君       細野三千雄君    松尾 トシ君       荒木萬壽夫君    喜多楢治郎君       山下 春江君  早稻田柳右エ門君       川野 芳滿君    内藤 友明君       本藤 恒松君  出席國務大臣         大藏大臣臨時代         理       大屋 晋三君  出席政府委員         経済安定政務次         官       神田  博君         大藏政務次官  塚田十一郎君         大藏事務官   平田敬一郎君         大藏事務官   愛知 揆一君         專賣局長官   原田 富一君  委員外出席者         大藏事務官   杉山知五郎君         復興金融金庫理         事長      北代 誠彌君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月二十日  委員大澤嘉平治君、松浦榮君、川野芳滿君及び  内藤友明君辞任につき、その補欠として、松井  豊吉君、野原正勝君、河野金昇君及び野本品吉  君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第三号)  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第四号)     —————————————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  まず復興金融金庫法の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を継続いたします。島田
  3. 島田晋作

    島田委員 私はこの復金の問題につきまして、同僚委員からも詳細な質疑がありましたので、なるべくダブらないように質問したいと存じますが、ダブりましたならばこの点はごかんべん願いたいと存じます。私はこの法案そのものよりももつと根本的な問題について、大藏大臣はおりませんから次官から伺つておきたいと思います。私どもはこの復金ができましたときに、たしか昭和二十一年でありましたが、復金法特別委員会がございまして、私もその特別委員の一人でありまして、当時の法案ができましたいきさつを若干知つておるものでありますが、当時から非常に心配したことが、今日このような姿で現われておるのであります。と申しますのは、あの法案にありましたように、この復金は三年間をもつて存続期間とする。もちろん一應という意味があつたと思いますが、大体三年の間に日本経済復興するだろうというようなお考えのもとに、当時の政府がこの復金法をつくられ、私どももそれを承認したわけであります。三年と申しますると、來年の秋になりますとこの復金存続が必ずや問題になると存じますが、そういう期間の問題を離れまして、このまま参りますと、復金というものが、たとえば來年度におきまして、北代理事長お話を伺いますと、電力の問題だけでもすでに五百億円という金を要する。その他いろいろな重要産業、要するに復金法の第一條におきまする意味融資というものがだんだんふえるのみでありまして、ただいま議題になつておりまする百億増資案ということは実は小さい問題であり、ほんとう枝葉末節の論であります。この問題の帰趨は別にいたしまして、將來どうする氣持か。こういう問題について、ひとつ政府のお考え伺つてみたいと思います。
  4. 塚田十一郎

    塚田政府委員 ただいま島田委員から復金將來を見通されて、まことに本質にさかのぼつた重大なる御質問がありました。私なども考え方といたしましては、まさに御質問のように考えておりまして、ともかく日本産業復興しなければならないという大きな考え方に基くとはいえ、國家資金をもつてある特殊の産業を援助して行くという形になつておるのであります。從つて少くとも今までのような復金運営を、今後も続けて行くということであれば、相当問題が將來に残るだろうと考えておるのであります。從つて先般來いろいろ本委員会審議でも申し上げましたように、この際改むべき点は最大限度に改めて、そういう点の懸念をなくして、なおこの復興金融金庫による融資制度を続けて行くことはやむを得ないのではないか。こういうふうに考えておるのであります。從つて從來のいろいろな改革案については、先般政府から一應の案を申し上げた通りでありますが、これはどこまでも一應政府考えておる案でありまして、これに対し本委員会において活發に御審議いただいて、適当な案があればお示しいただくことによつて、なお一層この改革案を実のあるものにいたして、それを実施に移して参りたい。こういうふうに考えておる次第であります。
  5. 島田晋作

    島田委員 私のお聞きしましたことは、多少ただいまの次官の御答弁と違うのでありまして、私のお聞きしましたことは、復金をどう改革するとかいう問題の手前の問題であります。復金機構をいかに改革し、またいかに運営りつぱにいたしましても融資の額がだんだんふえるのであります。もちろん回收ということも考えておられるでしようけれども、だんだんふえた場合のいわゆる復金インフレをどうして防ぐか。たとえば三原則によりまして、赤字融資はできない、赤字金融はできないというような場合にどう処するか。もちろん復金といたしまして、三原則を徹底する場合においては、融資しない、あるいはいろいろな原則從つて行動するというように、ガラス箱の中に入つた復金にいたしましても、日本全体の経済から見まして、インフレ高進からながめますと、このままにして行きますとインフレ高進になる。それでは復金にかわるべき金融機関をお考えになるか。あるいはあくまで復金という形において行い、復金の形を改め、運営方針改革して行くという線で行くのであるか。どこまでも復金存続して行くのか。あるいはそれにかわるべきものを持つて來るのか。そのお考えをお聞きしたい。
  6. 塚田十一郎

    塚田政府委員 日本産業復興將來を見通して行くときに、今まで復興金融金庫融資して來たのと同じ性質をもつた資金需要があるだろう。從つてそれをまかなうに復興金融金庫という制度將來も続けて行くか。他の金融機構考えるかということのお尋ねであるように承つたのでありますが、私の今の考え方からいたしますならば、將來そういう資金需要が続く限りは、やはり今復金がいたしておる他の市中金融でまかなえない種類のものは、やはり復興金融金庫でやつて行く以外に道がないのではないか。それにかわる適切なものを設けて、それによつて復興金融金庫でやる融資欠陷を是正し得る機関というものは、どうも私どもには考えられない。そこで日本産業においてそういう種類資金需要が続く限りは、やはり復興金融金庫というものによつてつて行かなくちやならない。そこでそれをやりますためには、今おつしやるように復金インフレというような懸念が多分にありますからして、政府も先般來赤字融資はしないといういわゆる三原則の線に沿うて、非常な嚴格な意味においてこれを規正いたしておる。こういうふうに考えておる次第であります。
  7. 島田晋作

    島田委員 ちよつと観点をかえまして、いろいろ改革の案は別といたしまして、復金をこのまま継続する。今の形の復金という方式を継続する。その場合におきまして私ども考えなければならないことは、ただ金融方面からのみ考えたのでは、うまく行かぬのではないか。というのは融資を受けました産業というのは、なるほど重要産業でありまして、復金法の第一條にあります通り普通銀行ではまかなえないが、しかしながら日本経済復興のために絶対必要なものに融資するというのが、復金法建前になつております。結局その産業あるいは企業というものが、日本産業復興のために不可欠のものである。しかしなかなか普通銀行では貸してくれない。そこに問題がありまするが、その場合において私ども考えまするのは、單に融資の面ではなくして受けるところの産業の面を考えなければ、この復金の問題は解決しない。これを具体的に申しますると、たとえば石炭に対して非常に多額の金を貸しておる。あるいはただいま問題になつておりまする昭和電工に対して、あるいはその他の肥料会社に対しても貸しておる。あるいは製鉄、あるいは電力、これらは全部日本復興のために絶対欠くべからざる産業であり、また企業でありましよう。その場合にその産業が現在のままの形態でいいのかどうか。先ほど次官のおつしやつたように、國家資金によつてまかなつているこの金庫の金が融資先産業が、ただ單に私企業の形にある。プライベート企業の形を持つている場合に、こちらは國民の膏血をしぼつているところの金でる。片方はプライベート企業形態を持つている。そこに非常な矛盾がある。その点につきましてどうお考えになつているか。伺いたいと思います。
  8. 塚田十一郎

    塚田政府委員 これは御指摘の点はまさにその通りなのであります。しかしさらに一歩踏み込んで考えてみますと、もし今御指摘のような問題を強く考えてみなければならないということであれば、石炭にいたしましても、その他の企業にいたしましても、この企業がもつと自由な形において行われている場合には、おそらくこういう問題は國家として取上げられないのではないか。今行われている形態自体がもうすでに相当程度、いろいろな意味において國家的な観点から規正を受けている。そういうことと両立して、そういうことの前提の上に復興金融金庫という形のものができて、そういうような事業國家的な観点からの融資をして行く。こういうように考えているわけであります。從つて過去の復金融資というものが、はたしてその線にぴつたり合つたものであるかということは、今後に向つて相当考えなければならない。全然自由なプライベート企業というような形になつているものにまで復金融資するということは、相当考え直さなければならないのではないか。こういうように私ども考えております。しかし今までやつておる鉄とか石炭とかいう基本産業に対して、復金の金を出す程度においては、やはり國家的な管理その他のいろいろな面の規制を受けている。こういうように私どもは了解しております。
  9. 島田晋作

    島田委員 私の聞き違いかもしれませんが、ただいま次官のお言葉の中に、言葉は違いますけれども、今までの復金融資がうまく行かなかつたことは、現在の融資先が自由な企業形態になつていない。むしろプライベート企業形態となつていないために、いろいろな不便があつたのだとおつしやつたのですが、そういう意味ですか。
  10. 塚田十一郎

    塚田政府委員 少くとも復金融資を受けておるもののうち、主要なものが相当程度に、そういう氣持が加味されておるのではないかと考えております。
  11. 島田晋作

    島田委員 その点が非常に問題でありまして、おそらく私ども民自党出身次官との意見の本質的な食い違いではないかと思います。ここで喋々と論じませんが、ただ單に社会党はイデオロギーの上で、あれは國営にしろとか國管にしろとかいうのではない。もちろんイデオロギーもありますけれども、むしろそれよりも実際問題といたしまして、こういうような問題を一番取上げなければならないと思います。かりに過去のことは除きまして、來年度電力に対して五百億の金を貸すという場合に、これは強力に國家管理國営にしなければ成立たないので、これをプライベートにしまして、なるほどもうかれば八百億でも千億でも貸すというお考えは、民自党にはそういうお考えもあるでしようが、それは実際上成立たない。現に復金の金というものは國民の金である。そうすればやはりこの対象となるところの融資先というものが、金融面と対應したところの産業形態を持つことになる。つまり復金というものは、皆様金融國家管理を非常におきらいになつていらつしやいますけれども、現に復金國家管理になつております。現実國家管理なつ金融機関と、その最大融資先であるところの産業というものが、相應じたところの形態を持たなければ、そこに非常に矛盾が起つて來る。現実矛盾が起つている。復金自身はなるほど復金債を募集しまして、市中銀行なりその他から應募せしめ、足りないところは日銀が引受けてやる。昔の赤字公債かわりはないと思いますが、そういう形で復金自身は成立つかもしれませんが、國民経済は成立たないのでありますから、問題が起る。從つて受けるところの融資先産業形態が、それに即應したところの形態を持つ。たとえば石炭につきましてもわれわれの國家管理というものは、皆さんの反対によつてゆがめられたるところの換骨奪胎のようなものになつておる。また肥料國営論もありましたが、未だにこれが何ら実現されていない。製鉄は今度形をかえまして、集中排除法関係がありますが、その他電力につきましても別な方向——どもが当然あるべしという方向違つた方向へそれつつある。それはそれ自体においてはそうであるかもしれませんが、復金という面から見ると、非常にそこに矛盾したものがある。これにつきましては次官のお考えはもう御答弁でわかつておりますから、はなはだ恐縮ですが、北代理事長のお考えを伺いたいと思います。
  12. 北代誠彌

    北代説明員 今島田委員からお尋ねの件でございますが、私たちの今の立場からいたしまして、政策的に、あるいは方針とかいうような大きな立場から、私の意見は述べられないのでありますが、ただ金融立場から申し上げれば、ただいま島田委員が御指摘になりましたように、電氣開発計画が五箇年で二千何百億円というものが、いろいろ議論されております。來年度にさしあたり五百億、そのうち民間と申しますか、これは電力開発についてもいろいろ政府も御方針があると思いますが、民間でやるのが私の伺つておりますのが、百五十億、発送電関係でやるものが三百五十億というような記憶でありまして、これは実は私の方といたしましては、今の発送電にそれだけの融資はなかなかむずかしいということで、実は私の方から申しまして復興金融委員会に申し出て、復興金融委員会でその意見を取上げてくれまして、この開発企業形態については、政府において急速に考慮してほしいということを申し出ております。現に発送電関係の当事者もこの開発計画を自分にやらしてくれるのか、あるいはどういう企業体でやるのかということを早くきめてくれとかいうことを、発送電当局自身も申しておるような次第でございまして、これは非常に大きな問題で、私が意見を述べますよりも、各政党で間で御決定いただく問題であろうと思うのであります。
  13. 島田晋作

    島田委員 ただいまの北代さんのお話を承りましたが、これにつきまして大藏次官のお考えを伺いたいと思います。
  14. 塚田十一郎

    塚田政府委員 理事長といたしましては、おつしやつたようなお立場で、それ以上は申し上げられないということは、私も当然であると考えるのであります。先ほども島田委員のいろいろなお話伺つておりまして、私どもと別に考え方基本は違つておらぬと、私どもは思つておるのであります。繰返して申し上げますけれども、これは自由企業ならば何も復金の金を出す必要はない。しかし石炭にいたしましても、電力にいたしましても、私どもほんとう自由企業になつておるとは考えておらぬのでありまして、たとえば金の点においての制約がありましたし、いろいろな点においてとにかく相当程度制約が加えられておる。そこでそういう産業に対してこういう金が相当大規模に出る。こういうことになる。ですからたとえば國家資金が出る場合に、相当事業に対して管理を加えたらどうかというようなお考えが、結局基本にあると考えるのでありますが、まさにそういうように私ども考えておるのでありまして、野放しにはこういう金を出した事業を放つておかれない。しかし今のところ一應あの程度のものにこの程度の形で金が出るということは、そう今の根本の考え方から矛盾するものでないと私ども考えております。こういうような考え方である。
  15. 島田晋作

    島田委員 別に私は次官と論爭するわけでありませんが、別に基本的な考えかわりはないということですが、違うのであります。ということは、次官のお考え自由企業のならば復金のような特殊の金融機関から融資する必要はない。その点はわかる。しかしながらあなたのお考えの中には、そういうあるいは石炭なりあるいは肥料その他を、自由企業に持つて行きたいという意図がある。私どもの方はもつと國家管理なり國営にしたいという考えがありまして、これはお互いの立場の相違でありますが、基本的の考え方が同じだととられては、こちらも迷惑だし、あなたも迷惑だと思う。その問題はそれだけでありますが、問題は次に移りまして、今度は復金機構改革、あるいは運営方針というものにつきまして、おそらくここにおられる川合委員からも、詳細なる御質問があるかと思いますが、私の承りたいことは、私ども党といたしましてはこまかいことは申しませんが、融資をする場合に、決定方法をやはり復金の責任によつてつてもらいたいことと、監査を法制化した組織でやつてもらいたい。こまかいことはきようは論じません。それにつきましてこの前からいろいろ政府からも参考的に意見が出ておりますが、そういう参考意見も、内容につきましては將來のことでありますからここで論じませんが、少くとも、解散がなければ休会明けになつて解散があれば次の議会において、ほんとうに法制化して出す御意思があるかどうか。これを承りたい。
  16. 塚田十一郎

    塚田政府委員 御指摘の点は政府におきましても、もうすでに相当程度改革の草案を得ておる次第でありますから、さらに最終の決定を見ます前に、本委員会の御意向も伺いたいという氣持ちもありまして、今日までこのまま延び延びになつておるのでありますが、本委員会におきまして、今回の御審議の経過によりまして十分御意見を伺えておりますから、そういうような御意見も新たに盛り込みまして、法制的の措置を必要とするものは、これは少くとも次の会期におきまして必ず出します。また今考えております改革案の中には、法制的な措置を必ずしも必要としないものがあるのでありますが、そういうものはまたそれぞれの適当な措置によつて、早急にこれを実現して参りたい。こういうように考えておる次第であります。
  17. 島田晋作

    島田委員 法制的措置をなさるという御言明に対しまして敬意を表しますが、たとえば私ども考えておりますのは、この復金法の第六章の第三十一條報告檢査の條でありますが、この條項のうち、あるいは他の條文でけつこうでありますが、管理するということ、要するに回收が不能になるとかあるいは相手の産業、貸した先の産業が経営が不良である、あるいは回收不能だというような場合に、債権者であるところの復金というよりも、國家事業管理するというような條項を入れてなさるところの御用意、あるいはそういう御意向があるか、お伺いいたします。
  18. 塚田十一郎

    塚田政府委員 金を貸し出しました場合に、その貸し出された先が、事業がうまく行かなかつた場合に、債権者立場として、債務者である事業者事業をいろいろと相当程度に、内容的に立ち入つて管理をするということは、民間にも必ずしも例のないことではないのであります。ただ復興金融金庫が出しました金につきまして、ただいま御指摘のように、國家立場からこれをするか、あるいはまた復金立場からこれをさせるかというようなことは、相当これは私どもとしても愼重に考えなければなりませんので、まだそこまでは確言は申し上げかねますが、しかし普通に常識的に考えましても、やはり借りた会社がうまく金を運営をしておらないという場合には、これは少くとも復金の手を通じて、相当程度事業内容について管理をして行くというようなことは、ぜひ必要であるのではないか。こういうふうに考えております。
  19. 島田晋作

    島田委員 あとでまた若平質問いたしたいと思いますが、きようは私の質疑はここで打切つておきます。
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 復金は前からいろいろな問題がありまして、同僚川合委員からもいろいろ詳しい質問があつたと思いますが、非常に問題になりますのは、御承知のように昭和電工事件が起きてからも、一般國民の疑惑の的になつておりますけれども、今貸出しの方法において、なかなか実際思うように行かない。ただ問題は、中小工業やあるいは農業方面、そういう方面にこの金が実際貸し出されるかどうか。そういう点について、ひとつ復金理事長の方から御説明を願いたいと思うのですが……。
  21. 北代誠彌

    北代説明員 復金貸し出し融通先農業方面、あるいは中小工業方面に向いておるかというお話でございますが、詳しい数字は、先日提出いたしました書類にあると存ずるのでございますが、私たちのごく抽象的に考えております点を簡單に申し上げますならば、御承知のように復興金融金庫は、できました当時の事情から申しまして、主力工業——工業基礎産業に置くということになつております関係上、農業あるいは中小工業にまわします金が、金額におきましては、パーセンテージと申しますか、それは多くないのであります。もつとも融資先の数から申しますれば相当な数に上ります。八割ぐらいを占めておるかと存ずるのでございますが、金額から申しますなれば、今御指摘のように、わずかのものであると存ずるのであります。ことに農業の長期の金融につきましては、終戰以來預金部資金というものもなくなつております関係上、非常にきゆうくつになつております。それで御承知のように、先般の國会におきまして、農業漁業復興資金につきまして、私の方から四十億の金を農林中金に出しまして、それで來年の三月まで、本年度は世話して行くという建前になつております。  それから中小金融につきましては、四半期に私の方で八億の金を出しまして、もつともこの八億と申しますのは、二百万円以下でありますが、これを各代理店に選考をさす。それからあと私の方で保証をいたします分は、四億五千万円ぐらいであります。これで中小金融に應じて行くことになつておる次第であります。  なお、私の方といたしましては、主力基礎産業に置いています関係上、中小の方に対しましては、注意をいたしておるのでございますが、なお中小金融につきまして、親切が足らないという御批評をこうむつております。私個人の考えといたしましては、中小はやはり中小の特別の機関なり、あるいはファンドをこしらえていただくことが、よいのではないかという考えをもつておりまして、現に金融制度全般的改革におきましても、そういう問題を取上げて、中小金融につきましては特別のファンドなり、特別の機関を設けるかということが、議論せられておるように記憶しておる次第であります。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点お伺いいたしたいのは、実はこれは今の復興金融金庫の責任ではありませんが、最初のときにおいて、復興金庫から金を借りれば、これは返さぬでもよいのだ、ただもらつたようなものだという声が、非常に一般に瀰漫しておりまして、從つてたまたまそれと関連しまして、今度の昭和電工事件が起きたものですから、復興金融金庫に対する國民の怨嗟の声は、ちまたにあふれておると言つてよいほど、新聞、雜誌を見てもらえればわかりますが、そういうような情勢になつております。その点について、実際は貸し出した方面回收が、これは設備資金でありますから、そう簡單には行きませんけれども、たまたま今までの最初のスタートが、そういう関係で惡かつた関係上、結局むだな方面にたくさんの金がだんだんつぎ込まれて、泥沼に足を突込んだように、どうにもこうにもならぬような、そういうような節があるのではないかというような考えもあるわけであります。そういう点において、実はわれわれも、実際そういうことがないようにたびたび注意して、復興金融金庫の貸出條件について、何かよい案があれば、適当に練つてもらつて、そういう点についての何かの名案があれば、こういうような世間の疑惑の点も解消すると思いますので、そういう点について、一体回收方法はどんなように行つておるか。それからこういう方面についての今までの不良貸出しのような問題は、どういうように処置されておるかという点について、ちよつと御説明を願いたいと思います。
  23. 北代誠彌

    北代説明員 ただいま御指摘回收の点でございますが、これも貸出しは最近になりましてだんだん多くなつて來ております。昨年この増資を御審議願う当時の回收は、あまりよくございませんでしたが、最近におきましてはだんだん回收はふえております。現実に具体的の例を申し上げますれば、國会でも問題になりました兵器処理委員会、あの貸出しも、政府に財政支出をやつていただく関係から、この年末までには一億一千万円の貸出しも回收できると思います。それから住宅営團、これにもむりな貸出しをしておりましたが、これは多分二億ぐらいあつたかと思いますが、これも四十万ぐらいの貸出しは回收できるという見込みがついております。  説明はさかのぼりますが、復金の金をもらつたというような感じを與えておるというお話でございますが、私たち融通する方から申しますれば、決してそういう感じを與えるようなことはいたしておりません。御承知のように石炭赤字につきまして、これは業者から申しますれば、非常に借入金としてはむりな借入金でございましようか、われわれといたしますれば、政府の補給金なりあるいは價格に織り込んでいただく、というような見込みの償還資源を踏みまして、貸し出しておる次第でありまして、私の方から補助金なりあるいは補給金を交付するというような考えで、毛頭貸し出してはおらないのであります。その点御了承願いたいと思います。
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは塚田政務次官にお願いしたいのですが、この前おそらく川合委員からいろいろお話があつたと思いますが、復興金融金庫に対する現在のような貸付でなくて、新しい何かの腹案があつて、今までの弊害を除くような原案を、政府当局がお持ちになつておるかどうか。この点を拜聽いたしたいと思います。
  25. 塚田十一郎

    塚田政府委員 政府の持つております改正案に対する腹案は、先般來委員の方のお手元にお届けしておるように私は記憶しておりますが、お手元にまだ配つておりませんか。
  26. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 政府の方の参考資料を今初めてもらいましたからまたあとで……。
  27. 本藤恒松

    ○本藤委員 第四國会提出資料ですが、これは十二月の調査表を見ると、政府の支出が計二百五十億となつております。片方の日銀の引受け総額が三百二十五億五千八百六十五万。それから市中が四百六十五億四千百三十五万、こういうふうになつておりますが、これでは約一千億のちよつと上あるのですが、どんなような状況になつておるのですか。この日銀と市中との政府支出の度は現在どうなつておるか。この表ではちよつとわからないのですが。
  28. 北代誠彌

    北代説明員 ただいま御質問になりました復興債券消化状況でございますが、これはお読みいただいたように日銀が三百二十五億、それから市中が四百六十五億、これに政府の出資が二百五十億ございます。これだけが十一月末におけるわれわれの方の資金の全体でございます。それに十二月に債券を今四十億出しまして、この二十六日に四十億また出したいと思つております。そういたしまして結局のところ百二十七億ぐらいの余力を持つことになつて、第四・四半期に入るはずでございます。
  29. 川合彰武

    川合委員 この前今回の増資に関連して、第四・四半期の資金計画のもう少し具体的なものを出してもらうように、銀行局長に依頼しておきましたが、まだ出ていないのです。それでこの前いただいた資料では單に一般産業に幾ら、あるいは公團に幾らというような概括的のものでありますから、もう少し具体的な資料と同時に、五百万円以上の借入れ申込みというものは、すでに復金に申込みが出ておるのじやないかと思いますから、五百万円以上の大口申込みの会社名と申込み金額、社長というようなものを、至急にひとつおつくりになつていただきたいと思います。
  30. 塚田十一郎

    塚田政府委員 どうも御要求をいただいた資料が一向手元に届いていないようで、まことに恐縮いたしておりますが、早急にお手元にお配りいたします。それから新たに御要求を受けました五百万円以上の申込みにつきましては、これはもちろんお届けいたしますが、ただ支所所管で扱つておりますものにつきましては、早急にとれないものが若干あるかと思いますので、一應復金本部で取扱つているものだけお届けいたしたいと思います。
  31. 川合彰武

    川合委員 けつこうです。
  32. 本藤恒松

    ○本藤委員 それはちよつとおかしい。それは復金だけでなく、勧銀、北海道拓殖、興銀などはすぐわかるのではないですか。
  33. 塚田十一郎

    塚田政府委員 ただいま本藤さんの御指摘の点、それは大阪でありますとか名古屋でありますとか福岡でありますとか、そういうところは電話でもやれば一両日中に集まらないことはないのですが、そのほか勧銀、興銀などの代理店などで扱つておりますもので、大口のものも相当あるのでありまして、そういうものは短時日の間には、御指摘のようにはなかなか参らないと思います。
  34. 本藤恒松

    ○本藤委員 とにかくできるだけやつていただきたい。
  35. 塚田十一郎

    塚田政府委員 承知いたしました。決して作為をもつてそういうことはいたしません。最大限に集まるものだけを早急に御提出いたしたいと思います。
  36. 堀江實藏

    ○堀江委員 ちよつと復金理事長の方に一点だけお伺いいたしたいのでありますが、復金の貸出し方法は一年とか半年とか期限があつて、その期限が來たら返済するのではなくて、証書だけ先へ書きかえるというのが多いということを聞いております。しかしそれにしても事業の実体などからして、回收不能のものが相当あるのではないかと想像されるのですが、復金当局としてどのくらいの金額回收不可能であるか、その見込みがわかればお伺いしておきたいと思います。
  37. 北代誠彌

    北代説明員 ただいま御質問の点でございますが、先ほどもちよつと申しましたように、たとえば兵器処理委員会、これが一億一千万円くらいございますが、これも政府の財政支出の方から入つて來る。それから住宅営團、これが二億ございますが、これもずつと延滯いたしております。これは最近一億四千万ばかり入つたというようなことで、まつたくとれないように私の方で断定してしまうことは、なかなか現在の経済事情からいつて困難であります。それで一應推定いたしますと、ただいま出ている数字は六、七億くらいではないかと私は推測するのですが、ただ機械的に延滯をしている、期日に入らないというようなものでも、これは手続の関係で、たとえば手形が書きかえられなかつたというようなことがございまして、期日が來て書きかえてないから、これは延滯でとれないものだというようには認定できないものでありますから、そこにわれわれといたしましては、それがとれないのが幾らかということを、はつきり申し上げることができないことははなはだ遺憾でございます。
  38. 堀江實藏

    ○堀江委員 われわれが一番聞きたいのは、今一番大きな問題になつております昭電の問題にしましても、二十何億、三十億に近い金が貸してある。しかもその金の中からああした事件を生んだいろいろなコミッションとか、手数料とか、謝礼ということで支出されておる。昭和電工自体としてその金が使われていないことはもちろんであります。昭和電工会社の例をとつてみても、会社としてのいわゆる設備なり財産が、それを支拂い得るだけの力が今あるかどうかということについて、どういう御見解を持つておいでになりますか。
  39. 北代誠彌

    北代説明員 ただいま具体的に昭和電工の例をおとりになりましたが、昭和電工の今のお話は、私たちもまだはつきりつかんでおりませんが、不正をなした事実、これは私の方は大部分は設備に出しております。それで私の方の出した金が大体設備に行つておるということは言えると思うのであります。それから赤字に出しております。これは昨年の秋から暮にかけまして、配電が減少いたしました関係から赤字が出ておつて、これの運轉資金を出したことがございます。この金はおそらく私の方といたしましては、先方に行つてどういうふうに使われましたか、これを監査いたしましたけれども、はつきりつかむことはできません。なお御了承願いたいのは、昭和電工には肥料代金というものが毎月ございます。これが月に今まででございますと四億くらいの金が出入りしております。こういうのが自由に使える金でございますから、はなはだわれわれとして責任を逃れるような言い方かもわかりませんが、私の方の金が直接不正に使われたというはつきりした事実は、ないじやないかと思つております。それから昭和電工が今二十何億出しておる金でございますが、御承知のように昭和電工はあそこへ二十五万トンの大きな計画をいたしまして、この回收金というものは、結局あそこで仕事をいたしましたその賣上げの利益で返す。これが経済の常道であります。ただいまの昭和電工の状態から見ますと、今電氣がございません関係から、いまなお非常に金がきゆうくつで困つております。けれどもこれが豊電になりますれば、六月ごろでありましたか、一万五千トンくらい出たことがございます。もしも電氣が順調に行きまして、月に一万五千トンも出るということになれば、金が返つて來ると私どもは信じております。現にただいま昭和電工が年末を越しますのに非常に苦しんでおります。その金をどうするかということを今いろいろ檢討しておりますが、一部は市中で出すとか、一部は私の方で補償でもつけようか。補償でもつければ市中でも出すということで話が乘つておりますから、今の昭和電工に対する貸金を今返せということは、これは返せないと思います。昭和電工が見込み通りの生産を続けて行くならば、その金は返ることだと信じております。
  40. 堀江實藏

    ○堀江委員 大藏政務次官にお伺いしたいのでありますが、ただいま二十四億か三十億近い金が昭和電工に出ておる。なお資金が非常に多く需要される見込みである。大藏当局としてそうした問題——もちろん昭和電工は個人の営利会社であります。営利会社が資本金の何倍の融資を受けて、その事業を経営して行くかということについては、大藏省の監督といいますか、どのくらいの限度で、資本金の何倍くらいまでの融資を受けてやつてよいとか、何とかということがあるのではないか。あるとすればそれを越えていないかどうか。すなわち昭和電工がもつと大きな設備がやつたら、昭和電工自体で自分の資本金を増すという行き方が正しいのではないかと考える。資本金が足らないから融資を受ける。しかしそれは何倍くらいまで認むべきであるかという政府の御見解を、お聞きしたいのであります。
  41. 塚田十一郎

    塚田政府委員 ただいま御指摘の点は全然基準がないわけではないのでありまして、御承知かもしれませんが、大体自己資本というものは、今復金で出しますのは設備資金がおもでありますが、少くとも三割程度はあるようにということを、一般の基準として大体慫慂いたしておるわけであります。ただ特殊な産業につきましては、必ずしもそういう基準に行つておりませんが、そうして將來、先の長い問題といたしましては、だんだんとそういうものを單に利益からだけ返して行く考えではなしに、一部資金に繰りかえさすという考えを持つております。ただ今日の証券界の情勢その他で、今の昭和電工のような場合には、必ずしもその基準のように行つておりませんけれども考え方としては大体今申し上げるような考え方でおるわけであります。小さいものなどについては、自己資本を三割ぐらいはもどすという大体の基準でやつておるのでありますが、大きな特殊のものについては、先ほども申しましたようにそうばかり行きかねるものがあると思います。そういうものは將來考え方として、どれくらいの自己資本を持たせるかという御質問があるかもしれませんが、そこまではまだ今日では具体的に考えがまとまつておりません。
  42. 堀江實藏

    ○堀江委員 三割といいますと、運輸資金設備資金を加えたものの三割の自己資金というものですか。
  43. 塚田十一郎

    塚田政府委員 御承知のように復興金融金庫は、設備資金でなければ金は出さないという建前にしておりますので、設備をいたします場合の少くとも三割くらいまでは自己資本でまかなう。こういう話であります。
  44. 川合彰武

    川合委員 今昭和電工の話が出ましたが、これは復金の増資のたびごとに、本委員会において問題になる事項であります。そこで私からこう申す必要もないと思うのでありますが、これはしかしわれわれは、同時にまた政府としても考えねばならぬ点であります。と申しますのは、こういうような特殊の金融機関が、非常に融資先の資本金の十数倍に上るような資金融通をするということは、これはまつたく例外であります。なぜそこで昭和電工なら昭和電工に、そういうような例外的な貸出しがあるかということを、この機会にわれわれは明瞭にしておく必要があると思います。これは御承知の方もあろうと思いますが、昭和電工の拡張の際には、昭和電工自体に金を貸すというような方法をもつてすることなく、産業復興公團をして代行せしめる。そして復興金融金庫産業復興公團に金を出すというような形体をもつて、やるということになつておつたようでありますが、この点は不当財産取引調査委員会における証言の速記録を見れば明らかであります。かつまた支出があつたようであります。ところがなぜ現在のような問題を生じたかといいますと、これは速記にも出ておると思いますから言いますが、当時の司令部のアンチトラスト課長のザイビュラ中佐ですか、とにかく昭和電工関係者との間に、知らぬ間に昭和電工が直接やるというようになつたところに、いろいろ問題があつたようであります。そのこと自体が一つの問題であると同時に、私どもは先ほど島田君の言われた通りに、肥料農業というような現下重大な産業であつたにしても、私企業に対してこういうような資本金の十数倍というような貸出しをしたことが、世間の疑惑を招く原因をなしておる。そこでわれわれとしてはこの融資の実際にあたつて、もつと合法的に考える必要があるというように思うわけであります。これらに対しては、われわれの立場と、政務次官の現在の政党人としての立場とからは、若干違う点があるようでありますが、とにかくそういうようなことが途中から歪曲されたために、昭和電工というものがいろんな疑惑を持つて見られたという点は、深く政府においても考えておく必要がある。このことを特に私は強調して、今後におけるところの復興金融金庫の貸出しにあたつて——ことにこれは今後復金が先般のお話のように、一應改組されるというような場合においては、復金理事長の自主的な責任ということが、相当に大きく浮び上るわけでありますので、北代理事長の今後の手腕に大いにまちたいということを、特に申し上げておきます。
  45. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 愛知銀行局長に簡單にお伺いしたいのですが、今の復金の実際の実情、現在の金のあり方ですね。どのくらい今窮迫しておるかという実情を、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  46. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 お答えいたします。先般も御説明いたしたいと思うのでありますが、実は第三・四半期にいろいろの関係から、資金計画の上では、融資をすることに決定をしておりましたものが、実際はそれだけ出ておりませんので、これを具体的に申しますると、第三・四半期に約三百億の復金融資をする予定で、総合的な全体の計画も含まれておつたのでありますが、おそらく十二月末をもちましては、百七、八十億の融資にとどまるであろうと思います。これは必ずしも三原則とか、最近の九大原則の思想から來たのではなくて、主として手続上の原因から來ておるのでありまして、復金融資ほんとうに適切に、かつ資金を必要とするところへ入らなければならないということで、一例を申し上げますと、ひもつき融資を九月から非常に嚴重に励行しております。つまり資金のむだがないようにということを重点といたしております。そのためには、非常に各関係金融機関、借入業者の方にも非常な手続を要しますので、そのためにずれておりますものが相当ございますが、ようやく最近このひもつき融資は收縮いたして参りました。それからいま一つはどういう関係であるか、私どもよくつまびらかにいたしませんが、特に石炭関係の設備の改修保全等についての計画について、制限会社、そのほかの関係によるところの事業自体の認可が、関係方面の手続が遅れまして、そのために当然いる金と思つて用意しておりましたものがずれております。そういうような関係がございますので、私どもの見方では、実は明後日通貨発行審議会を予定されておるのでありますが、通貨発行審議会の基礎案にもなつておりますものは、一月から三月までに復金資金は二百億所要である。二百億はどうしても所要であるという計画が出ております。ところがそれに対しましては、年末から年初にかけまして、貸し得る金は約百二十七億程度に現在予想されております。でありますから二百億はどうしても必要である。ことに第三・四半期からの繰越しというものが、予想されておるような場合でありますから、三原則あるいは九大原則を強行する、せぬにかかわらず、第四・四半期にどうしても二百億は必要である。それに対して百二十億の余裕しかない。正確に言えば七十億ないし八十億がどうしても第四・四半期の分として不足になる。こういうような状態になつておるわけであります。
  47. 本藤恒松

    ○本藤委員 復金の中ではむろん貸付には第一部長とか、第二部長とか、第三部長とか、順々にみなその関係の部があつて、なお調査もいろいろ機関上あると思いますが、一体こういつた設備資金は、何ら調査も監督もしないで、一應委員会決定すれば、それは何も使い道はかまわずに出すものであるか。それとも一應そういう中の機関で調査したり、設備の状況なり、またこれはかりに昭和電工の話が出たから、昭和電工を例としてお聞きしますが、川崎工場に十系列をやるとすれば、やるということだけで、できてもできぬでも計画だけで何とか川崎に十系列に要する金を、出すだけはどんどん出すのですか、どうですか。
  48. 北代誠彌

    北代説明員 ただいま貸出手続についての御質問が出ましたので、私からお答えいたします。私の方の融資はただいま御指摘になりましたように、審査部と申しますか、それから各代理店代理店にそれぞれ專門家がおります。これが現場を現実に見て、しかも先方の意向と、あるいは生産能力あるいは資材の割当とかいうようなものを見比べて、あるいはその商品の一般的需要の傾向を考えまして、一々設備をこちらの方で切つたり、あるいはまたそれを補充さしたりすることがございます。大体は圧縮をして、現物を見て貸し出しておりますが、ただ御承知のように石炭、これが全國に五百くらい山がございます。これは私の方の代理店機構をもつていたしましても、あるいは審査部の機構をもつていたしましても、なかなか代理店を見ることができません。見るように指導はしておりますが、見れませんので、これは御承知のようにせつかく地方に石炭廳の地方局がありますから、それで石炭廳から正確な数字をいただきまして、石炭廳はこれを現物で一々檢査しておるはずでございます。これの資料に基いて私の方でまた先ほど申し上げた資金需要の時期、あるいは資材の割当というようなものを勘案して、これを圧縮して融通しておりますから、石炭の山も多少われわれから見て問題になるような山は、実際に見て貸しております。原則として石炭山は石炭廳の資料に基いてそれをもとにして貸しております。
  49. 本藤恒松

    ○本藤委員 そういうとわれわれますますおかしくなるのでありますが、これは不当財産の方でわれわれよく聞いておりますが、昭和電工の川崎工場に十系列の機構を設備すれば、川崎の割当電力全部使つても、十系列の電力のないことははつきりわかつておる。そういう無法な計画を調査して、金を出したものであるか、ないかということを、実際いろいろこれは理論的になるとおかしいことになりますが、とにかく何か政治的に資金が動いておるように見えて、われわれは復金に対しては非常に疑惑を深めておるのですが、幸い昭和電工の話が出たから言うのだが、昭和電工の問題はほとんど調査も監督もなしでおやりになつたように、われわれには実際受取れるのですが、この際ひとつ昭和電工のことに関して、金を融通する当時の明細な資料、申込み、いろいろ材料があるはずだから、これを出していただいて、皆のものにはつきりさしていただいたらどうか。これは天下の非常な大きな問題になりますから、むろんこれは大藏委員としても一應檢討して、天下に発表した方がいいと思いますが、いかがですか。
  50. 北代誠彌

    北代説明員 ただいま昭和電工融資の手続について御質問がございましたが、御承知昭和電工の川崎工場を計画いたしましたのは終戰直後のことでございまして、電力が非常に余るであろうというそのときの空氣のもとに、あれは計画を立てたものと私は推測するのでございます。と申しますのは、あの昭和電工を含めました肥料の國策をどうするという問題は、これは当時の政府が國策として取上げまして、どこの工場はこうだというふうな割当の計画があつたと思います。その一つとして昭和電工のあの計画が、終戰直後に立てられたわけでありまして、今私たちが冷やかになつて考えてみますと、今御指摘通りに、あそこに電力現実に足らぬじやないかというお話でございまして、私たちもごもつともに思いますけれども、あの昭和電工の計画を立案した当時には、肥料が足らないというようなことの痛切な要求がありました。その要求に基きましておそらく関係筋も大いに計画を推したのだろうと存ずるのでありまして、今からこの電力の足らなかつた現実にふり返つてみますと、今お疑いのことは確かにあろうと思います。あの設備自体はわれわれもたびたび行つて見ております。おそらく私以上に商工省の関係部局は、あの計画自体については詳細に檢討しているのでございまして、その商工省の檢討と私の方の調査と打合せました上で、融通している次第であります。
  51. 本藤恒松

    ○本藤委員 それではなおおかしく聞えるのです。そういうことを聞けば聞くほどますます不思議になるのですが、終戰後肥料の増産が必要だから、二十一年度に計画したというのはけつこうですが、しかし電力の問題は昨年は非常に惡く、昨年の夏は日本で一番困つておつたときです。そうするとますますおかしなことになりますね。二十一年に昭和電工に金を出したのならよいが、去年の電力の一番少いときに二十六、七億ばかりの金を出したということになると、ますます不可解になります。昨年は電力が一番不足している。その昨年の計画はおかしなものになるのですが、どうなんですか。
  52. 北代誠彌

    北代説明員 今のお話の計画でございますが、計画は小さく区分した計画ではなくて、大きな二十五万トンを出すという計画に基いて、私どもは融通しているのでございますから、それを区切つて計画を立てるということはできないのでございます。実際のところは川崎工場全体に電氣が何と申しますか、予定の二分の一來るから計画も二分の一だ、四分の一來るから四分の一の計画でとめておくということは、工場建設の技術方面から私はできないことと思うのであります。
  53. 本藤恒松

    ○本藤委員 昭和電工の問題は、話出したのは昨年の夏ごろからと思うが、その計画は年度々々でやるんでしよう。一應安本なり商工省で計画を立てるというのは前年にやるんでしよう。そうすると安本にそういう計画があつて、あの十系列の計画を立てられたのかどうか。商工省と安本で一体いつそういう十系列の計画を立てられたのか。二十一年であるのか。それともどの内閣であるのか。もしこれがわかつたら——大きな問題であるからそのくらいのことはお知りだと思うが、どの内閣でいつごろやられたのか。
  54. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 昭和二十一年九月七日に関係方面の許可を得まして、資金調整法の許可は昭和二十一年九月二十一日に受けております。
  55. 本藤恒松

    ○本藤委員 これはわれわれただ銀行局長や理事長から聞いたのでは納得できないから、一應全部安本なり商工省の計画、資金の出ておるのと、工場の実態というような資料をすつかり出していただいて、天下に明瞭にさせたらどうですか。もしそうでなければ復金の金というものは將來問題になりますから……。
  56. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ちよつと私からお答えいたしますが、御承知のことと思いますが、昭和電工問題は私自身も不当財産委員会で、三時間にわたつて証言したことがございます。一切人力において盡し得るものは、誇張をお許し願えるとすれば、ほとんどその当時私どもあるいは理事長から——当初のときは在任いたしておりませんが、すつかり資料を檢察当局にも出しております。不当財産委員会にも出しております。御必要であれば、これは実は私などからは説明いたしかねるような部分が技術的にございます。商工省なり、農林省、安本あるいはすでに退官された人あるいは会社の首脳部、全部から詳細にお聞き取り願いたいと思います。私どもとして現在の担当官として集め得るような資料は全部ございますが、ただ印刷をするにも相当時間がかかります。すでに出したもので御利用願えれば幸いでございますが、さらに御必要ならば資料はいくらでも出します。まつたく私どもとしては一つとして隠すところなく、ありのまま御説明しておるのでありまして、今日この段階においても、何か私どもに御説明が足らないところがあるように御質問をいただきますのは、私どもとして非常に残念に思います。
  57. 本藤恒松

    ○本藤委員 昭和電工は不当財委でも取上げ、日本全國、檢察当局の問題になつておりますから、それを言うのではないが、今後復金に対する融資方法に対して、昭電に似たような一つの行き方で許可をして行つたならば、大きな問題になる。なお私は復金の性格をよく言うのですが、佐藤委員からも出ておりますが、國民一般が、実際復金の金というものは設備資金で借りたものは、政治的に大きな資金を使つたもので、もらえるものだというような考えで、借りるものの頭よりも、國民の方にそうだという印象が一般的に強い。これはいろいろの影響がある。かりに一言でいえば、昭和電工の株を買う。政府から二十何億の設備資金をもらつておる。設備資金の金が大きいから、將來あの会社というものはおもしろいというので、株の投機をあおつておるというような点がある。あえて昭和電工の問題で政府とか人を責めるのではないが、復金將來の問題に対して、今後いろいろの点から、ここで切りかえてもらいたいと思うから、そういう質問をするのであつて、そういう意味で申上げたが、あえて昭電のことのみで追究するのではない。それについて將來のこともあるから、商工大臣にも承りたい。掘りさげれば安本長官にも聞きたいが、一應常識的に大藏大臣將來運営について聞きたい。こういうのであります。私はあえて昭和電工にむりに食い下がるのではありません。
  58. 塚田十一郎

    塚田政府委員 いずれ御希望でありますから、大藏大臣に当委員会に出ていただきまして、お答え申し上げることにいたしますが、ただいま本藤委員のいろいろ御指摘の点、昭和電工が事実そうであつたかどうかということも私全然承知いたしませんが、少くとも今日の状態及び今日以後の状態といたしましては、復金の内部機構といたしましては、先ほど理事長からいろいろお話がありましたように、必ずこれは事務的、良心的に相当詳細に各般の資料を集めて、納得の行くものでなければ出しておらぬはずであります。それから政府の側におきましても、御承知のように、復金の金を借ります場合は、必ず関係各省が全部一應意見を出して、そうしてその出た意見の総合判断の上に、これは出してしかるべき金であるということにならなければ、これは出ておらぬのであります。そのためにまた復金の金を借りるのに、非常にひまがいるというような御非難もあつて、弱つておるのでありますが、そういう意味において今日の状態及び今日以後の状態におきまして、先ほど御指摘のように、計画に実現性がないものに、一應書類の上だけ整つておれば金を出すというようなことは絶対にない。こういうことは申し上げられると思うのであります。
  59. 堀江實藏

    ○堀江委員 それからもう一つ復金の方にお願いしておきたいのですが、なるべく早い機会に、昭和二十三年十二月の第四國会提出参考資料の一番最後の諸勘定残高表の説明書を、いただきたいと思うわけであります。われわれしろうとでもわかる部面もありますが、わからぬ部面もありますので、この説明をひとつあすにでもお願いしたいと思うのであります。
  60. 島村一郎

    島村委員長 ほかに御質疑がないようでありますから、暫時休憩いたします。なお再開いたします時間は七時から開きますから、さように御承知を願います。     午後六時三十二分休憩      ————◇—————     午後九時八分開議
  61. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  先ほど復金の問題につきましては大臣の御出席を求められておりますけれども、大臣はただいま支障がありますので、しばらくこの問題をおきまして、製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。堀江君。
  62. 堀江實藏

    ○堀江委員 大藏次官にお伺いしたいのでありますが、きのうアメリカからマツカーサー元帥に対しての九原則というものが來て、さらに内閣に來た。その九原則はいろいろあるわけでありますが、物價の値上げをやつてはならないという項が、かなり強調されていたように思います。さらに風説かどうか知りませんが、物價並びに賃金の凍結というような説があつて、それが今明日中にそうした指令といいますか、命令が出るというような話であります。九原則内容はいろいろあるわけでありますが、日本の財政計画の健全化をはからなければならないというようなこともあるわけでありますが、配給タバコの値上げというものの実際の家計に及ぼす影響というものは、今年の第二國会においてタバコの値上げが行われたほど、大きな家計への影響はないと思いますが、しかし今日本経済再建のために、インフレーションを極力押えなければならないという段階に來ておる際に、こうした配給タバコを相当引上げるということは、ますますインフレーションに柏車をかける結果になるのではないかという点について、政府はどういうぐあいにお考えになつておりますか。
  63. 塚田十一郎

    塚田政府委員 昨日発表になりました経済安定の九原則には、賃金安定の一項はあつたように思いますが、物價をとめるというようなことははつきりとは出ておらぬように思います。それは別個といたしましても、今度のタバコ値上げがインフレーションの高進に影響するのではないか、という御質問であるように思うのですが、私どもはそのように考えておらないのでありまして、むしろこれをすることによつて均衡財政というものが確立できるならば、その面からの影響の方が強く働いて、これができないために財政のしりに何らかの赤字を出すということよりは、インフレーションを安定さすという上に有効ではないか。そういうふうに考えておる次第であります。
  64. 堀江實藏

    ○堀江委員 第二國会におけるタバコ値上法案の際には、われわれは九百四十三億の專賣益金は、國民所得の上からとうてい得られないという上において、私は絶対反対したものであります。それはそれとして、政府説明によりますと、減收見込であるからその穴埋めのために配給タバコを上げる、ピースの賣れ行きが悪いために、その穴埋めにしたいという意向でありますが、ピースについては先般專賣局が中心になられたかどうか知りませんけれども、美人投票や何かがありまして、ピースの賣れ行きの振興をはかつておられたようでありますし、なおこのタバコが十月なら十月までに、予定の何ぼしか賣れないということは、統計に出ておるわけでありますが、專賣局はそうした宣傳もやつておられるし、これはやつてみねばわからぬわけであつて、大体三十億見当歳入減だから上げるということは、当初の計画を立てられた上からいつてあまり無責任ではないか。九百四十三億の收入があるということの確定的な見通しをされ、そうしてさらにそれが賣れ行きが惡いためにいろいろな方策をとられつつある際に、なお年度末までには相当の期間があるにもかかわらず、歳入減が相当あるということについては、初めの見通しがいかに薄弱であつたかということがわかる。なお本年度にそれが三十億歳入減であるかどうかということは、今後の努力にもかかつておると思いますので、その点ははつきりと三十億というものが歳入減であるという見込みが立つておるかどうか。お伺いしたいと思います。
  65. 原田富一

    ○原田政府委員 十月末までの実績を見まして今後の見通しを申し上げますと、これまでも御説明申し上げました通りに、大体において値上げをせずにこのままやつて参りましたならば、私どもの見通しとしまして大体三十億程度の收入減が予想されるのであります。その数字を申し上げますと、御承知のように初めの予定九百四十三億の專賣益金を出すためには、タバコの賣上げ金高が千百二十一億円という予定でございます。これに対しまして十月末の賣れ行き実績は四百九十八億円であつたのでございます。從つて十一月から三月までの賣れ行きを差引いてみますと、五百九十四億円を賣らなければ予定通り行かぬ。九百四十三億円の益金が出ないことになるのでございますが、私どもいろいろな状況を勘案いたしまして、私どもとしましてもできるだけ賣れ行き宣傳にいろいろの方策を講じて努めますが、それをやりましても大体三十億円の收入減を予想いたしたのであります。これは十一月の実績を今日初めて申し上げるのでありますが、十一月の実績は百十一億余りに上つたのでございまして、これを差引いて計算してみますと、十二月以降の初めの予算に比較して残つたものが五百十二億円ということになるのであります。そうすると十二月以降四箇月になるのでございますが、一箇月平均にして百二十八億円という一應の計算が出るのであります。百二十八億円ということにいたしますと、これを十二月の上旬が——今すでに大体のところがわかつたのでございますが、これはまだ正確な数字ではございませんけれども、大体四十億円になつております。十二月上旬が四十億円となりますと——一箇月が上旬、中旬、下旬平均して行くとは限りませんけれども、平均して行くと一應仮定して参りますと百二十億円になる。そうすると八億円落ちるのでございます。われわれの考えをもつてしますれば、八億がその通り行くとも思いませんが、八億ということになると四箇月で大体三十億というところまで行くのではないか。もつともこれはこの後の状況等によりますし、私どもとしてもむりな抱合せとか割当とかは、いたすつもりはありませんけれども、相当賣れ行きを宣傳してやれば、年度当初の通りには行かないといたしましても、三十億程度の減というところには行くだろうということが、この十二月上旬の賣れ行きを見ても言えるのではないかと考えておる次第でございます。
  66. 島村一郎

    島村委員長 ほかに御質問はございませんか。
  67. 大上司

    ○大上委員 本案に対しましては大体質疑は盡されておると思いますので、これくらいで質疑を打切り、ただちに討論採決に入られんことを望みます。
  68. 島村一郎

    島村委員長 ただいまの大上君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。
  69. 島村一郎

    島村委員長 御異議ないと認めまして質疑を打切ることにいたします。  これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮幡靖君。
  70. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいま議題となつております製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主自由党を代表して原案に賛成の意を表するものであります。  その理由を簡單に申し述べます。刻下緊急の財政支出としてあげられておりまする公務員の給與改善、災害復旧費の財源調達は、現在の國家財政の実情において容易ならざるものであることは、万人のひとしく認めるとこであります。さりとて公務員の待遇改善並びに災害復旧の処置を見送ることは、絶対に許されないところでありまして、公務員の給與ベースが六千三百七円となりましても、現在の物價事情、社会情勢に照らして不十分であることは、言をまたないところであります。また災害復旧費も、ただに本年のアイオン台風の被害のみならず、戰前、戰後にわたつて累積せられた國土の荒廃を復旧することの急務なることも、多言を要しないところでありまして、六十億円程度の予算が計上されておりますが、これではとうてい満足すべきものではなく、從つて財政事情の許す限り、公務員の給與改善をはかり災害復旧に努むべきであります。これに伴う財源の捻出には、政府もかなりの苦心を拂つているように察するのでありますけれども、その結果といたしまして歳入の不足を予想されますタバコの歳入減によりまして、これらの処置に支障を來すようなことがあつてはならないわけでありまして、結局はタバコの予想せられる收入の減少を、同じ品目のタバコによつて補填しようとする措置は、やむを得ない措置ではなかろうかと考えまして、あえてタバコの値上げを敢行いたしまして、大衆の負担を増加するがごとき方法を好むものではございませんが、財政事情やむを得ないものといたしまして、政府の原案に賛成する次第であります。
  71. 島村一郎

    島村委員長 重井鹿治君。
  72. 重井鹿治

    ○重井委員 本タバコの値上げの原因は、最初昨年の値上げではそれが不足するため、同時に予算その他とにらみ合せまして値上げをする。こういうことになつておりますが、もし前の片山、芦田内閣経済方針で進んでおりましたならば、こういうことにはなつておらなかつたと思うのであります。途中いろいろ経済方針なんかがかわりまして、タバコの賣れ行きが惡くなつたような結果に陷つていることも考えられるのであります。こういうような関係その他のいろいろな理由でもつて、値上げをしなければならぬということになつておりますが、もしほんとう日本の財政政策を立てる立場から考えましたならば、ほかにもいろいろ財源があるはずでありまして、今日タバコの値上げをしなくても、前のタバコ値上げによりまして、それがもしタバコの收入の点で減りましても、別な方面からとり得るのでありまして、その財源をとり得なかつたというところにいろいろ原因があると思います。私どもは新しくたくさん財源がありますので、こうした大衆負担になるような財源は必要ないというように考えますので、私は日本社会党を代表いたしまして、この値上案に対しまして反対する次第であります。
  73. 島村一郎

  74. 河野金昇

    ○河野委員 私は國民協同党を代表いたしまして、このタバコ値上げに反対するものであります。先ほど來政府当局の堀江君に対するところの答弁を聞いておりましても、これは年度末に至らないその過程において、赤字が出るであろうという予想のもとに立てられているのでありまして、私たちはこの際値上げをする時期ではないと思います。特に民主自由党の諸君は、前の片山、芦田内閣時代においては運賃の値上げでもタバコの値上げでも、とにかく値上げというものにはいつでも反対をして來られた立場にあるのであります。その方々が天下を一度とれば、すぐかえるというようなことに御賛成なさることを、われわれはふしぎに思うのでありまして、今上程になつているこの問題に対しましては、私たちははつきりと反対を表明しておきたいと思います。
  75. 島村一郎

    島村委員長 本藤恒松君。
  76. 本藤恒松

    ○本藤委員 タバコ値上げの問題に対しましては、社会革新党といたしましては反対いたすものであります。
  77. 島村一郎

    島村委員長 堀江實藏君。
  78. 堀江實藏

    ○堀江委員 このタバコ値上げの問題につきましては、さきの第二國会におけるタバコ値上げの際に、國民所得の関係からしてとうてい九百四十三億の收入はない。またピースを六十円に値上げすることは、現在の購買力から言つてもむりであるという意味において、断然反対したわけでありますが、そのときの政府説明によれば、配給タバコは上げない。そのかわり自由タバコを上げるのだ。配給タバコを上げないということは、ピースや何かを上げる一つの交換條件のような説明を受けておつたのであります。しかるに今回減收が三十億円くらいあるから上げるということは、初めの政府方針がいかにずさんなものであつたかということを、証拠立てるものであるとともに、またピースなんかを値上げするところの理由も口約を裏切るものである。かりに三十億の歳入減ができましても、これは何かほかの財源で補填すべきであつて、そうしたタバコを一方値上げするかわりとしての配給タバコのあの据置を、今さら上げるということは、そのときの状況から断固われわれは反対しなければならないと思うとともに、さきに大藏次官は、配給タバコの値上げはインフレーションに影響はない、ということを言われたわけでありますが、われわれとしましては現在の賃金の関係、また一般の農民なり小市民の生活状態からしまして、配給タバコを上げるということは相当家計上の影響がある。それは現在の段階においてインフレーションを促進するものであると考えます。特に先ほど質問しましたように、経済原則日本経済をデフレ経済にすることによつて、実質賃金の向上を目指しておるように、われわれは感じておる際におきまして、こうした少額の三十億といえども、特にこの配給タバコは大衆負担になるのでありまして、こうした値上げをすることにつきましては絶対に反対するものであります。以上簡單でありますが、労働者農民党を代表しまして反対理由を申し上げます。
  79. 島村一郎

    島村委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
  80. 島村一郎

    島村委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  81. 島田晋作

    島田委員 先ほどの復金に関する質疑におきまして、本藤君並びに私から大藏大臣説明を求めまして、ただいま大藏大臣が参りましたが、また安本の次官も参つておりまするけれども、時間も時間でございますし、今日はこの程度で散会いたしてはどうかと思います。
  82. 島村一郎

    島村委員長 ちよつと島田君に御相談いたしますが、せつかく大臣も安本の次官もお見えになりましたので、御質疑を願つてはいかがですか。
  83. 島田晋作

    島田委員 実はそういう委員長のお言葉があると思つてつておつたのであります。私はこの前の委員会で申しましたが、前の泉山藏相時代におきましては、本委員会を無視したとは申しませんけれども、なかなか出席いたしません。そこで過去のことは過去といたしまして、ただいまお見えになりましたが、大臣も実はわれわれの要求によつて今日初めてお目にかかつたのであります。本会議場においては会つておりますけれども、われわれ大藏委員会としましては、これはおそらく委員長も同感だと思うのであります。從つて私は今日初めてこの委員会でお顏を拜見いたしましてまことに光栄でありまするが、質問は翌日に延ばしていただきたいと思います。
  84. 島村一郎

    島村委員長 暫時休憩いたします。     午後九時三十一分休憩