○愛知
政府委員 ただいま塚田次官より
お話がありましたように、最終
決定にはな
つておりませんけれ
ども、大体
関係各
方面の意向をとりまとめまして、こういうことが少くとも暫定的にやるべきことではなかろうかという
ところのものが出ておりますので、その概要を御説明いたします。
まず第一は融資
決定の責任についてでございます。復金の融資
決定の責任の帰属を明瞭にいたしますためには、もつぱら復金の理
事長の責任において個々の融資の
決定を行うように改める。これが第一点でございます。御
承知のように、現在復興金融金庫の監督機関は復興金融
委員会でございまして、
從來の
日本にありきたりの制度とは非常に違
つておりまして、
委員会自体が監督機関ということにな
つておるわけであります。これは
法律あるいは勅令によ
つてきま
つておるのでありますが、さらに復金
委員会としては
行政的な監督、あるいは人事の推薦、あるいは監査というようなことのほかに、復興金融
委員会自体の
決定といたしまして、たとえば五千万円以上の融資については、一件ごとに
委員会が
決定をするということにな
つております。
從つてまた
委員会の下部機構であります
ところの復金の監事会が、
相当程度個個の融資の認定について関與いたしておるわけであります。それが各
方面からいろいろの批評の的にな
つておるわけでありまして、その当初の
趣旨から言えば、むしろ各
方面の意向を代表して、そしてガラス張りの中で民主的に融資の
決定をすべきであるという
趣旨から出ておるのであ
つて、決してその間に他の意図をも
つて融資を
決定せんとするがごときことは、毛頭なか
つたのでありますけれ
ども、その後の運営の
状況から行きまして、一体どこにその
決定の責任があるのかというようなことがともすると明確を欠きますし、
從つてまたそこにいろいろな問題が伏在するのではなかろうか、というような印象を與えないでもなか
つたと思いますので、この際この点は明瞭に個々の融資の
決定からはさような
委員会や監事会から手を離れて、いわゆる復金の自主性の改革ということをいたしたいというのが、融資
決定の責任についての問題でございます。
それから第二は、復興金融
委員会、監事会の権限運営につきまして、ただいま申しましたように、
法律によ
つて與えられた権限を行うことにとどめ、そして個々の融資の可否の
決定等についてや
つておりましたことは、全部これを理
事長の一元的責任に復元をするということにいたすのが第二点でございまして、そのために復金の
委員会は復興金融金庫監督の大綱である。それから融資
方針、たとえば
赤字融資はやらないとか、石炭融資についてはかくのごとき
方針でやるというような大づかみな大綱、しかも
政府各部局、あるいは生産担当、輸送担当とい
つたような各
方面の意向を十分に反映するような大きな
政策的な点について、いろいろ理
事長に対して
意見を申す。それからまたそういう大綱から申しまして、復金の個々の融資が適正な
方法において行われるように監視するような役割を、復金
委員会の本來の役割として発展させようということに考えたわけであります。
從つてまた監事会というものは、機構としての監事会は全部廃止いたしまして、監事は單に委員の補佐機関として、委員のお手傳いをするにとどめる。監事だけで
一つの独立の機構をつく
つて、そこが個々の融資に関與するというがごとき
從來の制度は、廃止しようということにな
つているわけであります。
第三点は地方機構の問題でございます。
從來東京以外の地方におきましては、復金の融資について
日本銀行の支店長が中心になりまして、その諮問機関として、官廳側では財務局、商工局、民間側では金融
関係その他の代表の方によ
つて、融資懇談会というものが設置せられております。その懇談会におきまして復金融資の適否、それから市中融資あつせんの可否等を認定することとな
つていたのであります。これを中央における復金の自主性の改革と同時に、
從來日本銀行を中心に
行つておりましたものを改めまして、あくまでもこれは復金理
事長の諮問機関として、運営されるようにいたそうというふうに考えているわけであります。
それから第四点は、復金自体の地方機構の整備でございまして、この点は現在まだ十分に結論を得ていない点でございますが、場合によりますれば、現在の地方機構を整備強化する必要があろうかと考えているのでありますが、同時にしかし不必要に復金の機構が大きくなることは、かえ
つていかがかとも思われますので、あるいは
理事の重要地点における駐在制というようなものを、暫定的な実行
方法としてとることになるかもしれないというような
程度に考えられております。この点につきましては、いろいろの
方面からいろいろの御
意見が出ておりまして、まだきま
つておりません。
それから第五点は、
産業行政、金融
政策、復興
政策、
財政政策等との調整をどういうふうにするかという点でございます。これは
從來は復金
委員会、監事会等に
関係各省の役人、それから
日本銀行その他の機関の代表者が出ておりましたために、そこでいわゆる
産業行政その他との調整あんばい等が議せられてお
つたのでありますが、今後監事会を廃止し、また
委員会の役割を大綱にとどめるということになりますと、復金の理
事長の諮問機関として何らかの形で連絡機関を置く必要があるのではなかろうかという点が、問題にな
つているわけでございますが、大体
関係方面の意向もこれは法令等に基かず、事実上の理
事長の諮問機関として、何らかの機関ができればいいのではなかろうかというふうに考えております。率直に申しますと、
産業界その他におきましては、やはり何らかの形でここに強大な発言権を持つような組織を、えてして望まれがちなのでありますが、これが非常に強くなりますと、また復金当局の自主的責任制の確立ということがぼんやりいたしますので、そこの
ところの調整あんばいはなかなかむずかしいと考えているわけでございます。
それからお尋ねの範囲をちよつと逸脱すると思いますけれ
ども、以上が機構についての面でございますが、ついでに一言付言いたしますならば、復金融資の対象範囲の問題につきまして、大体次のように考えているのであります。
そもそも復金は経済復興の促進のために必要な資金であ
つて、かつ他の金融機関からは融資が困難な資金の供給を目的として、発足いたしたものでありますが、その発足の
趣旨使命に徹することが、ますますも
つて必要にな
つて來たのではないかと考えられるわけであります。
從つて從來の融資の対象あるいは
從來の融資の範囲等についても、再檢討を加える必要があるものと考えるのでありまして、そのために、たとえば当然
財政の補給金というようなもので
負担すべきようなものは、
財政の方できれいにこれを見てもらうようにする。また当然物價改訂等の際に織り込んでもらうべきでありまして、かつ返済の見通しもないようなものは、
從來と同じように復金の融資に漫然と仰ぐというようなことはやめたい、というようなことを考えておるわけであります。同時にたとえば既存の
赤字融資の処理についても、至急対策を講ずる必要があると考えまして、現在石炭等に対する既往の復金の
赤字融資の始末につきましても、至急対案を立案いたしておるわけであります。
それから最後に第七としまして監査機構の強化でございますが、とりあえず
復興金融金庫法第三十一條によりまして、融資先についての監査を
從來に増して力を入れてやることにいたしております。大体現在復金の融資のうちで一億円以上の残高を持
つておりますものは八十二社ございますが、この八十二社についてとりあえず來年三月までの間に、
大藏省を中心とする監査班を強力に組織いたしまして、片つぱしからしらみつぶしに監査をやろうという計画を立ててお
つて、すでにこれは発足いたしております。今申しましたのは
法律に基いて官廳が主動とな
つて行う監査でございますが、それと並行して
從來通り復金の監査部による監査を励行することにいたしております。なおまた復金自体の経理等につきましても、当局として監査をいたすことにいたしておるわけでございます。大体以上申しました点は、一部地方機構の問題、それから
産業行政等との調整をどういう形でやるかということ以外は、大体
関係方面の了解を得ておりまして、また実施に移し得ることは可能なものから移すようにいたしておるわけでございます。