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1948-12-09 第4回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十二月九日(木曜日)     午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 椎熊 三郎君    理事 原  孝吉君 理事 志賀健次郎君    理事 高橋清治郎君 理事 坪井 亀藏君    理事 加藤吉太夫君       淺利 三朗君    今村長太郎君      小野瀬忠兵衞君    小暮藤三郎君       高田 弥市君    梁井 淳二君       石川金次郎君    金野 定吉君       田中織之進君    林  大作君       馬場 秀夫君    矢尾喜三郎君       関根 久藏君    山崎 岩男君       石野 久男君    大瀧亀代司君       只野直三郎君    木村  榮君  委員外出席者         総理廳事務官  雨森 常夫君         建設事務官   目黒 清雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件  災害地復旧予算に関する説明聽取     —————————————
  2. 椎熊三郎

    椎熊委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続きまして災害復旧予算について議事を進めます。本日は経済安定本部より建設局次長がお見えになつておりますので説明を求めます。建設局次長雨森君。
  3. 雨森常夫

    雨森説明員 私建設局次長雨森と申します。局長の都合がつきませんので、私かわつて本年度追加予算といたしまして六十億提出になつております予算関係につきまして、概略説明申し上げたいと思います。  災害復旧に要する費用のうちで國費で支弁すべき額は、昭和二十二年度までの過年度災害昭和二十四年度以降に残ります分として百九十一億ございます。それから昭和二十三年度、本年度に発生いたしました北陸水害アイオン台風、そのほか全國にわたりまして四月からの雪解け水害その他の台風による水害復旧費を合計いたしまして國費でまかなわなければならぬ予定金額のうち、二十四年度以降に残つているものが五百七十一億の予定でございます。從いまして合計いたしまして七百六十二億の國費を必要とすることになつておるのであります。その七百六十二億のうち、本年度追加予算といたしまして六十億計上に相なつておりますので、七百二億というものが二十四年度以降に國費を支出しなければならぬことになつております。  それで二十三年度の当初予算は、御承知通り公共事業費約四百三十五億のうち災害復旧費に充てますものが百二十五億見当計上されておりましたので、百二十五億に今度の六十億をプラスいたしまして、百八十五億見当のものが二十三年度災害復旧費として公共事業費から支出されることになつております。從いまして昭和二十四年度以降に七百億の國費を必要とする状態になつておりますので、安定本部といたしましては本年度までにすでに発生した災害を、二十四年から非常に大きいものは三箇年、小さいものは一箇年、いかに大きいものでも三箇年で復旧いたしたいということで今計画を進めているのでありますが、來年度以降にどうしても一箇年三百億見当國費がなければ、すでに発生した災害復旧することができないような状態になつております。  それでわれわれの方の建設局としましては、何とかこの災害復旧をもう少し財源的に円滑に早く復旧できないかということを檢討いたしておりますので、たとえば保險制度であるとか、米麦あるいは山林資源の生産されるものについて、何らかの形で消費者負担になるような財源を見つけたいということで今着々檢討中であります。かようにいたしましてできるだけ災害を早く直したい、國費ももちろん出して行かなければなりませんが、年に三百億以上の災害復旧に要する負担分を、何か財源をほかに見つけまして、一般会計から出しております國費を軽減いたしたいと考えております。  そこで今回追加予算として出ております六十億の内訳を申し上げますと、お手元に出ておりますように、建設省関係では河川が大部分でありますが三十八億、農林省関係が十八億ばかりでありまして、その他運輸省の港湾であるとかあるいは厚生省の水道であるとか、文部省の文教であるとか、あとのものはごくわずかであります。建設省河川農林省農業、この二つが主たるものでありまして、この内訳は大体われわれの方で各担当省とお打合せをいたしまして、大体の割当をいたしておるのであります。各縣別にいかに配分するかということにつきましては、それぞれ建設省農林省方面目下割振りをしておられますので、私の方におきましては、いまだ各府縣に割り当てる数字を持ち合わせておりません。資料によりましてごらん願つた通り説明にすぎませんが、概略説明申し上げます。
  4. 椎熊三郎

    椎熊委員長 御発言はございませんか。
  5. 馬場秀夫

    馬場委員 今いただきました資料の、二十三年度水害の六十億は、昨年のものは一つも含まれないわけですね。今の建設局次長の言われた三十八億の河川、三十六億幾らですか、これは今年のアイオン台風と例の地震による土地の低下ですか、それだけですね。去年の引続いてのやつはないわけですね。利根川とかその他の……。
  6. 雨森常夫

    雨森説明員 お答えいたします。先ほど申し上げたように年度当初の予算のうちに二十二年度までの災害復旧費といたしまして百二十五億見当災害復旧費が出ております。それは昨年度までの災害復旧費でありまして、アイオン台風北陸震災その他本年度に起りました災害復旧の應急費に充てるために、現在までに二十三億ばかり應急支出をいたしております。それはあくまでも本年度発生災害でありまして、いわば当初予算のうちから應急的に繰つて出しておるわけであります。それを六十億からもどすということになりますので、御質問の六十億のうちに昨年までの災害が入つているかどうかということになりますと、入つておらぬ建前であります。ところが各省におきまして本年度起りました災害と二十二年度までの災害とのバランスをある程度見るだろうと思います。言いかえますと、二十二年度までの古い水害の残つておるものが、非常にみじめな形になつておる場合があると思います。そういう場合には各省におきまして、この六十億のうちから二十二年度までの水害の分といたしまして若干割当てるかもしれませんけれども、その点はまだはつきり承知いたしておりません。
  7. 石野久男

    石野委員 ただいまお話の中で、二十四年度以降の財源消費者負担で求めて、一般会計経費のうちから出すことをなるべく詰めたいと申されましたことについて、もうちよつとこれは先のことなんですけれども、その考え方についてもう少しお話を伺いたい。
  8. 雨森常夫

    雨森説明員 御参考までに申し上げたのですが、われわれの方といたしましては、経済復興五箇年計画を御承知のように今立案中であります。その案を立てますのに、先ほど申し上げましたような考え方を織り込んで行きたいという希望をもつて檢討中なのでありますが、保險制度消費者負担になるような生産物負担をかけるというこの二つ考え方を今檢討中であります。それでは米麦にどうするか、あるいは水産漁獲物にどうするか、あるいは港湾災害復旧負担するのに荷揚げ量にどういうふうにかけるかというようなことにつきましては、まだ数字的にまとまつておりません。考え方だけを申し上げましたにすぎない非常に不完全なものでありますが、できるだけこれを実現させて行きたいという考えを持つております。
  9. 石野久男

    石野委員 次に先ほどお話のありました二十二年度で、また本年度に繰越されているいろいろなものについては、この六十億の中から、その災害がみじめな姿に残されているものについて配分を考慮するだろうというようなお話がありましたが、その点についてどのくらいが、二十二年度分としてこの六十億の中から見込まれているのかお伺いしたい。
  10. 雨森常夫

    雨森説明員 二十三年に発生した災害幾ら、二十二年度までのもので現在残つている水害幾らあるかという区分でありますが、その区分金額といたしましては、いまだ私の方では承知いたしておりません。ただもう一つつけ加えて申し上げておきたいと思いますのは、御承知のように本年あたりの水害は、二十二年までの水害がまだ復旧されないで残つておるがために、同一場所が水害を受ける場合が非常に多いのでございます。それで災害復旧を二十二年の水害地、あるいは二十三年の水害地というふうに、なるほど紙の上ではわけられますが、実際問題としては、非常にわけにくいものが多くなつておるわけであります。その点も考慮に入れて考えて行かなければならぬと思います。
  11. 石野久男

    石野委員 災害が昨年と本年とで二度重なる場合における復旧費考慮というものを、相当愼重に考えなければならぬことは、ごもつともでございますが、その場合に百二十五億の二十二年度までの分と、本年度の六十億を考える場合に、物價の変動というものは当然考えられなければならぬものと思うのであります。二十二年度まで、特にカザリン台風等によつて受けた災害がまだ復旧していないところへ今度のアイオン台風などで受けた災害と重なりました場合、この六十億というものが、すでにそういう意味においても少いじやないかというふうにわれわれは思つておるのであります。しかるに少くとも百四十九億の金がほしいというわれわれの意見が、六十億に切り詰められておつて、なおその前の二十二年度までの百二十五億というものがそのままでまだ残されているというようなことになりますと、災害対策復旧方策としましては非常に不十分なものになつて來ると思うのであります。そこで私お尋ねいたしたいのは、ただいま申されましたところの、重複しているという点で、非常に見積りが立てにくいというようなことについて、もう少し大体の見通しでよろしゆうございますから、六十億の中で二十二年度の分として重複しているところは別でございますけれども、その他のもので大体の見通しで、六十億の中からどのくらいのものが、二十二年度分として食い込んで來ておるのかということ、これは二十三年度復旧対策について、われわれが考える上に相当重要だと思いますので、あらかたの見通しがおわかりになりましたら、その推算額ちよつとお知らせ願いたいと思います。
  12. 雨森常夫

    雨森説明員 まことに申訳ありませんが、金額的に見通しを申し上げかねるのであります。というのは、数字を持ち合せておりませんので——ただ方針といたしましては、私どもの方では今お話のありました通り考えておりますので、できる限り過去の災害は百二十五億の当初の予定金額でやつてもらう。六十億は本年の災害のみに限るという建前各省と連絡いたしております。第二段目に申し上げました現地によつて錯綜しておる関係で、必ずしも今年度発生災害のみをとるということを申し上げかねる。二十二年までの過去の災害も若干入るかもしれないということを申し上げましたが、方針といたしましては、本年度発生災害をとるということを、われわれも各省に連絡いたしております。
  13. 石野久男

    石野委員 重ねてちよつとお尋ねしますが、六十億のお立てになつております予算で、本年度発生災害復旧をまかない得るというお見通しなのでございましようか。
  14. 雨森常夫

    雨森説明員 安定本部建設局といたしましては、本年度災害追加として必要な額は約九十億見当あるであろうということを当初立案いたしていたのでありますが、國家財政財源その他の関係で六十億になりまして、約三十億見当のものが不足したような形になつております。これは非常に遺憾なことでありますが、私ども考え方といたしましては、結局三十億見当のものが現実に二十四年に繰越される形になるわけであります。そうすれば二十四年度にまた非常に災害復旧に困難を來すという結果になりますが、先ほど申し上げましたように、財源をほかに求めるとか、いろいろなくふうをいたしまして、でき得る限りこれを早く復旧させたい、一箇年ないしいかに大きいものでも三箇年の間に復旧してしまいたいということで、見通しはつけております。
  15. 石野久男

    石野委員 当初予算として考えておりました九十億が六十億になつた。そこでもうすでに予算が非常に詰められておりますが、当初の九十億ですらやはりわれわれにとつては非常に少いと思つております。この場合この六十億を各縣の災害地割当てるについての当局考え方は、前に重点的に考えたいというようなことをお伺いはしておるのでありますけれども、それについて、特にその重点的な考え方はどういうふうに各地方割当てるような方針をもつて、今割当方針を進めておられるかということについてお伺いしたい。
  16. 雨森常夫

    雨森説明員 ちよつとわかりにくかつたのでありますが、各地方割当方針という問題は、具体的に申し上げるまでには事務的に進んでおりませんので、申訳ありませんが、補助金割当は、災害の全体の大きい小さいの割合に大体は比例して行くものだろうと思うのであります。それともう一つ、六十億円では非常に少いということは、われわれも承知いたしておるのでありますが、一方融資の面におきまして、できるだけこれを出してもらうことにいたしまして、融資と國の補助金と両方で本年度はしのいで行きたい、こういうふうに考えております。
  17. 石野久男

    石野委員 その割当については、私こういうことをお聞きしたいのです。被害地の状況、被害の大きさによりまして、比例的にずつと全体の六十億をわけまして、それを今度は各府縣なら各府縣ごとに重点的にその費用を使わせるようにするのか、それともたとえば岩手縣なら岩手縣が非常に大きい被害であるからというので、各府縣の比率ではなくて、むしろ岩手縣なら岩手縣に非常に大きな額を重点的に配分して行くというような考え方を持たれているのか。その災害程度において平均に割振つたものを、予算使いわけ中央において按分するのか、地方で重点的に使わそうとしているのかどうかというその考え方であります。
  18. 雨森常夫

    雨森説明員 中央におきましては、私どもの方と建設省あるいは農林省、すなわち現局の方と打合せをいたしております。方針はでき得る限り重点的に地方割当てる。たとえば、例をあげては語弊があるかもしれませんが、たとえば群馬縣であるとか、岩手縣であるとか、宮城縣であるとかいうようなところの水害は、その他の縣よりも、だれが考えましても非常に大きい、深刻な災害であるというふうに考えられます。そういうふうな府縣に、できるだけ重点的に予算を持つて行きたいという考えを持つております。しかし縣といたしまして、非常に小さい災害であるというふうに見えましても、局部的にはまた非常に深刻なものもあるので、小さいところは本年度はがまんさせて、ゼロにして、大きいところへ全部持つて行くというような極端な重点主義はとり得ないと考えております。考え方といたしましては、できるだけ重点的に激甚な縣に持つて行くというふうに考えております。なお地方におきましては、その方針によつてまたその縣内の重要な、被害の激甚な、深刻なところに早期に割当てて行くという方針をとつてもらいたいと思つておるのであります。
  19. 石野久男

    石野委員 先ほど、六十億は非常に少いので、なるべく融資でそれを補いたいということをおつしやられたのでございますが、ただいまの日本の國の金融的な面から見まして、どの程度融資にこれを期待できるか。特にまた当局としてはどの程度の御努力をなさつておるかということについて、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。
  20. 雨森常夫

    雨森説明員 融資の面におきましては、私どもの方の建設局復旧費の額によつて融資額がきまつて行くのでありますが、御承知通り年度はすでに約四十億の地方公共事業体に対しての融資が出ております。聞くところによりますと、現在の実績では四十億のうち三十七、八億ぐらいは実現しておるように聞いております。それに今回この六十億の予算が成立いたしますれば、これの裏づけといたしまして、数字はまだはつきりしておらないようでありますが、相当の融資を見込まれておるようであります。それともう一つは農林中央金庫の融資額、これは農業あるいは山林港湾漁港方面災害復旧費に相当額割当てることができるような状態になつておるように聞いております。これらの点につきまして私の方は各当事者の関係機関の方に連絡をいたしまして、極力でき得る限り多くの融資をこの際してもらいたいということを事務的に折衝いたしております。
  21. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいまの御答弁に関連してお伺いいたしたいのですが、六十億の災害対策予算は、ここにも各省からの要求が出ておりますように、五百六十三億からに達する復旧費の中で、きわめて微々たる部分で、われわれとしてこれの増額を強く希望するものでありますが、この六十億の予算盛つた補助金と、ただいま石野君から御質問のありました金融的な措置を並行的に進められるというような趣旨の御答弁であつたと思うのでありますが、先般予算委員会で伺つたところによりますると、現在までの金融的な措置、すなわち融資の額は預金部資金、あるいは今御指摘になつた農林中金関係、あるいは復興金融金庫関係等を合計いたしまして、七十億以上に突破するように、先般大藏大臣から予算委員会説明があつたと記憶するのでありますが、その観点から申しますと、それはあくまで並行的に進められるものか、それともこの予算盛つた経費とのにらみ合いで当然予算的措置が講ぜられるという前提のもとに、つなぎ資金意味融資をされるものか、その点をはつきりさせていただきたいと思うのであります。  なおこの点について次に伺つておきたいことは、この六十億は率直に申しますならば、この予算の通過以後新規事業に着手し得る部分でありますか、それとも前の質問と関連いたしますけれども、七十数億の融資が行われておるといたしますならば、この予算が通過することによつてその融資の穴埋めの方に持つて行かれて、新規事業が全然できないのかどうかという点が一番心配になると思うのですが、その点について明確な御答弁を煩わしたいと思うのであります。
  22. 雨森常夫

    雨森説明員 御質問の第一点の、すでに災害が発生いたした直後、預金部資金の融通をいたしておりますものにつきましては、これは次の補助金が出ますまでのつなぎ資金の形で、その精神が出ております。それで嚴格に申し上げますれば、六十億の國庫の支出がありますれば、これは返済すべき金となつておると思います。今回六十億の予算が成立いたしまして、これと並行して融資されるものはつなぎ資金意味でなくて長期考え方で出ると考えます。
  23. 田中織之進

    田中(織)委員 そういたしますと、先ほどの石野君に対する御答弁と関連するわけでありまするが、今度の六十億の予算が通過いたしますると、さらにこの中から今までの預金部関係からの融資分でそれの補填の方に差引かれる部分がどのくらいになるのか伺いたいと思います。六十億はまるつきり予算が通過すれば、新規事業として各項目別に新たに成立されるわけでありまするが、今までつなぎ資金としてこの予算化目当てにして預金部からの融資がありまするから、そういう融資の方に差引かれた残りが大体幾らになるのか、まるつきり六十億というのが新しい事業に着手できる経費になるのかどうか。
  24. 雨森常夫

    雨森説明員 非常にむずかしい御質問でありまして、ちよつとお答えしにくいのでありますが、結局すでに融資されております預金部資金は、先ほど申し上げましたように、一時融資の形をとつておりますために、原則としては返すべきものだというふうに考えます。その額が今どれくらい現実融資されておるかという数字を持ち合せておりませんので、何とも申し上げかねますが、でき得る限りすみやかに返すのだということになりますれば、おそらく六十億の中からそれだけの金額差引かれるような、現場においては仕事ができないという形になります。一方六十億の裏づけで行く融資と借りかえのような形に考えますれば、六十億の仕事はできるということになります。なお先ほどちよつと御質問がありました六十億の仕事がこれからできる分かという御質問がございました。それはこれからの分のみじやございません、今までの災害が発生しましてから現在までの應急的仕事をやつて行きます分も、この六十億の中に入るものと考えております。
  25. 田中織之進

    田中(織)委員 そうなりますると、今までの予算的措置前提としてのつなぎ資金として預金部等から融資された額がどの程度になるかということを、われわれは明確に承らなければならないことになるわけであります。その中から先般の大藏大臣の別の機会における説明によりますと、そういう融資は総計いたしまして七十二億になる。この七十二億に対して今度予算に六十億計上されたということで、七十二億の融資に六十億全部をつぎ込んでしまつても、差引勘定においてなお十二億の赤字が出る。簡單にいえば、融資関係がオーバーしたという計算になると思うのであります。そういうことになりますと、私らの立場から申し上げまするならば、政府の方が、災害復旧経費としてこの追加予算新規に六十億のものを盛つたんだということをもつて災害対策について積極的な努力を拂つておるというようなことを盛んに宣傳せられるわけでありますが、今申しましたように、預金部融資との差引勘定がどうなるかということが明確にならないことには、現内閣として、災害復旧のために追加予算にこれだけの措置を講じておるんだということを、私は言うことにはならないと思います。そういう意味でこの六十億は、今の後段の御説明にありますように、まるつきり新規事業にこれから着手できる部分であるとは、私も考えておりません。もちろん今までこうしたものを目当てにして行つている部分と、またこれから着手し得る部分とにまたがることは了解できるのでありまするが、私の一番最初に伺つたように、こうした予算的な措置融資というもの——これは長期融資という形になると思うのであります。そういうものと並行的に進められますならば、先ほどの御説明にありましたように四十億——そのうち大体三十七、八億はすでに出ておるということでありますが、かりに六十億の予算に対してプラスして四十億が出るということになれば、百億の復旧仕事ができるということになると思うのであります。どうもその点がただいままでの御答弁では明確でないので、その点を、できますならばはつきりしていただきたいと思います。
  26. 雨森常夫

    雨森説明員 結論を申し上げますと、國費六十億分の仕事は、本年度発生災害につきましてできる、こういう形になります。
  27. 目黒清雄

    目黒説明員 和歌山の例を引いて申し上げますと、かりに和歌山が九千万の融資を受けておるといたします。ここに一億八千万の國費が今度割当を受けたといたしますれば、ちようどその地方費負担が約九千万——これはいろいろ事業によつて違いますが、九千万といたしますと、これは地方自治体融資肩がわりというふうに解釈しておるのであります。返さなくてもいい、但しその割当が一億八千万円以下でありまする場合には、地方費負担從つて少くなつて参ります。從つてその差引だけはあるいは返さなければならぬかもしれぬ。こういうこととお考えを願いたい。
  28. 田中織之進

    田中(織)委員 そういたしますと、返さなければならぬ部分が当然出て來るわけでありますが、それを現在の地方自治体財政関係から申しますと、そういうものを返す余地は全然ないと思うのです。そうしますと、返さなければならぬ分についても、借りかえその他何らかの処置を講じてもらわなければ、現在工事は着手しておる、そうして今度の予算がきまつたことによつて融資部分のうちで返さなければならぬものが出て來るということでは実に二重に困ることになると思うのですが、その点については、何か御処置をお考えでしようか。
  29. 目黒清雄

    目黒説明員 今のように今度の予算を割振りまして、それに伴う地方費負担以上の融資は、結局行つておるわけですから、当然これは、一時融資建前から申し上げますと返さなければならぬのでありますが、仕事は相当進んでおります。しかも地方の方では立てかえて仕事をやつておるのであります。從つて地方としては、いろいろの金融措置を講じなければならぬというのが現実であります。負担金以上の金融を借りかえないとやつて参れません。われわれとしては今後、一應現在融資されてあるものを返還するようなことでなしに、それは國庫補助以外の事業の進捗をはかるために、融資を短期融資から長期の方に振り向けてもらいたいというふうにわれわれは——これは主として大藏省とそれから地方財政委員会の問題でありまするが、その方に強く働きかけたいと考えております。
  30. 田中織之進

    田中(織)委員 これは御即答はごむりかと思いまするし、先ほどお伺いしましたところでもありますが、この六十億の中で從來の預金部からの融資の分に差引かれる部分がどの程度あるか、そのことから六十億のうち新規事業としてこれから着手し得る部分がどれだけになるか、その点をひとつ安本の方でも建設省の方でもけつこうでございますから、お調べになつて、次の委員会においてでも御説明を願いたいと思うのであります。  次にこれは私の和歌山縣に関する問題で、はなはだ恐縮でございまするが、御承知のことと思うのでありますが、一昨年の暮の南海地震から引続きまして、和歌山縣の海岸線全般にわたりまして、地盤の沈下並びに潮岬以東は反対に隆起の現象が起つてつておるのであります。そのために地盤の沈下いたしました所におきましては、最高三メートル近くもすでに沈下をいたしましたために、海岸にありました耕地が海底に沒しておる、あるいは海岸の道路が海中に沒している、あるいはそうひどくないところにおきましても、ちよつと潮が高ければ堤防を越えて海水が浸入いたしますために、農作物に対する塩害も相当深刻に相なつて來ておるのであります。この地盤沈下の傾向はつい半年くらい前までは、大体和歌山縣の海岸線で有田郡以東でございましたが、半年くらい前から漸次北の方へ移つて参りまして、最近は和歌山市並びに海草郡の下津港方面にもこの現象が現われて参りまして、半年くらい前まで海岸にありましたりつぱな倉庫が、半分以上浸水をして使用に耐えないというような現象が出ておるのであります。この地盤沈下の現象が刻々に継続いたしておりまするために、関係住民はまさに戰々兢々としておるばかりでなく、経済的にも非常に大きな損害を受けておるのであります。この点に関しましては、建設省並びに安本等におきましても、技術的並びに各般の調査がすでに完了いたしまして、ただこれを予算化するだけの措置を待つばかりになつておるのでございまするが、こうした南海地震の関係によりまする地盤の沈下、これはひとり和歌山縣のみならず、徳島、高知、香川、愛媛、兵庫等四國の関係におきましても、かなり全面的に現われて來ておるのでありますが、こうした災害は今度の災害復旧予算の計上にあたりまして、今年度中に発生した災害として見ておられるのかどうか。また前申しましたように、このことについては、すでに技術的なあるいは実地調査等もすでに完了いたしまして、大体この地帶にはこういう処置を講ずる、このためにはどの程度経費がかかるというような査定も実は済んでおる部分もあるのでございますが、そうしたものが今度の六十億のうちで、道路、港湾あるいは耕地関係というようなものの中にどの程度に含まれておるものか、その二点をお伺いしたいと思うのであります。第一点は、そういうように発端が一昨年の南海地震に出発したのでありますが、刻々にそういうような現象がなお継続しておるという災害については、どういうような基本的なお考えを持つておられるかということをお伺いしておるのであります。
  31. 雨森常夫

    雨森説明員 今御質問の点について概略お答えいたします。南海震災の地盤の低下につきましては、昨年の暮あたりからぽつぽつやかましくなつて参りまして、本年度に入りましてから、年度当初組みました予算、すなわち今回の六十億をのけました既定予算の中で緊急に復旧をいたさなければならぬもののみを拾いまして、ごくわずかな金ではありますが、いわば膏藥張りのような程度復旧費を支出いたしておるのであります。今お話のありました本年度に入りましてからその後だんだん地盤が沈下したためか、あるいは一説には非常な高潮が來るということも言われております。そのために海岸線一帶に、主として四國、中國、近畿あたりの海岸線が非常に塩害をこうむるということが言われておりますので、またわれわれも写眞でも拜見いたしましたし、早急に何とか手当をしなければならぬという場面も方々にできておるのであります。この点につきましては、高潮の被害であるとか、あるいは南海震災を因にする被害であるかという点について、いささかまだ学術的に疑問の点があるように聞いております。從いまして高潮の被害か、地震の被害か、原因をある程度突きとめませんと、根本的な復旧にとりかかるというわけには参らぬと思います。相当の國費を費すことになりますので、愼重を期したいと考えております。すなわち今すぐに手当をしなければ、住民があそこにおれぬとかいうようなもののみは、早急に何とか手を打つてやらねばならぬというふうに考えますが、全般的に恒久対策を実施するということは、原因を突きとめてから完璧な計画を立てて行きたいと考えております。今回の追加予算の六十億の中には、高潮の被害といたしまして恒久的な対策を実施する費用としては出ておりません。非常にわずかな金でありますが、既定経費の中から若干捻出しておるという程度でありまして、非常に財源的に行き詰まつておりますので、その点苦慮しておる状態であります。
  32. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいまの御答弁にありましたように、地盤の沈下関係と、高潮の関係二つが立て寄つて來ておるような現象であります。ことに地盤の沈下関係については、根本的な原因を突き詰めての恒久的な対策を講じてくださるということで、われわれそれを期待するわけでございますが、これも継続的に現に現われて來ておる。和歌山縣の場合について申しますと、今年の春ごろまでは有田郡以東であつたのですが、半年を過ぎました今年の八、九月ごろには、それが漸次北の方に移りまして、海草郡の下津港においても顯著な傾向が現われて参りまして、先般も現地の町村長から写眞をとつて参りましたので、建設省には差上げたかとも思うのでありますが、先ほど申しましたように、半年ぐらい前までは海岸にありました倉庫が、別に高潮がなくても、すでに床上にまで浸水するというようなことで使用に耐えないというような現象が現われて参つておるのであります。このことがそういうように地上の工作物に影響があるばかりではなくて、船揚場、あるいは水産関係の網干場等についても、そういうものが海中に沒しますために使用に耐えない。御承知のように、和歌山縣の海岸線はもう海のそばまで山が入り込んで來ておりますために、わずかのそういう平地を利用いたしまして、水産業を営んでおる住民が相当多数あるのでありますが、網干場、船揚場がないという関係から、実は少し大げさになりますけれども、そういう漁民はもう山の中にでも移住しなければならないような現象も、まさに現われようとしておるような状態でございます。今度の予算につきましても、まだ原因がはつきり確かめられないという点もあつたことと思いますが、そういう意味においては、ほとんど予算的な処置が講ぜられておらないことは、きわめて遺憾でございます。この点につきましては、安本並びに建設省ともに、すでに係官を御派遣くださいまして、現地の実情は、私が喋々申し上げるまでもなく、十分御調査くださつておる関係もございますので、ぜひともこれに対する対策につきまして、予算的な処置を講じていただくように、今後格段の御努力を要請いたしまして、私の質問を一應終りたいと思います。
  33. 志賀健次郎

    ○志賀委員 第一点、六十億円の災害復旧費の内容を、さらに各府縣別に承知いたしたい。大体の腹案はおありであろうと思いますから、委員長を通して資料を要求いたしたいと思いますが、何分おとりはからいを願いたいと思います。  第二点、安本の建設局次長河川局長両氏が見えておられますから、お尋ねいたしたいのでありますが、岩手縣と、宮城縣災害の中心は、何と申しましても北上川の問題であります。仄聞するところによると、北上川の根本的な治水に関する委員会などが建設省にできているということを聞いております。北上川の根本的な治水問題に関する委員会の具体的な進捗状況、あるいは見通しなどについて、この際伺いたいと思うのであります。この六十億の災害復旧費の一環として計上されていると思うのでありますが、根本的な対策を承りたいと思います。
  34. 目黒清雄

    目黒説明員 北上川の根本対策は、昨年の水害以來、治水調査委員会をつくりまして、ただいまは技術的な檢討をやつているはずであります。委員のメンバーは主として河川の権威者を網羅しておりますが、数回委員会を開きまして、ただいまのところは最後の技術的の委員会案ができ上ろうとしております。もう一回ぐらいの委員会で案はまとまるだろうと思いますが、これはほんとに技術的な関係でありますから、さらに地方的な問題にこれを移さなければならぬと思います。岩手縣宮城縣両縣の知事に対しまして、これらの意見を問わなければならぬ段取りと考えております。御承知通りに、上流は堰堤を数箇所に設けて貯水する。下流はできるだけ現在の川幅をもつて、障害物その他を除去して、下流に流し得るだけ流して行くというのが骨子であります。それでこの六十億の災害復旧費が、根本対策といかなる関係を持つかということになりますと、これは大体において現在こわれているのを應急的復旧するというのが目的であります。これを根本対策の線に乘つて要求いたしますと、非常に厖大な災害復旧費になるのであります。しかしながら、せつかく災害復旧をやりましても、これが根本対策の一環と相反するようなことになりましては非常に國費のロスでありますから、一ノ関問題は磐井川と北上川の関係を十分考慮しまして、將來北上川改修が完成するまで一ノ関は北上川の氾濫を防ぐように、その周囲に囲繞堤を設ける考え方で今進んでおります。災害復旧費としてその部分は要求してあるのであります。ただ六十億ですぐ完成できないことは遺憾でありますが、少くとも來年の出水まではある程度事業を起し、一ノ関を來年も再び今年のような惨害にあうことから防除しようというつもりで現在進んでおります。
  35. 椎熊三郎

    椎熊委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後零時四十一分散会