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1948-12-03 第4回国会 衆議院 議院運営委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年十二月三日(金曜日) 午後一時三十八分
開議
出席委員
委員長
山口喜久一郎
君
理事
石田 博英君
理事
細川
隆元
君
理事
椎熊
三郎君
理事
田中
久雄君 東
舜英
君 今村 忠助君 木村 公平君
佐々木秀世
君 笹口 晃君
田中
織之進君 安平 鹿一君
小島
徹三
君
高橋
禎一
君 坪川 信三君
長谷川政友
君
安田
幹太
君 内藤 友明君
成重
光眞
君 堀江
實藏
君 榊原 亨君
委員外
の
出席者
議 長 松岡 駒吉君 副 議 長
田中
萬逸
君 議 員 北 二郎君 議 員 徳田 球一君 事 務 総 長
大池
眞君 法 制 局 長
入江
俊郎君 十二月三日
委員小島徹三
君及び
櫻内義雄
君辞任につき、そ の補欠として
安田幹太
君及び
高橋禎一
君が
議長
の指名で
委員
に選任された。 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
議員芦田均
君、同
北浦圭太郎
君及び同
川橋豊治
郎君の
逮捕
について
許諾
を求める件
國政調査承認要求
に関する件
選挙法改正
に関する
特別委員会設置
に関する件 明日の本
会議
の
議事
に関する件 —————————————
山口喜久一郎
1
○
山口委員長
これより
会議
を開きます。
地方行政委員会
及び
農林委員会
から、
國政調査承認要求
の件について
議長
からの諮問があります。
事務総長
から
説明
をお願いいたします。
大池眞
2
○
大池事務総長
地方行政委員会
から
委員長
の名前で、
國政調査承認
の
要求
が参
つて
おります。
調査事項
は
警察制度
、
消防制度
、
地方財政
、
地方自治
及び選考に関する
事項等
を
調査
いたしたいという申出であります。
農林委員長
からは
國政調査
といたしまして食糧、蚕糸、畜産、林業、開拓、
土地改良
、
農業課税
及び
農林金融
その他
農政一般
を調べたいというのでございます。
山口喜久一郎
3
○
山口委員長
別に御発議はありませんか。——それではただいまの
國政調査承認要求
の件は、これを
議長
において
承認
すべきものと答申することに御
異議
はございませんか。
山口喜久一郎
4
○
山口委員長
御
異議
がない
よう
でありますからさ
よう
に
決定
いたします。 —————————————
細川隆元
5
○
細川
(隆)
委員
法制局
の御
説明
を聞く前に、ちよつと御相談を願
つて
おきたい。明日
施政方針演説
がありますから、日曜に
質問
をするか、日曜を休んで月曜に
質問
をやるか、これをおきめ願
つて
おきたいと思います。
山口喜久一郎
6
○
山口委員長
それでは明日の
議事日程
を
議題
に供します。しこうして明後五日の日曜日は本
会議
を開くやいなやについての御
意見
を求めます。大体本
委員会
の
空氣
としては、五日は休みたいという
よう
な御
意見
の
よう
に承りますが、五日の日曜日は本
会議
を開かないということに御
異議
はありませんか。
山口喜久一郎
7
○
山口委員長
御
異議
がない
よう
でありますから、日曜日は本
会議
を開かないことに
決定
いたします、なお念のために申し上げておきますが、明日は定刻より本
会議
を開くことに
決定
いたします。 —————————————
山口喜久一郎
8
○
山口委員長
それでは
議員芦田均
君、
北浦圭太郎
君及び
川橋豊次郎
君の
逮捕
について
許諾
を求める件を
議題
といたします。 前会の
委員会
の
決定
に基きまして、本日は
法制局長
から
本件
に関する
意見
を聽取することにいたします。
入江俊郎
9
○
入江法制局長
それではお求めによりまして、
本件
について
法制局
で研究いたしました
法律
上の諸点について報告申し上げたいと思います。今お手元に
関係
ある
法文
をお配りいたしましたが、それらの
法文
にも触れてお話いたしますので、
参考
にごらんを願いたいと思います。 お話を大体
三つ
に分けまして、第一番目には、
憲法
第五十條のいわゆる
國会議員
の不
逮捕特権
というものについての
法律
上の考え方について申し上げ第二番目には、
本件
の
許諾
を要するか
いなか
につきまして、本
委員会
としてはどういう点を
審議
すべきであるかという点についての
法律
上の
見解
を申し上げたいと思います。第三番目には、具体的本事案につきましての
法律
上の
見解
を申し上げて、御
参考
に供したいと考えております。
憲法
第五十條のいわゆる
國会議員
の不
逮捕特権
につきましては、
國会
の
職務
の
独立性
を保障して、それが他の権力のために妨げられることのない
よう
にするという
意味
であることは、
本條
の
條項
が、
近代立憲主義
、
憲法
に廣く認められるに
至つた由來
とか、あるいは
本條
の解説としてわが國に廣く行われている
学説等
を見ましても、さ
よう
にな
つて
いると思うのであります。ただ
本條
は、
國会議員
の
職務
を保護するために、
議員
をして絶対に
刑事
上の
不可侵権
を有せしめるという
趣旨
ではなく、
行政権
または
司法権
の側よりの
要求
と、
立法権
の側よりの
要求
とを
比較考量
いたしまして、そのいずれの
要求
をより重しとするかによ
つて
決せらるべき
事柄
ではないかと考えるのであります。 そこで、この
法文
の適用に当りまして、第一に
犯罪
の
嫌疑
が確実であるというだけでは、当然に
逮捕
の
許諾
を與えるべきものではないのであ
つて
、さらに、その要疑者につきまして
強制收容
をしなければならといという
よう
な、
逮捕
をすることの
必要性
が存在しなければならぬと思います。この
逮捕
を
許諾
する場合に、單に
犯罪
の
嫌疑
が確実だというだけではなく、さらに
強制收容
をしなければならないというだけの
必要性
がなければならないというふうに考えるべきだろうと思うのであります。このことは、
憲法
第五十條の
規定
、それから
現行刑事訴訟手続
におきまして、
身柄
を拘束し、公訴を提起いたしますその間において、最初まず
檢察官
から、
犯罪
を疑うに足る
相当
の
理由
があるときは、
裁判官
の
逮捕状
を得て、これを
逮捕
することができますけれ
ども
、
逮捕
されたならば、七十二時間以内に
檢察官
が
裁判官
に
勾留状
の請求をしなければならないというふうにな
つて
おります。その
勾留状
の
発付
については、
刑事訴訟法
第八十七條及びその準用によりまして、
被疑者
が定
まつ
た住居がないとき、あるいは
証拠湮滅
のおそれがあるとき、または
逃亡
し、またはそのおそれがあるとき、というふうな、いずれかの
要件
が原則としてなければならないという
よう
にな
つて
いる
よう
であります。 そこで、この
憲法
の
逮捕
と申しますのは、
刑事訴訟手続
によりますと、
逮捕
のほかに
勾留
という
よう
な観念を用いておりますけれ
ども
、
憲法
第五十條の
逮捕
というのは、
逮捕状
の
発付
と、それから引続いて
勾留状
の
発付
という
よう
な、
双方
を含めて身体の自由を拘束することを
意味
します。
從つて
、
逮捕許諾
をする場合におきましては、單に
犯罪
の確証があるというだけでなくして、今申しました住居不定であるとか、
証拠湮滅
のおそれがある場合とか、あるいは
逃亡
のおそれがある場合とか、そういうことがあるかないかを
判断
して、そうして
許諾
をするということにな
つて
行くべき筋合のものであろうと思うのであります。 しかし、もう
一つ
附け加えて申し上げておきたいと思いますことは、
犯罪
の
嫌疑
が濃厚であるという
よう
な
心証
とともに、また
証拠湮滅
あるいは
逃亡
のおそれがある
よう
な
心証
を得ました上で、さらに
國会
といたしましては、そういう
檢察廳
の
要求
と、
國会
の
審議権
の
確保
の
要求
と、その二つを
比較考量
いたしまして、しかる後に
許諾
か
いなか
を決すべきものではないかと考えているのであります。 これらにつきましては、いろいろ
学説
はありますが、それを紹介することは省略しますけれ
ども
、
結論
として申しますと、大体さ
よう
に考えるのであります。 ただ、これにつきましては、いささか
学者
の間に異論がありまして、
國会
の
立場
を考えるということは
憲法
第五十條の
趣旨
ではないので、
犯罪嫌疑
が濃厚で、しかも
証拠湮滅
または
逃亡
のおそれあることが確認されますれば、そのときはただちに
許諾
を與うべしという
よう
な説をなす者があ
つて
、たとえば
美濃部博士
のごときはそうでありますが、しかし、それに対して、
学者
及び実際家の
方面
の御
意見
では、必ずしもそうではなくして、その上にさらに
檢察廳側
の
要求
と、
國会側
の
要求
との
双方
を比較研究した上で、
冷靜
に、かつ賢明に
判断
すべきものであるという説がございます。私
ども法制局
といたしましては、その
あと
の説の方が妥当ではないかと思いますけれ
ども
、これらの点につきましては適当に御
判断
を願いたいと考えております。 次に、
本件許諾
を決するに当
つて
、本院としてどういう点を
審議
すべきかということについての
法律
上の
見解
を申し上げたいと思います。 前提として申し上げたいことは、本院といたしましては、
許諾要求書
に現われました
事柄
についてのみ
判断
すべきであることは、いうまでもないと思います。もちろん、
右要求書
に現われました
事柄
につきましても、実態を明らかにするために、ある
程度
調査
研究することは必要でありまし
よう
けれ
ども
、
調査
の道行きで述べられた
事柄
であ
つて
、
要求書
には直接出ておらぬ
事柄
は、
判断
の対象とすべきものではなかろう。これは当然のことでありますが、順序として申し上げたのであります。そこで、その
範囲
内で本院が
審査
をするといたしまして、その場合問題となるのは次の
三つ
になると
思つて
おります。 第一に、
要求書
に現われました
事柄
について、それがはたして
犯罪
としての
法律
上の
要件
を備えておるかどうかという点について
審査
をする必要があるのではなかろうかと思うのであります。すなわち、
要求書記載事項
が、
法律
上の段取りとして、とうてい
犯罪
を
構成
するだけのものでないというふうに考えられますならば、それは
要求書
としての
意味
をなさないのでありますから、これについての一應の
判断
をすべきであろうと思います。しかし、これは
法律
上の
要件
の
有無
ということでありまして、はたしてこれがほんとうに
犯罪
となるかどうかは、この事実
関係
がどうな
つて
いるかということにかか
つて
おりますので、結局これは
裁判所
の判定すべき
事柄
であろうと思いますから、ここではまず、その
法律
上の
要件
の
有無
という
よう
な点を中心に、考うべきである、か
よう
に考えております。 そこで、その
法律
上の
要件
があるというふうに考えられました場合において、第二に、本院は、
檢察廳側
の
要求
と
國会側
の
審議権確保
上の
要求
と
比較考量
して
判断
をすべきであろうと思うのであります。この点先ほど申し上げました
よう
に、
学説
としてはそこまで行かないのだという説もありますけれ
ども
、一
應私ども
は、多数の説によりまして、
比較考量
してさしつかえないのではなかろうかと思うのであります。この場合、
檢察廳側
の
要求
といたしましては、どういう点を見たらいいのかという点は、たとえば第一に、その
犯罪
の
罪質
の軽重、またその行為が明白な
破廉恥性
、
不道徳性
をも
つて
いるという
よう
なことで、これを
逮捕
せずに放置しておくことが
社会通念
上許されないと考えられるかどうか。第三には、
当事者
が
証拠湮滅
のおそれがあり、または
逃亡
のおそれがありまして、どうしても
檢察当局
が捜査上
身柄
を拘束することが必要であるかないか、その切実さの
程度
を一方の
標準
として、
檢察廳側
の
要求
と考えることができ
よう
と思います。それからそれに対應しまして、
衆議院側
といいますか、
國会側
の
要請
といたしましては、議院における
審議権
を
確保
するということでありまして、言いかえれば、
國会
は
主権者
たる全
國民
の代表であ
つて
、
從つて衆議院
の
審議
及びその
意思決定
というものが、常に適正に
國民
の総意を具体化するものでなければならぬ。これを
確保
することが
國会側
の
要求
だと思います。たとえば
議員
の
逮捕
ということによりまして、
衆議院
の
構成
に大きな
影響
を受けます。そのために
衆議院
の
審議
が支障を生ずるということ、これは私の
一つ
の考えでありますけれ
ども
、たとえば、そのときの政党の
分野
は
與党
と野党とで非常にすれすれであ
つて
、一、二の人が
逮捕
されることによ
つて衆議院
の本
來的意思
がまるでかわ
つて
しまうという
よう
な場合、そのときは、相なるべくは
議員
の
逮捕
をしばらく延してでも
衆議院
の
構成
に変動をさせない
よう
にして、
衆議院
本來の
意見
をまず成立させるという必要があろうかと思います。また、その
当事者
の
國会
の役員としての
地位
の重要さということも、その場合
参考
になるかもしれないと思います。 要するに、そういつたわけで、一方
檢察廳側
の
要請
と、一方
國会側
の
要請
とを賢明に
比較考量
いたしまして、その上に
逮捕
を
許諾
するがいいか、あるいは拒否することがいいかということを、
社会公共
の福祉に適合するかどうかという
標準
に合せながら
決定
して行くべきであろうというふうに考えております。ただ、この第二の
比較考量
に入
つて
後の問題は、
法律
問題ではないのでありまして、この点は、
議員
各自におきまして、あらゆる面を総合的に
判断
しておきめを願うべき、裁量の
範囲
の問題かと
思つて
おります。 最後に、
本件
の具体的の問題につきまして、
法律
上の
見解
を一應申し上げてみたいと思います。 第一に、
本件
の
要求書
に現われておりまする
事柄
を総合しまして、
犯罪
の
法律
上の
要件
を備えているかどうかという点であります。この
要求書
によりまして、
事柄
を分析しますと、まず
芦田
氏に対しましては、
昭和
二十二年六月から二十三年三月まで
外務大臣
として
閣僚
であつたということが
一つ
の
標準
である。第二には、
予算案
その他
内閣
の
職権
に属する
事項
に関し
審議
決定
する等の
権限
を有した。これが第二の要点であります。第三に、二十二年十月下旬に、岡という人から
床板納入代金
の
政府支拂い
、それから
日本興業銀行等
からの
融資等
に対して便宜の取扱いを受けたということに対する謝礼、それからまた、今後も同様の扱いを受けたいという
趣旨
のもとに提供された
現金
の
供與
を、その情を知りながら受けた。こういうことにな
つて
おります。 そこで、
本件
はいかなる
理由
で公務員の
職務
に関する
犯罪
であるということを考えてみる必要が起
つて
來るのであります。
要求書
によりますと、
外務大臣
として
閣僚
であ
つた者
が、
内閣
の
一員
として、
予算案
その他
内閣
の
職権
に属する
事項
に関し
審議
決定
する等の
職務
に該当するという点において、
閣僚
としての
職務
をあげているのであります。しかし、この岡という人から多額の
現金
の
供與
を受けたというのは、その岡という人に対する
政府支拂い
の促進であるとか、あるいは
興銀融資等
に関してでありまして、これらの
具体的事柄
は、
行政事務
の
方面
から言うと、本
來外務大臣
の
所管
ではないので、ほかの
大臣
の
所管
に属していることは明らかであろうと思います。すなわち、自己の
所管行政
に属しない
事柄
について
現金
の
供與
を受けたという
事柄
と、それから
閣僚
の一人として
閣議
に参加したということとの間に、どういう
職務
上の
関係
があるか、ここに
一つ
の問題があると思うのであります。もし、その間に
法律
上の
関連
がないということになりますと、
本件
はいわゆる
收賄罪
の
成立條件
を欠くことになる
よう
な氣がするのであります。 これについて、いろいろ検討いたしましたが、
結論
から申し上げます。まず
憲法
第六十五條によりますと、「
行政権
は、
内閣
に属する。」とな
つて
いる。それから
内閣
は、
憲法
第六十六條第一項によりまして、首長たる
内閣総理大臣
とその他の
國務大臣
でこれを組織する
合議体
であるということにな
つて
おります。また同條第三項によ
つて
、
内閣
は
連帶責任
を負うというふうにな
つて
おります。すなわち
内閣
という
合議体
は、
行政権
を持つものでありまして、いわば
内閣
という
合議体
が
行政
上の最
上位
の
機関
ということに、
憲法
上及び
内閣法
上な
つて
いると思います。この
趣旨
は、
内閣法
の第一條、第二條にも示されているのであります。なお
内閣法
の第四條によりますと、「
内閣
がその
職権
を行うには
閣議
によるものとする。」ということにな
つて
おります。また、
内閣法
第四條の第三項によりますと、「各
大臣
は、
案件
の如何を問わず、
内閣総理大臣
に提出して、
閣議
を求めることができる。」というふうにな
つて
おります。なお附け加えて申しますと、
内閣法
第三條第一項は、「各
大臣
は、別に
法律
の定めるところにより、主任の
大臣
として、
行政事務
を
分担管理
する。」ということにな
つて
お
つて
、いわゆる
行政大臣
の
地位
を認められておりますが、なお
内閣法
第六條では、「
内閣総理大臣
は、
閣議
にかけて
決定
した
方針
に基いて、
行政各部
を指揮
監督
する。」ということにな
つて
いる。その場合の
行政各部
の中には
各省大臣
も含むと解せられておるのであります。 以上申し上げました
憲法
及び
内閣法
の
條文
を通覽いたしますと、新
憲法
の上の
内閣
が、
行政権
をつかさどる
合議体
としての最
上位
の
行政機関
であるということ、それから
行政権
をさらにわけまして、
國務大臣
に
分担管理
せしめているということにな
つて
いるのであります。そこで、
内閣
が
閣議
におきまして
審議
決定
する
事柄
は、廣く
國務大臣
の
分担管理
する
行政
の
範囲
にわたり得るのでありまして、決して
行政大臣
としての
分担管理
の任務の
範囲
に限らず、
閣議
としては廣く
行政
を
審議
できる、そうして
國務大臣
は、その
國務大臣
が一面において
行政大臣
としてどういう
職務権限
を持つとしても、
閣僚
としては、平等の
立場
で、
内閣
の
一員
たる
立場
において行動するのであ
つて
、
所管行政事務
とは直接この場合
関係
がない
よう
に思うのであります。それですから、
外務大臣
であつたということを離れまして、
内閣
の
一員
として
閣議
に列席して、
行政事務
を
審議
するという面におきましては、
所管大臣
としての
分野
を離れて、すべての
國務大臣
がその
権限
を持
つて
いる、
職務
を持
つて
いるということになろうかと思うのであります。それですから、もしその
閣僚
の一人が、どういう
行政事務
につきましても、その
閣議
できめた
よう
な
事柄
について
賄賂
を收受することがありますれば、
收賄罪
というものは成り立ち得るものであろうと一應考えられるのであります。ただこの場合問題になりますのは、
閣議
というものは、そう細かいことをきめるものでない、まず
一般方針
をきめる。しかるに、
收賄
をしたというふうな
事柄
は、おそらく
特定
の問題に限
つて
いるのでありますから、
閣議
でそういう一般的な
事柄
をきめた、またきめ得るということだけで、ただちに
特定
の
事柄
について金をもらつたという
事柄
が
職務
上の
犯罪
になるかどうかは、
一つ
の疑問があります。これは実は実体問題に
関係
するので、
法律
問題の裏にある問題でありますが、もし
閣議
において、その
特定
の問題をも含めた
意味
の
閣議決定
をしておれば、これはもちろん問題はありませんが、ただ漠然と、廣い
意味
の
閣議決定
をしたということで、いかなる場合にも
收賄罪
が成り立つかという問題になりますと、この点は疑問をさしはさむ
余地
があるのではないかと思いますけれ
ども
、これは事実問題に属しますので、これ以上私としては申し上げることはできないのであります。 それから、もう一、二申し上げますが、
本件
の問題としている
床板納入代金
の
政府支拂い
について考えてみますと、
床板納入代金
というのは、
進駐軍関係
の工事に関するものでありますから、
特別調達廳
の
所管行政
でありまして、
特別調達廳
というのは、
所管
の
行政大臣
が今日の
構成
のもとでは
内閣総理大臣
ということにな
つて
おります。しかし、これにつきましても、先ほど申し上げました
よう
な
意味
におきまして、
内閣
はその
職権
を持
つて
いるのであります。しかし、また
財政法
の第十
八條
及び第三十四條第二項を見ますと、
政府支拂い
の
計画
の
承認
に関する
方針
は
閣議決定事項
であるという
よう
にきめられております。言いかえれば、
大藏大臣所管
の
財政
に関する
事項
も、また
内閣総理大臣所管
の
特別調達廳関係
の
政府支拂い
に関する
事項
も、みな
閣議
においてこれを取扱い得ることにな
つて
おるのであります。 か
よう
な次第で、
要求書記載
の件の中で、
床板納入代金
に関する
事項
は、結局において
閣議
で扱い得る
事項
でありますから、もしも
閣僚
の一人が、それに関して
賄賂
をもらつたということになれば、
職務犯罪
になり得るわけでありますけれ
ども
、これは先ほど申しました
よう
に、そういう
特定
の件について金をもらつたということが、
政府支拂い
の
方針決定
という
よう
な一般的な
閣議決定
とどう
関連
するか、すなわち
政府支拂い
の
計画承認
に関する件、あるいはこれに
関連
して何か
閣議決定
があつたかもしれませんが、その中に具体的にそれが存在し、また通常存在し得る
よう
な
事柄
であつた場合には、
職務
上の
犯罪
としての
関係
をうかがい得ますけれ
ども
、それがないということになると、
職務犯罪
としての
犯罪成立
に
一つ
の疑いが生じて
來よう
かと思います。しかしこれは先ほど申し上げました
よう
に事実問題でありますから、これ以上は申し上げられないのであります。 それから、
本件
のもう
一つ
の問題、
興銀
の
融資
でありますが、
興銀
はいうまでもなく
國家機関
ではないので、ただ
興業銀行法
第十
八條
で「
政府ハ興業銀行
ノ
業務
ヲ
監督ス
」ということにな
つて
いる。ここにいう
監督
は、指揮したり命令したりすることではなくて、実際には
監理官
が派遣せられて
業務
の状況を監査するという
程度
のものであるそうであります。そこで、この
監督
のやり方につきましても、
所管大臣
としては
大藏大臣
でありますけれ
ども
、それについて
閣議
を行うということは、先ほど申しました
内閣法等
の
規定
で可能であります。ただ
興銀
の
監督
に関する
事項
を、
現行法
上
閣議決定事項
とは定めてありませんから、
大臣
が必要と
思つて
これを
閣議
に提出した場合に
閣議事項
となるわけでありますけれ
ども
、とにかく
閣議
で扱い得る
案件
であるとは言い得るのであります。ただこの場合、やはり
閣議
で
監督
の
方針
をきめたといたしましても、それはただ
大藏大臣
が
興銀
を
監督
する場合の
方針
だけでありまして、それに
從つて大藏大臣
が
興銀
を
監督
するとしても、
融資
をせよとか何とかいうふうな
指揮命令
をするわけのものではないのでありますから、こういつた
程度
で
閣議決定
をしたというだけでは、
興銀
の
融資そのもの
について、はたして
法律
上の
連絡
または
影響
をもつかどうか、これはやや疑問であります。 ただ私
ども
が調べましたところによりますと、お手もとにお配りした中にも入
つて
おりますが、
金融緊急措置令
という
規定
がありまして、それの第六條とか、あるいはそれの
施行規則
第十三條によりますと、
金融機関
に対して、
大藏大臣
は
相当程度
の
指揮命令権
を持
つて
おります。ですから、この
具体的案件
がそういうことに
関連
があつたかどうか知りませんけれ
ども
、そういつたことに
関連
して
閣議決定
がなされたとすると、あるいは
興銀融資
についても、
閣議決定
との間に
法律
上の
連絡
、
影響
を認め得るのではないかとも思われるのであります。そこで、これは仮定でありますけれ
ども
、もしそうだとすれば、その
興銀融資
の
金融緊急措置令関係
の
事柄
について
賄賂
をもらつたということになれば、
閣議決定
をいたしたということだけで
職務
に関する
犯罪
ともなり得る
余地
がある。そういうふうに考えております。 なお、申し上げるまでもなく、
收賄罪
につきましては、いろいろ
学説
がありまして、要するに
相当
廣く解釈することが從來の
学説
、判例であ
つて
、
職務
に関して、たとえば
職務
を執行する前であろうと、執行した後であろうと、
收賄
して、
あと
で
職務
を執行しないで終
つて
し
まつ
た場合にも、なお
收賄罪
が成立するということが、まず一般的に認められている
よう
であります。 以上が、本院として
審議
すべき場合の第一点としての
犯罪成立
に関する問題であります。 第二点の、
必要程度
を
比較考量
するということでありますけれ
ども
、これは先程も申し上げました
よう
に裁量問題でありまして、
法律
問題ではありませんので、今まで申述べました
法律
問題を一應の
参考
として、その上で十分に実態
関係
なり、あるいはまた諸般の事情なりを勘案する賢明な
判断
によ
つて
、おきめを願うべき問題かと思うのであります。 以上申し上げましたところは、
法制局
におきまして、
専門
の人々と
共同研究
をいたしたほか、
國立國会図書館
、それから
東京大学方面
、また
最高裁判所方面
、
檢察廳方面
の
専門家
の
意見
を徴しまして、それを総合して申し上げた次第であります。以上御報告申し上げておきます。
山口喜久一郎
10
○
山口委員長
ただいまの御
説明
について、この場合御質疑等はございませんか。
細川隆元
11
○
細川
(隆)
委員
先般來本
委員会
で愼重にすべての
法律
関係
なんかも調べたということでありますが、その中に
國会議員
の
地位
の問題も
関連
して來る
安田
君の発言等もございましたが、
本件
とは直接
関係
ないんですが、やはり
國会議員
の
職務権限
という問題等も私
ども
としてもあわせて考えておく必要があると思いますが、
政府支拂い
は國家予算として、終戰処理費その他の中から出て來るので、
國会
でこれを議決する。
國会
は御承知の通り両院をも
つて
組織され、その両院は各
議員
によ
つて
組織されているので、この
合議体
が
決定
する。そうすると
國会議員
がもしも業者の支拂いに関していろいろ依頼を受けてその
政府支拂い
を含む予算は、「よろしいおれたちがなるべく削減せずに一生懸命通過する
よう
にし
よう
」という
よう
な話合いがあ
つて
、その予算が成立前後において業者から謝礼の
意味
で金がまわ
つて
來たという場合は、やはり法制上の建前から見ると、
内閣
の
職務権限
と同じ
よう
な解釈が出る
よう
な印象を受けるんですが、その点はどう考えておられますか。
入江俊郎
12
○
入江法制局長
その点は刑法の解釈問題としては、むずかしいところだろうと思います。
内閣
は
合議体
の
行政機関
でありますけれ
ども
、これが單独の
行政機関
であつた場合には、その
職務
に関して金をもらえば
收賄
ということが割合に明瞭なんですが、
合議体
であ
つて
も、
行政機関
として
行政
を執行して行く面について
收賄罪
は成立いたしますが、しかし
合議体
が、ある
意思決定
をするというときに、それに
関連
して金をもらつたということは、おそらくそのもらつたときの状況とか
当事者
の
意思決定
の解釈が非常な要点にな
つて
、ある場合には
犯罪
が成立し、ある場合には
犯罪
が成立しないというふうなことになるんじやないかと思います。
細川隆元
13
○
細川
(隆)
委員
犯罪
が成立する場合もあり得るんですね。明白に、よし君の政府支拂の予算はぜひとも通過させてやる、一生懸命努力するとはつきり言
つて
、それならばあなたに百万円やるということで、非常に形式上の請託
関係
がはつきりしている場合ならば、
國会議員
の場合もやはりその解釈が当てはまり得ることになりますか。
入江俊郎
14
○
入江法制局長
それに対して、私としてははつきりとしたお答えはできません。
木村公平
15
○木村(公)
委員
國民
が法の前に平等であるということですが、特に不
逮捕
の法規がありますのは、先ほどあなたの御
説明
中には
檢察廳
の
要求
と
審議権
との比較という問題にな
つて
來るだろうと思いますが、
國民
は一切法の前に平等でなければならぬけれ
ども
、特に
國会
において不
逮捕
の法規ができましたゆえん並びに
衆議院
法制局
においては、不
逮捕
のこの法規をどの
程度
まで強く尊重しておられるのか、あるいはどの
程度
までこれを考えておられるのか、その点についての御
説明
を願います。
入江俊郎
16
○
入江法制局長
先ほど申し上げました
よう
な
趣旨
でありますけれ
ども
、これにつきましては、やはり
学説
としては二つある。すなわち
國会側
の
立場
から、
司法権
または
行政権
の濫用ということがない
よう
に、すなわち
行政権
なり
司法権
なりの濫用から
立法権
を保護するのだという考え方が
一つ
の説なんです。もう
一つ
は、
立法権
の
立場
からその
審議権
の
確保
をはかるということをまずねらいにして、それに
関連
して
行政権
なり
司法権
なりからの
影響
というものを避ける、この二つの考え方があると思いますが、
あと
の方の考え方は、すなわち
國会側
の
審議権
を中心にした考え方と思います。私
ども
はそういう考え方が妥当ではないかと考えております。
佐々木秀世
17
○佐々木(秀)
委員
ちよつとお聞きしておきます。先ほどの
審議権
としての法的の解釈という中に、
一つ
の立体的の
説明
があつたんですが、もし
逮捕
によ
つて
わずかの相違によ
つて
その
審議
が左右されるという人的の
構成
問題、いわば、野党、
與党
の数がごく接近して、その人を
逮捕
することによ
つて
、その
審議権
が左右される場合についての局長の
説明
があつたんですが、そういう場合と野党、
與党
がかけ離れた場合の法的解釈は違うのですか。
入江俊郎
18
○
入江法制局長
それはただ
一つ
の例として申し上げたのであ
つて
、
與党
と野党の数がかけ離れたという場合には一票の差がどうということは起らないかもしれません。けれ
ども
國会
として本來その
構成
員は構所員としての職能を果すことが望ましいと思うので、それを強制的に連れて行かれてしまうというためには、どうしてもそれをしなければならぬ
よう
な
檢察廳側
の切実な
要求
があるかどうかということを勘案いたしまして、
判断
すべきであろうと思います。
木村公平
19
○木村(公)
委員
ちよつとお伺いいたします。先ほどのお話の中に、われわれは
要求書
に現われたる事実のみをも
つて
勘案すればよろしいのであ
つて
、これはもちろんそうでなければならぬと思いますが、一方これと相矛盾することは、
檢察廳
におきましては、
犯罪
の内容はなるべく他へ漏らさないのが原則である。たとえ非公開であろうと、他の
機関
にこれを漏らすということは、原則としては私は否定さるべきものであると思う。
從つて
そこに
檢察廳側
の苦心がありまして、おそらくここに現われたもののほか、一、二まだあるかの
よう
な口吻が先般の檢察長官の報告の中にも現われている。そこでこの矛盾を全部すべてをここへ露出できないという向うの状態、それからわれわれは露出できないということを知りながら、当面に現われたことのみによ
つて
判断
を下さなければならぬこの矛盾に対して、
法制局
はどういう
よう
な御
意見
を持
つて
おりますか。
椎熊三郎
20
○
椎熊
委員
先般この問題についてずいぶん突つこんだ
質問
としておりますが、最後の
結論
としては、木内さんのお話によると、要するにこの
決定
はこの文書に現われた限りこれによ
つて
判断
するものである。こういう意思表示があつた。それは今日といえ
ども
かわりがないということですか。
入江俊郎
21
○
入江法制局長
國会
に対して
内閣
側から
逮捕
の
許諾
の
要求
があつたのであり、その
要求
が文書によ
つて
示されているのでありますから、その
範囲
においてわれわれは
審議
すべきであり、その
範囲
以上にわたるということは、いささかわれわれの方で
審議
すべき
範囲
を逸脱する
よう
に思います。ただしかし現われた
事柄
と言いましても、これは文書で書いた抽象的な
事柄
でありますから、その内容はどういう
意味
かを研究いたしまして、それに
関連
する
事項
を
調査
するということはあり得ることでありますけれ
ども
、それと
まつ
たくかけ離れたことが、あるいは
審議
の途中で現われたといたしましても、それは
逮捕
要求
の中の問題ではない
よう
に思うということを申し上げたのであります。
堀江實藏
22
○堀江
委員
先ほどの
説明
の中に、
構成
の変更の問題について御答弁がありましたが、その
当事者
の院内における
地位
の重要性ということは、総裁であつたとか、あるいは何の
委員会
に属している方であつたとかいう
よう
な
意味
なんですか。
入江俊郎
23
○
入江法制局長
これは私個人の
意見
として申し上げたんですが、たとえば予算
委員長
をしてお
つて
、予算の
審議
が非常に紛糾しているというときに、ぽつと予算
委員長
がなくな
つて
しま
つて
、予算の不成立とか、あるいはおくれるという
よう
なことがあれば、
審議権確保
の面から考慮してもいいではないかという
よう
な考えで申し上げたのであります。
堀江實藏
24
○堀江
委員
総裁の場合は……。
入江俊郎
25
○
入江法制局長
総裁というのは
國会議員
としての
地位
ではなくして、むしろそうでない一般の政党人としての
地位
でありますから、そこまで私は考えて申し上げたのではなかつたのであります。
笹口晃
26
○笹口
委員
先ほど御
説明
のありました調達廳が、
内閣総理大臣
の
権限
というが、
特別調達廳
は本年に入
つて
できたもので、当時は建設省ではないですか。
入江俊郎
27
○
入江法制局長
特別調達廳
はこういうふうにな
つて
おります。
特別調達廳
の方は
法律
が二十二年の四月にできまして、施行されたのが二十二年九月一日であります。それまでは戰災復興院の
所管
にな
つて
おりました。
法律
は二十二年の四月に制定されて、五月に公布され、
特別調達廳
という法人ができましたのが九月一日であります。九月以前は戰災復興院と外務省の終戰
連絡
事務局で扱
つて
おりました。九月一日以降二十三年一月の末までは、九月一日以前に行われました政府支拂の若干のものにつきまして、残務処理として外務省で扱
つて
いたという事実はあります。
木村公平
28
○木村(公)
委員
ちよつとお伺いしておきますが、
審議権
の問題です。先ほどの言葉を聞いておりますと、
審議権
に重要度の軽重がある
よう
に思われるのですが、私
ども
國会議員
として
審議権
というものは軽重がなく、ことごとく尊重されなければならない。すべてがこれは重要なものである。たとえば予算
委員長
であるから、
審議権
がことに大きいとか、重いとか、強いとかいうものではない。予算
委員
は普通の
委員
諸君でも、万一その
委員
諸君が指摘することによ
つて
、國家
財政
に大きな
影響
を與えることもあり得るし、あるいはその一
委員
の指摘によ
つて
緩和是正されることがあり得ますから、
審議権
においては軽重はないのである。
從つて
國会議員
として
審議権
を平等に持
つて
いるということは、ともに平等に尊重されてよろしいと思う。特にたとえば具体的に申しましても、
芦田
さんの場合と北浦さん、川橋さんの場合の
審議権
は軽重があろうはずはない、同じ
よう
に尊重されていると思う。先ほどのお話に
関連
してこれをちよつと伺
つて
おきます。
入江俊郎
29
○
入江法制局長
私が先ほど申し上げましたことは、今のお話と矛盾はしないのでありまして、場合によ
つて
その
地位
いかんによ
つて
、
審議権
に
影響
のある場合もあろう。そういうときには考えていいことであ
つて
、普通の場合にはやはり平等に考えられることが本体かと思います。
山口喜久一郎
30
○
山口委員長
他に御質疑等はございませんか。
高橋禎一
31
○
高橋
(禎)
委員
今大体平等の
審議権
があるというお話であつたが、政党政治の建前をと
つて
いる國として、一党の総裁とか、重要な幹部と、平党員とを同じ
よう
に取扱うということは、ちよつと政治的には納得しかねる点がありますが……。
入江俊郎
32
○
入江法制局長
その点は
法律
問題ではございませんので、ただ私は例として申し上げたのでありまして、お話の点は
審議権
に
影響
があるかないかの点から御
判断
を願いたいと思います。
椎熊三郎
33
○
椎熊
委員
先ほどの政府支拂金の件ですが、
特別調達廳
に関する件は総理
大臣
の
権限
ですか、
大藏大臣
の
所管
ですか、ちよつと私聞き落しましたが……。
入江俊郎
34
○
入江法制局長
それは
興銀
の
関係
じやございませんか。
興銀
の
関係
は一應
大藏大臣
が主管
大臣
ですけれ
ども
、ただ
監督
という
よう
な漠としたものでありまして、先ほど言つた
よう
な
金融緊急措置令
でも発動すると、強い命令権が生ずるということを申し上げたわけです。
徳田球一
35
○徳田球一君 さつき
合議体
云々の問題で局長の答弁が非常に弱かつた。たとえば市
会議
員だとか、縣
会議
員だとかいうものは、あれは
まつ
たくの決議権です。ああいう場合でもたくさん
收賄
事件を起していると思う。それは問題はないので、要するに不当に利益を得る
よう
な場合は決議権であろうと、執行権であろうと問題はないと思うがどうですか。
入江俊郎
36
○
入江法制局長
それはその通りでして、
合議体
の場合ですと、
合議体
がある
一つ
のことをきめることだけで、ただちに直接
影響
を及ぼさない場合もあろうかと
思つて
、ああ申し上げたんですが、及ぼす場合はやはり問題になると思います。
徳田球一
37
○徳田球一君 要するに決議権でも、その結果が
特定
な人に対して不当の利益を及ぼす場合は、それは問題はないじやありませんか。
木村公平
38
○木村(公)
委員
そこに因果
関係
があるかないかの問題だと思う。
徳田球一
39
○徳田球一君 事実
関係
であ
つて
、抽象的に言えば問題はないじやないですか。
入江俊郎
40
○
入江法制局長
私も大体そう
思つて
おります。
徳田球一
41
○徳田球一君 だから
閣議
でその
決定
が
特定
の人に不当の利益を與えて、それから直接だろうと間接だろうと決議したものが、いわゆる
國務大臣
が利益を受ける場合は
犯罪
になることは、これは何ら疑いをはさむ
余地
はないじやありませんか。
椎熊三郎
42
○
椎熊
委員
不当の利益を與えた場合はおそらく問題はないと思うが、一般的に政府の仕事をして、支拂いを受けることは当然なので、それがおくれているのは政府が惡い。
徳田球一
43
○徳田球一君 私は具体的な問題を言
つて
いるのではない。今の論議は抽象的な問題だから、その抽象的な問題を言
つて
おるんです。今のは何も
芦田
君自体に対して言
つて
いるのではない。そういう執行権と決議権、合議
機関
との問題が出ていたからそれを言つただけです。それは間違いないでし
よう
。
入江俊郎
44
○
入江法制局長
執行権の場合はきわめて明瞭な場合が多い。決議権の場合は不明瞭なことが多かろうということを申し上げたつもりであります。
高橋禎一
45
○
高橋
(禎)
委員
先ほど
職務
関係
と因果
関係
のお話があつたんですが、それは直接たると間接たるとを問わずに、いわゆるそこにやはり
社会通念
による因果
関係
、その点に
一つ
の限界があると私の方としては考えておりますが、その点はいかがですか。
入江俊郎
46
○
入江法制局長
私も同じ
よう
に考えております。ただそれは事実問題で結局解決されると思います。
笹口晃
47
○笹口
委員
この間私
質問
して、今
椎熊
君が言われた問題ですが、自分たちの納入代金の支拂いがおくれていたから、これを請求して納入代金を受けるということは、自分の権利を主張したのであ
つて
、特に利益を受けたということには、われわれは納得いたしかねるのでありますが、やはりこういう場合にも利益を受けたということになるのですか。
入江俊郎
48
○
入江法制局長
收賄罪
は贈賄した人に利益がなくても、
職務
に関して何かしてもらいたいということで金をやれば、それで成立するそうであります。
山口喜久一郎
49
○
山口委員長
他に御質疑はございませんか。——それでは
法制局長
から
意見
を聞くのはこの
程度
にとどめておきたいと思います。御苦労でした。 —————————————
安田幹太
50
○
安田幹太
君
事務総長
に伺いたいのであります。前の議会時代に
國会議員
が
逮捕
された先例がありますか。
大池眞
51
○
大池事務総長
第一回
國会
のときには從來閉会中に
逮捕
を受けてお
つた者
がそのまま入
つて
いた。それはもう
國会
が始まれば当然釈放しなければならぬ。それであるのに相かわらず入れておいた。だからそれを釈放せよという決議を出したんです。それが前から引続いた者は司法の手続きを中止することはできぬから、
要求
があ
つて
もできぬという司法
大臣
からの回答があつたのでして、そういう例はありますが、
國会
が始ま
つて
から
犯罪
があつたとして
逮捕
の
要求
があつたという例はちよつと覚えておりません。さつそく調べさせます。
安田幹太
52
○
安田幹太
君 もしございましたら、その
犯罪
の
嫌疑
内容はどういうものであつたかをお知らせ願います。
大池眞
53
○
大池事務総長
ちよつと
安田
さんにお答えいたしますが、從來
逮捕
要求
があつたかということですが、從來の
規定
は内乱外患に関する罪と、現行犯以外は
逮捕
せられることなしというので、今はむしろ逆に今度の新
憲法
になりまして、古い
憲法
では
逮捕
されることはないということにな
つて
おりましたので、現行犯が議院内において行われて捕えられたということもありませんし、内乱外患罪のために
逮捕
せられたという事例もございませんために、特に向うから会期中に
逮捕
を
要求
してきた事実はありません。
石田博英
54
○石田(博)
委員
なお事務当局にお聞きしたい。過日三名の方が見えたときのいろいろのお話で、任意出頭、自分の方から進んで行きたいという話がちよつとあつた
よう
に記憶するんですが、その三名の人は進んで出頭したという
よう
なことはあつたでありまし
よう
か。
大池眞
55
○
大池事務総長
それは私聞いておりません。
山口喜久一郎
56
○
山口委員長
ちよつと速記をとめてください。 —————————————
山口喜久一郎
57
○
山口委員長
建設
委員会
の
國政調査承認要求
の件について
議長
から諮問があります。これを
議題
といたします。
大池眞
58
○
大池事務総長
建設
委員長
から
國政調査
要求
がただいま参りまして、その
調査事項
は國土
計画
、地方
計画
、都市
計画
、治山治水事業、災害復旧、道路住宅復興等に関する
事項
、なお
進駐軍関係
の建設事業に関する
事項
、これらの
國政調査
をいたしたいというお申出があります。これを御協議願います。
椎熊三郎
59
○
椎熊
委員
この
國政調査
の中に治山治水、災害復旧、道路住宅復興等については災害地特別
委員会
と並行してや
つて
もいいですか。
大池眞
60
○
大池事務総長
これは災害地復旧の方ですから、ちよつとだぶりますけれ
ども
、國土建設
委員会
の一般事業として
調査
したいというのであります。
徳田球一
61
○徳田球一君 それはもう実際上すでにや
つて
おるんじやありませんか。区役所で聞くと大分その
調査
をや
つて
おる
よう
ですが。
大池眞
62
○
大池事務総長
建設
委員会
では議案があれば付託しますけれ
ども
、付託
事項
以外に一般
國政調査
ができることにな
つて
おりますから、この
國政調査
をする場合には、一應当
委員会
に諮問をしまして、
議長
の
承認
を経るという手続を取りに來たのであります。 なお大藏
委員会
から金融政策及びこれに
関連
する諸問題の
國政調査
をいたしたいという申出がありますから、この両件を御協議を願います。
山口喜久一郎
63
○
山口委員長
御
意見
はございませんか。——それでは建設
委員会
並びに大藏
委員会
の
國政調査承認要求
の件については、二件とも
議長
において
承認
すべきものと答申することに御
異議
ございませんか。
山口喜久一郎
64
○
山口委員長
御
異議
ない
よう
でございますから、さ
よう
に
決定
いたします。 —————————————
山口喜久一郎
65
○
山口委員長
次に選挙法に関する
特別委員会設置
の件を
議題
といたします。
本件
は昨日の
委員会
で各派の態度をきめて本日
決定
することにな
つて
おりましたが、この際各派からの御
意見
を承
つて
選挙法改正
の問題を特別
委員会
でやりますか、また
地方行政委員会
でやりますかを
決定
いたしたいと思います。
細川隆元
66
○
細川
(隆)
委員
われわれとしては、
地方行政委員会
で從來通り
審議
してもら
つて
十分だと思いますから、
特別委員会設置
の必要なし。但し小会派の方々の御出席は、
委員外
発言としてお願いしたいと思います。
椎熊三郎
67
○
椎熊
委員
わが党も賛成です。
成重光眞
68
○
成重
委員
これはきのう運営
委員会
で、そういうふうにきま
つて
おります。ただ農民党の中野君から御発言があつたので、その方の
意見
を聞いてき
よう
おきめを願いたいと思います。
山口喜久一郎
69
○
山口委員長
委員会
の運営としては、これを一應速記録に載せる
関係
がありますから、あらためてお諮りをいたす次第であります。
北二郎
70
○北二郎君 実はかんじんの中野さんがいないのでわからぬのですが、できればあすまで延ばしていただきたいと思います。
山口喜久一郎
71
○
山口委員長
どうですか——それでは私から農民党なり、中野君の御
意見
を体して皆さんにお諮りいたしたいと思いますが、この
程度
で御
承認
をお願いいたしたいと思います。それでは
選挙法改正
に関する問題につきましては、小会派からの
委員外
の発言を許し、これを尊重することとし、特別
委員会
を設置しないで
地方行政委員会
で、これを行うということに
決定
するに御
異議
ございませんか。
山口喜久一郎
72
○
山口委員長
御
異議
はない
よう
でありますから、さ
よう
に
決定
いたします。
山口喜久一郎
73
○
山口委員長
速記を止めて下さい。
松岡駒吉
74
○松岡
議長
先ほど中座いたしました際に、松平参議院
議長
がお見えになりまして、
事務総長
並びに地方
行政
常任
委員長
を帯同されて來られまして、皆様も御記憶であろうと思いますが、昨年のたしか暮であつたと覚えております。
地方財政
委員会
の
委員
を両院
議長
が協議して、一人選定しなければならなくなりました際、
衆議院
の方からは
大臣
が出て、他に
議員
である人で
地方財政
委員会
の
委員長
をやる人があるわけだから、参議院からこれを出してくれないかという切なる希望があつたわけであります。その際速記録にもはつきりしておると思いますが、いつそのこと町村長も熱心に希望しているのだから、
委員
を二名ふやして参議院からも一名、町村長からも一名あげるとすれば、両院から一名ずつ出られるのだという
よう
なことまで相談した
よう
な記憶があります。そうこうしておりますと年末でもありますし、取急いで
決定
しなければならなく
なつ
たので、今年は参議院にがまんしてもら
つて
、將來は將來として、今年は
衆議院
ということで、竹谷源太郎君を御推薦申し上げることに
決定
したわけであつたのであります。参議院の方では、そういう過去のいきさつ等もお話がありまして、とにかく今の状態だと
衆議院
はきわめて最近の機会に解散されることになると承る、そのことの結果として両院から一名出し得る
地方財政
委員会
の
委員
を放棄してしまうということは、はなはだ遺憾千万であるから、この機会に
一つ
衆議院
で出ておられる
委員
に辞任をしていただく
よう
な方法において、衆参両院
議長
の協議によ
つて
、参議院から
委員
を一人とりあえず後々のことは別として、この機会に参議院から一人推薦してもらう
よう
なふうにまげて御
承認
を願いたいということでありました。そこで私は相談しまし
よう
と答えておきましたが、單純な相談でなく、こういう経過もあるから、これは
議長
から大いに頼んで快く承諾してもらう
よう
に願いたいという熱心な希望があつたのであります。
山口喜久一郎
75
○
山口委員長
その
関係
法規はどうな
つて
おりますか。
大池眞
76
○
大池事務総長
これは
衆議院
議長
及び参議院
議長
の指名したものとして、
國会
代表者一人、
行政事務
担任
國務大臣
が一人、それから都道府縣知事の代表者が一人、市長代表者が一人、町村長代表者が一人全部で五人ということにな
つて
おります。
徳田球一
77
○徳田球一君 参議院が出ると六人になるんですか。
大池眞
78
○
大池事務総長
参議院から出ることになると、今の
衆議院
の竹谷さんにやめてもら
つて
、
國会
代表は一人であります。
石田博英
79
○石田(博)
委員
き
よう
松平氏から申し出でられた件は、参議院の
立場
としては一應ごもつともな
よう
に聞えますけれ
ども
、その結果
衆議院
の代表がなくなるということは、
衆議院
として重大な問題でありますし、
國会
内における両院のあり方というものを考え合せますと、軽々にこれを
承認
するわけにはまいらないと思いますので、本日これを一挙に
決定
することなく、一應党に諮り、かつ各位において研究せられまして、次の機会に
決定
される
よう
にお諮りを願いたいと思います。
山口喜久一郎
80
○
山口委員長
ただいまの石田君の御発議の
よう
に、これを各党に諮られた上で、次の機会に御相談をしたいと思いますが……。
成重光眞
81
○
成重
委員
党に諮つたところで
結論
は、参議院にやるなんてことにはなりませんよ。
松岡駒吉
82
○松岡
議長
ごもつとも千万なことでして、私は決して参議院にお讓りすることを皆さんにお願いしているわけでもないのですが、たとえば両院
議長
の協議ができなければ任命ができないのでありまして、選挙の終るまではとにかく欠員になることは明らかであります。從いまして將來のことは將來のこととして、一應向うの顔をたてるということも
一つ
の態度かもしれませんが、いかがでし
よう
。
椎熊三郎
83
○
椎熊
委員
衆議院
としては重大なことですから、これは嚴格にお断りする
意味
においてここできめないで党に帰
つて
……。
山口喜久一郎
84
○
山口委員長
それではまた明日の本
委員会
において
決定
することにいたしたいと思いますが、
成重
君も御承知を願いたいと思います。
成重光眞
85
○
成重
委員
承知できません。
徳田球一
86
○徳田球一君 こういう原則は、
一つ
きめておこうぢやないか。何か
國会
が一人代表する場合は、いつでも
衆議院
、そういうふうに参議院に観念させておくといい。
松岡駒吉
87
○松岡
議長
それはあたりまえだということを向うに承服させれば問題はないが、事態はしかく簡單ではなく、石田君も指摘された
よう
に、新しい
法律
が制定される場合に、往々にしてこれが未遂に終つたそうでありますけれ
ども
、そういう試みが行われるほどでありますから、参議院がどうしても同意できないということをがん張ることに
なつ
たら、結局
國会
代表は指名ができぬことになるおそれがあるのであります。
徳田球一
88
○徳田球一君 それなら
法律
を改めて二名にしておけば間違いない。
山口喜久一郎
89
○
山口委員長
それでは
逮捕許諾
要求
の件について各党においてさらに御協議がある
よう
ですから、明日にこれを延ばすということに御
異議
ございませんか。
山口喜久一郎
90
○
山口委員長
それではそういうことの含みをもちまして、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五分散会