○板野勝次君 只今上程されました
漁業関係三
法案に対しましては、
日本共産党は反対するものであります。中小
漁業及び零細業業の
現状は、第一に今尚封建的な
制度の中に置かれている。その上、大資本による遠洋
漁業が
戰後におきまして沿岸
漁業に進出しまして、そのために搾取を受けているのであります。第二番目に水産に対しまする
資金の融通は、大部分資本主義的な企業に集中されておりまして、資材も、造船計画は、トロール船、捕鯨船等の資本主義的企業に集中されているのであります。第三番目には重い税金が課せられている。このような
状態のために、中小以下の
漁業の窮乏はますます激しくな
つているんが
現状でありまして、只今の
委員長の
報告の中にも、
資金の融通その他の條件の裏付けがなければならないという、その事実の中にこそ、この
現状が雄弁に物語られていると思うのであります。
このような
状態の下におきまして上程されております三
法案は、この窮乏化を救う助け神とならないのであります。特に
水産業協同組合法案は
漁業法
改正と切り離されては考えられないのでえいまして、若しこれと切り離されまするならば、全く意味をなしていない砂上の楼閣であるといわなければならないのであります。
漁業権こそは
漁業経済の骨格をなすものであります。現在の
漁業権は封建時代の習慣を
法律に引き直したもので、決して独占すべきものでない海面に独占を認めているのでありまして、これがために不労所得者を生み、
漁村の
民主化、
漁業の
発展を妨げているのであります。農民におきまする農地
改革の重要性と同樣に、
漁業法の民主的な
改正は今や全
漁民の声とな
つておるのであります。この
漁業権解放に手を触れられていないのでありますばかりでなく、その上、現在の
漁業はその大部分が
漁村のボスや資本主義的な大企業に握られておるのでありまして、この
現状をその儘に放置いたしまして
水産業協同組合法が
実施されましても、形式的には一應民主的な形態が整えられましても、それはただ
生産者としての幻想が與えられるに過ぎないのであります。その上に
漁業権等の
臨時措置法は、決して
漁業権の
民主化を約束するものではなく、
漁業権を
現状のままとし、新
漁業法の
内容が明らかに示されていないところに、他産業と同樣、大資本の独占的方向に導く危險性を孕んでおるわけであります。
從つて我が党は何よりも
漁業権民主化のための
漁業法の
改正を先ず断行せられなければならないことを主張するのであります。
又
水産業協同組合法の
制定に伴う
水産業團体の
整理等に関する
法律案において、
水産業團体の財産は
漁業協同組合におきまして継承することにな
つておりますが、
漁業会の財産はすでに
漁業会関係のボスによ
つて、適当に処分されてしま
つている
現状であります。
從つてこの三
法案は明らかに
漁業独占資本を強化するための地均しに過ぎないのでありまして、中小以下の
漁民を救済し、
水産業を復興する基礎には全くならないものであると思うのであります。
協同組合を設立するのには、先ずその前提として、第一に
漁業法を
改正して
漁業権を
協同組合に與えるように
設置する必要があると思うのであります。第二に、終戰以降の
漁業会の全財産を再審査いたしまして、適当な價格で買い戻し又は処分する権限を
協同組合に、與えるべきであります。第三に、
戰時中の
漁業会の
役員が
協同組合の
役員に就任することを断乎として禁止すべきであると思うのであります。第四に
戰時中の
都道府縣以上の機関の
役員を公職より追放すべきであると思うのであります。第五に中小規模の
漁業に対しましては商業資本の支配を排除いたしまして、國家の助けによ
つて漁業協同組合を設立し、法人税を免除し、
資金資材の確保と機会による
生産力の
発展を図る必要があります。零細
漁業に対しましては
漁業主産業
協同組合を設立せしめ、法人税を免除し、
漁場の共同管理と
水産物の高度利用によいりまする漁獲物の商品價値を増大せしめると共に、これ亦
資金資材の確保、機会による
生産力の
発展を期することが約束されなけばならないのでありまして、このようにして初めて中小規模並びに零細
漁民の眞に民主的な
漁業協同化の途が開かれるのでありまして、
從つて我が國の
漁業再建は、第一に、以上の方針で中小規模並びに零細
漁業の経営協同化を図り、第二に、特に現在の國際的條件の下におきましては、大規模な捕鯨、トロール、独占集中された底曳、「かつを」、「まぐろ」、大定置等の
漁業及び大規模な製氷、冷凍、冷藏施設、漁港施設等を國営人民管理にする必要があるのであります。
かくして初めて三百万を超える沿岸
漁民を封建的遺制とその隷属の中から解放し、その生活の安定と
向上を期することができるのでありまして、從てこのようにしてのみ
漁業の再建を約束する唯一の途であることを確信いたしまするが故に、三
法案の持
つておりまする
内容はむしろ
漁業の民主的再建を不徹底に終らせ、名目のみの
生産の協同化に過ぎないのでありまして、
漁業大資本に奉仕する結果に終ることを確信いたしまするが故に、我が党は反対するものでございます。