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大野幸一君 一体
法務総裁はお人柄、お人相を見ますると、私は実に敬服いたしておるのでありまして、私も生來余り人に嫌味を言いたくない、お世辞の多い方なのでありますが、一旦公人となりましてここに出席いたしますれば、そういうのは私情でありまして、
選挙民に対して一言申述べなけば相済まないということから申上げるのでありますから、そのつもりでお聽取りになることを御了解下さい。松井
委員から選考の事情についてお尋ねにありましたが、これは全
國民の知りたいところであります。全く奇異に感じたところであります。先ず我々弁護士会に所属するところで、控室に行きますると、この弁護士会からも民自党下大勢の錚々たる人が出ておるのではないか。参
議院に行きましても、これは私はここに臨席されておる隣り人でも、前の方の人でも政務次官ぐらいは全部勤まると私は
考えておりますが、なぜかと、こう言う。これは一言にして言うと、こういうことを民衆は
言つております。吉田さんはいい年をして三十一歳の若僧に、何だかきん玉でも掴まれているのではないか、こういう言葉を言う。或る人は、いやそんなことはない。指を丸くいたしまして、これを大変貢いだのであろう、こう言われるのであります。私はこれは何を
意味するか、ただ吉田さんの不名誉ではありません。民自党の不名誉ではありません。
政治家、我々の不名誉である。実に心外に堪えなかつたのであります。こういうことなんです。まだ我々の間において将來も聞かなければならないのかと思うと残念でありますから、この点全く我々と共に
政治を綺麗にするという点において、
一つ将來、誰も他の國務大臣にこれをお願いするような人格の持主はありません。私は
法務総裁にだけお願いして置きたい。この点は
一つお願いして置きたいと思うのであります。それから
法務総裁のことでありますが、吉田さんが
法務総裁を兼任されたのでありますが、
内閣かできるとともに、吉田さんから受ける印象は、
法務総裁について非常に愼重である。その愼重が或る
意味においては悪い
意味に取られたのであります。石炭國管問題を控えて、政界には嵐が吹いておる。この
法務総裁の
地位十人如何によ
つては自分の政党にも騒動が起るのではないか。そこでこれは容易にできない。片山
内閣の鈴木
法務総裁も自党の副総理を起訴するような運命に
なつた。こういうことで、吉田さんは非常にこの点愼重に
なつた。まあまあ自分が兼任して置けば間違いはない。ですけれども、この間中しばしば申上げますがごとく、私は
法務総裁こそ超党派的なものでなければならない。吉田さんはそんなことは忘れてしま
つておる。昔のように
総理大臣みずから
法務総裁を兼任して、そうしてその檢察廳の連絡
関係、皆自分でや
つておる。こういうようなことでは吉田さんの頭も何と言うても私は古いと思いますから、この点を何とぞ進歩的、公正的に持
つて行
つて貰いたい、こういうことおります。私は昨日ここで木内檢務長官に申上げたことは、私は弁護士会で聞いて來たことを言つたわけだ。例えば芦田
総裁にも逮捕状を持
つて來た。その芦田さんの逮捕状は、もう一枚逮捕状を忘れておるから、これは吉田さんの逮捕状も持
つて來なければ公平でないということは、弁護士会で
言つておる。こんなことは信じてはいなかつた。けれどもこれを木内檢務長官に座談として話したら、余り面白くない顔をされたのであります。これは笑話でありまするが、こういうような印象を全
國民に受けないように、公平に検察廳の
独立を図ると共に、本当に公正でなければならない。この点について、仮に檢挙するにしても公平にや
つて行かなければならないということは
國民常識です。この点も
一つ法務総裁、全くあなたは、命を賭して、情熱を持
つて、とおつしやいましたから、これこそ本当に実行して貰いたい。これだけを私はこの際申して置きます。そうしてもう
一つお伺いしたいことに、暫定的に辞められたのでしようか、どうかということで、田中法務次官が又再任される場合があみ。それまでは空位に置くとかという新聞記事もありましたが、私はそれを信じたくないのであります。一体政務次官というものは、その職務とするところは
政府と
國会との連絡係で、この連絡係をよくして貰わなければ困る。そこで一体
衆議院の
法務委員会というのが権威を持
つておるでしようが——、錚々たる弁護士諸君が
委員にな
つておられるところで、田中さんが政務次官にな
つて、
法務委員会に対する折衝の効果が挙げられるでしようか、こう私には
考えられるのです。そういう
意味やおいて、我々の全く遺憾とするところは、この二大重要法案も、
刑事訴訟法施行法案、
裁判所法の一部を改正する
法律案につきましても、
衆議院で早くや
つて貰
つて、我々はこららへ來て修正したい個処も発見し、そうして本
國会に上げようとしているのだけれども、本日最終日にな
つて、三時半になんなんとするのに、まだ廻付して來ない。これは政務次官が空位であるからである。こういう点をよく了解下さいまして、二つ
法務総裁が善処されたい。それから若し不幸にして本日この二法案がここで審議が終らなくても、これは我々
法務委員会の
責任ではない。挙げて
政府の
責任だ。こういうことを
一つ申上げたい。一体法務政務次官を空位に置く意思があるのかないのか、
法務委員会なんてものは政務次官がなくてもいいのか。それでは
法務総裁直接たびたびおいで下さ
つてや
つて頂きたい。
政府委員は非常に熱心でありますけれども、
政府委員は事務的、技術的です。我々は咎めるのは氣の毒です。だから咎めて欝憤を晴らしつつ本当に審議をして行くというのが、我々の常識なのです。そこで咎める
法務総裁は、どうもわしは法律は知らないからとおつしやる。政務次官は來ない、我々はどこで欝憤を晴らすことができましよう。欝憤というのは決して悪い
意味ではありません。私情を以て言うのではありません。そういう点をよく御
考慮下さ
つて、政務次官を空位に置くようなことはないと思いますが、どうかその点を
一つお尋ねしたい。