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政府委員(
木内曾益君) お答えいたします。
檢事が
起訴に当りまして
愼重な
態度を執らなければならないことはその通りでございまして、私共の方におきましても、勿論そういう
考えを持
つて事件を取扱
つておるのであります。その結果
無罪になるという場合もあることは
考えられるのでありまして、そのために
檢事が
責任を取るというようなことは、昨日申上げました通り
考えておりません。ただ記訴したものが
無罪になるということは、
檢察官として喜ばしいことでないことは勿論でありまして、そのためにそういうことのないように一層の
注意をいたし、今後の取扱いにおいても、又捜査の上においても十分
注意するよう慎重な
態度を以て当るよう
注意をしておることは勿論であり、又
注意しなければならんことと
考えておるのであります。
併しながら
無罪を出すことは
檢察官として誠に不名誉なことであるからとい
つて、どこまでも自分の
起訴したものは
有罪の
判決を得なければならん是が非でもそうやらなければならん……、
有罪の
判決を受くべきものに対してその
控訴を維持することは当然のことでございますけれども、事情によりまして誰が見ても
無罪になるのが
相当だと思われるような点につきましては、
從來の例におきましても、
檢察官が進んで
無罪の主張をいたしたこともあります。現に私も浦和の
次席檢事をいたしておりました頃に、或る信用組合の
横領事件につきまして
控訴審を担当いたしました。そのときに記録を見まして、これはむしろ
無罪が
相当であるというので、私が進んで
無罪の論告をいたしたという実例もあるわけでございます。その他にもそういう場合がいろいろあるのでありまして、決して
有罪を必ず得なければならん、是が非でもやらなければならんということは、
却つて檢察の威信を落すものと
考えておりますので、私共の方もそういう
方針でや
つておる。又御
注意に対しましては一層徹底するようにいたしたいと
考えております。