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1948-11-11 第3回国会 参議院 地方行政委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年十一月十一日(木曜日) 午後一時四十四分
開会
———
—————
—————
本日の
会議
に付した
事件
○
派遣議員
の
報告
○
地方自治委員会法案
に関する件 ———
—————
—————
岡本愛祐
1
○
委員長
(
岡本愛祐
君) これより
委員会
を
開会
いたします。 今日
会議
に付きまする
事件
は公報に載
つて
おり
通り
でございますが、
政府委員
が出席いたしますその前二、過般
吉川末次郎委員
と、
岡田喜久治委員
と、私と三名が派遣されました
大阪
市において開催された第十回全
國都市問題会議
、その
会議
の内容を御
報告
申し上げたいと思います。
会議
は十一月四、五の両日、
大阪
市で開催させました。六日の第三日は
大阪
市の諸施設を視察いたしました。
参加者
は全國から百六十余の
都市
の
理事者
が集り、尚
学界
、
官界
の実際家が出席いたしまして、約六百名の多数が参加いたしました。
開会式
には
主催者側
の懇請によりまして、私から祝詞を述べて置きました。
会議
の議題は、
都市財政確立
に関する方策についてであります。 先ず主
報告者
たる
荻田地方財政委員会
の
事務局長
、それから
地方税審議会
の
委員汐見経済学博士
、それから
小川吹田
市助役の
報告
がありました。次いで
三つ
の都会を設けまして、第一
部会
は
都市
の
経費
に関する問題、第二
部会
は
都市
の
租税収入
に関する問題、第三
部会
は
都市
の
税外収入
に関する問題につきまして、
参加者
の
討議
を
行つたの
であります。私共はそれぞれ第一
部会
には私、第二
部会
には
吉川委員
、第三
部会
には
岡田委員
が出席いたしました。
部会開会
の始めに当該の問題について
意見
を開陳し、これに対する
質疑應答
もあ
つたの
であります。会において述べられましたる主
報告
の
要旨
、及び
参加者
の発言の
要旨等
は詳細な
資料
を以て
専門員
の
手許
で整理をいたしております。
地方財政
の
調査料
といたしまして、
学界
、
官界
、実際家の
意見
を網羅したものでありまして、極めて重要な
資料
と
考え
ますから、
機会
がありましたら御一覧を願いたいと思います。又
主催側
たる
都市連盟側
としまして、この度の
会議
に
参議院
が特に
委員
を派遣して、
会議
の終了まで親しく各
方面
の
意見
を聽取し、
國会
の
地方行政審議
の上に
参考
に資する態度に出られたことに対して、非常に感謝をしておりました。又私共
会議
に参加いたしまして、この
会議
が極めて眞面目に
都市財政
の問題の
研究討議
に当
つて
おることを認め、我々
地方財政
に対して抱いておる
意見
の一端を開陳する
機会
があつた。又
委員
の
討議
からして、我々
委員会
の
審議調査
上極めて有力な
資料
を得たと信ずるのであります。尚私が第一
部会
で発言した
事項
は、
國家財政
と
地方財政
の
経費
の
配分
に関する問題及び
地方公共團体
の
財政支出
の
監査制度
を再検討する必要があるではないかという問題であります。少し詳しくなりますが、まだ
政府委員
が見えませんから、その問題をお聞きに入れたいと存じます。で、この
國家財政
と
地方財政
の
経費
の
配分
に関する問題でありますが、今日
都市財政
の急激なる膨張は、インフレーションの進行がその主なる原因であることは勿論でありますが、新
憲法下地方自治
の
確立
のため、諸
制度
の
徹底的民主化
が行われつつありまして、例えて申しますれば、
警察制度
の
改革
とか
教育制度
の
改革
のごとき、
行政
各
部門
における幾多の変革が
地方財政
に多大の
負担
を來しておるのでありまして、これは否定することができない事実であります。而してその間に処する
政府
の財源的な
措置
が適当であつたかどうか、大いに問題とするところであります。而も
地方財政
は常に
國家財政
と重要な関連を持
つて
おります。
從來國家財政法
第一
主義
に禍いされまして、不当な圧迫を受けて來たことはすでに皆様の御承知の
通り
であります。第二
國会
において成立した
地方財政法
は、この
從來
の弊害を是正するために、
國家財政
と
地方財政相互
の
関係
に合理的な規律を與え、
地方財政法
の
健全性
を堅持する
基本的原則
を採用したものであります。而してその
原則
が実際に正しく運用されてこそ、始めて
地方財政
と
國家財政
の
配分
の適正が期し得られるのでありますが、我々
参議院
より
地方
に派遣されまして、
地方財政改革
後の実状を調査したところによりますと、
地方当局者
は
政府
が嚴格忠実にこれを実行して、
地方財政
の
負担
の
合理化
を図
つて
呉れるであろうかどうかということに一抹の不安を抱いておる
向き
もあります。実際問題として
政府
が
財政法
の
規定
の精神を無視しておる事例もないではないのでありまして、今後の運用に不安を抱いておるものがあるのであります。尚
地方財政法
に
規定
する國と
地方
との
負担区分そのもの
についても疑なきを得ない点があるのであります。
地方財政法
にはこういうような場合の生ずることを予想いたしまして、
地方財政法
の
規定
に反する
政府
の
措置
に不服ある
地方公共團体
は、
内閣
を経由して
國会
に
意見書
を提出することができるし、
内閣
は又遅滞なくこれを
國会
に提出して
國会
がその当否を審査することにな
つて
おります。この
制度
は
從來
なかつたところの新らしい
制度
で、
地方財政法
において初めて認められた
制度
でありますが、このことが
地方團体側
においてよく知られていないのであります。又勝つようされていないのであります。それで
地方行政
の当事者は大いにこれを利用することによ
つて
新
憲法
による
地方自治
の権能を十分に発揮して貰いたいということを私が希望いたして置きました。我々
國会
の
方面
においてもこれらの点について大いに
地方團体
と協力せんとするものであるかということを一言申添えて置きます。 第二の
地方公共團体
の
財政支出
の
監査制度
の問題であります。これは
地方團体
の
財政
の
自主化
に伴いまして、一面その
地方團体
の
支出
が非常に散漫に流れてお
つて濫費
をする傾向があるということが指摘される
向き
もあるのであります。
地方團体側
はその点をらく是正して貰わなければならんということの反省を私は來会者に求めて置いたのであります。この点に関しては
地方財政法
が嚴からにこれを
二條
乃至四條に戒めております。ところが一例を挙げて見ますれば、
地方公務員
の
人件費
は年額六百億円程度で、
地方財政
の主要不分を占めております。國はこれに対して
官吏
と
同一水準
による
財源措置
を講じておりますが、
地方
によ
つて
はこの
水準
以上の
給與
をしてお
つて赤字
に苦しんでおる、苦しんでおると言
つて
いる
向き
もあるのであります。併してこれを
中央
においてはこれを規制する
方法
がないから、これを
地方團体
の自由に委せておるのが
現状
であります。又
地方財政法
の
自主性尊重主義
によりまして、
中央
の
監督監査
を廃したため、経理における不当な詞しゆつを敢てする
公共團体
に対しても
矯正方法
がない。こういう
現状
では國におきまして如何なる
財源措置
を講じましても、
地方
の
財政需要
は殆ど停止するところを知らないであろう。こういう虞れがあります。そこで
地方財政
の
費用監査
の
方法
を如何にすべきかは今後研究すべき重要な課題でありまして、これを
從來
のごとき
中央官廳
の
事務
監査
的な
方法
によらず、
地方自治権
と調和し得る
方法
を以てする
支出監査
又は勧告の新方式を考慮することが大いに必要でないか、こういうふうに思われるのであります。尤も
地方自治法
によりますと、
監査
の直接
請求規定
があります。又
地方財政法
第二十六條による分
與税
の減額又は
返還等
の一種の
制裁規定
があるのであります。併しこの
規定
のみを以て果して所期の
目的
を達することができるかどうか、これは非常につかしいと
考え
られます。
地方財政
の腐敗を防止してその公正を確保し、吏員の綱紀を粛正する必要が特に強調せられとおる今日、現在の
監査制度
を再検討することが極めて必要であると思われるという
意見
を私は述べまして
参考
に供した、こういうわけであります。尚第二部、第三部は
吉川
さんからお話願いたいと思います。
吉川末次郎
2
○
吉川末次郎
君 私から特に
大阪
において開かれました
只今
御
報告
の
都市連盟主催
の全
國都市問題会議
におきまして附加えて御
報告
申上げることはありませんが、皆さんにその
会議
の状況をご理解願うためには、
委員長
或いは
専門員
の下で当日我々に配付せられました
諸種
の
研究方法等
の印刷物をお持ち帰りにな
つて
おることだと思いますから、この
機会
に各
委員
に御配付を願いたいと思うのであります。
岡本愛祐
3
○
委員長
(
岡本愛祐
君) それでは暫時休憩いたします。 午後二時十四分休憩
—————
・
—————
午後三時十四分
開会
岡本愛祐
4
○
委員長
(
岡本愛祐
君) それでは
委員会
を続行いたします。
地方財政委員会
は十二月の七日で以てこの
存続期間
が切れることにな
つて
おります。かねて
地方財政委員会
につきまして、当
委員会
におきましても
地方財政
に止まらず、
地方自治全般
に
亘つて
の
委員会
にした方がいいのではないかという
考え方
をしておりました。実は
地方財政委員会法
のできます前にそういう
立案
をこの
委員会
の前身である治安及び
地方制度
の
委員会
においていたしてお
つたの
であります。ところが
諸種
の
事情
で
地方財政委員会
ができ上がりました。然るにこの度その
委員会
の
存続期間
を延長いたしますことに関連して、
政府
の方ではこれを拡大して
地方自治委員会
というものを作るように
立案
をいたされておるように聞いております。この件につきまして
政府側
から
説明
を聽取いたしたいと思います。
鈴木俊一
5
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
只今委員長
のお話がございましたように、
政府
におきましては
地方自治委員会
というのを設けたいという
考え
で、
目下関係法案
を
立案
いたしまして、
関係方面
の了解を得次第速やかに今
國会
に提案いたしたいという
考え
で
膳立
を進めつつある次第であります。お
手許
に
地方自治委員会法案
とその要綱を差上げてあると思いますが、これは未だ正式に提案にな
つて
おりません。
法案
の
準備段階
の
参考資料
として御配布申上げた次第でありますが、
將來
の
審議
の御
参考
になるというつもりでございます。その
資料
に大体基きまして、
地方自治委員会法
にきまして御
説明
を申上げたいと存じますが、尚最初に
簡單
にこの
法案
を提案いたしたいというふうに
政府
が
考え
るに至りました経緯につきまして申上げたいと存じます。 前
内閣
の時代におきまして、全國の
知事会議
、それから
市長会議
、それから縣の
町村長
の
会長
副
会長会議
という
三つ
の全
國單位
の
会議
が相続いて召集されまして、その際にこの
地方自治委員会
のことに関しまして、各
地方團体
の
代表者
から
要望
があ
つたの
であります。この
要望
の概略を申上げますと、
知事会議
におきましても
市長会議
におきましても、又
町村長
の
会長
副
会長会議
におきましても、いずれも大体同じような方向の
要望
であ
つたの
でありますが、どうも最近のこの
政府部内
における
地方自治関係
の
機関
といえば、
総理廳
の
自治課
と、
地方財政委員会
、この二つだけでありまして、
地方自治
の問題について全般的に
地方團体
と十分に緊密な
連絡
をと
つて
この
地方團体
の意向を、
政府
がいろいろ定めます
施策
の中に織込んで行く、又
政府
の別に見地から作られます
施策
について、
地方自治
の
立場
からの必要な
調整
を加えて行く、こういう機構が十分でなくて困る。又
地方
で
災害等
が起こりました場合に
地方
の
知事
なり
市町村長
がそのときそのときには出て來るけれども、それでは窮極的な、事柄の解決にはならないで、
資材
の問題にしましても、資金の問題にしましても、予算の問題にしましても、やはりそれらの陳情が
終つたあと
、それが具体化するように
中央
の
関係
の
各省
に
連絡
し、推進をして行くというような役割を持つ
機関
が
是非
欲しい。要するに
地方自治
体の
立場
からい
つて
、
政府部門
におけるしつかりとした足掛かりが欲しい、
地方
の声を十分に
中央
の各部面に
反映
できるようななものが欲しい、こういう声が
地方
にありまして、
自治体警察
の問題につきましても、その他の問題につきましても、最近は非常に困ることが多い、こういう
地方
の
要望
を十分に
政府
に
連絡
して、
政府部内
でそれを
実現
するというような使命を持つた
機関
を何らか
考え
られないだろうかというような
要望
であ
つたの
であります。これに対しまして、当時の
芦田総理
からは、今の
地方團体
の
要望
はいずれも尤もだと
考え
るが、
政府
といたしても実はこの
連絡
が十分うまく行かないということについて非常に困
つて
おるという実情にあるということを申しまして、ここ一、二ヶ月の間には
一つ是非
これが
只今
要望
せられましたような線に
從つて
、
地方自治
の総合的な
連絡機関
ができますことについて努力したい、こういうことを申されてお
つたの
であります。殊にこの
市長会議
、それから全國の
市町村長
の
会長
副
会長会議
の際におきましては、
内閣
が変わるということが概ね明確にな
つて
おりましたので、この問題については更に次ぎの
内閣
に十分に引継ぎをして
実現
するように努力したいということも当時附言をせられてお
つたの
であります。又聞くところによりますと、前
内閣
の
最後
の
閣議
においても、この問題につきましては
一つ自治委員会
ができるように
一つ
努力しようじやないかというような話合いもあつたということを聞いてかるのでございますが、こういうふうな
地方團体
の全体の
要望
がございましたのと、又
地方財政委員会
の期限が十二月の六日を以て切れるということにな
つて
おりまので、この両方の
考え方
から、の
今期國会
におきまして、
地方自治委員会
を
一つ是非
成立せしめるようにいたしたい、そういうふうな努力を
政府
としてはとりたい、こういうふうに
閣議
において方針を御
決定
に
なつ
たようでありまして、それに基いて実は用意をいたしておる次第なのでございます。この
法案
につきましては、まだ
関係方面
の最終的な承認がございません。ちよつと
速記
を止めて下さい。
岡本愛祐
6
○
委員長
(
岡本愛祐
君)
速記
を止めて。 〔
速記中止
〕
岡本愛祐
7
○
委員長
(
岡本愛祐
君)
速記
を始めて。
鈴木俊一
8
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) そういうような
事情
でございまして、大体この
法案
のままで
國会
に提出することができると存じますので、以下
簡單
に各條につきまして御
説明
を申上げたいと存じます。 大体この
法案
の行き方は
國家行政組織法
によります
一つ
の雛型と申しますか、そういう書き方に從いまして、これは
規定
をいたしたのでございます。 第
一條
は
内閣総理大臣
の管理の下に
地方自治委員会
を設けるということを
規定
をいたしておるわけであります。即ち
総理廳部内
の
一つ
の
外局
であるというわけであります。 それから第
二條
は
任務
といたしまして、
地方自治委員会
は、國と
地方公共團体
との
連絡
、
地方公共團体相互
の
連絡協調
を図りまして、「
國家公益
と
地方公共團体
の
自主性
との間に適切な
調整
を擁護し、」
憲法
にいう「
地方自治
の
本旨
の
実現
に資することを
任務
とする。」ということに
規定
をいたしておるわけであります。性格といたしましては第三條に、單に普通の
國家機関
とは
違つて
、「國の
立場
に立つと同時に、
地方公共團体
の
立場
を全國的に
代表
する
機関
」であるというところに特色を持
つて
行くようにいたしておるわけであります。それが働きます場合には、そういう
地方團体
の
立場
を十分に
反映
をする
機関
でなければならない、こういうわけであります。それから第二項におきましては、「
地方自治委員会
は、
地方公共團体
の
事務
の
処理
に対し、なんら
統制
を加えることを
目的
とするものではない。」ということを
規定
をいたしまして、
從來
の
機関
のように、上から下へと申しますか、下を
統制
をして行く、指揮
監督
して行くというようなことではなくて、即ち下からの
意見
というものを
政府部内
にあ
つて
十分にこれを各
施策
の上に
反映
して行く、それが
狙い
であ
つて
、即ち下から上への
機関
であ
つて
、上から下への
機関
ではないということをはつきりと断わつたわけでございます。それから第三項は、現在
地方自治
に関しましていろいろな
組織
がございます。全
國地方自治競技会連合会
という名前で字の連合体がございますし、又
部道
府縣の
議長
の会合もございます。又全
國市長会
、或いは全
國市会議長会議
、或いは
日本都市連盟
というような、各種の有力な自主的な
團体
がございますが、これらは何れも
地方自治委員会
の設置によ
つて
何ら活動を抑制せられるものではなくて、これらの
團体
がそれぞれの系統において、集約したところの
地方
の
要望
を
政府部内
において全部引受けて、
地方自治委員会
がそれが
実現
を図るように努力するという
関係
に立つものでありまして、何ら両者相対立するものではないということを
規定
をいたした次第であります。 第四條は
地方自治委員会
の
組織
に関する
規定
でありますが、現在の
地方財政委員会
は
國務大臣
と、
地方代表
と、
知事
、
市町村長
の
代表
、その外に
國会代表
として衆議院から一名ということにな
つて
おるわけでありますが、これは
両院制
の建前から申しまして適当でないというところから、
参議院
からも一名
代表
を出す、そうして全体の数の
関係
を
考え
まして、
学識経験者
を一名出しまして七人と、こういう案にいたしておる次第であります。尚その
任期
は大体二年ということにいたしてあります。
両院
の
議員
から
委員
になられました人は、
両院
の
議員
の
任期
中に限る、二年の
任期
内に更に
議員
の
任期
が切れるという場合には、そこで
在任期間
が終るということで但書で
規定
をいたしておるわけであります。 それから第
五條
は大体現在の
財政
の
委員会
の
規定
と同様でございまして、
委員長
は
國務大臣
を以て当てる、
委員長
が
会議
を総理し、
委員会
を
代表
し、
職員
の
監督
をする、
委員長
に事故がありました場合の
代理者
は、
委員会
が指名いたすということにな
つて
おります。 それから第六条は会務の
決定
は出席の過半数を
原則
といたしまして、
可否同数
のとき
委員長
が決するところによるという
一般
の
原則
によつたわけでございます。 第七條は、
委員
の
手当
でござまして、
國会議員
が
官吏
になりました場合の
手当
につきまして特別の
法律
が出ておるわけでございますが、即ち
原則
として、つまり
國会議員
で
官吏
を兼ねる者は、
手当
を支給しない、ただ上廻る場合は差額だけ支給する
規定
があるのであります。それをこの
委員
においても準用しておるわけであります。 第八條は、
事務部局
についての
規定
でございますが、これは
外局
の例によ
つて
、
官房
を置きますが、その他に本質的の
部局
としては、
連絡部
、
行政部
、
財政部
、
三つ
の
部局
を置く予定であります。その中で
官房
は普通の
外局
の
官房
と同じようなことをやりますが、眼目になりますのは
連絡部
があります。
行政部
と
財政部
というものは、
行政部
は現在の
総理廳自治課
の
仕事
をそのまま担当するわけであります。
財政部
は
財政委員会
の
事務局
が現在
所管
いたしております
仕事
をそのまま担当するわけであります。その点につきましては、
権限等
につきまして何ら制限がないのでございますが、
連絡部
は
自治委員会
におきまする主要な
目的
のため、特にこれを設けようというのであります。 第十條の
連絡部
の
所掌事務
が一号、二号、三号と
規定
してありますが、第一号で、
地方自治
に
影響
を及ぼす國の
施策
の計画、
立案
、運営に関し、
地方自治
の擁護の
立場
から必要な
調整的意見
を
内閣
か
関係行政機関
に申出ること、
國会
において
決定
せられました
法律
とかその他につきましては、
國家
の意思がここで自主的に
決定
されるのですからいいのですが、
政府部内
限りでいろいろな省令でありますとか、或いは
施策
とかが
決定
される場合があるわけでありますが、この場合には
從來地方團体
としての
立場
からの
意見
が
閣議
で
反映
し得たのでありますが、
内務省廃止
後におきましてはそういう趣旨の主張をする
主管大臣
というものはなくな
つて來
ておるわけであります。その点が例えば
出先機関
の問題にいたしましても、その他の
國政事務
の
処理
の問題にいたしましても、その
処理
の
方法等
につきましては或いは
経費
の
負担等
につきまして十分に
調整
が行われていないというのが
現状
でありまして、
地方自治
に
影響
を及ぼす
施策
が
政府部内
で
立案
されます場合には、必ず
地方自治委員会
の方から必要な
調整
的な
意見
を
地方自治
の
立場
から
内閣
の
閣議
或いは
次官会議
或いはその他の
関係
の
会議等
に
連絡
をして申出る。その機能が
連絡部
の一番大きな
仕事
であります。第二点は
國家行政組織法
第十六條第一項の
規定
に基く
内閣総理大臣
の
権限
の行使について補佐するのでありますが、これは
各省大臣
の
命令
などでありまして、
地方自治
の
本旨
に反するものがある場合には、各
地方團体
の長から
内閣総理大臣
に対して
意見
を申出ることができるという
規定
があるのであります。そういう
地方自治
の
本旨
に反する
各省大臣
の
命令等
について
地方團体
の長から
意見
の申出がありました場合には三十日以内にそれを審査いたしまして
総理大臣
から
各省大臣
に指示をする。その他必要な処置を講ずる。こういう
規定
が十六條第一項の
規定
であります。この
仕事
を
連絡部
において担当するようにしたい。これはまだ
行政組織法
が
施行
になりませんので、
將來
の問題であります。
施行
になりました曉にはこれを
所管
いたしたい。これによ
つて地方
の声が直接に
中央
に
反映
するようになると思うのであります。それから第三点は國と
地方團体
との
連絡
及び
地方公共團体相互
間の
連絡協調
を図ること。それは
福井等
に震災がある、
東北
で水害があるという場合には、
福井
の
知事
なり、或いは
東北
の
知事
が上京せられまして、
関係各省
に
連絡
する。それではなかなか本決りにならない。
資材
、予算なり、その他の問題についても
連絡
して、後を引受けて
最後
の
決定
をする
段階
まで押し込める、こういう
仕事
を代
つて
やる、或いは各
地方
のブロックの
知事会議
、或いは
市長
なり
町村長
の
会議
において、
決議事項
が決められる、
要望事項
が決められる、そういうものを引受けられて、それが
政府部内
の
各省
においてうまく行くように
連絡
する、こういう
仕事
が第三の
仕事
であります。これらが、
地方團体
が挙
つて
要望
しておりまする一番大きな
狙い
の
仕事
でありまして、これらの
仕事
を
所管
するものとして
連絡部
を設けたいというのであります。
行政部
と
財政部
は現在の
総理廳自治課
、
財政委員会
の
仕事
でありまして、特に申上げることはないと思います。 十
一條
、十二条はそうでありますが、十三條に
委員会
の
権限
としてずつと長く
括弧
のない
数字
で十三迄書きまして、十三が更に
括弧
のある
数字
で二十迄細かく分れております。それが
括弧
のない
数字
で十四というのが
最後
にありますが、これは
各省
や
外局
の
機関
の
権限
というのは成るべく細かく書いて明確にせよという
國家行政組織法
の
考え方
に從いまして、各
法律
にあります
権限
を詳しく
規定
をいたしたのでありまして、現在それぞれ
法律
にあるものを取纏めて申上げますと、
括弧
のない
数字
の一号から十二号まで、これは大体この
官房
的なところで
所管
をいたします
権限
でありまして、
外局
としては大体こういうような
仕事
を皆やるわけでございます。それから十三号は
法律
上特に
権限
を明瞭に書いてあるものを
規定
いたしたのでございまして、十三の
括弧
の第一から
括弧
の第八迄、これは
行政部
において
所管
をしております
権限
であります。それから
括弧
の九から二十迄、これは
財政部
において
所管
をしております
権限
でいります。それから第十四は大体
拾つた
つもりでありますが、その外に落ちておるようなもの、そういうもので
委員会
の
権限
に属せしめられたものを包括的に
規定
をいたしておるものであります。 それから第十四條でありますが、これは
地方自治
に直接
影響
を及ぼす法令なんでありまして、
政府
が
立案
をいたします。
法律案
と
政令案
につきましては、
閣議
を求める前に
関係各省
から
内閣総理大臣
を通じて
自治委員会
に
協議
をして貰う。又
命令案
につきましても同様に公布前に
総理大臣
を通じまして、
自治委員会
に
協議
をして
貰つて
、
自治委員会
においては
地方
の
立場
からの
意見
を申し出で
反映
をする、こういうことであります。これも
地方
の
要望
に基いての
権限
でございまして、現在
財政委員会
にも同様の
規定
があるわけでございます。 それから十
五條
は
委員会
が
立案
をいたします場合の手段として
参考人
の出頭と証言を求めることができるという
規定
でありまして、これも大同小異の
規定
が現在
財政委員会
の
権限
としてあるわけであります。 それから第十六條は
委員会
の
事務局
に置かれる
職員
の問題であります。これは
國家公務員法
の定めるところによるということでそれは皆譲
つて
おるわけであります。ただ
國家公務員
の
任免等
に関する
規定
が
施行
になりますまでは、
從來
の
官吏
に関する
一般原則
に
從つて
任免せられることになるのであります。これは別の
法律
に
從つて
そういうことになるわけであります。 それから第十七條は
職員
の定員でありますが、これはやはり
法律
で定めることにな
つて
おるのでありますが、これは
國家行政組織法
の
原則
によ
つて
そういうことにいたしておりまが、ただ
國家行政組織法
は目下のところは十二月三十一日まで又本
國会
でこれを三月三十一日まで
施行
時期を延しまして、四月一日から
施行
するようにいたしたいというふうに
政府
は
考え
ておる模様でありますが、それまでの間におきましては、
現状
のこの政令で定員を決めるという方式で行くという
考え
で附則の第四項にそのことを
規定
をいたして置くのであります。 それから十八條どありますが、これは
自治委員会
の運営の
規定
として自治的にこれを定めさせるという
目的
で
委員会
自身がこれを定める形にな
つて
おります。
施行
時期であります、附則第一項は十二月七日から
施行
する、即ち
財政委員会
が十二月六日で期限が切れますので、その翌日からこの
自治委員会
が発足するというのであります。但し十條と十三條の
規定
は
國家公務員法
の十六條の先程御
説明
を申上げました。
権限
でありますが、これにつきましては先程申上げましたように來年の四月一日までは恐らく
行政組織法
が
施行
されないことになると思いますので、それまでは
施行
しない、その日から
施行
すると、こういうことであります。 それから第二項は
委員
の選任に関する手続は十二月七日前でも特に行な
つて
よろしいということであります。
國会
から選ばれます
委員
が
参議院
、衆議院の指名ということになるわけでありますが、これはやはり議決が必要であろう思いますが、そういうことは十二月七日前でもできるということになるわけであります。 第三項の
規定
は單純な読替への
規定
でありまして、十
一條
が
國家公務員法
に基いてこの
委員会
を設置すると書いてありますが、この
國家公務員法
もまだ
施行
にな
つて
おりませんので、そのなるまでの間にこの
法律
で同じように読み替えのこれは全く技術上の
規定
であります。
地方財政委員会法
は念のために廃止するわけであります。それは第五、第六項は「
地方自治委員会
の最初の
委員
は、全員が任命されるまでの間は逐次任命された
委員
だけで会務を処置することができる。」例えば
國会
が解散になりまして衆議院
関係
の
委員
が遂に選任せられなかつたというようなことがございました場合には、その者が欠けておりましてもその他の者だけで
委員会
を開くことができるということを念のために
規定
してあるわけであります。 七項と八項は
地方財政法
当せん金附証票法の一部を
地方財政委員会
と特に揚げまして
権限
を決めておりますが、これも
自治委員会
に改めるという
規定
であります。 大体
簡單
でありますが、以上の
規定
の
法案
を目下準備中でありますので予め御
説明
いたしました。
岡本愛祐
9
○
委員長
(
岡本愛祐
君) 以上の
説明
につきまして御質疑なり御
意見
なりをお願いする筈でございますが、次官の都合上もう
一つ
、
政府委員
かに
説明
を願いたいと思います。それは
國家公務員法
が一昨日
國会
に提案せられたのでありますが、それと関連して
地方公務員
法ともいうべきものが提案さるべき筈だと思
つて
おります。ところがそれがまだ提案の運びに至りませんのは、いろいろ
事情
があることと思いますが、その
事情
について御
説明
願いたいと思います。
鈴木俊一
10
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
只今委員長
から御指摘のありました
地方公務員
に関する
制度
の問題でございますが、これは実は二つの区別けをいたしまして、一廳公務員
制度
を作ろうという
考え方
で今日まで進んで参
つたの
であります。即ち恒久的な
地方公務員
制度
、それから
地方公務員
制度
が恒久的なものが
施行
になりますまでの間の
段階
として必要な暫定的な
地方公務員
制度
、この二つに分けまして、いろいろ
立案
の準備をして参
つたの
であります。この暫定的な
地方公務員
制度
だけは本
國会
に提案いたしたいとこういうふうに
考え
て今準備をいたしてお
つたの
であります。この暫定的な
地方公務員
法の内容として考究いたしておりました点は、
國家公務員法
の中で現在
施行
にな
つて
おります
規定
は、人事
委員会
の
組織
に関する
規定
とかいうものを除きましては、実質的の
規定
としては、
官吏
の服務に関する
規定
だけであります。今度
國家公務員法
が改訂になりまして、当初から
施行
になりますものもやはりこの服務に関するものだけは
考え
ておりますが、この服務に関する
規定
が、
國家公務員
につきましては、
從來
は
官吏
服務規律という形で
規定
されておつたわけでありますが、これに倣いまして
地方
の公務員につきましても、都道府縣の
議員
の服務規律、或いは市町村の
議員
服務規律ということで旧來の古い
規定
をそのまま使
つて
おるのが現在であります。
國家公務員
につきまして新らしい公務員倣の服務の
規定
が公布になります以上は、
地方公務員
につきましても同様な
考え方
に立脚した服務の
規定
を適用すべきであるという
考え方
で、今度の
國会
には服務規律を
一つ
取敢えず提案したい、その他の全般的な
地方公務員
制度
は到底今度の
國会
には間に合わないのでこの次の
國会
にして、その間のギャップは暫定公務員法という形で賄
つて
行きたいとこういう段取りで進んで参
つたの
であります。ところがなかなか
関係方面
との接衝その他がございまして、暫定公務員法を提出しないで次の
國会
に一本で
地方公務員
法、即ち恒久的な
制度
としての
地方公務員
法を提出することにしようというふうに
政府
は目下
考え
まして、そういう恒久的
制度
の
立案
に目下著手しておりまして、本
國会
には暫定的な公務員法は出さないことにいたしたのであります。これはマッカアーサーの七月二十二日の書翰に基きます政令二百一号が現在効力を持
つて
おりまして、この
規定
が公務員の服務に関する新らしい
考え方
の最も根幹をなすところを
規定
をいたしておるのでありますが、この
規定
は
國家公務員
につきましては、
法律
の中に吸収せられるわけであります。
地方公務員
につきましても、
將來
の恒久的な
地方公務員
制度
の中に勿論それを採り容れることになるわけでありますが、それができますまでの暫定的な
措置
としては、この書翰に基く政令を今暫くそのまま
地方公務員
に適用いたしまして、即ち次の通常
國会
までは、そのまま適用して行くという
考え方
にいたしまして、本
國会
には暫定公務員法は提案いたさないというふうにいたしたのであります。
岡本愛祐
11
○
委員長
(
岡本愛祐
君) ちよつと
速記
を止めて……。 〔
速記中止
〕
岡本愛祐
12
○
委員長
(
岡本愛祐
君)
速記
を始めて……。以上の
政府委員
の
説明
につきまして御質疑がございましたら御開陳を願います。
速記
を止めて下さい。 〔
速記中止
〕
岡本愛祐
13
○
委員長
(
岡本愛祐
君)
速記
を始めて……。外に御質疑ございませんか……。それでは藤井君から発言の要求がございましたから……。
藤井新一
14
○藤井新一君 やがて解散があるであろうと思うが、その結果において総選挙が近い中に施工されるように推定されますが、それについて
地方行政
委員会
は相当な知識を知
つて
置き、又持
つて
置く必要がございます。その前哨といたしまして、去んぬる十月五日に縣並びに六大
都市
に教育
委員
の選挙が
施行
されました。それが如何に行わけれたか、その選挙が今度の選挙にどういう関連を持
つて
行くかということも知る必要がございますので、次の回に全國管理
委員
の方に來て頂いて、その選挙の過程を一應聽いて、そうして更に我々は小
委員会
を設けて、調査に行くとかいうことはどうだろうかということを発言いたしたいと思
つて
おります。
岡本愛祐
15
○
委員長
(
岡本愛祐
君)
只今
藤井君から過般の教員
委員
の選挙に関する実情その他のことを全國管理
委員会
から
委員長
、その他の喚びまして、その
委員会
で
説明
を聽取いたしたいという御発言がございました。御異議ございませんか。 〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
岡本愛祐
16
○
委員長
(
岡本愛祐
君) それでは火曜日に全國管理
委員会
の
委員長
その他こちらへ喚んで
説明
させることにいたします。それでは今日は散会いたします。 午後三時五十六分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
岡本 愛祐君 理事
吉川末次郎
君 岡田喜久治君 鈴木 順一君
委員
藤井 新一君 柏木 庫治君 島村 軍次君 鈴木 直人君 太田 敏兄君 小川 久義君
政府委員
総理廳
事務
官 (
総理廳
官房
自 治課長) 鈴木 俊一君