○中西功君
日本共産党はこれに反対します。でいろいろ今までの
審議状況から見てこの公社法が公共企業体労働
関係法と不可分のものであるということ、特にむしろ公共企業体労働
関係法が元であ
つて、それと関連してこれが出て來たということはです。大体の経過から見て推察されると思います。だのに公共企業体労働
関係法はこの参議院には
廻つて來ません。
衆議院において
審議未了に
なつたものであります。そういうふうな不可分のものを、この
日本專賣公社法案だけを通過させ、或いは
審議して行く。将來この労働
関係法規がどうなるとか、それも明瞭でないというときに、我々は無
責任にこういう問題をいわば
審議することさえ問題があると考えるのであります。この公社法の問題については單にこれだけでなくて、このたびの國有鉄道或いは電氣通信或いは郵政省、もつと廣くいえば今日行われ
ようとしている金融制度改革、改惡、或いは民自党の得意のいろいろの統制撤廃、延いては
貿易、括弧附の
貿易振興から外資導入に至るまで、一環として
一つの方向があると思うのであります。
日本政府当局がそれを出しているか出していないか、それは別といたしまして、非常に大きな方向が私たちはあると思う。その一環としてこれが出されている。その
審議会を設けたり、いろいろのことをや
つて、さも民主化された
ような外面を衒おうとしておりますが、実際の
内容はもつと深刻なものである。勿論これだけが問題ではないでし
ようが、我々はこうしたことが今日
日本において行われております非常に経済上の改惡の一環であると思うのであります。それが極めて明瞭なんでありまして独占資本主義的な態勢を、あらゆる分野においてはつきりさせ
よう、こういう
ような経済上においても、経済態勢上においても、そういう方向がとられているわけです。而もそれを確立し
ようとするために最も重大な点は、何よりも今日労働者階級が持
つている力に対して相当強い打撃を與え
ようとしている。そこから公務員法を初め公共企業体労働
関係法のごときものが今日出されて、
國会の中心問題にな
つていると思います。
從つて我々が思いますのに、公務員法にだけ反対してこの公社法や、或いは國鉄
法案に賛成するということはおかしいと思うのであります。全体の
日本の今日の独占資本の一環としてのこの公社法であります、國鉄
法案であります、或いは郵政、電氣通信の
法案であります。而もこれで明らかな
ように、この公社法によ
つてもくろまれているものは、その背後にあるところのこの公共企業体にあるわけであります。即ちもう少しこれを比喩的に言えば、成るだけ資本家に対して事業を開放すると共に、從業員に対しては國家権力で以て、或いはいろいろの國法を以て、あらゆる自由を束縛し、そうして労働強化をやらせ
よう、こういう方向だけしかないのであります。そういうふうな点はそもそもこの案が如何にもお座なりであり、而して又今日午前中に
指摘されたごとく、当然
修正案として出さなければならん
ようなものさえ、非常に無
責任にも訂正として、
正誤表として出すという
ようなことが行われてお
つてです、非常にそういう点においてもだらしがないと思うのでありますが、要するにそういうことの根本の起りは、目的はどこにあるか。それが公共企業体労働法をなんとかして恰好をつけ
ようというところにあると思うのであります。我々共産党といたしましてはそういうふうなものに対して絶対に賛成はできないのであります。今後、今行われ
ようとする
ような反労働者的な
日本の企業体制、経済体制は勿論ますます進められ
ようとするだろうと思いますが、併し同時にそういうことの結果が、一体
日本人に対してどんな影響を與えるか、今日私は將來煙草や、そうしたものが今後
外國との
関係においてどうなるかということを
質問いたしましたし、又塩においても
日本において自給し
ようとする
ような工作は
一つも顧みられない。ますます輸入に頼
つて行こうというふうな傾向が顕著に見えるのであります。これはこの問題だけでない、農業においても或いはその他の産業においても非常にはつきりしていると思うのであります。この公社法ができて今後発展して行く結果の
一つとして、
日本のこういう産業や或いはいろいろの事業の中にいろいろの形で
外國資本が入
つて來、それにからま
つていろいろの事態が生まれて來るということを我々はやはり感ずるので、それで恐らくそういうことも我々としては、このまま進んで行くならば近い内に漸時実現して來はせんかと思うのでありますが、そういう方向の一歩としてやはりこういう公社法の意義はあると思うのであります。若しそういうことがあるならばこれは極めて重要なことでありますし、我々といたしましてもそういう点に対しても反対せざるを得ないのであります。
以上の
ようなことがありますが、併し根本的に本当にこの專賣事業を何らか変え
ようとするならば、これはこういう機構を單にいじくるだけでは絶対駄目です。或いは又多少の何か
委員会を作
つても駄目です。もつと根本的に我々は
政府、或いは現在の
日本の政権を握
つている人々の政策を根本的に変えなければいかんと思います。これについて我々共産党も一定の方策を持
つておりますが、それはここで省略いたします。以上の
ような理由によ
つて我々はこれに反対いたします。