○委員外議員(門屋盛一君) 大藏大臣は随分お忙がしいようでありますけれども、本院としても、私としても、よく聞いて下さい。非常に重要な問題でありますから、昨日からお約束してお
つたのでありますが、向うで本
会議があるそうですから、極めて簡單にお話したいと思うのでありますが、順序として一
通りのことを話さないと、お答えがしにくかろうと思います。そこで、なぜ私はこの委員の皆さんたちにまで御迷惑を掛けて、かくのごとく
予算問題について再三総理大臣その他に御
質問を続けねばならんかということを、一應申上げたいと思います。これは
公務員法を本院に提案されましたときの
趣旨説明に対して、本
会議におきまして、私が劈頭に
質問を申上げた。その
質問の中にも、これは一方において抑えるだけのものを抑えておるのである。いわゆる制限は十分にいたしておる。政令によ
つてすでに制限があるのだから、
給與の問題を、安定処置を
考えなくして、この法案を
審議することは非常に困難であるということを私が
質問しましたのに対して、
政府は、速かに提出すると言われておるのです。その次には、それでもまだ提出の模様がないから、参議院の院議で以て、決議案で以て、速かに新
給與水準を
予算化して、本院に提出して貰いたいという
要求をした。それに対しても、大藏大臣、総理大臣はそのときに、
政府は院議を尊重して善処いたしますというお答えがあ
つたのであります。私の
質問並びに決議案の
趣旨弁明にもはつきり申上げてありますように、
公務員法と
予算措置とは絶対不可分のものであるということを、特に認識して貰いたい。この可分か不可分かという問題について、現在
政府の
見解と野党側の
見解とは
意見の相違しておる事実があるのであります。私はこの
意見の相違しておることについて、ここで申上げたくはないのでありますが、法理論や又はマッカーサー元帥の書簡の
解釈について云々することを暫く待
つて見ましても、実際現実の問題として七月以來三百万もの官公労の諸君が
如何なる窮状にあるかということを
考えて見ますときに、法理論や書簡の
解釈でなくして、政治的に
考えても、絶対的に切離すことのできないことは、これは
意見が一致すると思うのであります。この点大藏大臣と私の
意見が一致しておるかしないか、はつきり伺いたい。私は必ず一致しなくてはならないと思います。なぜならば、このことに対しまして、第一に、淺井人事
委員長は数回に
亘つてこの
見解を明らかにされておる。要約して申上げますならば、淺井
委員長とお答えは、非常に密接なるものである。不可分という言葉をお用いにな
つておらんが、密接なるものである、
法律案だけが成立しても、この安定処置その他の施策が行かなければ、マ書簡の全体を達するわけには行かないということをここでも言明され、衆議院でも言明されておる。その第二には、労働委員会において増田労働大臣に対して、吉田
内閣の全体の労働問題に対する
質問から
考えましても、こういう問題は立法的の
措置によ
つて抑えて行く方を先にするか、立法的の
措置は後でも、先ず労働者の安定施策を先にするかということを
お尋ねしたことに対しましても、増田労働大臣は、立法的
措置を先にするということはよくない。完定施策の方を先にするのが本当であるということを言われておる。第三には殖田法務総裁が人事、労働の両委員会、この席で私の
質問に対して、即ち立法的に本案を成立せしめて実施した場合には不穩の事態の発生する虞れがあるかないか。私としては、その発生の虞れがあると思
つて憂慮しておるのであるが、法務総裁即ち治安の責めに任ずるところの法務総裁としての
見解はどうかということを質しました折に、法務総裁は、私の
通り、門屋委員の言われる
通り、私もこの点は実に憂慮しておりますということを、はつきり言われております。
この三つの点に対して、昨日この委員会において、吉田総理大臣に対して、この三つの
見解はどうかということを質したときに、その三つのいずれをも吉田総理大臣は、その
通りに
考えておる。然らば殖田法務総裁が憂慮すべき事態が起ると言うことに対しても、総理はその
通りにお
考えになるかと言えば、その
通りに
考えておる。こういう点から
考えましても、私が先きに申しましたところの、実際に政治的に
考えた場合に、絶対的に切離すことのできないということには、恐らく今の
政府としてもそういうふうにお
考えにな
つておらなければならんと思うのだが、改めて大藏大臣の御所信を問う。この所信があるかないかによ
つて、
予算案を出すか出さないかという決心が付く。そこで私は、
政府は非常に今まで怠慢であ
つたということを、特に大藏大臣が怠慢であ
つた。何故ならば、この法案に対しては、前芦田
内閣においては、同時提出の準備をしてお
つた。併し不慮のできごとによ
つて芦田
内閣は倒れた。その後を引受けられたところの吉田
内閣の
見解は、初めから可分のものとして扱
つた。不可分のものではない。初めから可分のものとしてお扱いにな
つておる。それは、前に戻りますが、
解釈の問題になるのでありますが、こういうことを可分の問題としてお扱いにな
つておいて、後に政治問題としては切離すことができないというふうに
解釈が変
つて來た。かくのごときは、即ち現
内閣が労働問題に対して、特に労働者の生活安定の問題に対して、関心が極めて薄いということを申上げたい。そういうわけで、当初から
予算編成の
意思がなく、当初から
予算編成の
意思があ
つたならば、こんなに遅くはならない。
予算編成の
意思がなか
つた。中頃から、諸般の情勢上止むなく
予算編成に掛かられた。併しながら
関係方面との連絡に、十分な熱意が傾けられておりません。傾けられておると言うならば、大藏大臣からその点を釈明に預りたい。
その次は民自党の在野時代の無責任な宣傳が非常に崇
つて、財源難に陷
つておる。財源難に大藏大臣は今四苦八苦されておる。こういう事実がある。そういうわけで、新
給與水準の決定までに一番大事なところの財源難に陷
つておる。
予算編成難の一番大事なところの、新
給與水準の決定に至るまでの間に、
政府と
人事委員会との連絡が不十分である。尚
関係方面の各セクシヨンの了解を得ることにも怠
つてお
つた。
以上のごとく
政府の怠慢と認識不足とによ
つて、速かに提出を
要求せられておるこの院議に対しても、全くこの院議を無視したような状態に今日まで來ておる。これは一体誰の責任か。然るに拘わらず
政府は、一昨日も昨日も、尚
政府は、野党が徒らに
審議を遅らしておるという声明をしておるではないか。全く何と
言つていいか分らない。自分の認識不足と怠慢とを棚に上げて置いて、これを野党の責任に負わせる。
公務員法を作らなければならんように
なつた
事情は、労働者諸君が
権利と義務の点に欠けた点があるから、これを抑えなければならん、善処しなければならんというのが
公務員法制定の
一つの根幹を成したところの理論である。その理論が分
つておるならば與えるだけの義務、
政府は
予算を作
つて公務員の生活安定策を講ずるという義務を放
つたらかして置いて、その義務をどういうふうに履行するのか、履行の
方法を廳きたいということを
國会は非常に熱望しておるにも拘わらず、それは
國会に今日まで提案もせず、見透しも付けず、そうして又
國会が徒らに
審議を延しておるということを声明するに至
つては言語同断不届至極、こういうふうに自分は
考えておるが、大藏大臣は責任上
如何に
考えられるか、これは大藏大臣の不明と怠慢によ
つて三百万の官公吏に直接不安を與える結果となるに拘わらず、延いては一般労働者に対して増田労働大臣の構想と反対の結果となり、又
人事委員会の
給與水準に対する勧告にも答えず、法務総裁並びに総理が非常に憂慮されておるところの忌々しいところの結果を出現する虞れがあると思う。私は大藏大臣折角おいでにな
つてやかましいことを申上げましたが、やかましく言
つただけではこれはいけない。
國会と
政府が共同の責任において何とかして、これは車の両輪の揃
つた法案を出さなければならん。同時提出せよというのではないのですよ、我々の方は同時に絶対に出せない、財源でお困りにな
つておることはよくよく分る。同時に出せないが、先日來しばしば運営委員会でも、又総理大臣にも申上げておるように、先ずどういうふうに出されるかということの言明が頂きたい。こう申して、そこで我々はこの際
政府に一層の努力を要望して、一日も早く
予算案の提出を求める者でありますが、昨日の午後の私の
質問に対しまして、吉田総理大臣は詳細なことに大藏大臣よりお話がある、こういうことにな
つて、昨日ここで大藏大臣に
質問を続ける予定でありましたが、委員会が散会になりましたので、今日にこの
質問が延びたわけであります。そこで今大藏大臣にお願いすることは、次の諸点に対して抽象的でなく、極めて親切に詳細なる御
説明と御所見を承わりたい。若し時間の
関係で詳細なことが伺えないならば、極めて早く明日の委員会にでも詳細なる
説明をして頂きたい。本日その御答弁を頂けるならば尚結構、私の要望は今日その答弁が頂きたい、それは簡單であります。
質問の要点はただ今日は極めて具体的にお答えして頂かなければ納得できない。それは第一に
予算編成の今日までの経過及び状況、例えばいつ頃から
予算編成に掛かられるか、そうして今どういう状態にあるか、その間において
関係方面とは
如何なる折衝を続けられておるか、又
内閣とあなたの與党、
内閣の與党、
関係方面その他との連絡の状況を聽かして頂ければ我我は非常にそれによ
つて判断の材料になる。そうして総括したる補正
予算で編成されておるのか、又は
給與問題のみを別個に引抜いて編成されておるのか、こういうことをお伺いいたしたい。
第二には
予算提出の時期と
方法であります。そういうふうにして編成されたところの
予算はいつここに御提出になるつもりか、恐らく昨日あたりのお話を承わりましても、第三
國会には到底出し得ないということを総理大臣は御疑問を持
つておる。併し我々とすれば第三
國会においてせめて
予算の顏だけでも見て、それをせめてもの……笑
つてはいけません。大事なことですよ。あなた方は労働問題を知らんから笑うかも知らんけれども、幾百万の労働者に
國会議員は
予算の顏を見ずに一方的に法案を通したということは絶対我々議員の良心としてできない。我我は第三
國会に
予算の顏だけでも見て
予算を通したい。併し第三
國会にどうしても出し得ないとすれば、第四
國会でもよい、
予算の重大性を
考えていつ頃提出されるのか、或いは又傳えられるごとく、傳えられるというよりはつきり
言つておる。繁急集会にまでこれをも
つて行かれる構想でおられるか。
以上の点につきまして昨日から
質問要項は差上げてあるのでありますから、お分りにな
つておると思います。前段に長いこと申上げたのは、大藏大臣のこの
公務員法に対する認識を更に喚起して貰いたい。認識に欠けておるから今日まで
予算の編成ができない。
公務員の立場、労働者が困
つておる。國家が困
つておる。議員が多数
審議に困
つておるということが御理解にな
つてお
つたならば、今日までかかる
予算のでないというわけはない。こういうふうに私は
考えまして敢てお忙しい中を煩わして
質問をしたわけであります。十分なる御答弁を願います。