○山田節男君
國家公務員法は、第一回の
國会審議のときにおいても、法案そのものが他の諸法案に比べて非常に特殊の形態を取
つたということで、
國会の
審議に際しても困
つた実例があるのでありますが、更に今度の
改正案を出したについても、やはり第一
國会にて、現行の
國家公務員法を
審議したと同じような我々は
審議の困難にぶつか
つておるわけであります。
逐條を重ねて行く程に、そういう個所が非常に沢山出て参る、そのようなことからして、過日淺井人事
委員長から秘密会においてこの
改正案の草案の作成に際しての
事情を聽取したのでありますが、この
公務員法が
目的とするところは、
日本の官僚の民主化である、それは非常に美しい
言葉でありますけれども、併しこの
改正案の第
一條から最後までを見ると逆な感じを與える、即ちこの法案が通過することによ
つて人事院は第二の内務省ということになると巷間に傳
つておる。又結局はこの法案の
審議に先立ちまして、いろいろ
政府委員の
説明を聞いておると、どうもこれを裏書きするような点が多々ある。又
只今第
二條の
單純なる
労務、これを
一般職にした、
特別職から各省の事務次官を削除したという
説明を聞いておると、最も科学的であるべき
人事院の当局が、こういう
法律を作るときに極めて観念的であ
つて、実情を見ていない。又この草案を作るについて一遍も公聽会を開いていない、こういう杜撰な観念的なことで、これは惡く言えば官僚独裁的な法案にな
つて來る。その
事情については勿論我々は了承するのでありますけれども、
人事院が今度立てようとする民主的な、最も民主的に
行政組織を確立しようというものが、どうしても奥歯に物の挾ま
つたような、又第二の内務省の出現したかの如き感じを與える。そこに羽仁委員、平野委員が言われたような、我々
審議上誠にはつきりしない点がある。これは各條を追
つてこういう問題があるのでありますが、例えば人事官の任命においても、これは
憲法で首相の指名をすることをそのままここに入れておる。誠にこの法案を見ると、最後まで我々として根本
精神においてこれが突き当ればどうなるかということを我々は予想するのでありますが、
國会議員として、この点は十分嚴正に
審議しなければならん。これは
條項を追
つて私申上げますが、第一に第
一條の、この前に「人事委員会」を「
人事院」に、「人事
委員長」を「
人事院総裁」に、「人事委員」を「人事官」に、これは第一
國会のときに衆参両院協議会でわざわざ來るべき
人事院は民主的であるべき
建前からして「官」という
言葉を使わないというので、或いは「院」という
言葉も使わないというので、わざわざこの
人事院、これはナショナル・パーソナル・コンミッションという
言葉を使
つた。併しオーソリティという
言葉に書いてある。それから人事
委員長、チェアマンというようはものを今度はクエスである。「
人事院」を今度はやはりこれは英語で言えば、いわゆるコンミツショナルと同じである。ただ後の段が、オーソリティというものがコンミティーションにな
つたために「人事官」ということにな
つておるようであります。これは先程羽仁委員も言われたように、第一
國会において相当これは
研究してや
つたものを、全く朝三暮四的な改革をして、こういう提案をして、殊に先程私が何遍もいうように、今度
人事院のやることが極めて杜撰な、独裁的な、而も独善的なものを出して、この両院協議会の決めたことを、更に今度の
改正案では先ず引つ繰り返しておる。これは何としても先程の羽仁君も言われたように、
人事院の臨時人事委員会の態度は奈辺にあるか、私は了解に苦しむのであります。もつともこれは極端に言えば、この臨時人事委員会の諸君がこの法案を作るに先立
つて、特に民主的な
日本の中で、官僚として最も私は独裁的な
考えを持
つておる法案を起しておる。こういうように思うのであります。この点はこれは岡部法制部長にそういうことの返答を求めることが無理かも知れませんけれども、どうも最初からの
説明を聞いても隔靴掻痒の感がある、我々の常識的には分らない。第
二條の
特別職の問題、
特別職は
関係方面から言えばいわゆる特権官僚を、これを撲滅するために成るべく
特別職を少くして、何でもかんでも
一般職の方の追い込めてしまう。即ち支配するものは「
公務員法」、それを
行政するものはこの「
人事院」である。こういう
建前だというように我々は了承しておるのであります。然るに岡部
政府委員の
説明を聞くと、この点にも可なり食い違いがある。いわゆる
政府の立案企画、このものが立つもののみを
特別職に入れると、こうような非常に食い違いがある。これではどうも
逐條審議して見ても我々としては困るのであります。これは今平野委員が言われたように、
関係方面との折衝の経過を聞きながらこれをやると、又たとえそういう
関係当局の意見があ
つても
國会としてはこういう
日本の民主化に反比例するようなものを、これを
審議するにおいて
國会議員としては相当愼重にやらなければならん。今の岡部法制部長の言われることは、その苦衷とすることは
分りますけれども、我々今法案を
審議して來て、こういう進み方では我々同情しかねる。もう
一つ言えばこれが輿論を聞いたものではない、あなた達の一方的な
考えでや
つておるというところに、この杜撰性が現われておる。そこに今の
單純な
労務者を削除するというようなことにな
つて來ておる。現に我我が受付けておる請願も沢山ありまするが、單に進駐軍の
労務者だけではない、農林省の営林署
関係、全國十六万ばかりのものが
公務員法を
適用されておる請負業者、それが團体交渉権も奪われて
労働協約も無効にな
つておる今日もう数十人という
代表者が來ておる、こうい
つた実際を無視したようなことを根拠としてやるというようなことは、我々
法律の
立案者としては実に無責任極まるものであるといわなければなりません。先程羽仁、平野議員の言われたように
審議して來ても我々は実に不便である。これについて今後の進め方について淺井人事
委員長も同じだとすれば、もう少し
審議の
方法を変えないことには我々
國民の代表として実際的な適切な
法律を作るに非常に不便を感ずる、この点について若し岡部
政府委員がこの点についてどうしたらいいかということを
一つ御意見があれば、或いは相談の上でもよろしうございますから、そうして我々の
審議の最も便宜のように示唆を與えて貰いたいと思います。