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1948-11-13 第3回国会 参議院 人事・労働連合委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年十一月十三日(土曜日)
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
○
國家公務員法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣送付
)
—————————————
午前十時四十六分開会
中井光次
1
○
委員長
(
中井光次
君) それでは、只今より
委員会
を開会いたします。
総理大臣
は、衆議院の
委員会
が開催されて、その方へ出ておるということであります。こちらへ御出席がありませんから、議事は逐條に入
つて
行きたいと存じますが、よろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田村文吉
2
○
田村文吉
君
ちよ
つとその前に……
中井光次
3
○
委員長
(
中井光次
君) 何かありますか。
田村文吉
4
○
田村文吉
君
印刷
にお
間違
いがありませんか。若しありましたら、先に一つ御注意願いたいと思います。
佐藤朝生
5
○
政府委員
(
佐藤朝生
君)
印刷
の方の
間違
いは、今調べれておりまして、大体ないと思います。一ヶ所だけ
間違
つて
おりますのがございますから、
ちよ
つと申上げます。極く技術的な
間違
いでございますが、三十七頁を御覽願います。
附則
第九條というのがございます。第一項と第二項と第三項とに分れておりますが、第二項は第一項にくつ付いておるのでございます。それだけの
間違
いを今
ちよ
つと発見しております。後は今読合せております。
早川愼一
6
○
早川愼一君
先般発表されました、又我々の
手許
に参
つて
おります、
人事委員長
から
内閣総理大臣宛
の
給與改訂
の、これに関して何か御
説明
がありましたら。
中井光次
7
○
委員長
(
中井光次
君) 只今伺いましたら、お
手許
に配付しました資料につきましては、本日
上野政府委員
がお見えにな
つて
おりますから、後刻御
説明
を申上げてよろしいそうであります。
佐藤朝生
8
○
政府委員
(
佐藤朝生
君) それでは、今回
政府
から提出いたしました
國家公務員法
の一部を
改正
する
法律案
の
改正
の要点につきまして、大体逐條的に御
説明
いたしたいと思います。 先日
山下政府委員
から御
説明
がありました通り、本
改正法律案
を通じまして、
全文改正
の
箇所
が三十二
ケ條
、新らしく附加されました部分が十
四ケ條
、一部
改正
の
箇所
が七十七
ケ條
に亘
つて
おりますが、その概要を初めから申上げたいと思います。 先ず
人事委員会
を
人事院
に改めましたのでございます。これに関連いたしまして、その他の名称についても変更がございます。即ち
人事委員長
を
人事院総裁
、
人事委員
を
人事官
、
事務局
を
事務総局
、
事務局長
を
事務総長
に、
人事委員会規則
を
人事院規則
にそれぞれ改めました次第でございます。又
從來
の
人事委員会
が、
内閣総理大臣
の
所轄
の下に置かれることにな
つて
いましたのを改めまして、今回
内閣
の
所轄
の下に
人事院
を置くことにいたしましたのでありますが、これに應じまして
從來
の法文中「
内閣総理大臣
」とあります
箇所
を「
内閣
」と読み替えることにいたしました。 次に第
一條
につきましては、
從來
の法中の中には括弧の中で「この
法律
で
國家公務員
には
國会議員
を含まない。」という
規定
がございましたのを削りまして、新たに四つの項を加えております。即ち第二項といたしまして、「この
法律
は、もつ
ぱら日本國憲法
第七十三條にいう官吏に関する
事務
を掌理する
基準
を定めるものである。」この
條文
が新らしく加わつたわけでございます。次に第三項におきまして、何人もこの
法律
や
人事院規則
又は
人事院指令
に違反したり、或いはその施行を妨げてはならない旨の
規定
を設けましたのであります。これはいわば当然の
規定
でございます。更に第四項、第五項におきましては、この
法律
の在る
規定
が
効力
を失い、又は無効とされましても、この
法律
の他の
規定
又は他の
関係
における適用は、その影響を受けないということを
規定
しております。次の
規定
は、この
法律
の或る
規定
が、從前の他の
法律
の
規定
と矛盾牴触する場合においては、この
法律
が優先することを
規定
いたしました。これらは單に
法律解釈
の
一般的原則
を
規定
したものと思います。 次に第二條でございますが、先日
山下政府委員
からも御説がありました通り、
國家公務員
の職は
特別職
と
一般職
に分類されるのでありまして、
特別職
は、この
國家公務員法
の
規定
は適用されないのでありまして、
一般職
のにみ適用されるのでありますが、その
特別職
の
範囲
を整理いたしまして、縮小いたしまして、即ち
一般職
の
適用範囲
を拡大いたしまして、この
法律
の
適用範囲
を拡大することにいたしました。
從來
の
規定
におきましては、
公團
の
職員
。
現業廳
の
職員
、或いは顧問、
参與
、
委員
というものが
特別機
に属しておりましたが、今回の
改正
におきまして、
一般職
に属することにいたしました次第であります。それから
各省次官
も
特別職
に属しておりましたのを
一般職
に属することにいたしました次第であります。次に同條の第二項におきまして、「
人事院
は、ある職が、
國家公務員
の職に属するかどうか及び本條に
規定
する
一般職
に属するか
特別職
に属するかを
決定
する
権限
を有する。」ということにな
つて
おります。それからその
條文
の第五項におきまして「前項の
規定
は、
政府
又はその
機関
と
外國人
の間に、
個人的基礎
においてなされる
勤務
の契約には適用されない。」尚四項におきましては「
政府
は、
一般職
又は
特別職
以外の
勤務者
を置いてその
勤務
に対し俸給、給料その他の
給與
を
支拂つて
はならない。」との
規定
を設けてあります。 次に、
人事委員会
を
人事院
に改称いたしましたことは前にも一言いたしましたが、名称の変更のみならず、その内容につきましても相当の
改正
をいたしてございます。即ち從前は
内閣総理大臣
の
所轄
の下に
人事委員会
が設けられておりまして、
人事委員長
を命ずること、
人事委員
の彈劾の訴追その他
人事委員会
が
國家公務員法
に基きまして行う種々の
意見
の申出、報告、
勧告等
は、すべて
内閣総理大臣
により、或いは
内閣総理大臣
に対して行われておりましたのでありますが、これを改めまして、
内閣
の
所轄
の下に
人事院
を置きまして、
意見
の申出、
勧告
、
報告等
は、
國会
、
内閣
又は、
内閣総理大臣
にすることにいたしますと共に、
人事院総裁
の
任命
、
人事官
の彈劾の訴追を
内閣
において行うことにいたした次第であります。更に
人事院
の
独立性
を明確にするためにその
権限
を強化いたしまして、且つこれを具体的に
規定
し、
人事行政
の民主的且つ公正な運営を期しておる次第でございます。即ち
人事院
は
人事官
三人を以て構成されるのでありますが、その
資格要件
を
從來
の
法律
よりも一層嚴重にいたしますと共に、その身分の保障を
規定
し、その
給與
に関しましても
國務大臣
と同じ
基礎
に基くものでなければならんこと、及び他の如何なる
官職
をも兼ねてはならん旨の
規定
を設けました次第であります。 尚第十二條でありますが、
人事院会議
の項につきましては
全文改正
にな
つて
おりますが、これは字句の修正その他表現を変えたに過ぎないものであります。順序は少し逆になりますが、第四條におきましては、「
人事院
は、
事務総長
及び
予算
の
範囲
内においてその
職務
を適切に行うため必要とする
職員
を
任命
する。」と
規定
いたしました。そうして
人事院
がその
内部機構
を管理することにいたしました。
國家行政組織法
は
人事院
に関しては適用されないことといたしております。 次に十三條に参りますが、十三條におきましては、
人事院
の
予算
につきまして第三項に
規定
しております。第三項におきましては、毎
会計年度
の開始前に、次の
会計年度
においてその必要とする経費の
要求書
を
人事院
から
内閣
に提出いたすように書いてございますが、その次の次の項におきまして「
内閣
が
人事院
の経費の
要求書
を修正する場合においては、
人事院
の
要求書
は、
内閣
により修正された
要求書
とともに、これを
國会
に提出しなければならない。」というふうに
規定
いたしました。
從來
の
規定
によります最高
裁判所
、
國会
の
予算
と同じような地位の
予算
の
独立権
を認めるような
規定
にな
つて
おります。この
條項
の前の
條項
には
應急予備金
の
規定
がございまして、
昭和
二十七月三月三十一日まで即ち
昭和
二十六年度までは
人事院
の
予算
の中に
應急予備金
を設けられなければならない、この
應急予備金
は、
人事院総裁
が管理しまして、ただその支出には
人事院
の議決を経なければなりませんが、
人事院
の議決だけで支出することができるような
規定
にな
つて
おります。 次に第十四條は、これは
人事院
の
事務総長
の
権限
を規してありますものでございます。次に
人事院
の
権限
の強化といたしまして重要な
事項
は、第十六條でございます。十六條におきまして「
人事院
は、この
法律
の執行に関し必要な
事項
について、
人事院規則
を制定し、
人事院指令
を発し、及び
手続
を定める。」と
規定
してございます。これは
從來
の
國家公務員法
によりますと、
人事委員会
は、
内閣総理大臣
の承認を経て
人事委員会規則
を制定することができるのでありましたけれども、それを改めまして、
内閣総理大臣
の承認を経ることなく
人事院規則
を制定することができるというようにいたしました。又新たに
人事院指令
という形式のものを発することができるようにな
つて
おります。 以上述べましたような
人事院
の財政的、
機構的改正
と相俟ちまして、その
権限
も單なる
勧告
的なものだけでなく、指示し、監理し、或いは又一定の
措置
を講ずる
権限
を認めますると共に、
人事院
の
所掌事項
も明確且つ具体的に
規定
いたすことにいたしました。 それでは後に戻りまして、第三條の
規定
を御覽になれば、そこに現在の
規定
よりも明確に、
人事院
の
権限
を事細かに
規定
してございます。そういたしましてその第三條の第四項におきまして、
人事院
が処置する
権限
が與えられている
行政部門
におきましては、
人事院
の
決定
及び処分は、その定める
手続
によ
つて
、
人事院
によ
つて
のみ審査されれることとし、これに
行政部門
における
最終決定権
を認めることといたしてあります。勿論前の
條項
によりまして、
法律
問題について
裁判所
に出訴する権利に影響を及ぼすものではありません。 あちらこちら飛びまして甚だ恐縮でございますが、次に、
人事院
の
機構
の中に設けますものといたしまして、第十三條におきまして、
法律顧問
というものを新たに置くことにな
つて
おります。これはこの
法律
の、
國家公務員法
の
目的達成
上、法令の
制定改廃
に関して、
國会
や
内閣
に
意見
を申し出たり、或いは
人事院規則
の
制定改廃
や、
人事院指令
を発したり、或いは
法律規則
の解釈、又はその他の
事項
に関しまして助言を
行なつ
たり、更に訴訟の当事者となるような場合もありまして、高度の
法制的知識
を必要とする場合が多いので、專門的な
法律顧問
を置くことができる旨の
規定
を設けた次第であります。 次に、
從來
は
人事委員会
に、その
権限
に属する
事項
の庶務を掌るために
事務局
を設けてお
つたの
でありますが、これを
事務総局
にいたしまして、この
機構
を拡充いたし、この
法律
の
目的達成
に遺憾なからんことを期しているのであります。尚総局の
組織
につきましては、
人事院規則
で制定し得ることといたしております。 以上が第一章におきます大体の御
説明
でございますが、第一章、第二章でございますが、次に、
官職
の
基準
に関する
規定
の
改正
について申上げます。申上げるまでもなく、
人事行政
が、民主的に且つ最大の能率を発揮するように運営されますかどうかということは、前に述べましたような
人事院
の適切な活動と共に、この
官職
に関する
基準
を如何にして
規定
するかということが重大な鍵でございますが、一面この点に関しましては、
國会公務員
全体、延いては
國民一般
に取
つて
も非常な
関心事
でございますので、
職階制
、試驗、任免、
給與
、能率、分限、
懲戒
、保障、
服務等
の
事項
につきまして所要の
改正
をいたしまして、本法の趣旨の達成に遺憾なきを期しておる次第でございます。 先ず通則について申上げますと、
平等取扱
の
原則
を徹底いたしまして、人種、
信條
、性別、
社会的身分
によ
つて差別的取扱
をしてはならないと同時に、この
法律
の第三十
八條
第五号、即ち「
日本國憲法施行
の日以後において、
日本國憲法
又はその下に成立した
政府
を暴力で破壞することを主張する政党その他の
團体
を結成し、又はこれに加入した者」という
條項
がございますが、それに
規定
する場合を除きましては、
政治的意見
や
政治的所属関係
によ
つて
も、差別してはならないことといたしました。 又その次の二十
八條
におきましては、この
法律
に基いて定められる
給與
、
勤務
時間その他
勤務條件
に関する
基礎事項
は、
國会
により、
社会一般
の情勢に適應して、変更されることといたしまして、それらについては、
人事院
は
勧告
を怠
つて
はならない旨の
規定
を設けたのでございますが、このことは現在のような経済の
変動期
におきましては、單に
國家公務員
の生活を確保するということだけでなく、後で述べますような
服務
や能率ということとも関連いたして來るわけでございます。更に
人事院
は、毎年少くとも一回
俸給表
が適当であるかどうかについて調査し、その結果を
國会
及び
内閣
に報告いたしましたり、或いは又
給與
を
決定
する諸
條件
の変化によりまして、
給與
を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、
國会
及び
内閣
に適当な
勧告
をしなければならないことにな
つたの
でございます。又その
給與
は、後に述べますように、
官職
の
職務
と責任の程度に應じて
決定
されるわけでありますが、その
決定
に当りましては、
生計費
や民間における賃金その他の事情が考慮されることにな
つて
おりまして、この支拂は
人事院規則
及び
人事院指令
に從
つて
行われ、且つ
人事院
がこれを監理することといたしておるわけでございます。 次に
職階制
について申上げますが、そもそも
職階制度
の最も基本的な概念はクラスということでございます。
從來
はこの言葉を「職種及び等級を同じくする
官職
」というふうに言
つて
おりましたが、これを「
職級
」という言情を用いることにいたしますと共に、この
法律
に
規定
する
職階制
と
政府職員
の新
給與実施
に関する
法律
との
関係
及びその
効力
についての
規定
を設けました次第でございます。 次に
試驗及び任免
の
事項
について申しますと、
職員
の
任用
は、この
法律
及び
人事院規則
に從
つて
行われますが、それはその者の
受驗成績
、
勤務成績
その他の能力の実証に基いて行うこと、更に
職員
の免職は
法律
に定める事由に基いて行わなければならんことといたしました。又
職員
の昇任につきましては、受驗者の
範囲
を拡げまして、その
官職
より下位の
官職
の
在職者
の間における
競爭試驗
によるものといたしました。これは三十七條に
規定
してあるところであります。更に
人事院
は、
任用
のための試驗に関して、その職権により、或いは
人事院規則
の定めるところに從いまして、臨機の
措置
を取ることができるように
規定
いたしました。 又
從來
は、
人事行政
上の
用語等
の定義を、この
法律
の中で
規定
してお
つたの
でありますが、今回の
改正
によりまして第三十四條におきまして、これらの用語の定義、
説明
及び
使用等
につきましては、
人事院規則
で
規定
することといたしておる次第でございます。 次に
任命権者
でございますが、第五十
五條
であります。
改正法
はその
範囲
を明確にいたしまして、
任命権
は、
法律
に別段の定めある場合を除いては、
原則
として
内閣
、各
大臣
、
会計檢査院長
及び
人事院総裁
並びに各外局の長に属するものといたしました。そういたしまして、その
任命権
は、その部内の
機関
に属する
官職
に限られることにいたしました。又
任命権者
が、その部内の
上級職員
にその
任命権
を委任することができることにな
つて
おりますが、その場合には、その
効力
が発生する日の前に、これを
人事院
に提示しなければならないことにいたしました。更にこの
法律
、
人事院規則
及び
人事院指令
に定める要件を備えない者に対しては、如何なる
任命権
も行使することができないことを明かにいたしました。 尚五十六條の
改正
によりまして、
採用候補者名簿
による
職員選択
の
範囲
につきましては、
技術的考慮
も加えまして、
昭和
二十六年七月一日までは、
人事院
において
高点順
の
志望者
四人以内に制限し得ることにいたしたのであります。 次に、
職員
の
給與
、恩給及び
補償制度等
に関する主な
改正点
を申上げます。先ず給与に関しまして、第一に、
給與準則
に
規定
すべき
事項
として「
扶養家族
の数」を加えました。次に、
給與簿
に関して必要な
事項
を
專ら人事院規則
で定めることにいたした次第であります。これは第六十
五條
、第六十
八條
の
改正
でございます。 第二に、
恩給制度
のことでありますが、これは第百
八條
に
規定
してありますが、これは健全な
保險数理
の
基礎
の上に定められなくてはならないことにいたしまして、更に
災害補償制度
のことに関しましては、九十三條におきまして、
從來
は立案のみを
人事院
でやることにな
つて
おりましたのを、立案のみならず、実施につきましても
人事院
において行うことにいたしましたのであります。 次に、
職員
の分限、
服務
、
懲戒
、
保障等
に関する主な
改正点
を申上げますと、
職員
の
休職
、免職、復職、
退職等
のことを行ないますには、この
法律
及び
人事院規則
によらなくてはならないという
規定
を加えたことであります。更に
職員
がその意に反して降任され、
休職
され、又は免職される事由を、
法律
及び
人事院規則
で定めることにいたしました。前者は第六十
一條
であります。後者は第七十
五條
でございます。 次に、
休職
についてでありますが、先ず
休職
の期間を
人事院規則
で定めることといたしまして、次に
休職
中は
原則
として
職員
は
給與
を受けることができないことにいたしました次第であります。これは第八十條の
改正規定
であります。更に
職員
の離職に関する
規定
は、この
法律
及び
人事院規則
で定めることにいたしております。これは第七十七條であります。 次に、
懲戒
に関しましては、先ず懲戎をする者、
懲戎権者
でありますが、これは
從來
と同じような
任命権者
が、即ち
懲戎権者
でありますが、
人事院
も亦この
法律
で定められた調査を経て、
職員
を
懲戎手
続に付することができることに
改正
いたしております。
懲戎手
続に関しましては、
從來
のごとく
刑事裁判所
の
手続
に
優先権
を認めることを廃しまして、懲戎に付せらるべき
事件
が、
刑事裁判所
に係属する間におきましても、
人事院
又は
任命権者
は、同一
事件
について適宜に
懲戎手
続を進め得ることができるということにいたしまして、又同一
事件
に関する
懲戎処分
は、刑事上の責任を免れしめるものでないことを明らかにいたしました。それは第八十
五條
及び第八十四條の
規定
でございます。 次に、
服務
について申上げますと、先ず
勤務成績
の優秀な
職員
に対する表彰及び
成績不良者
に対する矯正の方法に関しましては、
人事院
において、これに対する適当な
措置
を講ずることにいたしております。
職員
の
勤務條件
に関する
行政措置
の
要求等
に関する審査につきましては、公正を保持する見地からいたしまして、その審理及びこれに基く処置を
人事院
の職権といたしまして、又この審理の判定は、すべて
人事院
のみによ
つて最終
の判定が下されることにいたしました。これは第九十二條であります。更にこの審理におきましては、
職員
が、
人事院
から要求された情報の陳述又は証言を行うには、
職務
上の秘密を守る義務から免れ得ることといたしまして、その陳述又は証言を拒んだ者には、この
法律
の罰則が適用されることとして、その
実効性
を期することにいたした次第であります。これは第百條に
規定
してございます。 次に、重要な点といたしまして、九十
八條
の点を御
説明
いたします。
職員
の
組合組織
に関する
規定
を加えたことでありまして、その概要を御
説明
申上げますと、先ず
組合組織
は
オープン・シヨツプ制
を採ることといたしまして、この
組織
を通じて、
職員
はその
代表者
をみずから選び、
勤務條件
及びその他社交的、
厚生的活動等
の適法な目的のため、
人事院
の定める
手続
に
從つて当局
と交渉することができることを明確にいたしますと共に、
職員
がこれらの
團体
に関する
行爲
をしたことのために不利益な取扱を受けない旨明らかにいたした次第であります。又たとえ
職員
が、このような
職員
の
團体
に属していない場合でも、不満を表明し、又は
意見
を申出でる自由な十分保障することといたしました。更に
警察職員等
に対しましては、前述の
組合
その他の
團体
を結成し、又はこれに加入することを禁止いたした次第であります。尚
職員
の
争議行爲及び怠業的行爲
は一切これを禁止しました。これに違反したときは、
政府
に対して雇傭上の権利を以て対抗することができないことといたしたのであります。更に
職員
をして
服務
に專念せしむるために第百
一條
の
規定
を
改正
いたしまして、先ず
職員
は
人事院
によ
つて
認められた場合以外は、
勤務
時間中、
職員團体
のための
事務
を行うことを禁止いたしました。且つ
官職
の兼職を
原則
として禁止いたしました。更に第百二條においては、
職員
の
政治的行爲
の制限を強化いたしました。先ず公選による
公職
の
候補者
又は政党その他の
政治的團体
の役員、
政治的顧問
、その他これらと同様な役割を持つ
構成員
となることは一切認めないことといたしました。又
選挙権
の行使を除くの外は、
人事院規則
で定める
政治的行爲
をしてはならないことといたしております。 次に、私企業からの隔離であります。第百三條におきまして、
職員
の
営利企業
からの隔離を嚴格にいたしまして、離職後二年間は
営利企業
の地位で、その離職前五年間に在職していた國の
機関
と密接な
関係
のあるものに就職することを禁止いたしました。 その他の
改正点
といたしましては百九條、百十條におきます罰則を強化いたしましたこと、及び次に申上げますことは、
附則
第九條におきまして、この
法律施行
後、現在のこの官廳に勤めております幹部の者の
臨時的任用
をいたします
範囲
を廣くいたした次第であります。
從來
は
局長級
まででありましたのを、次官、局長、次長、課長、
課長補佐
、その他これに準ずる
官職
にまで、その
臨時的任用
を拡げることにいたした次第であります。 次に、
附則
第十
五條
におきましては、
昭和
二十六年七日一日以前におきましては、
人事院
は、都道府縣、市その他の
地方公共團体
の
人事機関
の設置及び運営について協力し得るようにいたしました。 次に、第十六條におきまして、
労働組合法
、
労働関係調整法
、
労働基準法
及び
船員法並び
にこれらの
法律
に基いて発せられる命令は、
一般職
に属する
職員
には適用しないということにいたしました。 次に申上げますことは、第一次
改正法律附則
、即ちこの
改正法律
を施行いたしますについての
附則
でありますが、これをざつと申上げますと、
人事院
の
應急予備金
につきましては、
昭和
二十四年度の
会計年度
から、これを適用することといたしました。次に、その
附則
の第二條におきましては、
職員
で現に公選による
公職
に在る
職員
は、
昭和
二十四年二日一日前にその
公職
を退かない限り、その日において
公職
を失うことにいたしました。 次に、第三條におきましては、
一般職
に属する
職員
の
勤務條件
に関しましては、別に
法律
が制定実施されるまでの間、この
法律
の趣旨に矛盾しない
範囲
内において、
労働基準法
及び
船員法並び
にこれらに基く命令の
規定
を準用することにいたしまして、
一般職
に属する
職員
を主たる
構成員
といたします現在の
労働組合
は、これを
人事院
に登録せしめまして、
組合
その他
職員
の
團体
として引続いて存続せしめることといたしまして、これに関しまして必要な
事項
は、
法律
又は
人事院規則
で定めることにいたしました次第であります。 次に、
公共職業安定機関
に
勤務
する
職員
及び
政府
の
海上企業
に從事する船員の
人事
に関しましても、
國家公務員法
の
規定
に合致するように、
職業安定法
及び
船員職業安定法
の一部に対して、それぞれ所要の
改正
をいたしましたのであります。 尚この
改正法律施行
によりまして、先の公布されました
昭和
二十三年政令第二百一号は、
國家公務員
に関します限りは、
効力
を失うことに定めた次第であります。 それから第十
一條
におきましては、
國会
及び
裁判所
の
職員
に関しましては、
昭和
二十六年十二年三十一日まで、この
法律
の定める
一般職
に属する
職員
とすることにいたしました。 最後に、
從來
定められておりました
官吏懲戒令
、
高等試驗令
、
高等試驗委員
及び
普通試驗委員会官制
、
一級官吏銓衡委員会官制
、二級
事務官吏詮衡委員会官制
、その他の勅令及びこれらに基く命令は、この
法律施行
の日から廃止することにいたしました次第であります。 以上を以ちまして、この
改正法律案
の要旨を御
説明
申上げました。
中井光次
9
○
委員長
(
中井光次
君) もう暫くいたしますと、
総理
がこちらへ見えるそうすであります。 御質疑は後にしまして、先程早川
委員
からの御要求によ
つて
、お
手許
に配付してあります資料について、
上野政府委員
からの御
説明
を伺いたいと思います。
上野陽一
10
○
政府委員
(上野陽一君) お
手許
に差上げました公務員の
給與
に関する
勧告
について、要点を申上げます。この新らしい
給與
を決めましたについて申上げて置きたい個條が四つございます。 第一は、この新
給與
の算出は、今までのペースによる算出と全然違つた方法で計算いたしたものでありまして、第一に
基礎
と
なつ
たものは、中小都市に生活しておる成年独身男子の一人分の生活費を計算いたしました。これは新たに調査する時間も人手もありませんでしたので、今まで各
官廳
において調査しておるところの材料を提出して貰いまして、それによ
つて
計算いたしましたのが、東京都において行いました栄養調査を参考といたしまして、品目別に細別いたしまして、いわゆるCPS(消費者價格)の調査の七月分に示されました東京都における実効價格によ
つて
、各品目を金額に換算合計いたしますというと、千七百四十三円となるのであります。これをフィッシャーの指数と申しまして、大都市において調査したものを小都市に換算する数字がございます。それは、こういう数字は、なかなか中小都市では正確な数字が得られませんので、それともう一つは、東京のような大都市で調査したものが、数字として最も正確なものが得られておるのであります。そこでこれをフィッシャー指数を用いまして中小都市に換算いたしますというと、千七百四十三円が千百二十八円になるのであります。千七百四十三円は東京において調査した数字であります。これを中小都市に換算いたしますと一千百二十八円になります。これが食糧費であります。食糧費以外の
経費
に関しましては、東京都が最近行いました家計調査の分析によ
つて
得られた数字がありますからして、それを計算すると一千百十二円になります。この外に、公務員は税金、共済
組合
の掛金、
恩給
納金、それらを合計いたしますと、毎月約二百五十円を必要といたしますので、それを加えますというと、この
勧告
文にありまする独身者の生活費が二千四百七十円と出て來るのであります。この二千四百七十円は、新
給與
法に決めてありまする職階の四級の一号の
俸給
額として決めたのであります。これはどういうわけであるかと申しますというと、只今の職階の三級以下のものは、大抵独立の生活をいたしておりません。親もとから通
つて
おるというようなのが多いので、この最低生活費を償う
給與
の
基準
といたしましては、三級以下を標準にすることは不適当であるという見地から、四級一号を
基準
として計算いたしました。で、お
手許
に差上げました
勧告
文の最後に、細かな数字の表がございます。あれはどういうふうにして決めたかと申しますというと、只今申上げましたように、職階の四級一号を二千四百七十円と抑えまして、これはまあ下の方を抑えたわけであります。今度上の方を抑えるために民間の
給與
の調査をいたしました。丁度
官廳
の十四級と申しますと、
局長
の古いところ、或いは
次官
に相当するのでありますが、この役人の
局長
、又は次長に相当する民間会社の位置にある者を摘出いたしまして、民間の調査をいたしました。そうしてこの級に属する人の
給與
を約一万五千五百円と抑えたのであります。そこで職階から申しますと、四級一号を二千四百七十円と抑え、十四級を一万五千五百円と抑えまして、この間の十階級にどういうふうにこの金額を分布するかという問題が起るのでありますが、現在の新
給與
法によりまする
俸給
の分布は、算術級数によ
つて
おるのでありまして、これは甚だ学問的に見て不合理なやり方であります。從
つて
今日は下の半分を確か五十円、上の半分になるというと百三十円ぐらい飛びの分布方法にな
つて
おりますが、今度はこれを一切機何級数的に分布することにいたしまして、ずつと今までよりは科学的に
なつ
たわけであります。 次は、家族手当、扶養手当であります。これを千二百五十円に増額した理由如何という質問が当然起ると思いますが、今は
官吏
の家族手当は二百五十円であります。それを五倍にしたということは非常な突飛な増額であるという感じを與えますけれども、今までの二百五十円というのが、これこそ突飛な安い数字でありまして、今日行われておりまする
官吏
の
俸給
の体系を調べて見ますというと、インフレーシヨンのために段々食べられなくな
つて
、そんならこういう手当を出そうか、今度はこういう名目で手当を出そうかとい
つて
、段々手当を殖やして行きまして、御承知の方もあると思いますが、
官吏
の受けまする
俸給
袋の表面にはいろいろな手当が五つも十も書いてあるのでありまして、受け取る本人も今月幾ら貰うのか分らないような状態である。これは全くインフレーシヨンに攻められて、継ぎ継ぎした結果こんなことにな
つたの
でありまして、誰も家族手当が二百五十円でよろしいという立場から決めたものではなくして、そんなら家族手当を少し出そうかというような状態で、いろいろな継ぎ継ぎをした結果、今日の複雜怪奇極まる
給與
体系ができ上
つたの
であります。それを一切整理するためには、一体独身者が妻君を持
つて
二人に
なつ
た場合、第一の家族に対して幾ら金が要るか、それすら又子供が一人生まれたならば、幾ら要るかということを詳細にいろいろな資料に基いて調べたのでありますが、これは常識的に考えましても、人数が殖える度に段々一人当りの
経費
は減
つて
行くということは当然であります。併しながら
官吏
の平均家族数は一・五であります。
扶養家族
数の平均は一人半でありまして、五人も六人も生むという場合には割に、そういう場合は全体から申しますと、パーセンテージが少いのでありまして、いろいろ数字を檢討いたしまして、最初は逓減主義の案を立てて行きましたが、結局これは平均で行こうということで千二百五十円になりました。結婚して妻君を迎えた場合に千二百五十円で足りるかというと、それだけを考えますと、最初の一人に対してはこれは平均の数字でありますからして、むしろ低いのであります。いろいろな計算の手数を省く上から、いろいろな事情から一律に、千二百五十円といたしましたわけであります。 それから、その後は地域手当であります。地域によ
つて
或る割合で増額をいたしませんと、小都市に勤めている者と六大都市に勤められまする者は、物價の差が非常に多いために、只今までの数字はすべて中小都市を材料として計算したのでありますからして、大都市、それから特地と申しまして六大都市に勤める者に対しては地域別に相当の増額をする必要がある。それもいろいろの数字を集めまして調べました結果、只今までのやり方は小都市が零、中都市が地域手当一割、大都市が二割、それから六大都市が三割、こうな
つて
おりまするが、四月、五月、六月、七月の数字を研究いたしました結果、今まで一割の違いがあると考えられてありました中都市と小都市とは、殆んど物價が一樣になりまして、これは区別する必要を認めなくなりました。認める必要がなくなりました。そこで中都市には地域手当を出さん。それから大都市に一割、それから六大都市には五割、こういう地域手当を出す案にいたしましたわけであります。 以上申上げました
通り
、今度の
給與
案はすべて計算の
基礎
が生活の実態に置かれておるのでありまして、これを今までの考え方の、いわゆる今は三千七百九十一円ベースと称せられておりますが、あのペースの考え方によ
つて
計算をし直しますというと、即ち換算いたしますというと、六千三百七円になる、こういうわけであります。初めからベースを変える考えでや
つたの
ではないのでありまして、実態調査によ
つて
出した数字に基いた結果をベースに直すと六千三百七円になる、こういうわけでございます。
田村文吉
11
○
田村文吉
君 今の
給與
の問題につきまして、先に
ちよ
つとお尋ねをしてもよろしうございますか。それともその方は後にして、この法の方の質問に入りますか。若しお許しを願えれば、丁度今御
説明
がありましたから、
ちよ
つと
給與
の問題についてお伺いして見たいんですが……。
中井光次
12
○
委員長
(
中井光次
君) どうぞ……。丁度今
上野政府委員
が見えておりますから、都合がいいと思います。
田村文吉
13
○
田村文吉
君 詳わしく勉強したわけでありませんが、大体今の御
説明
について、
ちよ
つと二、三点お尋ねして見たいのでありますが、我々も民間の建前から行きますというと、今の
給與
の立て方が甚だそぐわないような感じがするのであります。今弁解式にお話になりましたように、例えば家族手当でありまするが、民間は普通五百円くらいというのを、千二百五十円とお置きになりますと、六千三百何がしかの、大体三割くらいになるのだと思います。二割八分から三割と思いますが、民間の方では大体家族手当は現在では一割程度にな
つて
おると私は推定するのであります。そういたしますと、非常にこれは不均衝な形になりますので、これは御承知でもありましようけれども、この
労働組合
運動が盛になりましたときに、
政府
が逸早く家族手当というものを附けたから民間が家族手当なるものを附けた。初めは家族手当一本で、それを増額することを
労働組合
としても要求してお
つたの
でありますが、若い人たちになりますと、同じ職場で働いておりましても、隣りの人は年を取
つて
仕事もろくすつぽできないのに、ただ家族が多いというので、收入の二倍も、三倍も取る、これは不公平だということを
組合
でいろいろ檢討した結果、若い人たちの
意見
が出て來た。この結果、今日では又
能率
を主とした
給與
の体形にしろと、こういうような情勢下にあるのに、ここでさような突飛な、家族手当を千二百五十円出すということは、民間で今後の仕事をや
つて
行く上に非常な困難を感ずると思いますが、この点についてはお考えをなされましたか、どうかということをお伺いしたいのであります。 それから第二番目に、六大都市には五割の手当を出すということは、普通ならば大体三割から二割です。これが民間の大体の標準であります。それだのに、都会には特に五割もお附けになるということは、これも甚だ突飛なあれではなかろうか、さようなことをお考えになるならば、むしろ公務員法の中にもございますが、寒冷地で、燃料が沢山要るというような所に特殊に手当を考えられるのが合理的であると思います。今のように都会地に五割も附けるというようなことは非常に突飛なものになると考えるのであります。例えば今お話になりました
次官
級の方々が一万五千五百円でありますが、これに五割が附くわけであると思うのであります。そういうようなことは、民間の常識からい
つて
余りに突飛過ぎてどうかと考えますので、この点についてはどうお考えにな
つて
おりますか。 それから、この増額の率が、最高が三割五分で最低が二割、そういう率で大体基本をお決めにな
つて
おるのでありますが、即ち下級の方は三割五分上
つて
も、上の人は二割しか上らない、それはよろしうございますが、実際は今日高級になる程、税金の率が非常に高くな
つて
参りますので、二割上
つて
も、実際は五分しか上らないというような結果が、税金を引くと、そういう数字が出て來るのであります。こういうことをお考えに
なつ
た上のことであればよろしいが、そうでないと、つまり戰前の
基準
年度の給料、賃金と比較すると、高級の人たちが非常に割合が惡くな
つて
お
つて
、や
つて
はいけない。こういう問題があるのでありますが、その点御考慮下さ
つたの
でありましようか、これを一つお伺いしたいのであります。
上野陽一
14
○
政府委員
(上野陽一君) 今度出しましたこの
勧告
案は、私共
人事院
といたしましては、決して理想案ではないのでありまして、この経済情勢の下においては、せめて生活のできる最小限度を
保障
すべきであるという見地から
立案
したのでありまして、
給與
のかくあるべき姿から申しますれば、家族手当などを加えなくとも、当然相当の位置にある人には相当の家族数があるのでありますからして、その家族を十分に扶養し、そうして相当の教育を受けるだけの
給與
を與えなければならない筈の者であります。ところが今日の経済情勢においては、それが許されない。だからせめて独身者の場合には、その独身者だけが食べられるよう、一人殖えたならば、それだけの扶養を増額して行くという、ほんの臨時の
措置
に頼するような
給與
案でありまして、將來経済情勢の改善されるのを持
つて
、できるだけ速かに、この家族手当のごとき変態的の附加給は廃止しなければならんという考えでおるのであります。
田村文吉
15
○
田村文吉
君 議事進行について……
総理
が見えられたようでありますから、私に対する答弁は後程でよろしうございます。
中井光次
16
○
委員長
(
中井光次
君)
総理大臣
に対する質問を……。
原虎一
17
○原虎一君
総理大臣
にお伺いしたいと思います。私共この
國会
において、
総理
が劈頭法案を
説明
されましたように、本法案は、本
國会
の召集される第一
條件
の法案であります。而もこの法案が御承知のようにマ書簡に基く
改正法律案
でありますだけに、非常に國際的な関連を持
つて
おるところの法案であるということ、それが当時
官吏
職員
の殆んど全部が
給與
改正
の要求を
政府
に提出して、非常に險惡なる情勢と申しまするか、深刻な情勢になりました当時にマ書簡が出まして、それだけに又國民が受けた衝撃、こういうものは深刻なものがあるのであります。同時にこの
改正
案につきましては、極東
委員会
において問題とされるような重要なものであるということも我々は承知しておるわけであります。こういう國際的に重要な
関係
を持つ法案であるということは、やはり審議の過程とその結果は、單に國内における國民が受ける
影響
とか、國民に與える思想上、或いは経済上の問題ということばかりでなくして、國際
関係
における日本に及ぼす
影響
が重大である。こういう点についての先ず
総理
の所見をお伺いしたい。と申しまするのは、法案
改正
に当
つて
の審議に、我々は前條提案であるものに対する
総理
の所見を十分に質し、その前提
條件
の
意見
に相違があるならば、この
條文
に対してもおのずと変
つて
参る。そういう
関係
からして、私は
総理
の今申しました本法案の國際性、こういうものについての
総理
の御所見を承わりたいと思います。
吉田茂
18
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。公務員法は、御承知のごとくマツカーサー書簡に基いて提案されたものでありまして、その後國際情勢にいろいろの変化があつたというお話でもあり、又さようにも聞いておりますが、併し日本
政府
といたしては、主としてマツカーサー元帥の書簡に基いて提案もし、又日本の現下の現状から、これを必要として、主として國内問題、御承知のごとく官公労の運動等については一々運動もあり、又陳情もしておるような状態であ
つて
、一日も早く公務員の
地位
なり、生活なりを安定させたいということから出したので、國際情勢よりも、主として國内情勢を、私共は考えて置いて、そうして提案いたしておるわけでございます。
原虎一
19
○原虎一君 私の
説明
が足りなかつたかと思いまするが、私の申上げておりますのは、今
総理
が言われますごとく、日本に必要なる
改正
案であるから出されたことは当然でありまするが、それと同時にこの法案が日本に必要であるというばかりでなくして、必要のことは当然でありまするが、その法案の出たところの情勢、その後におけるところの世界の情勢などから勘案して、かかる間に、この法案が日本に必要であるから、我々が審議するのは当然でありますけれども、その状況、その結果というものが、國際間におけるところの、言換えますならば、世界の注視の的にな
つて
いるということについてのお考えがあるかどうか。簡單に申しますれば、日本の國民もこれを非常に重要視しておるが、世界も又この審議状態、又この
法律
の審議の結果等について重要視されておるということについて、どういう御所見であるか、これを伺いたいと思います。
吉田茂
20
○
國務大臣
(吉田茂君) 御答えをいたします。世界と申しまするか、とにかく諸外國を挙げて、この公務員法等の審議については相当関心を持
つて
おるだろうと思います。というわけは、日本の今日の最も急務と考えられることは、日本の復興であります。日本の復興は労働者のこの復興に協力する愛國的熱情がどう発現するか。労働者の勤労態勢も日本の復興に十分協力するということでなければ、日本の復興はできないのである、故に日本の労働法制について、両院が十分なる熱意を示されて、そうして日本の労働問題を解決することに全力を挙げて盡されたという事実が示されることによ
つて
、日本の復興も自然促進せられるのである。この見解を以て公務員法等の形勢については相当な関心を以て、世界は見ておるであろうと、考えられるのであります。從
つて
又その観点から申しても、公務員法の議事の両院通過ということは、
政府
といたしては切に熱望する訳であります。
原虎一
21
○原虎一君 大体
総理
の御所見は私共と同樣だと了承いたしました。つきましては先程も
総理
からお話がありました
通り
に、マ書簡に基くこの法案の
改正
、言葉を換えて申しますれば、法案の
改正
の精神は、マ書簡にあると見なければならん。そこで我々はこの法の
改正
に当るところの、審議いたします心構えとして、マ書簡に対する考え方、見解というものが、
政府
と我々との間に、どれだけ相違があるか、ないかということも、我々は十分檢討してかからなければならないと思います。そこで先日山下
委員
から御質問がありました
通り
、或いは本
会議
におきまして、
総理
から
説明
がありましたこと等と併せ考えて見ますと、結果は大体次のごとくになるのではないかと思います。マ書簡の
趣旨
の、要するに
解釈
すると申しますか、法案審議の基本的前提
條件
を、今申しましたように考えまするときに、第一は、日本における民主主義の成功を阻んだ旧官僚制度の宿弊を是正するに足る建設計画を定めて行く。第二は、現代生活において、
労働組合
主義が極めて重要なものであり、又現代の産業経済に伴う多くの弊害を是正するのに、
労働組合
運動が歴史的意義を有するものであるということ。第三は、併し勤労公務員の捧げるものと、私的企業に從事するものとの間には、嚴格に区別され、公務員は公共の信託に対し、無
條件
に忠誠の義務を負うもので、一切の爭議
行爲
は勿論、
團体
交渉も認められないが、個人的に、若しくは
團体
の
代表者
をして、雇傭
條件
の改善を求めるため、自由な
意見
、見解を、不満を表示表明することができること。第四点は、
職員
に課せられた特別の制限ありという事実は、
政府
に対し、常に
政府
は
政府職員
の福祉並びに利益のために、十分な保護の手段を講じなければならん義務を負
つて
いること、五は、鉄道、專賣等、
政府
事業に関して、その所管、
運営
のために適当なる方法により、公共企業体が
組織
さるべきである。大体以上の五点の精神が盛られておるのであります。こう
解釈
いたしますが、
政府
はこの五項目についてどういうお考えでありますか。マ書簡の精神を如何に
解釈
されておりますか。この点御所見を御発表願いたいと思います。
吉田茂
22
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。私はこの
國家公務員
と申しますか、極く簡單に申せば役人、日本の
官吏
が議会政治若しくは
政党
政治が発達するに從
つて
、
官吏
の心構えが変
つて
來ることはないか。も
つて
率直に申せば、
政党
の色が附くとか、或いは政治に
官吏
が余計入り込んだために、いわゆる忠誠の念を害うというような、害するようなことがないかということは、平生常に心配いたしてお
つたの
であります。これは今日に始ま
つたの
ではありませんが、私が先年外務
次官
を奉職いたしておつたときなどにおいても、恰も議会政治、
政党
政治が段々発達して行
つて
、そのために
官吏
が或いは政友会とか、民政……憲政会と申しますか。いずれにしても
政党
色が附いておる。或いは
政党
びいきするというようなことのために、
官吏
が國家の
官吏
として、國務に献身從事するというその氣持に、多少いわゆる忠誠の念の変
つて
來ることがないかということを心配いたしてお
つたの
であります。マ書簡の一々は記憶いたしておりませんが、今お読みに
なつ
た
通り
であろうと思いますが、狙うところもやはりそこにあると思う。それは日本の國情から申して行
つて
、最も適切な
勧告
であり、
政府
といたしても、その
勧告
を容れて、そうして公務員法の制定を急ぐ方がいいと、こう私は考えて
國会
に提案いたした次第でございます。
原虎一
23
○原虎一君 大体只今
総理
の御所見の発表は、マ書簡に対する私の見解の第一番と第三番程度のものである。第二番にありますところの、現代生活において
労働組合
が極めて重要なものである。又現代の産業経済に伴う多くの弊害を、即ち産業経済に伴いますところの多くの弊害を是正するのに、
労働組合
が歴史的意義を有するものであるということ。そういうことについての御所見の発表がない。そうして官僚の
政党
から受ける禍いを除き取る、そのためにこの法案の
改正
が必要だという程度であります。從
つて
私は甚だ恐縮でありますけれども、一間一答の形で、第一から五までをお伺いしたい。 第一の、日本における民主主義の成功を阻んだ旧官僚制度の宿弊を是正するに足る建設計画を定めている。項
目的
に申しまして、第一に対する御所見を先ずお伺いしたい。
吉田茂
24
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。公務員法の狙うところは、先程申した
通り
に、いわゆる官僚政治と申しますか、或いは民主主義の徹底を図るためと申すか、
人事院
が
人事
に関しての特別な監督権を持
つて
、そうして一には只今申したような
政党
色を帶び、若しくは忠誠の念に反するようなことがないように、又一面から申すと、官僚政治に陷
つて
民主政治を妨げる、民主政治の発達を妨げるというようなことがないように、
人事院
としては或る程度の
独立性
を保
つて
、重要な司法権と申すか、とにかく重要な
権限
を持
つて
、
政府
の監督外に立たないまでも、一々
政府
の指揮監督を受けるのではなくて、独自の
地位
を持つようにさせることによ
つて
官僚政治の弊を救う、よ
つて
以て民主政治の確立を図るという点に重きを置いておると考えまするから、これ又
政府
としては、公務員法の
勧告
の趣意に賛成をいたして、提案いたしたわけでございます。
原虎一
25
○原虎一君 第二は、先程申しました現代生活において、
労働組合
主義が極めて重要なものであり、又現在の産業経済に伴う多くの弊害を是正するのに、
労働組合
運動が歴史的意義を有するものである。この精神に対しての
総理
の所見を伺いたいと思います。と申しますのは、先般の本
会議
におきまするところの、
総理
が板野議員の質問に対し、或いはその他の議員の質問の中にありましたが、曾て
総理
をされた当時に、労働大衆に向
つて
不逞の輩と言われたごとく社会に報道され、
総理
の御答弁によれば、一部の労働者にそういう者があるということを言
つたの
であ
つて
、全体を指したのではないというような言葉もございました。そういう点から考えまして、私は
総理
のマ書簡の重要な
條項
でございます今私が申しました第二項、これに対する
総理
の御所見を伺いたいと思うのでございます。
吉田茂
26
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。昨日でございましたか、一昨日でありましたか、例の不逞の輩についての御質問がありましたが、そのときにも
説明
いたしましたが、労働者の一部にというわけではないのであ
つて
、労働者の背後にあ
つて
、この労働運動を政治的に利用しようという輩は、これは不逞の輩であると申したので、労働者そのものが不逞の輩と申したのではないのであります。その点は十分御了承願いたいと思うのであります。それから又先程も申しました
通り
に、日本の復興は、一に勤労大衆の協力に俟つべきものであ
つて
、この労働大衆が協力しないという場合においては、日本の復興の前途は甚だ遼遠である。例を申せば、日本のような今日資源の甚だ乏しい國において、唯一の資源と申せば労働勤労大衆であります。この多数の勤労大衆、つまり
從來
の日本の産業の例から申して見ても、この勤労大衆は最も正直であり、最も勤勉であり、最も
能率
的であ
つて
、この勤労大衆によ
つて
日本の産業があれまでに発達いたしたのである。不幸にして敗戰後その労働力……日本の産業は衰ろえましたが、併しこの衰ろえた産業を復活せしむるためには、更に労働階級の生産意欲を盛ならしめて、そうして日本の復興に協力する、心持よく愛國的熱情を持
つて
日本の復興に協力するという、協力が得られなければ日本の再興の前途というものは甚だ覚束ないと考えるのでありまするから、労働政策については十分私の
内閣
においても注意いたすつもりであります。主として一体どうするかということになりますれば、自然労働
大臣
等からして詳細な具体案を
説明
いたしましようが、「私としては
労働組合
の健全なる発達、而も進歩的な発達をなすことによ
つて
労働者の
地位
も確保せらるるのであり、
権利
の点も確保せられ、或いは進歩的の発達ができるのではないか、こう考えております。又公務員法についても特別な、特殊な
組合
を認めておるのでございます。」
原虎一
27
○原虎一君 第三番は、大体只今の
説明
で了解いたして置きます。第四項の、
政府職員
に課せられた特別の制限のあるという事実は、
政府
に対し、常に
政府職員
の福祉並びに利益のために、十分な保護の手段を講じなければならん義務を負うている。こういう問題であります。只今
総理
は労働大衆の協力を得る、或いは生産意欲を高めなければ日本の復興はあり得ない。これはもうどなたも異議のないことであります。又その労働大衆の協力を求められるあなたの言葉は、或々はたびたび承わりますが、その労働大衆の生産意欲を高める、労働大衆の協力を得るところは、言葉にあらずして具体的政策である。この問題について各所管
大臣
が
説明
すると言われますが、少なくとも
國家公務員法
に基く
人事院
は、
総理
の所管にあるのであります。その
人事院
が、先日官公吏の
給與
の
改正
を発表いたしました。こういう問題に対して、
政府
はこの
法律
の
改正
に当
つて
審議を急がれるが、一方
給與
の問題について何らの表示がないために、昨日の本
会議
において決議案が通過されたわけであります。こういう点について、私は
総理
が具体的に労働者の協力を得る、労働者の生産意欲を高めるために何をやるか、少なくとも
人事院
に関する限り
総理
の所管であります。労働
大臣
に私は聽く必要はない、
総理
から御
説明
を願いたいと思います。
吉田茂
28
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。
人事院
は私の監督の下にあるのでありますが、一方においては
独立性
を持
つて
いる性格もあるのであります。從
つて
その性格から、
人事院
として見たところを発表したのでありましようが、
政府
といたしましては財源の
関係
もありますし、又このいわゆる六千何百円という、この
給與
ベースが、果して適当であるかどうかということは、
政府
として更に考えなければならん。又一般の財政の上から考えて見て、どうこれを処置するかということは、現に当局において、頻りに研究をいたしておるのであります。決してなおざりにいたしておるわけではないのであります。
原虎一
29
○原虎一君 第五番目は、これは
政府
事業の、即ち企業体の変革でありまするから、これはいずれも近くそれぞれ法案が提出されますので、重ねて質問することは省きます。大体今の
総理
の御答弁によりますれば、我々のマ書簡に対する政策の解決の近いものがありますにも拘わらず、私は敢てここで質問いたしたいことは、この法案の審議のために召集された
國会
を、十日間の会期と定めたいという
政府
の希望、又議員が院議を以
つて
今月一ぱいの審議期間を
決定
したにも拘わらず、僅か六、七日でこの重要なる法案の審議を終了して貰いたいという
政府
の要望であります。十六日までにこの法案の審議を終了しなければならんという、この理由を御
説明
願いたいと思います。
吉田茂
30
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。
政府
といたして十六日までにというのは、十六日ということではなくて、成るべく速かに審議をして頂きたい。何となれば、官公労の運動、その他、現にいろいろ問題が輻湊いたしておりますので、
政府
の基本政策を定めるためにも、成るべく早く、この問題を議了して頂きたいという希望なのであります。十六日でなければいかんというわけではない。成るべく早く議了して頂きたいという希望から申して置いたのであ
つて
、十六日でなければいかんと申したわけではない。その点はよく御了承願いたいと思います。
原虎一
31
○原虎一君 この点は、どうも
運営
委員会
の
報告等
を聽きましても、只今の
総理
のお話とは可なり違うのです。それはともかくといたしまして、私は十六日までにこの審議を終了しなければ、
政府
は行政
運営
上どういう点に支障があるのか、先程
総理
は前提において、この法案が國際環視の中に審議されているということを御
承認
であります。又
総理
は本
会議
において、官民共に本案については七月二十二日以來研究を続けられて檢討されて來ておるのであるから、そう長い期間を必要とするわけはないというような
意見
を持
つて
お答えにな
つて
いる。私に言わしむれば、法案を鵜呑みにすれば別でありますが、十分に檢討し、研究していれば、いる程、尚更十分の審議期間を要するのであります。こういう点は
総理
の、研究しているから簡單に済むというお考えは了解できないのであります。私は
政府
が、いろいろな政策実行上において、どうしても十六日までに仕上げなければ、支障を來すという事実の案件を出して、我々に了解できるように御
説明
願いたい。
吉田茂
32
○
國務大臣
(吉田茂君) 重ねて申しまするが、本日の官公労、その他の労働問題から言
つて
見まして、この法案は、いわゆる
基礎
法法案でありまして、成るべく早く御審議を願いたい、又審議は短い時間でというのは、現在の実情において、これを必要とする内外の事情から考えて見て、成るべく早く審議を願いたい。願いたいという考えから、施政の方針等も後廻しにして、この問題が先ずでき上つたところで、即ち
國家公務員法
の議事が完了したところで
政府
の方針を申上げたい。というのは、これは御議論があるかも知れませんが、公務員法の問題は、前
内閣
以來の懸案でありまして、そのために、この特別議会が召集せられたのでございまするから、議員各位におかれましても、
政府
においても相当の研究が進められておるものと私は考えて、先程お話の
通り
、本
会議
においても、すでに御研究は積んでおるのであろうと思う。現下の事情から申して、成るべく早く審議をして頂き、又審議をして頂くためには、施政の方針も後廻しにしたい。これは早く、早く審議をして頂くという希望から述べるわけであ
つたの
であります。
原虎一
33
○原虎一君 どうもその点については了解いたし兼ねます。それから先程具体的に労働大衆の協力を得る、労働大衆の生産意欲を高める具体策として、少くとも官公廳の労働者に対して、具体的な方法を取る最も手近な問題は、即ち全官公の
給與
の
改正
であります。この
給與
の
改正
に対して、先日から本
会議
で大藏
大臣
に
給與
改正
に必要なる
予算
案をいつ出すのであるか、こういう点を質しましても、折角研究中である。本会期中に審議を終了し得るような出し方をするとも、およそ何日頃に出すということも、大藏
大臣
は言明しないのであります。
総理
は眞に労働大衆の協力を得ようという熱意があるならば、少くともこの法案の
改正
案と同時にお出しになることが必要なのであります。それで時間的にその準備ができないならば、できない事情を明らかにし、少くとも本会期中に終了でき得るように出すというところの熱意があ
つて
然るべきと思う。併しながら大藏
大臣
は、ただ折角研究中であると言うだけであ
つて
、我々は了解に苦しむのであります。この点
総理
は一体その新
給與
改正
予算
案を、いつ頃お出しになるか、少くともいつ頃お出しになるか、この点についてお伺いしたい。
吉田茂
34
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。しばしば申すようでありまするが、今日日本の財政の現状としては、殆んど財源が涸渇いたしておるのであります。又涸渇しておるところに、災害復旧とか、いろいろな緊急を要する問題が輻輳いたしてお
つて
、そのために財政全体の計画が立たない。これは誠に
政府
としては
予算
の組み方に困
つて
おるわけなのであります。この事情は諸君においてもよく御了解と思いまするが、そのために大藏当局としては日夜
予算
の編成に努力いたしておるのであります。この努力が、然らばいつまでに切上げられるか。ところが日本の現在の財政の状況は、余りに酷いものでありまするから、これをいついつまでにやれということをおつしや
つて
も、これは私としても、又大藏
大臣
としても、いついつまでに切上げるということの目当は付きにくいだろうと思います。のみならず、占領下において各方面との間の折衝もありまして、
法律案
と違いまして、
予算
案に至
つて
は簡單に片付かないのであります。先ず公務員法において、いわゆる公務員に関する法制が決
つて
、根本方針が決
つて
、その
原則
の下に計算を作るという以外に、今日申上げることはできないのであります。
原虎一
35
○原虎一君 甚だ遺憾でありますが、先程十六日までに審議を終了するように希望されたところのこの事情、並びに
予算
案を提出することに対する
政府
の
責任
感等について、私は了解することができない。殊に十六日までに審議を終了してほしいという御希望に対して、
政府
がいろいろの、執行上どうしても、そうしなければならんという事情がありますならば、それをお話願いたいと申しましても、お話がない。從
つて
政府
がこの十六日までに終了して呉れという強い希望はどこにあるか、即ち今日の
総理
の御答弁では、我々は了解できない。了解できないとしますならば、社会のいろいろの情勢から判断して行くより外ない。それは
総理
は十六日までに終了して、その直後に
國会
を解散しようというお考えである。新聞紙の報道に基いて判断するより外にない。又今の御答弁によれば、新聞紙の報道を裏付するがごとき
総理
の答弁であります。殊に私はここに十一月十一日の朝日新聞を持
つて
おりまするが、
総理
はこういうことを言つたということを書いておる。「一方吉田首相は『情勢によ
つて
は公務員法、新
給與
問題の解決をまたず解散する』との意向をもらしたとも傳えられ、新
給與
問題に対し
政府
がどう態度を決めるかが注目されている」、同じ項の中に、「臨時閣議は同日午後二時から院内で開かれたが、その結果、臨時
人事委員会
の六千三百七円案は、國家財政の現状から、これを受け入れ難いが、財源と見合う新
給與
をきめ、早急に追加
予算
案を編成しようということに
なつ
た」、こうあります中に、又今度は、民自党が早期解散を讓らずという見出しで、こういうことを言
つて
おります。「大野、網島、石原氏らが吉田首相と会見し『公務員法および追加
予算
の成立以前に解散は行い得ないか』と首相の意中をただした際、吉田首相は『公務員法成立のいかんにかかわらず解散はできる、もちろん急速にこれを成立させるため努力するが、野党側の態度がいまのままでは、成立をまたず解散することになろう、その時期は早ければ本月中旬だ』」、即ち中旬、十六日頃であります。
総理
はこういう新聞記事には
責任
を持たんと言われるかも知れませんが、であるから私は、十六日までに審議を終了してほしいといわれる
政府
の申入れが奈辺にあるか、こういうことによ
つて
ではないことを我々は希望しまするが故に、お尋ねしたのでありまするが、これを打消すだけの材料を提供されないことは甚だ遺憾であります。從
つて
私は、この記事に基いて首相の解散に対するお考え方をお伺いしたいのであります。
吉田茂
36
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたします。
政府
が十六日とか、十五日とか希望いたしたのは、本週間に相当の議会の審議が進められ得るであろう。即ち十五日、月曜には衆議院が議了をし、又十六日には参議院がこれを議了して頂けば結構であるというので、十五日、十六日と申したのであ
つて
、解散という問題は別であります。又今お話の
通り
、朝日新聞でありますが、何新聞かにあつた記事については、私は御
意見
の
通り
責任
を負うわけには参りません。
中井光次
37
○
委員長
(
中井光次
君) まだ大分ありますか、外の方もありますから、成るべく簡單にお願いいたします。
原虎一
38
○原虎一君 私のはもう一つで終るつもりであります。大体結論に入
つて
來たようであります。私は新聞の記事について
責任
を持てと申しておるのではない、それは持たんと言われることを前提において私は申しておる。併しながら、
総理
はこの法案の審議如何に拘わらず、解散を早くやる考えがあるということは、これは
総理
の言動によ
つて
察知できることであります。從
つて
、こういうように朝日新聞は書いた、或いは世間で傳えられる、最もあなたと密接な
関係
にあると宣傳、報道されておりますところの読賣新聞も同樣なことを書いておる。私は
総理
の、若しこの新聞にあるごとく、或いは世間に傳えられておる、殆んど確報かのごとくにな
つて
おります十六、七日頃の解散ということになりますれば遺憾ながらこの
改正法
案を十分に審議することはできません。同時に、昨日は公聽会を開くことを
決定
いたしておる。そうしますれば、審議未了の中に解散されるようなことがありますならば、これが國際的に及ぼす
影響
はどうでありましよう。
総理
は前提において、國際的に非常な環視の的にな
つて
おる法案であることは認められております。又先日の本
会議
におきまして、波多野議員から、外國新聞の論調が
総理
に対して非常に保守的なものであるとして批判を加えておる。
総理
は、できるだけそういう外國の批判を是正するために努力を拂うということを、本
会議
で声明なさ
つて
おるにも拘わらず、かくのごとき重要なる法案を審議未了にし、尚
予算
も出さずに解散するということに
なつ
た結果は、これがどういうふうに國際的に
影響
するかということは、外務
大臣
であるところの
総理
は十分御了承ある筈だと思うのであります。私に言わせれば、こういう記事が新聞に出ることそれ自体が、吉田
内閣
の反動性を國外へ宣傳しておるのであります。宣傳の材料は、あなたが出したのじやありませんか、それから受けるところの日本の我々國民は、如何なる迷惑を受けておるかということは、あなたはお考えにならんのですか。私は党利党略のために審議を云々するのではありません。日本が、日本の民主化が一歩でも促進するということは
総理
も考える、我々も考えるにも拘わらず納得できない。而も重要なる議案を審議途中において解散ができるというようなことを世間に思わせておるということを、あなたは拂拭するところの
責任
があるではありませんか、私は國を憂えるから申上げるのです。あなたは党利党略のために解散をしようとするが、審議未了にするより仕方がないから解散をするということを言いつおる。なぜそんなに解散を急がれるのでありますか。党利党略ではありませんか。それをあなたは党利党略でないと如何に弁明させたところで、日本の國民を騙し得ても世界の人を騙すことはできません。あなたは非常に民主的な外交官として自任させておるかも知れませんけれども、世界はそう認めていないという事実に対しては、あなたは否定できんではありませんか。私は
総理
の、これをこの審議途中においても解散を厭わないというという、その報道が出たものに対して
責任
を求めるとは申上げない。そういう報道が出るということは、一新聞が書いたのじやなく、すべての新聞が書いておるのであります。これはどこに原因がありますか、私は
総理
が最も民主的であるということを世界に表明せられることが必要であり、戰爭中の閣僚であり、官僚であつた者、最後の保守陣営を守る拠点であるとまで言われるこの外國新聞の社説を打消すために、
総理
は如何なる努力を拂われるか、
総理
の所見を伺いたいのであります。
吉田茂
39
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えします。私は公務員法が未了のままに解散するということは一度も言つたことはないのであります。新聞記事や、あなたの臆測に対しては、
責任
は持たないが、併しながらはつきり申すことは、この重要な法案が審議未了の間に解散するということは断じていたしません。
山田節男
40
○山田節男君 大変又時間が経過いたしましたが、
ちよ
つと速記を止めて………。
中井光次
41
○
委員長
(
中井光次
君) 速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
中井光次
42
○
委員長
(
中井光次
君) 速記を始めて……。
原虎一
43
○原虎一君 本法案の審議が終了するまでは、解散をされないということは明らかにされたのであります。ところが昨日本
会議
において決議案が
決定
されました、新
給與
のための補正
予算
をいつお出しになるか、或いは出さなくても解散される意思であるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
吉田茂
44
○
國務大臣
(吉田茂君) 私は、その決議案についての
報告
を受けておりませんから、決議案を見ました上でお答えいたします。
原虎一
45
○原虎一君 その点は
説明
を申上げます。決議案は、速かに補正
予算
案を提出するようにという
趣旨
であります。これは本
会議
において
決定
いたしました。その決議案のあるなしは別にいたしましても、私は改めて先程も申上げましたように、
労働組合
運動に行き過ぎがある。そういう点によ
つて
、この法案の
改正
が、マ書簡によ
つて
促されたということは認めております。併しながら同樣に、マ書簡には先程も申しましたように、
政府
が公務員の生活の安定を図るところの義務があるのです。これは
労働組合
の行き過ぎを抑制すると同樣に、
政府
は同樣な
責任
があります。にも拘わらず、本
予算
編成の困難であることは分りまするが、その
予算
を本
会議
に提出しないでも、解散する意思ありや否やということは御答弁できると思うのであります。
吉田茂
46
○
國務大臣
(吉田茂君) その決議案に対しての答弁は、本議場においていたします。
中井光次
47
○
委員長
(
中井光次
君) 速記を止めて……。 〔速記中止〕
中井光次
48
○
委員長
(
中井光次
君) それでは速記を始めて……。
吉田茂
49
○
國務大臣
(吉田茂君) お答えいたしますが、
政府
としては先程再三申した
通り
に、
予算
の提出を急ぐために、頻りに当局者においては研究苦心をいたしておるのであります。成るべく早く出したいと思います。
原虎一
50
○原虎一君 私がお聽きするのは、
予算
の編成の困難があるということは分
つて
おる。併しながら法案と関連の最も深い、國際的に
影響
の重大だという点から見まして、私は解散をされる意思を持
つて
おるということは明らかだ。だから
予算
を本
会議
に出さないで解散をするか、せんかということ、そのことをお伺いしておるのであります。
吉田茂
51
○
國務大臣
(吉田茂君) 私の返事は同じことであります。成るべく早く出したい、こういう考えを持
つて
おります。
中井光次
52
○
委員長
(
中井光次
君) 本日はこれにて散会いたしまして、明後日、本
会議
がなければ、午前十時から
委員会
を開きたいと思います。散会いたします。 午後零時五十二分散会 出席者は左の
通り
。
人事委員
委員長
中井 光次君 理事 小串 清一君 宇都宮 登君
委員
赤松 常子君 木檜三四郎君 佐々木鹿藏君 大山 安君 東浦 庄治君 羽仁 五郎君 岩男 仁藏君 労働
委員
委員長
山田 節男君 理事 一松 政二君 平野善治郎君 竹下 豐次君
委員
原 虎一君 村尾 重雄君 門屋 盛一君 田村 文吉君 波田野林一君 早川 愼一君 水橋 藤作君
國務大臣
内閣総理大臣
吉田 茂君
政府委員
臨時
人事委員
上野 陽一君
総理
廳
事務
官 (臨時
人事委員
会
事務局長
) 佐藤 朝生君