○北條秀一君 在外公館借上金及び在外同胞救済資金返還の件につきまして、
説明を申上げて御賛成を得たいのであります。これは第一回
國会以來最も
引揚者問題の重要なる案件の
一つであります。即ち終戰後外地におきまして、一般避難同胞を相互扶助するために、外務
大臣の指令に基きまして、訓令に基いて、外地においてそれぞれ相互に金を借上げて、その金でお互いが
生活困窮状態を救
つた。そうして
引揚者が日本に帰れた。その金は当然外務
大臣の訓令に基いて日本
政府が補償すべきであるという問題なのであります。その点につきましては、第一回
國会の、即ち昨年の十一月二十八日第一回
國会参議院本
会議におきまして、この問題に関して請願、陳情を報告いたしまして、参議院の本
会議は、滿場一致、これを採択したのであります。昨日の参議院の本
会議におきましても、元
委員長中平議員が請願、陳情の審査報告をいたしまして、過半数で可決された問題であります。同じ問題でありまするが、第一回
國会におきまして全会一致を以て、これを緊急に処理すべしと参議院は決定しました。その後
政府はこの問題について
関係方面との
折衝に当
つて來てお
つたのでありますが、本年の七月二日
関係方面からこの問題については尚研究する余地ありというふうに回答が來たのであります。その点につきまして、爾來
政府は飽くまでもこれを一方的に処理するということでありましたが、最近になりまして、
政府の処理だけではいけない、どうしても
國会が、
國会の独自の立場から、これの処理に当らなければならんという事態がはつきりしましたので、この際参議院の特別
委員会といたしまして、すでに院議において決定した問題でありまするし、而も数百万の引揚同胞の極めて関心の的とな
つております問題でありますので、早急にこれが処理に特別
委員会として乘り出して行きたいと
考えまして、お
手許に出しましたようなプリントに、本件の骨子を書いて行
つたのであります。内容を読み上げることも時間の都合で差控えたいと思いますが、分割して申上げますと、第一は本件の性格、即ち在外公館の借上金及び在外同胞救済資金がどういう性格のものであるかという点を、第一項に明らかにしております。ただそこに間違
つておりますのは、その訓令第七十二号と書いてありますが、これは訓令第七百二十六号の六というところが抜けておりますので、それは間違いであります。本件の性格は、A、B、C、Dに書きましたような性格を持
つておるのであります。第二は
國会の決議、即ち
國会が本件の取扱に対してどう処理したかという問題であります。それを、A、Bの二つに分けて書いてあります。三は、本件に対する
政府の処理
方針とそれに対する
國会の見解を、大きく(一)(二)と分けて書いてあるのであります。第四に、それを
解決する方法としてこういうふうな方法があるのではないかということを書いてあるのであります。
つきましては、第四の点が本
委員会としては特に問題でありますので、その点だけはここで読み上げたいと
考えます。即ち
解決する方法
本件の九億一千七百万円の返済を(一)
國会と
政府の責任を果すために、(二)
引揚者を正常なる
國民生活に急速に復帰させるために、(三)生産を増強するために、次の方法によ
つて行うことが適切である。
A、九億一千七百万円を國庫より支出し、これを
政府の選定する銀行に預託し、債務処理を代行させる。
B、銀行は各個人の債権に対して債券又は預り証を発行する。
C、各個人の債権額は
政府及び民間合同の專門
委員会が確定する。
この三つの原則によ
つて処理したらどうかというのが、私の見解であります。何故こういう債権債務の処理に当りまして、片方は貸した方だ、だから返せ。
政府の方は借りたんだから、返そう。從
つて債権債務の処理ですから、簡單にやればいいのですけれども、この問題が
関係方面との
関係におきまして、インフレを促進するかしないかというふうな問題が一部の理由にな
つて参りましたために、むしろインフレを促進するというような
考え方でなしに、生産を増強して行くというふうな方向にこの九億一千七百万円を活用して行こう。そのためにこういうふうな方法を
考えたのであります。
以上極めて概略的でありますが、從來
政府からこの問題についてどう処理したかという点につきましては、このプリントの中にもありますが、しばしば
政府から
説明のありましたところを各委員に聽いておられますので、省略さして頂きまして、以上の補足的な
説明をいたしまして、皆さんの御檢討を願い御協力を願
つて、早急に御了解願いまして、
関係方面との強力なる
折衝に乘り出して行きたい。こういう
考えでおるのであります。