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1948-11-18 第3回国会 衆議院 労働委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月十八日(木曜日)     午前十一時八分開議  出席委員   労働委員会    委員長 綱島 正興君    理事 尾崎 末吉君 理事 山下 榮二君    理事 中原 健次君       東  舜英君    倉石 忠雄君       松崎 朝治君    亘  四郎君       久保田鶴松君    辻井民之助君       村尾 薩男君    安平 鹿一君       秋田 大助君    中曽根康弘君       大島 多藏君    赤松 明勅君       田中 久雄君   大藏委員会    理事 堀江 實藏君       石原  登君    苫米地英俊君       川合 彰武君    佐藤觀次郎君       重井 鹿治君    中崎  敏君       本藤 恒松君   運輸委員会    委員長 有田 二郎君    理事 佐々木更三君 理事 高瀬  傳君      小笠原八十美君   岡村利右衞門君       小西 寅松君    原  孝吉君       境  一雄君    成田 知巳君       正木  清君    佐伯 宗義君       矢野 政男君    館  俊三君  出席國務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         大 藏 大 臣 泉山 三六君         國 務 大 臣 殖田 俊吉君         運 輸 大 臣 小澤佐重喜君         労 働 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         法 制 長 官 佐藤 達夫君         運輸事務官   荒木茂久二君  委員外出席者         專  門  員 浜口金一郎君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 岩村  勝君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法案内閣提出第一三号)     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより労働委員会大藏委員会運輸委員会連合審査会を開きます。  私が各位の御了承を得まして、委員長の職務を勤めさせていただきます。それではこれより公共企業体労働関係法案議題といたします。質疑に移りますが、ちよつと質疑に移る前に、一言委員長より申し上げておきます。正十時より開会するようになつておりましたので、総理も時間通りにこつちに臨まれておりましたが、遺憾ながら委員の方のお集りができませんために、非常に開会が遅れた次第でございます。実は総理はこれから三十分ぐらいで、どうしてもはずされない用事を持つておられますから、御質問の順序は総理に御質問の方を先にやつていただきたいと思います。
  3. 川合彰武

    川合委員 ただいま議題になつております本法案と関連の深い問題、すなわち本法案には労働組合法あるいは労働関係調整法等が準用されておるわけでありますが、昨日のわが党の米窪議員質問に対しまして、増田労働大臣は、労働基準法を除く他の二法規の改正考えておるというようなことを申されておつたのであります。この法案審議する上におきましても、この機会吉田内閣の今後の労働政策に関する総理所見を承りたい、かように考えるのであります。
  4. 吉田茂

    吉田國務大臣 速記をとめて……。
  5. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止
  6. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて……。
  7. 川合彰武

    川合委員 ただいま総理から御懇切なお話がありまして、われわれもその意を了とするところでありますが、この機会にわれわれとしまして、特に政府所見を承りたい点は、最近の労働爭議には、経済的な原因政治的な原因とによつてつているというような点が見受けられるのであります。われわれは労働爭議が、労働者経済生活が非常に不安であつて、その生活維持のために労働爭議が起つたという点においては、これは資本家並びに政府においても考慮しなければならない。同時にまた政治的原因によつてつた労働爭議という点に関しましては、國民の一人としてこれは深く思いをいたさねばならぬと考えるのでありますが、後者の政治的原因によるような労働爭議に対する政府所見はいかがなものをお持ちでありますか、この機会にお伺いいたしたいと思います。
  8. 吉田茂

    吉田國務大臣 政理的原因による爭議、これはいろいろ考え方もありましようけれども、たとえば政策のために、ごく極端に申せば、労働爭議政爭目的に供するというような事態がもし起れば、これは政府としてよほど考えなければならないと思います。また今の経済的の原因に対しては、第一生活保障とか、あるいは向上とかいうことには政府は極力努めて、よつてつて勤労大衆が、日本復興に進んで協力するという氣持を起させるようにしたい。そのためには賃金ベースなども政府としては十分考慮したい、こう考えております。一應お答えいたします。
  9. 川合彰武

    川合委員 本会議における各大臣の御答弁、あるいはまた他の委員会等における答弁によりまして、政府行政整理考えられている。その行政整理は、予算人員実在人員との差を整理するというようなことを言われているのであります。この予算人員実在人員との差が、現在の鉄道あるいはまた專賣関係においてどの程度あるかというようなことは、後刻各所管大臣から承りたいと思いますが、行政整理をする場合において、その整理に要するいろいろな財政上の支出というような問題を当局としてお考えになつているか。その場合において政府はそれをどういうような方法、すなわち交付公債というような方法で拂うか。それによつていろいろ現在のインフレーシヨンがかわつた形において現われて來るように思いますが、政府はどの程度行政整理考え、またそれに対する財政上の支出はどのような方法をもつて行うか。同時にまた予定されている行政整理に対してどの程度支出が概算されるかというようなことを、総理直接に御答弁願えれば幸いであります。
  10. 吉田茂

    吉田國務大臣 お尋ねは非常に專門的であつてしろうとの私には答えにくいころが多々あるように思いますが、一應しろうととして私の漠然たる氣持を申し述べます。御承知通り今日日本財政は非常に窮迫しておつて、このままではとうてい日本財政は維持できないのみならず、課税すれば、それがインフレの原因なり、また一般國民生活を脅かすことになりますので、どうしても政府の経費は節減しなければならぬと思います。つまり人員整理ということに結局なりましようが、これは人員ばかりでなく、領土が縮小された敗戰後の今日においては、政府も役所も縮小し、政府公務員も数を減らすということはやむを得ないことだと思います。でありますから、この点は考えますが、それを一時に急激に施行するということになると、これまた失業その他の大なる原因になつて、やはり生活を脅かすといいますか、社会情勢を不安に導くのでありますから、なるべく漸を追つていたしたい。他面には外資導入とか、日本貿易を振興させたとかいう、いろいろ外國にも注文があり、御承知通りインド濠洲あるいはイギリスその他から貿易協定を現に申し込み、またでき上つたものもあります。また日本への外資導入あるいは日本に投資したいという外國人も、私が組閣以前においてもずいぶん参つて、いろいろ相談をいたして、中には具体案を持つて相談に來ておる人もあるのであります。というようなわけで、日本地理的條件から考えてみて、あるいは既往の日本生産能力からいつてみて、日本の工業、日本産業復興には、相当注意を向けておる資本家もたくさんあるのであります。殊に——これは速記をとめていただきたいのですが……。
  11. 綱島正興

    綱島委員長 では速記をとめてください。     〔速記中止
  12. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めてください。
  13. 川合彰武

    川合委員 総理の所間の都合であるそうですから、私の総理に対する質問はこの辺が終りまして、先ほどの私の質問に対しまして関係大臣からあとで御答弁願えれば幸いだと思います。
  14. 綱島正興

    綱島委員長 総理に対する御質問の方だけ。成田委員
  15. 成田知巳

    成田委員 運輸委員立場から総理質問しておきます。この質問を申し上げると、また專門にわたるとおつしやるかもわかりませんけれども、労働運動根本方針に関する問題ですから御答弁願いたい。本法の十七條に「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する」一切の行為をすることができない。」といつて爭議行為を禁止されておりますが、御承知のように労働法の三十八條におきましては、現業職員には罷業権を認めておるわけであります。今回日本國有鉄道並びに專賣公会ができた理由といたしまして、監理部門経営部門を切り離す、従つて経営部門でありますところの日本國有鉄道日本專賣公社職員は、大体において現業職員だと解釈しなければいけないと思うのでありますが、この現業職員であるこれらの職員に、なぜ罷業権を禁止したか、それに対する総理の御答弁も伺いたいと思います。
  16. 吉田茂

    吉田國務大臣 御質問は、お話通り専門にわたつて、私には少しわかりにくいところがありますが、しかし鉄道職員とか、その他が、いわゆる國家公務員である限りは、特別の地位を與えるというのは、公務員法の趣意とするところであつて、よつてつてまた、公務員の忠誠の精神を維持せしめ、また中立的立場をとらせるために——内閣に変更によつて影響されないような中立性を保たせるために、一種保障を與えておるのでありますから、公務員に対して特別な法制をしいて、他の一般労働者と違う地位を與えるということも、これはやむを得ないことじやないかと思います。これは私のしろうと説明であつて、詳しくはひとつ労働大臣からお聞き願いたい。はなはだ不完全な説明でありますけれども、はなはだ淺薄な知識を持つておることを自白いたしますから、お許しを願います。
  17. 中曽根康弘

    中曽根委員 総理大臣お尋ねいたします。公共企業体という概念でありますが、本法によりますと、國有鉄道專賣公社がこれを当つておるように書いてあります。この公共企業体というものは、一体どういうものをさすのか。総理大臣は正確な定義な何かは御存じないと思いますが、総理大臣のお考えをひとつお示し願いたいと思います。
  18. 吉田茂

    吉田國務大臣 これははつきり申しますが、実はあまり知識がありませんから、主管大臣お尋ねを願いたいと思います。
  19. 中曽根康弘

    中曽根委員 それじや、もう一つお伺いいたしますが、本法の内容を見て、私が非常に感じますことは、組合民主化と申しますか、一部の者が独断的に組合を引きずらないようにするために、たとえば無記名投票を認めておるとか、われわれとしては非常に歓迎するような措置が盛られておると思います。その問題に関係するのでありますが、たとえば組合の内部で、特定の政党、たとえば共産党なら共産党員組合投員にしない、あるいはまた共産党員組合員には入れない、そういうことを組合員がきめることは、はたして法令違反であるかどうか。これは基本的人権の問題と、そういう公共企業体組合民主化という問題と関係するのでありますが、その点について御所見を伺いたい。
  20. 吉田茂

    吉田國務大臣 現在の法制の上から言えば、必ずしも法令違反ではないと思いまするが、しかしながら共産党関係から申すと、これはこのままにうつちやつておけないのではないか。私の了解するところでは、たとえば教職員にしましても、あるいは鉄道の從業員にしてもそうでありまするが、もし政治目的のために労働運動を利用するというようなことがあつた場合には、いわゆる私の申す不逞のやからでありまして、これは何とかして禁止しなければならぬと思いますのは、これは今日の話ではありませんけれども、私が、一九二一年と思いますが、第一次戰爭のあとで、ロンドンに駐在いたしておつたときに、ある日スコツトランド・ヤードの、いわば副警視総監ともいうような人が、私に來てもらいたいということで、参つて話を聞いたときに、こういう話をいたしておりました。今やソビエト政府は、日本に、特別な使臣といいますか、代表者を送る計画をしておる。私の記憶ではその名前はローゼンベルグ言つたと思いますが、特別な宣傳員を派遣する。そうして日本インテリ階級で、しかも薄給インテリ階級——目ざすところは、たとえば教職員とか、あるいは下級官吏とか、警察官とかいう多少の、インテリというとおかしいけれども、知識教育を持つておりながら、しかも薄給である、生活の安定を得ていないという階級に対して、特に宣傳員を出して、日本に供産主義を植えつけるという目的で、ローゼンベルグと思いましたがを派遣するということがあるから、注意せられたらどうかという、これは好意ある話であつたけれども、そういう連絡があつたのであります。それで、はたしてソビエトが、そういう人を出したか、あるいは現にやつておるか、それは知りませんけれども、教職員の最近における運動等——最近といいますか、終戰後の、前内閣における運動等について、これは事実はどうということは言えませんが、私の一種の感じとしては、今のスコツトランド・ヤードの副警視総監言つた話が、多少事実であるか、あるいはそういう動きがあるのではないかと思われるような節を、これはずいぶん耳にいたします。これは日本教育のためからいつてみても、よろしくないのみならば、もしそれが、鉄道その他の公務員にそういう傾向があるとするならば、つまり共産党の使嗾によるある動きがあつて目的労働運動ではなくして、政治運動である。その政治目的にために労働爭義を利用するというようなことがあつたら、これは國家として別に考えなければならぬかと思います。現にイギリス、フランス、アメリカ等においても、公務員といいますか、國家官吏、もしくわそういうような地位にある官吏について、共産党関係から、多少違つた法制を制定したのか、あるいは制定しつつあるのか、制定の意思だけであるのかしれませんけれども、現に論議されておるように聞いております。日本においてもそういう必要が他日生じはしないかと——私はそういうことの必要のために法制をつくるということは希望しないことでありますけれども、事実そういうようなことがあつたら、考えなければならぬか、こう私は思います。一應お答え申します。
  21. 重井鹿治

    重井委員 昨日の新聞によりますと、アメリカトルーマン大統領の第一声といたしまして、タフト・ハートレー法廃止を宣言しておられるようであります。それにつきましてこの國家公務員法改正、それに関連した公共企業体労働関係法だと私は考えておりますので、マ書簡が出まして、続いてポツダム政令、そうして國家公務員法改正、そうしてこの法案となつておるのであります。この経過を考え、その昨日のずれを考えておりますと、もう半箇年以上も経過いたしておるわけであります。このことを考えますと、國家公務員法並びにこの公共企業体労働関係法に対するアメリカ政策並びに現在日本におけるこれに対する態度というものが、かなり変更されなければならない時期に來つつあるのじやないかというように私は考えるのであります。ここでこれがこの國会の重要な法案となつておりまするが、また二箇月、三箇月後にこれに改訂を加えなければならないというようなことが、なきにしもあらずということを私は心配いたしておるのであります。それはかつて憲法議会においても見られたようなことが起きる可能性があるのではないかとも考えるのでありまして、この点につきまして、國家公務員法は別といたしまして、この法案に対するもつと積極的な、いわゆる改訂意思なきやということを御質問申し上げたいと思います。
  22. 吉田茂

    吉田國務大臣 しばしばその点について御質問を受けるのでありまするが、まあこれは少しりくつになります、現在日本政府としてはマツカーサー元帥勧告に從う義務のもとにありますので、この勧告がかわらない限りは、タフト・ハートレー法運命がどうなりましても、直接には本日政府從來考え方をかえるわけに行かない、義務づけられておる事態におるのであります。將來のことについてはこれはわかりませんが、むろん政府としては、タフト・ハートレー法運命については絶えず注意はすべきでありましようけれども、現在のところではマツカーサー書翰勧告によつて義務づけられております状態でありますから、先は先として、今日は公務員法の通過を熱望せざるを得ない日本政府としては義務のもとにある。こうお答えをいたすよりほかしかたがないのであります。
  23. 重井鹿治

    重井委員 特にこの法案関係あるマツカーサー司令部の係のお方が二、三箇月本國に帰つておられた。最近こちらにおいでになつたと承つておりますが、最近政府として直接御意見をお聞きになつたかどうかということをお聞きしたいと思います。
  24. 吉田茂

    吉田國務大臣 私は係の当局者が、そのアメリカに帰られた人と——GHQ委員と、あるいは委員でありますか、役員でありますか、それと交渉しておるかどうか存じませんけれども、しかしながら私の承知しておるところ、またマツカーサー書翰による勧告については、何ら違つた話を聞いておりませんのであります。係員として、接触の間に違つた話を聞いておるか知りませんが、政府といたしては何も聞いておりません。またマツカーサー書翰における初めの勧告が、変更されておる話も一向聞いておりません。事実だけ申し上げます。
  25. 重井鹿治

    重井委員 私の感覚をもつていたしますれば、勧告が出た当時と現実とはかなり変化があると思います。こちらからその変化を見通して、一應この法案に対する意見を聞いてみる必要があると私は考えるのでありますが、これに対する総理考えをお聞きしたいと思います。
  26. 吉田茂

    吉田國務大臣 一應聞いてはいますけれども、今日まで私の承知しておるところでは、何らの変化がないのであります。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 所得税が非常に過重であるという問題がございましたが、実は現在の状態において、だれが考えても所得税の過重ということはわかつておる。総理大臣としてこれについて何かほかの方法で租税を徴收するお考えがあるかどうか。この点についてわれわれ大藏委員ですから、ちよつとお伺いしたい。
  28. 吉田茂

    吉田國務大臣 これは所得税のみならず、一般課税について——昨日連合商業会議所代表が見えまして陳情がありましたが、これは所得税のみならず、一般課税について、從來のやり方を相当再檢討もし、また税法についても檢討する最も緊急な必要に迫られておるのではないか。実情は私もあまりはつきり知りませんけれども、私の聞くだけでも相当に苛酷な徴税方法もあり、税そのものについてもあまり良税とは考えられない幾多の税があると思います。これは諸君の御協力を得て、徴税方法についても、特税そのものについても、税法につきましても、一應さらに再檢討をいたさなければならぬ必要のもとにあるということは、私も痛感しております。
  29. 赤松明勅

    赤松(明)委員 はなはだ時間が切迫しておるようですから、簡單に承つておきます。本審議公共企業体関係專賣事業法の問題になるのですが、製塩業者に対して、ここ二週間ばかり前から塩が收納停止ということになつております。要するに買取りを停止する。政府が專賣法によつて塩をつくらせてあるものを、予算がないからということによつて收納を停止することになつて製塩業関係する労資ともに、一大混乱をまき起しておる実態にあるのであります。これについて本法案審議には、少くとも製塩部門も入つておるのだけれども、製塩事業全体が崩壞せんとしておるのに、法案審議しておるということは変なものですが、この点について総理大臣は何かお聞きになつておられますが、時日が浅いのでどうかわからぬと思いますが、これは大蔵大臣所管でもあるでしようけれども、総理大臣としてこれを至急に御調査なすつて、善処なさるだけの御用意があるかどうか、そういつた点について、少くとも製塩業労資ともにたいへんな混乱をまき起しておりますから、この点ひとつお伺いしておきたい。
  30. 吉田茂

    吉田國務大臣 これは私ははなはだ浅薄な知識しかないので、今教わつた通り申し上げますが、目下関係方面と折衝中であつて、近く解決の見込みである。すなわち再び買上げを開始する方向に向つておるそうであります。
  31. 安平鹿一

    安平委員 総理大臣に深いお尋ねをしたいと思うのですが、時間がありませんから、ただ一点だけお尋ねしておきます。この中の公共企業体の両法案の中に、爭議の禁止の條項が置かれておりますが、これは非常に重大な問題であります。これはあと労働大臣に十分お聞きしますが、この公共企業体職員に対して包括的に爭議を禁止するということは、憲法第二十七條、第二十八條及び第二十二條に抵触するものだと私は解釈する。これに対する見解を一つお聞きしておきます。
  32. 吉田茂

    吉田國務大臣 これはしばしば答弁当局からも申しておると思いちするが、公務員の特別な地位に顧みていたし方がない、憲法違反ではないと政府は解釈いたしております。なお詳細なことは、私も憲法論ははなはだ知識が浅うございますから、労働大臣にお聞きを願いたいと思います。
  33. 綱島正興

    綱島委員長 それではこれから所管大臣にどうぞお尋ねを願います。
  34. 川合彰武

    川合委員 先ほど私が総理に概括的な質問をした際に申したのでありますが、予算人員と実際人員との差額行政整理されるということを、増田労働大臣が言われたように記憶しておるのでありますが、これらの差額人員というものはどの程度にあり、そうして現在政府が予定されておる行政整理方針としてはどうで、それに対する財政支出というものはどの程度のものを一應算定したかという点を、ひとつそれぞれの所管大臣から承りたいと思います。
  35. 増田甲子七

    増田國務大臣 川合さんの御質問にお答え申し上げます。この行政整理の問題につきましては、私どもの政府を支持している民主自由党といたしましては、何か案を持つているらしいから、それを示せというような御質問が、人事労働連合審査会においてございましたから、大体の構想を申し上げた次第でございまして、まだ関係大臣とも、具体的には行政整理案なるものは設定されていないということを、前提として一應御了承願いたいのであります。私は去る七月に民主自由党予算修正案というものを議会に提出いたしましたときに、種々研究いたしたのでございまするが、そのときに状況から申しますと、当時の予算定員ざつと非現業員が四十万人ございまして、そのうち現在員というものは三十一万人にすぎません。これはラウンド・ナンバーで申し上げますが……。そこで九万人という欠員が現にあつた次第でございます。ところで皆さま御承知通りあのときの予算によりますと、來年の三月三十一日までに、すなわち本会計年度内において七万人の定員増加をするということになつております。去る七月に予算が協賛されて後今日まで、この新定員がどれだけ充実されたか私はまだ調べておりませんが、御承知通り経済調査廳等が新たに設置されまして、事務を開始しておりますから、これは新定員がやはりある程度充実されたことになつておる。こういうような事例が相当あれば七万人の定員が着々充員を見ておる次第でございますが、しかし私の想像では、まだこれはおそらく半分も充実はしていないと思います。かりに七万人の半分といたしますと三万五千人なので、結局現在員はまだ二十四万五千人と私は思つております。まだおそらくそれまでに行つていないでしよう。これは調べればすぐわかると思いますが、結局実人員予算を計上したらいいじやないかという意見をわれわれは持つておるのです。そこで行政整理をいたすにつきましても、まず第一に血を見ない整理ができはしないかということを考えております。第二に、しかしながらやはり産業合理化をわれわれが提唱する以上は、行政機構全体についての合理化考えなければならぬ次第でございまして、その見地からさらにこの三十三万なり四万なりのものを再檢討する必要があると考えておるのであります。そこで川合さんのおつしやる通り、若干の血を流すというようなこともありましよう。しかしこれにつきましても、せんだつて以來われわれの考えているところでは、一應休職というような形にいたしまして、今この失業の海へほうり出すというような残酷なことをせずに、本給は支給しておきまして、その間において労務需給のあつせんをいたす。なお今総理の言われたように、大量に受入れ態勢ができ上つて來るということも、時間の経過とともにあり得ることでございましよう。しかしわれわれはやはり相当大幅の行政整理行政整理自身としては断行しなければならぬ、こういうふうに原則的には考えている次第でございます。
  36. 川合彰武

    川合委員 増田労働大臣のただいまの御答弁はわれわれの了承する点もあるのでありますが、ただこの機会に私は特に政府並びに民自党にも警告を発したいと思うのであります。少くとも日本で今まで行つた行政整理というものは、当該年度におけるところの財政支出の削減というような事態を招いたことがなかつたのじやないか。この点はかりにある程度行政の簡素化というようなことから、人員を減らす場合があつたにいたしましても、その予算年度内の財政支出というものはむしろ増加しているという、この過去におけるところの実績は、深くわれわれとして考えなければならない。しかも現に実業界その他の方面からいわれるところの行政整理というものは、財政支出の削減というような点を大きなねらいの一つとしていることは疑いのない事実であります。從いまして私どもは、少くとも当該年度におけるところの行政整理のためには、財政支出は減らないということをこの機会によくわれわれとして了承しておく必要がある。ただいまの増田大臣の御説明においても、行政整理をしたにしても、決してすぐに血を流さない、休職というようなことをやると言われたのでありますが、そういう意味において、私どもはこの点は深くお互いに戒めておく必要があるというふうに思つております。  それからこの法案についてお尋ねしたいのでありますが、これは私の見落しかも存じませんが、この公共企業体職員は、公職禁止の規定がないように思つております。すなわち鉄道あるいは專賣局の職員は市町村等の議員、地方公共團体の議員等は兼ねられるというように思うのでありますが、そういうように解釈をしてさしつかえないかどうか、この点を承ります。
  37. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 川合君にお答えしますが、公共企業体労働関係法律というのにはありませんが、日本國有鉄道法案にそれと同趣旨の禁止する規定があります。すなわち二十六條の第二項に「第十二條第三項第一号から第四号までの各号の一に該当する者は職員であることができない。」こういう規定がありますので、結局においては公職は禁止されるという結果になります。
  38. 川合彰武

    川合委員 それは鉄道のどういうような規定でありますか。現にある工機部の職員が市会議員を兼ねておるということになつておりますが、そういうような規定によつて現在束縛されていないというようになつておりますか。
  39. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 現在は大体さしつかえはなくて、市会議員をやつておれば、町村会議員もやつております。しかしこの日本國有鉄道法案が施行されることになりますと、ただいま申し上げた條文によりまして、公職と兼職ができないという規定になつておりますから、この点御了承願います。
  40. 成田知巳

    成田委員 先ほど総理大臣に、なぜ本法十七條で爭議権を禁止したかという御質問を申し上げたのでありますが、総理大臣は私の質問をどう勘違いしたか、國家公務員に対しては爭議権を剥奪するのが正しいのだという御回答だつたのであります。この公共企業体職員國家公務員ではないのでありまして、特に日本國有鉄道法にも、國家公務員法は適用しないということがはつきり書いてありますから、その点は総理大臣の御答弁は的違いだと思います。私の御質問申し上げたのは、現業職員の性質を有しておりますところの日本國有鉄道從業員に、なぜ労調法の趣旨に反して、罷業権を禁止したかということだつたのであります。その点に対して労働大臣の御答弁を承りたいと思います。
  41. 増田甲子七

    増田國務大臣 総理のおつしやつたのは、なるほど公務員ではございません。しかしながら御承知通り完全國有法会でございまして、今度できる日本國有鉄道あるいは專賣公社は、國家機構とその性質があまり違わないくらいの公共團体的のものでございまして、これらの團体の運営をする業務に從事する者は、やはり法令によつて公務に從事するものとみなす、こういう規定もあるわけでございまして、そういう意味におきましては、総理の御答弁も常識的に考えれば、そうたいして間違いはない。こう思う次第でございます。ただ法律論としてはおつしやる通りでございます。そこで、こういうような業態に從事する者は、公共の福祉、國民の福祉に非常に影響がございますから、そういう点で爭議権の禁止ということが考慮された次第でございます。
  42. 成田知巳

    成田委員 ただいまの労働大臣の御答弁によりますと、完全國有の企業体であるから、禁止しなければいけないという御答弁なのでありますが、問題はやはり本質にのつとつて解釈しなければならないと思います。國有鉄道の方はとにかくとしまして、專賣公社の方の、たとえばタバコの專賣なんかは、事業の性質からいつたら、私企業的な性質を多分に持つてつて、公企業的なものではないと思います。單に完全國有であるから、罷業権を禁止するということは、私は賛意を表しかねるのでありまして、企業の実態について考えていただきたい。たとえば鉄道について考えましても、國有でありますところの日本國有対道については爭議権を否定する。しかしながら私鉄企業、これは公益的の観点から行きますと同じでありますが、これについては爭議権の禁止はないわけであります。企業の本質からいつたならば、やはりこれについては罷業権を認めるのが至当ではないか。單に現業職員でありまして、労働を提供しているにすぎないという点から考えますと、罷業権を認めるのがほんとうではないかと考えるのでありますが、労働大臣の御答弁を伺います。
  43. 増田甲子七

    増田國務大臣 お答え申し上げます。成田さんのおつしやることはよく了解できますけれども、しかし私は先ほどの立場で、爭議権の禁止を妥当だと認めて、かかる法案を提案した次第であります。すなわち國有鉄道のごときは公共の福祉に甚大なる影響を與える。從いまして公共の福祉に合致する方法において基本的人権は活用されなければならないという、あの憲法の條章に從いました次第でございまして、私は不妥当でもなければ、違憲でもないと考えております。それから成田さんのおつしやる、もう一つの專賣のごときは、これは一つの営業的行為ではないかというお説もございますが、御承知通り專賣は間接の課税でございまして、徴税機構といつたような形を実質において形成している次第であります。こういうようなものが、やはり爭議権にある程度制約を受けるということは、これまた公共の福祉にかんがみまして、けだし当然であると考える次第でございます。
  44. 成田知巳

    成田委員 ただいまの労働大臣の御答弁によりますと、憲法論から公共の福祉の関係上、爭議行為を否認するのだと言われたのですが、私の知つている限りでは、團結権、團体交渉権、罷業権という基本的人権は、公共の福祉云々という制限はないと思うのでありますが、その点について労働大臣の御答弁を願います。
  45. 増田甲子七

    増田國務大臣 それは一般公務員については、今回公務員法改正が提案されたために、御了承くださることと思いますが、公務員の特殊の立場にかんがみまして、ああいう特殊な制約を受けたのでありまして、これはやはり公共の福祉の合致する方法において、基本的人権を活用されねばならぬ、こういう趣旨から出ている次第でございまして、公共の福祉に甚大なる影響を持つているところの、しかも公共團体的の性質を持つている日本國有鉄道並びに專賣公社の從業員が、爭議権に制約を受けるということは、やむを得ないことと私は考える次第でございます。
  46. 成田知巳

    成田委員 憲法に明文のないものも、解釈上やむを得ないというように労働大臣は御答弁なつた。これは解釈の相違でございますから、これ以上私申し上げません。  次に昨日の本会議におきまして、米窪氏の質問労働大臣は、労働者の積極的な経営に対する協力なくては、産業の振興はできないという御答弁がありました。さつき吉田総理もそういう御答弁をなさつたようでありますが、その点から考えますと、本法八條第一項でありますが、「公共企業体の管理及び運営に関する事項は、團体交渉の対象とすることができない」。という規定があるのであります。この條文を受けまして、日本國有鉄道法案第三十五條と日本專賣公社法第二十七條においては、この章のいかなる規定も公共企業体労働関係法八條の規定を変更するものでないという規定がありまして、労働者の経営参加を否認しておるのであります。これはただいまの労働大臣並びに吉田総理の御答弁とまつこうから衝突するものじやないかという氣がいたすのでありますが、私企業においても、たとえば重要産業である石炭業におきましては、石炭國管法で労働者の積極的な経営参加を認めるために、生産協議会というものを認めまして、事業の重要な業務計画については、労働者の参加しておりますところの生産協議会の承認なくしては、業務計画の設定ができない規定さえあるのであります。ことに公企業であるというので、その事業の重要性を認識されておる政府当局として、なぜ労働者の経営参加をお認めにならなかつたかという点について、政府の御意見を伺います。
  47. 増田甲子七

    増田國務大臣 成田さんの御質問にお答え申し上げます。お考えは一應ごもつともでございます。しかしながらやはり意見の相違でございまして、公共企業体の特殊の性質にかんがみまして、経営参加も労働協約の対象となり得ない、こういうように考えております。というのは御承知通り、マツカーサー書簡にも特に指定されておりますように、鉄道と塩と、しようのう、タバコ、こういう関係の業態については、團体交渉といえどもある程度の制約がなければならぬというような御趣旨もわれわれは熟考して、こういうような團体交渉の対象が決定された次第であることを御了承願いたいと存じます。
  48. 成田知巳

    成田委員 解釈の相違ばかりでありますが、次に本法の規定と日本國有鉄道の第三十三條の関連について労働大臣に御意見を承りたいと思うのであります。本法はこの問題について直接触れておりませんが、國有鉄道法第三十三條で労働基準法の例外規定を設けておりまして、八時間以上の労働をやらすことができる。あるいは休日を一週一回與えなくてもいいというような、労働基準法の例外規定を認めておるのでありますが、その例外規定の適用される條項を見ますと、労働基準法で間に合うと思うのであります。たとえば一号、二号、三号の前段までは労働基準法があれば、何も日本國有鉄道法にこの規定を設ける必要はないと思うのでありますが、これに関する労働大臣の御意見を承りたいと思います。
  49. 増田甲子七

    増田國務大臣 御意見一應ごもつともでございます。ただしかしながら、御承知通り第三号の後段と第四号とにつきましては新しい規定でございまして、公共事業として特にこういうことを入れて、労働基準法の例外といたしたい。こういう次第でございます。但し一、二、の全部及び三の前段を何ゆえにここに書いたか、労働基準法で間に合うじやないかという御意見は、私賛成でございます。しかしながらそれはやりは一應労働基準法で間に合いましても、立法技術なら申しまして、これこれのものは労働基準法の適用外であるというようなことをさらにうたい直すことの方が、適用を受ける業態から申しましても、職員から申しましても、非常に便利でございます。そういうような法規はたくさんございますことを、どうか御了承願いたいと思います。
  50. 成田知巳

    成田委員 労働大臣は立法技術の点から言われたのでありますが、それは三号の後段と四号が必要であるという前提のもとに、御立論をなさつているのだと思います。しかしながら私たちの解釈では三号の後段すなわち「臨時運轉を必要とするとき、」「公共の福祉に直接影響ある輸送力の維持又は増強に必要な業務が臨時に発生したとき。」というような規定を設けることは、労働基準法の精神に違反すると思うのであります。特に第三号後段及び四号は、基準法三十六條によれば事前の協定によつて、十分処置できる問題でありまして、何がゆえにこういう規定を設けたかということについて非常に疑問を持ちますが、その点に対する見解を承りたいと思います。
  51. 増田甲子七

    増田國務大臣 これを一々協約で書いておくというようなことは、やはり臨時突発の事故の場合とか、緊急やみがたき性質の場合においては、公共的質性の特に深い輸送事業については困るであろう。從つてこういうような例外を設けられることは産業復興上の要請であると考おる次第でございます。
  52. 成田知巳

    成田委員 臨時突発の問題については一、二、三号で——特に労働基準法でも、その場合を予想して、事後の報告をやることになつておるので、この点は二分まかない得ると思う。臨時運轉だとか、公共の福祉に直接影響のある輸送力の維持増強ということは、大体二箇月か三箇月前には想像せられると思うのでありまして、労働基準法によれば、大体三箇月に一度協定しておけばいいのでありますから、そのおそれはないと思うのでありますが、重ねてお伺いいたします。
  53. 増田甲子七

    増田國務大臣 これは見解の相違であります。しかしながら成田さんのおつしやるうちの増強という字はとつてございますから、これがもし印刷に出ておりましたならば……。
  54. 成田知巳

    成田委員 印刷に出ております。
  55. 増田甲子七

    増田國務大臣 そうですか、これからとるつもりでありますから……。
  56. 成田知巳

    成田委員 それからこの問題に関連しまして、この三十三條でありますと、女子、年少者については無制限に制限外の労働を認めることになるのでありますが、いわゆる昔の紡績職工でありますとかいう者に対しては、特に労働基準法は嚴格にその保護をはかつておるはずであります。この三十三條によりますと、この女子、年少者に対する無制限労働を認めることになりますが、これに対して労働大臣はいかがお考えなりますか。
  57. 増田甲子七

    増田國務大臣 女子、年少者の保護については、労働基準法の適用がある、こういうふうに考えておる次第でございます。
  58. 成田知巳

    成田委員 この問題につきましては質問を留保いたしまして、次に公共企業体の問題で、專從職員の問題についてお尋ねいたしたいと思います。專從職員の方に関しては原則として禁止しておるような條文を掲げておりまして、許可があつた場合には專從職員を認めるわけになつておりますが、原則として禁止するということはいかがかと思います。労働大臣としては許可の御方針を持つておられるのかどうか、お伺いいたします。
  59. 増田甲子七

    増田國務大臣 許可をして專從職員を認めたいと思つております。
  60. 成田知巳

    成田委員 と同時に、この次の項によりますと、原則として給與はない、無給の專從職員になるらしいのでありますが、普通の私企業の労働組合でしたら、労働組合生活改善、利益の擁護というような、私的な性質が多分にあるものですから、その性質上無給ということもあながち私は間違いであるとは思いませんけれども、何度も労働大臣の言われたように、この公共企業体というものは、公共福祉云々ということが大きな目的になつておりますから、專從職員は專從職員として、公共の福祉に直接関係ない仕事をしておるわけであります。從つて公共の福祉のために働いておる專從職員に、無給ということはいかがかと思いますが、これに対するお答えを願います。
  61. 増田甲子七

    増田國務大臣 成田さんも御承知通り公共企業体労働法によつて規定される労働組合は、一般産業労働組合と性質が、本質的にはやはりそう違つていないのでございます。というのは、この條文にはございませんが、今関係筋とも交渉いたしまして、この法規に適用のない條文は、労働組合法の適用があるという運びにしております。だから、爭議権の禁止とか、あるいは團体交渉権のある程度の制約ということはございますけれども、本質的に見まして、私トレードユニオンであると考えます。この労働組合の健全性、民主性、責任性という見地から見て、企業体から俸給をもらいながら、労働組合事務に從事するということは、組合発達の幼稚なる状態を認めるものであるという意味において、むしろ成田さんはこれに御賛成くださると私は考えている次第であります。
  62. 成田知巳

    成田委員 労働大臣は労働組合の本質論を云々されたのでありますが、都合のいいときは本質論と言われ、都合の惡いところは本質論云々と言われます。本質論を適用されるなら、私は罷業権をあくまでも認めるべきだと考えます。これについても人生観の相違でありますから、これ以上申しません。  最後にただ一つお尋ねしたいことは、これは小さい問題ではございますが、利益代表の規定であります。第四條但書で、これは政令で定めるというようなことを規定している。それから交渉委員の数及び機能も政令で定めるというので、政府の一方的な政令で、利益代表あるいは交渉委員の数、権能を定めるということは、いかにも官僚主義だと考えるのでありまして、この点について團体交渉によつて組合に加入できない場合とか、利益代表あるいは交渉委員の数、権能を定めるというような、民主的な運用をおやりになる考えがあるかどうかをお尋ねしたいと思います。
  63. 増田甲子七

    増田國務大臣 これはやはり公共的性質を使いわけるとおつしやるかもしれませんが、公共的性質にかんがみまして、企業主体である日本國有鉄道、あるいは專賣公社を監督する関係大臣等が、これこれのものは労働組合に加入すべからずということを、自主的にきめた方がよろしい、そうでないと、公共の福祉に合致いたしませんからという意味合いでございます。
  64. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつとお諮りいたします。この委員室の都合で、午後は正一時に開き、できれば四時くらいまで継続してやることにして、午前はここらで打切つて休憩したいと思いますが、いかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 綱島正興

    綱島委員長 それでは休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  66. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。
  67. 秋田大助

    ○秋田委員 運輸大臣に一点お尋ねいたします。午前中に成田委員から本法案の第十七條のいわゆる労働爭議の禁止の理由について労働大臣お尋ねがありましたが、労働大臣はその停止の理由として、まず第一にこの公共企業体の完全國有性というところに理由を置かれて説明されて、続いてその重点を強度の公益性という点に置かれて説明なつたように拜聽いたしたのであります。一應その御説明を了承するといたしますと、私にこういう疑問が起るので、運輸大臣にお答えを願いたいと思いますが、強度の公共企業性という点につきましては、國有鉄道も私鉄企業もかわりはない。その業務内容もまつたく同じだ、こう私理解されるのであります。そうしますと、強度の公益性という理由において、この國有鉄道職員並びに労組の労働爭議を禁止いたすとしましたならば、私鉄企業に属する職業及びその労組のいわゆる労働爭議も禁止をしなければならないというような結論が出てくるのではないかと思いますが、運輸大臣は私鉄企業者の職員並びに労組の労働爭議を、近き將來において禁止をしようというお考えであるが、もしそういう考えを持つておらないということになると、強度の公益性という理由をもつて、この労働爭議を禁止するという説明がつかないのではないか、こういう疑問を起したのであります。この点は電氣事業等についても同樣なことが言えるのではないかと思いますが、運輸大臣も御出席になつておりますから、鉄道事業に関して、この点に関する御見解をお尋ねいたしておきたいと思います。
  68. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 公共性の問題につきましては、先ほど増田労働大臣お話のように、大体公共性という文字は非常に漠然とした観念でありまして、立論過程から申しましたならば、いろいろの立論が立つと思います。この法律における公共性を考えますときには、今秋田委員の仰せのように、まず事業の内容から見ての強度の公益性ということが一つ、それから國有性からよつて生ずるところの、いわゆる普通の國家公務員ではございませんけれども、少くとも國家公務員と同じ待遇を受け、同じ法規で同じ、覊絆を受けるところの準公務員とでも申しましようか、公務員というその二つが、十七條の規定が設けられる趣旨だと思うのであります。御指摘のように、なるほど私設鉄道も、いわゆる内容から申し上げますれば、何ら國有鉄道とかわりがないのであります。しかしこれは二つの要件の公共性ということから見ますと、國家公務員と準ずるものではなくして、一方は國家公務員に準じた待遇を受けて、そうしてほとんど國家公務員と同じような形において公共事業に從事している。また形態もそうであるという点から、ここに異なつた結果になると言わなければならぬと思うのであります。考え方から申しますると、きわどいところでありまして、いわゆる公務員ではないのだが、公務員に準ずる從業員、職員が働くのである。だからある意味においてやはり國家公務員と同じような憲法上の考え方から、國家一般的に奉仕しなければならないという趣旨が含まれますから、今の私鉄とは一應違うと思うのであります。しかしこれは先ほども申し上げました通り、きわどい観念によつてこういう結論がでるのでありまして、本來から申し上げまするならば、この地方鉄道、すなわち私設鉄道というものも、やはり法上で準用することが適当ではないかという意見が、この立案の際に相当有力な意見として考えられて、いろいろこれを法文化すべく考慮いたしましたが、最後においてまず地方鉄道の問題はあとまわしにしようというような段階になりまして、現在の法規にはこの條文が挿入されておりません。從つて將來ただちに私設鉄道等に対して、これと同じような法律、あるいはこの法律を準用するかいなやというお尋ねでありますが、今申し上げました通り、この法案を出すときに、すでにその論議がかわされまして、その論議の結果、こういう法律で適用しないという前提で出ておるのでありまするから、從つて当分現段階においては、私鉄には適用しない。同時にそれに対する法律が速急に出るとは考えておりません。
  69. 赤松明勅

    赤松(明)委員 運輸大臣にお伺いしておきたいのだが、本法案が通過するとすれば、これは國家公務員法一部改正法案と緊密な関連性のあるものであつて、どうしても行政整理が、常識的に言えば、きわめて簡單にやられやすくなる。その場合、就任以來常に小澤運輸大臣は、行政整理を行わない。現階段におけるところの所管部内における行政整理考えていない。こういう御意見であつたかのように了承しておるのですが、その本質的なものは、どういう理念に基いて、行政整理はやらないと言われるのか、すなわちその理由を明らかにしておいてもらいたい。現在の陣容が多いと思われておるのか、これでいいと思われておるのか、あるいは少いと思われておるのか、もし現陣容でいいと思われておるのならば、それはどういう理由に基くのか。多いけれども行政整理は行わないというのか。多いけれども行政整理を行わないというならば、その理由としては、社会保障、すなわち失業保險というような制度が確立しておらないことによつて行政整理をやらないと言われるのか。あるいは單に運輸大臣として所管分野に対する愛情とも見るべきようなお氣持で、行政整理をやらないと言われておるのか。また民自党は行政整理を三割行うということを党議によつて決定しておる。單独内閣の民自党代表の運輸大臣として、党議を無視しても、職を賭してもこの行政整理はあなたの就任中やらないと言われるのか。この点について明確にお尋ねしておきたいと思います。
  70. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 今赤松委員から、私がどこかで行政整理を行わずというようなことを言明したことを前提としていろいろの質問でございまするが、この問題はちようど昨日の本会議におきましても、米窪議員から同じような趣旨で発言があつたのであります。昨晩私はこれに答えようと思つたのですが、私の求められた御質問ではないだろうと思つて御遠慮申し上げたのであります。私はいまだ行政整理を行わずというようなことを申し上げたことはございません。ではその場合行政整理をするのかと言われれば、それはするとお答えします。但しその行政整理はどういう意味かということを考えていただきたい。また私の行政整理を行わずというようなことが、誤つて傳わるようになつ原因は、ただちに出血を見る首切りを断行する氣持はないと言つたことからだろうと思います。しかし今申し上げました通り行政整理を行わずという言明は、新聞記者諸君にも、また当委員会においても申し上げたのではないのでありまして、換言すれば行政整理は行うのであります。行政整理という意味はどういう意味かと申しますと、大体企業体におきましては、経営の合理化、もう少し接近して言うならば、國民の要望しております國鉄経営の合理化という点を、これはどうしても実行しなければならぬと深く考えております。それではその國鉄の独立採算制、あるいは経営の合理化という面を、どういう方法でやつて行くというならば、それはもちろん首切りというようなこともその中に入つておるだろうということは、一應推定されるのであります。しかし私は順序といたしまして、まず出費というものを極力制限する。この國有鉄道の運行経営に要する経費というものを少くするように、極度に食いとめる。これを一番元に極力断行して、なお独立採算制がとれないというような場合におきましては、ここに考えられることは運賃の値上げ、人員整理ということになつて來るのであります。しかし現段階におきまして、ただちに運賃値上げをするということも困難であり、また人員整理といつてもいろいろ考えられますが、ただちに出血をして、そうして首切りというようなことを考えても、重井さんの御意見にも、川合さんの御意見にも、ありましたけれども、それは少くとも一年、二年の間は財政上の余裕にならないのであります。たとえば一人首切れば十万円程度の手当をしなければならぬということになりまして、一年間、二年間をただやつてつたと同じことになりますから、それでは容易にこういうことはできないという考えから、まず私は本人の意思に反した、いわゆる出血を見るところの首切りというような問題には、容易に触れるべきではない。それでは人員整理に少しもやらないかといえば、それはそうではない。たとえば自然に辞職する者が年に五%ないし四%あるのでありますから、この点から行きましても、一年に三万、四万の整理はできるのであります。  それからもう一つは、國有鉄道の附帶事業として、かりにある事業を積極的に興したというようなことも考えまして、その事業の方に向けることによつて、出血なしに國鉄の経営の合理化、あるいは独立採算性という目的が達成し得ると思うのであります。そういう見地を極度に考えて、そして勘案した後に細めて首切りをするかしないかということを考える問題でありますから、從つて現段階では、首切りは断じて行わないということを新聞記者諸君に話したのでありまして、行政整理は依然としてこれを行うし、鋭意私はこれは重大な責任と考えて、今着々その構想に向つて準備を進めておるような次第でありますから、その点を御了承願いたいと思います。
  71. 赤松明勅

    赤松(明)委員 大体において今日の客観情勢下における運輸大臣としてのお考え方に対しては、私としても了承できる点があるのでありますが、私の質問とは少し食い違つたところもありましたけれども……。ここでこれは大藏大臣にも関連がありますが、経営の合理化、独立採算制の問題、こういうことに大臣は触れられたのであります。現在國鉄が使用しつつある石炭の買上げ價格、これが御承知通り、金額はあえて言わないでもよろしいでしようが、重要産業というようなものから倍以上もの價格で買入れておるというのは、大体これは重要産業國有鉄道、少くともわれわれが見る今日の日本産業の動脈である國有鉄道の石炭買上げ價格が、その他の肥料あるいは鉄鋼生産、かようなものと区別せられて、高く買われておるということに対しては、所管大臣としていかなるお考えを持つておるか。あるいはまたこれに対していけないと思うならば、所管大臣として大藏当局とも十分なる折衝をする用意があるかどうか。これをひとつ伺つておきたいと思います。
  72. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 この石炭の問題につきましては、大体恒久的な考え方と、さしあたりの経営の合理化をする考え方と、二つあると思うのであります。大体私は、今後の日本経済の再建に関しまして、國鉄が日本産業の石炭の三分の一に近い石炭を使つておるということは、日本の経済の再建のためにはとるべき手段ではないと思います。從つてでき得ることでありますならば、日本の全鉄道というものを電化いたしまして、その石炭というものは他の産業に振り向けてこそ、日本の経済の再建は可能ではないか、こういうことを考えまして、全線電化というものを強力に推進して、從來も多少これに対しましては計画もございましたけれども、さらに再檢討を加えまして、すみやかな電化の実現というものを企図しておるものであります。しかしただいま申し上げたことは、多少年度的に、あるいは相当の年限を要しますので、これがただちに赤松委員のお答えにはならないのでありまして、さしあたりの、三百億からの一般会計よりの補助を仰いでおる現在の國鉄会計といたしましては、今お話のような石炭の價格というものを高く買つて、あべこべに今度は三百億の補助を受けるというようなことは、國鉄の事業を國民から認識していただく上におきましても、非常に損な立場であると思いますから、その線に沿つて今までも努力もいたしておりましたが、まだ具体化はいたしませんけれども、極力赤松委員のお考え通りに、この石炭が正常の産業と同じような價格で、國鉄の方へも流れて來るような方向に進めたいと念願しております。
  73. 高瀬傳

    ○高瀬委員 簡單に伺います。これは運輸大臣政府委員、どちらでもけつこうでありますが、日本國有鉄道法三十三條の、主として現業員の勤務時間の問題であります。この問題について労働基準法違反というような意味合いか、あるいは勤労者階級保護という意味合いか、社会党の成田君から午前中に、かくのごとき條章は反対であるという御意見の開陳があつたように承りますが、私はこの國有鉄道の公共性という観点からいたしまして、この三十三條に列挙されておる四項目程度の問題については、労働基準法の規定を無視するわけではありませんが、嚴格な意味のいわゆる公務員である現業員と、あるいは現業に從事しない公務員との、ちようど境にあるような立場にある鉄道の現業の從業員に対しまして、この程度の特殊な例外を認めることは、常識的に考えて必要であろうと思います。そういう点で、私は三十三條の規定を改正する必要を認めないという意見をここで開陳いたしまして、委員各位の御賛同を得たいと思うのであります。
  74. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 高瀬委員お話は大体御意見のようで、私の方で答弁する必要がないかもしれませんけれども、まことにありがたい御意見で感謝いたします。ただ先ほど成田委員質問に対して増田國務大臣答弁もあつたのでありましたが、この問題につきましては、さきに運輸委員会でやはり成田委員から運輸省の方への質問がありましたので、多少説明の仕方に食い違つたような感じも與えたのでありますけれども、運輸省側の考えといたしましては、大体増田國務大臣の言う一つの理論と、もう一つの理論はいわゆるこの三十三條の一号、二号、三号の前段というものは労働基準法に規定してあるのであるから、ここにあらためて規定をせぬでもいいのじやないか、こういう成田さんの御説明でありますが、もちろんこういう事実はその一部には入ります。しかしわれわれのねらつておるのは、それよりも一歩前進したところをねらつております。換言すれば労働基準法の不可抗力に限つてというような意味をここには入れないで、不可抗力でなかつた場合も、やはりこの三十三條の適用をするのだ、こういう考え方がある。この点については成田委員考え方も非常に緻密な法律解釈から來たもので、理論そのものは賛同いたすのでありますが、実際的にわれわれの考えておる目的というものは、今申し上げました労働基準法の條文とは、もう一歩進んだ点でこの適用を受けたいというところに、違いがあるということを御了承願いたいと存ずるのであります。
  75. 綱島正興

    綱島委員長 他に御発言はありませんか。
  76. 秋田大助

    ○秋田委員 先ほどの御答弁に引続いて、実は増田労働大臣に伺つた方がいいと思いまして質問を打切つておりましたが、労働大臣のおいでも遅いようでありますし、質問も切れておるようでありますから、運輸大臣ちよつとお伺いしておきます。先ほど準公務員というお言葉があつたのでございます。しばしば非常にデリケートな点であるというようなお言葉もその際ありました。しかしこれをやはりあいまいにしますと、この十七條もあいまいになつて來るので、どうしても私は公共企業体職員と申しますか、從業員の地位というものを、準公務員というような不明確な表現で置いてはいけないのではないかと感ぜられるのであります。どうしてもこれは公務員ではないのでありまして、從つてこれらの人々の生活権擁護のための労働爭権というものは、憲法のいわゆる基本的人権擁護の條章で根本的に規定されておるものだ、こういうふうに明確にきめて行かなければ、問題はぐらつくのではないか、そこでただ、しばしば政府側から御説明のあるように、強度の公益性なり、完全國有性という点から、これらの人々の爭議が、公共の福祉に廣くかつ非常に深刻な影響を及ぼす場合がある。この際は公共の福祉に反してはいけないという観点から、これを制限して來なければならない場合が生じて來る、こういうふうに考えて來るのが民主的な方法ではないか。從つて罷業権を全面的に、一般的に否定して來るということはどうも合理的でない。これは認めておくが、事業の性質上、そのときに初めて準公務員というようなお考えを働かして、そうして特殊の事態事態に應じてこれを制限し、あるいは禁止をするという処置をとる方が合理的でもあり、実際的でもある。これが廣く勤労者諸君の協力を得て、日本の再建に非常な貢献をするものであるというふうに考えられるかどうか。これは増田労働大臣の御所見を伺いたいと思つたのでありますが、この際ひとつ運輸大臣の御所見を伺つてみたいと思います。
  77. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 もし増田労働大臣説明と私と食い違いがあれば、私のは取消しますが、大体先ほどお話しました通り、公共企業という定義は非常にむずかしいのでありまして、ただ大体私の考えておるのは、事業の内容それ自体から見た公共性と、それから形態の上から見た公共性というふうに、二つに見ることが一番御理解しやすいのではないかという意味から、先ほど二つ申し上げたのであります。初めて準公務員というような言葉を使いましたが、その準公務員という言葉の使い方は全然法令上にはないのであります。日本國有鉄道法案三十四條に「役員及び職員は、法令により公務に從事する者とみなす。」というように、私の議論とあなたの議論の違いを法の疑制によつて一應公務員と同じように扱つている。こういうような意味で、本來の議論からしましたならば、決してあなたの議論に完全な答弁はできないかもま司ませんが、本法案では法の疑制によつて一應みなしておりますから、その建前で私が答弁したような次第であります。しかもこの公務員とみなしおりながら、公務員法の適用をせずに、公務員法よりはもつと民主的な、いわゆる團体交渉権も認めて、ただ爭議権だけは、一般労働者とは違つて認めぬというところが、本法案の味のあるところでありまして、ここが一番この法の欠点のような長所だと私は考えておるのでありますが、どうぞそういう趣旨で御理解を願いたいのであります。
  78. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつとこの際申し上げます。実はこの部屋は不当財産委員会で二時から使うようになつておりますので、第二委員室に移轉をいたしたいと思います。  暫時休憩いたします。     午後二時二分休憩      ————◇—————     午後二時十三分開議
  79. 綱島正興

    綱島委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。成田委員
  80. 成田知巳

    成田委員 三十三條ばかりを問題にするようでございますが、先ほど高瀬さんから運輸省の見解に賛成するような御発言があつて、運輸大臣からまた御意見の開陳があつたので、その点について少し疑問のある点をさらに御質問してみたいと思うのであります。運輸大臣も、労働大臣と運輸大臣と三十三條を設けた理由について少し意見の相違があるということをお認めになつたのでありますが、午前中私が労働大臣質問しましたときには一号、二号、三号前段は労働基準法で十分である、しかしながら三号後段と四号を設けるために、立法技術上やむを得ずこれを入れたんだという御説明があつたのであります。それに対して私は、立法技術上やむを得ないというのは、三号後段と四号を入れるためにそうなつたので、三号後段、四号がいらないのなら、三十三條全部がいらないという質問を申し上げた。運輸大臣説明は、労働大臣と自分の考は少し違つているということを申されたのであります。まことに違つているのでありまして、労働大臣は一号、二号、三号前段は労働基準法で十分であるという御解釈をとつている。運輸大臣は十分でない、さらに範囲を廣げるという御説明でありますが、範囲を廣げるということになりますと、ますます私たちは反対せざるを得ない。運輸大臣の御説明では不可抗力の場合のみを労働基準法では規定している、それ以外に鉄道ではさらに八時間以上の労働、休日を廃止する必要のある場合がある、これが一号、二号、三号前段という御説明でありますが、不可抗力というのはどういうことを意味するかわかりませんが、基準法の三十三條によりますと、「災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合に」云々とあるのでありまして、臨時必要がある場合か、やむを得ない場合であるというので、発生原因そのものを、不可抗力を原因としていると言つているのでないと思うのであります。状態がやむを得ない状態であるということを言つているので、そういう状態をもたらした原因が、不可抗力に基くものであるかどうかということは、私は触れていないと思うのであります。そういたしますと、労働基準法三十三條で十分國有鉄道法の一号、二号、三号は処理し得るものという解釈を持つているのでありますが、それに対して運輸大臣の御説明を承りたい。
  81. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 私の解釈と、もし労働大臣の解釈が違つた場合には、私は所管大臣でありませんから、いつでも取消します。ただせつかく成田委員が研究の結果、いろいろな御意見があるので、私も默つていることがいかんと思つて答弁するのでありますから、どうぞ答えが二つ食い違つているということがないようにお願いいたします。何どきでも私は取消す用意があります。お話のように、不可抗力という言葉は法律上大体において天災地変というような言葉で、民法でも刑法でも相当むずかしい言葉だと思います。労働基準法の三十三條はそうした民法、刑法によるところの不可抗力そのものではなかろうと私どもは思います。從つて、人為的に避けることのできないという場合もあるのでありまして、必ずしも社会情勢から、社会生活上の常識から考えて、なるほどこれは避けることができないという場合も含まれている点においては、成田委員と同感であります。從つて國有鉄道法の三十三條によりましても「災害その他」というので「避けることのできない」という字を抜かしているのであります。そこに私の方では味があるのでありまして、常識的に見て避けることのできないのでない、避けることができたんであつたろう、あるいは避けることができるのである。しかしながらこの鉄道の公共企業性にかんがみて、いわゆる労働基準法より範囲を少し廣げて運用するように行かなければ、実際列車の運轉という場合にはいろいろな場面が生ずるというような意味から、私は先ほどのような解釈を申し上げたのでありまして、前段の不可抗力の意義いかんという点についてはまつた成田委員と同感であります。ただ労働基準法よりは範囲を少し廣げて、ゆとりのある範囲でやつていただくということが、鉄道事業そのものの性質から見まして適当ではないかという範囲で、この法案が制定されたということだけを申し上げますが、なおこれにつきましては、專属的に研究され、また立案されました法制局長官がおりますから、それに対する説明法制局長官にお願いすることにいたします。
  82. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いろいろ御議論があるようで、私全部の御議論を拜承しておりませんから、また一つ違う説を出したりして、かえつて御迷惑をかけるかも思いますけれども、一應私ども立法関係当局者として、理解しておりますところを申し上げさしていただきます。労働基準法の三十三條にあります「災害その他避けることのできない事由によつて」という言葉の解釈につきましては、労働省の解釈もございましようが、三十三條そのものは御承知のように労働基準法はあらゆる事業にわたつて網羅的に適用さるべき法律としてできております関係上、法案自体も非常に廣い書き方になつているのであります。從つて、個々の具体的事件についての判定は、行政官廳があるいは認可をするという際に判定をするていう建前でできているのであろうと思うのであります。ところが、今回は國有鉄道そのものについての立法がこの際できるのでありますから、國有鉄道について具体的に必要な事柄を一應法律そのものではつきり取上げていただくということ、労働基準法の三十三條の解釈ということの問題を何も残す必要はないので、ここにはつきりこれだけのことが必要であるというものを列挙していただくのが、——むしろ國会としてはつきり法律をもつて列挙していただくのが、一番適当であるというような考を持つているわけであります。從つてやはりこういう何らかの特例が必要であるという以上は、労働基準法三十三條であるいはカバーされるかもわかりませんが、この際はつきりしておく方が、立法技術からいつても的確ではないかと考えておるわけであります。
  83. 成田知巳

    成田委員 この問題については、必要があつたらできるという問題と、労働基準法で十分救済できるかという解釈の相違でありますから、留保いたしておきますが、この前の運輸委員会で、こういう三十三條の規定を設けておきながら、労働基準法に設けたところの割増金の規定がないではないか、これは労働基準法違反ではないかという御質問を申し上げましたところ、それは團体協約できめられるからいいではないかという政府当局の御答弁であつたのであります。しかしながらこの御答弁にはまつたく満足できないのであります。労働基準法では最低二割五分というものが保証されておる。ところが労働協約によつてこの割増金がもらえるかどうかということをまず交渉しなければいかぬ。さらに賃率も交渉しなければいかぬということでは、労働基準法の精神に反すると思います。第三十三條の規定は、この点から考えましても、労働基準法の精神に違反しているのではないかということを考えるのでありますが、その点についての政府の御意見を承りたいと思います。
  84. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 大体成田委員お話はよくわかるのであります。從つて私の方では、労働基準法の三十七條が当然これに適用されるという前提で解釈しておりまするが、ただいま法制局長官からもお話があつたように、この法で明瞭にしておくという考えがあるならば、成田委員のお考えがきわめて適切だと思います。從つて後日國会におきまして、そういう意見が一致してなされるという場合があれば、お示しのような修正のあることは政府としては一向かまいません。
  85. 成田知巳

    成田委員 一應この問題については質問を打切ります。
  86. 綱島正興

    綱島委員長 ただいままで通告がございませんが、大体この委員会は公共企業体労働関係法案をおもに質問を展開していただく方がいいと思うのですけれども、今日は増田労働大臣が、ただいま起つております爭議のことの調停その他で時間がかかるそうでありまして、それが開会が遅れてただいまやつております。三時には済むだろうと思いますから、済みましたら、すぐこつちへ出向くからという通知がただいまございました。そうしたらそれに関するものは増田労働大臣お尋ねを願うことにいたします。ただいま人事委員会の淺井委員長は來ておられませんが、他の二人の政府委員は御列席であります。その他法制局の方もおいでになりますから、どうぞ御質問を続けてください。
  87. 成田知巳

    成田委員 労働大臣がおいでになる前に條文のこまかい点について質問させていただきたいと思います。  日本國有鉄道法案によりますと、監理委員会に委員長を置くということになつておりますが、委員長の任期の規定がないのであります。一方專賣公社法案では專賣事業審議会の委員長の任期を三年と規定してありますが、どうしてこういう差ができているか、その点について御答え願いたいと思います。
  88. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 國有鉄道の監理委員会の委員長は、第十一條の二項にございますように、「監理委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。」ということでありますから、委員の中から出て來るわけです。委員の任期がきまつておりますれば、おのずから委員長の任期もきまるということになります。それから專賣の方は第九條に「委員長及び委員」として、委員長というものは委員の外に扱つております。從つて任期もおのおの別々にきめる、ただしそれだけの違いであります。
  89. 成田知巳

    成田委員 次に國有鉄道の方におきましては「監理委員会の委員は、運輸業、工業、商業又は金融業について、廣い経驗と知識を有する年齡三十五年」云々とありますが、労働代表ということがはつきりうたつてありません。一方專賣公社の方におきましては「学識経驗のある者の中から、大藏大臣が任命する。」となつておりまして、この方は解釈のしようによつては労働代表を選ぶことができるらしいのでありますが、國有鉄道の方におきましてはそういう解釈ができない。何か事業家代表だけを委員に任命するという感じを受けるのであります。この点についてはどういうお考えでありますか。お伺いいたします。
  90. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 両方にまたがつておりますから、私から便宜お答え申し上げます。國有鉄道法案の監理委員会と、專賣公社の方の審議会とは、性格が根本的に違うのでありまして、國有鉄道の方の監理委員会は國有鉄道そのものの一つの機関となつておるわけであります。專賣の方の審議会は、大藏大臣の諮問機関として、國家機関の一つになつておるわけであります。その点に違いがあるのであります。從つて專賣の方につきましては、大藏大臣がこの專賣公社を監督し、その他指導して行きますについての諮問機関になつておるわけでありますから、その委員の選び方の範囲も多少漠然としたものになつておる。ところが鉄道の方は、鉄道企業体そのものの中にはまり込む運営機関でありますから、その点で事業に特に経驗の深い人を連れて來なければならぬというように、建前が少し違つておるわけであります。
  91. 成田知巳

    成田委員 ただいまの法制局長官の御説明では、國有鉄道の方は一つの機関を構成しているのであるから、事業の運営に專門的な知識を持つている人を入れなければならぬという意味で、十二條のようにしたのだと言われておりますが、國有鉄道というものは非常に現業的な性質を帶びているのでございまして、むしろ労働に経驗があり、労働に深い理解があるところの労働代表を入れるというような條文をここに設けられることが、必要ではないかという感じがするのであります。これにつきましては運輸大臣の御意見を伺いたいと思います。
  92. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 お話申し上げるまでもなく、労働者職員諸君が、その企業の経営管理にどの程度まで入るかというようなことは、各國とも必ずしも考え方が一致しておらぬと思うのであります。從いましてこの法律においても、成田委員のように、職員がその代表を選んで経営の管理にまで入るのだという議論も成立つのであります。またわれわれのように経営と職員とは違う建前なんだということもやはり考えられるのでありまして、今の成田委員の御質問に対しましては、これはどこまで行つても盡きない議論であると思うのであります。従つて單純に意見の相違とは申しませんが、ある時期に、ある社会情勢においては、成田委員の言われるようなことが國民全般から首肯される場合もあると思うのでありますけれども、現段階においては、私の方の考えで進むことが適当じやないかという考えでありまして、ちよつとこれは議論が困難だと思います。
  93. 成田知巳

    成田委員 これは意見の相違でありますからこの点はこれ以上申し上げません。  次に十二條の三項の三号に監理委員になれないところのものを規定しておりますが、この三号に「國務大臣國会議員、政府職員又は地方公共團体の議会の議員」とありますが、地方公務員はここにあがつておりませんので、地方公務員はさしつかえないと解釈してよろしいのでありますか。
  94. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 この点については私も十分まだ研究してなかつたので、今政府委員の方から聞いたのでありまするが、文字の配列等から見ると、成田委員のお考えのようにもなりまするけれども、大体の趣旨はやはりなれないという考え方で、この法律が提案されておるそうであります。
  95. 成田知巳

    成田委員 地方公務員が監理委員になれないといたしますると、この欠格條項は役員選任についても準用されております。今の運輸大臣の御答弁は、地方公務員はなれないというのですか。
  96. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 そうです。
  97. 成田知巳

    成田委員 そうすれば、これは当然入れなければならぬわけですね。
  98. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 この文字で類推してという意味らしいのですが……。
  99. 成田知巳

    成田委員 政府職員から類推して地方公務員まで持つて行くというのはむりだと思いますが、一應この條文の建前からいつたら、地方公務員はなれると解釈するのが正しいのではないかと思います。
  100. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 大体この立案の考え方は、なれないという考え方でありまして、もしそれを明瞭にするという趣旨でありますれば、やはりここに政府職員及び地方公共團体職員というような文字が入ることが適切じやないか、こういうふうにも考えられます。
  101. 成田知巳

    成田委員 というように考えられるというのですが、それとも修正案をお出しになる御意向なんですか。明文にはつきり書いてないのですが、これを類推しろというのはむりだろうと思うのでありますが……。
  102. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 今運輸大臣のお答えせられました委員となることができないというのは、これは絶対的に伊何としてもこれをとることはならぬということで、明文に示す通りでございます。ただこれに漏れておりますものにつきましても、任命権者が見まして、適当でないと判断するものが、まだ多々あると思うのであります。ただいま御指摘の地方公共團体の職員のごときも、ピンからキリまでいろいろなものがございますが、おそらく任命する際には、内閣としてはそういう人たちは、この列挙の精神から申しましても、任命しないという方針に出るだろう。方針として例示に沿つて任命しないだろうという、そのことを大臣が今述べられたのであります。制度上は任命しても違法にはならないという解釈をするのが、法律的のお答えであります。
  103. 成田知巳

    成田委員 それでは、ただいまの法制局長官の御説明通り、法文上はなり得る。しかしながら具体的な場合に應じて、なれない人もあるのだというように解釈してさしつかえないのですか。全部やれないのなら、なぜ初めから明文にしないのですか。それほどはつきりしておるものでしたら……。
  104. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 立案者としては、今のような地方公共團体の議会の議員まではつきり書いてよいのでありますが、吏員、職員なりますと、先ほどちよつと触れましたように、いろいろな種類もございますし、その吏員の仕事から申しまして、そういうような人々が監理委員会の委員になるということも、実際上想像しませんでしたというのが、正直なお答えかと思います。要するに、内閣としてそういう人を任命するつもりは今のところ考えておらぬということであります。
  105. 成田知巳

    成田委員 どうも御答弁満足ができないのですが、初めからそういう原則をお持ちになつておるのでしたら、明文に出すのがあたりまえじやないか。もしそれが誤りなら、誤りとして改正すればよい。そういう方針つたということは、方針がきまつておりながら明文に出さないのはおかしい。條文を読みまして、これがオミツトされておる以上、一應地方の公務員は監理委員になれるのだという解釈をするのが正しい法律解釈だと思う。ただ政府の内心の意思でこういう條文の解釈をされるのは、非常に危險だと思うんです。これを挿入することが正いかどうかは別問題なのでございますが、これが一應政府のミスだということを想像できる條文が第二十三條にあります。二十三條に「役員は、他の職業に從事することができない。」というようなことにもなつております。そうしますと、公務員というのも一つの職業なんです。從つてこの二十三條にも正面から衝突する。だからこれは、政府としては間違いだということをはつきりお認めになるのがよいのではないかと思う。
  106. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 二十三條は、この原文をちよつと申し上げますと、エンゲージ・エニービジネス、こうなつておりまして、非常にきゆうくつでございます。專賣の方はもう少し廣く書いてございます。從つてこれは向うの方の了承を得ましたので、今正誤の手続をいたしております。二十三條はどういうふうに直るかといえば「役員は、営利を目的とする團体の役員となり、又は自ら営利事業に從事してはならない。」こういうふうに正誤することになつております。
  107. 成田知巳

    成田委員 ただいまの御説明で、二十三條はわかりました。当然專賣公社と同じように表現にならないといけないと思います。ただ地方公務員がなれないということについては、まだ疑問が疑問が残つていると思うのでありますが、この点については御善処を願います。  同じく十二條の四号でありますが、政党の役員というのが監理委員になれないというのでありますが、その役員というのは、政党の地方支部の役員も含んでいるのかどうか。中央の役員だけであつて、地方の役員は含んでないと解釈してよいかどうか、これについて御意見を伺います。
  108. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 これは地方支部でも、町村支部でも、一切含むという趣旨であります。
  109. 成田知巳

    成田委員 まだ労働大臣がお見えになりませんから、こまかい質問ですけれどもお許しいただきます。同じく日本國有鉄道法の十六條でありますが、議決方法というところに、いろいろ議決の方法が書いてあるのであります。專賣公社の方を見ますと、招集の規定もあつたと思うのですが、この監理委員会というのは、運輸大臣の仕事を代行するような重要な仕事なんです。たとえば株式会社の株主総会と同じようなものでありますから、当然招集方法を規定すべきものだと思うのでありますが、招集方法について何ら規定がない。これについてどういうふうなお考えをもつておられるか。
  110. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 監理委員会は、日本國有鉄道の内部機関でございまして、そして非常に数が少い、いわゆる日本國有鉄道のトツプ・オーガニゼーシヨンでありまして、その会議を開く手続等は、内部機関みずからにおいて決定されればよろしいのでありまして、しいて法律で、いつ開くとか、どういう手続で開くとかいうようなところまで規定する必要はなかろう、こういうふうに考えまして、やつております。  なお、十六條につきましては、先ほでの正誤と同じように、二項に但書をつけるということを了承を得ましたので、但書として、この「十一條に規定する職務上当然就任する特別委員は議決に加わることができない。」ということで、職務上当然入ります総裁は、議決に加わらないということを明瞭にいたしております。その正誤の手続を今いたしております。
  111. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつと申し上げます。ただいままで労働大臣も大藏大臣もおいでになりませんでしたから、專門にわたり日本國有鉄道法案の御審議をこまかに願いましたけれども、この委員会の連合審査会の性質から、労働法規に関するものをなるべく主として御審議願いたいと思いますから、どうぞそういう線でお願いいたします。
  112. 中曽根康弘

    中曽根委員 運輸大臣に一点お尋ねいたしたいと思います。日本國有鉄道法案の第五十四條において「運輸大臣は、公共の福祉を増進するため、特に必要があると認めるときは、日本國有鉄道に対し監督上必要な命令をなすことができる。」こういう條文でございます。この監督上必要な命令というのはどの範囲に及ぶか、これが問題でありますが、私がお聞きしたいのは、公共企業体労働関係法との関係において、團体交渉あるいは團体協約、この面に関してどの程度まで運輸大臣は監督権を有するのか、その限界を詳細に御答弁願います。
  113. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 御質問の趣意がはつきりいたしませんけれども、この團体交渉等については、この公共企業体労働関係法規に一切明記してありますので、そういうものに対しては監督をする余地が出て來ないのじやないか、こう考えております。
  114. 中曽根康弘

    中曽根委員 たとえば團体交渉の内容が、團体交渉に掲げてあるものよりも逸脱するような場合もあり得るだろうと思います。あるいはここに書いてあります通り、「管理及び運営に関する事項は、團体交渉から除かれなければならない。」こういう條文があるので、その管理及び運営については監督権を有するのが趣旨であると私は解釈しております。しかしそれだけではたしてよいかどうか。たとえば團体協約の内容の中で第五号に「懲戒規則並びに昇職、降職、轉職、免職、休停職及び先任権の基準に関する規則」こういうのがあります。これは明らかにある程度管理運営にわたるだろうと思います。國家公務員法によれば、これらのことは人事委員会が準則を定めるというふうになつておりまして、やはり一つの特別権力関係における定めであるように思うのであります。つまりこれは公共企業体にとつてみても、一つの公共的な性格を有する部面だろうと思います。こういう点について運輸大臣は全然放置しておくのかどうか、その点をお伺いしたい。
  115. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 大体中曽根君の御質問の趣意は、労働組合において、團体交渉をなすについての権限の逸脱とか、あるいは法規違反ということに対して、運輸大臣はどういう監督権があるかというような御趣旨だろうと思いますが、そういうものに対しては、別に運輸大臣は監督権というものはなくて、法規に基いてそういうことが適法に行わるべきで、行われなかつた場合には、別途にその行われなかつたことに対する法のさばきを受けるものではないか、こう考えております。
  116. 中曽根康弘

    中曽根委員 まだ私の趣旨がおわかりにならないようですが、要するに公共企業体労働関係法の第八條第五号に述べてあるこれらのものは、われわれから考えると管理、運営に属するようなことであると思うが、まつたく労働協約に入つている部面で、管理、運営という内容にはちつとも入らないのかどうか、運輸大臣としてこの公共企業体を監督する地位に当られるあなたが、こういう問題についてまつたく労働協約に任せきりでよいのかどうか、それらの中で管理運営に及ぶ部面はないのか、及ぶ部面があるとすればどういう程度の監督までやるのか、こういう質問であります。
  117. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 五号と一項の管理運営に関するものとが、どういう形において区別されるかということに、換言すれば、なると思うのであります。五号の方は最後に「先任権の基準に関する規則」ということになつておりますので「並びに」以下の問題は規則を制定する場合のいわゆる條件であると思うのであります。從つてこの規則が管理になるような場合がある場合は、当然規則に対しましては、規則ができないことになりますが、そういうものをもしつくつた場合には、運輸大臣はどうするかという御質問でありますれば、それは運輸大臣といたしましては、いわゆる違法の行為でありますので、別に法規に定めた方法以外には、特にただいま御指摘の五十四條の命令というような問題にかかつて行かないのではないか、こう考えております。
  118. 中曽根康弘

    中曽根委員 もう少しこますくお尋ねいたします。第八條の第五号は「基準に関する規則」となつております。そうしますと規則については團体交渉の対象になつておる。その規則に基いていろいろな具体的の人事や何かを運営して行く部面が次に出て來る。具体的に運営して行くについても運輸大臣は監督権があるのかどうか、規則は監督権はないかもしれないが、実際の公共企業体の運営上こういうものを基礎としてやる場合がある。そこが問題になるだろうと思います。
  119. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 お話の点は、五十四條には何もかにではなくして、「公共の福祉を増進するため、特に必要があると認めたときは」という特別の條件が入つておりますので、もしお示しの事例がこの條件にかなう場合は、やはりあり得るということになりますが、この條件に適しない場合は、やはりないのだということに解釈しております。
  120. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうしますと、実際上の運営については監督権がある、こういう御解釈ですか。
  121. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 抽象的には大体に監督権があるということになりますが、特に本法は運輸大臣の監督権限につきまして一々具体的に規定してあるのでありまして、主たる監督権というものは、やはり條項に明示された点が運輸大臣の特の監督権でありまして、一般的の現在のように、何もかにも一切のものに対して運輸大臣が監督する権限というものはなく、できるだけ團体に対して自主性というものを認めながら運営を行こうというのが、この法律の精神であると考えております。
  122. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の点がどうもまだわからないのですが、團体協約というものは公職というようなことに関する基準の規則が対象になつている。從つてこういう規則については團体協約の内部に入るだろうと思う。ところがこの規則によつて実際に公共企業体が運営されて動いて行く場合に、たとえば免職という問題が出て参ります。公共企業体の内部において一千人とか一万人を首にしようという問題が具体的に出て来る。そういう場合に、公共の福祉のために必要であるならば、そういう具体的な運営についてもやれということを監督上から発する命令権があるのかどうか。具体的にこういう問題でお伺いいたします。
  123. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 お示しの例で明瞭になつて参りましたが、お話のように、たとえば千人なら千人を馘首するという問題がこの團体で問題になりまして、その千人を馘首することが公共の福祉に重大な影響がある場合には、それをやめさせるという場合もあると考えます。從つてそういう場合には監督権が発動するものと考えております。
  124. 成田知巳

    成田委員 午前中労働大臣に御質問したことでありますが、この問題について法務総裁に重ねてはつきりした解釈を示していただきたいと思うのであります。十七條の爭議権の剥奪の問題でありますが、これに対しまして私は、憲法二十八條の違反ということと、労調法において現業員に対しては原則として労働爭議権を認めておる。今回の國有鉄道並びに專賣公社につきましては、現業從業員であるという性質上、当然罷業権を認めるべきではないかという質問をいたしましたところ、最初の憲法の問題につきましては、公共の福祉という観点から爭議権を否定するのだという労働大臣のお答えであつたのであります。これにつきまして解釈の相違ということで一應引下つたのでありますが、憲法二十八條によりますと、「勤労者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利は、これを保障する。」として、無制限に何らの條件なしにこれを保障しているのであります。たとえば二十二條の居住、移轉、職業選択の自由などは、公共の福祉に反しない限りにおいてこの有由を有するということになつているのですが、この労働組合の権利につきましては、そういう條件なしにこれを保障しているという点から行きましたならば、公共の福祉云々という考え方から、そういう解釈が十七條によつて爭議権を剥奪することは、憲法違反ではないかという感じが強くするのでありますが、これに対して專門家の御意見はつきり伺いたいと思います。
  125. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 すでに労働大臣からお答えになつたそうでありますが、公共企業体の事業と申しますものは國家の経済及び國民の福祉に重大な関係を持つております。從つて公共性が非常に高い。高度の公共性を持つている。また國家性を持つている。從つてその職員公務員ではありませんけれども、職員ではありませんけれども、職員地位はいわば準公務員ともいうべきものと思いますので、憲法二十八條の團体交渉をする権利についても、これに対しまして憲法十二條のいわゆる公共の福祉というわくをかぶせることによつて國家公務員に準じて制限を加えることはどうもやむを得ないことである。こういう見解に立つてこの規定を置いたわけであります。
  126. 成田知巳

    成田委員 ただいまの御説明一應ごもつともと感ずるのでありますが、二十二條に特に「公共の福祉に反しない限り」という規定を設けてある。しかるに二十八條においては、そういう條件をつけないで、無條件にこれを保障するとはつきり規定しておる。そういう差から見ますと、二十八條については、これは基本的な人権であるから、いかなる場合においてもこれを剥奪することができないという解釈をするのが妥当ではないかという感じがするのですが、この二十二條と二十八條との相違、條件つきの場合と條件のつかない場合の差はどこから出ているか、それを御説明願いたいと思います。
  127. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 ごもつともな御議論であります。つまりこの公共企業体職員を、準公務員と申しますか、その準公務員という程度をうんと高めてお考えくだされば、國家公務員に対して罷業権を禁止したと同じような意味で禁止をした。そこらは非常にデリケートど明確な線が引きにくいのでありますが、この立法の趣旨はそういうつもりでできております。
  128. 成田知巳

    成田委員 準公務員という問題なんですが、その問題につきましてもけさ申し上げたのでありますが、たとえば日本專賣公社はタバコの專賣事業に從事しておる。これは本來言いましたら、私企業的な性質が非常に強いんじやないかと思うのであります。これは財政收入の見地から專賣にしておるにすぎないのでありまして、事業そのものが公共性を持つておるとは私ども考えられないのであります。たまたま今までの歴史的な事由で、國がやつてつたのだからというので公法人になつたというだけで、準公務員という解釈をして、こういう基本的な権利を剥奪するということは行き過ぎじやないか。事業の本体からいきましたら、國有鉄道あるいは專賣公社につきましては現業員的な性質を持つているのだ、私企業的な性質も相当強いのだという点から行きまして、罷業権を剥奪するということは行き過ぎじやないかという解釈がなり立つのじやないかと思うのでありますが、それについての御見解を伺いたい。
  129. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 まことにごもつともな御議論であります。私もそれを考えたのでありますが、專賣のタバコをつくるということは私企業とかわりがないのでありまして、ただ專賣の收入そのものはただちに國家財政にくつついている。つまり專賣公社の罷業というものは、ただちに國家收入に重大な影響を及ぼす。ちようど國家自身が專賣をやつていると同じ効果を來すものである。そういう見解で、今のお話の点は十分わかつていると思うのでありますが、それを財政の見地から國家公務員と同様に考える。こういうことになつておるのであります。御議論は十分尊重したいのでありますが、そういう考えでこれはできているのであります。
  130. 中曽根康弘

    中曽根委員 先ほどの点でもう少し運輸大臣にお伺いしたいのですが、五十四條によつて、その前にある團体協約の実際上の運営のことにまで、運輸大臣がそのような介入する権限があるかどうかということは、私は非常に疑問だろうと思う。この点についてはもう少し勉強してあとで御質問をいたしたいと思つておりますが、かりにあるとすると、これは組合にとつては相当重大な問題だろうと思います。たとえば一万人首にするという監督上の命令を出すことができて、團体協約をある程度破壞するというような場合も考えられると思うのですが、その場合に労働組合側との交渉が折合いがつかないで、公共企業体がその命令を遵奉しなかつた、首にできなかつたという場合には、一体公共企業体と運輸大臣関係はどういうふうになるわけですか。
  131. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 非常に極端な事例でありまして、ちよつと答弁にも困るのでありますが、要するに運輸大臣が乱暴な監督命令を出して、その命令にこの公共團体が服しなかつた場合にどういう措置をとるかというお話のようでありますが、これはその場合のみならず、一般行政権による命令が施行されるかどうかという点でありまして、今のお示しの例に限らず、もし運輸大臣の監督権があるものに対して、その監督される地位におるものがそれに服從しないというような場合におきましては、この例だけでなく、一般的の例に準じて行くよりほかに途はないと思つております。大体そういう命令が普通出るわけはないと思いますけれども、想像上あり得るのでありますが、想像したようなことがもしありましたような場合においても、その処分とかいう問題は、一般の事例に照らして措置さるべきものだと思つております。
  132. 中曽根康弘

    中曽根委員 一般の事例で処理するというお答えでありますが、これは当然のことだろうと思います。そこで私はまだ勉強不足でおはずかしいのですが、日本國有鉄道法案の中で、運輸大臣公共企業体の役員その他に対するそのような有効な行政監督をやる措置があるのではないかと思うのですが、どのようなことがあるのか教えていただきたいと思います。
  133. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 運輸大臣一般的監督者でございまして、個々の監督は、監督の各條項によつてのみ行われることになつているわけでございます。それで公共企業体でございまして、特に監理委員会というものを置きまして、國会の同意を得て任命される監理委員をトツプに置いております関係から、運輸大臣の監督の範囲は必要最小限度にとめることになつております。従いまして第五十三條に掲げているものがおもなるものでございまして、その他会計の章に、若干運輸大臣の認可を受けて借りかえをするとか何とかいうような規定が出ているだけでございます。なお監理委員並びに総裁の任命でございますが、それについては内閣が行うということになつておりますから、人事の面からして、運輸大臣が監理委員に対し、総裁に対して直接的権限はないじやないかという御疑念が出るかと思いますが、それも内閣が行うのでございますからして、当然閣議において議論されると思いますので、そういつた面において運輸大臣は人事上の発言権を持つている。その他個々の監督につきましては本法に規定しておりますごくわずかなものでございます。
  134. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の御答弁の趣旨ですと、内閣はそういう監督権があるということに具体的にはなるだろうと思います。五十三條は許可認可といういゆわる一般的な事務でありまして、属人的な監督権というものではないようであります。そうなると、五十四條というものは実際は空文ではないか。内閣ができるというのならば、ある程度総裁の任命についてもタツチできるけれども、運輸大臣自身は閣議を通すのであつて、それをもつて運輸大臣の監督権と言えるかどうか、私ははなはだ疑問であると思うのでございます。その点はいかなる御見解を持つておられますか。
  135. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 御説のような意味合いにおきましては監督権とは申し上げかねるでしよう。しかしいわゆる行政法上の監督権ということに限定しての御質問でありますならば、五十三條及び会計の章に、運輸大臣の認可を受けて出て來ます二、三のものしかない。こう御答弁申し上げることが正確だと思います。
  136. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうすると具体的な場合で、公共企業体の責任者が運輸大臣の命令を労働組合との関係で遵奉できなかつた場合には、運輸大臣は運輸大臣として、特にその責任者に対して行政上の処置をすることは具体的にないと考はえてよろしゆうございますか。
  137. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 その監督ということを、いかなる意味合いにおいて使うかによつてかわつて來ると思いますけれども、総裁及び監理委員の行いますところがよくないという場合におきましては、内閣として人事上の発動をする規定がございますからして、それにおいて運輸大臣は閣僚の一人として発言権を持つておりますから、それを通してやる以外にはございません。それ以上の強いものは運輸大臣は持つておらないのが実情でございます。
  138. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうでしたら五十四條「運輸大臣は」というのを閣内とかえるべきではないか。もしそういう意味であるならば、内閣は連帶して責任を有するのですから、大藏大臣がやつてもいいわけじやないですか。
  139. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 はなはだどうも了解に苦しむ御質問でございますが、運輸大臣が運輸についての全体的の責任大臣でございますから、國有鉄道という陸上運輸をつかさどつているところの監督大臣となるのが本筋だろうと思いまして、そういうように規定してあるのであります。しかし命令を出したときに、命令に從わなかつた場合にいかにするかという問題に関しましては、罰則の規定も若干ございますけれども、そう嚴密にやらなくてもいいと思います。もしそれが非常によくないということになりますと、五十五條の罰則の規定がございますから、運輸大臣が特にどうこうするということでなしに、刑法上の問題に移つて來るかと思います。
  140. 中曽根康弘

    中曽根委員 五十五條には特にこれに関係するような、つまり團体協約との関係においてやるような罰則が見当らないのです。それでお尋ねしておるわけです。
  141. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 監督上の命令に從わなかつた場合というのは五十五條四号の「前條第一項の規定に基く命令に違反したとき。」というのでございますから、もし労働組合との関係において総裁、副総裁の行いますところが妥当でないということで、五十四條の監督命令を出した場合に、その命令に違反が行われたという場合には五十五條の四号に該当する。こういうふうに思われます。
  142. 久保田鶴松

    ○久保田委員 大藏大臣がお見えになりませんから、私は法務総裁に憲法の二十八條と十七條との解釈はどう考えておられるかお伺いしたいと思います。
  143. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 先ほどもその問題にお答えしたのでございますが、つまり公共企業と申しますものは非常に高い公共性を持つておる。從つて公共福祉に影響を及ぼすことがはなはだ大きい。でありますから、公務員ではありませんが、公務員に準じて——公務員ということをしばしば申し上げたのでありますが、公務員に準じまして公務員とほとんど同じような規定を設けておる。こういうことでございます。ただそれが私企業に準ずるものではないが、たとえば專賣のごときは、ほとんど私企業とかわりがないだろう、それに対して公共性が高いということはどういうことかというお話もあつたのでありますが、企業の内容はなるほど私企業に近いのでありますが、それが財政上に及ぼす影響が非常に大きい、國家みずから事業をやつておる場合と同じ影響を及ぼす、であるからやはり公共性が高いものと考えて、公務員に準じてこういう規定を設けた、こういうことを申し上げたいのであります。
  144. 安平鹿一

    安平委員 今の久保田君の質問に関連してでありますが、ただ高度の公共性を持つておるらか、公務員法に準じてこの十七條の規定を置くのだということになりますと、高度の公共性を持つておるものはただそれだけではないのです。ほかにまだ電氣もあれば、ガス、水道その他一般企業にもたくさんあるのであります。その公共性というものは、やはり國民生活にどの程度公共性を持つているかということが基本にならなければならないと思います。総裁のお考えによると、当然將來そうしたものにもこれを適用して行くんだという危險性を、私は聞いていて十分に看取できると思うのです。そういう点で、公共性を強調するあまり、民間のそういうものにも將來適用する御意思があるかどうかということを伺います。
  145. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 その問題は労働大臣からお答えするのが一番適当かと思いますが、私どもはただいまのところ、鉄道と專賣につきましては公共性を特に認めまして、ただいまのような規定を置きましたが、ただいま御心配のような点は、目下のところ全然考えておらぬと申し上げた方がいいと思います。
  146. 安平鹿一

    安平委員 そうすると、公共性が民間のガス、水道その他の重要産業に比べて、ないというわけですね。低いというのですね。
  147. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 公共性が低いと申すのではないのでございます。公共性がより高いと考えておるのであります。
  148. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 私に対する質問ではありませんけれども、実はこれと同じような質問がさつき重井君からありまして、私も一應お答えしたものですから、私の考え方安平委員に御答弁申したいと申います。大体公共性という考え方は非常にむずかしい考え方であります。私の言うのは、一つはその仕事の内容から見た公共性、それからもう一つは形態から見た公共性というように、二つ考えられる。今の安平委員の御指摘になつた電氣、水道、こういうものは仕事の内容に基くところの公共性で、これは明らかに公共性です。さらに專売公社のようなものは、タバコを賣り出すということは公共性とはちよつと言いにくいのであります。今成田委員の言うように、ただそこに國家再建の基本である專賣益金を得るということが目的だということになりますと、その仕事自体はそうじやないが形及び内容において、しかも公務員があるいは公務員に準ずるものがこれを扱うということにおいて、非常な公共性を持つて來る。これは形の上である。そこで鉄道事業のように、内容においても公共性、形においても公共性、そういう二つの公共性があるのを、さしあたり公共企業体労働関係法で律するのだという考え方でありまして、この議論をだんだん延長して行きますと、お示しのように、あるいは電産にもこれを適用する、あるいは地方鉄道にも適用するということになりますが、現在の政府考え方といたしましては、この二つの公共性を相当備えたもの、すなわちこの二つの解釈にだけ適用しよう、こういう考えだと私は思います。
  149. 安平鹿一

    安平委員 今運輸大臣のお答えで、形式上の問題ということは財政上の問題だというふうに解釈いたしますが、そうすると、電氣にしましても、財政上の関係は國鉄の場合と同じように持つておるが、片方には適用して、片方には適用しないという法の矛盾がそこに生れて來る。私は罷業権を禁止する行為が不当だという建前で言つておるので、やつてくれと言つておるのではない。これは誤解しないようにお願いします。今の形の上からいつても、鉄道だけにこれを適用するということは矛盾じやないかと思います。財政上の関係が全然ないとは言われない。
  150. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 今申し上げたことはちよつとまだ説明員不十分であつたろうと思います員、私の言うのは、事仕の内容それ自体の公絹性というものと、それから経営する主体が、一般民間人が利益を目的とするような場合と、それから公務員國家に対する責任上やつているような、いわゆる公共團体と、この二つを兼ね備えたものにのみこの公共企業体を適用するという考えで進んで行くのだ。從つて電氣、水道というような、内容から言えばお話のように公共性のあるものがたくさんあります。しかしそれは公務員がやつているのではなくして、ここに言ういわゆる準公務員がやるのでなくして、公共事業に近い性質であるけれども、官吏もしくは官吏に準ずる人が営業しているのじやありませんから、それには適用しないという、きわめてきわどい議論ではありますけれども、その線でそれをここだけにとめようという考え方であります。
  151. 安平鹿一

    安平委員 今の運輸大臣の御答弁ですが、大体このマ書簡によつて鉄道のいわゆる現業員円関を、わざわざ公務員法適用外に置く、もちろんこれは憲法上の解釈というより精神上の解釈ですが、これは要するに現業員には公務員法を適用してはならないという考え方から、この公務員法からはずして行つてというように私は解釈しております。この点の考え深かどうですか。そうでなければ、何もわざわざはずす必要がないので、公務員法を適用することが不適当だからはずして行つたのだと、私は書簡の内容から解釈するし、またフーバー氏と会つた場合にも、こういうことを言われた。公式に会つたのですが、公務員法を適用するもの以外は適用しないのだ、白か黒かはつきりしているだけだ、こういうことを言われたことがあるのです。フーバー氏のしういう説明から推して考えますと、公務員法を適用しないものは、これはほんとうに適用しないのだ。公務員法を適用しない一般職以外のものは、公務員法は適用しないのだ。だから、特別にこの公共企業体というものを認めるのだというような説明があつたと思う。簡單に言えば、向うの人の解釈は、ぼくは英語はわからぬが、白か黒かという説明をしたと思う。だから、当然この鉄道從業員に対して適用するものは、先ほど成田君からか言われたように、憲法上からいつても、精神上からいつても、十七條はいらない、禁止すべきじやないというふうに私は考えております。この点について運輸大臣はどういうふうにお考えなりますか。
  152. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 マ書簡の趣旨が今お話のような点にあることは、大体私らも了承できるのであります。しかし法律問題と並んで、大ざつぱに申しますれば、現業員にただちに現在審議されている公務員法を適用することは少し酷である。だからといつて一般労働團体に対すると同じように、労働組合法を適用することはむりである。そこでその中間の準公務員的存在である國有鉄道專賣公社には、その中間的な労働関係を律したただいまの法律を適用しようというのがわれわれの提案した趣旨なんであります。でありますから、率直に申しますと、そこが大きな長所であつて、また一方安平君の言うような考えから言うと、大きな短所でもあると考えるのであります。しかし今の國家情勢では、この線を行くよりほかに途はないじやないかというような趣旨から、本案を出しているようなわけであります。
  153. 安平鹿一

    安平委員 そうしますと、仕事の内容となると、まだ公務員法も進行中でどうとも言えないですが、たとえば進駐軍関係の労務者とか、営林署関係の筋肉労働者等は、仕事の内容から言いますと、鉄道從業員の現業に携わつている諸君と仕事の内容はちつともかわらない。それなのにどうして区別しなければならぬか区別しなければならぬということは、要するに爭議権を認めることが前提となつて区別されているのだと私は見ているのです。
  154. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 一番最後の爭議権を認めるということをもつて区別するという趣旨がわからないのですが……。
  155. 安平鹿一

    安平委員 爭議行為の禁止をはずすということです。
  156. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 つまり爭議行為の禁止をすることが適当だというのがこの法律です。
  157. 安平鹿一

    安平委員 だから、公務員法の中でもむろんはずして行かなければならない仕事の内容です。進駐軍あるいは営林署の労働者、こういう人たちは、今まさにこれが適用されようとする労務者と仕事上の内容、つまりもつと簡單に言えば、筋肉的な労働をするという意味においては、今の鉄道の現業員と仕事の内容は少しも違つていないのであります。
  158. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 これは非常に観念しにくいことではあるけれども、たとえば進駐軍の人を一應法律で公務員と同じように律しております。しかしながら実質的には公務員ではない、官吏でもない。ところが鉄道の從業員は、形はなるほど公法人の從業員ということになりますけれども、実態においては、やはり公務員の待遇を受け、公務員として扱われるのです。であるが、現業だからといつて、ただちに公務員法の適用をすることはむりであるから、ここで一旦労働関係を調和して、その公務員の姿において、しかも公務員よりはもつと進んだ労働立法をしようという意味でこの法案が進められたのであります。なるほど今言うように、公務員に準ずるものは公團とかその他いろいろある。それはなるほど公務員ではあるが、準公務員、あるいは準々公務員というような形に観念することができると思うのであります。從つてこの二つは準公務員である。その次の進駐軍あるいは配給統制を扱つている、法律の力で公務員に準ずる者、いわゆる涜職罪なんかを停するあの公務員は、私の言葉で言えば準々公務員的なものである。そこでこの法律は準公務員だけを律するのが目的だ。またマツカーサー書簡もその線に沿つて日本政府勧告しておるのだ、そういう趣旨であります。
  159. 安平鹿一

    安平委員 準々とか準とかいうことは別として、むりだということは運輸大臣もお認めになられるという話でけつこうなのであります。
  160. 辻井民之助

    ○辻井委員 総理大臣お尋ねしたいのですけれども、お見えにならぬから、法務総裁にお尋ねしたいと思います。今の安平君の質問に関連しておるのですが、公務員改正法案がかりに通つたとしますると、安平君の言われた國の仕事に從事している專賣公社、あるいは國有鉄道と同性質のものが相当たくさんあるわけであります。これは今の話では結局公務員法からはずさないというふうに解釈していいと思うのですが、ところがそのほかに地方自治体にも、たとえば都営の電車でありますとか、あるいは市営の電車とかいうようなものがあり、あるいは塵芥燒却場であるとか、あるいは死体を燒却するような場所がある。職業では経営が成立たないために自治体でやつているもの、現行の公務員法で規定されている單純労務というものが、無数にあるのですが、公務員法改正案がもし強つたとしますると、全部こういうものは公務員法からはずされるものか、あるいは依然として國の公務員に準じて、相かわらずあの政令が結局適用されるような結果になるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  161. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 ただいまの御質問はごもつともでございます。これは地方公共團体の地方公務員の法律がまた出なければならぬのであります。それはこの公務員法改正案と一緒に出る方が適当であつたのでありましようが、今度は國家公務員法だけ出しまして、地方公共團体の公務員法あとで出します。從つて今のような問題は地方公務員法を提案いたします際に、あらためて御相談申し上げたいと思います。今それを鋭意研究いたしております。それからこれらの企業体につきましては、ただいま地方公共團体に関しては政令がまだそのままに有効に働いておりますので、それらの地方企業体につきましてもまた政令が有効に働いている、こう考えております。
  162. 辻井民之助

    ○辻井委員 それでは一体地方公務員法というのはいつ時分にお出しになるお考えであるか。これは非常に重大問題で、政令のわくをはめられている関係のものは、猛烈に憲法違反とか何とかという叫びを上げている。われわれは政令を一應認めておりますけれども、相当政令にむりがあることはこれは認めざるを得ないのであります。それが依然と島前いつまで行われるかわからぬというようなことでは、ますまは関係者の間に不平不満が高まつて來ると思います。一体いつ時分にお出しになるお見込みであるか、お伺いしたい。
  163. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 ごもつとものお話でありまして、次の通常国会にはぜひ地方公務員法を出したいと考えております。それにつきまして今のような問題も同時に並行して提案したいと考えております。
  164. 辻井民之助

    ○辻井委員 大藏大臣が非常にお急ぎだそうですから、簡單に御質問したいと思います。本日のある新聞を見ますと、政府では新給與を大体五千三百円に、関係方面の了解を得てきめたというような記事を拜見したのですが、事実かどうか、承りたいと思います。
  165. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 辻井さんにお答え申し上げます。それは今日の段階におきましてはまだ結論に到達いたしておりません。從つて事実ではございません。
  166. 辻井民之助

    ○辻井委員 それではまだ確定ではないにしても、大体そういう内定というか、そういう動きもまだ全然ないわけですか。
  167. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。新賃金ベースの問題は、申すまでもなく人事委員会によりまして、六千三百七円という御提案がすでに本月九日をもつてせられたのであります。しかしながらその御提案に関しましての算出の基礎とか、いわゆる説明資料に属しまするものは、実はきわめて最近に初めて政府側に連絡があつた、こういうような実情でございまして、われわれは今日この御提案について、ひとり大藏当局のみならず、各局におきましてもいろいろ檢討を重ねておる、かような段階でございます。
  168. 辻井民之助

    ○辻井委員 次に大藏大臣お尋ねをしたいのは、われわれの主張といたしましては七月分から新給與を與えるべきであるという主張を持つておるわけでありますが、どちらにしても、現在新給與の決定が遅れておるために、官公吏の生活が極度の窮迫に陥つておる。いわゆる赤字生活、たけのこ生活を続けておるわけです。この政府の決定が遅れれば遅れるだけ、インフレが相かわらず高進して、通貨價値が下る場合には、遡及してもらつたのでは、どれだけ大きな欠損をするかわからぬという状態になるのであります。この際新給與の決定は一刻も急いでいただかなくちやならぬが、それまでの暫定処置として、十二月分を十一月の末に繰上げ支給をするというようなことぐらいは、当然なさるべきだと思うのですが、そういう御考慮はないかどうか、お伺いしたいのであります。
  169. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。新給與ベースの問題が、全官公の職員諸君の生活の現状にかんがみましても、きわめて緊急なる課題であるということは政府においても深く理解をいたしておるのでありまして、そのことは先般來たびたび本会議において私よりも言明いたしておる通りであります。しかしながらその決定には、先般申しましたように、多少の時日を要しておるのでございますが、しかし、ともかくもすでに人事委員会から正式に、しかも計数の発表提案のありました今日におきまして、一日も早くこれが結論を急ぎまして、これを予算化して本國会に提出する。かような線に沿うて政府は努力しておる実情でございます。
  170. 辻井民之助

    ○辻井委員 今のは私のお尋ねに対して御答弁がなかつたわけであります。今どれほど急いで國会へ提案されても、本月の給與にはおそらく間に合わぬと思います。そういう場合に、だんだん赤字が累績しておる官公吏に対して、少しでもこの窮迫を緩和するためには、十二月分を十一月に繰上げ支給をやるというようなことくらいは当然である。それによつて新給與が遅れてもいいということは断じてないけれども、繰上げ支給を行うことによつて、一時をせめて少しでも緩和するようにするというくらいな親心は、当然あつてしかるべきだと思うのですが、そういうお考えがないのかということをお伺いしたいのであります。
  171. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 私に対する質問ではございませんけれども、辻井委員お話は、私の方が從業員がたくさんいる関係上一番痛切に感じておりますので、私から申し上げますが、その問題につきましては、大体現在各省の給與は二回にまたがつて支拂つておるのであります。十一月の十日の支拂分を何とか五日間繰上げて五日に支拂いたい、それから後期に支拂う二十五日の支拂分を一週間繰上げて十八日に支拂いたいというような考えのもとから、閣員全部いろいろな研究をし、またその実現を見るように努力いたしましたが、客観情勢はこれを許されないので、非常にその善後処置について困つているような次第であります。今大藏大臣の言うように、まず恒久的な賃金ベース改訂を急ぐと同時に、今辻井委員の仰せになりましたような暫定措置というものはどうしてもとらなければならぬと考えておるのであります。今申し上げました通り政府考えは客観情勢によつて一應見同しがつかなくなりましたけれども、しかしわれわれはこの希望を捨てないで、何とか形をかえてこの実現に努力したいというような考えのもとに、各閣僚そろつてその方面に今熱心に努力しておる最中でございますから、その点御了承願います。
  172. 安平鹿一

    安平委員 大藏大臣の助け舟に運輸大臣ちよちよい出られるのですが、これは運輸大臣でも結構ですが、官公労組の要求は、暫定処置とかそういうことは一應あとまわしにしても、今月分がまだ支拂われていないので、非常に困つておるという声が非常に高いのです。今月の分だけでも、半分拂つたあとの半分はせめて二十日ぐらいにはもらいたい、そうでなければ実際問題とし配給物も買えないというのが現実の声ですから、この点は二十日ぐらいまでにできるかどうか。
  173. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 その問題については私は組合代表者から毎日攻められております。攻められておるし、その要求する内容が、われわれの全部納得できるような、いわゆる血のにじむような要求であつて、しかも要求をするについては、きわめて官吏としてふさわしいような態度をもつて要求をされておる現況であるのであります。從つて、先ほど申し上げました通り政府は最初から十八日支給ということを目標にしてあらゆる手を盡したのであります。不幸にしてこれが実現できませんでしたが、今申しました通り、この十八日ということはきようでありますから、この日はすでに去つております。從つて、二十日、あるいはもしできなかつたら二十一日でも、最後まで望みを捨てずにこれに向つて邁進し、閣議の都度にも必ずこの問題が閣僚から発言されまして、その手段と方法と進む道とが常に論議されておるような現状でありますから、どうぞわれわれの考えを了とせられまして、この方面に安千君も御協力をお願いいたします。
  174. 安平鹿一

    安平委員 財政上の困難や、いろいろの点は十分了解できるのですが……。
  175. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  176. 安平鹿一

    安平委員 これはできるだけということでなく、二十日というふうにぜひやつてもらいたい。われわれもその点では特に非常な関心を持つておりまして、われわれで、もしできれば、客観情勢の好轉のために協力したいと思つておるのですが、ここで運輸大臣が大藏大臣にかわつて、二十日までに必ず支給するというお答えをしていただかぬと、官公労組の諸君は安心できぬと思うのです。安心できぬと、そこに不安な氣持に置かれるので、いろいろな派生的な問題が起つて、要するに客観情勢を刺激するようなことになるのじやないかと思われる。だからそういう言明をひとつしてもらいたい。
  177. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 安平さんはずいぶん残酷なことを申されます。そういう言明はとてもできませんが、私どもは言明した以上の努力を傾注するということだけは、はつきり申し上げます。
  178. 久保田鶴松

    ○久保田委員 私のお尋ねせんとしますことは、辻井君、安平君からいろいろ話されたのですが、大藏大臣に特に私お伺いしたいと思います。この新給與の問題と、それから公務員法、これは離すことのできない問題であるということはよく御承知であると思うのです。ところが、この問題に関して、いつ大藏大臣お尋ねいたしましても、的はずれの答弁ばかりで、つかむとろがない。われわれは大藏大臣は無能者だと思つてつた。ところが、これはやはり吉田さんがこわいから答えられないということがはつきりした。昨日も本会議答弁で、吉田さんの方を向いて答えるかと思うと、へこまれたような点もあつたと思うのです。そういう点で、今労働者が表の方をあなたに聞いてもらいたいという声を上げて歩いていることも、よくあなたの耳に入つてると思う。こういう点からどうなのですか。あなたのはいつも仮設批判でありますが、この新給與の問題についてはつきり言えないのですが、どうしても……。その点もう一ぺんはつきり答えてもらいたい。
  179. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 久保田さんにお答え申し上げます。新給與ベースの問題につきましては、先ほど辻井さんにもお答え申し上げましたわけでございまして、いろいろ事情がございます。またこの問題はこれを財政的に見ましても、経済全般につきましても、ことに賃金の將來——私は安本長官を兼務いたしておりますが、この方面の見解におきましても、早急に結論を得る、こういうようなところまでは遺憾ながら至つておらないのであります。何もおやじの顔を見て言を左右にしておる、さようなものではないことを深く了承せられたいと思うのであります。
  180. 久保田鶴松

    ○久保田委員 せつかく私は御質問いたしましたのですが、それでは同じことなのです。あなたにいたしましても、一國の大藏大臣としてその見通しがいまだにつかない。まして安本を兼ねておられる大藏大臣としてどうですか。あなたそれでいいと思つておられるのですか。私は尋ねるが、はずかしいとお思いにならぬかね。私はこれ以上この点を何べん繰返しても、あなたにそれ以上答えてもらえないならば、これはやむを得ません。だが私はそう思つておる。今のこの重大な日本の時局を、またこの経済を受持つてもらう大藏大臣として、どうしてこれをはつきり答えていただけないのか。その見通しがまだつかないのか、かように思つているのです。
  181. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えさせていただきます。それはただいま久保田さんから督励をいただくまでもなく、深く心に銘じておるのでございます。しかしながらひとり安本長官のみならず、また大藏大臣のみならず、これは各大臣において眞劍にとつくんでおります現実の問題であります。從いまして今日このときにおきましても、なお活発なる審議の過程にあることを申し上げたいと思うのであります。
  182. 境一雄

    ○境委員 私は運輸大臣にお聞きしたいのです。先ほど同僚の安平委員から聞かれた点ですが、運輸大臣は公共性について、財政上の関係から、もう一つは事業の形式の関係から説明されたようですが、先ほど安平委員から指摘されたように、石炭であるとか、あるいは電氣であるとか、こういうものは財政関係がある。それから形式上の問題から行けば、私鉄のようなものでも、高度の公共性があるからこれは同じではないか、こういうことに私は聞いておつたのですが、やはり私もこの点を考える。すなわち財政上の関係や形式上の関係からは、公共性というものはただちに結論が出て來ない。國鉄の從業員だけが、國鉄それ自体が公法人になつたとたんに、その被使用人がまた公法人と同じ性格を持つという考え方は、私は誤りだと思う。問題は、その労務の提供の形式と実質が問題になるのであつて、やはり國鉄の從業員というものは、私鉄の関係から考えて、形式の上からいつても、それから財政関係からいつても、電氣、石炭のような状態なのですから、問題はその働く者が労務を提供する形式と実質、これがこの問題をきめて行くことと思います。今日のようにいろいろな産業がいろいに入りくんでおつて、なかなか公共の利益の線というものをきめかねるときにおいては、こういう財政や形式という問題からむりに区別をつけて行けば、当然それがだんだん延長されていくと、おそらく日本に働いておる労働者というものは、全部公益のために働いておるということになつて、全部が罷業権を禁止し得るところまで、法律によつてどんどんやれる。こういう考え方は非常に危險だと思うのです。われわれが憲法というものを置いて、仕事をして、國を運営して行く上においては、これは危險だと思うのです。ですから、そういう点で労務の提供の実質と形式の上から判断して、憲法に触れないように持つて行くのが当然だと私は思います。その点であなたの区別の仕方と私の区返の仕方とが相違があるのですが、この点をひとつ運輸大臣なり関係大臣でもう一ぺんここのところを反省して反省といえば非常に強いと思うのですが、考え直して見る氣はないかをお伺いいたします。
  183. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 今境委員お話のように、公共性という問題を最大の廣義に解釈すれば、人間は一人で暮せないのでありますから、全部のわれわれの生活が公共的になり、社会的になるということとも理論づけられるのであります。しかし私どもが今お話をしておる点は、そう範囲を廣げないで、ことに一般公衆の公共性ということを考えるにあたつて、まず仕事の面から見た行政、その從事する人の面から見たならば、官吏であるか、あるいは官吏にあらざるかという点の、二つの要件を備えたものを基準として考えることが適当であろう、そうしてその基準を両方加味したもの、すなわち仕事も公共性であり、また從事員の関係公務員であるという見地からこの法律ができたのである。こういうことを申し上げておるのでありまして、お話のような議論を否定する趣旨ではないのであります。公共性を廣く解釈すれば、あらゆるものが公共性になつて参ります。どこで仕切るかという問題で、私の打切る点は、今安平委員答弁したような線で打切つたのでありまして、この点についてはまたあなたの言うようにも考えられるのでありまして、この理論が間違つておると言うのではないのであります。この法律の適用範囲をきめる基準というものを、先ほどお話のようなことで基準をきめたというのでありますから、決してあなたの御議論を無視して、私どもは進んで行くというのではないのであります。
  184. 境一雄

    ○境委員 運輸大臣説明もわからぬことはないが、それならば何のために現業と非現業とをわけることになるのか。現業というものは普通の労働者です。だからわれわれが問題にするのであつて、わける精神がどこにあるかということを考えれば、当然現業というものは普通の雇用関係になつていると私は思うのであります。企業体の機構というものが、あるいはその性格というものがかわつたとたんに、普通に雇用されておる者が急にかわる、そういうものでは私はなかろうと思う。だから現業の場合にはひとつ考えてもらわなければならぬと私は思うのであります。
  185. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 お話通りであります。お話通りであるが、公務員法をこのまま適用いたしますと、やはり鉄道職員公務員なりますから、これを適用しておつたのでは、いわゆる現業のあなたの言う仕事の面、労務の提供の面から見てむりがあるではないか、無理があるからこそ、この法律を出して、公務員よりは緩和した法規で適用しよう、こういうのがこの法律の目的であります。あなたの考えに基けば、公務員、これは本來現業に公務員法そのまま適用するということはむりなんだという考えですから、むしろその線まではこの法律が出ております。それで今度あなたの方で一歩進んで、それと同じようなものが幾らでもあるじやないか、それにも同じように扱えということを申されたから、私はどこでとめるかということを申し上げたのであつて、どこでずらすかということは、あなたの御意見通りであります。
  186. 境一雄

    ○境委員 お話を伺つておりますと、公務員法よりこの法律の方が範囲が廣い、國有鉄道法も範囲を廣げたのだ、こういう御説明なりかねないと思います。三十三條でもむしろ労働基準法にきめられたものを制限し、あるいは公共企業体の十七條の問題、こういうものを寄せ集めて來ると、公務員法をつくつて、ある一定のところには制限を加えたが、それ以外のものは一應離した。公共企業体労務関係法で一ぺん離したものをまたくつつける。それで足りないやつをまた國鉄の法律で縛る。あなたのおつしやるのは、公務員法で縛り過ぎるからもう少しなわをゆるくしたと言う。そうすると逆で、公務員法ではなお足りないからこれで縛れ、まだ足りないからまた縛れ、まさに國有鉄道法の三十三條のごときは一等廣く縛つて來ておると思うのです。ですから運輸大臣説明では、結果において逆になつて來ておる。これをやるとどういうことになるかというと、私は今まで二年ないし三年の日本の労働行政というものは落第であつたと思う。御承知のように賃金が安くて食くなくて困つておる者は、山あらしのようになつておる。そこで山あらしに燒け火ばしをじゆうつとくつつけると、みんなとげを立てる。こういう燒け火ばしを次々とくつつけられて、そうしてこれは公務員法を少しゆるくしたのだというお考えであるならば、これは解釈上よりも、食い違いが非常に大きくなつて來た。解釈上の問題ではなくて、実際日本の労働行政をどういうふうに動かして行くかということにおいて、非常に大きな影響力を持つ。われわれもあなた方も、今の労働状態日本復興のためによしとは考えておらないと思う。ところがこういう状態に置いて燒け火ばしをくつつけられて行つたら、今起つておるような、ああいうようなものがもつと激発して行くと思う。そういうゆるくしたということは、実はゆるくしていないということをお考えになつて、これをひとつ削除する意思があるかどうか、はつきり聞きたいと思います。
  187. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 それを削除しますれば、結論的にはこの法律案を撤回してもよろしいということになるのでありまして、むしろあなたの見解とは大分違うのであります。私は公務員法をこのまま鉄道現業者に適用するよりは、ただいま審議つておるこの公共企業体の法律を適用することが、俗にあなたの言葉をかりて言うならば、なわをゆるめたものだと考えるのであります。しかしこれは全部なわを解いてしまつたものではないのであります。その点におきましてあなたの御議論が出て來るのでありますが、そこに公共性の問題が論議されて、そのわく内においてやろう。しかしあなたのように根本的に公務員法をまつすぐ適用した方が、かえつてこんな法律を設けるよりいいのだということになれば、その点については大きな食い違いがあるのであまり議論してもしかたがないと思います。要するにわれわれは公務員法は團結権とかあるいは團体交渉権というものを認めないもの、少くとも團結権、團体交渉権を認めたことは、労働運動民主化に一歩前進したものである、こういうふうに考えておりますから、敍上の説明ができるのでありまして、あなたのように、かえつてこれで縛つてしまつたものだという見解になつ來ると、具体的にどの点を縛つたかという論議がないと、次のお答えはできないのです。
  188. 成田知巳

    成田委員 今の境氏の質問に関連して申し上げますが、運輸大臣の御答弁では、公共性の解釈を事業の実態とそれから形式、この二つの面から規定しておられるが、まことに巧妙な御答弁と思つて感心しております。しかしながら問題は、この國有鉄道を公法上の法人、公法人としたことについて相当疑問があるのではないか。何ゆえに公法人にされたか、私法上の公益法人でもこれはいいと思う。社團法人とか財團法人でもいい。私は法律の專門家ではありませんから十分な議論はできませんが、公法上の法人というものは國家権力の一部を代表し、あるいは組合員國家権力で強制的に加入させられるというような、強権的な色彩があるのが公法上の公法人だというように解釈しておる。その公法人とすることに相当むりがあるのを公法人として、これは公法人だから形式上公益的色彩が濃厚だというような御説明は、根本にさかのぼつて檢討する必要があると私は思う。私法上の公益法人でなぜ不十分であつたかということについて御説明を願いたい。
  189. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 できるだけこのマツカーサーの書面を出さないで皆さんと質疑應答することが望ましてと思いまして、できるだけその書面には触れなかつたのでありますけれども、御承知のようにマツカーサーの書面にも大体の輪郭があるのでありまして、これを全部原案の程度で出すより道がなかつたのであります。從つて理論的に申しますならば、こういう法人はおそらく日本には初めてであろうと思う。今までこういう法人ができた例がないと考えております。從つて私が法律を長年扱つておる面から見ましても、特殊の公法人でありまして、おそらく例のない問題であります。そうするにはやはり現在の運輸省の財政面、あるいは今後の財政面等について政府と不可分の形において援助し、またこの企業をやつて行こうということに縛られた結果が、理論としてはまずいものになつて來ておるのではないか、こう考えております。
  190. 成田知巳

    成田委員 ただいまの運輸大臣の御説明では、私の法律解釈が正しいということになつたようでありまして、この國有鉄道並びに專賣公社を公法上の公法人とすることは疑義があるという御答弁だと思うのです。なぜ公法上の法人なつたかと言つたら、あなたは関係方面といろいろ折衝したけれども、むりだつたというような御答弁でありますが、りくつ上公法上の公法人でないとすれば、あくまでも私法上の公益法人でこの問題は解釈できるのではないか。わざわざ公法人にしまして、その公法人という名前に根拠を置きまして、公益性があるのだといつて罷業権を剥奪するということは、初めから伏線を置いておるような感じがすると思います。私法上の公益法人で十分ではないかと思います。その点についてもう一度御説明を願います。
  191. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 今成田さんのおつしやる公法上の公法人ということは……。
  192. 成田知巳

    成田委員 公法上の法人です。
  193. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 御承知通り、法人というものにつきましては民法上の公益法人と商法上の営利を目的としたいわゆる会社、これが日本の現在までの法律の建前でありますが、それに対して特殊な法律に基いた特殊な法人がたくさんあるのであります。私の申し上げたのは、この民法上の俗に言う財團、社團の公法人ではもちろんない、こう見るのであります。また商法の会社法に基く会社法人でもないことははつきりしております。もう一歩進んで、特殊な法人というのはいろいろな特殊銀行なんかにございます。ございますが、その型にもあてはまらないいわゆる特殊の公法人なのであります。從つてこの公法人の特殊体というものに対しては、法理論からいつて、また実際の経済部面を担当する大きな企業体から見まして理想的とは言えない、こういう意味であります。であるが大体においてこの組織とか内容は、御承知通りマ元帥の書簡にありましたように、私どものある程度の理想とかいうものには完全には到達はしておりません。しかしながら施行期日もまだ四月でありますから、皆さんの御協力を得、御指導を得ながら、幾分なりともその理想に近づきたいという念願はいたしております。
  194. 境一雄

    ○境委員 運輸大臣がわれわれの委員会でこれを説明されたときにも、相かわらずそれを主張されておりますが、日本國有鉄道法案の四十三條一と二の條項を見ると、もうかつた一般会計に返すし、損したらこつちから金をやる、こういう建前ですね。こういうことは鉄道特別事業法にもないことです。それを特にここに入れてやつておる。こういうことで独立採算制とぶつつかるのです。そういうところからも、われわれは今の公共性の問題を討議する根拠があると思うのです。これは会計のところで非常に大きな問題になつて來ると思いますが、これならば決していわゆる独立採算制でない、あくまでも今の状態とちつともかわりない。今の状態とかわりないとすると、現業の從業員というものは、何もかわつた性質を持つて、この法律ができたために、登場して來るものではないという結論が出る。現実にこれは労働関係からこういうことをやつたということを、運輸大臣はこの前の委員会で答弁されたと思うのですが、われわれは事業の民主化という建前でこういうことをやる、やらなければならない、こういう建前を考えておるのですが、その面がちつとも浮んできていないで、労働関係の面から、こういうものをつくつて、そうして今までやつて來たとほとんどかわりない、鉄道総局をちよつと離したというかつこうだけなんで、そのために現業の人たちが特別なかつこうに登場して來ていないのだから、持つておる既得権を、そこで特別にとつてしまわなければならないということは、出て來ないと思います。独立採算制ともここでぶつかり、形の実態からもぶつかつておる。そこで出発点において、今成田委員言つたような問題を檢討することが必要になつて來ていはいないかと思うのですが……。
  195. 小澤佐重喜

    ○小澤國務大臣 お話通りこの規定によりますと、独立採算制とか、いわゆる経理の自主性というものは、ほとんどこの法律にはないのであります。でありますから、これは運輸委員会でもたびたび申し上げました通り、いわゆる独立採算性とか、営業の採算制とか、営業の合理化というような点については、この法律があるために、特に一々指摘して効果があるという程度の部面はないのであります、しかしながらそういう点も織り込むことがわれわれの理想である。そこで今御答弁申し上げました通り、今後施行までには相当の期間がありますから、何とかこの点についてできるだけの努力をしたいという考えであるのでありまして、今申し上げました通り、境さんのお話は私も頭に入りかねるのでありますが、このままにしておくと、好むと好まざるとにかかわらず、國家公務員法の適用になる、それを適用するよりは、むしろ公共企業体にしておく方が、比較的の問題でありますが、いわゆる組合運動の民主化という点においては、よろしいのではないかという点だけは否定することができない、こういう意味であります。
  196. 成田知巳

    成田委員 問題を繰返すようでありますが、運輸大臣の公共性という主張は、事業の性質とその形式ということを主張されておる。その形式の根拠とした公法人であるからということを言われましたが、私は公法人にしたことに疑義があるのではないかということを感じます。公法人としなくとも、私法上の公益法人で十分ではないか、むしろ性質からいつて私法上の公益法人じやないか、公法人ではない、公益法人ではないかという感じがします。法制局長官もおいでになつておりますが、公益法人の定義というものについて、ひとつ御見解を承りたいと思います。私は公法人は、地方公共團体のように、國家事務の一部を代行するという権力的な性質を持つたものが公法人だと考えております。この日本國有鉄道なり專賣公社を、ただちに法人と解釈することは非常にむりがある。この点についてはつきりした御答弁を伺いたい。
  197. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいまのお話はごもつともであります。つまり法人を公法人、私法人、私法人を営利法人あるいは公益法人、こうわけますといずれに入るかというお話でありますが、今度問題といたします法人は実はどれにも入りません。あるいはどれにも入る。つまり特殊な法人であるように御承知願いたいと思います。公益性も強いし、あるいは公法的の面も強い。公益法人にしたらよかろうというお考えはごもつともでありますが、つくりまする当時にはそう明確な線に沿つておりません。これが一番適当である。こういう法人をつくることが一番適当である。この内容からいたしましてこういうことになつたのであります。その点を御承知願いたいと思います。
  198. 成田知巳

    成田委員 特殊の法人だというので逃げられたような感じがありますが、それじや今までの公法人というものの解釈はどのようにお考えになつておりますか。この國有鉄道なり專賣公社は、從來の公法人の概念に入るかどうかということについて、はつきり御説明を願いたい。
  199. 殖田俊吉

    ○殖田國務大臣 法律的に申しますれば、これは公法人に入ると思います。
  200. 成田知巳

    成田委員 その根拠は。
  201. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この國有鉄道法案には「公法上の法人とする」という言葉が確かにございます。そうしてその後に、「民法第三十五條又は商事会社その他の社團に関する商法の規定に定める商事会社ではない」と書いてございます。おそらくこういうところから公法人というお言葉が出て來たのではないかと推測いたすのでありますが、実はこの二條の、ただいま申しました「公法上の法人とする」という言葉は、これは定義があるかと申しますれば、積極的な意味のある言葉ではないと申し上げられるのであります。今法務総裁の申されましたように、法律案を逐條ごらんになりますれば、民法の法人または商法の法人でないことは明瞭でありますから、この国有鉄道法案によつて基礎づけられた特殊の法人であることは、この二條の規定をまたないわけであります。從いましてこの法律の中に書いてございますこの法人の性格を言つてみますれば、もちろん公法人であつて、私法人ではないということがわかるのであります。御檢討願うといたしますれば、この法律案の中に逐條出て参ります性格をとらえて御議論になつていただきまして、この点は私法人であるべきではない、あるいはこの点は公法人であつてもさしつかえないというように御檢討願えますれば、一番的確な御檢討になると感じられます。というのは、この法人が公法人であるか、私法人であるかということは、おのおのの性格をとらえた面に現われておりますので、その点を御批判願つたらいかがであろうかと存じます。
  202. 秋田大助

    ○秋田委員 ただいま運輸大臣に、公共企業体労働関係法案の十七條の怠業権という問題につきましてお尋ねしておつたのでありますが、労働大臣がおいでになりましたので、もう一ぺん繰返すようでありますが、一應労働大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。午前中の成田委員の御質問に対しまして労働大臣は、この十七條の職員及びその組合労働爭議の禁止の理由としまして、初めは完全なる國有性というところにその論拠を求められておりました。次に非常に高度な公共性があるというようなお話であつたと了承したのであります。そこでその点につきまして、いろいろ日本國有鉄道の從業員と、その他の私鉄の從業員との関係等につきまして、運輸大臣お尋ねしたのでありますが、結局運輸大臣としては、日本國有鉄道法案の第三十四條において、日本國有鉄道職員は、法令によつて公務に從事するものとみなしておるという規定のもとに、やはり罷業権を否定するという理由が出て來るというような一應の説明がありました。その点長所もあれば、また弱点もある。またそこにうまみもあるというような御答弁もあつたのでありますが、この三十四條で「公務に從事する者とみなす。」と言われておりますすぐそのあとで、「國家公務員法は適用されない。」とあつて公務員でないことは明瞭になつておる。そこで「公務に從事する者とみなす。」といつて、すぐにそこに公務員法で否定したところの罷業権なり、怠業権の否定がやはり公共企業体の從業員、いわゆる現業員に適用できるという説は、論理的に出て來ないと思う。すぐあと公務員法の適用はないといつておるくらいですから、この公共企業体の從業がに限つては、最も労働爭議権の中で本質をなすところの同盟罷業権なり、怠業権は認めるのだという論拠も十分出て來るのじやないか。公務員に対してこういう権利を否定するという論拠は、やはり公務員というものが國家との権力服從関係にあるという点が有力な論拠になつておる。それが公務員法公務員でないとすれば、それを適用できないのではないかという論拠が出て來る。そうすると、國家公務員法でも、公務員罷業権を適用することは相当むずかしい、憲法違反ではないかという論さえ出ておる際でありますから、どうもこの十七條が憲法に違反しないかということは、相当問題だと思う。先ほど運輸大臣の言われたような説明からはどうしても私は納得ができない。そこでやはり私はこれを認めて行く。しかし高度の公益性もあるし、また完全國有企業体であるという上から、一般的に禁止しないで、特定の事例においてこれを禁止をして行く、あるいは強制仲裁の條項を認めるというようなことになれば、憲法違反のそしりを免れるのじやないか。そしてまた労働者の納得も得て、完全に公共企業体の運営が行われるのじやないかというふうに考えられるのですが、労働大臣の御所見を伺いたい。
  203. 増田甲子七

    増田國務大臣 秋田さんの御質問にお答えいたします。先ほど成田さんの御質問にお答えしたと同樣でありまして、完全國有鉄道の性質にかんがみまして、公共の利益を擁護する方法一つといたしまして、爭議権を認めないという結果になつたのはやむを得ないという意味で、御線解願いたいと思います。
  204. 安平鹿一

    安平委員 私は小澤運輸大臣が先ほど重大な発言をされたので、その点をちよつと労働大臣にお伺いします。運輸大臣は先ほど、公務員法を適用することがむりだからこの法律をつくつた云々と言われたが、その公務員法をあてはめることは無理だということは、運輸大臣と同じようにお考えですか。
  205. 増田甲子七

    増田國務大臣 公務員とは性質が違うという意味で、御示唆を受けておりますから、いわゆる公共企業体、パブリツク・コーポレーシヨンということにした次第であります。
  206. 安平鹿一

    安平委員 ですから、むりだということは、運輸大臣と同樣にお考えですか。そう解釈してよろうゆうございますか。
  207. 増田甲子七

    増田國務大臣 むり、合理ということで考えるわけではありませんが、そういうふうな御示唆にのつとつてこういうことに相なつた次第であります。
  208. 安平鹿一

    安平委員 大体運輸大臣と同意見と解釈します。
  209. 綱島正興

    綱島委員長 これにて本日の連合審査会は散会いたします。     午後四時十六分散会