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1948-11-25 第3回国会 衆議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月二十五日(木曜日)  議事日程 第十九号     午後一時開議  第一 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案内閣提出)  第三 副檢事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第四 金資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 工業所有権戰時法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、試薬檢査所及び機械器具檢査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件  第七 國立國語研究所設置法案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  全國選挙管理委員会予備委員補欠指名  日程第一 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案内閣提出)  日程第三 副檢事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第四 金資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 工業所有権戰時法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、試薬檢査所及び機械器具檢査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件  日程第七 國立國語研究所設置法案内閣提出)  綱紀粛正に関する緊急質問池谷信一提出)  税法及び徴税事務に関する緊急質問川合彰武提出)  引揚者の厚生援護に関する緊急質問梶川靜雄提出)  教育公務員特例法案上程に関する緊急質問田淵実夫君提出)  予防注射による障害の保障に関する緊急質問太田典禮君提出)     午後三時十七分開議
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ————◇—————  全國選挙管理委員会予備委員補欠指名
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 全國選挙管理委員会予備委員に一名の欠員がありますから、その補欠指名を行います。
  4. 今村忠助

    今村忠助君 全國選挙管理委員会予備委員補欠指名については、議長において指名されんことを望みます。
  5. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて議長は全國選挙管理委員会予備委員塩坂雄策君を指名いたします。(拍手)      ————◇—————  第一 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案内閣提出)  第三 副檢事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  7. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第一、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案日程第二、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案日程第三、副檢事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員佐藤通吉君。   〔佐藤通吉登壇
  8. 佐藤通吉

    佐藤通吉君 ただいま議題に相なりました訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  民事刑事訴訟費用及び執行吏手数料等は、それぞれ民事訴訟費用法刑事訴訟費用法及び執達吏手数料規則の三法律規定されておるのでありますが、諸物價高騰に應じて臨時的にこれらを増額するため、さきに訴訟費用等臨時措置法が制定せられたのであります。しかるに、その後経済情勢変遷ははなだしく、物價は約三倍の高騰を示し、現行手数料等の額はまつた実情に沿わぬものと相なつたのであります。よつて政府は、この際さらに暫定的に右手数料等の額を増額いたしまして、訴訟関係者の窮乏を打開するために、この法律案提出いたしたのであります。以上が政府提案理由であります。  法務委員会におきましては、主としていかなる標準によつて手数料額の増額を定めたのかを審議いたしました。その結果、原案を可と認め、十一月十五日、政府原案通り全会一致をもつて可決いたした次第であります。  次に、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案につきまして、審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  罹災都市借地借家臨時処理法は、あるいは罹災建物の旧借主に優先的に借地権を取得させ、あるいは罹災地借地権で今後存続させる意思のないと認められるものを貸主の側から消滅させる等の道を開き、これらに関連する借地借家関係を調整いたしまして、戰爭による罹災都市の急速なる復興をはかることを目的として、制定せられたのであります。しかるに、同法第二十五條の二の規定によりますと、戰災の場合のみならず、別に法律で指定いたしました火災震災風水害その他の災害の場合にも同法の規定を適用して、かかる災害地復興の促進に資することと相なつております。そして、その適用地区は、同法第二十七條第二項の規定によりますと、これまた災害ごとに別に法律で定めることになつておるのであります。  さて、昭和二十三年六月二十八日北陸地方に起りました震災及びこれに伴つて発生した火災、同年七月二十四日福井地方に起つた水害並びに同年九月十六日東北地方に起つた風水害につきまして、その被害状況及びこれらの地区における借地借家関係等愼重調査檢討いたしましたところ、これらの災害につき、同地区にも罹災都市借地借家臨時処理法規定を適用することとしたい、かくすることが、同地区の住民に一日も早く安住の場所を與え、同地区をすみやかに復興させるゆえんと考えられるので、ここにこの法律案提出するというのが、政府提案理由であります。  さて、法務委員会審議においては、建物の朽廃と借地権の消滅との関係借地並びに借家の登記の対抗力等の問題につき一、二の質疑があつたのみで、ほかに質疑はありませんでした。その理由といたしますところは、この法案母法たる罹災都市借地借家臨時処理法は、第一國会、第二國会において司法委員会審議にかかり、委員会において十分了解されていたからであるのであります。  かくて法務委員会は、この法律案を可と認め、政府原案通り全会一致をもつて可決いたした次第であります。  終りに、副檢事任命資格特例に関する法律の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  副檢事につきましては、二級の檢察官たる資格を有する者のほか、檢察廳法第十八條第二項において、高等試驗に合格したる者及び三年以上政令で定める二級官吏その他の公務員の職にあつた者で副檢事選考委員会選考を経た者の中からも任用することができるようになつていたのであります。しかし、この任命資格を有する者をもつてその定員を満たすことが困難でありましたので、第一回國会において、副檢事任命資格特例に関する法律を制定いたし、一年以内に限り、副檢事の職務に必要な学識経驗ある者で副檢事選考委員会選考を経た者の中からもこれを任命することができるものといたし、檢察事務官警察官等より廣く人材を登用することといたしたのであります。その後政府におきまして副檢事の充員に努力して來たのでありましたが、定員に対し、なお百七十五名の欠員があるのであります。しかも、刑事訴訟法の改正に伴いまして、檢察事務はますます多忙となります。しかるに、副檢事任命資格特例に関する法律は、昭和二十三年十二月十七日以後その効力を失うこととなつております。よつて、これをさらに一年間延長いたしたいと思う、これが政府提案理由要旨でございます。  法務委員会においては、この法律案によつてこの特例を一年間延長することについては、少しも反対はなかつたのであります。しかし、この法律案母法でありまする副檢事任命資格特例に関する法律取扱いについては質問がございました。それは、この特例法はあくまでも特例であるから、今後政府からたびたび提出しないようにしてもらいたい、近き將來において、法曹一元化体制整備の線に沿つて成規檢事を任命できるように準備しているかどうか、こういうような質疑があつたのであります。これに対しまして、政府から、できるだけこの特例を早く廃止するようにし、なお着々その対策を立てておる、しかし現状においては、檢察事務はいよいよ繁忙を加えているのでやむを得ない、いましばらくこの特例によつて檢察事務をさばいて行きたい、という答弁があつたのであります。  十一月二十日、法務委員会は、この特例法案を可と認め、政府原案通り全会一致で可決いたした次第であります。  以上、法務委員会に付託されました法律案三件につき一括して御報告申し上げた次第であります。(拍手
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて三案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  第四 金資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出
  11. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第四、金資金特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。大藏委員長島村一郎君。   〔島村一郎登壇
  12. 島村一郎

    島村一郎君 ただいま議題となりました金資金特別会計法の一部を改正する法律案について、大藏委員会における審議経過並びに結果について簡單に御報告申し上げます。  金資金特別会計におきましては、資金運用上、貴金属の賣買操作を行つておりますが、その買上げ金額は常に手持貴金属拂下げ金額を超過しておる実情でございます。従來は、この資金不足一般会計からの繰入金をもつて補填して参つたのでありますが、過般の物資改訂によりまして貴金属の價格が大幅に引き上げられましたため、一般会計からの繰入金は、すでにその法定限度額に達したのであります。從つて本案は、この資金不足を当分の間借入金をもつて一時補填し、本資金の円滑なる運用を期したいというのであります。  本案は、去る二十二日政府よりの説明を聽取し、二十四日質疑に入りました。民主自由党苫米地英俊君、社会党中崎敏君、民主党の早稻田柳右エ門君、労働者農民党堀江實藏君からは、金の保有量買上げ並びに拂下げ状況、借入金の金利及び償還方法等について種々御質問がありましたが、詳しくは速記録によつて御承知を願いたいと存じます。  次いで、同日討論を省略し採決に入りましたが、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  13. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  第五 工業所有権戰時法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、試薬檢査所及び機械器具檢査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件
  15. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第五、工業所有権戰時法の一部を改定する法律案日程第六、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、試薬檢査所及び機械器具檢査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件、右両案は同一委員会に付託された案件でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。商工委員会理事平島良一君。   〔平島良一登壇
  16. 平島良一

    平島良一君 ただいま議題となりました工業所有権戰時法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審議経過並びに結果を簡單に御報告いたします。  本法律案要旨とするところは、工業所有権戰時法規定中には外資の導入に障害となるものがあるために、同法の第一條、第二條、第三條、第四條及び第七條規定を廃止し、もつて外國人工業所有権に関するあらゆる拘束を解除したものであります。  本法律案は十一月十二日付託され、十九日に提案理由を聽取し、昨二十四日質疑に入りました。國民協同党豊澤委員より、日本人外國特許を出願せし際の取扱いと、戰前における特許権國際間における訴訟問題について質疑がありました。これに対し久保政府委員より、日本人外國への特許出願は、現在特に商工大臣の許可ある以外は禁止されているが、早晩解決せられるものと思う、また戰前における國際間の特許権訴訟については、今度の戰争により海外財産は没収されるとのことであるから、特許もまたその例外たり得ないであろう、との答弁がありました。  これにて質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたところ、全会一致をもつて原案通り可決した次第であります。  以上、簡單に御報告申し上げます。  次に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、試薬檢査所及び機械器具檢査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件について、商工委員会における審議経過並びに結果につき簡單に御報告申し上げます。  本件要旨は、商工省試薬檢査所昭和二十三年九月一日試薬檢査所令により設置され、東京本所については現在檢査業務準備中でありますが、試薬の品種は手数百、その工場数も百七十九に及び全國各地に廣く散在しておること、第二に、試薬檢査は、輸出品のみでなく、むしろ國内品としての製品檢査に重点が置かれており、その檢査方法現場檢査を主体としておるので、生産工場散在状況に應じて適当に支所出張所設置する必要のあること、第三、以上に列記したような事情に基き、試薬檢査所令第三條においても、必要ある場合は支所及び出張所設置することができる旨規定されておること、以上の理由により、必要なる場所支所及び出張所を設け、檢査の完璧を期したいというのであります。  次に、機械器具檢査所支所及び出張所設置に関する件につきましては、機械器具檢査生産工場またはその他の製品所在地に出張して行う場合が大部分でありまして、その主生産地東京名古屋大阪及び福岡を中心とした地区であります関係上、東京都内本所を置いたのみでは、経費と時間の浪費が多いばかりでなく、船積期日関係によつて檢査を実施することが不可能になることも予想されますので、別に本所事務を分掌せしむるため、機械器具檢査所令第三條の規定により、大阪支所名古屋及び福岡出張所設置しようとするものであります。  本件は、去る十一月十日、本委員会に付託されまして、十九日政府当局より提案理由説明を聽取し、二十四日質疑に入りましたが、全委員とも本件要旨を了とせられ、質疑討論を省略し、ただちに採決に入り、全会一致可決した次第であります。  以上、簡單に御報告申し上げます。
  17. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) まず、日程第五、工業所有権戰時法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。  次に、日程第六、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、試薬檢査所及び機械器具檢査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件につき採決いたします。本件委員長報告通り承認を與うることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本件承認を與うるに決しました。      ————◇—————  第七 國立國語研究所設置法案内閣提出
  20. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 日程第七、國立國語研究所設置法案議題といたします。委員長報告を求めます。委員長圓谷光衞君。   〔圓谷光衞登壇
  21. 圓谷光衞

    圓谷光衞君 ただいま上程に相なりました國立國語研究所設置法案に関しまして、この法案概要並びに委員会における審査の経過及びその結果を御報告申し上げます。  本案は、去る十一月十七日、内閣から本院に提出され、文部委員会に付託となつたものでありまして、全文十一條からなる法案であります。國語國字の改良問題の根本的解決をはかるために、それらの調査研究を行うため研究機関を設けることは、教育上のみならず、國民生活全般の向上にきわめて大きな影響を與えることは、言うまでもないのであります。よつて文部委員会に於きましては、非常な努力と熱意をもつて愼重審議を重ねて参つたのであります。  本法案目的は、國語及び國民言語生活全般にわたり科学的調査研究を行い、國語合理化に確実な基礎を與えるために、國立國語研究所を設立しようというのであります。國立國語研究所文部大臣の所轄とし、國民言語生活國語歴史的変遷及び学校教育と新聞、放送等における國語取扱い調査研究し、その成果を國語政策立案の資料として編集し、公表することを任務とするのであります。これは実に明治以來先覚者たちによつて提唱されてきた懸案であり、また終戰後においては、第二回國会において、本院及び参議院國語研究機関設置に関する請願を採択し、議決されたのを初め、國語審議会からの建議並びに米國教育使節團勧告等、その設置については、各方面から一段と強く要望されるに至つたものであります。  文部委員会といたしましては、本法案立案の趣意を尊重いたしまして、きわめて愼重態度をもつてこれが負託にこたえたのであります。その審議中おもなる質疑といたしましては、文部省所管國語審議会が不要ではないか、他の研究機関及び個人における同種の研究との重複を避けようとする規定は誤解を招くおそれがありはしないか、また所長任命の手続に難点がありはしないか等の議論があつたのであります。これらに対して、政府当局からそれぞれ誠意ある答弁がなされたのであります。詳しくは速記録によつて御了承願いたいと思います。  よつて討論を開始いたしまして、民自党平澤長吉君、社会党田淵実夫君民主党伊藤恭一君、國協党黒岩重治君、小会派久保猛夫君等からそれぞれ原案に賛意を表示せられ、ついで採決いたしました結果、全員一致をもつて原案通り可決いたしたのであります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  22. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  23. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  綱紀粛正に関する緊急質問池谷信一提出
  24. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、池谷信一提出綱紀粛正に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  25. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  綱紀粛正に関する緊急質問を許可いたします。池谷信一君。   〔池谷信一登壇
  27. 池谷信一

    池谷信一君 昨日の各新聞紙の報ずるところによりますると、法務政務次官田中角榮君が、石炭國管案反対にからんで多額の運動資金を受取つたところの容疑をもつて東京高等檢察廳から家宅捜索を受けたということでありまするが、われわれは、まことに遺憾千万と考え、かつ心外にたえないところであります。事件は現在未だなお捜査の段階にあるのでありまして、從つて事件内容そのものについての詳細は知り得べくもないのであります。御本人は現在まつたく身に覚えがないことであると言明しているそうであります。もし御本人の言明が事実であるとするならば、今回の檢察当局のとつた態度、この家宅捜索は、まつた檢事フアツシヨの現われであると思うのでありまして、われわれは、声を大にしてこれを糾彈しなければならないのであります。  われわれは、憲法によつて開会中における身分を保障せられておるのでありますが、同時に、かような家宅捜索等の場合におきましても、十分その趣旨は尊重せられなければならないのでありまして、かりにも権利の濫用を疑われるがごとき行為があつては断じてならないのであります。しかしながら、これまでの例に見ましても、檢察当局政府要路者に対し家宅捜索等かような処置に出るような場合におきましては、十分なる確証をつかんでの上のことであつて、大体においてその全部が起訴せられておるのでありますから、田中君の場合におきましても、今後の推移は容易に推測し得られると思うのであります。  石炭國管反対にからむ莫大な運動資金がばらまかれたということは、当時からやかましくうわさされておつたところでありまして、最近檢察当局が本格的の調査に乗り出し、福岡地方において数人の炭鉱業者が逮捕せられ、すつかり自白した結果、事件は急激に進展いたしまして、中央政界に飛火いたし、元某閣僚であるとか、あるいは十数人の代議士の身辺にも及ぶだろうということは、すでに喧傳せられておりましたので、今回のこの田中事件も、遂に來るべきものが來たという感じがいたすのであります。從つて、その点あえて異とするには足らないのでありますが、問題は、この石炭國管問題の中央政界における最初登場人物が、人もあろうに、檢察事務を指揮監督する立場にある法務廳の、しかもその最高責任者の一人であるところの法務政務次官であるという点にあると思うのであります。  近來、官界の綱紀が著しく弛緩し、各方面にわたつて涜職事件が頻発しておることは、われわれ國民のひとしく心外かつ愼慨にたえないところでありまして、一日もすみやかにその粛正を期せなければならないことは、もちろんでありますが、特に万般の事務取扱い檢察事務を指揮監督する立場にある法務廳等にあつては、常に十分に自粛し、自戒して、かりにも世の指揮を受くるようなことがあつては断じてならないのであります。さような観点からいたしまして、今回この法務廳政務次官たる田中君が、石炭國管反対にからむ大疑獄事件関係ありとして家宅捜索を受くるに至つたということは、われわれの断じて黙過し得ざるところであります。  吉田内閣は、その施政方針といたしまして官紀粛正問題を大きく取上げ、あたかもこれを一枚看板としておるかのごとき観をさえ呈しておるのでありまして、組閣当初、法務総裁人選にあたつては、政党人でなく、最も嚴正公平人格者を選ぼうとして、その適任者を得るために、三週間に近い間、吉田首相みずからが兼任していたというような、愼重なる態度をとつてつたのでありますが、法務総裁の決定前にすでに決定しておつた田中政務次官を選ぶについては、首相は、はたしていかなる基準、またいかなる調査によつて人選をしたかという点について、首相から、はつきりと御答弁を願いたいのであります。  仄聞するところによりますと、吉田首相は、組閣方針として、石炭國管問題などに少しでも関係ありそうな者はすべてこれを除外いたしまして、絶対に関係のない人の中から大臣政務次官を選んだということでありまするが、國管問題の中央政界における最初関係者法務政務次官であつたということは、まことに皮肉な結果であると言わざるを得ないのであります。(拍手)われわれは当時田中法務政務次官の発表を見て、まつたく唖然たるものがあつたのであります。民自党諸君の中にも、法律に通曉しておらるるところの、幾多の有能な人々があるにもかかわらず、全然法律関係のない、ずぶのしろうとであるところの、年少の土建業者たる田中君が政務次官に拔擢せられたということは、われわれのどうしても納得できない点であるのであります。官紀粛正を一枚看板にしておらるる吉田首相でありまするからは、━━━━━━━━━━━━━━━━━この重大なる人事を決定したというようなことは、絶対になかろうとは思うのでありまするが、あまりにもわれわれの納得の行かないところの人選でありますので、この点について、われわれの納得の行くような十分な御説明を願いたいのであります。また、組閣後わずか一箇月余にして、早くもかくのごとき不祥事を出した吉田内閣は、今後はたして、その一枚看板たる綱紀粛正を眞劍に実行して行くところの勇気と確信があるかどうか、ということについても承りたいのであります。  次に、殖田法務総裁は、就任以來常に嚴正公平を旨として職務を行うということを、繰返して確約しておらるるのでありまするが、今日のこの田中事件の進展に対して、今後はたして完全に、嚴正公平態度をもつて対処し得るかどうか、われわれは刮目してこれを監視するものであります。事件が拡大して、さらに自党の他の議員に、また閣僚に及ぶごときことがあつた場合においても、法務総裁としては、あくまでも嚴正公平態度をもつて終始しなければならないのでありまするけれども、はたして法務総裁にその信念があるかどうかということを承りたいのであります。同時に法務総裁は、その補佐役たる田中政務次官がかくのごとき不祥事を惹起したことに対して、いかなる責任を感ぜられ、また今後いかなる処置をとられんとしておるかということについても、お聞きいたしたいのであります。  これをもつて私の質問を終りといたします。(拍手
  28. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 総理大臣に対する質問答弁はこれを留保いたします。法務総裁殖田俊吉君。   〔國務大臣殖田俊吉君登壇
  29. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) ただいまの池谷議員のお尋ねの前半につきましては、いずれ総理よりお答えがあると思います。私に関する部分についてお答えを申し上げます。  私は、檢察の行政につきましては、絶対に嚴正公平を決意いたしております。その影響するところが與党であろうと政府部内であろうと、断じて仮借しないつもりであります。このことをはつきり申し上げておきます。(拍手田中君の事件は、新聞に大きく傳えられておりまして、はなはだ遺憾でありまするが、実は、いささかその経緯を申し上げておきたいと思います。(「弁解か、弁解ならよせ」と呼ぶ者あり)弁解ではありません。炭鉱國管反対運動につきまして、相当多額の金が動いているうわさがあります。また、これに関連しまして贈收賄の疑いもあるのでありまして、檢察廳では、目下その金の行方を追究中であります。これに関連しまして、田中政務次官のお宅その他を捜査する必要が生じましたので、これを捜査いたしたのであります。しかし、田中政務次官が直接この贈收賄事件関係があるかどうか、何らかの疑惑があるかどうかという点につきましては、まだ申し上げる段階に達しておりません。田中君の‥‥(「人権蹂躙だ」と呼ぶ者あり)そこで捜査が進行いたしまして、疑惑ありということになりますれば、また適当の措置を講じなければならぬと思いますが、ただいまのところ‥‥(「檢察フアツシヨじやないか」と呼ぶ者あり)そうではないと思います。   〔発言する者あり〕
  30. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  31. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君)(続) まだ疑惑と申す段階に達しておらぬのであります。   〔発言する者あり〕
  32. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。椎熊君、靜粛に願います。
  33. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君)(続) ちよつとお聞き願います。   〔発言する者あり〕
  34. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。靜粛に願います。
  35. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君)(続) 家宅捜索の必要があつていたしたのであります。さらに疑惑が……。   〔発言する者あり〕
  36. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。椎熊君、靜粛に願います。
  37. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君)(続) もう一つお聞き願いたいのですが……(「答弁が済んだら下ればいい」と呼ぶ者あり)まだ終らないのです。
  38. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  39. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君)(続) まだ私の答弁が終らないのであります。——さらに疑惑が進むということになれば、私は逮捕の請求をいたしますが、まだそういう段階に至つておりません。從つて、尋問する程度にも至つていないのであります。   〔発言する者多し〕
  40. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。——靜粛に願います。   〔「答弁したらおりなさいよ」と呼び、その他発言する者多し〕   〔國務大臣殖田俊吉君降壇〕
  41. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 池谷君の再質問を許しますが自席でやつてください。   〔「登壇々々」と呼ぶ者あり〕
  42. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 登壇は許しません。自席でやつてください。
  43. 池谷信一

    池谷信一君 簡單でありますから自席から発言します。  ただいま法務総裁の御答弁を承つておりますると、まつたく疑惑がないかのごとき感じを與える御答弁であつたのでありますが、仮にも國会議員であり、法務政務次官であるところの要職にある者に対して、家宅捜索をするというような場合において、十分な疑惑がない場合に、かような家宅捜索を断行するとしたならば、これは恐るべき政治フアツシヨでありまして、われわれは断じてこれを糾彈しなければならないのであります。同時にまた、この檢察事務を指揮監督せられる立場にあるところの法務総裁は、この檢察当局に対するところの責任をいかにせられるかということについても承りたいのであります。現在すでに、家宅捜索ということに対しては、検事が勝手にやることはできないのであります。判事の捜査令状によるのでなかつたならば、絶対に家宅捜索は断行できないのでありますから、この判事の捜査令状に基いてやつた家宅捜索が、何らの根拠のない、何らの疑惑のない事件に対してなされるとおつしやるのでありましようか、この点について、私は明快なる御答弁を切にお願い申し上げます。(拍手)   〔國務大臣殖田俊吉君登壇
  44. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) 私は檢察廳の報告に基いて今のお話を申し上げたのでありまして、証拠物件があるという嫌疑がありましたので捜索をしたのでありまして、本人に犯罪の嫌疑があるかどうかという段階ではないということを申し上げておきます。
  45. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 田中角榮君から、一身上の弁明のために発言を求められております。これを許します。田中角榮君。   〔田中角榮登壇
  46. 田中角榮

    田中角榮君 池谷信一君の御質問に対して、私から一身上の弁明をさせていただきたいと思います。私は、一昨日突然、飯田町の事務所と牛込の自宅の家宅捜索を受けました。私はただちに高等檢察廳に佐藤檢事長をたずねて、その事情を伺うつもりでおりましたが、あいにく不在でございまして、野村次席檢事にお会いいたしまして、その間の事情をお聞きしたのであります。私は、突然の家宅捜索でありまして、私としてはまつたく意外でありました。それは、私は少くとも家宅捜索を受けるような破廉恥の行為をやつておりません。(拍手)   〔「檢察廳へ行つて言え」「総裁の言葉と違う」と呼び、その他発言する者多し〕
  47. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  48. 田中角榮

    田中角榮君(続) しかも、野村次席檢事のお話によりますと、私の経営いたしておりますところの土建会社の九州出張所が、石炭國管の容疑線上にあるいろいろの石炭業者と事業上の関係があるのであります。しかも、当然金銭の授受はあります。その授受された金銭が、出張所を通じ本社に流れ、それが政治資金に流れておるかおらないかということを、会社の帳簿を押収して調査しなければならない、そのために行つたのである、こういうお話を承りました。  私は、ここで申し上げたいのは、石炭國管運動に反対いたしまして民主党を離党いたしました。しかし私は、石炭國管運動だけに反対して民主党を離党したのではありません。私は三党連立に反対し、しかも公團法に反対し、農業生産調整法に反対して離党したのでありまして、しかも石炭國管法の審議において、特定の業者と金銭の收受の事実は断じてありません。(拍手)のみならず私は、特定の業者と一遍も宴席にはべつたり、飲んだりしてはおりません。これは、当然司直の手において、私は、可及的すみやかに、最も短い時間に、皆様の前に明るくされると思うのであります。  ただ私は、ここで自分が事件関係があるとかないとかいうことを申し上げるために、一身上の弁明に立つたのではありません。私は、先ほど池谷君が言われた通り、吉田内閣綱紀粛正の看板を揚げながら、しかも若い政務次官人選したことに対して、まことに私が若い人の最も悪い代表であるというようなことを言われたように承りましたので、私は、若いがゆえに、土建業者なるがゆえにそのような侮辱に対して、一言弁明をしたかつたのであります。私の黒白は、当然司直がこれを裁くでありましよう。私は、その意味において、とにかく潔白であることを信じていただきたいと思うのであります。ただ最後に、國会議員の一員といたしまして特に家宅捜索を受けるという状況にまで至りましたことを、皆様におわびいたすのであります。  以上をもつて私の弁明にかえます。(拍手)      ————◇—————  税法及び徴税事務に関する緊急質問川合彰武提出
  49. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、川合彰武提出、税法及び徴税事務に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  50. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  税法及び徴税事務に関する緊急質問を許可いたします。川合彰武君。   〔川合彰武登壇
  52. 川合彰武

    川合彰武君 私は、税法及び徴税事務に関しまして吉田総理大臣並びに泉山大藏大臣あるいは商工大臣質疑せんとするものであります。  まず最初に私が特に強調したい点は、最近は税金恐慌ということが言われております。ことほどさように、課税面におけるところのいろいろな事態が恐慌的な現象さえ呈しておるのでありまするが、この傾向に拍車を入れた場合においては、私は税金革命というような事態が出現することをおそれておるのであります。從いまして、われわれは、救國の精神をもつて今後の財政並びに税法ということを深く考えねばならぬということを特に強調したいのであります。  そういうような観点に立つたときにおいて、私どもは、民自党の財政金融政策、あるいはまた必然的に吉田内閣の財政政策に対しまして、理論的な欠陷と、また現実の脆弱性を指摘せざるを得ないのであります。民自党の大会におきまして、その緊急政策として掲げられたうちにおきまして、税法の面においては、間接税中心主義が強調されております。私は、近代税制においては、近代文明國家としては、どこまでも直接税中心主義であらねばならぬというふうに考えております。しかしながら、現在のような敗戰の窮乏経済のもとにおいては、直接税中心主義では、現実に財政問題というものは解決し得られないのであります。從いまして、理論的には直接税中心主義をとるにいたしましても、実際の面におきましては間接税中心主義にならざるを得ないというこの現実は、認めることにおいてやぶさかではないのであります。  そこで問題は、民自党の政策が間接税中心主義という理論的な主張をしながら、その現実の面においては、間接税の中心をなすところの取引高税においてこれを否認しておるということは、明らかに理論的な矛盾であるという点であります。かような面を指摘する限りにおいて、私は、民主自由党の税制の面におけるところの理論の貧困を指摘せざるを得ないのであります。從いまして、民主自由党の單独内閣である吉田内閣の税制というものは、かかる矛盾に対してどういうような考え方をもつておるか。  また同時に、私はせんだつて委員会において、吉田首相より直接に現存の税法というものは非常に困難に逢着しておる。——税金革命というような言葉によつて表わされる通りにおいて、現行の税制によつては、とうてい税收入の増加は期待し得られないのであります。そこで吉田内閣は、今回の六百三十億と称せられるような追加予算において、約二百億の所得税の水増しをしようというようなことを言つております。こういうようにいたしまして、現行税制では、とうてい税收入の増加が期待されない。もし、これ以上に税收入の増加をはからんとするならば、苛斂誅求を通り越して、税金革命を勃発するような事態を憂慮せざるを得ないのであります。  かかる見地に立つときに、私どもは、どうしても税法の全面にわたつて根本的な改革をせればならぬというように考えるのであります。わが社会党は、かかる面において用意をもつておりまするが、こういうような面において、吉田内閣はいかなる方針を持つておられるか、これを、総理がおられませんから、副総理である林國務大臣から承りたいと思うのであります。私は、税法という根本的な問題でありまするので、どうか党というような精神を離れまして、誠意あるところの答弁を要求してやまないのであります。  同時にまた、現在のいろいろな苛斂誅求、あるいは税金革命というような事態が指摘せられる原因は、徴税事務の面において、いろいろな不備があるということを、私たちは指摘したのであります。そこで、一番問題となつておりますのは査定の不公正であります。しかも、今回の十月の修正申告の更正決定にあたりましては、繊維品の中小業者に対しては四倍三分、あるいは中古衣類の業者に対しては四倍三分、また料理飲食店に対しては五倍、あるいはまた旅館に対しては四倍というような、前年に比較して少くとも三倍以上の課税になつております。なるほど、マル公は上つたでありましよう。しかしながら、購買力の激減からいたしまして、取引高はむしろ減少しております。かかる際に、こういう三倍、五倍というような課税が行われているという点において、私は徴税事務の欠点を指摘せざるを得ないのであります。  かかる点において、今後適当な課税をいかに行わんとするか、この点、大藏大臣の誠意ある御答弁を要求してやまないのであります。  さらに、私どもとしまして特に深く関心を拂つておりますのは、いずれ來年の三月ごろになりますと、再び更正決定に対するところの異議申請というような問題が起つて参ります。ところが、この異議申請に対しまして、最終決定を行うまでに相当の日時を要するのであります。從いまして、私どもは、異議申請が出た場合においては、少くとも一箇月あるいは四十日の範囲において税務署からそれに対する最終決定のない場合においては、異議申請のそのものが認められるというような制度を考えてはどうか、この点に関する大藏大臣の所見はどうか、これを承りたいと思うのであります。  さらにまた私どもは、現在の税制におきましてかなり問題となつたところの法人税の改正を、芦田内閣のもとに行いました。ところが、この法人税の課税の実行にあたりまして、徴税上の不備欠陷というものを指摘したいのであります。すなわち私たちは、大きな会社に対して脱税のあるという事実、しかも最近におきましては、静岡縣におきまして、大昭和製紙という大きな会社が数億円の脱税をしている。しかも、この会社の経理顧問は民主自由党の代議士であります。かかる点から察しますならば、大会社における経理顧問によつて、かなりの脱税が行われているのではないか。幸いに、各財務局あるいは税務署に査察部というようなものが設けられて、脱税の摘発に努めておられるようであるが、こういうような政治的関係からして、大きな会社に対しては脱税の余地があることを認めながら、脱税そのものを認めているのではないか、こういう点に関して、大藏大臣はどういうような措置を講じているか。  それとは反対に、小さな会社の例においては、こういうような実情があるということを申したい。すなわち小さな会社においては、あたかも個人所得の査定と同じように、税務署の推定に基く、すなわち帳簿その他は一切否認されまして、そうして税務署の査定に基いて法人税が賦課されるというような実情になつているのであります。こういうようなことは明らかに不合理である。言葉をかえて申しまするならば、先ほど申しますように、大きな会社に対しては脱税の余地を認めながら、小さな会社に対しては、会社の申告を否認して、それに対して天くだり的な課税をしているというこの実情に対して、大藏大臣はいかなる指導をなし、またこの現実に対して、どういうように考えられているか、この点に対する所見を承りたいと思うのであります。さらに、しばしば問題になるのでありますが……。
  53. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 川合君、もう残り二分であります。
  54. 川合彰武

    川合彰武君(続) 私たちは、團体交渉権というようなことを、しばしば委員会において申しておりますが、この点に関しては、事務当局は、ある程度の團体交渉権を認めてもさしつかえないというように言つております。私たちは、民主的な團体、しかもそれが思想的に何らの関係のないというような農民組合あるいはまた商工團体であるならば、それに対して團体交渉権的なものを認めてくれることが、公平なるところの課税と、また円満なる調整を行うゆえんだろうと、かように考えるのでありますが、團体交渉権の範囲に関しまして、どの程度に大藏大臣実情において認めるか、この点に関するところの所見を承りたいと思うのであります。  さらに、現在の基礎控除、扶養家族の控除というものは、芦田内閣のもとにおいて大幅に廣げられたのでありまするが、現在の賃金並びに物價の観点からしまして、私どもとしましては、基礎控除あるいは扶養控除の大幅な引上げということは社会党としては用意してありますが、これらに関して吉田内閣はどのような方針を持つておられるか、この点をもあわせて、お聞かせ願えれば幸いと思うのであります。  さらに、昨日の笹口晃君の質問にもあつたのでありまするが、現在税金革命のるつぼの中にたたき込まれておるのは中小商工業者であります。この点は、日本商工会議所等の陳情によつて、大屋商工大臣としては、よく御存じのはずと思われるのであります。從いまして、中小商工業者を擁護する立場にある商工大臣としては、その立場からして、業者の立場をいかに擁護するかというようなことを、閣議において、あるいは対大藏省との関係において交渉せられておるか、この点の所見を承りたいと思うのであります。
  55. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 結論を急いでください。
  56. 川合彰武

    川合彰武君(続) さらに、現在のような徴税恐慌、税金革命をもたらした根本的な問題は、税務官吏の生活の不安定というような問題と、税務官吏の数が依然として少い、その少い原因は何によるかというならば、私は、おそらく税務官吏の待遇が、その職務に比較して薄いという点にあろうかと思うのであります。私どもは、片山内閣、芦田内閣のもとにおいて、税務官吏の待遇の改善に努めて参つたのでありまするが、現在においても、まだ不十分と考えます。從いまして、徴税事務の円滑を期するためには、税務官吏の教養、素質の向上を期する、すなわち税務官吏の資質の向上を期するというような観点からいたしまして、税務官吏に対するところの待遇を、より一層よき待遇にせねばならぬ、これが根本ではないかといように思うのでありますが‥‥。
  57. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 時間が参りました。
  58. 川合彰武

    川合彰武君(続) こういうような税務官吏の待遇に関して、大藏大臣としてはいかなる方針を持つておられるかというようなことに対しまして、大藏大臣の親切なる御答弁を要求してやまないのであります。  以上をもつて私の質問といたします。   〔國務大臣林讓治君登壇
  59. 林讓治

    ○國務大臣(林讓治君) 税に関係をいたしました問題につきましては、所管の大藏大臣からお答えをすることにいたします。   〔國務大臣泉山三六君登壇
  60. 泉山三六

    ○國務大臣(泉山三六君) ただいま川合さんから、るるその蘊蓄についてお示しがあつたのでございまするが、御質問が多岐にわたりましたので、あるいは私、聞漏しがございますようでございましたら、どうぞ御遠慮なく再質問をお願いいたします。  まず御質問の第一点は、民自党は間接税中心主義を唱えておるが、これは取引高税の廃止とは理論的に矛盾するではないか、かようなお尋ねであつたかと思うのであります。民自党は、決して間接税中心をとるものではございません。また直接税を軽視することはないのであります。政府におきましてもまた同様でございます。取引高税の撤廃は、同税が悪税として今日天下の輿論と相なつておりまする現実に即し、これを断行するものでございまして、また民自党の租税政策の本旨に沿うものと考えるのであります。  御質問の第二点は、政府は租税の徴收にあたつては、その査定の公平をはかり、適正課税をすべきではないか、かようなことでございます。まことに、お示しの通りであります。政府といたしましても、もとより担税力に感じまして公正なる課税調整をやるつもりであります。高額所得者の脱税等につきましては、査察制度を設けて十分に取締りを強化し、万遺憾なきを期しておるのでございますが、査察制度の実施以來の成績は見るべきもののあることを附言いたしたいと存じます。  なお徴税の問題に関しまして、小会社に対しては、よくその実態を調査して課税するように、かような御意見とお尋ねでございました。まことに御指摘の御趣旨につきましては、政府におきましても十分了承いたしたのであります。ただ、何分にも小会社につきましては、御承知のごとく個人企業に近いものが多く、帳簿の不完備等のために、経理内容の実態把握は相当困難があるのでございまするが、極力その実態に即した調査を固めまして、これに基いて初めて課税を行う所存でございます。  なお、課税につきまして團体交渉権をどの程度に認めるか、あるいは認めないのか、かようなことでございますが、これは川合委員先般御承知の通り、申告課税の建前におきましては、遺憾ながら團体交渉権はこれを認めることはできないのであります。しかしながら、ただその公正なる御意見のあるところは十分参酌する考えでございます。  以上、お答え申し上げます。   〔國務大臣大屋晋三君登壇
  61. 大屋晋三

    ○國務大臣(大屋晋三君) ただいま川合君の御質問の中小商工業者と税金の件に関しましては、先ほど大藏大臣が御答弁申し上げました通り、まず第一の悪税であり、中小商工業者の非常な負担を重からしめる取引高税を撤廃いたしまして、その他の税法の不完備、あるいは不適正という点に対しましては、逐次大藏当局と協議いたしまして是正いたす考えでおります。  右、お答えいたします。
  62. 川合彰武

    川合彰武君 簡單でございますから、議席から再質問いたします。  ただいまの泉山大藏大臣あるいは大屋商工大臣答弁は、きわめて不満足であります。これらに関しましては、いずれ委員会におきまして詳細に質問いたしたいと思つております。ただここでは、取引高税はいつから廃止するのか。ときたま新聞では、十二月一日から廃止するとか、あるいは來年の一月一日から廃止するとかいうようなことを言われておるのでありますが、國民は迷つておる。同時にまた、税務署においても困つておるのであります。從つて、取引高税はすでに廃止されたものとして、あとから脱税というようなことになつて、非常に困つておるような次第であります。廃止されたような、廃止されないような、実にわけのわからないような状態でありますので、この機会に、はつきりと、いつから取引高税を廃止するか、そのかわりの財源があるのかどうか、しかもわれわれは、日本の税法といい、また諸般の問題が、関係筋の了解なくしては、なかなかできないというこの現実、言葉をかえて言うならば、でき得ることと、できないことがある。しかも吉田内閣は、取引高税は廃止でき得る確信のもとに、いつからこれを廃止せんとするか、きわめて明瞭に御答弁願いたいと思う。   〔國務大臣泉山三六君登壇
  63. 泉山三六

    ○國務大臣(泉山三六君) お答え申し上げます。取引高税の撤廃は政府の方針であります。從いまして、これが廃止につき、その時期並びに方法について、せつかく考究を遂げ、具体案をもちまして、目下関係方面ともしきりに折衝中でございます。(拍手)      ————◇—————  引揚者の厚生援護に関する緊急質問梶川靜雄提出
  64. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、梶川靜雄提出、引揚者の厚生援護に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  65. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  引揚者の厚生援護に関する緊急質問を許可いたします。梶川靜雄君。   〔梶川靜雄登壇
  67. 梶川靜雄

    梶川靜雄君 在外同胞引揚者の厚生援護の問題につきまして、若干の質問をいたしたいと思うものであります。  去る五月二十三日、第二回國会におきまして、引揚同胞対策決議が本院において満場一致をもつて可決せられたのでありますが、その後、この決議の実施状況を見まするに、まつたくゼロにひとしいのでありまして、まことに遺憾とするものであります。すなわち、在外同胞の引揚者はすでに三百六十万に達しておるのでありますが、これらは、文字通り外地より裸一貫で帰つて参りまして、その生活はまことに悲惨をきわめておるのであります。今にしてこれが徹底的なる援護対策を講じなければ、重大なる問題を惹起するおそれがあると憂うるものであります。  第一に、引揚者は生業につこうにも職がなく、あるいは事業を営もうにも金がないというような状態であります。從いまして、これらを生業につかしむるために資金の貸付がなされなければならないのでありますが、現在の状態におきましては、七千円しか渡つていないというような状態であります。インフレ進行下の現在におきまして、わずか七千円ばかりでは、露店一つさえも営めないということは、明々白々たる事実であろうと思うのであります。從いまして、これがすみやかなる増額は一日も早くなされなければならないと思うのであります。(拍手)  第二に企業権の問題であります。すなわち、現在満足な事業を営もうと思うならば、すべて許可がいるのでありますが、これらの許可が、いわゆるクローズドされまして、開放されていない。すなわち、企業許可をもらうには、たとえば農林省関係でありますならば、それに参りますと、こういうような仕事を営まないで、ほかの方面をやつたらよかろうと言う。そこで、ほかの方面を調べて、そこへ参りますと、そういうものをやるよりも、これこれをしたらよかろう、そういうふうなことで、事実上許可をくれない。さらにまた、練達の人がおりましても、その実績を重んじますがゆえに、内地における実績のみを偏重いたしまして、外地における実績は決して認められていない状況であります。これらは、機会を均等に與える意味におきましても、開放せられることが必要であろうと思うのであります。從いまして、これらに対して一体いかなるお考えであるか、政府に対してお伺いいたしたいのであります。  さらにまた、かりに資金が渡り、あるいは企業権が許可いたされましても、その資材が問題になるのであります。資材の裏づけがなければ、決して満足な企業は営めないのであります。この問題に関しましても、去る第二回國会において決議がいたされておるのでありまするが、現在の状態を見まするに、まことに不十分なものがございます。これに対して、いかなるお考えであり、またいかに從來実施して來られたか、お伺いいたしたいのであります。  第四番目に税の問題でありますが、現在國民に課せられております税金は非常に高額に上り、特に無産階級に対する課税は、まことに不当をきわめておるのであります。各地に税金鬪爭が巻き起つておる状態を見ましても、枚挙にいとまがないのでありまして、これらの点にかんがみましても、勤労階級に対する不当課税の今日のごとき状態というものは、まさに前古未曽有であろうと思うのであります。特に無産階級の中におきましても、引揚者対する課税の苛酷さというものは、言語に絶する状態でありまして、これらの誤れる帝國主義戰爭の犠牲者に対しまして、すみやかに何らかの処置を講ぜられたい。すなわち、第二回國会のあの決議に徴しましても、税の免除あるいは軽減がすみやかになされなければならないと思うのであります。すなわち、引揚者は身のまわりの整理さえもついていない。冬を迎えるにあたつても、オーバー一つ、冬服一つ買うことができないような状態であります。このような場合に、課税によつて、これを裸のままにして置くことは、はたして人道上許されるかどうか。これらの点について政府の適切なる御処置を望むとともに、その御所信を承りたいと思うのであります。  第五番目に住宅の問題でありますが、引揚者にとりまして、住宅の問題は、食あるいは衣以前の問題であると称されておるのであります。すなわち、現に数縣の例をとつて見ましても、引揚者の約六割は雑居生活であります。懸念措置といたしまして國有財産関係の開放がなされておりますが、しかしながら、これとても住宅化せられていないのでありまして、これが集合住宅化はすみやかになされなければならないと思うのであります。さらにまた國有財産関係の貸與という問題を見ましても、これが貸與を受けまして、そうして権利の上に眠つているものが多数あるのであります。これらに対しましては嚴重なる調査をいたしまて、すみやかに適当なる処置を講ぜられたいと思うのであります。  あるいはまた庶民住宅の問題でありますが、現在七、八十万人の者が、住宅難で困窮しておるのであります。しかも、これらに対する対策が何らいたされていない証拠には、昨年の十月におきまして、國分寺における事件がありました。さらに今年の年頭におきましても千駄ヶ谷の占拠事件があり、あるいは先日も烏山病院の占拠事件が起つておるのであります。かくのごとく、各地において、まさに不祥事ともいうべき住宅占拠問題が起つておりますのは、すなわち住宅問題が引揚者にとつていかに重大な問題であるかということを如実に物語つておると思うのであります。現在、樺太よりの引揚者に対して、特にその無縁故者を対象といたしまして、東北あるいは北海道地方に若干の住宅が用意されつつあるのでありますが、北海道、東北というような局部に限るのではなくして、全國に、全引揚者に、全く家のない人たちのために、すみやかに庶民住宅の建設がなされなければならない、このように考えるのであります。
  68. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 梶川君、あと一分であります。
  69. 梶川靜雄

    梶川靜雄君(続) こういう点につきまして、政府はいかにお考えになつておるのであるか、お伺いいたしたいのであります。  最後に、さきに設置いたされましたところの引揚同胞対策審議会、この問題でありますが、引揚同胞対策審議会のその後の活動は、まことに不活発であります。これが原因を見まするに、予算の問題があると思うのでありますが、これに対していかなる処置をとられつつあるか。あるいはまた、引揚対策審議会が、各縣において設置せられた所と設置せられてない所とあるのでありますが、これは、現在の引揚者の、あるいはまた引揚対策の現状よりいたしまして、その万全を期するためにおいても、各縣にすみやかに引揚対策審議会を設置いたしまして、遺憾なきを期すべきであると思うのであります。  以上、時間の関係簡單に要点のみを申し上げまして、関係大臣の御所見並びに御処置を承りたいと思うのであります。(拍手)   〔國務大臣林讓治君登壇
  70. 林讓治

    ○國務大臣(林讓治君) 在外同胞の引揚げの問題につきましては、私ども、まことに御同情にたえません。ここにおきまして、政府といたしましては、その海外引揚者に対しまして、生業資金といたしまして約二十数億円の支出をいたしまして、引揚者などに対する生業の援助をいたして参つておるのであります。現在においては一件七千円、先ほど梶川君のおつしやつた通りでありますが、これを改正いたしまして、一万円ないし一万五千円限度ぐらいまでに増額いたしてみたい。今後におきましては、政府実情に即しまして資金の増額をはかつて参りたいと心得ておるわけであります。  それから、引揚者に対するところの企業の許可の問題でありますが、その実情に対して、梶川君のおつしやられるようなことも間々あるかとは存じますが、今後政府におきましては、決してかかることのないように、この上とも努力をいたしてみたいと考えます。  なお資材の点につきまして、私まだよく存じておりませんから、他日またお答えをさしていただくことにいたしたいと考えます。  それから税金の問題でありますが、これは大藏大臣よりお答え願うことにいたします。  なお住宅の問題でありますが、この引揚対策上において、一番これが重大なる問題のように考えまして、政府におきましては、できるだけこれが解決をいたしたいというつもりでおるのであります。そこで、御参考までに申し上げますと、樺太より引揚げの無縁故者の收容につきましては、すでに予算四億七千万円くらいを全額國庫負担として、約三万人の方々を收容するようになつておるわけであります。現在予算要求中のものが約一億九千万円、これも前と同じように全額國庫負担によりまして、人員は約一万人のものを收容するような計画を立てておるわけであります。  それから、引揚対策審議会につきましてお尋ねであつたのでありますが、これまで引揚者の対策についていろいろお骨折りを願つておりますことは、政府といたしましては非常に感謝をいたしております。今後とも、本審議会の活発なる活動によりまして、引揚げ問題の解決に万全を期したい、こういう心づもりでおるわけであります。同会の設置法の改正案が議員提出法律案として提出せられまして、民間側から委員が五名、官界側から委員が二名増加されるとともに、臨時委員を新設せられることと伺つております。政府といたしましては、この改正によりまして、この審議会がいよいよ活発に運営せられることを、強く期待いたしております。  なお経費の問題につきましては、現在約百万円を計上せられておりますが、この審議会の状況によりまして、その実情によつて、さらに増額を考慮いたしておるわけでありますから、さよう御了承をお願いいたしたいと考えます。   〔國務大臣益谷秀次君登壇
  71. 益谷秀次

    ○國務大臣(益谷秀次君) ただいまの御質問は、引揚者厚生援護に関する御質問と聞いたのであります。引揚者の住宅については、厚生省の所管で取扱つておるのであります。私の所管ではないのでありますが、ただ一般庶民に対する住宅問題については、今日もはや刻下の重大な政治問題の一つとして取上げて、強力にこれを推進して行かなければならぬと存じておるのであります。今日最も住宅難に悩んでおられるのは、都会の勤労者の階層であります。これに対しては、なるべく安い家賃のものをたくさんに供給いたさなければならぬということは、もとより今日政府としてとらなければならぬ方針であります。ゆえに、政府といたしましては、今後特殊の財政的援助、また特殊の金融という方面によつて、この問題をすみやかに解決いたそうと考えておるのであります。   〔國務大臣泉山三六君登壇
  72. 泉山三六

    ○國務大臣(泉山三六君) 梶川さんにお答え申し上げます。私に対しまするお尋ねは、引揚者の政策に関する問題、金融の問題かと思うのであります。  お示しの通り、引揚者のお立場につきましては、まことにお氣の毒なものがございまして、ことに今日におきましてのその困窮の実情は、政府といたしましても、まことに御同情にたえないのであります。しかしながら、これに対処いたしまする場合に、あるいは金融の問題につきましても、政府は特段の配慮をもつて、具体案を提げて、今日関係方面とも折衝いたしておるのでありまするが、なおその成果につきまして、ここに明言できませんのは、まことに遺憾とするところでございます。税金につきましても、その実情に即し、十分特段の経費等の点を考慮いたしまして、これが取扱い上万遺憾なきを期したいと考えております。  以上、簡單でありますが、御了承願います。
  73. 梶川靜雄

    梶川靜雄君 企業権の問題について、その開放についてお答えがないのですが……。
  74. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 企業権ですか。——商工大臣、お答えしていただけますか。   〔國務大臣大屋晋三君登壇
  75. 大屋晋三

    ○国務大臣(大屋晋三君) 梶川君の企業権と申すのは、多分引揚者に対する授職の問題かと存ずるのでありますが、商工省の関する限りにおきまして、綿スフの織布業者の引揚者に対しましては、内地におきまして轉業ないし廃業をいたしましたものと何らかわることなく、これに対して、新規に事業を始めまする場合におきましては、優先的に許可する方針をとつております。また、本年の九月に実施いたしました小賣業者の登録の更新の場合におきましても、この引揚げ業者に対しましては特に優先的考慮を拂う措置をとつておるような次第でありまして、特に引揚げ業者に対しましては、不便のないように十分考慮いたしております。(拍手)      ————◇—————  教育公務員特例法案上程に関する緊急質問田淵実夫君提出
  76. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、田淵実夫君提出教育公務員特例法案上程に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  77. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  教育公務員特例法案上程に関する緊急質問を許可いたします。田淵実夫君。   〔田淵実夫君登壇
  79. 田淵実夫

    ○田淵実夫君 私は、教育公務員特例法案上程の問題につきまして、総理大臣並びに文部大臣質問いたしたいと存ずるのであります。  御存じのごとく、今日わが國の教育及び教育行政が教育基本法によつて行わるべきことは、申すまでもありません。この教育基本法におきましては、教育目的につきまして、教育目的達成のためには学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養うべきことが規定されております。個人の尊厳性と個人の價値に最大の重点が置かれておりまして、必然的に、教育が不当に制約され干渉さるべきであつてはならず、眞の意味におきまして自由であるべきことが明らかにされておるのであります。  連合軍最高司令部よりの日本政府に対する覚書におきましても、日本教育制度に対する管理政策の項には、学生、教師、教育関係官公吏は、教授内容を批判的、理知的に評價することを奨励せらるべく、また政治的、公民的、宗教的自由を含む各般の事項は自由討議を許さるべきことと指示されております。この教育の自由を裏づける教職員の自由もまた保障されなければならないことが、特に強調されておるのであります。さらに米國教育使節團報告書中にも、このことが明確に示されておりまして、すなわち、教師は他の公民の持つておる一切の特権と機会を與えられなければならない。そして任務を申分なく、りつぱになし遂げるためには、思想と言論と行動の自由を持たなければならない、と勧告されておるのであります。  過ぐる第二國会におきましては、教育事業に対する以上のごとき正当なる要求と自覚から、遂に教育委員会法の成立を見たのであります。すなわち、同法の成立によつて、ここに現実に教育に対する不当なる支配は排除され、教育事業の中央集権化は打破されまして、公正なる民意による教育制度を確立するための教育行政の自主独立と地方分権化、民主化が達成され、また達成されなければならぬ段階に立ち至つておるのであります。  この教育委員会法の施行によつて、都道府縣教育委員会が成立いたし、教育行政が國家と地方の他の一般行政より独立いたしましたことは、とりもなおさず、教育事業の絶対性と特殊性が認められた結果であります。從つて、國家公務員法の適用を受くべき一般公務員と、教育公務員との間には、その性格の上に根本的な差異のあることが、今や公然たる事実となつた、と言うべきものであろうと存ずるのであります。言いかえますならば、國家公務員は、國家本來の機能たる立法、特に行政、司法の機能を担当する人々でありまして、國家機能の手段そのものであります。機能上、法律の忠実な実施と、政府の仕事との能率的な運営を最高の職務とするものであり、公共に対する義務を負い、政府の直接管理に從わなければならないのであります。これに引比べまして、教育者は、國家の機能を担当しまたはこれに協力するところの公民を養うことを仕事とするところの人々でありまして、機能上國民的、人間的能力の育成養護をその職務とするものであり、常に自主的活動に任ずべきものであろうと存ずるのであります。ここに一般公務員教育公務員との相違の核心があると存ずるのであります。  政府は今回、この教育公務員を対象といたしますところの教育公務員特例法案を用意しつつあると承知しておるのでありますが、いうところの教育公務員特例法案なるものは、かかる特質を持つところの教育公務員の性格にかんがみまして、國家公務員法改正に伴つて、その改正点に連関を持ちますところの、いわば特殊公務員法たるべき内容のものでありますか、それとも、國家公務員法の改正とは直接的には無関係であるところの、單にその任免等に関する特例規定せんとするものでありますか、この点を、私はまず総理大臣に伺いたいのでありますが、本日総理大臣は見えませんので、関係深き文部大臣に第一に伺いたいと存ずるのであります。  次に、過日政府の一端より入手いたしました教育公務員特例法案の草案とおぼしきものを一覧いたしまするに、この草案が、もしそれといたしますならば、これは單に教育職員の任免、服務等に関する身分法、分限令に類するものであります。國家公務員法改正に伴う特殊公務員法たるべきものでも何でもないのであります。これが特例法案原案たるべきものといたしますならば、國会は別に、國家公務員法改正に伴い、教育公務員法を別個の單独立法とするか、もしくは政府特例法案を大幅に補足修正すべきであると存ずるのであります。
  80. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 田淵君、あと二分であります。
  81. 田淵実夫

    ○田淵実夫君(続) 冒頭詳しく申し上げました通り、教育の自由が絶対許されなければならぬ以上、教育の自由を裏づける教師の自由が保障されなければなりません。教育の自由が保障される以上は、教師の持つ一切の公民権を侵されることなく、その政治的、公民的自由と團体行動権は確保されなければならないと存ずるのであります。これは公民たるべき者を教育するところの、公民たる教師の本質に由來するものであります。  最後に文部大臣にただしたいのは、教育公務員特例法案は一体いつ上程されるのであるかということであります。この法案は、教育公務員法案と呼ぶべきものでないとしても、今議会において早々上程されなければならなかつたはずであります。私は、去る本月十五日の文部委員会において、政府委員にこのことをただしたのでありますが、その際政府委員よりは、両三日中に上程する手はずであるとの答弁を得たのであります。すでにその日より旬日を経ました今日においても、なお上程を見ないのであります。数日前、ラジオの放送は、次官会議において上程と決定した由を傳えたのでありますが、一向に上程されそうにもないのであります。はたせるかな、院内の消息は、政府においては今議会にはこれを上程しない、あるいは全然上程する腹がないとも傳えられているのであります。もしそうであるとすれば、はなはだけしからぬことだと思うのであります。  同法案は、国家公務員法の特例でありますがゆえに、國家公務員法の改正と連関をもつて、同時的に、並行的に審議されなければならないのであります。今日に至つて、客観情勢からこの草案の練り直しをやらなければならないというふうにも聞いておりますが、この期に及んで、この練り直しをやらなければならないということと、この解決を今日までの間において決定していなかつたということとは、全然違うのでありまして、この点、政府は怠慢であつたと思うのであります。これについて文部大臣に伺います。  なお総理大臣は、解散々々と、解散のことばかり叫んでおられるのでありますが、なすべきことをなし、果すべきことを果して……。
  82. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 田淵君、時間が来ました。
  83. 田淵実夫

    ○田淵実夫君(続) 北村さんの口吻を借りるわけではありませんが、出すものは出す、出さないものは出さないと、はつきり御答弁を願いたいのであります。やたらに轟音を発して走るところの汽車は、あたかもたくましい機関車のごとき印象と錯覚を與えられるのであります。解散々々と叫ばれると、政府においては、民自党においては、よほど自信あるところの政策を持つておられるのではないか、というふうに國民が勘違いしないものでもないと思うのであります。なすべきものをなした上において、はつきりすべき点をはつきりさせて、そうして憲法第七條の解釈論もなされたがよかろうと存ずるのであります。文部大臣の御所見を伺います。(拍手)   〔國務大臣下條康麿君登壇
  84. 下條康麿

    ○國務大臣(下條康麿君) 田淵議員のお尋ねになりました教育公務員特例法案は、一應の成案を得たのでありますが、客観情勢によりまして。今議会には提案せられないことになつたのであります。その内容は、いわゆる單独立法ではなくして、教育公務員の特殊な職務責任の関係上、身分に関する点につきましての特別規定を設けるための法律案であります。これは次回の國会に提案いたしたいと思つております。
  85. 田淵実夫

    ○田淵実夫君 再質問をお許し願います。
  86. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 自席でやつてください。
  87. 田淵実夫

    ○田淵実夫君 ただいま私の申しました質問は、総理大臣並びに文部大臣に対しての要求であります。総理大臣は見えませんから、明日お答えを願いたいと思うのであります。  なお、私が文部大臣に尋ねました点はうこの教育公務員特例法案のねらいの内容の核心というものは、これは教育者の特性というものを案じまして、國家公務員法の改正と密接不離な連関を持つておるところのものであるか、單にこの特例を認める、すなわち任免、服務等に関する分限令的な、身分法的なものにすぎないのか、もしそうとするならば、この際教育公務員法とも称すべきものを用意される意思があるかないかという点を、お伺いいたしたいのであります。   〔國務大臣下條康麿君登壇
  88. 下條康麿

    ○國務大臣(下條康麿君) お答えいたします。教育公務員につきまして、一般の規定は國家公務員法の規定によりまして適用されて、運用されることが適当だと考えます。但し、今お話になりましたような身分的の関係につきまして特例を設ける必要がある、その関係だけの法令をつくりたい、こういう考えでございます。
  89. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 総理大臣よりの答弁は適当なる機会に願うことにいたしたいと存じます。      ————◇—————  予防注射による障害の保障に関する緊急質問太田典禮君提出
  90. 今村忠助

    今村忠助君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、太田典禮君提出予防注射による障害の保障に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  91. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議ないものと認めます。よつて日程は追加せられました。  予防注射による障害の保障に関する緊急質問を許可いたします。太田典禮君。   〔太田典禮君登壇
  93. 太田典禮

    ○太田典禮君 この間、京都市及び京都府においてジフテリアの予防注射をやりまして、そのために六名の死亡者を出し、多勢の子供が注射部位に化膿を生じたという被害があつたのであります。これは一地方における小さな問題のように考えられますが、実は大問題でございまして、一体予防注射によつてどの程度の被害があるのかということは、むずかしい問題であります。このたびのように、相当かたまつた被害を生じたということは、どこかに大きな手落ちがなければならぬというので、さつそく京都市におきましては、この注射を中止して、原因の調査にかかり、厚生省も調査に行かれたはずでありますが、今まで聞いたところによりますと、どうやら注射薬が悪かつたというのであります。  その注射薬は、日赤大阪薬学研究所第一〇一三号というのであつて、この注射薬の中に、あるいは、みようばんが多過ぎた、あるいは雑菌があつたというような、いろいろなことが言われておるのであります。被害者の人の親は、この原因追究のためには自分の子供を解剖に付してくれと申し出てさえおるのであります。これはどこに責任があるかということを徹底的に究明しなければならぬと思うのであります。何となれば、現在施行されておるところの予防接種法は、第二回國会において通過いたし、そうして新たに出発しておるのでありますが、この新しい出発に際して、こういう被害が起りますと、注射を受けねばならぬ人が非常にこれを恐れます。しかも注射を受けなければ、予防法によりますと強制注射でございますから、罰金を課せられております。これは重大な問題であります。  なおこの責任は、あるいは注射した者にあるのか、それとも薬を製造した者にあるのか、この薬の檢定をした政府にあるのかということであります。この所在をはつきりとさせていただきたい。同時に、この責任はいかにして償うべきであるか。政府は特に、檢査をしたという責任を大きく感じなければならぬと思うのであります。これは、このたびの問題だけでなく、今度の注射薬の檢査も、もちろん一般の檢査と同様に、全部のものを檢査するということはできませんので、何でも千本に八本の拔取り檢査をやつております。拔取り檢査の結果では、どうでもなかつたが、余分の方に悪いのがあつたということであります。こういうことは將來も起り得ることであつて檢査というものは絶対的なものではありません。どうしても幾らかの被害を覚悟しなければならぬ。しかも、注射は強制であるというところに問題がある。ですから、私は、強制注射の法律を出してこれを施行する以上は、どうしてもここに、その障害を保障する規定を設けなければならぬと思う。(拍手政府当局は、これに対して、この規定を設ける意思があるかどうか、これをお尋ねしたい。  なお今度の事件は、薬に原因があつたのでありますが、実は注射をやるにあたりましては、注射をやつていい場合と、注射をやつて悪い場合とがある。これはもちろん医者が嚴重に檢査するわけでありますが、この檢査は、何百人の人にそう嚴重にやりきれるものではないのであります。特に結核の予防注射BCG、あるいはチフスの予防注射をやりますと、それによつて発熱し、少し病気のある者は蒼白します。また妊娠しておる女の人は、盛んに流産をするわけであります。こういう被害が、厚生省としてどの程度今日まで調査ができておるか、案外に知られていないのでありますが、臨床医学の方では、非常にこの問題にぶつかることが多いのであります。しかもそれが、病気がはつきりあるかどうか、熱さえもはからないで実際は予防注射をやつておる。ましてや、それが妊娠しておるかどうかわからないので、盛んに流産しておるというような事件が起る。こういうような場合には、一体責任はどこにあるのか、注射した者にあるのか、政府の強制にあるのか、あるいは檢査を一女医者ができないということにあるのか、やつたところの医者の粗漏なる檢査にあるのか。  こういう場合の被害というものは、今度のように固まつては参りませんから……。一人々々、ぼつりぼつりと起ります。そうすると、遂に泣寢入りになる場合がある。もちろん、そういう場合に訴えることはできるかもしれませんが、事実が明らかであるならば、これに対して、さいぜんの注射薬の悪かつた場合と同じような保障をなすべきであると考えるのであります。ですから、政府としては、この予防接種法に対して、人権尊重の意味において、この保障の規定を設けるかどうかということをお尋ねするわけであります。  なお、これは予防注射とは関係はございませんが、先日帝大の病院で、梅毒の患者が輸血をして、それによつて大勢の人が感染をしておるという事実がある。ですから、こういうふうな場合にも、政府は責任を感じなければならぬと思う。もちろん、これをやつたところの医者が悪いのであつて、南原東大総長が訴えられておるのは当然でありますが、この輸血というものは急いでやらなければなりませんから、そのときに、すぐに梅毒の檢査をするというようなことはできないのです。ですから、はつきりと梅毒のないような人ならいいが、そうでない場合には非常に困るわけです。そこで、あるいは職業的にこれをやつておられるのがある。こういうものが、怪しげな証明によつて血を賣るというようなことが起ると思うのでありますが、これに対する監督と今後の処置について厚生大臣にお伺いする次第であります。(拍手)   〔國務大臣林讓治君登壇
  94. 林讓治

    ○国務大臣(林讓治君) 京都におきまする、このたびのジフテリア予防接種の問題につきまして、非常な問題を起しましたことは、まことに所管の大臣といたしまして申訳がございません。今回のこの予防接種は、京都市におきまして実施したものでありますが、接種を行つた人員は実に一万五千五百六十一名の多きにわたりまして、そのうち七百五十二名の傷害患者を出したのでありまして、まことに遺憾ながら、七名の死亡者を出したわけであります。  厚生省といたしましては、発生の報を聞きまするや、ただちに防疫課長を現地に派遣いたしまして、傷害者に対するところの治療の処置を講ずるようにいたしたとともに、見舞並びにこちらの弔慰の誠意を披瀝いたしたわけであつたのであります。同時に、本事件の眞因を取調べいたしたのでありますが、この事件状況を知りまするや、政府といたしましては、予防衞生研究所内に眞因究明のために委員会を設けまして、各方面から專門家のお集まりを願いまして、十六日から発足いたして、徹底的にこれが調査をいたしたのであります。ところで、その原因は、製作者の日赤薬学研究所の製造品の中に誤りがあつて、毒素が混入いたしておつた、その製品を用いたということが発見をせられたわけでありまして、このたびの不祥事件を起しましたことは、重ねて私どもはまことに遺憾と思いますとともに、われわれも少なからざる責任を感じておるわけでもあります。本事件は製造所の不注意により惹起したものでありますとともに、これらの業者を監督する立場にある当局にも監督上の責任があると考えまして深く遺憾の意を表しておるわけであります。この調査の結果に基きまして、今後適当なる処置を講じたいと考えておるわけであります。  それで、補償制度の問題をお話になつたのでありますが、マツカーサー元帥の方からも、勧告書といたしまして厖大なる書面も参つております。從いまして、その制度の中に他日これが実現を見るように努力いたしたい。そこで、今におきましては、これに対するところの審議会などを設置いたしまして、ただちに発足をいたしたいと考えておるわけであります。  御質問のほかに、第二点におきましては、この製剤に対しまする今後の監督の方針につきましては、新薬事法によりまして、製剤面での指導監督を増強いたしまして、予防衞生研究所を通ずる檢定を一層嚴格にいたしまして、地方における薬事監視員の指導監督に今後遺憾なきを期したいと考えておるわけであります。  それから輸血の問題でありますが、この問題もまことに遺憾なことでありまして、輸血を受けた患者に傳染をするおそれがありまするために、かつては戦時中に、昭和二十年二月に、厚生省令輸血取締規則というものが制定公布せられておつたのでありまするが、新しい憲法の施行に伴いまして、昨年末限りで実は効力を失い、廃止せられたのであります。そこで、ただちに重ねてこれが制定をいたしたいという心持でおつたのでありまするけれども、遂にこれが設立をするということが不可能になつたのであります。そこで、最近進歩いたしました医学上の意見をも取入れまして、新たなる構想に立つて適切な取締りの法律を立案いたしまして、なるべく早く國会提出して御審議を仰ぎたいと今日考えているわけであります。さよう御了承おきを願いたいと考えます。
  95. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 太田典禮君、あなたの場合は三分残りがありますから、登壇を希望されれば登壇してください。
  96. 太田典禮

    ○太田典禮君 ただいま厚生大臣は、マツカーサー司令部の方から國家補償に対する要請があつたというお話でございましたが、私の今質問したのは、予防注射に対する保障をする規定を設けるかどうかということであつて、厚生大臣は、その問題と國家補償と感違いしておられるのではないか。予防注射に対する保障の規定を設ける意思があるかないか、この点を明確にお答え願いたい。   〔國務大臣林讓治君登壇
  97. 林讓治

    ○国務大臣(林讓治君) 研究をいたしまして、編成に努力をいたしたいと考えております。
  98. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 明二十六日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十一分散会