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成重光眞君 私は、
中小企業振興対策に関する
質問をいたします前に、
吉田総理がいらつしやいませんので林副
総理にお答え願いたいと思うことは、
吉田総理は、本月十五日、本
会議におきまして、
公務員法通過の直後に
解散を断行するということを答えられ、年内総
選挙を決定しておるようでありますが、このたびの
選挙の際には、
憲法第七十九條の二項に基きまして、
最高裁判所の
裁判官の
審査投票を同時に行わなければならないということにな
つておるのでありますが、その手続を完全に遂行する見通しなしに
解散をやるといいうことは——もちろん、その期間において三十日ないし四十日を必要とすると思いますが、
政府は、右の
裁判官審査投票につきまして、いかなる
準備が大体できておるか、もし、できておるといたしますならば、
審査せられます
ところの
裁判官の経歴その他、信任すべきやいなやということを決する
國民に対して、
裁判官に対するいわゆる
周知徹底をせしめるためのいかなる
方法を講ぜられるか、もし現在のまま行われますならば、まさに
國民は、その
裁判官の人となりを知らずして、これを投票しなければならぬような結果になるのではないか、こういう点から、この
憲法第七十九條の二項に基きます
最高裁判所の
裁判官の
審査投票について、
政府といたしまして、いかなる
準備、あるいはいかなる心構えをも
つてこの
審査投票を行われんとするのであるか、この点について一應お答え願
つておきたいと思うのであります。
さて私は、まさに
崩壞の一歩
手前であると申し上げてもあえて
過言でないと思いますこの
中小企業に対する根本的な
対策について、
所管大臣に対してお尋ね申し上げたいと思うのであります。わが國におきます
中小企業問題は、古くからの、かつ深刻な問題であ
つて、常に重大ななる関心を拂われておりますことでありますが、これは根本的に、わが國の
産業が諸
外國に立ち遅れまして、しかも跛行的な
発達を遂げたこと、及び資源に比較してきわめて大きな
人口を有しております
ところのわが國にとりましては、必然的にもたらされたものでありますが、今後わが國の
事情を
考えれば、この問題はさらに深刻化すると
考えるのであります。すなわち、戰前におきましての
産業設備の大部分と、また今日は
海外資産の全部を失いました。しかも縮小された狭い国土に八千万という多くの
人口を擁しております
ところのわが國におきましては、結局今後、
日本の
産業は
中小企業形態により、しかも大局的には
加工貿易方式によりまして、その成立をはかるほかはないのでありまして、
國民が生存するための必須な
條件は、
世界的競爭に耐え得る優秀な
中小企業を健全に育成することにかか
つておると
考えるのであります。
しかるに、
中小企業の現状は、その
技術及び
経営におきまして依然低調の域を脱せず、今後よほどの
努力をも
つてその質の向上をはからなければ、
加工貿易の任務、はたまた國内の
競爭にとうてい耐え得ないのではないかと憂慮するのであります。戰後、最近の
加工製品が、質において、また
技術において低下はなはだしく、一例をあげますと、輸出いたしました
陶器製品の大量が最近におきまして送り返されたということ、その他これに類似の
事例は数多いと
考えるのであります。
よ
つて、
中小企業の
重要性を深く認識いたしますとともに、しかも
私的独占の
禁止と不当の
取引制限排除等により
確保せられる自由公正なる
競争形態下におきましては、
中小企業の健全な
発達をはかることは、わが
國経済再建の眞の基盤にして、
産業構成上きわめて大きな比重を占め、しかも、さらに今後
中小企業等によらざるを得ない
ところの
人口がわが國におきましてはますます増大する必然的な趨勢にあり、ゆえに
中小企業対策は、現在のわが國におきましては、最も緊要にして経済的かつ社会的な重要問題であると
考えるのであります。この点につきまして、ただいまのような消極的な
中小企業に対する
政府当局の
考えでは、とうてい私
どもは満足し得ない結果になると
考えますので、
所管大臣たる
商工大臣として、この点に対していかなる
所見を持たれておるか、第一点にお尋ねしておきたいと思うのであります。
次は、
中小企業に対する
ところの
金融問題であります。この
金融問題に関しましては、詳細申し上げますことは避けたいと
考えますが、
経済復興、
産業再建の途上にありますわが國におきましては、
中小企業の
勢力は
企業数の九八%を占め、その
使用労働者数は七六%にして、
生産額はまさに四六%、但し、大
企業との
関連産業または
下請工業等を合せると、
生産高の三分の二は
中小企業の
生産と推定されるのであります。しかも、この
中小企業の数はますます増大しつつあり、また目下
國民経済に対する
ところの
至上命令ともいうべき
輸出増進上に占める
中小企業の
重要性はさらに大なるものがあると
考えます。すなわち過去におきましては、わが
國輸出品の六五%はこれに依存しておる
といつても、さしつかえないと思うのでありますが、今後におきましても、この点はますます増大されて行くものと
考えるのであります。從いまして、この
中小企業が今日のような
状態におきましては、なかんずくその点におきまして、いわゆる
金融面から見た場合に、深刻なる
金融難に陷
つておりますこの
中小企業に対して、いかなる
金融対策を講ずべきかという点について、私は特に憂慮しておるものであります。
今や、わが國の
中小企業の
経済振興については、この
金融難を
打開することが最大の急務であると
考えますために、
政府当局において即刻大胆なる
金融対策が実施されなければならぬと
考えるのであります。この問題の処理は、これが手遅れいたしますならば、その解決はほとんど不可能となるおそれがある
といつても
過言でないと思うのであります。
政府は一体、この深刻なる
金融難に悩んでおります
中小企業に対して、いかなる方針をお持ちにな
つておるか、その点をお答え願いたいと思うのであります。これをこのまま放置するときは、まさに今日の
状態から見ますと、
中小企業は自滅するか
崩壞する以外にないと
考えるのであります。
この
機会に
当局にお尋ねしておきたいことは、
復興金融金庫の
資金は一千三百五十億でありまして、このうち九百十億を貸し出してありますが、一体
中小企業に対して何がしの
融資がなされておるか。この点について、私は一應お尋ねしておきたいと思うのでありますが、特に私がこの
機会に述べたいことは、北九州八市の
中小企業連盟、これは五百三十
有余の
業者が
連盟をつくりまして、この
資金難に行き詰まつた
中小企業の代表の
諸君が、二箇月から上京いたしまして、いわゆるこの
金融問題につきまして救いを求め、
中小企業廳を中心に、各省に対して
融資の陳情をいたしておるということを聞いておりますが、しかもこれらの五百三十
有余の
中小企業者の
方々は、二万五千
有余の
労働者を有し、この
越冬を
目捷に控えまして、いかにして今年を切り拔けるかという、まことに窮迫した
状態を私
どもは見ましたときに、しかも
企業廳あるいは
政府にいたしましても、これに対して何らの
打開の途を今日與えていないということを聞いておるのであります。もし、この五百三十
有余のこれらの
中小企業の
方々が、二万五千という多くの
労働者を控えて、この年末の差追
つた金融に困
つておる
状態を見まして、私
どもは、昭和電工に対する二十六億の
融資、あるいは
東洋製粉、
炭鉱融資などの
不正融資、あるいは
大臣であるとか官僚であるとかにばらまかれ、贈
收賄に使われたその何分の一かの
融資でも、せめて
中小企業の
諸君に
融資することができるならば、このせめてもの
越冬の
目的を達することができるのじやないか、こういうことを
考えざるを得ないのであります。
ともあれ、現在の
復金は、
中小企業の
金融に対してはきわめて冷淡であります。眞に必要な
中小企業を
國民経済的見地より推進するがために、現在の
復金から
中小企業金融の機能を分離いたしまして、別個の
國家的金融機関として廣く
市中銀行の協力を得て、あるいは
設備資金ないし長期の
固定的運轉資金を供給する
中小企業金融金庫を設立する御意思が
当局においてないかということを、私はお尋ねいたしますとともに、特にこうした
中小企業に対する
金融機関の設定を熱望するものであります。なおまた、この
信用保証制度につきまして、私
どもはその
趣旨には
賛成しております。これを法文化すべきだと
考えておりますが、いつごろになればこの
信用保証制度というものが法文化されるのであるか。なおまた、この
所管官廳は
商工省とするのか、この点に対してお尋ねしておきたいと思うのであります。
第三点は
中小企業廳の拡充であります。この
中小企業廳は、御
承知の
通り、前々
内閣においてその
要綱が決定され、今年の七月に
中小企業廳設置法が立法化され、そうして八月から開廳いたしておりますが、その
内容を見てみますと、現在の
中小企業廳は、わずかに
予算千三百万円にして、定員百三十三名ということにな
つておりますが、実員において百十名そこそこの少数のものをも
つて、はたして
要綱ないしその
設置法等にきめております
ところの
中小企業の
経営あるいは診断、動力、資材、
資金あるいは
生産方法等に対しまして、各般にわた
つての
中小企業の
育成振興というものが、その
目的を達し得られるかということにつきましては、私ははなはだ疑問を持つものであります。この点に対しまして、せつ
かく発足しております
ところの
中小企業廳をいかに拡大強化して運用するか、これにつきまして
所管大臣としての抱負を承
つておきたいと思うのであります。この
企業廳を強化し、これの
振興を期することは、わが國の現在にと
つては、いかなる困難があらうとも、これを遂行しなければならぬ絶対的命題であると私は信じておるものであります。すなわち、この
中小企業廳をどうするかということに対して、積極的、具体的な御意見を、この
機会に
所管大臣より特に私は承
つておきたいと思うのであります。
第四点は、まさに
崩壞の一歩
手前にあります
中小商工業者の
実情を訴えまして、私は、いかにこれを救済するかということに対しまして、実は
大藏大臣がいらつしやれば
大藏大臣にお尋ね申し上げたいと思うのでありますけれ
ども、
関係者より御答弁願いたいのであります。
この
中小商工業に從事いたします
中小商工業者の
課税に対する問題でありますが、
中小商工業は、
実情を無視した
重税のために、まさに
崩壞の一歩
手前の危機に直面しておる
といつても、あえて
過言ではないと私は
考えるのであります。最近の
歴代政府は、
財政需要に対して、ただ安易なる
ところの
増税以外の策をとらず、今日の窮状に導いたと私は
考えるのであります。これは
主権在民の基礎に立
つております
ところの
民主政治とは言いがたいと
考えるのであります。
かくのごとき、むしろ
営業禁止的重税の続く限り
國民の
中堅層たる
ところの
中小商工業者は、好むと好まざるとにかかわらず、
急進勢力依存の風潮を見ることなきを保しがたいのではないかと
考え、
祖國復興の緒についておりますこの場合、私は、この問題は最も重大な問題であると
考えますとともに、この重大時期におきまして、私は、この
中小商工業者の救済に対する何らかの
具体策を
考え、またこの
課税に対しましては特に愼重に
考えなければならぬと思うのであります。
いろいろ
中小商工業者に対する
ところの
課税の具体的な
事例を引用してお願いいたしたいと思いますけれ
ども、時間の
関係上省略いたします。私が申し上げなくとも、最近これらの
業者がいわゆる
重税のためにいかに困
つておるかは、おわかりのことと思います。なおまた、前年におきまして千三百三十九億が、本年におきまして二千五百八十二億に達し、
一般の
租税負担は、すでに
國民におきまして
限界点に達しておると
考えるのであります。しかるに、今また
政府は、
追加予算におきまして二百億の各税の
増税を見込んで賦課せんとしておることを聞きますが、私
どもは、はたして現在の
状態において、これらの
中小商工業者がこの
課税に対してこたえ得るかどうか、あるいはその能力ありやいなやということに対しましても、大きな疑問をも
つておるものであります。この点につきまして、私は具体的に要約いたしまして、ここにその
事例を示しまして、これに対する左の四点について、
大藏当局としていかなる
所見を持たれておるか、お尋ねしておきたいと思います。
第一点は、これら
中小商工業者に対して、
申告税施行とともに廃止されております
ところの所得調査
委員制度を復活する必要はないか。その
理由といたしましては、申告納税とはいえ、大部分が
更生決定を受けておるという事実に基きまして、私
どもは、この所得調査
委員制度を復活する御意見はないかどうかということを、
大藏当局にお尋ねしておきたいのであります。
第二点は、
更生決定に対する
ところの
異議申請については、目標額にかかわらず一箇月の制限があ
つても、
当局の
異議審査には何らの期限を定めないことは、民主的とはいえないと思うのであります。
第三点は、
異議審査請求中の者に対しては、その決定までは徴收猶予の処置をとる必要はないか。從いまして、これに対しては加算税あるいは延滯利子の賦課、あるいは差押え等をしない、こういう点に対して、私
どもはこれを望みたいとともに、これに対する
ところの
当局の
所見を承
つておきたい。
第四点は、
現下の経済界の
状態よりいたしまして、この
中小商工業者に対する分割納税を認める意思はないか。
以上四点を具体的に御答弁願いたいと
考えるのであります。このほかにいろいろただしたいことはありますが、與えられた時間がありませんので、いずれ他の
機会にただしたいと思いますが、これに対しまして、
商工大臣並びに大藏、労働各
大臣の御答弁をお願い申し上げる次第であります。
〔
國務大臣林讓治君
登壇〕