○
笹森順造君
吉田総理大臣の
施政一般に関する
緊急質問を、
國民協同党を代表していたしまして、
首相並びに
関係閣僚から
お答えをいただきたいと思うのであります。この次第に関しましては、数日來すでにこの
議場において、
同僚議員諸君から、まことに傾聽すべき、また熱心なる御
発言があ
つたのでありまするが、今日なお
吉田総理大臣が、
施政一般の
方針に関する御
発言のないのは、まことに残念な次第であります。(
拍手)
從つて、やむを得ず私はもう一度ここに立
つて発言をしなければならないことになりました点、すこぶる残念に思う次第であります。
國民協同党は、御
承知の
通りに、最初からその
態度を明確にしておるのであります。私
どもは、
吉田内閣を
支持しておりまする
ところの
與党とは
反対の
立場に立
つておりますものの、
現下日本の置かれておりまする特殊な実情にかんがみまして、緊急に処置しなければならない諸問題に関しましては、この
内閣が
提出いたしまする
ところの問題に関しましても、私
どもは寛大なる
態度をも
つて協力するにやぶさかならざることを、公党としてすでに明らかにしておることは、
皆様の御
承知の
通りであります。しかるに、この問題について、なおさら今日取上げなければならないという
態度に対しまして、
首相の
責任を問い、反省を求めなければならぬのであります。
この
國会が緊急に開かれておりますのは、
國家公務員法改正と
一連の
関係あります
ところの
法案の
審議議決にありますことは、申し上げるまでもありません。
ところが、
せんだつて來首相の言われますのには、この
國会は
芦田内閣の
時代において召集した
ところの
國会であるがゆえに、その後に
政変によ
つてかわ
つたところの
内閣の
施政の
方針は後にすべきであ
つて、この
公務員法は先議せらるべきであるということを
言つておるのであります。つきましては、この点に関して、どうしても私は、
吉田総理の
責任観念を、
政治家として
確めておく必要を感ずるのであります。
國家公務員法の
改正に関しますことは、すでに前の
内閣からいろいろと取扱われてお
つたことは、よく私
ども承知しておる
ところの一人であります。
ところで、この問題は、だれかの
内閣の
時代にこれが
審議議了せられなければならない問題である。この
責任が
今吉田内閣に課せられているのであります。この
責任の衝にあります
ところ吉田内閣が、この問題を
施政の
方針外に拉し去らんとする
ところの心事は、一体いずれにあるのか、私
どもは、これをすこぶる疑問とするのであります。
国家公務員法の
改正は、
吉田首相の
施政方針の中に入
つて來ないものであるという、
責任をのがるる
ところの
態度であろうか。そうであ
つたとするならば、それは
施政の
方針の
演説の中に入
つて來なくてもよろしいでありましよう。しかしながら、
責任政治を明らかにし、常に意思強固なりといわれております
ところの
吉田首相にして、この
態度あるというのは、はなはだ解しかねる
ところのものであると思うのであります。(
拍手)
從つてこの点を、
責任政治家としてあるならば、明らかにせられたい。そうして
施政の
方針の
演説の中に、
一連の
関係をも
つてこれを明白にする必要があると思うのであります。(
拍手)
何ゆえかと申し上げまするならば、それは事こまかく申し
上ぐるまでもなく、この
國家公務員法の
改正が、單なる
條文の文句の
改正だけで済むものではないことは、
與党の
皆様方もよく御
承知の
通りであります。すなわちこれは、
給與基準を
改正する問題が裏づけとならなければならない。この問題は、すでにここでしばしば論議せられまして、あるいはその額に対して多寡の論があり、あるいは、いつからこれを適用すべきかということに関しても、いろいろ
意見があるようであります。從いまして、この新
給與基準の定をすることなしに、これが通るはずはない。そうでありまするならば、これは、当然予算化せられて來なければならぬのであります。今日予算化せられるならば、むろん
歳入歳出に関する
ところの明確なる
首相の
態度がなければならない。
方針がなければならない。おそらくは、多年
主張しておられまする
ところの
民主自由党の
政策が、ここに現われて來るでありましよう。これを判然と私
どもは知るのでなければ、この
審議を進めることができないということは、明々白々の事実であります。
從つて、これを
政策の
一般の中に盛られないという
ところに、
責任回避の、まことに解しかねる点があることを、指摘しなければならないのであります。この点に関する明確なる御説明をお願い申し上げたいのであります。しかして、その財源をどこに一体求むるのか、支出の面ばかりでなくて、この収入を、
大藏大臣は一体どこに求めておるのか、はつきりするのでなければ、せつかく御
審議を進めようとすることに対して
政府の御期待に沿うような進捗を見ることはできない結果になることを懸念いたすものであります。
次に、
國民協同党として申し上げなければならないことは、すでにこの
議場において、わが党の議員の井出君から、各党各派を代表して説明の上、災害
対策に関する
ところの決議がなされておるのであります。このことに関しまして、特に私
どもは、この臨時
議会において緊急必要なるものを感ずるのであります、
從つて、明年度の増に関しまして必要なる
関係において、農林大臣の所見を伺いたい。特に明年度の増産のことを勘案して、このことを、どう一体お取扱いなさるのであろうか。特に農業災害保險法に
関係いたします
ところの保險金の支拂い、これも農民が非常なる
関心を持
つて今見ておることでありますから、その点についても、この
國会における
ところの追加予算においてこれを予算化するだけの用意があるかどうか、この点に関しまして、ただいまの
責任をはつきりと表わしていただきたいと思うのであります。
この二つの点を特に私は強調、指摘を申し上げたのでありますが、すなわち新
給與基準の問題と、災害
対策の緊急なる問題に関しまして、これを現在の
内閣の
責任において、いかなる予算化をするかということについて、このことを明確にしていただきたい。いろいろ研究せられましても、難関がおありであることはお察し申し上げます。しかしながら、この新給與の設定に関しましても、單に一時を糊塗するがごとき暫定予算においてこの問題を解決すべきものとは絶対に考えられない。この
内閣の
責任において、われらの納得する
ところの基本的なるものをここに明らかにして、これを追加予算に出すべきものと思うのであるが、それだけのことを
大藏大臣がするだけの熱意と、実際の事の進捗があるかどうかを、明らかにしていただきたいのであります。
さらにまた、この臨時
國会に臨んでおりまする
ところの吉由
内閣は、不祥なる疑獄事件に端を発して起りましたる
ところの
政局の轉換によりますることは、申し
上ぐるまでもない。かるがゆえに、この臨時
國会において、この問題が、わが國の
政治の、また官界の浄化のために、ぜひとも究明、糾彈、徹底的にこれがなされなければならぬのであります。このことがなされずして、
日本政治の再建は決してないのであります。從いまして、この種々様々、奇々怪々なる疑獄事件に
関係いたしまして、
吉田総理の率いる
民主自由党を含んだ
政策の面において、このことが徹底的に明確にされなければならない。
これがためには、なお若干の時日がかかるでありましよう。
國会がその職掌において取扱うべき
ところの問題もありましようし、檢察当局において取扱う
ところの問題もございましよう。この点に関しまして、法務総裁は、嚴正にして徹底的なる
方法によるということを言明せられておりますることは、まことに私も同意する
ところであります。しからば、現在まで、單にその覚悟を述ぶるのではなくて、すでに世の中に表わされておりましたこの疑獄事件の中で、法務総裁が
國会において発表し得る
ところの、何の事件を、どういうぐあいに、どこまで進めて調査し、また処断をしつつあるか、このことを、この席において明確にせられたいのであります。かくすることによ
つて、おそらくは新しい
時代を築き上げるための新しい議員の顔ぶれがここに出てくるであろうことを思うのであります。
いずれにいたしましても、この問題は
議会の品位のためになされなければならない。
ところが、あるいは予算の問題にいたしましても、その他の問題にいたしましても、
吉田内閣は非常なる御勉強をなされておるかにも思いますけれ
ども、なかなか難解に打当りまして、容易にそのことが進んでおらぬようにもお察し申し上げるのであります。從いまして、もしも今日なお
施政方針を明確にするだけの確信に行
つておらないとしたならば、どうしたらよろしいか、このことについて、私は一つの考えを申し上げまして、
首相のお考えを伺いたいのであります。
拝見します
ところ、この二、三日來、
議場の空氣は必要以上に險惡にな
つておるのを見るのであります。これは当然
吉田首相の
責任であることは言うまでもない。從いまして、
首相たるものは、その
責任の衝にありまする
態度においてわれら全体の議員にもつと協力を求むるような
態度がなければならないのであります。これは
責任をとる者の当然の務めであります。しかる
ところ、先日來のあの
態度は何であるか。ぜひとも御反省が願いたいのであります。この意味において、
吉田総理大臣は、
野党の
代表者の方々と穏やかなる会談をするような機会を、適当なる
方法において持
つて、この
議会を運用するだけのお考えはないだろうか、それをお勧め申し上げたいのであります。その考えがあるかないかによ
つて、またわれわれの
態度も、おのずからそこに新しいものを見出すでありましよう。
最後にまた申し上げたいのであります。先ほど林君も申されましたが、
吉田総理大臣は、この
少数與党を持
つております
ところの
内閣の
常道は早期
解散をするにありと
言つておるのであります。この点に関しまして、一言なきを得ない。いかなる
内閣と申しましても、
成立をした以上は、長い間の
主張によ
つて公表いたしましたる
ところの
政策を盛
つた施政方針の
演説がまず明らかにせられて、これに
努力するのが、これこそ
内閣の
常道である。
ところが、
施政方針の
演説もせず、またその
努力をもせずして、そうして
解散をし、あるいはまた退陣をするというようなことは、決して
常道とは考えられない。当然なすべきことをなし、発表すべきものを発表し、
努力すべきものを
努力して、その後において信を
國会に問い、しかして信任を得ざる場合において
國会を
解散するなり退陣するのが、これが
常道である。この
常道をとらずして
常道と言わんとする、これすなわち詭弁と言わなければならない。この意味において、
責任を明らかにすることが必要である。
結論を申し上げますならば、この臨時
國会において必要といたしておりまする諸財政問題に関しましても、一時も糊塗するような彌縫策ではなくて、ほんとうに納得の行くような根底のある追加予算を組むべきであるが、はたしてそれだけのことをする力が
吉田内閣にあるのかないのか、これをはつきり知りたい。またあるならば、こういうことをするのだという
責任を明らかにせられたい。その上で、われらも、なさしむべきものはこの
内閣になさしめ、なさしむべからざるものはこの
内閣になさしめないという
態度をきめなければならないと思うのであります。
以上申し上げまして、
総理大臣並びに
関係閣僚から、明快なる御
答弁を伺いたいと思うものであります。(
拍手)
〔
國務大臣林讓治君
登壇〕