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1948-11-12 第3回国会 衆議院 法務委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年十一月十二日(金曜日) 午後二時十六分
開議
出席委員
委員長代理
理事
鍛冶
良作
君
理事
八並 達雄君
岡井藤志郎
君
樋貝
詮三君
松木
宏君
井伊
誠一君
石井
繁丸
君
石川金次郎
君 榊原 千代君 森 三樹二君 荊木 一久君
中村
俊夫
君 酒井 俊雄君 佐竹
晴記
君
出席政府委員
法務調査意見長
官
兼子
一君
法務行政長官
佐藤
藤佐
君
委員外
の
出席者
專 門 員 村 教三君 專 門 員 小木 貞一君 ――
―――――――――――
十一月十一日
私立少年矯正施設存続
の請願(
庄司一郎
君紹 介)(第四二号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同日
倉敷簡易裁判所昇格等
の
陳情書外
一件 (第一三三号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件 小
委員
及び小
委員長
の
選任
に関する件
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二号)
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の 一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第五号)
罹災都市借地借家臨時処理法
第二十
五條
の二の
災害
及び同條の
規定
を
適用
する
地区
を定める法
律案
(
内閣提出
第六号) ――
―――――――――――
鍛冶良作
1
○
鍛冶委員長代理
これより
会議
を開きます。
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
、
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、罷
災都市借地借家臨時処理法
第二十
五條
の二の
災害
及び同條の
規定
を
適用
する
地区
を定める
法律案
、以上三案を一括して議題とし、
審査
を進めます。御
質疑
がありましたらお願いします。
石井繁丸
2
○
石井委員
社会党としましては、この三
法案
につきましてはいろいろ質問する点もありますので、よく打合せて
次会
にやりたいということにな
つて
おります。
次会
において質問いたしたいと思います。
中村俊夫
3
○
中村
(俊)
委員
ただいま
上程
に
なつ
た
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について、
ちよ
つとわからない点がありますから
お尋ね
したいのですが、この
家庭裁判所
は
少年法
によ
つて
定められておるのでありますが、これは
裁判所法
を
改正
しなければならぬのではないかと思うのですが、このままでいいのかどうか、御
意見
を承りたいと思います。
兼子一
4
○
兼子政府委員
ただいまの御質問の点につきましては、
家庭裁判所
というのは、今国会に提出すべき予定にな
つて
おります
裁判所法
の
改正
によ
つて
新たに設けられる
裁判所
でありまして、
從來
の
家事審判所
とは別個なものであります。
從來
の
家事審判所
は
地方
裁判所
の支部という形で、独立の
裁判所
ではなか
つた
のであります。從いまして本來から申しますれば、
裁判所法
の
改正
と同時に、あるいはそのあとでこの
家庭裁判所
の
管轄
の
区域
だけを御
審議
願うのが当然だと思うのでありますが、手続の
関係
でそれが前後いたしまして、先に
家庭裁判所
の方が出たわけであります。
鍛冶良作
5
○
鍛冶委員長代理
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
鍛冶良作
6
○
鍛冶委員長代理
速記
を始めて。
中村俊夫
7
○
中村
(俊)
委員
今のお答えによると、ただいま
上程
にな
つて
おります
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
と並行して
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
が出るということであります。そういうことであれば、われわれはこの
法案
について
審議
を進めて
行つて
もいいと思います。しかしいろいろな
客観情勢
で、あるいは衆議院の解散とかその他の事故によりまして、この
法律案
が通りましても、根本の
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
が通らなければ、効力の問題などむずかしい問題が起ると思いますので、
審議
を進めて行くことはさしつかえないと思いますが、できるだけ早く基本になる
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
を出していただき、そうして並行して
審議
をして行くことがいいのではないかと思いますので、一應希望を述べておきます。
鍛冶良作
8
○
鍛冶委員長代理
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
鍛冶良作
9
○
鍛冶委員長代理
速記
を始めて。それでは
審議
の都合上分離することにいたしまして、まず
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
の
審議
をいたします。——それでは
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
について
質疑
がございませんでしたら、一應この
審議
を打切ります。 —————————————
鍛冶良作
10
○
鍛冶委員長代理
次に罷
災都市借地借家臨時処理法
第二十
五條
の二の
災害
及び同條の
規定
を
適用
する
地区
を定める
法律案
の
審議
に移ります。御
質疑
がございましたらお願いします。
中村俊夫
11
○
中村
(俊)
委員
ただいま提案になりました罷
災都市借地借家臨時処理法
第二十
五條
の二の
災害
及び同條の
規定
を
適用
する
地区
を定める
法律案
について、
一言政府
に
お尋ね
いたしますが、罷
災都市借地借家臨時処理法
の第二十
五條
の二には「第
二條
乃至第八條、第十條乃至前條及び第三十
五條
の
規定
は、別に
法律
で定める
火災
、
震災
、
風水害
その他の
災害
のため滅失した
建物
がある場合にこれを準用する。この場合において、第
二條
第一項中「この
法律施行
の日」及び第十條中「
昭和
二十一年七月一日」を「第二十
五條
の二の
法律施行
の日」と、第二十一條中「この
法律施行
の際を「第二十
五條
の二の
法律施行
の際」と、第十
二條
中「この
法律施行
の日」を「第二十
五條
の二の
法律施行
の日」と読み替えるものとする」こうな
つて
おりますが、この中に包含する
地方
で罷
災都市借地借家臨時処理法
の
適用
を受けない
地区
があるように承知いたしておりますが、その点について、すでにどの
地区
がこの
法律
の
適用外
に置かれているかという点について
お尋ね
いたします。
佐藤藤佐
12
○
佐藤
(藤)
政府委員
お尋ね
の点でございますが、
本法
の罷
災都市借地借家臨時処理法
が設けられましたのは、過般の
戰災
による罷
災都市
に
適用
するために設けられた
法律
なのでありまするが、その後
戰災以外
の天災、たとえば
火災
、
震災
、
風水害等
の
災害
によ
つて
滅失した
建物
があ
つた
場合にも、
本法
の第二十
五條
の二によ
つて
、
本法
のそれぞれの
規定
が準用されることにな
つて
おるのであります。しかして
本法
の第
二條
によりますれば、罷
災建物
が滅失した当時におけるその
建物
の
借主
は、その
土地
の
所有者
に対して、
本法施行
の日から二箇年以内に
建物所有
の
目的
で、
所有者
に対して
賃借
の
申出
をすることができるという
権利
を認めたのでありまするが、この
規定
は惻災の後の
火災
、
震災
、
風水害等
の
災害
のため滅失した
建物
についても準用されるのであります。その準用されるのは、
本法
の二十
五條
の二に基いて、それぞれの
法律
が施行されて初めて準用されるのでありますから、たとえば
福井
市について申し上げまするならば、さきに
福井
市は
本法
の
適用
を受けて、
戰災
によ
つて
罷
災都市
として指定されておるのでありますが、その
建物
の
借主
の
賃借
申出
をなす
権利
は、本年の九月十四日ですでに期限が切れておるのであります。ところが
福井地方
に過般の
震災
がありましたために、
本法
の二十
五條
の二の
適用
を受ける
地区
を、さらに
福井
市その他の市街に
適用
するというこの
法律案
を提出いたしましたので、幸いにこの
法律案
が通りますれば、この
法律
が施行されてから二年間、さらに
福井
市その他
震災
によ
つて
罷災をこうむ
つた
建物
の
借主
は、
建物所有
の
目的
で
賃借
の
申出
をなす
権利
が、この
法律施行
の日から二年間認められることに相なるのであります。
松木宏
13
○
松木委員
ちよ
つと伺いますが、罷災によ
つて建物
が滅失した場合は、当然
借地権
が消滅するという見地から來ているのでありますか。その点はどうなるわけですか。
佐藤藤佐
14
○
佐藤
(藤)
政府委員
罷災によ
つて借地権者
の
建物
が滅失いたしましても、
從來
の
借地権
は消滅いたしませんけれども、
対抗力
がなくなりますので、その点を存続させる
意味
において
本法
は第十條を設けまして、
昭和
二十一年七月一日から五箇年以内に、その
土地
について
権利
を取得した
第三者
に
対抗
することができるという、特別の
規定
をも
つて
対抗力
を存続せしめているのであります。
松木宏
15
○
松木委員
滅失すれば
第三者
に
対抗
し得ないというのは、どういう
規定
から來ているのでありますか。
佐藤藤佐
16
○
佐藤
(藤)
政府委員
借地権者
が
建物所有
の
目的
で借地いたしまして、それを
建物
について
登記
をなして初めて
第三者
に対する
対抗要件
が
備つて來
るのでありますから、その
建物
が滅失いたしますれば、
第三者
に対する
対抗力
が一應それで打切られるものと解釈いたしておるのであります。
松木宏
17
○
松木委員
建物
が滅失したら
対抗
し得ない、
登記
しなければ
対抗
し得ないという御答弁ですけれども、
借地法
によると
登記
を経なくても
対抗
し得る
規定
にな
つて
いると思いますが、その点はどうですか。
佐藤藤佐
18
○
佐藤
(藤)
政府委員
お尋ね
の点でありますが、
建物保護
に関する
法律
におきまして、
建物
の
所有
を
目的
とする
土地
の
賃借権
によ
つて
、
土地
の
賃借入
がその
土地
の上に
登記
した
建物
を有するときは、
土地
の
賃借権
について
登記
がなくとも、それをも
つて
第三者
に
対抗
することができるという
規定
がございまするので、
建物
がなく
なつ
た場合には、
第三者
に
対抗
することができないというように解釈されるのであります。
松木宏
19
○
松木委員
私は今
法律
を見ておりませんが、ただ記憶ですけれども、
建物保護法
に
関係
なく、
借地法
によると、そういう解釈をしなくともいいように考えてお
つた
のですが、いかがですか。
佐藤藤佐
20
○
佐藤
(藤)
政府委員
土地
の
賃貸借
につきましては、
登記
をなしておりますれば、もちろんその
賃貸借
は
第三者
に
対抗
することができますことは、これは民法の原則として
規定
しておるところでありますけれども、その際にもし
土地
の
賃貸借
について
登記
がなければ、すべて
第三者
に
対抗
ができないということになりますと、その
土地
の上に建てた
建物
について
対抗要件
がなくなりますので、その際を救済しまするために、先ほど申しました
建物保護
に関する
法律
によ
つて
、たとい
土地
の
賃貸借
について
登記
がなくとも、
建物
について
登記
を持
つて
おるならば、その
土地
の
賃貸借
についても
第三者
に
対抗
ができるという、
建物所有
の
目的
で
土地
を
賃貸借
した
借地人
を保護する
意味
において、
建物保護
に関する
法律
を設けまして、そうして
建物
の
登記
があれば
第三者
に対して
土地
の
賃貸借
の
対抗
ができるというふうに設けられておるのでありますから、その
建物
もまたなく
なつ
たという場合には、
第三者
に対して全然
対抗力
がなくな
つて
しまうように解釈されるのであります。
松木宏
21
○
松木委員
いや、私はその
建物保護法
はよくわか
つて
おりますが、
借地権
というものは、
賃貸借
であろうが
地上権
であろうが、
借地法
から見て行けば、
建物
の堅牢なものは三十年とか、あるいは普通のものは二十年とな
つて
おりますし、
建物
が朽廃すれば、
借地権
が消滅するようにな
つて
おると思います。朽滅ということは、
震災
とか
火災
によ
つて
滅失したものは朽廃ではないと、私はこう解釈しておるのですが、ただ
借地権
はそういう
登記
に
関係
なく、
第三者
に
対抗
し得るような
規定
のように考えてお
つた
ものでありますから、それで伺
つて
みたのであります。
借地法
にはそう書いてある。こう私は記憶しておるのです。その点を伺
つて
おるのです。
佐藤藤佐
22
○
佐藤
(藤)
政府委員
お尋ね
の点でございますが、
借地人
の
権利
としては、たとい
建物
が滅失しましても、
借地権
は存続いたすのでありますけれども、
建物
がなくなりますると、
第三者
に対する
対抗力
がなくな
つて
しまいますので、その点を救済するために
本法
を特に制定した次第であります。
鍛冶良作
23
○
鍛冶委員長代理
ほかに御
質疑
はありませんか。ありませんでしたら、本日はこの程度にしておきます。 —————————————
鍛冶良作
24
○
鍛冶委員長代理
それからなおこの際御報告いたします。
弁護士法
に関する事項について、議長に
國政調査承認
の要求をいたしておきましたところ、本日その
承認
がありました。よ
つて
本
委員会
は、
弁護士法
を
改正
する
法律案起草
のために小
委員会
を設けたいと存じます。御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
鍛冶良作
25
○
鍛冶委員長代理
御
異議
なしと認めます。小
委員
の
選任
はいかがいたしましようか。
井伊誠一
26
○
井伊委員
弁護士法
を
改正
する
法律案起草
のための小
委員
としては
鍛冶良作
君、
猪俣浩三
君、
中村俊夫
君を
選任
し、なお小
委員長
には
鍛冶良作
君を
選任
せられんことを望みます。
鍛冶良作
27
○
鍛冶委員長代理
井伊
君の動議に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
鍛冶良作
28
○
鍛冶委員長代理
御
異議
なしと認めます。よ
つて
そのように決しました。 本日はこれで散会いたします。 午後二時五十八分散会