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1948-11-30 第3回国会 衆議院 文部委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月三十日(火曜日)     午前十一時四十分開議  出席委員    委員長 圓谷 光衞君    理事 松本 七郎君 理事 伊藤 恭一君    理事 久保 猛夫君       古賀喜太郎君    水谷  昇君       受田 新吉君    高津 正道君       田淵 実夫君    西山冨佐太君       黒岩 重治君    野老  誠君       織田 正信君  出席政府委員         文部事務官   稻田 清助君         文部事務官   辻田  力君  委員外出席者         文部事務官   篠原 義雄君         文部事務官   米原  穣君         文部事務官   深見吉之助君         文部事務官   原田  久君         文部事務官   田中  彰君         專  門  員 宇野 圓空君         專  門  員 武藤 智雄君        專  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 十一月二十五日  文部省宗務課存置に関する請願外三件(花月  純誠君紹介)(第三九八号)  國定教科書翻刻発行権並び供給権地方移譲  に関する請願高津正道君外四十六名紹介)(  第四一五号)  東北大学農学研究所存置請願嵩橋清治郎君  紹介)(第五一一号)  教育予算増額に関する請願外九件(石川金次郎  君紹介)(第五五八号)  同外一件(石川金次郎紹介)(第六四〇号)  九州大学工学部建築学科設置請願外一件(  大神善吉君外二名紹介)(第六四二号)  第七高等学校復興費國庫補助請願井上知治  君紹介)(第六四三号)  松江城改築請願木村小左衞門紹介)(第  六六四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  教育予算増額に関する陳情書外一件  (第三  九九号)  北海道新制大学設立に関する陳情書  (第四一号)  福岡女子車学校昇格陳情書  (第四三八号)  教育予算増額に関する陳情書外十七件  (第四四一号)  社会教育振興に関する陳情書  (第四四九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件   請願  一 新設國立福島大学学藝学部四年制即時実施    に関する請願圓谷辛衞紹介)(第八    号)  二 豊島区に新制大学設立請願加藤隆太郎    君紹介)(第一四号)  三 國立宮崎大学設立請願川野芳滿君紹    介)(第五一号)  四「愛善みずほ新聞」に用紙割当請願(森山    武彦君紹介)(第二一二号)  五 佐世保市に国立長崎大学水産学部設置の請    願(本多市郎君外六名紹介)(第二一七    号)  六 東北大学電氣通信研究所山形実験所研究    費国庫補助請願海野三朗紹介)(第    二三八号)  七 地方教育委員会法に関する請願外十二件(    石川金次郎紹介)(第三一二号)  八 公共図書館法制定並びに國庫補助金交付の    請願川本幸一紹介)(第三一三号)  九 社会教育費増額等に関する請願佐々木更    三君外一名紹介)(第三一五号) 一〇 出雲大社修繕費国庫補助請願木村小    左衞門紹介)(第二三〇号) 一一 災害時における教育予算滅獺反対に関する    請願佐々木更三君紹介)(第三三五号) 一二 文部省宗務課存置に関する請願外三件(    花月純誠君紹介)(第三九八号) 一三 國定教科書翻刻発行権益びに供給権地方    移譲に関する請願高津正道君外四十六名    紹介)(第四一五号) 一四 東北大学農学研究所存置請願高橋清治    郎君紹介)(第五一一号) 一五 教育予算増額に関する請願外九件(石川金    次郎紹介)(第五五八号) 一六 同外一件(石川金次郎紹介)(第六四〇    号) 一七 九州大学工学部建築学科設置請願外一    件(大神善吉君外二名紹介)(第六四二    号) 一八 第七高等学校復興費国庫補助請願井上    知治紹介)(第六四三号) 一九 松江城改築請願木村小左衛門紹介)    (第六六四号)   陳情書  一 新学制実施促進に関する陳情書    (第二六八号)  二 戦災小学校復旧に対する起債及び國庫補助    増額陳情書    (第二七七号)  三 地方に國定教科書作製委譲に関する陳情    書    (第三一五号)  四 六・三制完全実施のため全額國庫補助の陳    情書(第三五四号)  五 教育予算増額に関する陳情書外一件    (第三九本号)  六 北海道新制大学設立に関する陳情書    (第四二一号)  七 福岡女子専門学校昇格陳情書    (第四二六号)  八 教育予算増額に関する陳情書外十七件    (第四    四一号)  九 社会教育振興に関する陳情書    (第四四九号)     ―――――――――――――     〔筆記〕
  2. 圓谷光衞

    圓谷委員長 これより会議を開きます。  本日の日程請願十九件、陳情書日程九件でありますが、まず請願の第一より順次審査を進めたいと思います。  右請願の中、日程第一から第五までの請願は、去る三十五日に紹介議員説明並びに政府委員説明がありましたので、日程第六より順次審査に入りたいと思いますが、日程第六の政府説明員が見えませんので、これをあとまわしにしまして、日程第七より順次審査に入りたいと思います。  日程第七、・地方教育委員会法に関する請願外十二件、石川金次郎紹介を議題といたします。紹介議員説明を願います。
  3. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 紹介議員がおりませんので、私がかわつて簡単に申し上げます。文部省が四月下旬全國教育部長会議が呈示したところの地方教育委員会法案、並びに四月中旬新聞報道の同法案によると、中央集権主義的な教育制度地方の民主的な創意をもつて、新しい着想のもとに制度化されつつあることは、教育民主化のためにひいて日本民主化のために画期的なものとして、この制度の成立には賛意を表するものであります。しかして教育地方分権を行うためには、同時にこれに伴う大幅の財源地方委譲が、実現されなければならないと考えるのであります。現在地方の困難さは予想以上にはなはだしく、理想的な制度も、その成果は望めない状態であります。財政上の地方分権の確立を見、財政が豊かになり、各種学校地域的にあんばい設置されるならば、教育委員会を持つことも当然であるけれども、わが國の、特にわが岩手縣現状から、早急の実施には多くの困難があり、相当準備機関が必要であります。以上の観点から教育地方分権は、財政地方移譲とともに漸進的に行うべきものであると思考されるにつきまして、教育委員会制度に際しては、特別の取はからいをなされるように請願する。その修正意見としては一、教育委員会設置はまず都道府縣と五大都市大阪、京都、神戸名古屋、横浜にとどめ、このために必要な財源地方に委譲すること、二、相当準備期間財政上の措置ができたとき、大都市から小都市町村に及ぼすこと、三、暫定措置として郡市に出先事務局を設けること、四、現職教員地方教育委員としての立候補の自由を禁止あるいは制限しないこと、これが修正意見であります。以上が請願趣旨であります。
  4. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの請願のことに関連いたしまして政府の所見を申し上げたいと思います。ただいまお話がありました教育委員会法は、去る第二國会におきまして両院を修正の上通過したものでありますが、そのうち十月五日に委員会法に基きまする選挙がありましたし、十一月一日の教育委員会が全面的に発足しておるのであります。從つて今日までの実情から見ますると、選挙委員会自体とは発足早々のことでありまするので、委員会法内容が積極的であるかどうかということにつきましては、政府としては愼重に調査し研究しておる最中でございます。今ただちにこの点が適当である、どうであるということについて、確かな御返答を申し上げる時期に達していないと存ずるのであります。ただお示しの四つの点につきまして若干申し上げたいと存じます。まず第一に教育委員会設置については、都道縣並びに大都市にとどめるということでありますが、これはその次の相当準備期間財政上の措置ができたとき、大都市から小都市町村に及ぼすという事項と関連して、考えなければならない問題であろうと思います。申すまでもなく今回は都道府縣と五大都市のみには、義務として設置しなければならないのでありますが、その他の市町村につきましては二箇年間の猶予期間があつたのであります。しかし実際としては四十六の市町村教育委員会設置することを希望されまして、それぞれ十一月一日から実施しておられるのでありますが、その他の町村においてはこの二箇年の間に諸般の事柄を考慮して、たとえば財政上の事柄等も十分考慮して、その間に十分の準備を整えて設置すればいいことになつておりますので、この点につきましてはもうしばらく実施した実体を見きわめた上で、これに対する処置を考えなければならないと存ずる次第でございます。暫定措置として郡市に出先事務局を設けるということがありますが、これはそれぞれの市町村に全面的に教育委員会ができない現状におきましては、実際問題として出先出張所ができておるのでありまして、都道府縣の教育委員会出張所のようなものが、もとの地方事務所の所在地にそれぞれございまして、そこで事務を処理しておりますので、御趣旨に滑つておるわけであろうと思います。それぞれの市町村教育委員会ができましたあかつきにおきましては、十分研究したいと思つております。それから次に現職教員教育委員たり得ることということにつきまして、ただいま御説明がありましたので、伺いますると立候補を禁止しないということに重点があるようでありまするが、これは私から申し上げるまでもなく立候補はできるごとになつておりますので、これについては御説明の要はないと思います。以上であります。     —————————————
  5. 圓谷光衞

  6. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 山本幸一君がおりませんから私からお願いいたします。この請願東海各市市議会議長会議長をやつておりまする松原喜八君から提出されたものであります。この請願趣旨公共図書館法制定補助金交付についてであります。その理由といたしましては、公共図書館法案によりますと、都道府縣に対しては経営費の二分の一を國費持ち、また災害復旧費の二分の一を國庫支弁というのでありますが、市に対しては公共図書館設置しても何ら國費補助がないのけまことに不合理である。よつて市の設置したところの公共図書館に対しても、都道府縣と同様に國費補助を交付されるように要望する。右は第十七回の東海各市市議会議長会議の決議によつて決定したものでありますから、これを請願場理由といたします次第でございます。こういうのでありますから、この趣旨政府においても御了解いただきたいと思います。
  7. 稻田清助

    ○稻田政府委員 公共図書館法制定につきましては、ただいま当局の方におきまして、でき得るならば通常國会に提出いたしたいつもりで、立案を進めておるわけでございます。ただいまお話國庫補助二分の一、あるいは市に対しましては補助がないというようなお趣旨でございまするが、現在そのような研究はされておらないのでありまして、図書館法制定されましたあかつきには、市に対しましても、縣市ともに同様な補助ができるようにいたしたいと考えておるわけであります。なお現在災害復旧等に対しましては、二分の一の國庫補助が全部実施されておるわけでありまして、将来の問題についてもこれに劣らないだけの措置を、いたしたいと考えておるわけでございます。御趣旨の線に沿つてただいま研究されておると申し上げたいと存じまする     —————————————
  8. 圓谷光衞

  9. 伊藤恭一

    伊藤(恭)委員 紹介議員がいませんから私から紹介いたします。この請願宮城縣社会教育研究大会代表者が連名して提出したものであります。世界における最も理想的な新日本を建設しようとする現在、緊切かつ根本的なものは疲弊と苦しみの中から立ち上る旺成なる復興精神を振作し、國民教育と道義とを向上させることであります。この中から人間をつくることがよい國をつくることであり、産業を興すことであつて、今こそ社会教育振興をはからなければなりません。各種社会教育機関がその組織を整理し、その機能を十分に発揮し得る態勢を確立するために、次の事項の急速な実現をはかられることを、宮城縣社会教育研究大会といたしましては、切に請願いたす次第でございます。請願事項、一、國は社会教育重要性にかんがみ、社会教育費大幅増額を実現すること、二、地方における社会教育中枢機関でもる公民館設備費人件費については、國費をもつて補助する方途を講ずる。と、三、俗悪出版物に対する方途を講ずるとともに、優良出版物優良映画普及ををはかること、四、場通信教育及び定時制高等学校徹底的実施をはかり、地方勤労青年に対する教育機会均等をはかること以上であります。
  10. 深見吉之助

    深見説明員 社会教育振興につきましては、ただいまの請願の御趣旨の通りに、われわれとしましても今日の情勢にかんがみまして、極力これが増強徹底を期したいと考えておる次第でございます。  ただいまのお説明の中の諸点につきまして、それぞれお答えをいたしたいと思いますが、社会教育費大幅引上げにつきましては、われわれもその線に沿つて努力をいたしておる次第でございます。公民館設備費に対しましても、國庫補助は現在社会教育についての法的根拠制定いたしたいと存じまして、その研究をいたしておるのでありますが、この中におきまして、公民館國庫補助が行える道を開きたいと存じまして、研究をいたしておるわけでございます。次に俗悪出版物の排除、優秀出版物映画等普及でございますが、現在出版法が全面的に停止になつておりまして、出版物に対しましての取締りを行えないことになつております。ただ刑法によりましての取締りのみが行われておるのであります。しかしながら現在非常な俗悪な出版物が巷間にございます事実にかんがみまして、主として文部省といたしましては精神的な面から教養を高めまして、良書を読む習慣をつくるようにして、悪書に眼を向けないような立派な教養を持つた人々を、養成して行かなければならないといつたような立場から、それぞれの教育機関を通じまして、あるいは文化国体等を通じまして、そういう運動を起して行きたい。こういうふうに考えております。ただいまただちに取締り等措置はできないのであります。なお優良出版の推薦というような点も、これを政府等で行いますことは穏当でないと考えておりますので、民間の文化團体等においてあるいは出版協会等におきまして、この措置が講ぜられることを希望いたしております。なお映画につきましては文部省の方におきまして、教育に適した映画審査する教育映画審査委員会というものができておりまして、ここで教育に適した映画審査いたしまして公表をいたしております。しかしこれは格付をするわけではなくて、ただこういう映画教育的に適当であるということを皆さんにお知らせをするといつた、きわめて民主的な線に沿つて行われているものであります。  通信教育徹底でありますが、これも昨年通信教育制度実施いたしまして、全國の各縣に中等学校一、高等学校一の通信教育指定校設置されまして、これらが現在活動をしておるのでありますが、ただ教科書発行がいろいろな都合で遅れておりますので、まだ十分にその効果を上げるに至つておらないことはたいへん遺憾と思いますが、今後この点は大いに改善し、また強力に普及して参りたいと考えております。     —————————————
  11. 圓谷光衞

  12. 西山冨佐太

    西山委員 紹介議員がおりませんから私より御説明をいたします。  出雲大社修繕費補助請願でありまするが、本請願要旨昭和十七年より五箇年継続事業として施行されました出雲大社修理工事は終戦によつて中止され、屋根その他の腐朽が著しく、まつたく捨てておくことはできない現状にあります。また同地域島根牛島國立公園地域に編入されることになつており・観光の面からも、その修理が早急に要望されております。ついては國庫補助をもつてすみやかにその修理に着手されることを望むものであります。以上です。
  13. 深見吉之助

    深見説明員 出雲大社修築につきましては、國の方におきましても非常に重要なことを認識いたしておりまして、大社の方といろいろ打合せております。本年度においで五十万円の修築補助をいたすことに決定をいたしておりますが、それではとうてい足りないのでありまして、今後何箇年か継続をいたしまして神社と協力をして、修築の完成を期したいと考えておる次第でございます。
  14. 圓谷光衞

    圓谷委員長 日程第一一ですが、政府説明員が参りませんからあとまわしにしまして、日程第一二、文部省宗務課存置に関する請願外三件、花月純誠君紹介
  15. 西山冨佐太

    西山委員 私よりかわつて紹介説明をいたします。請願者和歌山縣高野金剛峰寺内谷本忍雅外三名でありますが、文部省宗務課存置に関する請願でございます。  本請願要旨は近く文部省宗務課廃止するやに傳えられますが、これが廃止は時期尚早であるばかりでなく、宗家の実状を無視した措置であり、また宗教界に深刻なる混乱を生ずるおそれがあります。ついては文部省宗務課存置されたいというのであります。
  16. 篠原義雄

    篠原説明員 請願のお趣旨はもつともと存じますが、これが問題とされるに至りましたのは、前議会に文部省設置法案を提出する予定でありました。その設置法案の中に宗教事務に関する規定を設けたらどうか、あるいは設けるのが行き過ぎであるかどうかというような問題が出まして、これは政教分離あるいは信教の自由の原則から純理論的に論議されたところであります。その際論議中に外部にそれが知れまして、宗教界が非常に問題にいたした次第でございます。ただいまのところ々部省設置法案が未決定状態でありまするし、なお宗務課存置についてもこれと並行して参る次第でございますので、ただいま文部省が考えておりますところは、宗教團体に対しましては指導したりあるいは監督したり取締つたりするということは全然考えておりませんので、先ほど申します政教分離、信教自由の原則から行き過ぎになるようなことのないようにしたい。なお将来も宗教事務の機構の性格についてもそういうふうに進めたいということで、目下研究中でございまして、この内容といたしましては政府宗教国体との連絡だとか、あるいは宗教團体の間で生ずる一般的な共通の問題処理、こういうことは当然必要だというふうに考えておりまして、本省をいたしましては宗教界現状から、陳情趣旨に沿いまして鋭意研究中でございます。
  17. 圓谷光衞

    圓谷委員長 十二の問題についてお伺いしたいのですが、過日文部省より、神社佛閣團体見学をやつてはいけないというような通知を行つたので、日光その他の地方神社佛閣は非常な恐慌を來しておるわけです。宗教は自由であるから生徒を連れて参拝させることは悪いという意味なのでしようが、なんらかの形でこの問題を緩和するようなお考えがございますかどうか。その点についてお伺いいたしたいと存じます。
  18. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの点についてお答え申し上げたいと存じます。お話の点は本年七月文部省教育部長会議をもちまして都道府縣知事、教員養成所小学校に対しまして通牒を発しましたことから起つたようでございます。この通牒趣旨といたしますところは、学習指導要領社会科の取扱いに関しまして、さきに連合國最高司令官指令で出ました國家神道神社神道に対する政府の保障、支援、保全、監督並弘布廃止に関する覚書の原則に違反するおそれのないように、という趣旨をもつて出しました通牒でございまして、從來、ともいたしますと社会科に関しまする学習指導要領解釈において、また実際の教育において、こうした神道に関しまする指令に違反するようなおそれがあるように聞いておりましたので、こうした指令に違反しないというような趣旨で注意を促したわけでございます。そのうちに公立または國立学校が従來のように神社佛閣、教会を訪問することは指令に違反するから、注意するようにという條項があるわけでございます。実際問題として種々考えられることであろうと思いますが、やはりこの指令解釈という点から出発いたしまして、これに触れるおそれがあれば十分愼しまなければならないという趣旨でございまして、個々の場合に学校当局が十分この指令趣旨を休して、やつていただかなければならないということでございます。この問題についてただいま委員長からお話のように、従來各学校がやつておりまする修学族行等がはたしてできるかできないかという点に、種々質問があり疑念があつたのでありますが、今申し上げましたように……。それはやはり個々の場合の具体的事情に即して、指令違反という点を十分考えていただかなければならない問題で一般的に抽象的に言いがたいわけであります。しかしながら文部省といたしましても、なるべくこの解釈を明らかにする必要があると考えておりまして、目下いろいろそれに関しまする措置を考究中でございます。いずれその点につきましてもう少し具体的に、一般に示し得る時期が参ると存じます。     —————————————
  19. 圓谷光衞

  20. 高津正道

    高津委員 國定教科書翻刻発行権並び供給権地方移譲に関する請願が、大阪市北区天満橋筋六丁目二十九番地、請願人代表内山義雄氏から出ております。この請願人は、仙台市東三番町百七十、菅野千代夫氏(東北図書株式会社代表者)、富山縣出町小野総次氏(北陸教育書籍株式会社代表者)、名古屋市東区堅杉ノ町五ノ五、高橋通平氏、(中部図書株式会社代表者)、大阪市北区天神橋筋一丁目四十六、松本研三氏(近畿図書株式会社代表者)、岡山市中山下町四十番地、谷口久吉氏(山陽図書出版株式会社代表者)、高松市西瓦町二百九十四、牟禮政次郎氏(四國図書出版株式会社代表者)、神戸兵庫区湊町一丁目二十九、岡恒一氏(兵庫図書株式会社代表者)、山口市小郡町、波多野英三氏(山口縣図書出版株式会社代表者)、福岡市上名島町五十三、大隈憲次郎氏(北九州書籍株式会社代表者)、廣島市上流同時二、齋藤悦三氏(中国出版株式会社代表者)、熊本市本山町四百九十九、藤井利七氏(南九州書籍株式会社代表者)、これだけの人の請願でありまして、そうしてこの請願は、荊木一久神山榮一織田正信高岡忠弘黒岩重治渡邊良夫清澤俊英受田新吉外崎千代吉猪俣浩三山崎岩男竹谷源太郎、稻村順三、田淵実夫中垣國男淺沼稻次郎早稲田柳右工門西村榮一伊藤恭一西山冨佐太後藤悦治椎熊三郎三好竹勇青木清左ヱ門馬越晃安東義良重井鹿治矢星章三郎川崎秀二松井豊吉中村嘉壽福田繁芳小西寅松細川八十八武田キヨ岡野繁藏天野久加藤吉太夫中村俊夫秋田大助坪川信三圖司安正宇都宮則綱菊池義郎松原喜之次山崎道子、それに私を加えまして四十七名の衆議院議員紹介にかかるものであります。  まずその要旨を申しますとし文部大臣著作権を有せられる國定教科書翻刻発行権並び近接地区学校への供給権を、下名等地方散在書籍発行会社に分散付與せらるるよう、御審議の上御決議相成たしというのであります。申すまでもなくこれは從來のような下請でなく、発行権供給権との地方委譲を申すのであり、既存の会社の発行総数の二割か三割かを、種目別に委譲してもらいたいという意味であります。その理由を申しますと、現在この國定教科書発行は明治四十二年十月二日文部省告示第二四五号の規程にのつとり、東京書籍株式会社、日本書籍株式会社、大日本図書株式会社外四会社が飜刻発行並びに供給を行つていますが、本年十一月をもつて文部省との間における右に関する諸契約が、満期終了するものであります。時あたかも第二臨時國会において「教科書発行に関する臨時措置法」が決議されて施行されることとなりましたが、その第一條の目的趣旨に最も適合する左記の諸地方の各書籍発行会社へ、新しく翻刻発行権の分與を受けるとともに、会社所在地方の各学校への供給を行おうとするものであります。  終戦以來、教育に関する諸制度が次々と革新されつつある際、ひとり国定教科書発行が一部識者並びに父兄たちの非難のうちに、明治四十三年來の古き形態を継続されつつあることは、國民一般のひとしく遺憾とするところで、教科書は八千万国民の何人もが一定の年齢期間、実に九年の長き間、全國のすみずみにわたり必ず使用しなければならぬ重要かつ大量なものであるのみならず、その主要材料たる残の生産が、國民大衆の生活欲の犠牲を強要して優先的に生産さるること思い合わせるとき、東京都に偏在した数社のみの独占によつて、全教科書発行供給される現在の教科書行政は、教育行政の面から見るも、國民思想の動向から見るも、政治の要諦とは考えられないのであります。國会におかれてはよろしく右諸事情御詮議の上、下名等が代表する地方散在の各書籍発行会社に、國定教科書翻刻発行権並び供給権を、分散付與されるように決議相ならんことを、陳情書並びに参考書を添えて請願いたします。これが本請願理由の大要であります。この請願は各地区の業者が非常に熱心にいたしておるものであり、かつ昭和二十三年度用を千五百万冊ばかり印刷製本した経験を持つており、このことを地方では業者のみならず、児童もその父兄も感激を持つていることでもありますから、やや長くなります。が、業者の申すことを一応委員各位にお聞きとり願いたいと思うのであります。  第一わが國の紙の総生産量と教科書用紙の数量について申しますと、現在國定教科書に使用されている用紙は主として印刷紙であります。印刷紙はわが國で生産される残の総量すなわち新聞巻取紙や包装紙、ボール紙等を含めたものの三六%三二に達しています。これは本年一月から三月まで、すなわち第四四中期の実績に徴したのでありますが、大体毎期大した変化のない比率であります。数量と比率を申し上げますと、単位は千ポンドで申し上げますが、一億六百四十二万三千ポンド、これが総配当量であります。六千四十万三千ポンド、これが新聞巻取紙であります。七千四百九十七万七千ポンド、これが印刷紙であります。二百十五万ポンド、筆記図画用紙、千九百八十万八千ポンド、包装用紙並びにクラフト用紙、六百七十三万五千ポンド、特殊用紙、二千六百四十三万六千ポンド、これがボール、板紙です。三百十六万一千ポンド、これが和紙です。千二百七十五万一千ポンド、これが非指定紙であります。そうしてこのわが國の塵紙量の三六%三二に達する印刷紙の本年一月より九月末までの商工省の用途別配分量は、総量一億七千四百二十二万四千ポンドに達していますが、國定教科書用としてはそれの二七%の四千七百五万六千ポンド程度が配分されています。貨車一輌の積載量が二万ポンド(二千四百貫)程度でありますから、笑に二千三百七十八輌の多数に上ります。今、用途別にその使用量を申しますと、印刷紙総量が一億七千四百二十才万四千ポンドであります。四千七百五万六千ポンドが教科書用、千九百八十三万三千ポンド、これが教育ノート用、二千六百六十二万五千ポンド、出版用、三百四十九万三千ポンド、これは進駐軍及び経験処理用、千五百八十五万ポンド、学習用紙用、五百七十一万三千ポンド、專売局並びに印刷局用、八百八十六万六千ポンド、鉄道並びに逓信事業用、四千七百七十八万八千ポンドがその他宮民需一切の合計でありまして、國定教科書は印刷紙需要の最高のものであります。鉄道事業や逓信事業が現業官庁として相当量の紙を使用されるものと考えておりましたが、この両者を合せても教科書用の一割八分にしか達していないことを知ることができました。なお印刷紙の二七%という数字は、わが國の毎日発行される新聞用紙や板紙、荷造箱用ボール紙、家庭用障子紙も入れてあらゆる指定紙の生産量の一割に相当いたしまする  第二に統制のもたらす社会的影響を無視された教科書行政という点から、檢討してみましよう。右のように教科書は実に大量の紙を使用いたします。紙は絶対的統制品であり、印刷紙中の二七%までが教科書用に差引かれるとすれば、当然他の一面にはその影響を受ける犠牲者が出ることは、御了承願えると思います。印刷機械が何千台並ぼうとも、印刷業というものは紙がたければ成り立たぬ業種であることも、お認めいただけると思います。教科書の公益性のために教科書に吸放される歩合が、今日のわが國の紙の生産状態から見て、相当高率なものであることも御承認願えると思いますが、これによつてひとり業態の安逸をむさぼり得るものは、紙より教科書への二次的生産工程の受益者、すなわち七社の現教科書飜刻発行会社であり、犠牲の首の座にすわるものは、政治の首都東京都を遠く離れた地方印刷業者であることを、御認め願いたいと存じます。換言すれば、統制の綱によつて地方講者を締め上げながら、七社の特殊独占会社を保護育成するという形態であることを、御回想願われるかと存じます。またこれは傾斜生産などという言葉で片づけられる事柄でもないと考えますが、何としても現在の教科書行政は、一般が考えている民主的な政治とは、縁遠いものであることを思わざるを得ないわけであります。  第三に現存飜刻会社の実態を把握されたいということを、申し上げたいのであります。現在の国定教科書飜刻発行会社は七社となつてはいますが、最も大量を発行する四つの会社のうち、三つは日本における最大の三印刷会社の出店的存在であり、一つはその傍系会社であります。礎つて在來より発行教科書の全数量を、発行会社の自営工場で製造しなかつたのであります。というよりもむしろ意識してその設備を備えずして能力不足を右三大印刷会社の本社工場、分工場、各地の自家経営の支社工場等で行い、時としては町工場へ下職あるいは下職のまた下職に出して、生産したものであります。その観念、方針のもとに進んで来たものでありますが、その観念はいつの間にか通常化されて、三大印刷会社の社長または重役が飜刻会社を自由に支配経営するという状態で、現在飜刻発行会社の看板は、実は教科書の飜刻発行権を得る一つの手段としか、われわれには見得ないもので、教科書の飜刻発行規程によれば、飜刻会社は一つの一般印刷物を生産するにも文部当局の許可を要することになつているというほど厳重なものだと聞いていますが、内面事情を知らぬ私どもはすこぶる奇妙な感じを抱くものであります。またこれら三大印刷会社のうちには、戦災印刷業者が営々と復旧に努力しているところの地方都市に、輪転機や印刷機を持ち込んで工場を新しく建設し、まず自己の出店的飜刻会社の受註教科書の生産によつて工場を経営しつつ、徐々にその土地の印刷地盤を蚕食するという、最も巧妙な案をとられつつある例は三、四にとどまりませんが、教科書というものが厖大な数に上るため、かくのごとき用途をもつものかなと、地方業者は三歎するとともに、統制というものの施行いかんによつては、恐るべき病弊を有するものなりとの感を深くしているばかりでなく、政府が唱道される資本集中排除とは、右のごとき弊害を除去することが目的だと存じます。ことに御考慮を願いたいのは、現在の飜刻発行会社が四十年の長きにわたり、わが國の小國民に侵略戦争の思想を植えつけた罪は、絶対に不問に付さるべきものではないと存じます。それがよし時の政府の指示に從つたとはいえ、きのうの侵略謳歌者が今日は平和主義を讃仰するという教科書発行会社であつては、教育の尊厳がいかにして保たれ得るものでありましよう。この点からするも現在の飜刻発行会融はみずから教科書発行を辞退すべきだと存じます。  第四に地方書籍発行会社の結成された経緯を申しますと、私どもは決して現在の政治に不満を持つものではありません。しかしおよそ印刷業なるものは、紙というものを離れては成り立たない業種であります。第一から第三までの点を考慮して、昨年来全國の地方印刷業者が東京都に集まりまして、國定教科書地方委譲全國期成同盟を結成いたし、時の文部当局、代議士、参議院議員各位に陳情趣旨貫徹に努力いたしましたが、幸いにも衆議院文教委員の関心を寄せられるところとなり、すなわち昭和二十三年十月二十七日の文教委員会は  一、文部省從來、國定教科書の製造供給を独占的に数個の書籍会社に委ねていたが、能う限りすみやかにこの独占制を廃止し、新たに合理的制度を設けること。  二、昭和二十二年度の國定教科書の製造配給においては、諸種の事情によるとはいえ遺憾の点が多かつた。昭和三十三年度分の印刷製造配給等に関しては、第一項の精神に従いできるだけ地方の能力も利用して、この状態を繰返すことなきよう、関係者のすべての誠意と努力とにより最善を盡くされたきこと。  これを要約すれば「教科書製造供給の独占制を廃止し、できる限り地方の印刷能力を利用せよ」との御決議により、私どもも教科書の製造供給に参加し得たと思いきや、「地方には飜刻発行権を受入れる法的根拠なし」との理由により、二十三年度分は飜刻発行会社の単なる下請として、全発行教科書の一割、すなわち一千五百万冊ほどを二十四府縣の印刷業者が、印刷製本に従事したにとどまつたのであります。私どもは、それら一千五百万冊の教科書の生産に誠意を盡くすとともに、地方有志者に諮り、教科書の飜刻権受入体制たる書籍発行会社の結成に努めました。現在では三十二府縣の地域に、十一社の印刷業者を中心とする書籍発行会社を結成いたしましたが、これをもつて國定教科書の講刻発行権並びに供給会社といたしたい存念であります。これは教科書重要性にかんがみ、地域内に印刷業者のある限り、絶対責任をもつて教科書の生産供給に当り得る、複数責任制書籍発行会社とも称し得るものでありまする地域内に教科書を迎えるために特に創立された会社であります。  第五に飜刻発行権が分散された場合の利点を申し上げましよう。この利点は種々ありますが、主たるものを数えてみますと   一、地方産業の振興   一、地方文化の昂揚(印刷出版は文化の先駆をなす。)   一、過去の関東震災のごとき場合、現存飜刻発行会社が東京都に集中していては、教科書発行不能を招来するが、それを防げる。   一、地方の製紙会社でできた紙を一応東京へ集荷して教科書にした後、さらに、地方へ送り返すという國家的むだが省ける。(年間七千万ポンドの教科書用紙発送には三千五百輌の貨車がいる。教科書の製品発送にもまた同軸数の貨車がいる。)   一、地方人は政府の政策に信頼を持つ。教科書の不足あるいは供給遅延等のことがあつても、その事情を納得することができる。   一、資本集中の排除等数え來れば限りがないと存じます。國会は以上の事実を御許議の上、どうか決議をもつて文部当局の誤れる教科書行政を是正されんことを、ひたすら陳情いたします。  委員諸氏には御迷惑のことと存じますが、今よりも短かい文章でありますから、もう少しだけ述べさしていただきたいと思います。業者はさだめし喜ぶことであけましよう。業者の申すことはこうでございます。  私たちの希望する飜刻発行権供給権その他の地方移譲について、私たちの意図がよくのみ込めないで、一部の人たちの間に種々の臆測や誤解があるように思われますから、その誤解を解いてみたいと存じます。  第一、今回新たに設立を見た地方十一の書籍会社は、何も既存の七つの飜刻発行会社にとつてかわつて文部省からその指定を受けようというのではありません。現在の七社の中に私たち十一社を、門戸を開放して仲間入りさせていただきたいと主張するのであります。それも私たち新設会社の能力や会社の権成や、機能に応じてお考え願いたいというのであります。しかも私たち各社が持つ地域の全児童生徒数の、全種目の教科書の飜刻発行権並びに供給権を、各社が一様に希望しているのでさえもないのであります。既存の各社とおのずから種々な点で差違のあることは認めています。各社の能力や状態に即した種目や部数の委譲を要求しているのであります。具体的に申しますれば、たとえばA社は國語と算数、B社は理科、G社は社会と家庭といつたぐあいに、最も合理的な処置を望むのであります。第二、地方へ出せば供給がうまく行かないということを幾度も耳にしますが、私たち各社は、それぞれの縣に支社を設置して自動車で配本できるよう、万全を期しているのであります。また現在の特約供給所や販売店等で、私たち書籍会社の株主になつているところも相当あり、いつでもその機能を発揮するものと確信しでおります。東京書籍株式会社、日本書籍株式会社、大阪書籍株式会社、この小学校側の三社は、四十年間につちかつた供給網であるから、完全無欠であるがごとく吹聴していますが、それは集金や予納金の取立てに便であるだけで、よく見ればかえつてむだな面が多いのであります。また発送資材も現在の五分の一以下で十分こと足りましようし、それら資材の入手も地方の方が確実であり低廉であることも事実であります。  第三、地方会社では資金に行き詰まるだろうと御心配してくださる向きもありますが、現在の七会社で十億円を出すといえばたいへんなことに違いありませんが、七社が十八社になればさほど大した問題ではないのであります。教科書のごとき確実な事業となりますと、その金融の面は、東京より地方の方が案外に樂で、金融界とは十分な了解が成立しています。これが地方の特異性でもあります。  第四、私たち十一社の分布をごらんくださればおわかりになるように、各会社ともその地区または隣接地区に、それぞれ有力製紙会社を持つております。用紙の供給もその製紙会社からすれば、輸送の上からも非常に便利であるばかりでなく、破損紙等のむだが少くなり、國家の利益も莫大なものがあると信じます。  第五、文部省では、七会社が十にも十五にもなれば煩雑でとてもやつて行けない。と申されますが、私たち十一祉には東京都神田に日本教科書協会という連合した代行機関があつて、それがその任に当れば一つ会社が多くなつたことになるだけで、さして問題とするほどのことでもないのであります。またこれら地方会社も、既存会社御自慢の特有の教科書活字をさえ整備しています。自営工場を持つ小学校三冠は國定教科書地方委譲が実現すれば、自営権の侵害であり、社会問題でもあるといいますが、既存会社は飜刻発行規定による飜刻発行会社の性格から離脱して、種々な印刷面に進出している現状であつて、今さら自営権の侵害も社会問題でもないのであります。また私たちとしましても、関東地区四百万の児童数を有する廣大地区に、新書籍会社設立の意思は毛頭ないのであります。自営工場を有する東京二社の最小限度の運営は、この地区だけでも十分やつて行けるのであります。いずれの観点からしても、私たちの主張が決してむりでないことは御了解願えたことと思います。日本の教科書界における三井、三菱、安田財閥ともいうべきものを抑制するために、よろしく御明断を願う次第であります。私たちはこの世紀の黎明に際会して地方文化の高揚、地方産業の発展を期すこと切なるものがあるのであります。もし私たちの願いが達成されれば、地方民がこの民主革命の、地方に及ぼす良き影響を感謝するであろうということを確信いたします。  以上五つの誤解ないし疑点に対して、若干申し上げましたが、これでもつて大体私たち十一社の主張の妥当性を、十分に御認識いただけたかと思うのであります。どうか委員諸氏におかれましては独占の排除、地方文化、地方産業の向上という意味も加味されまして、この請願の採択になりますように、御審議を願いたいと思う次第であります。
  21. 西山冨佐太

    西山委員 教科書の飜刻発行供給権地方委譲につきまして、今高津委員より詳細なる説明がありましたから、あえて駄足を加える必要もありません。これはさきの文教委員会においても要望しておるところであり院ますので、文部省におきましてはこれが実現するように、ひとつ一段のごあつせんを願いたいと思います。そうして本日これを採択され、これを院議の決定にするまでにお運びを願いたいと思います。
  22. 稻田清助

    ○稻田政府委員 本件に関しまして一応御説明申し上げたいと存じております。ただいまのお話がありましたように、第一國会の際に文化委員会において教科書発行供給については独占制を廃して、合理的な制度を考えるようにというお申し合せの趣旨に対しましては、文部省といたしましても鋭意その趣旨を体しまして、研究して参つたところでございます。もつとも根本的な問題といたしましては御承知のごとくあらゆる教科書に対しまして廣く検定制度を開きまして、將來は文部省におきまして新たに國定教科書の編纂をやらないことを原則といたしております。この検定制度の発達、助長を念願として各種の方法を講じておるわけでありますので、いずれ近いうちに國定教科書がとつてかわられまして、消滅する時期が来るであろうと思うのであります。これが根本の問題でございますが、ともかく國定教科書が一部でも存続しております間において、何らか合理的な方法を考えるという問題について、前第二國会において御説明申し上げましたように、教科書図書委員会という委員会がございまして、こういう教科書の根本問題について審議する機関がございますので、これにこの問題を付議いたしまして、同委員会においてかなり長い時日を費しまして研究して参つたわけであります。その結果教科書用図書委員会から二つの答申が出ております。一つは飜刻発行制度に関しまする根本的な対策、一つは明二十四年度の教科書に関しまする暫定措置案でございます。暫定措置案の方から申しますると、来年の四月以降につくりまする教科書の製造発行につきましては、初めて檢定制度実施いたしますにつきまして、なるべく多くの機関をこうした検定教科書の編纂のために用意しなければならない。またその審査に対しましても相当期間を置くというようなこともいたしまして、教科書に関する臨時措置法の規定によりまして、日本全國に展示会を開きましたのが八月の末でございます。そこで各学校からの注文をまとめまして、これが縣で集計され、文部省に集まつて参りますのが、およそ十月か十一月のころと同委員会では見当をつけたわけでございます。実際のところ十一月の初旬において、初めてこの資料が確定いたしたわけでございます。こうして本年度の特殊事情といたしまして、教科書の所要数量の確定が非常に遅れた。その遅れた最後におきまして、自由競争とかその他の方法をもつて、従来固定会社にやらしておりましたものを別にやらせるということになつて参りますと、その事後において製造に着手する場合に、来年の四月に全面的に教科書は供給できないというような見通しが立つたわけでございます。もう一面その数量が確定いたします間に、だれがこれを引受けるかということがきまりませんと、そのために教科書に向けられます紙が、事実教科書の面に向いて来ないというおそれもあることと考えまして、やむなく明二十四年度使用分につきましては、二十三年と同じように飜刻発行会社に飜刻発行をさせるけれども、なるべく多数を地方に委託その他の方法をもつて地方の印刷力を用いるようにという答申がございました。その線に従いまして、すでに二十四年度の教科書につきましては、夏の終りごろから製造計画に着手いたしたわけでございます。その結果といたしまして國定教科書の第一次発行計画の中で、平均一八%は地方の印刷にまかせることにいたしております。最低は一五%多いのは二五%に及んでおります。いずれ第三次計画ができまする場合におきまして、極力地方に対しまする分量は多くいたしたいと考えております。なおまた飜刻発行会社と地方印刷会社との間において、不当な取引がないように、それを確保する意味におきまして、詳細な定価の算定基準をつくり生産機能の詳細な表をつくりまして、それによつて中央も地方もやるようにいたしまして、それに対しましては私どもといたしましても極力厳重な監督をいたしたい。かように考えておるわけであります。さしあたり二十四年度はそうしたやむを得ざる事情におきまして、昨年と同様な方法をとるのやむなきに至つたのでありますが、今後の措置としましては、教科書用図書委員会が答申いたしましたもう一つの案の線に沿つて、私どもといたしましても努力いたしたいと考えております。これは國定教科書につきましても、自由競争の方策を答申しております。廣く一般に國定教科書発行したいという者を募りまして、それに基いて資格を審査する。それも特別の委員会を設けまして公正に資格を審査いたしまして、合格したものにつきまして各科目を一定の量に分けまして競争入札させる。競争の方法といたしましては定価の安きを争わせる方法もございまするし、また文部省に納める印税の多くを爭わしめる方法もある。いずれも期するところは同じわけでありますから、その二つのうちいずれの方法をとりましても、まつたく自由な競争をとる。こういうような答申であります。ただその場合におきましてもなおこうした教科書用の紙が完全に教科書となり、しかもまた完全に配給される。要するに教科書用図書委員会としましては、最もよい教科書が、最も安く最も確実に最も早く供給されることを念願として、この制度が考えられましたので、そうした点を確保する意味におきまして、あるいはまた一面業者を助け検定制度を育成する意味におきまして、教科書公團の設立ということを答申して参つたのであります。つまり一つの教科書公團を設立しまして、公園において教科書用の紙その他の資材を買取りまして、これを発行しようとするものに指定された分量に応じて渡し、そして製造された教科書を一手に公園で買取つて、公團に所属します配給の制度を通じて各所に配給する。こういう発行方法を裏づけといたしまして、今の自由競争が安心してできるという答申でございます。この教科書公團の問題、それから自由競争の方法の問題等につきましては、目下関係当局といろいろ協議いたしおりますので、でき得る限りその実現を私どもといたしましては欲しておる次第でございます。今の教科書用図書委員会の答申に従いますと、あくまでも現在の独占を破りました場合において、公平な自由競争、機会均等の自由競争にしようという趣旨でございます。ただいまの請願趣旨は、ただいまはこの地方の印刷力を起用するという点につきましては、決してこの答申とは相反していないと思うのでありますが、その教科書協会傘下の教科書会社に対して、翻刻発行権を有する従來の七社に加えて翻刻発行権を與えるというのでありますると、自由競争の趣旨とは違つて参るわけであります。つまり独占に加えてまた独占をふやす行き方は、教科書用図書委員会の方法としてとつていないわけであります。そういう点が違うわけでございますが、独占を排して合理的な制度を考えたいという点につきましては、教科書用図書委員会も私どもといたしましても鋭意考えたいと存じております。
  23. 高津正道

    高津委員 教科書用図書委員会の第三部会の答申に基いて、夏の終りごろから製造に着手して、第一期のうち平均一八%ぐらいは地方へ行く、第二期はもつと多くしたいというそういうお言葉を聞いたのでありますが、それは昨年度に行われた下請を増すという意味でしようか。それともこの請願趣旨にある國定教科書翻刻発行権並び供給権地方分譲、地方委譲という意味でありましようか。その点をお聞きしたいと思います。
  24. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいま申し上げましたのは、自家工場を持つているものは下請のかつこうになります。持つておらないものは印刷契約になるわけでありまして、翻刻発行権は七つの会社に依然継続する。但し下請の場合には十分生産費、コスト等をきめまして、その間に翻刻発行会社が搾取するようなことがないように、私どもは期しておる次第でございます。
  25. 高津正道

    高津委員 現在の七つの会社にさらに十一を加えるだけでは独占をふやすだけであるから、その種の独占を廃して機会均等の競争入札で行く。また教科書公團ができて紙を買取り指定の分量を割当てる。そうしてできた教科書を買取つて供給網に乗せて全國に配る。こういう構想を承つたのでありますが、大きな会社が資金のあるにまかせてそれを全部とつて、自分の分工場とか子会社等へ流してやることになると非常に弊害があるので、かえつて去年地方教科書をやつてみて非常に興味を持つて、大いにこれからやりたいという者ができたのだから、それを生かすような方法を考えてはいないか。そういうようなものができておるのに、新たにつくるのは國家の非常な損失ではあるまいか。定価が安いとか文部省へ多く印税を納めるということで、一箇所あるいは二箇所へ行けばかえつて弊害があるのではないかと思うのでありますが、この点に関するお考えはいかがでございますか。
  26. 稻田清助

    ○稻田政府委員 競争入札に対しまする単位部数の切り方によりまして、お話のような弊害は救われるだろうと思います。この単位を適当に切りますれば、また適当に方々に分散できると考えられます。今日お話の会社は非常に熱心ではありますが、各地方には御承知のごとくその協会なりその会社と関係を持ちません印刷業者も相当ございます。またこれを出版業者の面から見れば、これまた非常に別途にあるわけでございます。発行権の入札をやるか。印刷の入札をやるか。教科書公團を設置した場合にはこの二つの考え方があり得ると思います。教科書公團に翻刻発行権を渡した場合におきましては、印刷の入札を行えばよろしいわけであります。もしそうでなければ國定教科書発行権だけを方々の会社に渡し、それにまた適当に印刷所と契約してやらせる。ただその場合におきまして公團が働きますことは、やはり資材を買つて落札した会社にそれをあつせんする。できたものを買取つて配給する。やはりこれはそうした入札に加わり安くなる点において、大いに利益があることだと思います。
  27. 高津正道

    高津委員 教科書公團ができれば、今の会社もやはり競争入札に参加する会社になつて行くのであるというようにも考えられますが、これは非常に重大な、いろいろの問題を含んでおることでありますから、文部省がきめられる場合には最終決定案に到達しない前に、経過を、もつと詳しく聞かしていただきたいし、われわれの意をも徴して決定されるように希望いたします。
  28. 稻田清助

    ○稻田政府委員 お話申し上げましたように、これは教科書用図書委員会の答申があつたことを御報告いたしただけでございまして、文部省といたしましてはなお関係各庁その他とも相談いたしまして、もしもその指示を得ますれば法案としてもちろん國会に提出すべき性質のものでありますので、十分御審議を受けることに相なつております。
  29. 野老誠

    ○野老委員 ただいまの御説明では檢定制度の発達助長をはかり、そして国定教科書は近い將來に廃止する予定である。こういうお話でございましたが、本年の檢定制度実施の状況の詳しいことは私にはわからぬわけですが、一部地方においては、いろいろ実情調査してみますと、まつたく檢定制度は活用されず、ほとんど全部が従来通り國定教科書を使用するという実状にあるように聞いておるわけで……、そういたしますと檢定制度の発達助長ということについて、文部省がどれだけ積極的におやりになつておるか。またその檢定制度内容自体についても十分研究して、先ほどの説明趣旨にあるように、文部省自体が積極的に御努力なさらなければならぬのではないかと思いますが、これについての文部省の考え、これが第一点であります。第二点としては近い将来に廃止する予定であるというお話でございましたが、近い将来とは一体いつごろを見通されておるのか。この点をはつきりしていただきたい。以上二点についてお尋ねいたします。
  30. 稻田清助

    ○稻田政府委員 本年から檢定制度実施いたしたのでございますが、これを実施するにつきまして考えましたことは、十分に準備をいたしまして出発するか、あるいは一刻も早く制度実施して、実施した上においてだんだんにこれを充実させて行くかという二つの問題があつたのでございますが、教科書図書委員会においてもこの点について十分審議せられた結果、ともかく一刻も早く実施した上でということで、本年から実施いたしたわけであります。それがために一般編纂者においても、十分研究し編纂するいとまもありませんでしたし、また檢定の教科書も、編纂のために日取りをとりますと、來年の四月に発行供給が遅延する危險もありますので、來年の四月から逆算いたしまして、いつまでに数量を内定すればいいかということと、ただいま申し上げましたようになるべくおそくまで編集を継続するというようなこととにらみ合せまして、八月十五日に展示会を開くことを中心といたしまして本年から実施いたしたのであります。そのような関係上予想以上の改正が出て参つたのであります。総数におきまして、五百八十四点受付けたのでありますが、そのうち、見本展示会までに審査が間に合わない時期になつて、参りました数も、相当多かつたのでございます。しかしながらわれわれといたしましても、また檢定調査委員会としましても、また関係方面におきましても非常に努力をされまして、できるだけこのうち多数が間に合うようにその審査を急がれたのであります。その結果といたしまして九十点が合格いたしました。見本展示会に出ましたのがそのうち七五点でございます。この九十点と七五点の開きは、御承知のごとく一学年の教科書の上中下がそろいませんと見本展示会に出せませんので、半端のものを除きました結果七十五点という数が出たわけでございます。これは申請しました五百八十四点に対しまして比較的に少いのでございますけれども、ただいま申し上げましたような諸種の事情がありまして、檢定制度発足の初年度といたしましては、まずやむを得ない結果ではないかと思います。その結果地方において檢定をとるか、国定をとるかということは、まつたく各学校の自由にまかせて選択してもらつたわけでありますが、その結果といたしましては大体檢定もあり國定もあつて、その種目につきましては大体檢定の方をとられたパーセンテージの方が多いのでございます。たとえば英語におきましては文部省の二〇七%、檢定七〇三%、音樂におきましておのおの半々ぐらい、國語におきまして文部省の三八%、檢定が六二%、それから國文法は國定が多く六四%、檢定が三四%、家庭科は國定が三三%、檢定が六七%、大体檢定の方が多いわけであります。それでこれが育成助長の問題でございますが、九月以来二回にわたりまして関係方面と教科書図書檢定委員会委員と、それから現に審査いたしました調査委員と、発行業者及びそれに関連いたしまする編纂者との研究会をすでに二回開いております。その当時いろいろ論議いたしまして、どういう点が悪かつたか、どうすればいいかということを相談いたしております。こうした企てはわれわれとしましても今後ますます継続いたして参りまして、十分調査する側と編纂発行する側との疏通をはかつて行きたいと考えております。すでに檢定の合格いたしました種類の教科書につきましては、文部省は新たに編集をやらないことになつております。従いまして今後どんどん檢定教科書が出て来ますと、文部省の方はただ適当な修正をやるだけで、いずれは優秀な檢定教科書で全部がおおわれるであろうと思います。
  31. 圓谷光衞

    圓谷委員長 日程第一四、東北大学農学研究所存置に関する請願であります。
  32. 西山冨佐太

    西山委員 私よりかわつて申し上げます。東北大学農学研究所存置請願でありまするが、本請願要旨は、今回東北大学農学研究所は同大学農学部に編入されるやに傳えられますが、元来本研究所は東北地方における農業の発達のために設立されたもので、しかもその設立費はほとんど地元農民の寄附によるものでありますから、農学部とはその使命と事情を異にするものであります。ついて東北大学農学研究所を存置されたいというのが請願要旨であります。
  33. 原田久

    ○原田説明員 文部省科学教育局長の代理といたしまして私が御説明申し上げます。御承知のように東北大学の農学研究所は、その設立にあたりまして、農学部を設置することがその当時予算の関係でできなかつたため、一応農学研究所をつくり、後日農学部が設立した場合には吸収さるべきものであろうという建前から発足したものであります。爾後約七、八箇年を経過しておりますが、次第に行績が上つてつております。一昨年農学部が設立いたされまして、その当時といたしましては農学部が充実するに従い、農学研究所はそれに合併さるべきものであるとの東北大学及び文部省、大藏省間の了解のもとに発足したのであります。ただいま御請願にありましたように、農学研究所と農学部とはその使命目的を異にする。ことに東北大学におきましては東北六県農業の振興発展のために、そういう農学研究所を存置されたいという希望がございますので、本省といたしましてもいろいろ研究して参つておるところでございますが、御承知のように予算さえ十分あれば農学部も立派なものになり、農学研究所も引続いて存続されることが可能かと思いますが、従来の経過からかんがみまして、ここにただちに存続するかどうかということについて、はつきりしたことは申し上げられませんが、その使命の重要性にかんがみまして、本省としてもできるだけ御希望に沿うように努力して行きたい。こういう次第でございます。
  34. 圓谷光衞

    圓谷委員長 日程第一五、教育予算増額に関する請願外九件、石川金次郎紹介日程第一六は同一内容請願でありますから一括議題にいたします。
  35. 西山冨佐太

    西山委員 教育予算増額に関する請願外九件でございますが、本請願要旨は、教育財政の貧困は六・三制の実施等の教育振興の前途に暗影を投じております。ついではすみやかに義務教育費を全額國庫補助とするとともに、教育予算を大幅に増額されたいのであります。
  36. 米原穣

    ○米原説明員 御趣旨に副うように大いに努力いたしたいと考えております。     〔以下速記〕 これはわが國の将来を決定する最も重要な問題でもありますので、今後とも文部当局といたしましては、御請願の御趣旨によつて六・三制の確立に努めたいと思うのであります。新学制と申しましても、具体的に申しますと、最も急を要しますのは施設の面であり、また教員の面であると思います。文部省におきましては、目下学校設置基準法というようなものを研究いたしておるのでございますが、小学校から高等学校に至ります間の学校の設置基準を、法的に御審議願つておきめいただきまして、この基準にはどうしても適合するように努力して行きたい。かつまた教員の問題につきましても現在質、量とも不足でございますので、これをまた年次計画によりまして拡充する方法をとつて行きたい。こういうふうに考えております。御趣旨の点につきましては今後とも努力いたします。
  37. 圓谷光衞

  38. 西山冨佐太

    西山委員 九州大学工学部建築学科設置請願外一件でありますが、本請願要旨は、九州における建築工事量は全國的に見て非常に大であるのにかかわらず、建築教育の最高機関の設置がないため建築技術の向上発展に大きな隘路となつている。ついては九州大学工学部に建築学科を設置されたいというのであります。
  39. 米原穣

    ○米原説明員 お答え申し上げます。九州大学におきましては、明昭和二十四年度より建築学科を設置したい希望を持つております。文部省といたしましては現在の各学校にあります建築学科の数、その配置等から考えまして、九州大学に建築学科のできますことには賛成でございます。ただ國家財政上の関係もございますので、今後御趣旨に副いますように、すなわち建築学科が設置できますように努力いたしたいと存じております。
  40. 圓谷光衞

  41. 西山冨佐太

    西山委員 第七高等学校復興費國庫補助請願でありますが、本請願要旨は、歴史と傳統を誇る第七高等学校は、昭和二十年七月戦災により本館一棟を除き全部焼失した。その後教職員生徒及び同窓生父兄等は寝食を忘れて全精力を注いでいるが、同校の復興費は千五百万円を要するので、現在までの四百万円の醵金では到底その完成を期し得ない。ついてはこれに対して千百万円の国庫補助を要望するというのであります。
  42. 田中彰

    ○田中説明員 お答え申し上げます。直轄学校の戰災復興につきましては、実は昭和二十一年度から公共事業費をもつて、これが逐次進捗を見ているのでございますが、何分にも限られました予算と限られた資材をもつてつておりますので、その進捗はきわめて微々たるものである。そういう実情にあるのであります。たとえば今年度で第三年度に入つているのでありますが、全國の戦災学校の復旧率はわずかに三〇%というような状況にあるのであります。文部省といたしましては、実は二十三年度の予算につきましても相当大幅の予算を要求したのでありますが、その結果は、残つている坪数の七分の一を復旧するくらいの、わずかの予算しか認められなかつたのであります。従いまして今年度の予算と同じ割合で今後進むといたしますれば、全部が復旧するのに六箇年を要するというような実情にあるのでございまして、従いましてただいまの御請願のように、七高を一挙にここで復興せしむるということは、実は非常な困難な事態にあるのであります。今後の復興の方針といたしましては、大体一挙に復興を完成することも、いろいろな関係で困難と思いますので、文部省としましては今後四箇年をもつて全部の復興を完成したいというふうに考えまして、来年の予算にもこれが要求をいたしているのであります。今後各関係方面とも十分協議いたしまして、すみやかに復旧ができますように努力をいたしたい考えでおります。
  43. 圓谷光衞

  44. 西山冨佐太

    西山委員 ついでに私から申し上げます。本請願要旨は、松江城は昭和十年五月國宝に指定され、現在全國的に徳川時代における築城の精華であると信ずるが、三百四十年を経過し、土台・石畳及び天守閣は大きく傾いて崩壊の危機にある。ついてはすみやかに本城を改築されたいというのであります。
  45. 深見吉之助

    深見説明員 松江城は、ただいま請願の御説明の通りの状況にありますので、文部省といたしましても数度これが調査をいたしておるのでありますが、修築の必要を認めまして、明年度予算にはこれを計上しております。しかしながらこれを修築いたしますためには、おそらく一度解体をして組み立てなければならない関係もありますので、その費用は数千万円に及ぶのではないかとも考えられます。今後数年間にわたつて継続事業として、地元とも相談いたしましてやるほかには、方法がないと考えております。
  46. 圓谷光衞

    圓谷委員長 前にもどりまして、日程第一災害時における教育予算減額反対に関する請願、佐吸水更三君紹介でありますが、かわつて西山君にお願いいたします。
  47. 西山冨佐太

    西山委員 本請願要旨は、公共事業費中、教育補助金は、昭和二十三年度のように、補助金の交付があるものと考えていたところ、今般文部大臣名で第三・四中期以降の補助金に対しては、突然災害が生じた場合減額補助をするとの通達があつたが、これは六・三制の実施を阻害するものである。ついては災害時における教育予算の減額をしないようにされたいというのであります。
  48. 田中彰

    ○田中説明員 お答えいたします。公共事業費による補助金につきましては、御承知のように当初年間予算をきめて、これを必ず年内に補助するという建前にはなつておらないのでありまして、各四半期ごとに経済安定本部の承認を受けて、当該四半期の補助金を交付する、こういう仕組みになつておるのであります。ところでこの公共事業費につきましては、不時の突発的な災害等がございました場合に、元來は追加予算をもつてこれに対処すべきものであるのでありますが、しかじ追加予算いろいろな関係で認められない場合には、やむを得ず予定をいたしておりました経費の中に食い込む。そのために減額を見るというような結果になりまして、ただいまお話の第三四半期以降において減額があるかもしれぬというような通牒は、あらかじめそういう最悪の事態があるかもしれぬから含んでおいていただきたい。かような意味合いであります。しかしながらいかに突発時の災害によるとはいえ、当初予定の補助金が減額をされるということは、これを当てにして事業の計画を立てておられた事業主体の方では、非常な支障を来すことは申し上げるまでもないのであります。文部省といたしましては、もちろんかような事態に立ち至りましても、文教関係の計費は減額しないということ所、関係方面とも強く折衝を重ねておるのでございます。しかし万一減額されましても、翌年度の野物予算におきましては、必ずこれの穴埋めをするということにはなつておるのであります。しかしかようになつておりましても、それは一時的にもせよ、年度内に補助金が出ないということは、與える影響が非常に大きいと考えまするので、われわれとしましてはもちろんかようなことのないように、從來とも骨を折つておるつもりでございます。今後とも十分御趣旨によりまして、かようなことのないように努めたいと思つております。
  49. 圓谷光衞

    圓谷委員長 日程第六、東北大学電氣通信研究所山形実験所研究國庫補助請願海野三朗紹介でありますが、かわつて西山君にお願いいたします。
  50. 西山冨佐太

    西山委員 本請願要旨は、山形縣の産業に高度の科学技術を応用し、新しい産業を開くとともに從來の産業各分野の質的量的向上を計り、新しい学術の新分野を起すため、大石田町に疎開していた東北大学電氣通信研究所の一部を山形市に誘致したが、本研究所の予算並びに本縣及び本市の貧困せる予算では十分に目的の達成は望めない。ついては該所の科学研究費を補助されたいというのであります。
  51. 原田久

    ○原田説明員 御説明申し上げます。東北大学の通信研究所は、ただいま御説明にありましたように、戦時中その施設を一部大石田町に疎開いたしまして、その後山形市にそれを誘致されたということでありますが、東北大学の通信研究所の分室として、正式にそういつたものがあるということにはなつておらないのであります。御請願趣旨は、研究費が不足しておるから、科学研究費その他によつて補助されたいという趣旨だと思いますが、本年度のこういつた文部省関係の補助金といたしましては、科学研究費、科学試験研究費、民間研究機関補助金、計約二億五千万円ほどに当るのでございますが、その全額につきましては、すでに補助交付を決定いたし、それぞれ交付しておる状態でございます。従いまして本年度といたしましては、御趣旨に沿うように補助金を出すことはできないわけでありますが、来年度におきましては、再びそういう経費が予定されることと存じますから、その場合、科学研究費、試験研究費その他は、御申請くだされば審議の結果補助金が交付になるであろうと思うのであります。なお科学研究費につきましては本年までは学術会議におきまして、科学試験研究費につきましては科学試験研究協議会が、それぞれ官制及び訓令をもつて規定されており、委員会において審議されたのでありますが、この種の補助金につきましては、来年度は日本学術会議において審議されるはずであります。大体御説明は以上の通りであります。
  52. 圓谷光衞

    圓谷委員長 これにて諸請願審査を終りました。  日程第一より一九まで一括して議題といたします。右請願のうち議院の会議に付しこれを採択して内閣に送付するを適当と認めるものを、決定せられんことをお願いいたします。
  53. 高津正道

    高津委員 動議を提出いたします参が、本日の請願日程のすべては議院の会議に付するを要するものとして採択し、内閣に送付せられんことを望みます。
  54. 圓谷光衞

    圓谷委員長 ただいまの高津君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 圓谷光衞

    圓谷委員長 御異議ないとすれば、さよう決定いたします。
  56. 高津正道

    高津委員 國定教科書の翻刻権並びに配給権の地方移譲に関する請願については、特に採択して実現されるように付帯決議いたしたいと思います。
  57. 圓谷光衞

    圓谷委員長 ただいまの高津君の御意見に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 圓谷光衞

    圓谷委員長 さようとりはからいます。     —————————————
  59. 圓谷光衞

    圓谷委員長 次に日程第一より九までの陳情書を一括議題にいたします。陳情書に関しましては、すでに諸君におかれましても文書表において御精査のことと存じますので、本委員会といたしましては、陳情書趣旨を了承することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 圓谷光衞

    圓谷委員長 御異議なければさよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十四分散会      ————◇—————     〔委員会報告書は本号に掲載すべきのところ都合により別冊に一括集録〕