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1948-11-12 第3回国会 衆議院 文部委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月十二日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 圓谷 光衞君    理事 原田  憲君 理事 松本 七郎君    理事 伊藤 恭一君 理事 久保 猛夫君       平澤 長吉君    渡邊 良夫君       山名 義芳君    受田 新吉君       高津 正道君    松本 淳造君       後藤 悦治君    西山冨佐太君       黒岩 重治君    松原 一彦君  委員外出席者         議     員 松澤 兼人君         文部事務官   日高第四郎君         文部事務官   剱木 亨弘君         大学設置委員会         委員長     和田 小六君         大学設置委員会         副委員長    矢野 貫城君         専  門  員 宇野 圓空君        専  門  員 横田重左衞門君         専  門  員 武藤 智雄君 十一月九日  委員水谷昇君辞任につき、その補欠として渡邊  良夫君が議長の指名で委員に選任された。 同月十二日  久保猛夫君が理事追加選任された。     ――――――――――――― 十一月十一日  新設國立福島大学学藝学部四年制即時実施に関  する請願圓谷光衞紹介)(第八号)  豊島区に新制大学設立請願加藤隆太郎君紹  介)(第一四号)  國立宮崎大学設立請願川野芳滿紹介)(  第五一号)  岩手縣の外地無縁故引揚兒童教育施設費國庫補  助に関する請願山本猛夫紹介)(第七三  号) の審査を本委員会に付託された。 同日  詫間町に香川大学設立陳情書  (第八号)  教育復興に関する陳情外一件  (第  三二号)  佐賀大学設立に関する陳情書  (第三五号)  六・三制中学校建築費國庫負担陳情書  (第六一号)  愛知縣農林大学設立陳情書  (第一一九号)  教員退職手当支給に関する陳情書  (第一二四号)  東北大学仙台工業専門学校・第二高等学校及  び宮城師範学校教職員に対する増俸の陳情書  (第一三六号)  秋田専門学校昇格陳情書  (第一三七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事追加選任  國政調査承認要求に関する件  大学設置に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 圓谷光衞

    圓谷委員長 これより会議を開きます。  十一月九日の議院運営委員会において、小会派より理事一名を選任いたすことになりました。よつてこれより理事追加選任を行います。
  3. 松原一彦

    松原(一)委員 理事委員長において指名せられんことを望みます。
  4. 圓谷光衞

    圓谷委員長 ただいまの松原君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 圓谷光衞

    圓谷委員長 御異議なしと認めます。それでは理事久保猛夫君を指名いたします。暫時休憩いたします。     午前十時五十分休憩      ————◇—————     午前十一時一分開議
  6. 圓谷光衞

    圓谷委員長 それでは引続き会議をを開きます。  大学設置問題を議題といたします。本問題につきましては、大学設置委員会より御出席がありますので、まず諸般の説明を聴取いたしました後に、各位の御意見の御発表を願いたいと思います。
  7. 和田小六

    和田説明員 ただいま御紹介いただきました和田でございます。大学設置委員会経過運営並びに方針等につきまして、簡單に御報告申し上げます。  大学設置委員会が発足いたしましたのは、昨年の十二月末でございまして、本二十三年度より申請を受付け、新制大学審査に当る計画を立てて参りましたが、昨二十二年度において、二十三年度より新制大学として出発される学校の御希望がございまして、用意ができておるならば一刻も早く新制大学を発足せしむべきであるというお考えが、文部省の方にもありましたので、昨年度の終りでございました二月の末日から三月にかけまして、十三の学校につきまして審査をいたし、うち十二を新制大学として発足いたすのに適当であるという答申を、文部大臣に差出した次第であります。なお一校は審査を、各種の事情がございまして、判定を保留いたしました。本年度におきましては、明年度、すなわち二十四年度より新制大学として発足することを御希望になつております大学申請書を、七月末日までに御提出いただくことを委員会として決定いたし、その旨を御通知いたしました。大体新制大学として御希望になり、申請されました書類は、文部省において七月三十一日までに受付けられました数が、全体におきまして二百十九ございました。委員会といたしましては、これをいかに審査いたしますかにつきましては、技術的の問題といたしまして、非常に困難もございまするので、いろいろ相談をいたしまして、大体審査を二月末日までに終るという目途をつけまして、その間に三回にわけて審査をいたすという方針を立てましてございます。そういたしまして、第一回の審査を九月初旬に開始いたしまして、約二箇月足らずを予定いたしまして、一回の審査を一應終えました次第であります。第一回の審査に付しました学校は約八十三校でございます。現在第二回の審査を引続き進めつつある次第であります。なお第二回の審査は、大体におきまして十二月の初めにはほぼ終ると存じます。その後に総会を開く予定を立てておりますが、まだ決定いたしておりません。委員会といたしましては、最初三回にわけました各終了過程におきまして、総会を開きまして、可否を決定いたす案を一應は立てたのでございまするが、審査をして参りますると、学校当局の方におきましても、また審査員の方におきましても、いろいろの疑念が生じ、また研究を要する点等がございまして、早急に総会を開きまして、可否を決定いたすこともいかがかと存じまして、まず二回ほどの審査を終えました後に、各審査会の思想の統一等もほぼととのいました後に総会を開き、可否を決定することを適当と認めましたので、第一回の総会を延期いたしました。  以上が大体の経過でございまするが、なお運営組織と申しまするか、方法につきまして申し上げますならば、総会において承認を得ました常任委員会が、一般運営の衝に当つております。また審査に当りますものは、これまた総会において承認を得ました八つの審査会でありまして、委員長及び副委員長を除きました全委員を適当に各審査会に配置いたしまして、なおそれに臨時委員を加えまして、審査会組織いたしております。なお特別の問題を特に取上げ審議いたしますために、四つの特別委員会を、総会の議を経て設けております。第一の特別委員会は、大学基準に関する事項につきまして、審議をいたす委員会でございます。第二の委員会は、申請書の書式を中心といたしまして審議いたす委員会でございます。第三は、運営審査実施等につきまして審議いたしております。なお第四は、教員組織について、特に重大な問題でございますので、特別委員会を設けまして、その中に十三の専門委員会を設けました。それからそれをまとめます一般分科会、合せまして十四日の委員会を設けております。  大体ただいま申し上げましたような組織ですが、なお実際の審査経過と申しますか、やり方を申し上げますならば、最初文部大臣よりの諮問がございました。それに対しまして書類審査——最初と少しかえましてございますが、申請書によりまして、まず現在やつております方法は、第四特別委員会教員組織に関する専門分科会審査をまず最初にいたしました。続きまして各審査会書類上の審査をいたし、教員組織に対する専門分科会の大体の御意見を取入れまして、書類審査を終了いたし、その結果を常任委員会において大体調整いたし、そうして各審査会臨時委員を加えまして、実施を視察することになつております。その結果を再び審査会においてまとめ、常任委員会において調整をいたし、審査会より総会に報告することになつております。総会におきまして可否を決定いたす次第でざいます。  なお一般方針について申し上げますならば、教育民主化大学教育機会均等教育刷新根本方針大学水準をできるだけ高く保つという、これまた根本方針をとつております。その方法といたしましては、結局大学教育機会均等教育民主化ということにつきましては、大学門戸を拡大するということを考えまして、設置委員会といたしましては、学校当局とともに、少しでも特長のあるものは生かして、その特長をとらえて、大学を少しでも多くつくるとい方針をとつております。また大学水準をできるだけ高く保つということに対しましては、内容の充実いたしました学部をつくることを目的といたしております。とかく横に廣く奥行きの薄いものが見られるのでございますが、そういうものはなるたけ間口は狭くとも、奥行きの深いものをつくるようにお願いいたしております。それに対しましては、根本の問題といたしまして、從來大学に対する概念が多少かえられなければならないということを考え、また了解していただくことにいたしております。つまり從來大学と申しまするものは、大体において学問体系を基礎といたしまして、それから出て参りました専門的なものを教えるということに、ほとんど終始いたしておつたのでございます。新制大学におきましては社会指導者、あるいは職業的なエキスパート教育するという面にまで、大学の範囲を廣げ考える必要があり、またそうでなければならないと考えておるのであります。從いまして從來大学学部というもの、すなわち旧制大学において考えられておりました学部に対する観念も多少加えて考える。先ほど申し上げましたある特色をもつておるものならば、きわめて小さいものでも一つ学部として認め、その特長を生かしていく。学部には何学科なければならないから、弱いものだけ合せてただ駒だけをそろえるというような方針は、とらぬことにいたしております。  なお一應その審査の結果から見まして、代表的と申しまするか、感じましたことを申し上げますならば、大体におきまして新制大学特長考えられます点は、一般教養ということが大学に強く取入れられ、見方によりましては、それが大学教育の主体であるというふうに考えられておるのでありますが、この点に対する施設がはなはだ不備である。当然のこととは存じまするが、文科系学校におきましては、理科系大学施設なり、教員組織より不備である。それから私立大学においては、專仕教員を得るということに対して、非常な困難を感じておられるようであります。これは御承知のごとく、わが國の私立大学一つ特長を持つているのでございまして、強い大学教員に関する限りはある程度お互いに助け合つて大学教育をやつて来たのが実態なのであります。それを専任の教授のある数を備えなければならないというところに、非常な困難を感じておられるようであります。  なお全体を見ますならば、教員の絶対数が足りないのではないかと考えられます。從いまして有能な教授が多くの学校を兼任されているのが多く見られます。なお新制大学に対する各学校における御理解等もまだ十分でないのではないか。申請書が実際記載の際に非常に変更されることがしばしばあるのでありますが、申請書変更に対しましては、委員会としましては十分な好意を持ちまして、それに應ずるようにいたしておりますが、全体の計画を乱すものは、自然あとまわしになることはやむを得ないかと存じます。全体といたして、どうも新制大学に対するほんとうの認識、御理解が十分でないということと、教育質的改善ということに対しての御理解が、十分でないのではないかという点を感じた次第であります。これは私の単なる感じでありまして、委員会意見でございません。  以上簡単でございますが、また何か御質問に應じまして申し上げます。
  8. 松本七郎

    松本(七)委員 先だつて大学設置の問題を衆議院からも各地に派遣されて調査したのですが、そのときに、これは学藝大学の問題でありますが、学藝大学のシーニア・コースの設置場所について、方々で問題が起きているようであります。地元でまとまらないで、一應申請書だけは設置委員会に提出しているような事情にあるところが、相当にあるようであります。福岡縣のごときは地元でまとまらずに、現在も福岡小倉両方で運動し合つておる実情であります。われわれの見たところでも、それぞれ特色がある。小倉設備のいいものを持つておる。福岡の方は設備に欠けておるのでありますが、九州大学が近く文化中心であるという点から、それぞれ自分のところに有利な点を主張し合つておるような実情であります。そこでただいまの委員長お話では、一旦申請書を出しても、途中で変更した場合には、これを十分尊重するというようなお話でございましたが、地元でもつて一致してこの案を変更したというような場合は、問題はないと思いますが、どこまでも地元でまとまらない。一應設置委員会に通すというために、いろいろな変更が加えられて來るような場合も考えられる。地元でまとまらない場合に、大学設置委員会としてどういう態度で臨まれようとするのか。その点をひとつ承りたいと思います。
  9. 和田小六

    和田説明員 申請書変更ということになりますが、委員会といたしましては、実は文部大臣諮問に答えまして、大学新制大学としてのものさしに合つておるかということを、受身の形で審査いたすのが本務でございます。ただいまの御指摘のような場合、文部省を通しまして、申請書変更がございました場合には、審査会といたしましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ好意をもつて扱いまするが、しかし大体順序がきまつておりまするので、先ほど申し上げましたように、二百十九の大学希望学校を大体三つにわかちまして、そのグループグループ審査いたして参るのでございます。その順序が狂いまして、たとえば第三の審査の時期に、そういう手続をとりましたために、第三の審査の時期が遅れるということは、委員会としては極力避けたい考えでございます。大きな変更のございます場合には、勢い第三の審査会の終りましたあとにおいて、それを取上げるという大体の方針はきまつております。しかし比較的軽微なものは、そのときどきの審査会の意向によりまして取上げるものもあると存じます。地元意見の違うということの御指摘でございましたが、それは文部省におきまして、それを行政的にまとめたものが審査会に参ることを本筋といたしております。もちろん地元から直接設置委員会の方に歎願書というようなものも受けております。それは審査内容としての一つの参考の資料として、各審査会におまわしをいたし、審査内容に含めて考えております。それで非常にその地元におきまして問題が解決しておらないという場合には、一應文部省に対しまして、行政的にまとめることを要求することになると存じます。
  10. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、これは文部省に御返答願いたいのですが、文部省としては、そういう場合に中央で何らかの決定をするというような御方針でしようか。それともあくまで地元がまとまることを待つという態度でしようか。どちらでしようか。
  11. 日高第四郎

    日高説明員 私の見解では、官立学校のことでありますから、本來の建前からいいますと、これは文部省が決定し得ることであるし、またしなければならないというふうに考えているのであります。今日特殊の状態にありまして、関係方面でもなるべくそういうコントロールを避けろというような特別の指示があります。私どもとしてはできるだけ地方及び学校の話合いの上できめるように勧めております。絶対に文部省が何事もしないとは申しませんけれども、それは極力避ける方針で今日までやつております。中には相当複雑いたしておりまして、あるいは大学設置委員会審査会に間に合いかねるようなことがあるかとも思いますが、そういう際にはいたしかたがなく、申請を延期するよりほかはないのではないかというふうに考えております。
  12. 松本七郎

    松本(七)委員 それからもう一点は、この間文部省で非公式に伺つたのですが、一應申請書に出した案で、それが通つた場合に、ほかにもつと有力な候補地があるというような場合、最初申請書に出す場合にどれにしていいかわからぬ、候補地が非常にたくさんあるというような場合に、一應案を出して、それが通つた後にこれを変更することができるというようなことだつたのですが、その点をはつきり伺つておきたい。
  13. 日高第四郎

    日高説明員 これは文部省といたしましては、よりよき案にすることを望んでおるのでありまして、大学設置委員会審査に間に合わないような場合には、これはいたしかたがないけれども、なるべくは大学設置委員会の御了解を得るようにでき得る限りにおいては一層適切ないい案によつて審議をしていただきたいという考えでおります。なるべくはそれを既定方針從つてつてもらうようにするつもりでありますが、非常に大きな差がありまして、あとから改正した方がいいというような場合には、特別の処置としてお願いするつもりであります。それは先ほど和田委員長からもお話のありましたように、審査に間に合わないような憂いが伴うと思いますが、御了承をいただきたいと思います。
  14. 高津正道

    高津委員 ただいま和田委員長の御報告を聞いたのでありますが、一般方針として三つあげられまして、その第三に大学水準あとう限り高く保つという方針で臨んでいると言われましたが、その御説明の中に、間口は挾くとも奥行きの深いものを尊重する。從つて從来大分概念変更されて、社会指導者、職業のエキスパートを養成するということであると申されたのでありますが、大学水準あとう限り高く保つということが考えられておるにもかかわらず、大学生の間には低文化政策反対というスローガンをもつて、現在の新制大学がつくられることに猛烈な反対運動を今起されておるのであります。例を申しますと、早稻田大学学生自治会が、幹部は共産党系が多いのではありますけれども從來大学の高い水準をこわして、日本文化を低めるような政策政府がとつておる。諮問委員会もいわゆる大学設置委員会も、大体そういう方針で動いておる。これは日本の將來にとつて非常に憂うべき現象である。こういうふうに宣博せられるためにそういう共産管側宣傳に対して反対する学生があるのでありますけれども、その力が弱く、大学はこぞつて現在の新制大学設置のプランに対して非常な反対をしておる。政府に対する反対は同時にまた——どういう言葉を使つていいのでありましようか、國際的にも反対する。あるいは反米運動のような形を呈しておることは間違いのないことであります。これは私誤解であろうと思うのでありますけれども、何らかそういうことについて文部当局あるいは大学設置委員会の方で、決して日本文化を低めるようなことをわれわれは考えてもいないし、そういうことをやつてはいないのだというような声明を出される必要はないのか。そうでないらなばそうではない。そういう意図や運びはやつておらぬということを、將來ある学生のために、そういう誤解に基いて行動しないように、十分手を打たれるべきではあるまいか。これは非常に重大な問題である。私たちも議会に籍を持つておりますので、そういうことでない、すなわちそれは誤解であるということがわかつておるから、われわれ自身で説明に行きたいとも思いますけれども議会の本職が忙しいのでそういうこともできないのであります。設置委員会にこれを要求するのではありませんが、政府としては大きい責任があるのではないか。文部当局は何らかこれに対して手を打つておられるのかどうであるか。和田委員長のこの問題に対する御意見と、文部当局を代表して出ておられる日高局長のこれに対するお考えを、ちよつと聞いておきたいと思います。
  15. 和田小六

    和田説明員 ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。学問水準が低くなりはしないかということはよく言われておりますが、そこに非常な問題があると存じます。ただ私の考えでございますが、学問水準と申しますか、大学水準とは一体どういうことなのかというところに、非常な考えの差があると存じます。新制大学一般教養に重きを置き、從來のごとくただ専門に鈴く狭く伸びておる人間ばかりでなく、いわゆる教育民主化、つまりアヴェレージの人間を対象とし、それに市民の指導者たる教養と、なおそれ必要な専門的知識を與えるということが、新制大学根本方針なのであります。それと同時になお大学院制度、それから学問、教学の自由ということも認めておるのでありまして、強い学生、伸び得る学生に対しても、なおその門戸はとざされておらないというふうに私は考えております。その大学がある程度の水準を持つておるならば、從来意味における学問水準ということの非常に狭いものに対しては、大学院を含めましては決してその水準は下らないと存じますが、全体とし教育目的が多少変つておるのではないかと考えております。
  16. 高津正道

    高津委員 政府の御答弁はすぐあとで聞くといたしまして、大学設置委員会ではそういうお考えを持つておるのであれば、そう世間の誤解に対して避けるような何らかの処置をおとりになつたのでありましようか。そういうことまでは委員会としてはなさつていなかつたのでありましようか。その点をお伺いしておきます。
  17. 和田小六

    和田説明員 審査にあたり、学校審査委員が参ります際には、その点は十分に徹底いたすように説明いたしております。委員会全体として、委員会の名において声明書を出すというようなことはただいまは考えておりません。
  18. 日高第四郎

    日高説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたしたいと存じます。大学設置委員会基準というものは、現在及び将來の大学の最高のよるべき基準ではないと、私ども理解しておるのであります。がまんのできる水準で、いわば下の方のミニマム水準をもつて大学設置は許す。その意味においてなるべくたくさんの大学をつくるというようなことが、大学設置委員会においては、暗黙のうちにおそらく承認されておることだと思うのでありますが、そのほかに御承知のように大学基準協会というものがございまして、これは文部省とは無関係に独立して、現在ある大学が相互に学問及び教育内容を向上させるための、いわば上の方の——上と申しましてもそう非常に高いものではないのでありますけれども、相当な基準を立てまして、それに近づくように大学基準協会をつくつて、その方面は努力いたしておるのであります。こういう点で二つ基準があるということについて、多少誤解があるかというふうに考えておる次第であります。もちろん文部省といたしましても、五十年も七十年もかかつてできた大学と、五年や六年でつくり上げようとする大学とが、内容の上において多少学力の差のあることは、これは避けがたいことでありまして、文部省としては、よい大学はあくまでもよくなることを望んでおるのであります。新しくできる大学に多少不備がありましても、それは大学としてがまんのできる基準に当てはまるならば、大学として出発させて、將來日本國力が回復しますならば、できるだけ高い基準にみなを押し上げたいという希望を持つておるのであります。この二つ基準の混同から、あるいは高いものを引きずり落すというような——私は誤解ではなくて曲解だと思うのでありますが、そういうことに対する処置についてはまだ格別のことをいたしておりません。もしそういう学生が私どものところに参りますならば、私どももよく事情を話すつもりでおります。まだそういう時期に至つておりませんが、必要があればその趣旨を明らかにいたしたいと思つております。
  19. 高津正道

    高津委員 大学設置委員会の方は、なるべくスタートしやすいように、ミニマムの点を考えておる。文部省とは独立しておる大学基準協会の方では、上の方の基準を示しておるので、文部省両方とも肯定しておる。そうして将来は低い基準でスタートしたものも、高位においてスタートしたものも、高めるような方針である。また和田委員長の御説明の中には、狭い学者——言葉は悪いのですが、それは大学院制度があつて落ちないようになつておる、程度が低くならないようになつておる、こういうようなお話を承つておるのでありますが、二つ学生は混同しておる。決して政府としては高いものを低くするものではない。こう言われたので、私は十分了解したのであります。日高局長は今学生がたずねて來れば説明をすると言われたが、現在学生はそのように動いておるのでありますから、來れば説明するというのでなく、文部省の役人は多いのでありますから、何らかの手を打つてそれを詳しく親切に説明されて、ただそういう文化を低める政策政府がとつておるというような見方のもとに、低文化政策反対という運動をしておる側の人のみでなく、その席へそういう低文化政策反対運動者でない者をも一緒に入れて詳しく説明をされるならば、非常に裨益するところが多かろうということを、私は文部省希望するものであります。どうぞよろしくその点をお願いいたします。
  20. 松本淳造

    松本(淳)委員 高津君の御質問で大体私もわかつたのですが、それに関連して、低文化政策の問題を、何と申しましようか、政党の一つの闘いの武器にしておる傾きもないとはいえない現状であります。これは非常に大きな問題だと思いますので、文部当局におかれましても何かの機会にやはり明らかにされることを私としても希望してやまない。たとえば大学設置の問題に限らず、六・三制の問題でありますが、これなども日本を徹底的に低文化にさせる一つの方便であるということが、相当の政治活動をする人から堂々と演説をされたり、それを眞に受けて地方では非常な混乱を来しておる点も、私どもは見受けておるわけであります。そういう点の注意をお願いしておきたいと思うのであります。これは高津君の御質問と関連しますので、私からもつけ加えて注意を申し上げておきたいと思うのであります。  いま一つは、これは必ずしも質問をしてどうというのではありませんが、和田委員長の御説明によりますと、間口は小いさくても奥行の深いものというお話もあつたのでありますが、しかし日高局長お話のように、何と申しましても二百十九校にあまる大学設置するのでありますから、従来の大学というものの概念とはやはり多少違つた大学というものを想像せざるを得ない。從つて非常な大きな数に上るわけでありまして、この狭い日本で二百二十にあまる大学ができるわけであります。これは私がことさら申さぬでも、専門和田委員長その他十分御承知であろうと思いますが、イギリスのごときにおきましても大学はわずかに三十六、七だと思つております。フランスあたりも十六、七程度であつたと思つておりますが、日本だけが二百二十の大学が一挙にできるということは、新しい大学という構想のもとならば一應わかるのでありますけれども、はたしてそれほど多くの数量を必要とするかどうかということは、また別な角度から考えてみる必要もあるのではないかと、私は実は内々考えておるわけで、この数量の問題について、設置委員会として、從來今までの御会合において議題になつたことがありましようか。あるいは将來総会その他における議題として、お考えになる意思があるかどうか。一應念のために伺つておきたいと思います。
  21. 矢野貫城

    ○矢野説明員 今の問題でございますが、設置委員会が非常に頭を用いておりますことは、現在の専門学校は近いうちになくなるわけでございます。二百十九校といつても、來年あたりそのほかにまだ出て来ると思いますので、相当多くなると思いますが、現在の専門学校がなくなることを考えますと、新制の高等学校は、高等学校といいますけれども、実はこれは中等学校でありまして、そこでもし大学設置を非常に制限をいたしますと、高等教育の数が非常に減つて参ります。現在では高等教育を受けている学生の数は、その同じ年齢の層にくらべて五・一%になつております。この五・一%を維持するのには、どうしても現在の専門学校及び大学を全部大学にするということにしないと、今までの数を維持することもできないことになるのであります。そこで相当の程度に教育を高めるといたしますと、その数が維持ができない。現在でも相当同等教育の入学が困難でありますが、そこまで制限いたしますと、一層の入学難を来すようなことになることを恐れております。そこで今和田委員長からお話がありましたように、できるだけ指導をいたしまして、親切にいろいろの相談に乗りまして、なるべく大学ができるようにということを考えているのであります。大学と申しますけれども、今度の大学は先ほどもお話がありましたように、概念が大分違うのでなければならぬと考えまして、またこれは今、日高局長お話もありましたように、大学といつても、あるものは実は從來専門学校の機能を発揮する程度にしか、考えられないものもあるのではないかと思います。そういうものもこの際は全然認めないわけにも行かないのであります。学問水準大学院とかそういう方面でできるだけ持つて行く。それからまた今お話がありました大学基準協会が、まだ十分発達いたしておりませんが、これは和田委員長がその方の委員長にもなつておりますので、これが十分発達いたしますと、大学を高めて行く役割を十分に果すようになると考えております。私ども大学基準協会が発達して大学水準を高めて行く。大学基準協会に入れない大学は、多少程度は低くてもこれはしかたがない。しかしそれでも今日の状態としては、学生の入学難を続けるよりはいいだろう。こういう考え方をもつて話合いをしているわけであります。
  22. 伊藤恭一

    ○伊藤(恭)委員 和田委員長にお伺いいたしますが、原則として教育機会均等の上から、一縣一大学ということが大体きまつているようでありますが、しかし先刻も委員長からのお話に、大学基準はできるだけ高めたいというお話であります。もしこの敗戦日本の現在の財政におきまして、今松本さんからお話がありましたように、すべてが大学に昇格することになつたならば、これは非常な二流、三流の、つまり低級な大学が構成せられることになりまして、われわれといたしましては、教育機会均等の上からいたしまして、これは賛成ではありますけれども、やはり大学基準のことからいいましたならば、その点にやはり非常な疑問があります。でありますから特に各府縣においては、特殊の事情のあるもの、特に学校であるとか、父兄であるとか、縣民であるとかいうものが、内容をあくまでも向上したいというような特殊の事情のあるものについては、必ずしも、一縣一大学というようなことでなしに、特別の例外を認めていただくことも当然であると思います。そういうようなことにつきましては、大学設置委員会におきましては文部当局と十分に交渉をして、そうして特殊の事情のあるものについては、特別の処置をとつていただくというようなことも必要であると考えますが、これについて委員長の御意見を伺いたいと思います。
  23. 和田小六

    和田説明員 要するにただいま仰せのごとく、今日の状態におきまして、ここに立派な大学をただちにつくるということは非常に困難でございます。まずスタートにおきましては、おそらく物足りない大学ができると存じます。要するに日本全体にいえることかと存じますが、今後の発展性というものがどれたけそこに包藏されておるかということが問題だと存じます。それを大学とした方がよいか、専門学校にとどめておいた方がよいかというところに問題があると存じます。すべてある大学を一縣一総合大学という一つ概念で縛りつけるか、あるいはそれを別の大学として認める方がよいかということも、要するにその点に帰すると存じます。問題は今後にすべてあると存じます。現在のスタートにおいて、今後の完成を期する上において、どちらをとるべきであるかということは、どつちをとつた方が、今後の大きな目的に対しての完成に、より有効であるかということによつて、きまるのではないかと存じます。はなはだ抽象的のことを申し上げましたが、大体私はそういうふうに考えております。
  24. 高津正道

    高津委員 教育優先の見地から、総予算などからあとう限り教育のために、特にこの際は新制大学のために思い切つて多額の支出をすべきであり、そのために私たちは努力しておるのでありますが、それにしても限りある財源しかない現状において、各縣に不完全な新制大学をスタートさせることは、國費の濫費というか、非常に不経済な使用方法であるということが考えられるのであります。また大学のまさにあるべき姿が、総合大学であろうと思うのでありますが、総合大学という場合には、学部が三つとか四つとかいう程度を持つのでは、総合大学たる眞の威力と價値とを発揮することは不可能であることも自明の理であります。むろんそんなのは総合大学とは言わないのであろうと思います。從つて私はこの意味において全國の各府縣といわず、各ブロックに少くとも一つは完全な総合大学設置するという方針を、あくまでも委員会でも文部当局も堅持さるべきではあるまいかと考えております。第二回國会の文教委員会で、大学設置問題に関する一つの決議をしたのでありますが、その意図するところは、各大学設置に関しては、あくまでも重点主義で行くベしというのでありました。その後文部省に対する大学設置委員会の答申として、新聞に発表されたものを見ると、大体この重点主義を十分了解し、お認めになつておるように私は伺つて、それを非常に喜んでおつたものでありますが、そういう一ブロツクに一つあとう限り完全な総合大学をつくるという方針を、依然堅持」ておられるのであるかどうか。この点を承つておきたいのであります。
  25. 和田小六

    和田説明員 実は設置委員会は、そういうことに対しまして積極的な意見を述べる立場ではございませんが、各府縣にただいまのところでは一つ大学というような大体の方針がとられておるようであります。その各府縣から御申請になつております総合大学水準等につきまして、設置委員会といたしましては審査をいたしておるのであります。それをブロックといたしました方がよろしゆうございましようか、各府縣に置きました方がよろしゆうございましようか。どうもブロックに置きますと、旧帝大がその中心になる。そうでなくてもそこに問題があるように感するので、やはり一應は各府縣くらいに、問題を今後の発表に期待いたしまして、置いた方がいいのではないか。これははつきりした結論を得ておるわけではございませんけれども、そういうふうには考えております。この程度にしかお答え申し上げられません。
  26. 日高第四郎

    日高説明員 高津委員お話なつたようなことは、実は一両年前には文部省もそういう方針考えておつた時代もあつたのであります。北海道とか、東北とか、関東とか、東海というふうに、少し廣い区域にわかちまして、そこにできるだけ整つた総合大学をつくり、その地方にある高等教育機関は、何らかの意味においてそれと連絡をして、大学の機能を発揮させたらばいいのではないかというふうな試案も、文部省自身持つてつたのでありますが、その後内務省が解体いたしますし、警察組織法がかわりますし、地方自治制が確立いたしますし、さらに地方教育委員会ができるというような客観的の情勢が相当変化いたしましたので、現在のところでは優先的に一廣地域に総合大学をつくるという方針は、表面からは捨ててしまつたわけでありまして、現在のところでは各府縣に、できるだけ官立の大学一つにまとめて、お互いに助けあうことによつて、新らしい目的に到達しようという方針になつておるのであります。実は七月の際に、必要があれば、國立の新制大学実施文部省としての方針を、御説明にあがるつもりでおりまして、申入れだけはいたしたのでありますが、國会の方が非常にお忙しかつたので、まだそういう機会を得ておらないのであります。大体十一ばかり原則を立てまして、三百七十八の学校を六十九の官立の大学にまとめ上げるように、骨を折つて来たわけであります。それには今の点で申しますと、國立の新制大学は特別の地域を除き、同地域にある官立学校は、これは合併して一大学となし、一府縣一大学の実現をはかる。これを第一に掲げてあるのであります。特別の地域と申しますのは、北海道、東京、愛知、大阪、京都、福岡、これは主として人口三百万以上の土地でありますし、京都のごときは人三百万人はございませんけれども、京都には高等専門学校が四十一ございま出す。大阪は四十二ございます。東京は百六十九となつております。こういうものを一つにするということは実行不可能でありますので、これは除外いたしたのでありますが、そのほかの縣は官立の学校はできだけ一つ大学にして、有無相通じて先ほどお話のありましたような、一般教養とか、基礎学科の教授陣というようなものを強めて、合目的組織をし直そうという方針で、一府縣一大学ということを考えて來ておるような次第であります。
  27. 高津正道

    高津委員 関連して伺いたいのですが、和田委員長の答えでは、各府縣に「置く方針であるとあつたのであります。日高局長意見に至つては、一年か一年半前に高津の述べた線である。國際情勢の変化もあつて、現在では和田委員長の言われておるような方向になつておる。こう申されたのであります。間違つていれば御指摘を受けたいためにもう一度繰返すのでありますが、京都でも、大阪でも、その他の府縣でも、その府縣にあるところの官立のものを一まとめにして、それを大学にすると言われるのであります。しかし警察制度も地方警察と国家警察とがあつて、それにちやんと立派な関連がありますし、地方自治がいくら拡張されましても、その間に連絡がないようになつたならば、実に国家としても困つたことでありますから、連絡のあるようなプランをもつて臨むことが、やはり可能であると思うのであります。だからあるだけの官立の大学を一まとめに、みんなどの府縣でもやるというのは、非常にイージー・ゴーイングな行き方で、あまりに企画性が足りないように思えるのです。どの方面へ向つても十分に当局が粘り強く御説明になられれば、國家の將來にとつても損のない、現在にも大いに役立つような案があつてそれが押進められるものではあるまいかと考えるのですが、十分に手は打たれたのでしようか。その点を伺いたいと思います。
  28. 日高第四郎

    日高説明員 私がただいま答弁いたしました中に、一つ足りない点がございます。補足いたしましてから、今の御質問にお答えいたしたいと思います。現在問題になつておりませんけれども、おそらく大学院の問題が引続いて起ると思うのであります。この大学院を置ける大学というのは、先ほど高津さんのおつしやつたように、相当強力な組織を持つた綜合大学、あるいは相当長い歴史をもつて充実しておる大学でございませんと、大学院をそう簡単に置くわけには行かないと思うのでありまして、そういう面においては文化や、あるいは学問の最高の水準を高めるために、重点的な配置はおのずからいたさなければならないというふうに、予想いたしておるのであります。  それからただいまお話のありましたように、機械的に一つの府縣の学校を結んで一つ大学にするというようなぎらいも、あるいはお感じになるかもしれませんけれども、これにはこういう趣意もあるのであります。今度の大学には、一般教養を受持つ学部とかあるいは部とかいうようなものがぜひなければ、専門教養のものも新しい大学にはなれない。こういう状況なんでありますけれども、その一般教養を受持つような学校に轉換し得るのに一番よい現在の旧制の学校は、これは高等学と若干の師範学校等がそれに当るかと思うのでありまして、いきなり普通の専門教育をするのでなしに、専門教育の地盤になるような基礎の学科及び一般教養をするということは、なかなか教員が得がたいのであります。の点で文部省も一番苦しんでおるのでありますが、そういうことを考え合せますると、各府縣に一般教養学部もしくは部を持つような学校考えましたときには、一つ一つの学学校はとうてい持ち得ないのでありまして、その点で師範学校とか高等学校とか適当なものをそれの中心にいたしまして、一般教養及び基礎学科の学部あるいはカレッジというものをつくり上げる方針でおるのであります。  もう一つは、これは関係方面との話合いもございまして、各府縣の義務教育の教師の養成には、ぜひとも教育学部あるいは教育部というものを、できるだけ重視して整えなければならないというふうに考えて参つたのであります。その点においてもやはり一般教養と同じように、各府縣にはたいてい師範学校等がありますが、私どもは師範学校を決してそのまま教育学部にしてしまうとか、あるいは教育部にしてしまうというふうには考えておらないのであります。それでこそ大学設置委員会に非常な御迷惑をお願いして、教員審査等もしていただいておるのでありますが、その審査の結果、中味を改善いたして、そういう教育学部とか教育部というものを、つくり上げたいという考えであります。こういう考えで全体を見まわしますると、一府縣に一大学をつくるということには、理由もあるというふうに考えまして、今までその方針をとつてつたのであります。  それからもう一つは、御承知のような状態でありまして、われわれだけで事をきめるわけには行かない場合もあります。これはできるだけ日本実情をよく理解してもらいまして、その理解の行き届かない場合には、相当摩擦があつても讓らないつもりで、現在まではやつて来たのであります。ある点には御不満を買うようなことがあるかと思いますが、私どもとしては、それはあらゆる困難をしのいで参るつもりでおります。その点御了承いただきたいと思います。
  29. 高津正道

    高津委員 もう一点だけ。今、日高局長お話を聞いて、相当強力な組織をもつた大学でないと、いわゆる大学院は置けない。これは最高の水準に合致するものであつて、重点的配置になる。こういう意味に承つたのでありますが、その大学院というものは数はどのくらいであり、それからこれは最終決定ではないでしようが、大体今きまつているところはどこどこであるか。承れるならこの席で承つておきたいと思います。
  30. 剱木亨弘

    ○剱木説明員 大学院設置につきましては、実はまだ大学院設置基準が決定されていないのであります。なお新制大学は來年度スタートしましてから二、三年の余裕がございますが、その期間に大学院基準が決定されることと存じます。ただ国立の大学が各府縣にずつとできるわけでありますが、これに全部大学院まで置くような施設なり、内容を持つて行くということは、これこそ國費の濫費になるおそれがありますので、これは相当重点的に、あるいはブロツク別に、あるいは学校種別にとかいうことで、その数はそうたくさんは考えられない。いわゆる將來を見ます場合におきましては、相当國といたしましてはある数を限つて、そこに重点的に施設をすることになるかと思います。ただいまのところまだ全然予定ということはないのございますが、大体の方向はそうなるものと考えます。
  31. 和田小六

    和田説明員 大学院の点につきましてお問いがございましたが、大学院につきましては設置委員会におきましても、最近その問題を取上げたいと存じております。現在の段階におきましては、大学院基準において、新制大学におきまして、有名無実であつた大学院がより内容が充実され、名実ともに大学院となるのは大きな一つの変化がと思います。それで先ほどちよつとお話に出ましたが、現在私立のものではございますが、大学基準協会というものがございます。昨年ただいまごろでございましたか、特別の委員会を設けまして、大学基準につきまして非常に詳しい検討をいたして、各大学における個々の教授会の御意見等もまとめ、最近にその結果が出ると存じます。それを持ちまして設置委員会といたしましては、独自の立場におきましてそを参考にいたし、大学院の規準を決定いたす運びにいたしたいと思います。その上で大体大学院の性格なり、組織というものがきまるのではないかと考えます。
  32. 松本七郎

    松本(七)委員 日高局長お話の中に、一存では行きかねるので、他との関係について極力努力するというお話がありましたが、大学設置の問題ばかりでなく、質の問題でも、すべてそうなのです。從来はとかく予算の問題にしろ、すべてにおいて政府の努力に大いに期待しておるが、いよいよせつぱ諾まつてから國会でやるという事態を繰返しておる。しかしこれは國会自体としても、あらゆる問題についてもう少し積極的に動く必要があろうと思うのですが何と言つても行政部が一審他との接触が密接ですからにつちもさつちも行かなくなるまでほうつておかれないで、何か困難な問題が予想される場合には、行政部の方から委員長を通じて、國会にそちらの方がらひとつ依頼していただきたい。これは大学の問題ばかりでなくあらゆる問題ついて重要な段階にあると思いますので、特に今後はこの点を御注意願いたいと思います。
  33. 圓谷光衞

    圓谷委員長 何か他に発言がございませんか。     —————————————
  34. 圓谷光衞

    圓谷委員長 それではお諮りいたします。本日議題といたしました大学設置の問題、及び教育委員会設置後における各般の調査、この二件は本委員会としては特別の関心を持つておるものでありますので、今後この二問題を取上げまして、十二分に調査いたしたいと思うのであります。調査事項として議長に承認要求をいたしたいと思うのでありますが、いかがでしよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 圓谷光衞

    圓谷委員長 異議ないと思いますで、それではさよう決します。  國政調査承認要求書  一、調査を要する事項  教育制度及びこれに関連する諸問題  二、調査の目的   1 大学設置に関する調査   2 教育委員会法の実施に関し各般の調査  三、調査の方法   関係各方面より意見聴取、小委員会設置及び実地調査  四、調査の期間   本会期中に右より國政に関する調査をしたいから衆議院規則第九十四條により承認を求める。   昭和二十三年十一月十二日      文部委員長 圓谷 光衞    衆議院議長松岡駒吉殿御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 圓谷光衞

    圓谷委員長 御異議ないと認めまして、さようとりはからいます。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時十八分散会