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○
武藤委員長 それでは末廣君、
藤本君、
齋藤君、こういう順序で
お話を伺いますから、末廣君以外の諸君は恐縮ですがもうしばらく別室でお待ちを願います。
それでは末廣さんに伺いますが、あなたは元
興銀の副
総裁をしておられたようでありますけれども、その
就任、退職、いつからいつまでですか。
-
○末
廣證人 昭和二十一年の二月一日から、
昭和二十二年の四月十七日までの間であります。
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○末
廣證人 見ておりません。昨年の十二月から
病氣でずつとふせ
つております。
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○
武藤委員長 あなたがお会いにな
つたときはどんな様子でしたか、病状は。
-
○末
廣證人 前に比べて
大分やせておりまして、寝ておるまま話しますから苦しそうな模様でありました。
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-
○末
廣證人 何かしまいには苦しそうでございまして……。
-
○
武藤委員長 ときどき
会社の業態を
報告に参るわけではないのですか。あなたと限りませんけれども。
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-
○末
廣證人 一昨年ですか、一昨々年ですか、解散いたしましたが、九州に六箇所、常磐に一箇所、北海道に一箇所の
炭礦を持
つてお
つた会社であります。
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-
○末
廣證人 條件は大体
炭鉱の
経営には一切おまかせするから願いたい、こういう話でございます。
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-
○末
廣證人 三箇月くらいにしておりますが、その後延期をしてもら
つております。
-
○
武藤委員長 ではもう二回くらい書きかえましたか。
-
○末
廣證人 書きかえずに延長してもら
つております。
-
-
-
-
○末
廣證人 もら
つたんじやないです。金は拂はなければならぬ。
-
○
武藤委員長 これはどういうふうにして拂うつもりですか。
-
○末
廣證人 他から金を借りて來て拂うつもりにしておりますが、金を借りたりする時間がないのでそのままにな
つております。
-
○
武藤委員長 大分長いですね。借りようとしたことがあるのですか。全然借りようとしないのですか。
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-
○末
廣證人 多分
昭和二十一年八月ごろと思います。
はつきり覚えませんが、当時千万ぐらいではないかと思います。
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-
○末
廣證人 多分返済できていないと思います。
はつきり覚えません。
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-
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-
-
-
○末
廣證人 今覚えませんが、
経理状態その他から見て返し得ないと思いますから、多分返していないと思います。
-
-
○末
廣證人 ある期間すえ置きで、その後分割して
支拂うことにな
つてお
つたと思いますが、これも今
はつきり覚えておりません。
-
-
○末
廣證人 その後は月内の
融資をときどきしてもら
つております。大体月末になれば返すという
條件のものを融通してもら
つております。
-
-
-
-
-
-
○末
廣證人 借りられるのです。月末には一旦返してまた借りる。そういう取極めにな
つております。
-
○
武藤委員長 実際においてもそのくらいのところを前後しているのですか。
-
-
○
武藤委員長 実際においては返さないでそのまま書きかえておるのではありませんか。
-
○末
廣證人 石炭代が月三回入りますので、それで賃金その他の
支拂いとのずれがあります。その困
つたときにお借りして、月末にはお返しする、こういうことにいたしております。
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-
-
-
○末
廣證人 みな面識はありますが、
リストに載せるとか載せぬとかいうことについては、会
つたことはございません。
-
○
武藤委員長 君を今度推薦したいと思うがどうだというようなことは聞きませんか。
-
-
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-
○
武藤委員長 どこからありましたか。だれから……。
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-
-
-
○
武藤委員長 二宮氏がこういうことを考え出して、それを
日野原氏が
GHQへ持
つて行つて、それはよかろうということでできたのだということを言う人があるのですけれども、そういうものではないですか。
-
-
-
-
-
○末
廣證人 私どもとしましても考えてはおりましたが、具体的に問題にな
つて参りましたのは多分三月の末と思いますが、
二宮理事が私の方にそれを言うて來たので初めて私としては知りました。その前にも
社長專務、
常務がなくなる。
あとで
常務にな
つた人はどういう
処分を受けるかわからない。さような
状態では困るから、早く固めなければならぬということは考えてはおりました。
-
-
-
○
武藤委員長 そうしてどこかへ話をしたわけですか。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
武藤委員長 そこまではわかるのだけれども、
從つて何かきちんと
中心になる
社長を入れなければならないということはあなたの
お話を一應伺
つておきますが、そのことは一つのことであ
つて、それならば
日野原を
社長に持
つて來なければならぬということは、他の事柄であるから、しかもその
日野原社長は
市村氏に
反対を受けておるということになると、それでどういうわけなんだという話があ
つて然るべきと思うが、子供の話でないでしようから何かあ
つたのでしよう。
-
-
○
武藤委員長 いやそんなはずはないでしよう、何かあるでしよう。
-
-
○
武藤委員長 聞くところによると、
市村氏はその日に帰
つてきて男泣きに泣いたというが、何か詳しい話があ
つたのじやないですか。
-
○末
廣證人 私どもと話し中にも涙を流しておられました。しかし私が、たとえば
日野原氏は
自分としては水素の成績を見て、こうこうだという話には入
つて行かなか
つたようでありますので、そういう
記憶はございません。
-
○
武藤委員長 もう一度思い出してもらいたいのだが、これは
興銀、
復金でそういうようにするんだ、あるいは持株の方でそうするのだとか、これは
GHQの指示、至上命令のようなものだとか、もしこれに應じなければこれこれこういうことになるというような話は出たじやないですか。
-
○末
廣證人 ちよつと私はそういう
記憶がないのでございます。
-
-
-
-
○末
廣證人 当時そういうことはないと思いますね。大体ほかの人は知りません。私としましてはとにかく
社長、
專務、
常務がなくな
つてあとの
中心になる
常務がどうなるかわからぬ、そこでどうしても新しい人——新しい人間については私としては
先ほど申し上げたようにいろいろ検討した
あとでございまして……。
-
-
-
○
武藤委員長 どうもちよつと納得行きませんね。
市村がそれじやしようがないというところで、往生するところまで話に飛躍がありますね。
-
-
-
○末
廣證人 そのときは
承知していなか
つた。そこで皆一緒に
行つて持株で
笹山氏が
あとで來たときにはそれならそうしましようということにな
つた。私としましては別に飛躍でも何でもない。しごく普通の運びに運んだと思
つております。
-
○
武藤委員長 その
笹山氏が野田氏かからか、何か初め今私が申し上げたような
趣旨のことを言いませんでしたか、
GHQの意思だとか何とか……。
-
○末
廣證人 それは大事なポイントだと思
つていろいろ思い出すのでありますが、かんじんの
笹山氏が最後に席へもど
つてからの
言葉がどうしても思い出せないのです。
-
○
武藤委員長 しかし相当激論もあ
つただろうし、男が泣くというようなことは劇的なわけでありますから、それは印象が深いのじやないかな。
-
-
○
武藤委員長 では今度別の話を伺いますが、昨年ありました石炭國管案に対する
反対運動というものを御存じですか。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○末
廣證人 私は
就任直後であり、かつ
貝島氏が
鉱業会の
会長として東京におりましたし、私としては新しい仕事でありますので、それは
関係いたしておりません。
-
-
-
-
○末
廣證人 これは
興業銀行に籍を置いてお
つた者が、それぞれいなかにお
つたりなんかして、東京の
中心へ出て來たときに電話をかけたりなんかするときに困るから、ひとつ足場をこしらえようということで、そのためにこしらえた会であります。
-
-
-
-
○末
廣證人 別に大してむずかしい資格とか何とかはきめておりません。
-
○
武藤委員長 東京に事務所を置いておくわけですか。
-
○末
廣證人 事務所と申しますか、クラブと申しますか、そういうものが一部屋ありました。
-
-
-
○
武藤委員長 そこを連絡場所にしておるわけですね。
-
○末
廣證人 連絡場所と申しますか、足だまりです。東京へ來たときに電話をかけたりなんかするための。
-
-
○末
廣證人 会費はおそらく年に百円か二百円くらいのものじやないかと思います。ちよつと今覚えません。
-
-
○末
廣證人 そこで茶を出したり、給仕の者に心づけをや
つたりすることだろうと思います。
-
-
○末
廣證人 そう
はつきりした者はいないと思います。
-
-
○末
廣證人 幹事は多分樋口邦雄氏なんかがせわしておるのではないかと思います。
-
-
-
○
武藤委員長 ただ親睦をはかるだけで、ほかに政治的な活動をするというようなことはございませんか。
-
-
○
武藤委員長 これは今幾人くらいメンバーがありますか。
-
○末
廣證人 メンバーはおそらく六、七十人あるのじやないかと思いますが、そんなに集ま
つたとか、集まりをやるというようなことはほとんどないのでございます。
-
-
-
-
-
-
○末
廣證人 家へ帰ればあると思います。なければもら
つて……。
-
○
武藤委員長 それではひとつやつかいでも、探して一部頂戴いたしたいと思います。
-
-
-
-
○
武藤委員長 それはどういうものですか。今私が伺
つた興流会の説明をされるようなぐあいで説明してみてください。
-
○末
廣證人 これはだれが
中心であ
つたか、産業経済なんかの研究会をときどき開いたりなんかするというので、会費が五千円でございました。
-
-
○末
廣證人 一箇年ということじやない。一回きりということであ
つたと思います。それきりでございます。
-
-
○末
廣證人 入会金と申しますか、会費と申しますか……。
-
-
○末
廣證人 そういうものでありません。出しつぱなしです。
-
○
武藤委員長 これは幾日でもいいということですか。
-
-
○
武藤委員長 そうすると一番少くて五千円、
あとは五万円でも十万円でもかまわないのですね。
-
-
-
-
-
○末
廣證人 興銀の知合と申しましようか、そう
はつきりいたしておりません。
-
-
○末
廣證人 そういうことでもありませんね。私はせわしたわけでありませんからよく知りませんが、たとえば
融資を受けたうちでも、君、ぼくというくらいの懇意な連中というようなことに考えております。
-
-
-
-
○末
廣證人 いいえ、その辺が……。要するに
融資関係の向きであり、そうして懇意な連中でもある。
-
○
武藤委員長 これは会員が幾人くらいあるのですか。
-
○末
廣證人 よく覚えません。私はせわしておりませんので……。
-
○
武藤委員長 しかしこれは相当莫大な金になるでしよう。一口少くても五千円、多い者は何万円も出しているのですから、さつきの会費百円なんというのとは雲泥の相違で、性質の上においても仕事の上においても、相当これは違
つたものになるかと思うのですが、一体この会は何をするのですか。
-
○末
廣證人 私も勧められて入
つているのですが、財政経済の研究会とか、進んでは講演会でも開こうという趣意に開いております。
-
○
武藤委員長 財政経済の研究をしたり、講演会でも開くということが目的ですね。
-
-
○
武藤委員長 今までどういう研究をして、どういう講演会を開きましたか。
-
○末
廣證人 私は大体九州におりますので、出たことがございません。
-
-
-
○
武藤委員長 そんな会はないでしよう。そんなに会費をと
つて……。これは一名
栗栖後援会と言われてお
つたものではないですか。
-
-
○
武藤委員長 はつきり
栗栖後援会ということは言わなくても、大体
興銀から金のめんどうを見てもら
つた人が謝恩の意味で金を集めて、実際においては
栗栖氏の政治的な活動を側面から援助しようというような
趣旨ではないのですか。
-
-
○
武藤委員長 しかし
お話の財政経済の研究、あるいは講演というようなことにしましては、どうもあなたの
お話に納得できないのです。これこれこういう講演会をや
つたとか、こういう研究をしてこういうレポートがあるとか、相当な資金を使
つておるのだから、あるいはこういう機関をつく
つてこういう研究をしてお
つたとか、何かそういう
お話をいただきたいと思うのですが、でなか
つたら名前はそうなんだけれども、別の目的なんだ、それはこうなんだというふうに言
つていただかないと納得することが困難だと思う。
-
-
○
武藤委員長 何か規則書みたいなものがあるのですか。
-
-
○
武藤委員長 何か趣意書のようなものが刷
つてありまして、発起人みたいなものを十人ばかり並べ、そうして一品五千円と書いてあ
つて、やや細長いような紙を御
記憶ありませんか。
-
-
-
-
○
武藤委員長 今まで集めた金はどのくらいありますか。
-
-
-
-
-
○末
廣證人 多分三ツ木氏じやないかと思いますが……。
-
-
○末
廣證人 名前は常彦です。祕書官をしておりました、あれがや
つたのじやないかと思います。その辺
はつきりいたしませんが……。
-
○
武藤委員長 これはできてから幾年くらい経ちますか。
-
-
-
-
-
○末
廣證人 書いたものが來ておりましたから、その趣意で出したわけです。
〔
証人に書類を渡す〕
-
-
-
○
武藤委員長 その下にくつついておるものに名前を書いて金を出すわけですか。
-
-
○
武藤委員長 このことを一番よく知
つておるのはだれですか、この会のことを一番よく知
つているのは……。あなたはあまりよく知
つておらないようですから……。
-
○末
廣證人 私は平会員ですから…。想像ですが、三ツ本君じやないかと思います。
-
-
-
-
○末
廣證人 それは
はつきり覚えませんが、多分先生じやないかと想像しております。
-
-
-
○
武藤委員長 この規則書とか名簿というものもあるでしようね。
-
-
○
武藤委員長 お帰りにな
つてもし手に入りましたならば、さつきお願いしたものと一緒に
委員長あてにお届けを願いたい。あるだけで結構てす。二日以内ぐらいにいずれもお願します——何かお尋ねございますか。足立君。
-
-
-
○足立委員 このうわさが相当前から飛んでお
つたということを確信してお
つた人があるのですがね。
-
○末
廣證人 それは私が何と申しますか世間が狹か
つたというか、私の耳に入
つておりません。
記憶がございません。
-
○足立委員 あなたが三人の
候補者を出されたということが一番最初であるということを言われたのですか。
-
-
○足立委員 しかしその前にこういううわさがある、こういう事実があればもつと前から
日野原氏が
昭和電工の
社長になるということは大体うわさに上が
つてお
つたのじやないですか。
-
-
○足立委員 しからば
日野原氏が
社長になりたいというような運動をしておることをあなたはお聞きにならなか
つたのですか。
-
-
○足立委員 二十二年の一月ごろに熱海で
二宮さん、重政さん、
日野原さんが会合しておる事実がありますね。あなたも一緒ですね。
-
-
○足立委員 こういう会合があ
つたという事実は御
承知じやないのですか。
-
○末
廣證人 知りません。ちよつと申し上げますが、もし事前にそういうことがあ
つたとしますれば、私は断じてその三人の中に加えないだけでなしに、私どもとしては警戒をしたと思います。私どもが
金融業をしておる以上は、そういう仕事の仕振りであり、そういうやり方をやらざるを得ないのであります。
-
○足立委員 結構です。それでは三人の
候補者をあげまして、その中で一番最初にだれを書いたのですか。みな一緒に書くわけじやない。横に書いても縦に書いてもともかく筆頭というのがあります。筆頭はだれにいたしましたか。
-
-
○足立委員 あなたは持
つて行かれなか
つたのですか。
-
-
○足立委員
二宮氏がどういうようなことをされたのですか。
-
○末
廣證人 私は前の日か、前の前の日かに三人という話がありましたから、
自分としてはこれこれの三人が適当であると考えたが、君たちはどうかということで持ち出しました。
-
○足立委員 おそらくその折に
二宮氏が三人の
候補者を出して、とにかく向うに持
つて行つても三人ともみな同じ百点でこれだけ選んでくれというのでなくて、重点はどうだという話をされたに違いないと思います。そんなべらぼうな交渉はありませんから……。
二宮氏と話し合
つて、これが一番いい人間であるという話合いにな
つてお
つたと思いますが、これで一番最初に推挙されたのはだれですか。
-
-
○足立委員 その次は。
-
○末
廣證人 その次はだれを先に言
つたかは覚えません。ただ
今井氏を
あとにしたということだけは
はつきり覚えております。
-
○足立委員 あなたの氣持の上では
日野原氏と
磯村氏の中でどなたを適任とお考えにな
つたのですか。
-
-
○足立委員 そうです。心境なり今までの
関係で、この人がいいのだという氣持がなくては、三人とも同じみな百点で出すというようなべらぼうなことはありませんよ。
-
○末
廣證人 私は
磯村氏がいいだろうが、当時
肥料の仕事を離れることは困難じやないかという感じをも
つておりました。
-
○足立委員 そうすると、
日野原氏がいいというわけですね。
-
-
○足立委員 端的に言
つてもらわぬと困るのですが……。
-
-
-
-
○足立委員 御
承知の
通り日本水素は前には硫安をや
つてお
つた。しかしながら戰爭中は硝酸か何かや
つてお
つて、全然
肥料に対してはや
つておらなか
つたのだ。
日野原という人は
肥料に対しては全然
経験のない人だ。廣範囲な意味においては、
日本の
化学工業には多少
関係はあ
つたかもしれないが、
肥料そのものについては全然
関係がない人である。この九を持
つてくるのはいかぬ。ここでまた脇村氏の言によりますと、
日野原氏は、小さな
会社の
経営はできるかもしれないが、
昭和電工というような大
会社の
経営には最も不適任であるという專門的な意見を述べられておるのですが、あなた方も
会社に対してどういう人を
経営者にするかということは、金を貸すのだから最も重要な点だと思うが、その点はどうお考えにな
つておられるのですか。
-
○末
廣證人 それは今と当時とは、年半も経
つて事情が非常に違
つておりますが、今でも私どもの知
つておる人で、
昭和電工の
適任者であるという人はたくさんあります。たくさんありますが、大部分
追放なんです。当時の私といたしましては、とにかく今こう世間を騒がせておる原因に私も
関係しておるということは、まことに申訳なく思
つておりますが、当時の私といたしては最善の頭脳を働かしたつもりでおります。
-
○足立委員 その最善の頭脳を働かした人が、意外にもパージであ
つた。あるいはイマーシヨンを持
つてお
つた……。
-
-
○足立委員 パージにな
つてお
つた。じようだん言つちや困る。
磯村氏と親戚
関係にある美濃部氏が來て、確かにパージであ
つたと言
つておる。そんなべらぼうなことを言
つてはだめです。それがあなたの最善の頭脳を働かしたと言えるか、パージになる人を推挙して來たのはとんでもないことだわれわれはここでどうしてこれが
適任者であるかということについて、あなたの最善の頭脳を働かしたとおつしやるが、どうもこれは納得が行かない。これはあなたの言われる
通りにして押問答してもしかたがないが、それから三月二十六日に
市村氏に
社長をかえろというようなことを申し渡されたときに、その折に午前中にあなたの方に行かれましたね。午前に
興銀の方に行かれて、そこで
日野原氏を
社長にするということを
市村氏に申し渡しましたね。その折に
市村氏はどう言いましたか。
-
-
○足立委員 つまり拒絶した……。
-
-
○足立委員 そうしたらどうしましたか。
-
-
○足立委員 持株へ
行つてどういうことを
市村氏に申し渡されたのですか。
-
-
○足立委員 そうすると
興業銀行でも持株の方でも、やはり
市村氏はどういうようにしたのですか、拒絶しましたか。
-
-
○足立委員 しまいには……。
-
○末
廣證人 しまいには、それならそうしましようということで帰られた、
結論は……。
-
○足立委員 そこで折れる。午前に拒絶をして、午後にな
つて折れるという
理由はどこにあ
つたのですか、変化するのはおかしいではないですか。
市村氏がそこで承諾するという動機にな
つたのは、これは何ですか。
-
-
○足立委員 あなたはとにかく午前中には
興銀の意見その他を充分述べられ、それで
市村氏が聞かない。それから今度また午後に持株へ
行つて市村氏がここで承認したということになるについては、何か特別の
理由がなければならぬと思う。その
理由はどこにありますか。
-
-
○足立委員
笹山氏はどういうことを説明したのですか。
-
-
○足立委員 それはとにかく納得さすのですから、一番かんじんなことである、重点である。そのことを思い出せないということはないと思います。
市村氏が納得するには、一つの別の納得する事実がなければならぬわけであるが、その事実は何であるか、ひとつ思い出してください。
-
○末
廣證人 今思い出せませんが、思い出せといわれるなら、できるだけ今からでも思い出します。
-
○足立委員 しからば午後持株に現われた折に、だれとだれに会われたのですか。
-
○末
廣證人 私と
市村氏と
二宮氏がいて、
笹山氏と植村氏が入
つて來たと思いますが、途中で
笹山氏が席をはずして、それから
二宮氏が他に先約があるというので席をはずして、結局私と
市村氏が長らく残
つてお
つて——ずいぶん長か
つたように思いますが、そこへ
笹山氏がもど
つて來て話をした。こういうことであります
-
○足立委員 これだけ長い会合をや
つて、
笹山氏がどういうことを言
つたかわからない、思い出せないという、そんなべらぼうなことはない。詳しく知
つておられるはずだが……。
-
○末
廣證人 大体きようお呼出しにあずか
つていろいろ何しますけれどもどうしても
記憶を呼び起せません。
-
○足立委員 あなたは、
市村氏が非常にスムースに、何の批評もなしに承諾したということを、先に
証言なさいましたね。
-
-
○足立委員
日野原氏を持
つて來るということに対しては、極力
反対したのですね。
-
-
○足立委員 その極力
反対したのが、なぜここにおいて
承知をするという段階にな
つたか。それをあなたかんじんなこと言うてくれないと困る。
-
○高橋(英)委員 それが乘つ取り事件の眞相じやないか。乘つ取り事件の不正はそこにある。それを忘れたとか、わからぬとかいうことはないじやないか。
-
○徳田委員 何億という
会社の乘つ取り事件の重要な点が思い出せないなんていうことがあるか。いいかげんなこと言
つては、國会は黙
つていない。
-
○足立委員 それではこの点はこれとして、ここで三人持
つて行つて日野原氏を決定したのは、どこから決定して來たのですか。三人のうちで
日野原氏を
社長にするということの決定はどこから決定したのですか。だれがきめたのですか。
-
-
-
○末
廣證人 GHQが三人のうちではこれがよかろうと言うたのだと思いますが、私はこれは直接あずか
つておりません。
-
○足立委員 そのきめたのをあなたはだれから聞いたのですか。
-
-
○足立委員
二宮氏からそのきま
つたということを聞いたのですか。
-
-
○足立委員
二宮氏の檢察当局の調書によりますと、あなたは最初から
日野原氏をきめるということを思
つているらしいと言
つているのですよ。ここにちやんと書いてある。
-
○末
廣證人 それは先生はどういうふうに想像しているか知りませんが、私はそういうことはありません。
-
○足立委員 それでは大体これでいいのですが、もう一つふしぎなことは、これは根本問題ですが、
興銀はその当時において
昭和電工にどのぐらいの金を貸してお
つたのですか。
-
-
○足立委員 大よそでいいです。
-
○末
廣證人 大よそとすると、五億ないし七億だ
つたじやないかと思いますが。
-
-
-
○足立委員
復金と
興銀と違うのだから、直接のものです。
-
-
○足立委員 どれだけ貸したのですか。
-
-
○足立委員 大よそでよろしい。
-
-
○足立委員 大よそも
記憶はないという、そんなべらぼうなことはないですよ。あなたは大債権者で、そうしてこれだけの容喙をなされたのだから、どのくらい貸しておるかといううことは、およそ
記憶がなくてはならぬ。しかもあなたは
興銀の
理事であり、しかもその衝に直接当
つておる。それにかかわらず金をどれだけ貸してあるかわからない。そんなべらぼうな話はない。どれだけ金を貸したか。
-
-
○足立委員
記憶のないくらいの少額な金で、なぜそんなら
昭和電工の
社長をすげ替えるというような権限をも
つているのですか。何の権限に基いてこういう仕事をなさ
つたか。
-
-
○足立委員 そんならどのくらい金を貸した。大口の取引先という
記憶があ
つて、金の額がわからない。そんなべらぼうな話があるものですか。あなたは責任者じやないか。五億、七億というのは
復金の貸しておる金だ。その事実はよくわか
つておる。
興銀がどれだけ
昭和電工に金を
融資したか。大債権者である以上は、どれだけの金を貸しているか、
記憶のないはずはない。
-
-
○足立委員 そんならなぜ
興銀は
昭和電工の
社長の首のすげ替に、
二宮氏といい、あなたといい、これだけ積極的な働きをしたか。その
理由いかん。いかなる権限に基いてや
つたか。
-
○末
廣證人 金額は覚えませんが、大体大口の取引先というぐらいのことは頭にありますし、そうして権限と申されますが、大体取引先をよくして、債権の確保をはかろうということでやるのでございまして、
法律的にどういう権限というようなものでないのですよ、取引というものは。
-
○足立委員 債権の確保とい
つて、どれだけの債権があるかわからないで債権の確保をはかるということは、おかしいじやないか。
-
○明禮
委員長代理
証人に
注意しますが、
先ほどあなたが持株
委員会に
行つたときに、
二宮氏が入
つて、だれが出て來て、そうして
笹山氏が出て入
つたという、そういうところまであなた詳しいのじやありませんか。それほど詳しく知
つておる
証人が今質問しているような大綱をここで説明ができぬというはずはないでしよう。
-
○末
廣證人 金額と言われますと、大体の見当もないのですから困ります。
-
○明禮
委員長代理 大よそはわかりましよう。何円何銭を聞くならぬりだけれども、何億何千万ということを聞くのだから、わからぬわけはない。とにかく
注意します。
-
○足立委員 そうすると、結局あなたは何らの権限もなくしてこれに対して大きなインフルエンスを與えたということなんですね。
-
○末
廣證人 金額は覚えませんが、
先ほど來申し上げておりますように、大口の取引先だという頭で働いておりました。
-
○足立委員 大体そうしたら大口小口の限界はどのくらいのところできま
つているのですか。漠としておりますが。
-
○末
廣證人 当時としては、大体千万ぐらいのところでしよう。
-
○足立委員 そうするとあなたが
やめる前に、一千万円以上の
興銀貸出しというものは、口数にしてどのくらいあ
つたか。
-
○末
廣證人 当時はよく覚えませんが、千ぐらいあ
つたと思います。
-
○足立委員 それでは結局あなたの方は大口の一つの取引だと
自分は思うて、これだけの関與をしたのだ、こういうわけですね。
-
-
○足立委員 それから
日野原氏が
GHQへ
行つて、
昭和電工の監査がぐあいが悪い云々ということを申されましたか、
GHQはあなたの方ヘそういうことを言う権限があるのですか。
-
○末
廣證人 それは今と当時とは
GHQの発言なり、向うの行動に対するウエートのおき方は非常に違
つていたと思うのです。
從つて今の空氣で当時のことはちよつとはかりにくいと思うのです。
-
○足立委員 しからばあなたの方は各産業
会社に対して
融資をしてお
つた。こういう問題がいろいろあるだろう。これによ
つてGHQの方から
社長をかえろとか、
経営スタツフをかえろとか、そういう話は
昭和電工以外に他にありましたか。
-
-
-
○末
廣證人 デイレクテイヴはありません。サゼツシヨンくらいはあ
つたのじやないか。どことどこという
記憶はございませんが……。
-
○足立委員 それは例をあげてください。
GHQの方に問合せますから……。
-
-
○足立委員
昭和電工だけがこういうことにな
つていた、こういうわけですね。これは実におかしいではないですか。あなた方策謀したのじやありませんか。
-
-
○足立委員 それは
昭和電工だけですね。しからば観点をかえまして、あなたは
日野原さんから金をもら
つていませんか。
-
-
-
-
○足立委員 もら
つておりませんね。これは特に念をおしておきます。
-
-
-
-
○徳田委員 パージですね。いつパージになりましたか。
-
○末
廣證人 四月の十七日にパージになる前に
やめました。
-
○徳田委員 そうすると森君のパージ云々のときは、あなたもパージの予定はあ
つたのですね。
-
-
○徳田委員 そうするとあなたもパージ、森君もパージ、パージにかか
つている人が森君のことを云々して、あなたがそのとき首をすげ替えるなんということはどういうわけですか。
-
○末
廣證人 私の方は私の方で首のすげ替になる準備はしてありました。
-
○徳田委員 してはあるけれども、あなたはパージになる身が、人のパージの
あとをやるというのはどういうわけですか。パージになるということは、あなたはそういうことをしてはいけないということじやないのですか。
-
-
○徳田委員 いや、そうではないかというのです。なぜそれをや
つたかというのです。あなたはパージになるという以上は責任を負わなければならない。そうでしよう。あなたは
興銀の副
総裁としての仕事をできないことを予定されていた、そうではありませんか。
-
○末
廣證人 しかしおる間は職責を果して行かなければなりません。
-
○徳田委員 それなら森君はどうです。銀行なら少々ぐらいの首をすげ替えた
つてたいしたことはありませんよ。あそこは
事業会社です。
事業会社というものは、ことに高度の科学的な技術を要する
事業会社が、そうむちやくちやにかえられるものではない。あなたはよく知
つておられるはずです。
-
○末
廣證人 それは
追放で
やめさせられるのを私がかえたというようなことを言われるのは困る。
-
○徳田委員 あなたがかえられたとは言わぬけれども、しかしながらあなたもパージになる身だ、向うもパージになる身だ、だからあなたがこういう仕事をすべき性質のものじやないじやないかと言うんだ。責任上なぜそれをや
つたか。そこに重大なる疑いがあると言うんだ。どうです、そのや
つた動機及びこれをや
つたときのことをもつと詳細に話さなければいかぬ。
-
○末
廣證人 ずいぶん詳細に
お話申し上げましたが、聞いてください。
-
○徳田委員 あなたは詳細と言うけれども、あなたの言われていることはみな上かわだけだ。現にあなたは
市村君にどんな話をしたのです。
市村君にあなたの方の考えはこうであると言
つたときに、
市村君がこれを承諾したと言うけれども、あなたの考えの内容を言
つてください。
-
-
○徳田委員 そんなことなんかは考えの中に入らぬです。なぜならば、どこの銀行だ
つて会社だ
つて、みな上を切られて下からだんだん上
つているじやないか。あなた見ていて知
つているじやないか。あなた方の銀行だ
つてそうでしよう。なぜ森君のところだけがいけない。
昭和電工がいけない。
市村君が上
つてくるのはあたりまえじやないか。なぜそれがいけない。いけないという考えを、根本的のことをあなたはまだ言
つているはずだ。言わなければどうして
市村君が
承知するか。
市村君も森君もみなここへ來て
証言しているのです。あなたはただそれだけだと言うが、そんな子供だましのことを言
つたつて、
市村君が
承知するはずはないのです。何かそこに重大なことを言うたに違いない。それをあなたの口からちやんと言うてください。言わなければ、森君、
市村君の言うたこととどつちがほんとうかわからない。あなたはそこを空白にする
理由はない。どうですか。
-
○末
廣證人 理由はございませんが、どうしても思い出せぬものはしようがないじやございませんか。
-
○徳田委員 思い出せぬと言うて、数億の
会社ですよ。この
社長の首を切りかえるということは一生一代の重大事だ。ことに戰爭が済みまして、この復興をするにあたり、こういう大きい
会社に一大事件が起るというのに、そのときにあなたがや
つたことを忘れているというなら、あなたは次に大きな
会社を受持
つて社長になられている、そういう仕事が務まりますか。そんな一大事なことをしておりながら、あなたがその内容も忘れました、思い出せません、それで済みますか。そうあなたが言
つたからとい
つて、決して國会はそうですがとは受取りません。ちやんとこれだけの能力のある人はこれだけのことは覚えていて、これはどうだということはみな踏んでおるのですから、
あとから化けの皮が現われて來る人はたくさんある。岡野とか青木君という人はどうだ。
証言したときには何も知らぬ存ぜぬ。
あとでみな出ている。そういうことがあ
つてはならぬから言うのです。あなたは少くとも
興銀の副
総裁として、これは國家の特殊
会社で、重大な任務を帶びた人です。そういう方が、ただ知らぬ、存ぜぬで済ませるというりくつはない。もう忘れましたというわけには行かぬと思うが、どうです。
-
○末
廣證人 私は今思や出せることは
先ほど來全部申し上げております。
-
○徳田委員 すると、もうそれ以外のことは絶対にありませんね
-
-
○徳田委員 思い出せないのであ
つて、あるのはあるのですか。
-
-
○徳田委員 ないというのではないのですね。あ
つて思い出せないということと、何もないということとは別です。
-
○末
廣證人 あ
つたかなか
つたかということがわかれば申し上げます。私は別に隠さなければならぬ
理由も何もないのです。
-
-
○末
廣證人 記憶にあることはみな申し上げております。
-
○徳田委員 だからそれは何もないということですね。
市村君などに何も言うたことはないというわけですね。
-
-
○徳田委員 それでは、
昭和電工の首をすげ替えねばならなか
つた一つの大きな原因として、その前の年の十一月から
経理の帳面をつけていなか
つた。こういう不始末をしておるからということが原因だとあなたはおつしやるが、これはだれが調べてそういうことにな
つたのですか。
興銀が調べたのですか。
-
-
○徳田委員 どこが調べたのですか。
-
-
○徳田委員
GHQからあなたの方にそういう書面が來ておりますか。
-
○末
廣證人 書面を見た
記憶はありませんが、しかられたことはあります。ああいうことではいかぬじやないか、もつと……。
-
○徳田委員 だれにしかられしかられたのですか。
-
○末
廣證人 私がしかられたのではありませんが……。
-
○徳田委員
GHQのどなたから、あなたの方のだれがしかられたのか、
はつきりしておかぬといかぬです。
-
-
○徳田委員 どうも重要点になるとあなたはすつかり覚えがない。重要でない点は一々詳しくだれが何だということまで知
つておる。そういうことがありますか。必要のないものは覚えぬでもよろしい。勘どころは覚えていなければならぬ。そうでなければ、銀行の副
総裁なんか、人の財産の信用をぴたつとつかんで貸すのに、そんな人がとうてい勤まるはずはないではないか。業態からい
つて、あなたの前歴からい
つて、とんでもない。これは非常に重要なことです。森や
市村などの言
つておることと、あなたの言
つておることと全然違うのですから、重大なことです。それはりつぱにおれはこういう人間でだれからこう聞いておるということを
はつきりしませんと、これは大事ですよ。どうです、
はつきりしませんか。
-
-
○徳田委員 しないならよろしい。それからあなたは有江伊作という人を知
つておりますか。
-
-
○徳田委員 何年ごろからのおつき合いですか。
-
-
-
○末
廣證人 私が東邦
炭鉱をや
つておりますときに、私の前任者の時代から東邦
炭鉱の顧問にな
つておりまして、私にな
つてからも特に顧問を
やめさす
理由もないのでそのままにいたしておりました。
-
○徳田委員 今もずつと顧問ですか。
-
-
○徳田委員 それで
貝島さんとお
知合いにな
つたのは、この有江さんの御紹介ではありませんか。
-
-
○徳田委員 これは間違いありませんね。
-
-
-
○末
廣證人 特に援助というよりも、
貝島太市氏が有江氏の紹介で会いに参りまして、その前から知
つておりましたが、
金融を頼まれまして、それでそれぞれ支店の
担当係を通して取引ができたわけであります。
-
-
-
○徳田委員 どうも重要な点になると忘れておる。金は
幾らですか。
-
-
○徳田委員 四千万円じやないですか。
-
-
-
○末
廣證人 千何百万円と思います。ここ一年なり二年なり前と、今との間に何千という数字をや
つておりますから、一々何されると実に困るんです。
-
○徳田委員 しかし重大なことは
はつきり覚えていなければならぬ。私どもも重大な予算をたくさん扱
つておるが、どこに何があるか、必要なところはぱつと覚えておる。(笑声)
帳簿を
調査したところによると四千万円だという話ですが……。
-
○末
廣證人 おそらく月の中ほどにはそれぐらいの時期があると思います。
先ほど申しましたように、月末に返す約束で
月々二千万円ぐらいの臨時の短期融通をしてもら
つておりますから、そういうのと合計したので、今の数字もうそではないと思います。
-
○徳田委員 合計して四千万円ぐらいはとにかく赤字があるわけですね。
-
-
○徳田委員 あなたにはやつかいだろうけれども……。
-
-
○徳田委員 これは重大な点を明らかにしておきませんと、この金を借りてこの金を返済することを
理由として、
理由ではないにしても、これを返済するために岩屋という
炭鉱と大辻という
炭鉱を
貝島から分離したんじやないですか。
-
-
-
-
-
-
○徳田委員 岩屋は。
-
-
○徳田委員 これだけの産出で、今の金で三千五百万円とか三千万円とかいう安い金で買えますか。
-
○末
廣證人 それは両方とも今までに長年、岩屋は六十何年、大辻も七十年くらいや
つておりますが、それによ
つて生じた陷落その他の被害の賠償を新しい
経営者が責任を負うという
條件がついております。それから昨年の十二月以後のいろいろ設備その他の改良は十一月末までの分としてや
つております。そういうことで、私どもは必ずしも不当な値段とは考えておりません。
-
○徳田委員 そうすると、そういう損害だの、マイナスになる諸
條件を引きますと、普通の
状態であればどれくらいです。
-
-
○徳田委員 しかしおかしいと思う。まだ炭層は残
つているんでしよう。
-
○末
廣證人 炭層は残
つておりますが、岩屋のごときは薄い所は七寸ぐらい、厚い所で一尺二三寸、しかも六十年も七十年もや
つておりますので、坑口から一里以上の所で作業しております。そうして今に
あと引受けた人間が
月々莫大な損失を負担してようやく石炭を生産しておるというような
状態でございまして、炭層とか機械をすぐそのまま賣買をするものとしての値段で山の取引をするということはできない。
-
○徳田委員 それはよく知
つておるが、私の
條件というのは、ほかに落盤とか損害とか、あるいは
建設費の損害とか、そういうものはないものとしての値段です。その土地の特殊の
條件がありますから、それはむろんその
條件を入れてですけれども、大辻は大体
幾ら、岩屋は大体
幾らという普通の値段はあるでしよう。やはり
炭鉱業者はあの山ならどれくらい、この山ならどれくらいとみな稼行しているものに対しては値踏みはしているはずです。それはどのくらいですが。
-
-
○徳田委員 しかし実権は武内にあるのでしよう。
-
○末
廣證人 そうではありません。われわれの足らぬところを武内君に手傳
つてもらう……。
-
○徳田委員 実権はあなたにあるのですか。
-
-
○徳田委員 こちらには武内氏の
証言もありますから、いずれこれは調べて見ましよう。あなたが
貝島の株を譲り受けられたのはいつですか。
-
-
○徳田委員 一月ではないですか。
-
○末
廣證人 実は去年の十二月から今年の七月まで爭議
状態が続いておりまして、ほとんどそれに没頭しておりましたので、期日の
関係なんか平素に比べて特に薄いのですが、調べて
あとで御
報告してもいいのですが……。
-
○徳田委員 それなら調べてぐださい。それから分割をしたのはいつですか。
-
○末
廣證人 分割をしたのは三月三十一日であります。
-
○徳田委員 これは許可を受けたときのものではないのですか。
-
-
○徳田委員 事実は十二月一日にすでに分割していたのではありませんか。
-
-
○徳田委員 許可はすべて石炭廳の許可を受けなければならないはずですが、この許可は適法でちやんと受けてありますか。
-
○末
廣證人 あなたの組合の方からいろいろ言うて來るのではないかと思いますが、適法でちやんと
行つております。
-
○徳田委員 この株の代金はあなたはまだお拂いにならないという
お話ですが、あなたはそんなに財産はないのですか。
興銀の副
総裁を相当長くやられて……、譲り受けた株の金もまだ拂
つておらぬという話ですが、そんなに貧乏ですか。
-
-
○徳田委員 きわめて貧弱ですね。財産はほとんどありませんね。五十円の八千株と言
つても四十万円です。今の四十万円ならバラツクだ
つて四十万円しますよ。それならだれだ
つて買う。
興銀の副
総裁を何年もや
つて、四十万そこらの金は小づかいに使われるのかと思
つていたが、そうではないとするとちよつと解せない。所得税はどれくらいですか。
-
○末
廣證人 所得税は一万なんぼです。今ちよつと
はつきり覚えません。大体そんな心づもりで暮しを持
つております。
-
○徳田委員 所得税一万二千円なら私たちも納めているのだが、それも勤労所得税は一箇年六万何千納めている。そのほかに総合所得税に一万二千円、私たちだ
つて七万か八万くらい納めておりますよ。あなたのような大家が一万何千というのは驚くね。ほんとうですか。
-
○末
廣證人 あまり大家ではありません。收入から言えば……。
-
○徳田委員 末
廣幸次郎さんと言えば財界では大家です。パージにかか
つているほどですから、その点ではどうしても解せないと想いますが、間違いありませんね。
貝島とは分割のときに一度大げんかがあ
つて、六月にな
つてから和議が成立したのではありませんか。和議の
條件はどうですか。
-
○末
廣證人 和議の
條件は組合は分離を承認する。そうして
会社は労働
條件の維持確保に努める。大体申しますとそれであります。
-
○徳田委員 労働組合との
関係は別でいいです。同時に
貝島一族との和議
條件が成立しているでしよう。
貝島との
関係がきわめて重大でありますから、
貝島との
関係を聞きたいのです。
-
○末
廣證人 これは私に一切まかせるということにしてお
つて、分離のときに一時
反対したのですが、今年の六月にな
つてやはり一緒にや
つて行かなければいかぬからというので和解をしたのです。
-
-
-
○徳田委員 全然ないのですか。
-
○末
廣證人 全然ないことはありません。
経営に参加する。それからなるべく請負掘りを自営にもどすということです。
-
○徳田委員 まだあるのではありませんか。
-
-
○徳田委員 今
経営に参加している人は何という人ですか。
-
-
○徳田委員
貝島文男という人を知
つておりますね。この人はどういう
地位にあるのですか。
-
-
○徳田委員 株主というだけですか。
-
-
○徳田委員 ほかにありませんか。
-
-
○徳田委員 そこで前に株を分配したものをまた回收したのじやないですか。
-
-
○徳田委員 回收は実際は金策ができなくてや
つておらぬかもしれぬが、回收することにな
つておるわけですね。
-
○末
廣證人 大体そういうことになるわけでありますが、まだ
はつきりしたことはきまりません。
-
○徳田委員 その千数百万円という金をあなたが金策を引受けるという約束をしたのではありませんか。
-
-
○徳田委員 ところが実際はこの和議
條件を皆破棄してしま
つたようなことにな
つておるのじやないですか。
-
○末
廣證人 破棄じやなしに、一度いろいろ話し合
つて、その後情勢の変化によ
つて今こまかいことを
相談中であります。
-
○徳田委員 野見山謙次という人を御存じですか。
-
-
○徳田委員 この人が要するにあなたと一族との間の仲介人みたいなことをしておるのですか。
-
-
○徳田委員
貝島文男が福岡銀行から金を借りておるのじやないですか。
-
-
○徳田委員 だれですか。
-
-
-
○末
廣證人 ちよつと
委員長に質問申し上げますが、そういうことを全部申し上げなければならぬわけですか。きようは
昭和電工の問題で來いということでしたが。
-
-
○末
廣證人 貝島文男とか、末廣でない名義で借りております。
-
○徳田委員 小澤專七郎ですか。
-
○末
廣證人 小澤專七郎は借りておりません。今は十何人の名前で借りております。
-
○徳田委員 元は小澤ですね。
-
○末
廣證人 小澤ではないのです。福岡銀行から借りているのは。
-
○徳田委員 だれですか。
-
○末
廣證人 これは野見山、木曽の二人の名前で借りております。
-
○徳田委員 そして今は……。
-
-
○徳田委員 その十数人の名前はわか
つておりますか。
-
-
○徳田委員 ちよつと言うてください。
-
○末
廣證人 貝島太市、
貝島健次、同じく榮一、同じく義之、同じく文男、同じく太郎、同じく正二、同じく定一、それだけで借りております。
-
○徳田委員 そうするとこれは
貝島一家が肩がわりしたわけですね。
-
○末
廣證人 それはこうなんです。
貝島一家の一族の一部分が、金がないので、小澤氏から金を借りたのです。そこで小澤氏に借りておくと困るから返すというときに、友人に金を貸してもら
つて小澤氏に返したのです。
-
○徳田委員 その友人というのが野見山と木曽なんですか。これが福岡銀行から借りて小澤氏に返したわけですね。これはいつごろですか。
-
-
○徳田委員 それで解けるのですよ。ここは重大なかぎですよ。——その金は
幾らです。
-
-
○徳田委員 二千百万ですね。このうちから相当あなた方にお礼があ
つたのではないのですか。末廣、
栗栖、竹田、宇都宮という人たちに。
-
-
○徳田委員 そうすると
栗栖、竹田、宇都宮などに
関係がありますか。
-
-
○徳田委員 全然知らない。御存じないのですね。しかしこういうもののあつせんをしたときに、小澤から借りるなり福岡銀行から借りるなりしたときには、あなたが一つもこれに介入しておらぬのですか。
-
○末
廣證人 小澤氏に返すときは私が交渉に立
つて、私が返しました。
-
○徳田委員 世話をしたのですね。
-
-
○徳田委員 小澤氏から借りるときは、だれがや
つたのですか。
-
○末
廣證人 私は全然
関係して、おりません。私に
反対した親類の若い人たちが借りて來た。
-
○徳田委員 なるほど。これはよろしい。そうすると、そこにやはり相当トラブルがあ
つたのですね。
-
-
○徳田委員 あつさり言いなさいよ。どうせこの際だから……。そこでその際
栗栖、竹田、宇都宮という人たちが小澤から金を借りるときに、
貝島その他にいろいろ世話してやたというようなことはありませんか。
-
○末
廣證人 ないと思いますね。私は知りませんが……。
-
○徳田委員
あとにこれを肩がわりするときにはどうですか。あなたも介入しておられるようですが……。
-
-
-
-
○徳田委員 しかし福岡銀行で借金や、こういうものを二千百万円も貸すというようなことはありますか。
〔明禮
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○末
廣證人 それは個人が個人のそれぞれのことで借りてくれたのだと思いますね。友人たちが……。
-
○徳田委員 しかし今は
金融の統制でいろいろ甲乙丙があ
つて、それぞれ直接非常に必要なものでない限りは貸さないものなので、こういう借金の肩がわりくらいでは金は貸さないものだと思いますがね。それなのにこれがスムースに貸されているということに対しては、因縁があるのではないですか。
-
○末
廣證人 それは平素相当親密な取引をしているところには、ある
程度の融通をするものですから……。私どもはそういうことがあろうとは考えておりません。
-
○徳田委員 そうすると統制はめちやですな。
-
○末
廣證人 統制の範囲でや
つておられることと思いますが、私は知りません。
-
○徳田委員 しかし借金を返したりするようなことは分配株の買收の問題だが、そういうことは統制では、こういうものに貸すべきものじやないのですか。
-
○末
廣證人 それはある範囲の
自分の方でふえた預金の何パーセントかは普通のものに貸してもよいというようなことでや
つてあるのだと思いますが、その点は私に答弁を求められても困ります。
-
○徳田委員 相当融通がきくというわけですか。
-
-
○徳田委員 最後に、大辻岩屋分離の問題について後ほどまたわれわれは調べたいことがありますが、このことに関してのあなたの方の
帳簿上の金の出し入れの部分だけ、これは特別ですから
報告してくれますか。
-
-
○足立委員
先ほどちよつと問い忘れたのですが、
日野原氏から金は全然もら
つてないということでしたが、物はどうですか。
-
○末
廣證人 女の裸げたと牛肉を何百匁かもら
つております。
-
○足立委員 いつころですか。
-
-
○足立委員 大体いつころですか。
-
○末
廣證人 おととしの暮くらいのことじやないかと思います。
-
-
-
-
-
○足立委員 饗應を受けたことは全然ありませんね。
-
-
-
-
○足立委員 いや、
やめさせたときのほんとうの意思は……。
-
○末
廣證人 ほんとうの意思は私、
先ほど申しましたように、後で適当な
社長を置く方がよかろうというので、それを勧告したわけです。
-
○足立委員 勧告したのですが、そういうことを言う基本的のもの——権限と申しますか、権限でなか
つたならば、言うだけの一つの
理由がなければならないわけだ。そしてその
理由は大口債権者というだけの意味ですか。
GHQからの一つの指令があ
つたがゆえに言うたというのではないのですか。
-
-
-
○末
廣證人 私どもは三人推薦したことに対して、そのうちで
日野原氏がよかろうという話が來た。それでよかろうという意味のことは多分言
つたと思います。
-
-
○末
廣證人 決定したんだと言
つたか、そのこまかいことは覚えませんが向うにも
異議がないという意味のことは頭に残
つております。
-
○足立委員 そうすると決定したのではないが、向うの方でも
異議がないんだから
やめろというのですか。
-
-
○足立委員
異議がないから
やめた、それではもう一ぺん念を押して置きますが、そのときのものは大口債権者、これだけの意味ですか。
-
-
○足立委員 それではもう一つ念を押して置きますが、大口債権者であるあなた方は
昭和電工以外にはこういうことをや
つたことがないというわけですね。
-
○末
廣證人 今すぐ思い出してどうこうという
記憶はございません。
-
-
○末
廣證人 その点
昭和電工以外にもあ
つたがもしれませんが、私今思い出せないということを申し上げております。
-
○足立委員 やはりそういうことになると、思い出しが非常に悪いようですね。
-
○末
廣證人 そういうぐあいにとられますことは困るのです。私は覚えておることは申し上げておるのですがね。誤解を受けることはやむを得ません。私の不徳のいたすところで……。
-
○足立委員 それは思い出せないというわけですね。
-
-
○徳田委員
日本水素にはあなたはずつと前、
日本曹達におられたときから
関係されておるのですね。
-
-
○徳田委員 それで
興銀に入られてもずつと
関係されておるのですね。
-
-
○徳田委員
日本水素に
日野原君を入れるときにはどういう事情で入れましたか。
-
-
-
-
○徳田委員 それはだれのときです。
-
-
-
-
○徳田委員 最初
日本水素は何をこしらえていましたか。
-
○末
廣證人 あそこは硫安とメチール・アルコールをこしらえていました。ところが硫安がうまく行かぬので、戰時中は主としてメタノールをこしらえていた……。
-
○徳田委員 ほとんど硫安はできなかたのじやないですか。
-
-
○徳田委員
あとも行かなか
つたのじやないですか。これは
昭和電工から齊藤某という技師を派遣して、一生懸命にや
つておるという
程度のものじやなか
つたのですか。あなたはもつと十分知
つておるはずじやないですか。
-
○末
廣證人 それは
自分が
注意もしていますが、ここが比較的すみからすみまでわか
つて、みんなが私の思う
通り動くようになると、私をほかの仕事にかえるのですよ。そして初めて仕事をしますと、一年間くらいわき見をしておるひまも何もないのです。それをわか
つていただかなければ困る。
-
○徳田委員
日野原君を
日本水素に入れたのは終戰後でしよう。
-
-
-
○末
廣證人 な
つたときには全然知りません。これは全然知りません。
-
-
-
-
-
-
-
○徳田委員 二十一年の三月幾日ですね。
日野原君が水素の
社長にな
つたときもそうじやないですか。
-
-
○徳田委員 そうすると終戰前ですか。
-
-
○徳田委員 彼は
昭和電工に入る六箇月ばかり前にそこに入
つたというのだから……。
-
-
○徳田委員 そうすると、二十一年の多分秋ころですよ。そんならあなたは
興銀におられた……。
-
-
○徳田委員 そうすると、水素にな
つてから、
興銀との
金融関係はないじやないですか。
-
-
○徳田委員 全然ないですか。
-
-
○徳田委員 その間の
金融関係であなたが水素にタツチしたことはないですね。
-
-
-
-
○徳田委員 そうすると、いかにしてこの
日野原がいいということがあなたはわか
つたですか。
-
○末
廣證人 それは向うの復興の仕方とか何とかを、よその社員で私のところへ來る人間もありますし私は
追放ですから、
自分では何もしませんが、友人からも聞きます。たとえばもとは
合議制だ
つたのが責任制にな
つたというようなことを聞いて知
つてお
つたのです。
-
○徳田委員 そうすると、直接じやなくて、間接ですね。
-
-
○徳田委員 間接で
知つたくらいで、
日野原が非常に
適任者だということにな
つたわけですね。しかもあそこはメタノールをこしらえていて、
肥料はこしらえていない。
肥料に
経験のある者というのには、どうも
條件が合わぬようですね。
化学工業に
経験とあるが、これをあなたは
肥料に
経験があると言われたですけれども、ないようですね。最後に
貝島が
復金から
融資されておりますか。
-
-
○徳田委員 いくらされておりますか。
-
-
○徳田委員 これは何年から何年までですか。
-
○末
廣證人 これは一般でありますから、
昭和二十年でしよう。
-
○徳田委員 二十年から二十三年まで……。
-
○末
廣證人 二十一年の四月ころじやないかと思います。
復金は二十二年の一月から出発したのですから、その前の……。
-
○徳田委員 それは
興銀から保証したのですか。
〔「それは保証だろう」と呼ぶ者あり〕
-
○
武藤委員長 質問を
整理します。速記ができませんから、きちつと区切りをつけてください。
-
○徳田委員
興銀の保証以來
復金が貸して、全部で九億ですね。
-
-
○徳田委員 そのうちどれくらい拂いましたか。
-
○末
廣證人 ちよつと覚えませんがね。一億なんぼぐらいは返していると思います。
-
○徳田委員 そうすると、まだ八億は残
つているわけですね。
-
-
○徳田委員 この
融資はいわゆる赤字
融資というものですか。それとも、
建設のための
融資ですか。
-
-
○徳田委員 それの詳細な
帳簿の写しを出していただきたいのです。
-
○末
廣證人 帳簿の写しを出すとしますと、資料ですか。
-
○徳田委員 いつの幾日、何で、どんなにして拂
つて、施設したものはどれくらいということを書いていただきたい。これで終りです。
-
-
-
-
○田中(健)委員
市村さんがそう言
つているのですから、まさか
市村さんがうそを言うわけはない、これを確認するかどうか。
-
-
○田中(健)委員 それでは大債権者であるということはわかりますね。それから
GHQの了解を得るというその内容は……。
-
○末
廣證人 これは私
先ほども申しますように、私自身で行かずに、
担当の
重役がや
つておりましたので、そのものが得て來ております。
-
○田中(健)委員 それから
二宮さんが帰りまして、森君は
追放者の身でありながら、持株
会社整理委員会から強い申し出があ
つたからよしたということは、
昭和電工によ
つて非常にマイナスだ、こういうような御発言をしたですか。
-
-
○田中(健)委員 当時また
追放にな
つていないでしよう。
-
-
○田中(健)委員
やめなければ
追放になるというようなことを言
つたんじやないですか。いさぎよく
やめれば
追放にならないし、
やめなければ
追放になる。何かそんなことを言
つたんじやないですか。
-
○末
廣證人 こういう
記憶がございます。何か連名で非常にたくさんの嘆願書が出た。あれはどうもかえ
つて逆効果を來したというようなうわさを聞いてお
つた記憶がございますがね。
-
○田中(健)委員 あなたの方で
追放を道具に
使つたんじやないですね。それは森さんがあつさり
やめられれば
追放にならない。頑張
つていれば結局
追放になるのだ、そこで
市村君らに森さんを
やめさせるように仕向けるようなことを言
つたんじやないですか。
-
○末
廣證人 私のところに渡
つたときは、そういうことはもう解決した
あとです。私はそのときは知りません。
-
○田中(健)委員 それから新しい
社長を入れれば
自分の方でも應援してやるし、また
GHQの方の
昭和電工に対する信用もよくなる。こういうことを言
つたんじやないですか。
-
-
○田中(健)委員
市村さんはそういうふうに言
つておりますよ。今日の
昭電問題の経緯から考えてみて言いそうなことじやないですか。
-
○末
廣證人 私は多分そういうことは言いませんね。その当時でも……。
-
○田中(健)委員 その当時だれか言
つたんじやないですか。
-
○末
廣證人 私は言いませんし、私の
記憶ではそういうことをだれかが言うた
記憶はありませんね。
-
○田中(健)委員 そのときには
市村さんとあなたと
二宮さんとこうい
つた方のほかの方は誰もそんなこと言わぬですか。
-
○末
廣證人 そういう意味のことは
記憶ありませんが……。
-
○田中(健)委員 あなたはなくても
市村さんが言
つておる。結局森さんが
追放になると困るので、われわれは森さんがかわいいから——そういう
いきさつもあ
つたということを……。
-
○末
廣證人 そういう
いきさつもあ
つたかもしれませんが、私はそういうところにタツチしておりません。
-
○田中(健)委員 あなたのいるところでそういう話があ
つたということを言うておる。
-
-
○田中(健)委員 それから
先ほど徳田氏からも質問がありましたが、
日本水素のことをあなたは
大分詳しいのですが、これは再建工事をや
つておる。それを非常に
日野原氏がよくや
つてお
つたようなことをあなたはおつしやいましたが、
日本水素の再建工事は
日野原氏が何年ぐらいや
つたのですか。
-
-
○田中(健)委員
日野原氏を別にしても、再建工事は何年くらいやられたのですか。
-
○末
廣證人 あそこは終戰後
大分立ち遅れておりましたからね。
-
○田中(健)委員 終戰というと
昭和二十年の八月十五日ですね。
-
-
-
○末
廣證人 それは一昨年の春過ぎくらいからでしよう。それまで比較的のろのろしてお
つたのが、非常にスピーデイーに進んだということを申し上げた。
-
○田中(健)委員 一昨年の春ごろというと
昭和二十一年の春ですね、そうすると
日野原氏が三箇月間で工事をや
つたということになるのですか。
昭和二十一年の七月に
社長にな
つたわけですね。それから非常によくや
つた……。
-
-
○田中(健)委員 それで工事が非常によか
つたので、それを高く買
つた。こういうわけですか。
-
○末
廣證人 工事なら、大体それまでよりあそこの調子は非常によくな
つておりました。
-
○田中(健)委員 工事だけがよくな
つたのですか。その他の
経営状態等はどうですか。
-
-
○田中(健)委員 あなたはその
会社の、
昭和二十年から、あるいは、その前、その後にいたるいろいろな
会社の
経理面などについて研究してみたのですか。
-
-
-
-
○田中(健)委員 そういうことまで入らなくて、どうしてわかるのですか。
会社というものは、ただ外から人の話を聞いただけでわかるものですか。
-
-
○田中(健)委員 人の話は、金を借りるのだからみなうまく言うものです。実際
会社を見る場合には、
会社の実際に当
つてみなければ私はよくわからないと思う。せんじ詰めて言えば、毎日毎日これだけの生産がある。これだけの販賣高がある。これだけの利潤がある。こういう
経営状態である。こういう人事
状態である。
事業はこういう見通しを持
つている。こういう
経理の
状態だということを、いろいろな角度から検討して、
日野原はいい
社長だ——これならば納得しますが、ただ人の話を聞いて、よか
つたとか、あなたに今お伺いしてみると、何もそんなものはや
つていないと、こう言う。どうしてそれはよいと言えるのですか。私はふしぎに思います。しかもあなたは銀行家でしよう。金貸しでしよう。どうしてそんなことが言えますか。
-
○末
廣證人 当時は模様がえであまり製品など出ておりませんで、その模様がえの工事が非常にうまく
行つてお
つた。
-
○田中(健)委員 そうすると工事の状況だけでよか
つたと言われるのですか。
-
-
○田中(健)委員 工事だけがよか
つたので、
事業の方はさつぱり見なか
つたというのでしよう。
-
-
○田中(健)委員 当時
昭和電工というものは
建設工事だけでいいのだという見方に立
つて、
昭和電工にや
つたのですか。
社長がいいということにな
つたのですか。——
昭和電工は
建設面は大きいでしよう。しかし
昭和電工はそれだけではない。現在あなたの方だ
つて、
復金だ
つて運轉資金を貸しておるでしよう。しかも三十億というものはただ單に
建設資金だけじやないでしよう。
建設面あるいはそういう面たけじやないでしよう。
社長の献金とか……。あなたの説明では私は納得が行かぬ。もつと眞実を言
つてください。
-
-
○田中(健)委員
先ほど申し上げておることと私の言
つておることは違う。私のような質問をした人は一人もいないから、それであなたにお伺いしておる。何かそこに魂胆がなければ、そんなはずになるわけがない。
-
-
○田中(健)委員 魂胆でしよう、
帳簿も何も見ないで、
社長がよいということは言えないでしよう。
会社がよいということはわからないでしよう。私は帳面にこだわるわけではないけれども、あなたは
会社を見たというけれども、
会社を見てないからそういうことになる。見てないのでしよう。実地に見なくとも、あなたに一歩譲
つて部下の者でもだれかや
つて日本水素を調べさせましたか。その
報告を受けていますか。それでも
つて日本水素がよい
会社であり、
社長が非常によい
社長であるというならば納得しましよう。そういうことをや
つておりますか。
-
-
○田中(健)委員 それならどうしてよい
会社であり、よい
社長ですか。何の根拠のもとでそういうことになりますか。その点は
先ほどの
宣誓書もあることだから、明確にお伺いしたい。これは一番大事なことですから……。
-
○末
廣證人 その点は
帳簿を見たり
会社に調べにい
つたわけでもありませんが、多
方面の人から聞いて一致しておるから、その
通りでよいのだと……。
-
-
-
○田中(健)委員 社員の主なる人はだれですか、それは
日本水素の社員でしよう。
-
○末
廣證人 水素の中西良雄君とか小川英敏とか西丸猛、そのほかにも聞いておりますけれども、一々
記憶がございません。
-
○田中(健)委員 それでは多
方面になりません、主なる
方面ではありません。それなら
日本水素だけです。もつとあるでしよう、主なるものを申し述べてください。
-
-
-
-
○田中(健)委員 それから
先ほどの御
証言によりますと、あなたが在任中に
昭和電工に対して相当に
融資をなされてお
つた。
興銀が大債権者であるという
お話でありますが、大体金をお貸しになるまでには何のために金を貸すかという
理由があろうと思う。そこで
昭和電工がいかなる計画のもとにあなたの方へ
融資の申込をなさ
つたか、その概略をお述べ願いたい。あなたの在任中のことです。
-
○末
廣證人 在任中には復興
金融以外の取引はしてないと思います。私の在任中には
興業銀行プロパーとしては
融資をした
記憶はございません。その
時分には復興金庫にな
つておりまして復興金庫が貸した。
-
○田中(健)委員 いや、
興銀として
昭電に
融資しておるのでしよう。
-
○末
廣證人 その前からあります、私が
就任する前から……。
-
-
-
○田中(健)委員 あなたが
復金にかわ
つて貸した金でしよう。
-
-
○田中(健)委員 つまり
復金のまだ発足する前に、
昭電の計画というものはわか
つておるのでしよう。
-
○末
廣證人 これは一番大きいのは川崎工場の復旧でありまして、これは
森社長時代に出てお
つた計画です。
-
○田中(健)委員 その計画はどういう計画だ
つたか。
-
○末
廣證人 あれをもつと、七万五千だ
つたのをなんぼ殖やすとかいうことで……。ちよつとこまかいことは忘れておりますが、もとの計画より少し大きくなるくらいの復旧計画だ
つたんではないかと思
つておりますが、ちよつとこまかいことは忘れております。
-
○田中(健)委員 硫安を一箇年にどれだけ出すという計画だ
つたんですか。
-
○末
廣證人 硫安十五万トン計画のやつを一部分の被害を受けたんで十二万五千トンに第一次にして、それをさらに今度十七万五千トンにするということだと思うが、その辺は数字までお答えいたしかねます。
-
○田中(健)委員 それはあなたが在任中の
昭和二十二年三月三十一日にあなたがおやりにな
つたのでしよう、去年ですね、あなたがおやりにな
つたのは。三月三十一日現在のあなたの
記憶はどうなんですか。
-
-
○田中(健)委員
昭和電工の
融資申込書に計画されてお
つたものはそうなんでしよう。
-
-
○田中(健)委員 だいぶそれは違いますね。
記憶ないとすればなんだけれども、この間の鎌田さん、森さんの
証言によりますと、だいぶあなたのそれは違います。
-
-
○田中(健)委員 数字も違いますね。
記憶ありませんか。
-
-
○田中(健)委員 あなたはほかのことはだいぶよく御
記憶にな
つているが、
昭和電工のかんじんのところへ行くと忘れて知らないのはどうかと思う。
-
○末
廣證人 記憶に残
つているところと残
つていないところがある。この間からここへお呼び出しでございますから、できるだけ正確にと思
つておりましたが……。
-
○田中(健)委員 世間的に問題にな
つていないならばとにかく、これだけ大きな問題にな
つているならば、いつ
証言に呼ばれるかわからない、警察署なんかに参考に呼ばれることもあるでしよう。大体わか
つておることでしよう。あなたの在任中のことですよ。わかりませんか。
-
-
○田中(健)委員 二十五万トン計画というのは……。
-
○末
廣證人 二十五万トン計画というのは去年の……。それは
あとではなか
つたですかね。二十五万トン計画が出たのは。
-
○田中(健)委員 七億数千万円というのが最初あなたのところに御
相談に來た最初の計画ではなか
つたか。
-
○末
廣證人 最初は五億か七億、たぶん七億でなか
つたかと思う。五億で、石灰窒素を入れて七億であ
つたか、その辺実は
はつきり記憶ありません。
-
○田中(健)委員
記憶ないのでなく大体そこら辺です。あなたのおつしやる
通りです。だいぶ
記憶がよみがえ
つて來ました。そこで森さんが例のごたごたで
やめることになりまして、
日野原さんと皆さんの間に、森さんの立てられた計画を基礎にして何か
お話合いはなか
つたのですか。七億八千万円ではや
つていかれぬとか、あるいはもつと
融資を強化してやるとかいうようなことについて、もちろんあなたは当時
追放のことが話題に上
つてお
つたとしても、
あとに
栗栖氏とか
二宮氏、その他いろいろな
金融界の大御所が残ることであるから、
日野原氏が
就任するにあた
つて、森さんの立てられた計画を基礎にして、七億八千万円
程度では物價の値上りもはげしいし、賃金もいろいろ変更にな
つておるし、その場合には何とかしようという
お話合いはなか
つたのですか。
-
-
○田中(健)委員 そうすると話合いも何もなくて、ただ推薦されるままに漫然と
社長に
就任しようということにな
つたのですか。
-
-
○田中(健)委員 しかし
日野原さんが乘り込むには
幾らか話合いをしたのでしようか。
-
-
○田中(健)委員 一ぺんもしませんか。
-
○末
廣證人 しておりません、そういう
融資なんかについての話は。
-
○田中(健)委員 三月二十八日前に一ぺんも会
つておりませんか。
-
-
○田中(健)委員 ほかのことではどうですか。
-
-
○田中(健)委員
昭和二十一年の八月ごろから、
昭和二十二年の三月十八日まで、何べんぐらい
日野原さんに会
つていますか。ほかのことでもよろしゆうございます。
-
○末
廣證人 よく覚えませんが、四、五回ぐらいではないかと思います。
-
○田中(健)委員 どこで。
-
-
○田中(健)委員 その他別の場所ではありませんか。
-
-
-
-
○田中(健)委員 しかし驚いた
社長ですね、何も話をしないで。そうすると大体末廣さんが長い間
金融界においでにな
つて、
社長のすげ替と言
つては語弊がありますが、新
社長がいろいろと
金融界から推薦にな
つて社長になる場合もあると思いますが、そういう場合には何も抱負経綸もなく、漫然と乘り込むのが普通ですか。
-
○末
廣證人 頼まれてどこかの
会社をや
つてもらいたい。
経理が困
つている、
経営が困
つているというような場合には、大体常識的な一般的なものはございますが、中に二色あります。非常に念を入れて、
自分ですつかり
帳簿まで調べて、抱負経綸を立ててから引受ける人と、どうにも行かぬものなら、断るわけに行かぬから最善を盡そうというのと、二色ございます。
-
○田中(健)委員 そうすると
日野原氏を推薦されたのは、
栗栖氏、
二宮氏、それから末廣氏等、持株
委員会の皆さんだと思いますが、だれが口火を切
つて日野原氏を推薦したのですか。
-
○末
廣證人 言い出したのは
先ほど申したように私でございます。
-
○田中(健)委員 あなたが言い出す場合に、何か
お話合いがあ
つたでしよう。
-
-
-
○末
廣證人 私は
日野原氏、
磯村氏、
今井氏、それの推薦
理由を
二宮君には言いました。こうこうだから
自分はこの三人のほかに、どう考えても適当な人はないということを言うたのです。その前に
日野原氏については、談合はございません。
-
○田中(健)委員 これは皆さんが知
つておられるかどうか知りませんが、この以前、
日野原氏が
昭和電工の株を買うために動いてお
つたということは事実ですが、
昭和電工に乘り込もうということを考えて、持株
委員会に頻繁に出入りしてお
つた、それと非常に合わなくなります。
-
-
○田中(健)委員 それと皆さんとは全然
関係ないということになりますか。
-
-
○田中(健)委員 しかしまことにふしぎなことです。
-
○末
廣證人 ふしぎかもわかりませんが、事実それに間違いございません。
-
○田中(健)委員 結局今あなたがおつしやることが、つじつまが合わなくなることはありませんか。
-
○末
廣證人 ありません。それは
はつきりしております。
-
-
-
-
-
○田中(健)委員 あの人は
藤本です。藤井氏は小菅に
行つております。
-
-
-
-
○田中(健)委員 そうすると
栗栖さんはもちろん御
承知でしよう。
-
-
-
-
○田中(健)委員 野田氏は。
-
-
-
-
○田中(健)委員 この方々を知
つておられるというのは、どこかで会食でもなさ
つて……。
-
○末
廣證人 いいえ。
栗栖君、
二宮君は私の部下であります。植村君も非常に隔た
つた私の部下であ
つたから、そういうことで二十年、三十年來の
知合いであります。
-
-
○末
廣證人 そういう人から
相談を受けたことも、話を聞いたことも私はございません。
-
○田中(健)委員 そのために御会合なさ
つたようなことはございませんか。
-
-
○田中(健)委員
昭和二十一年八月ごろから昨年の総会前後までの間に、どこかでこれらの方々と御会食なさ
つたようなことはございませんか。
-
-
○田中(健)委員 大丈夫ですか。
-
-
○田中(健)委員 大体このくらいで……。
-
○足立委員 あなたが首のすげ替の話をしたのはあくまでもこれは債権者である
興銀の
理事という資格で
お話にな
つたのですね。
復金の
関係ということはございませんね。
-
-
○明禮委員 一番さきに承
つたのですが、
貝島合名の株を譲り受けたとおつしやいましたが何株でありますか。
-
-
○明禮委員 八千株というのは……。
-
-
○明禮委員 これは名義書きかえがいまだにできぬという話を聞いたのですが、そうしてこれの値段がきま
つていないという話ですが、どういう意味ですか。
-
-
-
-
-
○末
廣證人 五十万です。最初八千株譲り受けるはずだ
つたが、
あとで三千株別の人が譲り受けることにして、私は五千株にな
つたものですから……。
-
○明禮委員 五千株だけあなたに、三千株はほかの人に……。
-
-
○明禮委員 そうすると五千株で何ぼですか。
-
○末
廣證人 五十万でございます。百円の拂込みでございますから……。
-
-
-
-
○末
廣證人 今年の六月ごろにな
つていたのじやないかと思いますが、まだ拂えませんので、そのままにして待
つてもら
つております。
-
○明禮委員 これはあなたがおもらいになるわけじやなか
つたのですか。
-
-
○明禮委員 もう一点聞きたいのですが、この
日野原氏を入れるときに、
市村氏との交渉で男泣きに泣いたというのですが、その
時分には、もしこれを聞かなければ森さんを財閥として特別の
処分をするというか、指定をするということでおどかされたというような事実はなか
つたのですか。
-
○末
廣證人 私がおどかしたこともございませんし、私と同席のときにはそういう話は聞いた
記憶がございませんがね。
-
○明禮委員 そんなことを言うておるようですが、だれかそういうことをや
つた者があるのではないですか。
-
○末
廣證人 私の関している限りでは、そういうことを聞いた
記憶はございません。むろん私もそういうことは申しておりません。
-
○明禮委員 結局そのときは
GHQの意向によ
つてこうな
つたということですか。
-
○末
廣證人 そうでしようね。最後はそうだと思いますね。
-
○明禮委員 あなたが主としておやりにな
つたように聞くのですが……。
-
-
-
-
○
武藤委員長 ほかにございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
武藤委員長 では済みました。御苦労さまでございました。
〔
委員長退席明禮
委員長代理着席〕
—————————————
-
-
-
○明禮
委員長代理
証人の略歴と申しますか、今までどういうことをや
つていらつしやいましたか。今までの
関係をひとつ述べてください。どういう
会社に
関係していましたか。
-
-
-
○
藤本證人 大体最初研究の
方面をやりまして、それから企画、
建設、各工場がありまして、その工場長をやりました。
-
-
-
-
○
藤本證人 これは
日本精工に
日野原氏が見えられたことがありまして、その際に私一、二回お眼にかかりました。たまたま
日本水素に來ぬかというような話がありまして、私も戰爭中の技術者としての仕事が大部分完了しまして、ほとんど残務
整理をやりておりましたものですから……。非常に熱心な、氣分のいい方で、それじやさしつかえなければ参りましようというような、非常に簡單なものです。
-
-
-
-
○
藤本證人 機械の
方面と申しますと、大体精密
方面の機械とか、化学
方面の機械とか、そういうものに関連したものです。
-
-
-
-
-
-
○
藤本證人 入
つたときの事情はよく存じませんけれども、
社長が
昭和電工に入られるというような話がありまして、手助けに行かぬかというような話がありましたので、私氣持よく引受けたのであります。それ以前の事情について
はつまびらかでありません。
-
-
-
-
-
○明禮
委員長代理 そのときの
お話の内容はどうでしようか。
-
○
藤本證人 三十一日に行きましたとさには
GHQの係の方にあいさつをいたしまして、そのときに電工の再建のために努力しろというような
お話を一緒に聞いたことを覚えております。
-
-
○
藤本證人 そういうような話を、われわれ
重役がそのとき何名行きましたか、三、四名
行つたと思いますが、そういうような話を
GHQでしておりました。
-
-
○
藤本證人 それから三十一日の次が何日でしたか、翌月だと思いましたか、翌月の三日でございましたか、初めでございますか、どつちか
記憶がありませんですけれども、行きまして、最初われわれは特別な話はなか
つた。あいさつだけはしたと思います。その後
社長がいろいろな話を受けて、それから
昭和電工に前からおられた
重役が話を受けまして、そのときに私も一緒にお
つたと思います。
-
○明禮
委員長代理 そのときのもう少し立入
つた内容はどういうことですか。
-
○
藤本證人 そのときの話は、私自体が聞きましたことは、新しく入
つた重役だというように紹介をされまして、直接私一人の話でなく、全体に話したというように
記憶しておりますが。
-
-
○
藤本證人 そのときに個々に話はありませんでした。そういうように
記憶しておりますが。
-
-
○
藤本證人 やはり電工の再建のために努力せよというような
趣旨の話がありまして、ぜび緊急の生産であるから、速急に
昭和電工の建直しをせよ、これが大きな話の主体であ
つたのです。そのために万難を排してやれというような話であ
つたと
記憶しております。
-
-
-
○明禮
委員長代理 どういうふうにということはなか
つたのですか。
-
○
藤本證人 どういうふうに……社内の整備をやれという
お話があ
つたのです。
-
-
-
○明禮
委員長代理 陣容のことですか、機械のことですか。
-
-
-
○
藤本證人 入社したときにおきましては、総務部と営業部を
担当しておりました。
-
○明禮
委員長代理 総務、営業部の部長でも課長でもないのですか。
-
○
藤本證人 総務部長と営業部長と両方委嘱されておりました。
-
-
-
○明禮
委員長代理 どういう人を
やめさせたか、その人の氏名、その人の
地位等大筋でいいから述べてください。
-
○
藤本證人 名前は覚えておりませんが、最首という人。
-
-
-
-
-
○明禮
委員長代理 これは何をや
つてお
つた人ですか。何部長とかいうのではないのですか。
-
○
藤本證人 この人は、今ちよつと覚えがありません。
-
○明禮
委員長代理 それではその次。二人だけですか。
-
○
藤本證人 いや、まだあるのですが、ちよつと思い出せないのです。
-
○明禮
委員長代理 それでは思い出しながら、こういうことを述べてください。その退職者を選ぶにあた
つては、どういう人を選んで
行つたのですか。
-
-
○明禮
委員長代理 こういう人と、こういう人を
やめさせようということは、だれがはか
つて、だれがや
つたのですか。
-
○
藤本證人 これは、われわれが入社した
あと、
GHQにおいて
日野原社長が言われたことは、森系統の色彩が非常にある。そういう人はこれから
事業をや
つて行くのに思わしくないじやないか……。
-
-
○
藤本證人 そういうことです。そういう人は
やめてもら
つた方がいいのではないかというような、サゼツシヨンですか、指示ですか、そういうものがあ
つたのです。その
趣旨に
從つて一應幹部級のうちで、そういう系統と思われる方に退職してもら
つた、こういう
いきさつであります。
-
○明禮
委員長代理 この
やめさした人の名前を、ここにあるのをひとつ読んでみまよしうか。
市村常務、そうですか。
-
-
○明禮
委員長代理 それから鎌田
取締役、肥後監査役。
-
-
○明禮
委員長代理 残
つていますか。それから最首総務部長、植松総務部次長、松本資材部次長、森岡
経理課長、田村渉外課長、柴田
肥料藥品課長。
-
-
○明禮
委員長代理 三宅燃料課長、それから今の龜割総務部附、それから川崎工場では秋本工場次長、島谷
経理課長、横浜の方で佐々木総務課長、それから富山工場では山崎倉庫課長、井上勤労課長、廣瀬工場の鈴木工場次長、金子勤労課長、廣田工場の栗原総務課長……。秩父工場の渡邊工場長、小海工場の岸野工場長、藤田事務課長、旭川の小川総務課長、川口鋳造所の長島事務課長大阪出張所の
齋藤所長、大体二十五名ほどですか。
-
-
○明禮
委員長代理 これらの人々を森閥と見たのですね。そして野田という委員が
GHQをあつちこつちして活動したのですね。
-
-
-
○
藤本證人 野田さんは
GHQで渉外の方をや
つておられて、通訳か何かをしておられた。
-
○明禮
委員長代理 この人が特に活動されたというようなことはないのですか。
-
-
○明禮
委員長代理 そうすると今の二十五名の人を森閥と言
つたのは、やはりの指令であるということになりますね。あなたは指示とか、サゼツシヨンと言われたが……。
-
○
藤本證人
社長はそういうようなサゼツシヨンと言
つておりました。
-
○明禮
委員長代理
GHQではだれがそういうことを言われたかわかりますか。どなたがそんなことを言うて森閥をよさせよと言われたか。
-
○
藤本證人 言われた人は私ヘンダーソンじやないかと思いました。
はつきり記憶しておりませんが、たしかそうだと思います。
-
○明禮
委員長代理
経理担当者は社外より採用せよというようなことを言われたことがありますか。
-
-
-
○
藤本證人 ええ。それは
社長が
GHQでそういうような話を受けて來たという話であります。
-
-
-
○明禮
委員長代理 それからこれらを補充するにはどういうような標準でこれをやるようにな
つたのでしようね。
-
○
藤本證人 社内からの補充と社外からの補充と両方であります。
-
○明禮
委員長代理 社内は別として、社外から入れたのはどういうような意味で入れたのですか。
-
-
○明禮
委員長代理 その名前はいいですが、何か標準があ
つたのですか。
-
-
-
-
○明禮
委員長代理 水素
関係からよけい入
つた。これは何ですか。退職者を二十五名ほど出したのには別に森閥というような見方がある以外に、何かあ
つたわけではないでしようね。
-
-
○明禮
委員長代理 つまりお前はどういう過失があるから
やめよ。お前はどういうことをや
つた不都合な男だから
やめよというような事情ではなか
つたのですね。
-
○
藤本證人 それと大体重な
つている者もあるわけですが、大体森閥が
中心であ
つたと思います。
-
○明禮
委員長代理 多少重な
つておるというのがありますか。
-
○
藤本證人 これはその当時の
昭和電工の中においての風評でございますから、確実な証拠があるわけではないのです。
-
○明禮
委員長代理 あなたが
就任して
森社長時代の
経理不始末というようなもので、何か発見したものがありますか。
-
○
藤本證人 私は
経理担当じやないので、その面については入
つてから
自分でじかに調べたことはありません。
-
○明禮
委員長代理 だれからか聞いたことはありますか。
-
○
藤本證人 入
つた当時においてはそういう話は直接聞きませんでした。
-
○明禮
委員長代理 この退職問題で労働爭議か何か起りましたか。
-
○
藤本證人 その問題は労働協約の違反であるということで爭議とまでは行きませんでしたけれども、紛議に入
つたことがあります。
-
○明禮
委員長代理 その
理由は一口に言えばどういうことですか。
-
○
藤本證人 これは協約に社内の人事異動については必要なる場合においては組合員の意見を徴するという協約があるのです。その際において意見を徴せずにや
つた。
-
-
-
-
○
藤本證人
日野原社長の方針としまして、しよつちゆう社内において話しておりましたことは、
昭和電工の
肥料が非常に大きな部門を占めております。
肥料の増産ということが非常に國家的に重要な仕事であるので、これについては全力を盡す、万難を排して轉換工事を遂行するということを始終言りおりました。また実際に実行しておられました。
-
-
○
藤本證人 森さんの時代におきましても、聞くところによりますと、やはり
肥料の轉換工事には非常に力を入れられまして、それの
あとを引継いで、これの完成に努めたのであります。すでに轉換の計画というものは森さんの時代にできていたのであります。
-
-
○
藤本證人 復興計画につきましてはその当時においてまだ緒についたばかりでありまして、今後これを完成するには、相当の努力をしなければならぬという状況でありまして、特に轉換工事である
関係上、石灰窒素等におきましては、計画自体についてもいろいろ検討しなければならぬこともある。しかも時期的に言えば非常に急速にやらなければならない。
從つて就任後間もなく各工場を視察し、同時にこれを督励して参る。その結果昨年末におきまして、
肥料の資金
関係の行き詰りを打開しなければならぬという状況になりまして、この問題で
社長自体も非常に努力され、やつと資金の
融資を受けまして、その結果最近進捗状況としましては
肥料関係おしなべて、九〇%以上の進捗を示しております。ほぼ最初の計画が完成したのであります。
-
-
-
○明禮
委員長代理 その時に
復金から金を借りたわけですね。
-
-
-
○
藤本證人 その時の
金額は、わくでは十二億八千万円許可になりまして、借りた
金額は……。
-
-
-
-
○
藤本證人 その前は何億でしたか、
金額は覚えておりません。
-
○明禮
委員長代理
肥料の生産状況はわかりますか。どのくらいできるかという……。
-
○
藤本證人 現在硫安においては能力としては月二万トン。
-
-
○
藤本證人 実績では月一万五千トンまでの実績があります。
-
-
○
藤本證人 石灰窒素の方では、最近の実績で八千七、八百トンと思います。ごく最近のマキシマムであります。
-
-
○足立委員 三月三十一日にあなたも
GHQに行かれたのですね。その折に行かれた人はだれだれですか。
-
-
○足立委員 野田君は。
-
○
藤本證人 野田さんもそのときはたしか通訳として行かれたように思
つております。三十一日か三日の日ですか、日は
はつきり覚えておりませんが、そのどつちかに行かれたと思います。
-
○足立委員 そのときにやはり森色を一掃しろということを言われたのですか。
-
○
藤本證人 それは三十一日か、三日の日か覚えておりませんが、そのどつちかに言われた。
-
○足立委員 そのときは
GHQのだれから言われましたか。
-
○
藤本證人 それはヘンダーソン氏だと思います。そういうふうに
記憶しております。
-
○足立委員 そうして今度は四月三日に行かれましたね。その折にはだれに会われたんですか。
-
-
○足立委員 三日のときには、野田氏は行かれたんですか。
-
○
藤本證人 いずれの日か、両方行かれたかどうか、
記憶がないんです。たしか両方行かれたと思
つております。
-
○足立委員 そうしてあなた方が会合しているときに
日野原氏だけが直接向うで会われたということはないのですか。
-
-
○足立委員 そうして入
つて行つて、森色を一掃しろということはヘンダーソン氏に会
つて直接お聞きにな
つたのか、それとも
社長からこういうことを言われたのですか。
-
○
藤本證人
社長から聞きました。私はその話は直接聞いておりません。
-
○足立委員 へンダーソン氏がお
つたということはわか
つてお
つたのですか。
-
○
藤本證人 名前は
あとから、あの人はヘンダーソン氏だということを聞きました。
-
○足立委員 皆さんがみな寄
つてへンダーソン氏の机の前に
行つて、森色を一掃しろということを、あなた方がヘンダーソン氏に通訳の野田君を通じて聞いたというわけではないのですね。
-
○
藤本證人 私はそのときには話を聞かない。
あとから
社長に聞いたのです。
-
○足立委員 あなたの行かれたのは三月三十一日か、あなたの
記憶で
はつきりしないようですが、その折に
日野原氏だけが呼ばれて、ヘンダーソンがこう言
つたということをあなたに言われたわけですね。
-
-
○足立委員 その日、
市村さんは
行つていたのでしようか。
-
○
藤本證人
市村さんその他は一緒に行かれたかと思います。
-
○足立委員 その日
日野原氏が入
つて行つて、ヘンダーソン氏がかように言
つたということをみんなに告げたのではなか
つたですか。
-
-
○足立委員
会社であなたが聞かれたのと、
日野原氏がヘンダーソン氏に一人で会いに
行つて、こういう話であ
つたということをみんなの前で言われたのと違いますか。
-
○
藤本證人 行くことはみんな一緒にあいさつに行きました。そして呼ばれるときに、
社長が先に呼ばれて入
つてい
つて、待
つていた。それから後に残
つておる
重役がはいり、そしてそのときに
昭電の復興に努力しろという
お話がありまして、森色を拂拭しろという話は、私はそのとき、じかに聞いてないような感じがしております。
-
○足立委員 あなたも一緒に入
つて行かれたのですね。
-
-
-
-
○足立委員 それからあなたの所で労働争議が起りましたね。それで四月八日に、あなたの方で、この
GHQのへンダーソン氏の指示により森色の濃厚なる者を一掃しろと言われたということを組合で申しておりますね。それはだれが申しましたか。
-
○
藤本證人 四月八日は何か團体交渉でございますね。どういう話ですか、その日に何があ
つたか
記憶してないのです。
-
○足立委員 本社從業員組合との会見です。
社長室で、本社側は
社長と
藤本常務、あなたも出ておられた。組合側は石山組合長、原副組合長。
-
○
藤本證人 それでは、私も出たでしよう。大体組合との折衝は出ておりましたからね。
-
○足立委員 そういう事実はありましたね。森色のおもなる者を一掃せよと言われたのですね。
-
-
-
-
○足立委員 それから四月九日にまた会合しておりますね。そうして京浜地区組合と
会社との会見を
重役室でや
つた。それで
会社側はあなたと中村
常務と松本
常務が出ておられた。その席上で、三月三十一日ミスター・ザイビユラより、四月三日ミスター・ヘンダーソンより、いずれも社内の改組、從來の派閥の徹底的
整理に関する指示を受けた。それから解職の範囲は一、森の縁故者二、森と密接な
関係にあり社務遂行上重要なポストを占めた者三、命令に服せず社務の遂行に支障ある者四、
経理責任者及び監査役。まあこういうことを言われておりますが、
記憶がありますか。
-
-
○足立委員 組合の記録でございます。
-
-
○足立委員 それはだれが言われましたか。
-
○
藤本證人 たいてい私が出ておれば、私が話したかもしれません。
社長はおりませんでしたか。
-
-
-
○足立委員 そうです。
-
-
○足立委員 あなたが言われたのですね。
-
-
○足立委員 それから四月二十二日に
経営協議会をや
つておりますね。
-
○
藤本證人
経営協議会には私はたいてい欠かさず出ておりますから、出ているでしよう。
-
○足立委員 そうすると首切りは
GHQの一つの要請によ
つて、ヘンダーソンの通告によ
つて一時にやれというようなことを言われたと言
つておりますが、その点お認めになりますか。ちよつと読んでみましようか。「2、四月三日新旧
重役ト共ニ
GHQ「ミスターヘンダーソン」ニ呼バレテ
出頭シタトキ
肥料増産サレ、尚ソノ時森ノ「インフルエンス」ヲ一掃セヨ、新職制人事ヲ決メテ「アツト・ワンス」ニ出セトイウ指示ヲ受ケタ。」それから「3、其後持株
会社整理委員会笹山委員長、野田委員「ミスターヘンダーソン」ニ数回会ヒ、
自分ノ重イ責任ヲ痛感シ、又
GHQニモ厖大ナ資料ガキテイルトイウノデ
自分モ
調査機関ヲ動員シテヤツタ、色々考慮シタ結果課長級以上デ原案ヲ出シ、
GHQデ大体成案ヲ得タ、ソコデ四月七日ニ発シタ。」「4、
経理関係ニツキミスター・ザイビユラ、ミスターヘンダーソン」外二、三ノモノカラ
経理上層構築ハ從來電工ノ色彩ノナイモノヲ出セトイワレ、持株
会社整理委員会ノ斡旋デ與銀ニ人選シテモラツテイル総務
関係ハ從來党派的人事ガアツタノデ一、二ノ人間ハ電工ト
関係ナイ公平ナモノセニヨ、ソレニツキアンチトラストハ監視スルトノコトデアツタ。」こういうぐあいに言
つておる。これもよろしゆうございますか。
-
○
藤本證人 アンチ・トラストというのは何でございますか。
-
○足立委員 アンチ・トラスト、これで監視せよというのです。これを言
つたかどうか。
-
○
藤本證人 私が話したか、だれが話したかは覚えておりませんが、そういう
趣旨の話は出たこともあろうかと思います。
-
○足立委員 アンチ・トラストがこれで監視しておる……。
-
○
藤本證人 その表現のしかたはよくわかりませんけれども、深甚な
注意を拂
つておるということは確かであ
つたように思います。
-
○足立委員 そうするとここであなた方はヘンダーソンまたはザイビユラに会われたときに首切りをや
つて、それがどう
行つておるかどうか、アンチ・トラストが監視しておるということを言われたのですか。
-
-
○足立委員
昭和電工の問題に対して深甚の
注意を拂うということは一應了承できるが、しかしながら人事の問題についてアンチ・トラストが監視をしておる、こういう意味ですか。そういうことを言
つたかどうか、これを認めるか認めないかというのです。
-
○
藤本證人 それは表現の仕方だと思いますが、深甚の
注意を佛
つておるという意味合いだ
つたら私かあるいは
社長が話したろうと思います。
-
○足立委員 深甚の
注意を拂
つておるというのは、ここにおいて森色を一掃しようという一つのサゼツシヨンか命令か知らないが、出た。これに対して深甚の
注意を拂
つておるというのですか。
-
○
藤本證人 社内の建直しを急速にやれということを言
つておりました。その中には人事も入
つており、生産計画も入
つており、全部包含したことで、
GHQからサゼツシヨンがあ
つたということは確かであります。
-
○足立委員 深甚の
注意を拂
つておるということでありますが、その拂
つておるのは人事の問題だけに限定しておるのですよ。
-
-
○足立委員 当然人事も含まれるたいうのですね。その点はわかりました。それからあなたがこの
会社へ入
つて來られた折、その当時はやはり電工の生産計画というものは月産二十五万トンでしたか、三十万トンでしたか。硫安について……。
-
-
○足立委員 二十五万トン計画を遂行するについて前に森氏が計画を進めておりましたのは、二十五万トンの製品ができることについて当時何%くらいできておりましたか。
-
○
藤本證人 その当時の数字はちよつと
記憶がありません。
-
○足立委員 こまかい数字は出るはずがない、半分とか、三分の一とか、六三体完成していたということは言えるわけです。何%できておりましたか。大体三十万トンの計画だというのですが、実質は二十五万トンしかできない。これもこの設備でどのくらいのものができておりましたか。硫安について……。
-
○
藤本證人 全体の能力からい
つて当時においては五〇%には來てお
つたと思います。
-
○足立委員 五〇%しかできていない。それを超えてなか
つた。
それで石灰窒素の方はどうでございますか。あれは十九万五千トンでしたね。
-
○
藤本證人 そうです。石炭窒素の方は硫安より、もつと悪か
つたのではないか思う。
-
○足立委員 何パーセントくらい。
-
○
藤本證人 ちよつとパーセントは覚えておりませんが、工事の進捗から言
つて、まだ一連の工程が完成していないうちでありましたから、
程度からい
つたら三〇%くらいじやなか
つたかと
記憶しております。
-
○足立委員 森氏の折には資金も相当使
つておりましたね。
-
-
-
-
○足立委員 おおよそでいいのですよ。
-
○
藤本證人 われわれ
金額についてよく存じておりませんが、たしか当時七億かの
融資ではなか
つたかと
記憶しておりました。
-
○足立委員 それあなた方が、その新しい企画を立てられて、やはり依然として硫安が三十万トンという計画だ
つたのですか。
-
○
藤本證人 これは三十万トンですけれども、実際の生産としましましては硫安においては電解の系列が
GHQの指示で減らされましたから二十五万トンということにな
つたのです。
-
○足立委員 それから石灰窒素はやはり十九万五千トンですか。
-
-
○足立委員 そうすると森氏の計画と少しもかわ
つていないというわけですね。
-
-
○足立委員 しからば森氏の最初の計画を内容的に大きく変更する部分がありましたかありませんでしたか。
-
○
藤本證人 変更したのもありますけれども大体あの当時におきましては各
肥料会社の設備に関しましては非常に能力的に、ケミカルプランで非常にきつく押えて、盛んに査定をや
つたわけです。そういう
関係で各工場における機器につきまして減らすことを相当各社がやられた、そういう
関係で計画変更をしたということはあります。
-
○足立委員 そういう
関係で計画変更をすると、十九万五千トンに支障を來すのではないですか。わくが一緒で中を減らすというのはどういう意味ですか。
-
○
藤本證人 減らされて、その結果わくの内容がかわ
つたわけです。
-
-
○
藤本證人 わくの内容が四万トンの計画のところは三万二千トンにしたということです。
-
○足立委員 総体なものですよ、十九万五千トンの石灰窒素の大わくがきま
つておるのですから、このわくの増減があ
つたかなか
つたか。
-
○
藤本證人 これはやはりむずかしいのですが、
GHQで言う能力と、われわれあるいは商工省の言
つている能力と、能力の考え方が相当差がある。
-
○足立委員 それでは話をかえまして、森氏のときには十九万五千トンという石灰窒素の一つのわくをも
つてこれを出すために、具体的の計画を立ててお
つた。それで硫安については実質的に二十五万トンの生産をするために設備の起案を立ててお
つた。その起案をあなたの方で大きくかえたか、大体森氏の起案そのままに遂行したかということなのですが。
-
○
藤本證人 内容的に行けば機器の変更や何かということはありましたけれども、大きな変更はやりません。
-
-
-
○足立委員 それであなたの観測によれば、硫安については完成度が五〇%出てお
つた、石灰窒素については三〇%くらいなものだ
つたと、こういうわけですね。
-
-
○足立委員 その点におきまして、
市村氏の言うのと非常に大きな違いがあるのです。
それから話をかえまして、
日野原氏の渉外
関係の通訳はだれがや
つておるのですか。
-
-
○足立委員 何という人ですか。
-
-
-
○
藤本證人 これは森さんのおられる時代からや
つておると思います。渉外課員として……。
-
○足立委員 そうすると森氏が電工の
社長にな
つた折からやられておるわけですか
-
○
藤本證人 そうと思います。以前のことは私ちよつとわかりません。
-
-
-
○足立委員 水素にお
つた頃はたれがや
つておりましたか。
-
○
藤本證人 そのころは渉外課というものはなか
つたと……。
-
○足立委員 課がなくてもあの人は
GHQの方にずつと
行つておるから通訳があるはずです。通訳はだれですか。
-
○
藤本證人 それは外部から頼みまして、特に硫安
関係の縁の深いのは有賀さんの方にも頼みましたし、あるいは要談においては化学
肥料課の津田さんという人が、そうお上手でなか
つたけれども、正確に技術的なことを博えられたというわけで折衝の際に
行つてもら
つた。
-
○足立委員
昭和二十二年の二、三月ごろはだれでしたか。ちようど
日野原さんが電工に入られる前ですね。有賀さんと津田さんとそのほかにありませんか。
-
-
○足立委員 あなた御存じじやない……。
-
-
○足立委員 よろしい。それで
日野原氏が新しく人員をかえましたね。その中で今險察廰に起訴にな
つておる者はだれとだれですか。
-
-
○足立委員 そうです。その人のポストと名前を言
つてください。
-
-
○足立委員 前からおる人では……。
-
-
-
○
藤本證人 それは
社長の考えで私はどういうわけで
やめぬか、私の問題じやありませんからちよつと申し上げかねます。
-
○足立委員
GHQから
やめさせないような指令があ
つたんだというようなことはありませんか。
-
○
藤本證人 そうですか、それは最近
社長の問題について相当外部の
関係も御迷惑をかけておる筋もあるし、
会社の
重役としてもこういうような事態になるということは世間一般に対しても申訳ない。
重役としても責任があるからいかに対処すべきかというようなことを
重役としても考えた。それでこの件については各
重役個人がかくある、こうあるということではいかん。やはり
昭和電工というものに
関係ある
方面の意向を聞いて、それによ
つて対処すべきであるということで意向も伺
つてお
つたわけであります。そうしてその結果
会社として一番
関係のあるところでは、
重役の更迭については
持株整理委員会を通じてアンチ・トラストの
関係、
金融筋の
関係がある。商工省、行政官廰の
関係、そういうような意見も伺いましたけれども、この問題は非常に大きな問題で重要な問題であるものですから
はつきりした意思表示も第三者の方々はしかねるというような
状態にもあ
つたわけです。結局その結果われわれの方の
社長も退陣すべきじやないか、同時に
重役もいろいろな責任上、責任を痛感していろいろな処置をとらなければいかんじやないかというようなことを
持株整理委員会にも話しました。その結果において、
GHQに対していかにすべきかということを
持株整理委員会においても
相談したらしいのであります。そういうような
いきさつで、最近になりまして刑のきまるまでは現状のままで差支えないじやないか、刑を予断するようなことを
持株整理委員会がやるというのはいけないだろうということで、
社長辞任というような問題につきまして、一應刑が定まるまでの間においては、現状の
地位に置いたらいいだろう、同時に
社長代理として
はつきり
社長の権限を持
つておる人間がいるのだから、それを
中心に生産の維持をしていくようにという結末になりました。
-
○足立委員 それではちよつと詳しく伺いますが、持株の方にはこの
相談にいつ、だれが行かれましたか。
-
-
○足立委員 何回行かれましたか御存じありませんか。
-
○
藤本證人 それは何回でもないです。一回だと思
つております。
-
○足立委員 それから商工省へはいつ、だれが行かれましたか。
-
-
○足立委員 一回ですか。
-
-
○足立委員 そうすると
金融関係というのはどこに行かれだのですか。
-
-
-
○
藤本證人 その辺はちよつとわかりませんが、おそらく
行つたと思います。
-
○足立委員 それで結局
やめなくてもいいということは、持株で言われたわけですか。
-
○
藤本證人 いや、これは
やめなくてもいいというのではなくて、刑の予断をしてはいけないだろう、こういう責任をとるようなことはいけないだろうというメモランダムが出たのです。
持株整理委員会がそれに対して、
会社にメモランダムを添えまして通知をしてきた、そういうことです。
-
○足立委員 そうすると直接にアンチ・トラストの方に御交渉にな
つたということはありませんか。この問題について……。
-
○
藤本證人 それはないようです。アンチ・トラストの方は……。
-
○足立委員 それから方向をかえまして、この
社長及びそのほかの人がたくさん検察廰に呼ばれておりますが、その弁護士の選択はだれがや
つているのですか。
-
○
藤本證人 これはその事件が起きましたときに、
社長が依頼した弁護士であります。
-
○足立委員 その弁護士が全部の被疑者をや
つておるのですか。
-
○
藤本證人 全部の被疑者に……これは
担当があるのです。
-
○足立委員 それでは何人くらい
担当になるのですか。
-
○
藤本證人 今大体新聞に出ておりましたように六、七人でございましよう。
-
○足立委員 その人を依頼するにつきましては、
会社とは
関係ありますか、ありませんか。
-
-
-
-
○足立委員 ええ。
-
○
藤本證人 個人の
関係は私は知りません。個人の
関係はないと思います。
-
○足立委員 どういう人を選択するというようなこと及び費用はどこから出すというようなことについて、
会社が
関係しております。
-
-
-
○
藤本證人
会社が選択をしたといいますか、
社長が弁護士をきめたわけです。
-
○足立委員 しかし
社長は拘束をされてお
つて、なかなか自由に行かぬでしよう。
-
○
藤本證人 いや、
社長が弁護士をきめるというのは、その前に
会社においてちやんと弁護士ができておりますから……。弁護士は
会社に前からいるのでございます。
-
○足立委員 前からこの人に
社長が
相談してきめられたと、こういうわけですか。
-
○
藤本證人
社長がきめたという今の話で、あなたの質問の要旨と私の答えが違
つておりますから、もう一度おつしや
つてください。
-
○足立委員 弁護士を五人も六人も頼んでおりますが、その頼むのは
会社としてきめたのか、個人としてきめたのかというわけです。
-
-
○足立委員 それはたれが
会社として折衝に当
つたかという問題です。
-
○
藤本證人 私は勘違いをしておりました。
会社にいる弁護士もいるわけですから、その弁護士が
中心にな
つてや
つたわけです。
-
○足立委員
会社としてきめた以上、その費用は当然
会社が負担すべきものですね。
-
○
藤本證人
会社が負担すべきものだと考えております。
-
○足立委員 現在どのくらいの費用が出ておりますか。
-
-
○足立委員 大体でよろしい。
-
-
○足立委員 あなたは
会社として負担すべきものだという
お話でございますが、そうすると、これは
会社のためにあの人がああいうことにな
つているのですか。そういう御見解ですか。
-
○
藤本證人
会社の
事業遂行のためにそういう容疑を受けたというふうに解釈しております。
-
○足立委員 そうすると、あなたは
会社事業を遂行するのに、刑事的なことをや
つても
事業を遂行しなければならぬと考えているのですか。それも
会社業務の一つと考えているのですか。
-
○
藤本證人 刑事的なことをした場合といいますと、
会社の人がですか。
-
○足立委員 あなた方は
日本の復興の硫安工業を達成するために、
日本の
法律に
從つてやらなければならぬわけだ。それを
日本の
法律に從わないでや
つたがゆえにここに刑事問題が起
つたのだから、そういうことも
会社としてやるべき仕事であるかというのです。
-
○
藤本證人 これはわれわれ容疑者として考えておりますから、まだ犯罪を犯したというふうに考えておりません。
-
○足立委員 まだ犯罪を犯したと考えていない。容疑があるという……。
-
-
○足立委員 その容疑が刑事責任を問われる容疑です。そういう容疑でもですか。もう一つ言いかえますと、
昭和電工には二十何億という國民の膏血をしぼ
つた金が
行つている。その金であなた方はこの弁護士の費用を拂
つているのですよ。國家の食糧を生産するために、國民が泣く泣く税金を拂
つて昭和電工に
融資した。そういうものを背任であるとか贈賄であるとか、そういう犯罪によ
つてあなた方の
会社はむちやくちやにな
つている。それを、弁護士の費用を
会社の費用で拂うとは何事であるか。國民が
承知しませんよ。そういう考えをも
つて会社の
経営をするとは何事ですか。も
つてのほかです。しやあしや
あとしてこの席上でそういうことを述べられるとは——あなたはこの
会社の指導者である。そういう人に対して私はこういう
事業を託することはできないという意見を私は持ちます。
法律的にはわれわれはどうすることもできません。しかしながらわれわれは一國民といたしまして、國民の膏血をしぼ
つた金をそういう人に託して
日本の生産を遂行してもらうということは、実に考えざるを得ないと私は考えております。
-
○
藤本證人
お話の
趣旨はよくわかりましたが、私の申し上げていることは、それが
会社の仕事として刑事上の問題を起した場合に、これを
会社が
支拂うかどうかという話と、それとは別に、
会社の仕事としてや
つて、そういうような過失を犯したのだ。しかしその過失の決定は後にならなければわからぬ。その間において、今出ているのは贈賄というようなことが出ているわけですが、この贈賄という問題は個人のや
つた問題ではない。
会社のためにかりに贈賄をや
つたとすればや
つたのじやないか。だからこれは
会社として見れば見られるのじやないか。こういうので、
会社が見るべきであるから
会社の
経理上で全部拂
つておくということとは、また別問題です。見てや
つてもいいどころがあるのじやないかというのです。
-
○足立委員 冗談じやない。
日本國民としては、やはりこれは
法律にかな
つた方法で資金を獲得しなければならない。それを贈賄をも
つてしなければならぬというのは
会社の仕事では絶対ありませんよ。頼む弁護士の費用も國民が膏血をしぼ
つた税金で拂
つておる。これはもうこれでいいのですが、それからもう一つ、あなたから見られて森氏がやられてお
つた会社の
経営というものは非常にふしだらなものであ
つたですが、それともまた……。
-
-
-
○
藤本證人 それは比較の問題ですからちよつと申しかねますが、決していいかげんにや
つたわけではなく、実業家は実業家で
自分の信念で
事業をや
つておられたわけですから、私は決して森さんのや
つていたことがふしだらであるとは考えていません。
-
○足立委員 すると現在のあなたの
経営ぶりと森氏の
経営ぶりと違う所は……。
-
-
-
-
○足立委員 結構です。
-
-
○田中(健)委員
先ほど日野原さんが
社長になられまして、それから森系と目される二十数名を首切られましたですね。そのとき
GHQから何か言われて首切ることにな
つたという
お話ですが、その場合
GHQに
行つたあなた方の通訳はだれですか。
-
-
○田中(健)委員 向うの通訳ですか。
-
-
○田中(健)委員 それから
藤本さんは人事部長をや
つたことはないですか。
-
○
藤本證人 職制が変更してから人事部長を一時やりました。
-
○田中(健)委員 このときは人事部長だ
つたですか。
-
○
藤本證人 いや人事部長ではありません。総務部長です。
-
-
○
藤本證人 はい
つてから、職制が変りまして人事部長ができまして、人事部長をしばらくやりました。
-
○田中(健)委員 森系を首切る場合はどうです。その場合はどうです。その場合人事部長をや
つてお
つたですか。
-
-
○田中(健)委員 すると、人事部長じやないのですね。
-
○
藤本證人 ええ、人事部長ではありませんけれども、総務の中に人事も入
つております。
-
-
-
○田中(健)委員 すると、あなたが大体人選したことになりますな、二十数名を。つまり責任者ですね。
-
-
○田中(健)委員 責任者であるあなたにお伺いすれば一番早いと思うが、どういうわけで森系であるかないかということを見分けたか、何か標準があ
つたのですか。何年おれば森系、むやみに出入りすれば森系、あるいは顔色を見て森系とか、どういうふうにや
つたんですか。森系であるという標準をお漏らし願えば、この問題について非常に結構だと思います。
-
○
藤本證人 要するに森さんの親戚であるとか——親戚ということは森系ということになるでしよう。同時に森さんの仕事の運営上中枢にな
つて働いた方々は森さんの系統として考えられる。
-
○田中(健)委員 すると、
日野原氏は菅原通済とは近いそうですが、菅原通済系ですか、今の話から言
つたらどうです。
-
-
○田中(健)委員
日野原氏は菅原通済系の最たる士であるということになりますか。
-
○
藤本證人 そういう観点で言えば、そういうことになりましよう。
-
○田中(健)委員 いや、それは私の観点ですが、あなたの
お話から言えばそういうことになりますね。退職者を直接きめられたのはやはりあなたですか。
-
○
藤本證人 最後の責任者はもちろん私でありますけれども、これについての社内での打合せはやりました。
-
○田中(健)委員 社内の打合せですか、
重役会議ですか。
-
○
藤本證人 一部です。全部というわけではありません。
-
-
-
○田中(健)委員 だれだれですか。
-
-
○田中(健)委員 それからあなたですか。
-
-
-
-
○田中(健)委員 それから人事課員、係長、課長級はいなか
つたですか。
-
-
○田中(健)委員 人事課長ですか。
-
-
○田中(健)委員 宍戸という方ですか。
-
-
○田中(健)委員 そのほかの課長はいませんか。その
相談のとき。
-
○
藤本證人 いえ、
相談というのでは……
会議という形でや
つたわけではありませんから。意見を聴いたわけです。
-
○田中(健)委員 しかしいずれにしても会合をや
つたのでしよう。
-
-
○田中(健)委員 何ですか。
-
-
-
-
○田中(健)委員 持ちまわ
つたのですか。回状を書いて。
-
-
○田中(健)委員 今の方々はタツチしたわけですね。
-
○
藤本證人 今の方々は、全部はかけませんけれども、一部分どういう人かと樣子を聽いたことはあります。どういう人柄かということは聞きました。
-
○田中(健)委員 それから
先ほど一箇月一万五千トンの硫安の生産があ
つたという
お話がありましたが、硫安ですか。
-
-
○田中(健)委員 これは平均一万五千トンですか。今年六月水谷商工大臣が
行つたとき……。
-
-
○田中(健)委員 水谷さんが
行つたときてしよう。前月分までかき集めでや
つたとか世間で言
つてる……。
-
○
藤本證人 そんなことはありません。かき集めではありません。
-
○田中(健)委員 最低は
幾らですか。一番出なか
つたときは。
-
-
○田中(健)委員 それはわかりました。ただ一万五千トンは出すぎるようですから。一番出ないときもあるのでしよう。
-
○
藤本證人 あります。一万トン出ないときもありますし、五千トンくらいのときもあります。おもに渇水期になりますと非常に減りますから。
-
○田中(健)委員 すると一万五千トンは豊水期ですね。年に十二、三万トンですか。
-
-
○田中(健)委員 私川崎に
行つて聞いて來ましたが、月に一万五千トンとすると年に十八万トンくらいになりますから。
-
-
○田中(健)委員 それから
先ほど御
証言を聞いておりますと、足立さんに対する答弁は、昨年あなたが
昭和電工に入られるときには五〇%復興してお
つた、こういう
お話です。ところが私が
調査に参りましたときは、これは今年の三月二十一日ですが、八〇%復旧している。現在八〇%まででき上
つておりまして、新設備はできておりませんというようなことでした。そうすると昨年あなたが入られてから今年の三月までにはわずか三〇%までしか進んでおりません。そうでしよう。さきほどあなたが言
つたのは五〇%ちよつと欠けるかもしれない。森さんのときにおいて五〇%できてお
つた。ところが今年私が
行つたときは三〇%しかできていないということですから、そうなりますと三〇%のところでたいへんな金を
使つたことになるのです。これはほかのことではない。おなたの
証言の中から生れてくるのですが、これはどういうことですか。
-
○
藤本證人 五〇%というのは戰災で破壞されて、その後において電解
関係の設備だけを残しまして、それが十二万五千トンの能力にな
つているわけです。それの補修ということがさきに川崎工場で取上げられたものです。それから新しい電解工場の設備にな
つているのが十二万五千トン、合計二、十三万トン、そういう設備を能力的にみまして、森さんがおられた当時に約五〇%と言
つたのは旧工場の補修ということでやられてお
つたのが五〇%、あるいはそれ以下であ
つたということです。
-
○田中(健)委員 もちろんそれは私は知
つております。それは旧設備で、その新しいものは七系一列でしよう。そうしますと二十五万トンはできませんね。そうなんでしよう。
-
-
○田中(健)委員 それは私の調べたところによりますと十系列で二十五万トンである。私は技術屋でないから論争はしないがそういう話だ
つた。ただあなたの御
証言によりますと、昨年五〇%できてお
つて、そこへ皆さんが乘り込んで
行つてわずかに三〇%しか進まないのに、しかも七億数千万円のところが一躍二十何億という國庫の金が出ている。そういうことになるとその金の使い方は実にずさんだ
つたのではないかと考えられるが、あなたはどう思いますか。
-
○
藤本證人 五〇%というのはすでに新しく五〇%までつく
つたわけではないのです。十二万五千トンの電解設備というものは補修によ
つて十二万五千トンになるわけですから、森さんがおられたときにはすでに五〇%までの能力をも
つてお
つたということを申し上げたのです。
-
○田中(健)委員 機械、器具の設備の復旧のことではないのですね。生産能力ですか。
-
-
○田中(健)委員 そうするとあなたの方に参
つて調べて参
つたときも復興状況についての質問であ
つて、
先ほどの足立さんのあなたに対する場合も復興の状況を聽いているのであ
つて、生産状況を聽いているのではなか
つたと私は思いますが、その点はどうですか。
-
○
藤本證人 生産高の話が出たものですから、どの
程度の生産があ
つたかということからいきましたので、これは設備の能力でいかなければならぬと考えて、そう返事したわけです。
-
-
-
○田中(健)委員 それに対してはどういう……。
-
○
藤本證人 労働組合の方では
社長がああいう状況になれば早く
社長の
地位を去るべきではないかということで、そういうような労働組合の要求が出ています。
-
○田中(健)委員
先ほどの御
証言によりますと、官廳、
金融機関その他各
方面には
大分会社の方から御
相談に
行つているということですが、労働組合
方面には何ら御
相談にも
行つていないようだが、労働組合を無視するという意味ですか。そういう意味ですか。労働組合には
経営協議会の席上いろいろな質疑應答をや
つておりまして、
会社側の意図は傳えております。ただ
経営者の問題になりますと、組合に
相談してきめるとうわけにいかぬものですから、やはり
経営者は独自の考えで進まなければならぬ。もちろん労働者の考え方は
経営者として大いにこれを見てやらなければならぬことは大事なことでありますれども、
経営者自体の問題については
経営者が善処すべきであるという観点です。
-
○田中(健)委員 それから
会社のことは検察廳なんかで当然今度の事件で問題にはな
つておると思いますが、
会社の交際費ですね。交際費のようなものは
会社の
帳簿に現われているわけですね。
-
○
藤本證人 交際費というものはどこの
会社でも交際費として出せないわけですね。
-
○田中(健)委員 いや、あなたの方の
会社は交際が非常に廣い
会社でありますから、交際費は当然帳面に現われなければならぬでしよう。そこで現われておるかどうかということをお伺いしておるのであ
つて、現われてなければ現われてなくてもいい。
-
-
○田中(健)委員 それは現わさないのですか。
-
○
藤本證人 交際費という費目は認められないわけです。
-
○田中(健)委員 そうすると
会社経理に関する
法律違反になるのですか。
-
○
藤本證人 やはりこれは制限
会社令違反になるわけですね。
-
○田中(健)委員 それは
重役会で違反をや
つてもいいから出せということをおきめにな
つたのですか。だれがそういうことをおきめにな
つて、そういう不法行為をおやりにな
つたものですか。
-
○
藤本證人 交際費の問題は非常に困るんですけれども、大びらに交際費というものは出せないのでございます。ですからその他の費目で出さなければならぬ。
-
○田中(健)委員 その他の費目ということは違反でしよう。
-
-
○田中(健)委員 その違反が
重役会議できめておるものか、
社長の独断專行か、
常務のあなたが意をくんでおやりにな
つておるのか。
-
○
藤本證人 交際費はめいめいの立場において必要な場合の交際をや
つておりますので、一々これは命令してきめてないのでございます。それでこういう交際費を使いたいという場合に、
会社としてやむを得ぬだろうと思
つて幹部が認めて印を押してやるという形にな
つておる。
-
○田中(健)委員 そうするとあなたが押してや
つた場合もありますか。
-
-
○田中(健)委員 これは当然違反になるわけですね。それから
復興金融金庫から御
承知の
通り二十何億という金が出ておるわけですね。こういう金の中のおもなる
使途をちよつとお伺いしたいのですが、
昭和電工は非常に交際費の支出が多い。それに関連して交際用の自動車、これが非常に多いように聞いておりますが、森さんからの
お話によりますと、森さんが
社長をや
つておられたときは三台しかなか
つたそうです。ところが
日野原さんが
社長になられてから二十八台あ
つたという話ですが、当時どのくらいあ
つたのですか。
-
○
藤本證人 二十八台はありません。そんなにありません。現在持
つているのは……。
-
○田中(健)委員
日野原さんが検挙される当時ですね。乘用自動車、それは
会社の名前にな
つた車もあるし、借上げにな
つてお
つたものもあるし、実際借上げにな
つて会社に登録されておらなか
つたものもあるでしようし、とにかく二十何台あるということにな
つておりますが……。
-
○
藤本證人 それはそんなにありません。
会社全体でトラツクや何か……。
-
○田中(健)委員 乘用車です。
-
○
藤本證人 乘用車だけですと、直接持
つているのが六台くらいのものでございましよう。それに借りる自動車もあります。用が足りないわけですから……。
-
○田中(健)委員 あなたが知
つておられる交際用の
リストはどこにありますか。
-
-
○田中(健)委員 あなたの知
つておられる自動車はやはり六台しかないのですか。
-
-
○田中(健)委員 二十何台ということは……。
-
-
○田中(健)委員 どつか借り上げておるものを入れればもつと多いだろう、こういうことですか。
-
○
藤本證人 それにしても二十何台というような数はないと思います。
-
○田中(健)委員 それで
興銀関係、持株
委員会の
関係、商工省あるいは
復金、こういう
関係の諸君が昨年の三月二十八日前後において、
会社の首脳部、特に野原氏などといろいろと御宴会なさ
つた。特に飲食を伴う会合が非常に激しか
つた、こういうふうに聞いておりますが、あなたはその点は御存じですか。
-
-
○田中(健)委員 しかし自動車のそういう御準備というものは、大体ほかの
会社あるいは官廳の例によると総務
関係でやるものですが、あなたの部課の方で何かそういう準備をするのじやないでしようか。
-
-
○田中(健)委員 庶務課はあなたの部課ですね。
-
-
○田中(健)委員 そうするとこれは一應
藤本さんの監督下にある部課で準備をする、こういうことになるわけですか。
-
○
藤本證人 自動車の準備ですか。それは庶務課でや
つておるわけです。
-
○田中(健)委員 宴会の準備はどこでやるのですか。
-
-
○田中(健)委員 どれもやはりあなたの方でしよう、違いますか。あなたは
常務だから
社長專属でしよう、これはいかがですか。
-
○
藤本證人 これは私一人の專属ではないのです。祕書というのは
重役全体の祕書です。
-
○田中(健)委員 そうすると、あなたも一部は知
つていることになりますね。
-
-
○田中(健)委員 知
つているだけを言
つてください。
社長のためあるいは
重役のために宴会の準備をして、そこにだれだれが來てお
つたというようなことを知
つているだけのことを言
つてく、ださい。
-
○
藤本證人 その
関係については私はよく知りません。
-
○田中(健)委員 わからなければしようがありません。大体この
程度で
やめます。
-
-
-
○足立委員 十六日から十七日です。
-
-
○足立委員 聞いておりませんか。
-
-
○足立委員 それから、その次の日も続いてあなた方の方で持株
委員会の部長級をまた招待しているのですが、それも御
承知ありませんか。
-
-
○足立委員 それから十月二十八日、十月三十日、十一月十五日、十一月二十八日という順で、
復金の審査部長一行、それからストライク
調査團一行、
興銀の連中一行、
復金の審査部長一行というようなぐあいに、みな招待しているのですが、こういう宴会にもあなたは御
関係ありませんか。
-
○
藤本證人 社は宴会の方はあまり
関係がありません。私はほとんど内部
関係ですから……。
-
-
○
藤本證人 宴会に
関係がないということはありませんが、そういう外部折衝の方の
関係はありません。
-
○足立委員 それから、
日野原氏は現在
昭和電工の株を四万株持
つていることが
はつきりしているのですが、それはこういうぐあいにしてお買いにな
つたのか御存じないですか。
-
○
藤本證人 買
つた経路は私は知りません。買
つたという話は聞いておりますけれども、買
つた経路は知りません。
-
-
-
-
-
○
武藤委員長 ほかにございませんか。それでは済みました。御苦労さまでした。
—————————————
-
-
-
-
○
齋藤證人
昭和五年に
昭和電工、そのころは
昭和肥料と申しましたが、川崎工場に入りまして、十四年に本社に移りまして、本社の
肥料課長をやりました。十五年に故森矗昶さんが
日本肥料に行かれまして、私も
日本肥料に移
つて企画部の企画課長をやりました。ちよつと判然といたしませんが、多分十八年までその勤めをして、十八年に
日本水素へ移りました。
日本水素で最初は製造部長をや
つておりまして、後に工場長をいたしまして、
昭和二十一年の七月か八月ごろまで工場長をや
つておりました。それで
日野原さんが
社長になられると同時に工場長を辞任して、その前から
取締役をや
つておりましたが、その
取締役だけで、研究
方面の担任というようなことでずつと参
つておりました。その間近所の、加里工業、これは
日本肥料の系統の
会社でございましたが、これを閉鎖するにつきまして、それの閉鎖の事務の監督に参
つておりました。昨二十二年の四月に
昭和電工に入りました。
昭和電工に入りまして企画部長になりまして今日に至
つております。
-
-
○
齋藤證人 私が
昭和電工に約十年おりましたので、いろんなことを知
つておるからという意味ではないかと思います。
-
-
○
齋藤證人 そういうことは言われてもおりませんし、私自身の技能から申しましてもできないことであ
つたと私考えます。
-
-
○
齋藤證人 多分私が二十日前後ではないかと思いましたが、呼出しを受けまして、電工へ
日野原さんが入社するかもしれないというような話を聞きまして、電工はどういうふうな業務成績かというような点について質問を受けまして、話しました。私は
先ほど申しましたように
昭和十五年まで電工におりまして、
昭和二十一年
日野原さんが
日本水素の
社長となられたときに、私どもは工場長を
やめまして、ずつとそれからはほとんど失職の形でおりました。私自身はまた電工にもどりたいという希望を持
つてお
つたので、川崎工場に長くおりましたので、川崎工場のその
時分の工場長中村さん等に依頼はしておりましたが、私どもとしては
日野原さんの
お話を聞いて、私も電工には入りたいと思
つてお
つたころでありますから、電工に入らしてもらいたいということを言
つたのであります。その間において工作をするとか何とかいうことは私としてやりたくともし得なか
つたじやないかと思います。
-
○
武藤委員長 ただいまの二十日ごろというのは何月の二十日ですか。
-
○
齋藤證人 三月です。二十日前後じやないかと考えられますが、
記憶が明確ではございません。
-
-
○
齋藤證人 十日ということはちよつと明確ではございません。多分二十日前後ではないかと思
つております。
-
-
○
齋藤證人 実は私も覚えがなか
つたのでございますが、最近この問題で二十八日に総会があ
つたということを新聞で見たりいたしましたので、その間は長か
つたという
記憶はちよつとないのでございます。
-
-
-
-
○
齋藤證人 私の入社は多分四月にな
つてからだと思います。
-
-
-
-
-
-
○
齋藤證人 それは組合と交渉があるというような話を
日野原さんから聞きました。
-
-
-
-
-
-
-
-
○
齋藤證人 私どもとしては、それは聞いておりません。
-
○
武藤委員長 あなたが労組と折衝せられたことはあるのですか。
-
○
齋藤證人 いいえ。四月後になりまして、組合と
社長との間で交渉があ
つたということを聞いております。
-
○
武藤委員長 あなたは何か当られたことはないですか。
-
-
-
-
○
武藤委員長 実はあなたが入られたのは、
日野原氏が入る前の受入れ態勢をつくる地ならし工作のような意味で入れられたのではないかということを言う者があるのですけれども、そういうことは全然ないのですね。
-
○
齋藤證人 私が入りましたのは四月後にな
つてからであります。
-
○
武藤委員長 いや正式に辞令が出たのは四月後かもしれませんが、何かそういう仕事をなさ
つたのではないかと言うのです。
-
-
-
-
-
-
○
武藤委員長 何かお聞きになることがございますか。
-
○足立委員 あなたは莊野さんを御存じですか。
-
-
○足立委員 この問題について、莊野さんと
お話したことがありますか。
-
-
○足立委員 そうです。
-
○
齋藤證人 それは私が呼び出されましてこつちに参りまして、
日本水素の本社でお目にかか
つたことがございます。
-
○足立委員 話の内容は……。
-
○
齋藤證人 話の内容は、
社長からこういうような話があ
つたという点をその
時分に、莊野さんが
日本水素の
社長でございましたか、
常務でございましたか失念しておりますが、とにかく
日本水素の現場の責任者であります。私もずつと小名浜におりましたから、そういう
社長の話があ
つたからという了解を得た覚えがございます。
-
○足立委員 あなた、それで呼び返されて福島から
日野原氏が
昭電に行くようにという一つの運動をした意味のことを莊野氏が
証言したのでありますか、そういうことはありませんか。
-
-
○足立委員
委員長の言われましたような受入れ態勢に対する
昭和電工の工作をあなたがやられたという……。
-
○
齋藤證人 私としては
先ほど申したように、電工にもどりたいという希望を持
つておりましたときでございますから、そういうような話が、
社長がきま
つたということの
あとに、よろしくお願いしたいと言
つて、昔の工場長だのに会
つて話はしましたが、受入れ態勢を整えるとか、あるいはそれをよくするというようなことをやるようなことを私としてはしなか
つた。
-
○足立委員 あなたは
昭和電工の原君というのを御存じですか。
-
○
齋藤證人 原猛六君でしたらずつと入
つてから存じております。
-
-
-
○足立委員 結構であります。
-
○
武藤委員長 ほかにございませんか——それでは済みました。御苦労さまでした。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時五十三分散会