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1948-11-16 第3回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月十六日(火曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 武藤運十郎君    理事 明禮輝三郎君 理事 河井 榮藏君    理事 荊木 一久君 理事 小松 勇次君    理事 石田 一松君       高橋 英吉君    足立 梅市君       前田 種男君    山中日露史君       橋本 金一君    野本 品吉君       田中 健吉君    寺崎  覺君       徳田 球一君  委員外出席者         昭和電工に関す         る問題について         出頭した証人  末廣幸次郎君                 藤本  忍君                 齋藤 辰雄君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員会報告書に関する件  昭和電工に関する問題     —————————————
  2. 武藤運十郎

    武藤委員長 これより会議を開きます。  お手元にさし上げてありますプリント、「衆議院不当財産取引調査特別委員会における石炭國管問題に関する調査審議の現況について」と題するパンフレツトは、当委員会において今日まで國管問題に関して調査をしました結果を記録したものでございます。これを同問題に関する今日までの当委員会報告書とすることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤運十郎

    武藤委員長 では、さよう決定いたします。  証人調べをいたします。本日御出頭証人は末廣幸次郎君、藤本忍君、齋藤辰雄君の三名であります。御承知通り委員会目下調査中の昭和電工問題について、証言を求めるため御出頭を願つたわけであります。これより証言を求めるわけでありますが、証言を求める前に各証人に一言御注意を申し上げます。  昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には、何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、且つ宣誓した証人虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  それでは法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。お手元にさし上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。     〔証人廣幸次郎君各証人を代表して宣誓〕     〔各証人宣誓書署名捺印
  4. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは末廣君、藤本君、齋藤君、こういう順序でお話を伺いますから、末廣君以外の諸君は恐縮ですがもうしばらく別室でお待ちを願います。  それでは末廣さんに伺いますが、あなたは元興銀の副総裁をしておられたようでありますけれども、その就任、退職、いつからいつまでですか。
  5. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 昭和二十一年の二月一日から、昭和二十二年の四月十七日までの間であります。
  6. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから貝島炭鉱とはどういう関係ですか。
  7. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 昨年の八月から貝島炭鉱の副社長をいたしております。
  8. 武藤運十郎

    武藤委員長 おやめになつてからですね。
  9. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようでございます。
  10. 武藤運十郎

    武藤委員長 おやめになつてしばらくたつてから八月のいつからですか。
  11. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 八月十日くらいだと思います。
  12. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから今日まで。
  13. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はい。
  14. 武藤運十郎

    武藤委員長 貝島ではやはり副社長ですか。社長はだれですか。
  15. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 社長貝島太市です。
  16. 武藤運十郎

    武藤委員長 貝島氏は今どこにおりますか。
  17. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 下関市におります。
  18. 武藤運十郎

    武藤委員長 会社の実務を見ますか。
  19. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 見ておりません。昨年の十二月から病氣でずつとふせつております。
  20. 武藤運十郎

    武藤委員長 最近お会いになつたのはいつですか。
  21. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 二、三箇月前だと思います。
  22. 武藤運十郎

    武藤委員長 大分前ですね。病氣は何ですか。
  23. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 胃腸病神経衰弱と申しますか、夜よく眠れない病氣のようであります。
  24. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがお会いになつたときはどんな様子でしたか、病状は。
  25. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 前に比べて大分やせておりまして、寝ておるまま話しますから苦しそうな模様でありました。
  26. 武藤運十郎

  27. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 意識はつきりしておるようであります。
  28. 武藤運十郎

    武藤委員長 どのくらいの時間の話にたえますか。
  29. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私が二十分くらい話して帰りました。
  30. 武藤運十郎

    武藤委員長 そう疲労はしなかつたようですか。
  31. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 何かしまいには苦しそうでございまして……。
  32. 武藤運十郎

    武藤委員長 ときどき会社の業態を報告に参るわけではないのですか。あなたと限りませんけれども。
  33. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ほとんど参りません。
  34. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると今のところでは社長は飾りものですか。
  35. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 自分病氣だから一切よしろく頼むということで大体私がやつております。
  36. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが社長と同じことをやつておるわけですね。
  37. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようです。
  38. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが副社長就任をせられたのはどういういきさつですか。
  39. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 元から貝島氏を知つておりましたのと、私前に東邦炭礦株式会社社長をしておつた経験が十あります。そんなことで頼まれて引受けたわけであります。
  40. 武藤運十郎

    武藤委員長 東邦炭礦というのはどこにありましたか。
  41. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 一昨年ですか、一昨々年ですか、解散いたしましたが、九州に六箇所、常磐に一箇所、北海道に一箇所の炭礦を持つてつた会社であります。
  42. 武藤運十郎

    武藤委員長 相当大きな会社ですか。
  43. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 資本金は三千万円でしたと思います。
  44. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが炭鉱に対する事業上の経験もあるし、かねがね社長貝島太郎氏と知合いであつたという関係で、懇請されて副社長になつたわけですか。
  45. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようです。
  46. 武藤運十郎

    武藤委員長 副社長になる條件は…。
  47. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 條件は大体炭鉱経営には一切おまかせするから願いたい、こういう話でございます。
  48. 武藤運十郎

    武藤委員長 貝島炭鉱の株をお持ちになつたのでか。
  49. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 本年の二、三月ごろです。
  50. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはだれから譲り受けたのですか。
  51. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 貝島合名のものを譲り受けました。
  52. 武藤運十郎

    武藤委員長 幾らで譲り受けましたか。
  53. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 額面ですか。
  54. 武藤運十郎

    武藤委員長 額面は調べればわかりますけれども、あなたが実際譲り受けられた金額は……。
  55. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 金額額面通りであります。
  56. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際に金をお拂いになつたわけですね。
  57. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 金はまだ拂つておりません。手形で拂つております。
  58. 武藤運十郎

    武藤委員長 幾日の手形ですか。二、三月ごろじやないですか。
  59. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  60. 武藤運十郎

    武藤委員長 約手ですか。
  61. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 約手です。
  62. 武藤運十郎

    武藤委員長 支拂日は……。
  63. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 三箇月くらいにしておりますが、その後延期をしてもらつております。
  64. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではもう二回くらい書きかえましたか。
  65. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 書きかえずに延長してもらつております。
  66. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際はもらつたわけじやないですか。
  67. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 もらつたわけじやありません。
  68. 武藤運十郎

    武藤委員長 もらつたようなものじやないですか。
  69. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 もらつたんじやないです。金は拂はなければならぬ。
  70. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういうふうにして拂うつもりですか。
  71. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 他から金を借りて來て拂うつもりにしておりますが、金を借りたりする時間がないのでそのままになつております。
  72. 武藤運十郎

    武藤委員長 大分長いですね。借りようとしたことがあるのですか。全然借りようとしないのですか。
  73. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 まだ借りようといたしません。
  74. 武藤運十郎

    武藤委員長 借りて拂うつもりはあるのですね。
  75. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あります。
  76. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが興銀在職しておりました当時、貝島炭鉱興銀から融資をしたことがありますか。
  77. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あります。
  78. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつ幾らぐらいですか。
  79. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 多分昭和二十一年八月ごろと思います。はつきり覚えませんが、当時千万ぐらいではないかと思います。
  80. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは一回ですね。
  81. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私のおりましたときは一回と思います。
  82. 武藤運十郎

    武藤委員長 その使途は……。
  83. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 使途は、当時の設備資金の不足その他に使つたと思います。
  84. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは返済済みですか。
  85. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 多分返済できていないと思います。はつきり覚えません。
  86. 武藤運十郎

    武藤委員長 今社長代理みたいなことをしておられるでしよう。
  87. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  88. 武藤運十郎

    武藤委員長 わかりませんか。
  89. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今はつきり記憶いたしません。
  90. 武藤運十郎

    武藤委員長 ちつとも拂わないとか幾分拂つたとか、そういうことはどうですか。
  91. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今覚えませんが、経理状態その他から見て返し得ないと思いますから、多分返していないと思います。
  92. 武藤運十郎

    武藤委員長 期限はいつということですか。
  93. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ある期間すえ置きで、その後分割して支拂うことになつてつたと思いますが、これも今はつきり覚えておりません。
  94. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから、あなたが興銀の副総裁をしておられるころはそれ一回で、おやめになつたあとは聞きませんか。
  95. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その後は月内の融資をときどきしてもらつております。大体月末になれば返すという條件のものを融通してもらつております。
  96. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは毎月大体がきまつているわけですか。
  97. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大体リミツトがきまつております。
  98. 武藤運十郎

    武藤委員長 どのくらいです。
  99. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今は二千万と思います。
  100. 武藤運十郎

    武藤委員長 月二千万までは……。
  101. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 借りられるのです。月末には一旦返してまた借りる。そういう取極めになつております。
  102. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際においてもそのくらいのところを前後しているのですか。
  103. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大体一ぱい借りておると思います。
  104. 武藤運十郎

    武藤委員長 実際においては返さないでそのまま書きかえておるのではありませんか。
  105. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 石炭代が月三回入りますので、それで賃金その他の支拂いとのずれがあります。その困つたときにお借りして、月末にはお返しする、こういうことにいたしております。
  106. 武藤運十郎

    武藤委員長 興銀の副総裁在職中に、ほかに貝島と何か金融またはそれ以外で興銀関係があつたことはございますか。
  107. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 何もございません。
  108. 武藤運十郎

    武藤委員長 在職中は月々融資というものはなかつたのですか。
  109. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 なかつたはずであります。今はつきり覚えません。
  110. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが貝島の副社長就任せられたあとでこの月々の二千万円をリミツトとして貸すというようなことはできたわけですか。
  111. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 多分そういう記憶であります。
  112. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが副社長就任せられた理由は、先ほどお話のただ單に貝島氏とあなたとが知合いであつたということ、あなたが炭鉱事業経験があるということだけではなくて、あなたが興銀の副総裁をしておられて、そのために貝島在職中に相当密接な関係があり、かつ貝島炭鉱にあなたを迎えられたならば金融方面で非常に便宜であろうというような趣旨からであつたのではないですか。
  113. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう趣旨はないと思います。当時貝島太市氏は日本全体の石炭鉱業会会長を各方面から要望されておつたのでありますが、うちの方をやる人間がない。そこで私に來てくれということで、私が就任したあと、先生が鉱業会会長になつた。こういう点も大きな動機だと考えます。
  114. 武藤運十郎

    武藤委員長 今度は別の問題ですが、昭和電工森社長やめたときのいきさつを知つておりますか。
  115. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 知つております。
  116. 武藤運十郎

    武藤委員長 なるべく詳しく述べてみてください。
  117. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 昨年の初めと思いますが、昭和電工社長の森氏以下、專務常務が全部追放にかかつてやめられなければならぬという状態になりました。そのあとには、残つておられた重役の中で、ちよつとはつきり記憶いたしませんが、多分その結果その時分に平取締から市村氏が常務になられた。そうして森氏が追放やめられたあとは、市村氏が中心になつて経営するというようなことを考えておられたようであります。ところが当時昭和電工の会計の監査が関係方面でありまして、そのときに前年の十一月ごろから帳簿の記入ができていないというので、融資元である興業銀行も非常なお叱りを受けました。そうして当時三月ごろは、そういう場合には経理担当者並び経理担当重役やめさすのかどうかということがまだきまつていない時期であります。そのときに、当時すでに復興金融金庫行つてつたと思いますが、復金理事二宮氏から、関係方面で、昭和電工先ほども申しますように、社長以下、專務常務追放である。そのあとをやられる中心の人も当時どういう処分を受けるかきまつていなかつたという状態であつて後任社長をきめなければならない。何かその当時の言葉フレツシユで、肥料製造業経験のある者、こういう條件の人を三人ほど教えてくれぬか、こういう依頼があつたということを聞いたのであります。そこでそれなら自分も急いで適当な候補者を考えてくるから、あなた方も考えてくれということにしました。それで私としましては一晩でありますか、二晩でありますか、非常にいろいろとあらゆる方法で研究いたしました結果、保土ケ谷曹達磯村氏と日本水素工業日野原氏と信越化学工業今井氏この三人が適当であろうということを考えまして、二宮氏を呼んで自分はたくさん適任者と思う人があるが、みな追放その他でさしつかえがあつて、今のところではこれが最後の結論だという話をしました。しばらくあと二宮氏も、自分も十分考えましたが、これ以外にありません、こういうのでそれを結論として関係方面にも自分らとしてはこういう方々がよいと思うということを報告する、こういうぐあいにはからつたわけであります。私がその三人を候補者にあげました点は、保土ケ谷磯村氏につきましては説明するまでもないと思いますが、あとの二人はちよつと普通ではその中へ考なかつたかとも思いますが、私は日本曹達常務取締をいたしております時分に、日本曹達の子会社である日本水素工業工場建設に携つておりました。これは私といたしましては非常に骨を折り、苦労した建設でありましたので、日野原氏が水素工業社長になつた以後は同氏の動静その他について非常な注意を拂つておりました。仕事の進捗方法、社内の統一、人心の收攬その他において非常にうまくやつている。それから当時までの私の調べておつたところでは、今度いろいろの問題を起しているような点はそう顯著な点を見出すことができなかつた。そこで肥料工場の回復並びに肥料の増産ということは非常に大事なことであるから、あれだけ腕もあり力もあり、実績をあげる男ならよかろうということで同氏を一人に加えたわけであります。そこで二人はできたのでありますが、三人という注文でありますが、どうしても追放その他の関係で三人まとまりません。その点からいつてフレツシユという点では合わないのでありますが、信越化学今井氏を加えまして三人を推薦した。かような次第であります。
  118. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたがリストをおつくりになるときには、このリストに載せた三名は前もつてお会いになつたのですか。
  119. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 みな面識はありますが、リストに載せるとか載せぬとかいうことについては、会つたことはございません。
  120. 武藤運十郎

    武藤委員長 君を今度推薦したいと思うがどうだというようなことは聞きませんか。
  121. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 全然ございません。
  122. 武藤運十郎

    武藤委員長 その少し前ごろ日野原氏に会つておりませんか。
  123. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その前には日は覚えませんが、度数も覚えませんが、日本水素工業は、先ほども申しましたように日本曹達その他の関係で、やはり興業銀行からある程度融資をいたしておりましたので、融資先経営者として会つております。
  124. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは親交があるわけではないのですか。
  125. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 親交という程度ではございません。
  126. 武藤運十郎

    武藤委員長 金融関係で会つているという程度ですね。
  127. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  128. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か興銀で調べて、昭和電工経理上の不正があるとか何とかいうことがあつたのですか。
  129. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう記憶はございません。
  130. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたの方で経理を調べて不正があるということは全然なかつた……。
  131. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう記憶はございません。
  132. 武藤運十郎

    武藤委員長 調べたこともない……。
  133. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ただ関係方面で調べられた結果、前年の十一月から帳簿整理ができてないというようなことを聞いた記憶があるのであります。
  134. 武藤運十郎

    武藤委員長 GHQで調べて、その結果あなたの方へそういう話があつたわけですね。
  135. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  136. 武藤運十郎

    武藤委員長 どこからありましたか。だれから……。
  137. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは二宮氏から聞いたと思います。
  138. 武藤運十郎

    武藤委員長 リストをつくつてからGHQへ持つて行きましたか。
  139. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは、当時興業銀行では関係方面担当理事栗栖氏がやつておりました。はつきり記憶はございませんが、多分二宮氏と栗栖氏がリストを持つて行つたのだろうと思つております。私が持つて行つたのではございません。
  140. 武藤運十郎

    武藤委員長 二宮氏と栗栖氏が持つて行つたのだろうと思うわけですか。
  141. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  142. 武藤運十郎

    武藤委員長 持つて行つて來たけれどもという話は聞きませんか。
  143. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その後二宮氏から持つて行つたという話は聞いております。しかし持つて行く前に、いつだれが持つて行つたという記憶はないのでございます。
  144. 武藤運十郎

    武藤委員長 それから先ほどお話のありました新しい昭電社長は、その條件としてフレツシュというのですか、若いこと、社長経験があること、化学工業経験のあること、財閥に関係のないことなどがあげられたということでありますけれども、さようですか。
  145. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私はそのうちでフレツシュという言葉肥料経験のあるということだけは今覚えておりますが、ほかのことは今記憶にございません。
  146. 武藤運十郎

    武藤委員長 そういう條件は一体だれがつくつたわけですか。
  147. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 関係先でそういう條件の人がよかろう、そういう條件の心当たりの人を推薦するようにという言葉があつたよう記憶いたしております。
  148. 武藤運十郎

    武藤委員長 ではまず第一にGHQの方でそういう條件は出したわけですね。
  149. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私はさよう記憶いたします。
  150. 武藤運十郎

    武藤委員長 二宮氏がこういうことを考え出して、それを日野原氏がGHQへ持つて行つて、それはよかろうということでできたのだということを言う人があるのですけれども、そういうものではないですか。
  151. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私はそうではないと思います。
  152. 武藤運十郎

    武藤委員長 そのことについて二宮氏と話合つたことはありませんか。
  153. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございません。
  154. 武藤運十郎

    武藤委員長 昭電森社長やめさして新しい社長を入れろというのは一体一番最初はだれがそういうことを言い出したのですか。
  155. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私どもとしましても考えてはおりましたが、具体的に問題になつて参りましたのは多分三月の末と思いますが、二宮理事が私の方にそれを言うて來たので初めて私としては知りました。その前にも社長專務常務がなくなる。あと常務になつた人はどういう処分を受けるかわからない。さような状態では困るから、早く固めなければならぬということは考えてはおりました。
  156. 武藤運十郎

    武藤委員長 興銀で考えておつたわけですね。
  157. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はあ。
  158. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうしてどこかへ話をしたわけですか。
  159. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは記憶がございません。
  160. 武藤運十郎

    武藤委員長 日野原社長就任させるについて、だいぶ昭電側と摩擦があつたようですが、御存じですか。
  161. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 いつか日は忘れましたが、その三人を推薦いたしまして、そのあとでやはり二宮氏だつだと思う。日野原氏を社長にするのがよかろうというような程度つたと思うのですが、関係方面からあつた。それで市村常務に來てもらつて、その話をするようにということでありました。市村常務に來てもらいまして私と二宮氏が会いまして、先ほども申し上げましたように、社長專務常務がなくなられる、あと中心になられる新常務のあなたは経理不備のために今どうしようかということがきまつていない状態である。そのあなたが中心になつてやられることは適当でないから、あと社長を入れる方がいいとわれわれは考える。それには日野原氏がいいと思うから、それに了承願いたいという話をいたしました。で市村氏は自分らに十分の相談なしにそういうことは困るというので非常に興奮をして御立腹のようでありました。しかし私の申し上げた社長專務常務がいないあと中心になる常務自身が、当時としては——今日では違いまするが、当時としては相当その地位についても不安定状態にあつたというので、適当な社長を置かなければならぬということは別に異存はなかつたようであります。その手続については非常に御立腹になつてつたようであります。そこでなおそれについては自分らはさようにするがいい、そうしなければならぬと考えるが、なお持株整理委員会の方のこともよく聞いていただくとよかろうというので、私と市村氏と二宮氏と三人で持ち株整理会員委ヘ行きました。そうして笹山委員長、それから植村部長が多分出たと思いますが、話しまして、途中で笹山氏が席をはずしまして、それから二宮氏も用事があつて席をはずしまして、私と市村氏が待つてつた。そこへ笹山氏が席へもどつて参りまして、そこでどう言うたかちよつとどうしても思い出せないのでございますが、結局市村氏は不精々々それならばそういたしましようということで短時間でそこを出て帰つて來た。かようなことであります。
  162. 武藤運十郎

    武藤委員長 市村氏は前もつて相談がありさえすれば日野原でもいいということではなくて、相談があつて日野原では困る。こちらはこちらでいろいろ内部の事情があるのであつて、大体現重役合議制で行こうかということまでも相談しておるのだから、そういう者を突然持つて來られても困るということで実質的には反対したのではないですか。
  163. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今の点ですが、私の申し上げるのは、市村氏は社長專務常務がなくなつて、そうしてあと自分中心になつて合議制でやろうという市村常務自身地位も、今やめさせられるかどうかわからぬというような状態であるから、中心になつてやられることは適当でないということについては当時は反対してはおられません。しかし今お話のように日野原社長がどうかということは反対をしておられると思いますが、だれか持つて來なければならぬということについては当時反対してはおられません。
  164. 武藤運十郎

    武藤委員長 日野原氏を持つてくる話をするについては、どういうことで日野原氏を昭電の新社長に入れなければならないのだということを市村氏に話しましたか。
  165. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 話はしておりません。
  166. 武藤運十郎

    武藤委員長 理由は全然話しませんか。
  167. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 話しません。
  168. 武藤運十郎

    武藤委員長 ただ日野原社長にしなければならないということを申し渡したわけでありますか。
  169. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 要するに社長がないあと合議制にも、その中心市村氏が現にどういう処分を受けるかわからぬ状態にある、從つてその不安定な人が中心になつて合議制でやるということは困るということを申しました。
  170. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこまではわかるのだけれども、從つて何かきちんと中心になる社長を入れなければならないということはあなたのお話を一應伺つておきますが、そのことは一つのことであつて、それならば日野原社長に持つて來なければならぬということは、他の事柄であるから、しかもその日野原社長市村氏に反対を受けておるということになると、それでどういうわけなんだという話があつて然るべきと思うが、子供の話でないでしようから何かあつたのでしよう。
  171. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう話はございませんです。
  172. 武藤運十郎

    武藤委員長 いやそんなはずはないでしよう、何かあるでしよう。
  173. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私自身は三人のうちに、日本水素の日野原氏を加えたことは、その説明などをした記憶がないのであります。当日は市村氏は非常に立腹になりまして、私も立腹になるのもごむりもないと理解もしたものでありますから、一緒に持株整理委員会行つたのでありますが。
  174. 武藤運十郎

    武藤委員長 聞くところによると、市村氏はその日に帰つてきて男泣きに泣いたというが、何か詳しい話があつたのじやないですか。
  175. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私どもと話し中にも涙を流しておられました。しかし私が、たとえば日野原氏は自分としては水素の成績を見て、こうこうだという話には入つて行かなかつたようでありますので、そういう記憶はございません。
  176. 武藤運十郎

    武藤委員長 もう一度思い出してもらいたいのだが、これは興銀復金でそういうようにするんだ、あるいは持株の方でそうするのだとか、これはGHQの指示、至上命令のようなものだとか、もしこれに應じなければこれこれこういうことになるというような話は出たじやないですか。
  177. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつと私はそういう記憶がないのでございます。
  178. 武藤運十郎

    武藤委員長 このくらい具体的にお話しても記憶は呼び起せませんか。
  179. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それで持株整理委員会の方へ行つたのだと思いますがね。
  180. 武藤運十郎

    武藤委員長 もし話がなかつたとすれば、それは故意に話をしなかつたのではないのですか。
  181. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 当時そういうことはないと思いますね。大体ほかの人は知りません。私としましてはとにかく社長專務常務がなくなつてあと中心になる常務がどうなるかわからぬ、そこでどうしても新しい人——新しい人間については私としては先ほど申し上げたようにいろいろ検討したあとでございまして……。
  182. 武藤運十郎

    武藤委員長 とにかく日野原社長承知してくれということを言つたわけですか、ほかに理由は言わないですか。
  183. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  184. 武藤運十郎

    武藤委員長 どうもちよつと納得行きませんね。市村がそれじやしようがないというところで、往生するところまで話に飛躍がありますね。
  185. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 興銀で会つたときはやむをえないとは言うてなかつたです。
  186. 武藤運十郎

    武藤委員長 まだ承知しなかつた……。
  187. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そのときは承知していなかつた。そこで皆一緒に行つて持株で笹山氏があとで來たときにはそれならそうしましようということになつた。私としましては別に飛躍でも何でもない。しごく普通の運びに運んだと思つております。
  188. 武藤運十郎

    武藤委員長 その笹山氏が野田氏かからか、何か初め今私が申し上げたような趣旨のことを言いませんでしたか、GHQの意思だとか何とか……。
  189. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは大事なポイントだと思つていろいろ思い出すのでありますが、かんじんの笹山氏が最後に席へもどつてからの言葉がどうしても思い出せないのです。
  190. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかし相当激論もあつただろうし、男が泣くというようなことは劇的なわけでありますから、それは印象が深いのじやないかな。
  191. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 興業銀行では非常な激論になつて、多分テーブルをたたいておられたと思います。しかし持株へ行つても初めのときは少し議論になつておりましたが、笹山氏が席をはずして、その次に帰つて來てからはあまり激しておられなかつたよう記憶なんです。
  192. 武藤運十郎

    武藤委員長 では今度別の話を伺いますが、昨年ありました石炭國管案に対する反対運動というものを御存じですか。
  193. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 存じております。
  194. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたはこれには関係していなかつたですか。
  195. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 関係いたしておりません。
  196. 武藤運十郎

    武藤委員長 全然なかつたですか。
  197. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 全然ありません。
  198. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが副社長就任されたのは八月の十日ごろですね。
  199. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  200. 武藤運十郎

    武藤委員長 今年就任されたのですか。
  201. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 去年です。
  202. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると國管運動の盛んなときじやなかつたのですか。
  203. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は就任直後であり、かつ貝島氏が鉱業会会長として東京におりましたし、私としては新しい仕事でありますので、それは関係いたしておりません。
  204. 武藤運十郎

    武藤委員長 興流会という会がありますか。
  205. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございます。
  206. 武藤運十郎

    武藤委員長 それは何ですか。
  207. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは興業銀行に籍を置いておつた者が、それぞれいなかにおつたりなんかして、東京の中心へ出て來たときに電話をかけたりなんかするときに困るから、ひとつ足場をこしらえようということで、そのためにこしらえた会であります。
  208. 武藤運十郎

    武藤委員長 その組織やメンバーは……。
  209. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 組織は元興業銀行に働いておつた者であります。
  210. 武藤運十郎

    武藤委員長 働いておつた者はだれでもというわけではないでしよう。相当な地位にある者でしよう。
  211. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 別に大してむずかしい資格とか何とかはきめておりません。
  212. 武藤運十郎

    武藤委員長 東京に事務所を置いておくわけですか。
  213. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 事務所と申しますか、クラブと申しますか、そういうものが一部屋ありました。
  214. 武藤運十郎

    武藤委員長 どこにとつてありますか。
  215. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 興業銀行の四階に。
  216. 武藤運十郎

    武藤委員長 そこを連絡場所にしておるわけですね。
  217. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 連絡場所と申しますか、足だまりです。東京へ來たときに電話をかけたりなんかするための。
  218. 武藤運十郎

    武藤委員長 会費をとりますか。
  219. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 会費はおそらく年に百円か二百円くらいのものじやないかと思います。ちよつと今覚えません。
  220. 武藤運十郎

    武藤委員長 大分少いようですが、百円くらいとつて何に使いますか。
  221. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そこで茶を出したり、給仕の者に心づけをやつたりすることだろうと思います。
  222. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは会長とかいうものはありますか。
  223. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうはつきりした者はいないと思います。
  224. 武藤運十郎

    武藤委員長 だれか中心になる人があるでしよう、幹事というような。
  225. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 幹事は多分樋口邦雄氏なんかがせわしておるのではないかと思います。
  226. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは別に……。
  227. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は世話しておりません。
  228. 武藤運十郎

    武藤委員長 ただ親睦をはかるだけで、ほかに政治的な活動をするというようなことはございませんか。
  229. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういうことは全然ございません。
  230. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは今幾人くらいメンバーがありますか。
  231. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 メンバーはおそらく六、七十人あるのじやないかと思いますが、そんなに集まつたとか、集まりをやるというようなことはほとんどないのでございます。
  232. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは名簿ができているでしよう。
  233. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 名簿はできていたと思います。
  234. 武藤運十郎

    武藤委員長 お手元にありますか。
  235. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は今持つておりません。
  236. 武藤運十郎

    武藤委員長 家へ帰れば見つかりますね。
  237. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 家へ帰ればあると思います。なければもらつて……。
  238. 武藤運十郎

    武藤委員長 それではひとつやつかいでも、探して一部頂戴いたしたいと思います。
  239. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 かしこまりました。
  240. 武藤運十郎

    武藤委員長 もう一つ産業金融研究会という名前のものがありますか。
  241. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございます。
  242. 武藤運十郎

    武藤委員長 それはどういうものですか。今私が伺つた興流会の説明をされるようなぐあいで説明してみてください。
  243. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これはだれが中心であつたか、産業経済なんかの研究会をときどき開いたりなんかするというので、会費が五千円でございました。
  244. 武藤運十郎

    武藤委員長 一箇年五千円ですか。
  245. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 一箇年ということじやない。一回きりということであつたと思います。それきりでございます。
  246. 武藤運十郎

    武藤委員長 それならばそれは入会金ですか。
  247. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 入会金と申しますか、会費と申しますか……。
  248. 武藤運十郎

    武藤委員長 月額幾らとか年額幾らとか、そういうものでないのですか。
  249. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういうものでありません。出しつぱなしです。
  250. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは幾日でもいいということですか。
  251. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 幾日でもいいということでございます。
  252. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうすると一番少くて五千円、あとは五万円でも十万円でもかまわないのですね。
  253. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は二口で一万円出しております。
  254. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはどういう人がメンバーになつておりますか。
  255. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 やはり私どもの知合いの人でございますね。
  256. 武藤運十郎

    武藤委員長 どういう関係知合いですか。
  257. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 興銀の知合と申しましようか、そうはつきりいたしておりません。
  258. 武藤運十郎

    武藤委員長 興銀知合いでは困りますね。たとえば興銀から相当大きな融資を受けた者がこれに入るというようなことじやないのですか。
  259. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういうことでもありませんね。私はせわしたわけでありませんからよく知りませんが、たとえば融資を受けたうちでも、君、ぼくというくらいの懇意な連中というようなことに考えております。
  260. 武藤運十郎

    武藤委員長 融資を受けたうちで割合と親しい関係融資を受けた者ではないですか。
  261. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  262. 武藤運十郎

    武藤委員長 融資を受けて親しくなつたのではなくて、何か非常に親しい関係があつて融資を受けて……。
  263. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 いいえ、その辺が……。要するに融資関係の向きであり、そうして懇意な連中でもある。
  264. 武藤運十郎

    武藤委員長 これは会員が幾人くらいあるのですか。
  265. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 よく覚えません。私はせわしておりませんので……。
  266. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかしこれは相当莫大な金になるでしよう。一口少くても五千円、多い者は何万円も出しているのですから、さつきの会費百円なんというのとは雲泥の相違で、性質の上においても仕事の上においても、相当これは違つたものになるかと思うのですが、一体この会は何をするのですか。
  267. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私も勧められて入つているのですが、財政経済の研究会とか、進んでは講演会でも開こうという趣意に開いております。
  268. 武藤運十郎

    武藤委員長 財政経済の研究をしたり、講演会でも開くということが目的ですね。
  269. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ。
  270. 武藤運十郎

    武藤委員長 今までどういう研究をして、どういう講演会を開きましたか。
  271. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は大体九州におりますので、出たことがございません。
  272. 武藤運十郎

    武藤委員長 通知は……。
  273. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 通知も受けた記憶がございません。
  274. 武藤運十郎

    武藤委員長 そんな会はないでしよう。そんなに会費をとつて……。これは一名栗栖後援会と言われておつたものではないですか。
  275. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 栗栖後援会とはとははつきり記憶しておりません。
  276. 武藤運十郎

    武藤委員長 はつきり栗栖後援会ということは言わなくても、大体興銀から金のめんどうを見てもらつた人が謝恩の意味で金を集めて、実際においては栗栖氏の政治的な活動を側面から援助しようというような趣旨ではないのですか。
  277. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はつきりそうも私は思つておりませんのですが……。
  278. 武藤運十郎

    武藤委員長 しかしお話の財政経済の研究、あるいは講演というようなことにしましては、どうもあなたのお話に納得できないのです。これこれこういう講演会をやつたとか、こういう研究をしてこういうレポートがあるとか、相当な資金を使つておるのだから、あるいはこういう機関をつくつてこういう研究をしておつたとか、何かそういうお話をいただきたいと思うのですが、でなかつたら名前はそうなんだけれども、別の目的なんだ、それはこうなんだというふうに言つていただかないと納得することが困難だと思う。
  279. 田中健吉

    ○田中(健)委員 委員長証人注意しなければならぬ。証人は婉曲に証言を拒否しておるところがあるから注意しなければならぬですよ。
  280. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か規則書みたいなものがあるのですか。
  281. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 規約のようなものはあつたと思います。
  282. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か趣意書のようなものが刷つてありまして、発起人みたいなものを十人ばかり並べ、そうして一品五千円と書いてあつて、やや細長いような紙を御記憶ありませんか。
  283. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 多分そういうことだつたと思います。
  284. 武藤運十郎

    武藤委員長 それに名前を書いて入つてもらつて金を拂つてもらうというわけですか。
  285. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ。
  286. 武藤運十郎

    武藤委員長 今まで集めた金はどのくらいありますか。
  287. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは存じません。
  288. 武藤運十郎

    武藤委員長 集めた金をどういうふうに使つたかは知りませんか。
  289. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 知りません。
  290. 武藤運十郎

    武藤委員長 会計はだれがやつておるのですか。
  291. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 多分三ツ木氏じやないかと思いますが……。
  292. 武藤運十郎

    武藤委員長 名前は……。
  293. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 名前は常彦です。祕書官をしておりました、あれがやつたのじやないかと思います。その辺はつきりいたしませんが……。
  294. 武藤運十郎

    武藤委員長 これはできてから幾年くらい経ちますか。
  295. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつと時期は覚えません。
  296. 武藤運十郎

    武藤委員長 会計報告というものもないのですか。
  297. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 まだ聞いておりません。
  298. 武藤運十郎

    武藤委員長 それじや金は出しぱなしで、結局栗栖さんの方で御自由に使つてもらつていいという趣旨ですか。
  299. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 書いたものが來ておりましたから、その趣意で出したわけです。     〔証人に書類を渡す〕
  300. 武藤運十郎

    武藤委員長 それですか。
  301. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これです。
  302. 武藤運十郎

    武藤委員長 その下にくつついておるものに名前を書いて金を出すわけですか。
  303. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようでございます。
  304. 武藤運十郎

    武藤委員長 このことを一番よく知つておるのはだれですか、この会のことを一番よく知つているのは……。あなたはあまりよく知つておらないようですから……。
  305. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は平会員ですから…。想像ですが、三ツ本君じやないかと思います。
  306. 武藤運十郎

    武藤委員長 会員になつておりますか。
  307. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 だれですか。
  308. 武藤運十郎

    武藤委員長 その三ツ本君が。
  309. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それははつきり覚えませんが、多分先生じやないかと想像しております。
  310. 武藤運十郎

    武藤委員長 もう少しよく知つている人があるのじやないかな。
  311. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ……。
  312. 武藤運十郎

    武藤委員長 この規則書とか名簿というものもあるでしようね。
  313. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございませんね。あれだけで……。
  314. 武藤運十郎

    武藤委員長 お帰りになつてもし手に入りましたならば、さつきお願いしたものと一緒に委員長あてにお届けを願いたい。あるだけで結構てす。二日以内ぐらいにいずれもお願します——何かお尋ねございますか。足立君。
  315. 足立梅市

    ○足立委員 この日野原氏を社長にするということは大分前からうわさに上つてつたのじやないですか。
  316. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私が二宮氏から話を持つて來られたのが初めであります。そうして先ほども申しましたように、私自身が磯村日野原今井という三人を言つたのであります。
  317. 足立梅市

    ○足立委員 このうわさが相当前から飛んでおつたということを確信しておつた人があるのですがね。
  318. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは私が何と申しますか世間が狹かつたというか、私の耳に入つておりません。記憶がございません。
  319. 足立梅市

    ○足立委員 あなたが三人の候補者を出されたということが一番最初であるということを言われたのですか。
  320. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私としてはですね。
  321. 足立梅市

    ○足立委員 しかしその前にこういううわさがある、こういう事実があればもつと前から日野原氏が昭和電工社長になるということは大体うわさに上がつてつたのじやないですか。
  322. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私の出るまでには聞いておりません。
  323. 足立梅市

    ○足立委員 しからば日野原氏が社長になりたいというような運動をしておることをあなたはお聞きにならなかつたのですか。
  324. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私も聞いておりません。
  325. 足立梅市

    ○足立委員 二十二年の一月ごろに熱海で二宮さん、重政さん、日野原さんが会合しておる事実がありますね。あなたも一緒ですね。
  326. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私はおりません。
  327. 足立梅市

    ○足立委員 こういう会合があつたという事実は御承知じやないのですか。
  328. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 知りません。ちよつと申し上げますが、もし事前にそういうことがあつたとしますれば、私は断じてその三人の中に加えないだけでなしに、私どもとしては警戒をしたと思います。私どもが金融業をしておる以上は、そういう仕事の仕振りであり、そういうやり方をやらざるを得ないのであります。
  329. 足立梅市

    ○足立委員 結構です。それでは三人の候補者をあげまして、その中で一番最初にだれを書いたのですか。みな一緒に書くわけじやない。横に書いても縦に書いてもともかく筆頭というのがあります。筆頭はだれにいたしましたか。
  330. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は書いたものは出しておりません。私から二宮氏に言いまして、そうして二宮氏がおそらくメモでも書いて、関係方面にでも持つて行つたのだろうと想像します。
  331. 足立梅市

    ○足立委員 あなたは持つて行かれなかつたのですか。
  332. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は持つて行きません。
  333. 足立梅市

    ○足立委員 二宮氏がどういうようなことをされたのですか。
  334. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は前の日か、前の前の日かに三人という話がありましたから、自分としてはこれこれの三人が適当であると考えたが、君たちはどうかということで持ち出しました。
  335. 足立梅市

    ○足立委員 おそらくその折に二宮氏が三人の候補者を出して、とにかく向うに持つて行つても三人ともみな同じ百点でこれだけ選んでくれというのでなくて、重点はどうだという話をされたに違いないと思います。そんなべらぼうな交渉はありませんから……。二宮氏と話し合つて、これが一番いい人間であるという話合いになつてつたと思いますが、これで一番最初に推挙されたのはだれですか。
  336. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今、二宮氏に話したときに、どの順序にやつたかという記憶はございませんが、今井氏が一番あとつたといとだけははつきり覚えております。
  337. 足立梅市

    ○足立委員 その次は。
  338. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その次はだれを先に言つたかは覚えません。ただ今井氏をあとにしたということだけははつきり覚えております。
  339. 足立梅市

    ○足立委員 あなたの氣持の上では日野原氏と磯村氏の中でどなたを適任とお考えになつたのですか。
  340. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私の当時の心境ですか。
  341. 足立梅市

    ○足立委員 そうです。心境なり今までの関係で、この人がいいのだという氣持がなくては、三人とも同じみな百点で出すというようなべらぼうなことはありませんよ。
  342. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は磯村氏がいいだろうが、当時肥料の仕事を離れることは困難じやないかという感じをもつておりました。
  343. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると、日野原氏がいいというわけですね。
  344. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうですね。
  345. 足立梅市

    ○足立委員 端的に言つてもらわぬと困るのですが……。
  346. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 事実の通りに私は言つております。
  347. 足立梅市

    ○足立委員 日野原氏が一番いいということで持つて行つた日野原氏が肥料工業に対して経験があると言われるが、昨日來からの美濃部氏、脇村氏からの証言によりますと、日野原氏は全然肥料経験がない人である。水素工業関係には経験があるが、肥料には経験がないという証言で、最も不適任であるという証言をされておるのですが、あなたの方の目から見ては最も適任だつたと言われるのですが……。
  348. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は水素工業でもう何箇月になりますか。とにかく肥料会社をやつてどんどん進めておるのですから……。
  349. 足立梅市

    ○足立委員 御承知通り日本水素は前には硫安をやつてつた。しかしながら戰爭中は硝酸か何かやつてつて、全然肥料に対してはやつておらなかつたのだ。日野原という人は肥料に対しては全然経験のない人だ。廣範囲な意味においては、日本化学工業には多少関係はあつたかもしれないが、肥料そのものについては全然関係がない人である。この九を持つてくるのはいかぬ。ここでまた脇村氏の言によりますと、日野原氏は、小さな会社経営はできるかもしれないが、昭和電工というような大会社経営には最も不適任であるという專門的な意見を述べられておるのですが、あなた方も会社に対してどういう人を経営者にするかということは、金を貸すのだから最も重要な点だと思うが、その点はどうお考えになつておられるのですか。
  350. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは今と当時とは、年半も経つて事情が非常に違つておりますが、今でも私どもの知つておる人で、昭和電工適任者であるという人はたくさんあります。たくさんありますが、大部分追放なんです。当時の私といたしましては、とにかく今こう世間を騒がせておる原因に私も関係しておるということは、まことに申訳なく思つておりますが、当時の私といたしては最善の頭脳を働かしたつもりでおります。
  351. 足立梅市

    ○足立委員 その最善の頭脳を働かした人が、意外にもパージであつた。あるいはイマーシヨンを持つてつた……。
  352. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 パージにはなつておりません。
  353. 足立梅市

    ○足立委員 パージになつてつた。じようだん言つちや困る。磯村氏と親戚関係にある美濃部氏が來て、確かにパージであつたと言つておる。そんなべらぼうなことを言つてはだめです。それがあなたの最善の頭脳を働かしたと言えるか、パージになる人を推挙して來たのはとんでもないことだわれわれはここでどうしてこれが適任者であるかということについて、あなたの最善の頭脳を働かしたとおつしやるが、どうもこれは納得が行かない。これはあなたの言われる通りにして押問答してもしかたがないが、それから三月二十六日に市村氏に社長をかえろというようなことを申し渡されたときに、その折に午前中にあなたの方に行かれましたね。午前に興銀の方に行かれて、そこで日野原氏を社長にするということを市村氏に申し渡しましたね。その折に市村氏はどう言いましたか。
  354. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 市村氏は自分らとしては、自分中心になつて合議制でやるつもりでおるから、そういうことは困るということを言われました。
  355. 足立梅市

    ○足立委員 つまり拒絶した……。
  356. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  357. 足立梅市

    ○足立委員 そうしたらどうしましたか。
  358. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それからこつちは私の考えをよく言つて、そしてなお持株整理委員会行つて、向うの意見も聞こうではないかということで行つた
  359. 足立梅市

    ○足立委員 持株へ行つてどういうことを市村氏に申し渡されたのですか。
  360. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 興業銀行における話の状態を話して來たわけであります。
  361. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると興業銀行でも持株の方でも、やはり市村氏はどういうようにしたのですか、拒絶しましたか。
  362. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 市村氏は初めそういうことは困ると言つておられました。
  363. 足立梅市

    ○足立委員 しまいには……。
  364. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 しまいには、それならそうしましようということで帰られた、結論は……。
  365. 足立梅市

    ○足立委員 そこで折れる。午前に拒絶をして、午後になつて折れるという理由はどこにあつたのですか、変化するのはおかしいではないですか。市村氏がそこで承諾するという動機になつたのは、これは何ですか。
  366. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私どもの意見はよく……。
  367. 足立梅市

    ○足立委員 あなたはとにかく午前中には興銀の意見その他を充分述べられ、それで市村氏が聞かない。それから今度また午後に持株へ行つて市村氏がここで承認したということになるについては、何か特別の理由がなければならぬと思う。その理由はどこにありますか。
  368. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それはわれわれの説明したところに笹山委員長もさらに説明した。われわれの説明と笹山委員長の説明で納得した。
  369. 足立梅市

    ○足立委員 笹山氏はどういうことを説明したのですか。
  370. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは先ほど申し上げておるのですが、この言葉はつきりと思い出せません。
  371. 足立梅市

    ○足立委員 それはとにかく納得さすのですから、一番かんじんなことである、重点である。そのことを思い出せないということはないと思います。市村氏が納得するには、一つの別の納得する事実がなければならぬわけであるが、その事実は何であるか、ひとつ思い出してください。
  372. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今思い出せませんが、思い出せといわれるなら、できるだけ今からでも思い出します。
  373. 足立梅市

    ○足立委員 しからば午後持株に現われた折に、だれとだれに会われたのですか。
  374. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私と市村氏と二宮氏がいて、笹山氏と植村氏が入つて來たと思いますが、途中で笹山氏が席をはずして、それから二宮氏が他に先約があるというので席をはずして、結局私と市村氏が長らく残つてつて——ずいぶん長かつたように思いますが、そこへ笹山氏がもどつて來て話をした。こういうことであります
  375. 足立梅市

    ○足立委員 これだけ長い会合をやつて笹山氏がどういうことを言つたかわからない、思い出せないという、そんなべらぼうなことはない。詳しく知つておられるはずだが……。
  376. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大体きようお呼出しにあずかつていろいろ何しますけれどもどうしても記憶を呼び起せません。
  377. 足立梅市

    ○足立委員 あなたは、市村氏が非常にスムースに、何の批評もなしに承諾したということを、先に証言なさいましたね。
  378. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 いいえ、そうは申し述べません。市村氏は反対したが、私の言う社長專務常務というものがなくなつて、そうしてあとでその常務になられて中心になられる人の地位はつきりしていないから、新しくやはり社長でも置かなければならぬとわれわれは考えるということには、特に反対言葉は出されなかつたと申し上げたのであります。
  379. 足立梅市

    ○足立委員 日野原氏を持つて來るということに対しては、極力反対したのですね。
  380. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  381. 足立梅市

    ○足立委員 その極力反対したのが、なぜここにおいて承知をするという段階になつたか。それをあなたかんじんなこと言うてくれないと困る。
  382. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 それが乘つ取り事件の眞相じやないか。乘つ取り事件の不正はそこにある。それを忘れたとか、わからぬとかいうことはないじやないか。
  383. 徳田球一

    ○徳田委員 何億という会社の乘つ取り事件の重要な点が思い出せないなんていうことがあるか。いいかげんなこと言つては、國会は黙つていない。
  384. 足立梅市

    ○足立委員 それではこの点はこれとして、ここで三人持つて行つて日野原氏を決定したのは、どこから決定して來たのですか。三人のうちで日野原氏を社長にするということの決定はどこから決定したのですか。だれがきめたのですか。
  385. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 おそらく関係筋と……。
  386. 足立梅市

    ○足立委員 関係筋というのをはつきり言つてください。
  387. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 GHQが三人のうちではこれがよかろうと言うたのだと思いますが、私はこれは直接あずかつておりません。
  388. 足立梅市

    ○足立委員 そのきめたのをあなたはだれから聞いたのですか。
  389. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 二宮氏から聞いております。
  390. 足立梅市

    ○足立委員 二宮氏からそのきまつたということを聞いたのですか。
  391. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  392. 足立梅市

    ○足立委員 二宮氏の檢察当局の調書によりますと、あなたは最初から日野原氏をきめるということを思つているらしいと言つているのですよ。ここにちやんと書いてある。
  393. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは先生はどういうふうに想像しているか知りませんが、私はそういうことはありません。
  394. 足立梅市

    ○足立委員 それでは大体これでいいのですが、もう一つふしぎなことは、これは根本問題ですが、興銀はその当時において昭和電工にどのぐらいの金を貸しておつたのですか。
  395. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 興業銀行は、ちよつと今記憶がございません。
  396. 足立梅市

    ○足立委員 大よそでいいです。
  397. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大よそとすると、五億ないし七億だつたじやないかと思いますが。
  398. 足立梅市

    ○足立委員 復金の金じやないですよ。
  399. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 直接のものですか。
  400. 足立梅市

    ○足立委員 復金興銀と違うのだから、直接のものです。
  401. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 直接はそう大して貸しておりません。
  402. 足立梅市

    ○足立委員 どれだけ貸したのですか。
  403. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 記憶はございません。
  404. 足立梅市

    ○足立委員 大よそでよろしい。
  405. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大よそも記憶はございません。
  406. 足立梅市

    ○足立委員 大よそも記憶はないという、そんなべらぼうなことはないですよ。あなたは大債権者で、そうしてこれだけの容喙をなされたのだから、どのくらい貸しておるかといううことは、およそ記憶がなくてはならぬ。しかもあなたは興銀理事であり、しかもその衝に直接当つておる。それにかかわらず金をどれだけ貸してあるかわからない。そんなべらぼうな話はない。どれだけ金を貸したか。
  407. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 記憶ございませんね。
  408. 足立梅市

    ○足立委員 記憶のないくらいの少額な金で、なぜそんなら昭和電工社長をすげ替えるというような権限をもつているのですか。何の権限に基いてこういう仕事をなさつたか。
  409. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大口の取引先ということで。
  410. 足立梅市

    ○足立委員 そんならどのくらい金を貸した。大口の取引先という記憶があつて、金の額がわからない。そんなべらぼうな話があるものですか。あなたは責任者じやないか。五億、七億というのは復金の貸しておる金だ。その事実はよくわかつておる。興銀がどれだけ昭和電工に金を融資したか。大債権者である以上は、どれだけの金を貸しているか、記憶のないはずはない。
  411. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 記憶ありません。
  412. 足立梅市

    ○足立委員 そんならなぜ興銀昭和電工社長の首のすげ替に、二宮氏といい、あなたといい、これだけ積極的な働きをしたか。その理由いかん。いかなる権限に基いてやつたか。
  413. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 金額は覚えませんが、大体大口の取引先というぐらいのことは頭にありますし、そうして権限と申されますが、大体取引先をよくして、債権の確保をはかろうということでやるのでございまして、法律的にどういう権限というようなものでないのですよ、取引というものは。
  414. 足立梅市

    ○足立委員 債権の確保といつて、どれだけの債権があるかわからないで債権の確保をはかるということは、おかしいじやないか。
  415. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 証人注意しますが、先ほどあなたが持株委員会行つたときに、二宮氏が入つて、だれが出て來て、そうして笹山氏が出て入つたという、そういうところまであなた詳しいのじやありませんか。それほど詳しく知つておる証人が今質問しているような大綱をここで説明ができぬというはずはないでしよう。
  416. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 金額と言われますと、大体の見当もないのですから困ります。
  417. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 大よそはわかりましよう。何円何銭を聞くならぬりだけれども、何億何千万ということを聞くのだから、わからぬわけはない。とにかく注意します。
  418. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると、結局あなたは何らの権限もなくしてこれに対して大きなインフルエンスを與えたということなんですね。
  419. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 金額は覚えませんが、先ほど來申し上げておりますように、大口の取引先だという頭で働いておりました。
  420. 足立梅市

    ○足立委員 大体そうしたら大口小口の限界はどのくらいのところできまつているのですか。漠としておりますが。
  421. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 当時としては、大体千万ぐらいのところでしよう。
  422. 足立梅市

    ○足立委員 そうするとあなたがやめる前に、一千万円以上の興銀貸出しというものは、口数にしてどのくらいあつたか。
  423. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 当時はよく覚えませんが、千ぐらいあつたと思います。
  424. 足立梅市

    ○足立委員 それでは結局あなたの方は大口の一つの取引だと自分は思うて、これだけの関與をしたのだ、こういうわけですね。
  425. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  426. 足立梅市

    ○足立委員 それから日野原氏がGHQ行つて昭和電工の監査がぐあいが悪い云々ということを申されましたか、GHQはあなたの方ヘそういうことを言う権限があるのですか。
  427. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは今と当時とはGHQの発言なり、向うの行動に対するウエートのおき方は非常に違つていたと思うのです。從つて今の空氣で当時のことはちよつとはかりにくいと思うのです。
  428. 足立梅市

    ○足立委員 しからばあなたの方は各産業会社に対して融資をしておつた。こういう問題がいろいろあるだろう。これによつてGHQの方から社長をかえろとか、経営スタツフをかえろとか、そういう話は昭和電工以外に他にありましたか。
  429. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつと記憶しませんが、私との何は社長專務常務追放で、もう間もなくやめなければならなかつた
  430. 足立梅市

    ○足立委員 昭和電工の問題以外にGHQの方から社長やめろ、会社経営のスタツフをかえろというようなサゼツシヨンでもあつたのですか。デイレクテイヴがあつたのですか。
  431. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 デイレクテイヴはありません。サゼツシヨンくらいはあつたのじやないか。どことどこという記憶はございませんが……。
  432. 足立梅市

    ○足立委員 それは例をあげてください。GHQの方に問合せますから……。
  433. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今記憶はないと申し上げているのです。
  434. 足立梅市

    ○足立委員 昭和電工だけがこういうことになつていた、こういうわけですね。これは実におかしいではないですか。あなた方策謀したのじやありませんか。
  435. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 しておりません。
  436. 足立梅市

    ○足立委員 それは昭和電工だけですね。しからば観点をかえまして、あなたは日野原さんから金をもらつていませんか。
  437. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 もらつておりません。
  438. 足立梅市

    ○足立委員 どういう金をもらつておりませんか。
  439. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 全然もらつておりません。
  440. 足立梅市

    ○足立委員 もらつておりませんね。これは特に念をおしておきます。
  441. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はい。
  442. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたはどういう理由興銀の副総裁やめられたのですか。
  443. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 追放です。
  444. 徳田球一

    ○徳田委員 パージですね。いつパージになりましたか。
  445. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 四月の十七日にパージになる前にやめました。
  446. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると森君のパージ云々のときは、あなたもパージの予定はあつたのですね。
  447. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  448. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとあなたもパージ、森君もパージ、パージにかかつている人が森君のことを云々して、あなたがそのとき首をすげ替えるなんということはどういうわけですか。
  449. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私の方は私の方で首のすげ替になる準備はしてありました。
  450. 徳田球一

    ○徳田委員 してはあるけれども、あなたはパージになる身が、人のパージのあとをやるというのはどういうわけですか。パージになるということは、あなたはそういうことをしてはいけないということじやないのですか。
  451. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 どういうぐあいにすればいいのですか。
  452. 徳田球一

    ○徳田委員 いや、そうではないかというのです。なぜそれをやつたかというのです。あなたはパージになるという以上は責任を負わなければならない。そうでしよう。あなたは興銀の副総裁としての仕事をできないことを予定されていた、そうではありませんか。
  453. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 しかしおる間は職責を果して行かなければなりません。
  454. 徳田球一

    ○徳田委員 それなら森君はどうです。銀行なら少々ぐらいの首をすげ替えたつてたいしたことはありませんよ。あそこは事業会社です。事業会社というものは、ことに高度の科学的な技術を要する事業会社が、そうむちやくちやにかえられるものではない。あなたはよく知つておられるはずです。
  455. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは追放やめさせられるのを私がかえたというようなことを言われるのは困る。
  456. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたがかえられたとは言わぬけれども、しかしながらあなたもパージになる身だ、向うもパージになる身だ、だからあなたがこういう仕事をすべき性質のものじやないじやないかと言うんだ。責任上なぜそれをやつたか。そこに重大なる疑いがあると言うんだ。どうです、そのやつた動機及びこれをやつたときのことをもつと詳細に話さなければいかぬ。
  457. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ずいぶん詳細にお話申し上げましたが、聞いてください。
  458. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたは詳細と言うけれども、あなたの言われていることはみな上かわだけだ。現にあなたは市村君にどんな話をしたのです。市村君にあなたの方の考えはこうであると言つたときに、市村君がこれを承諾したと言うけれども、あなたの考えの内容を言つてください。
  459. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 考えは先ほど申し上げましたように社長專務常務追放やめられる。そしてあとの……。
  460. 徳田球一

    ○徳田委員 そんなことなんかは考えの中に入らぬです。なぜならば、どこの銀行だつて会社つて、みな上を切られて下からだんだん上つているじやないか。あなた見ていて知つているじやないか。あなた方の銀行だつてそうでしよう。なぜ森君のところだけがいけない。昭和電工がいけない。市村君が上つてくるのはあたりまえじやないか。なぜそれがいけない。いけないという考えを、根本的のことをあなたはまだ言つているはずだ。言わなければどうして市村君が承知するか。市村君も森君もみなここへ來て証言しているのです。あなたはただそれだけだと言うが、そんな子供だましのことを言つたつて市村君が承知するはずはないのです。何かそこに重大なことを言うたに違いない。それをあなたの口からちやんと言うてください。言わなければ、森君、市村君の言うたこととどつちがほんとうかわからない。あなたはそこを空白にする理由はない。どうですか。
  461. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 理由はございませんが、どうしても思い出せぬものはしようがないじやございませんか。
  462. 徳田球一

    ○徳田委員 思い出せぬと言うて、数億の会社ですよ。この社長の首を切りかえるということは一生一代の重大事だ。ことに戰爭が済みまして、この復興をするにあたり、こういう大きい会社に一大事件が起るというのに、そのときにあなたがやつたことを忘れているというなら、あなたは次に大きな会社を受持つて社長になられている、そういう仕事が務まりますか。そんな一大事なことをしておりながら、あなたがその内容も忘れました、思い出せません、それで済みますか。そうあなたが言つたからといつて、決して國会はそうですがとは受取りません。ちやんとこれだけの能力のある人はこれだけのことは覚えていて、これはどうだということはみな踏んでおるのですから、あとから化けの皮が現われて來る人はたくさんある。岡野とか青木君という人はどうだ。証言したときには何も知らぬ存ぜぬ。あとでみな出ている。そういうことがあつてはならぬから言うのです。あなたは少くとも興銀の副総裁として、これは國家の特殊会社で、重大な任務を帶びた人です。そういう方が、ただ知らぬ、存ぜぬで済ませるというりくつはない。もう忘れましたというわけには行かぬと思うが、どうです。
  463. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は今思や出せることは先ほど來全部申し上げております。
  464. 徳田球一

    ○徳田委員 すると、もうそれ以外のことは絶対にありませんね
  465. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 思い出せないものはどうも困ります。
  466. 徳田球一

    ○徳田委員 思い出せないのであつて、あるのはあるのですか。
  467. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 思い出せないのです。
  468. 徳田球一

    ○徳田委員 ないというのではないのですね。あつて思い出せないということと、何もないということとは別です。
  469. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あつたかなかつたかということがわかれば申し上げます。私は別に隠さなければならぬ理由も何もないのです。
  470. 徳田球一

    ○徳田委員 それなら何もなかつたというのですか。
  471. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 記憶にあることはみな申し上げております。
  472. 徳田球一

    ○徳田委員 だからそれは何もないということですね。市村君などに何も言うたことはないというわけですね。
  473. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私としてはありません。
  474. 徳田球一

    ○徳田委員 それでは、昭和電工の首をすげ替えねばならなかつた一つの大きな原因として、その前の年の十一月から経理の帳面をつけていなかつた。こういう不始末をしておるからということが原因だとあなたはおつしやるが、これはだれが調べてそういうことになつたのですか。興銀が調べたのですか。
  475. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 違います。
  476. 徳田球一

    ○徳田委員 どこが調べたのですか。
  477. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 GHQで調べたのです。
  478. 徳田球一

    ○徳田委員 GHQからあなたの方にそういう書面が來ておりますか。
  479. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 書面を見た記憶はありませんが、しかられたことはあります。ああいうことではいかぬじやないか、もつと……。
  480. 徳田球一

    ○徳田委員 だれにしかられしかられたのですか。
  481. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私がしかられたのではありませんが……。
  482. 徳田球一

    ○徳田委員 GHQのどなたから、あなたの方のだれがしかられたのか、はつきりしておかぬといかぬです。
  483. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 特に人の名前はよく覚えませんが……。
  484. 徳田球一

    ○徳田委員 どうも重要点になるとあなたはすつかり覚えがない。重要でない点は一々詳しくだれが何だということまで知つておる。そういうことがありますか。必要のないものは覚えぬでもよろしい。勘どころは覚えていなければならぬ。そうでなければ、銀行の副総裁なんか、人の財産の信用をぴたつとつかんで貸すのに、そんな人がとうてい勤まるはずはないではないか。業態からいつて、あなたの前歴からいつて、とんでもない。これは非常に重要なことです。森や市村などの言つておることと、あなたの言つておることと全然違うのですから、重大なことです。それはりつぱにおれはこういう人間でだれからこう聞いておるということをはつきりしませんと、これは大事ですよ。どうです、はつきりしませんか。
  485. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 記憶いたしません。
  486. 徳田球一

    ○徳田委員 しないならよろしい。それからあなたは有江伊作という人を知つておりますか。
  487. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 存じております。
  488. 徳田球一

    ○徳田委員 何年ごろからのおつき合いですか。
  489. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 昭和十六、七年ごろからの知合いです。
  490. 徳田球一

    ○徳田委員 どういう関係でおつき合いですか。
  491. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私が東邦炭鉱をやつておりますときに、私の前任者の時代から東邦炭鉱の顧問になつておりまして、私になつてからも特に顧問をやめさす理由もないのでそのままにいたしておりました。
  492. 徳田球一

    ○徳田委員 今もずつと顧問ですか。
  493. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは先ほど申しましたように、東邦炭鉱は解散いたしまして……。
  494. 徳田球一

    ○徳田委員 それで貝島さんとお知合いになつたのは、この有江さんの御紹介ではありませんか。
  495. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようです。
  496. 徳田球一

    ○徳田委員 これは間違いありませんね。
  497. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございません。
  498. 徳田球一

    ○徳田委員 貝島があなたと御関係になつたのは、貝島一族が経営並びに特に金融方面において無能であつたために、有江君が口ききをして、この無能に対して特にあなたが援助なさるといういきさつがあつたのではありませんか。
  499. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 特に援助というよりも、貝島太市氏が有江氏の紹介で会いに参りまして、その前から知つておりましたが、金融を頼まれまして、それでそれぞれ支店の担当係を通して取引ができたわけであります。
  500. 徳田球一

    ○徳田委員 幾らお貸しになりましたか。
  501. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう点は……。
  502. 徳田球一

    ○徳田委員 どうも重要な点になると忘れておる。金は幾らですか。
  503. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 千何百万円だつたと思います。
  504. 徳田球一

    ○徳田委員 四千万円じやないですか。
  505. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 四千万円も出しておりません。
  506. 徳田球一

    ○徳田委員 幾らですか。
  507. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 千何百万円と思います。ここ一年なり二年なり前と、今との間に何千という数字をやつておりますから、一々何されると実に困るんです。
  508. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし重大なことははつきり覚えていなければならぬ。私どもも重大な予算をたくさん扱つておるが、どこに何があるか、必要なところはぱつと覚えておる。(笑声)帳簿調査したところによると四千万円だという話ですが……。
  509. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 おそらく月の中ほどにはそれぐらいの時期があると思います。先ほど申しましたように、月末に返す約束で月々二千万円ぐらいの臨時の短期融通をしてもらつておりますから、そういうのと合計したので、今の数字もうそではないと思います。
  510. 徳田球一

    ○徳田委員 合計して四千万円ぐらいはとにかく赤字があるわけですね。
  511. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その辺は少しむつかしいのですが……。
  512. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたにはやつかいだろうけれども……。
  513. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 やつかいじやないです。
  514. 徳田球一

    ○徳田委員 これは重大な点を明らかにしておきませんと、この金を借りてこの金を返済することを理由として、理由ではないにしても、これを返済するために岩屋という炭鉱と大辻という炭鉱貝島から分離したんじやないですか。
  515. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はい。
  516. 徳田球一

    ○徳田委員 これは値段は幾らで分割したのですか。
  517. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大辻は三千五百万円、岩屋は三千万円。
  518. 徳田球一

    ○徳田委員 一体大辻は年産幾らです。
  519. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 十万近くと思います。
  520. 徳田球一

    ○徳田委員 岩屋は。
  521. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 岩屋は六万くらいです。
  522. 徳田球一

    ○徳田委員 これだけの産出で、今の金で三千五百万円とか三千万円とかいう安い金で買えますか。
  523. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは両方とも今までに長年、岩屋は六十何年、大辻も七十年くらいやつておりますが、それによつて生じた陷落その他の被害の賠償を新しい経営者が責任を負うという條件がついております。それから昨年の十二月以後のいろいろ設備その他の改良は十一月末までの分としてやつております。そういうことで、私どもは必ずしも不当な値段とは考えておりません。
  524. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、そういう損害だの、マイナスになる諸條件を引きますと、普通の状態であればどれくらいです。
  525. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつとそういうことは……。
  526. 徳田球一

    ○徳田委員 しかしおかしいと思う。まだ炭層は残つているんでしよう。
  527. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 炭層は残つておりますが、岩屋のごときは薄い所は七寸ぐらい、厚い所で一尺二三寸、しかも六十年も七十年もやつておりますので、坑口から一里以上の所で作業しております。そうして今にあと引受けた人間が月々莫大な損失を負担してようやく石炭を生産しておるというような状態でございまして、炭層とか機械をすぐそのまま賣買をするものとしての値段で山の取引をするということはできない。
  528. 徳田球一

    ○徳田委員 それはよく知つておるが、私の條件というのは、ほかに落盤とか損害とか、あるいは建設費の損害とか、そういうものはないものとしての値段です。その土地の特殊の條件がありますから、それはむろんその條件を入れてですけれども、大辻は大体幾ら、岩屋は大体幾らという普通の値段はあるでしよう。やはり炭鉱業者はあの山ならどれくらい、この山ならどれくらいとみな稼行しているものに対しては値踏みはしているはずです。それはどのくらいですが。
  529. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 高倉なり武内に全部賣つたわけではありません。大辻は貝島社長であり、貝島の親族の代表であり、貝島太市が七割持つて、武内が三割持つて共同経営でやつている。
  530. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし実権は武内にあるのでしよう。
  531. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうではありません。われわれの足らぬところを武内君に手傳つてもらう……。
  532. 徳田球一

    ○徳田委員 実権はあなたにあるのですか。
  533. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私と武内氏とにあるわけです。
  534. 徳田球一

    ○徳田委員 こちらには武内氏の証言もありますから、いずれこれは調べて見ましよう。あなたが貝島の株を譲り受けられたのはいつですか。
  535. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今年の三月ごろだと思います。
  536. 徳田球一

    ○徳田委員 一月ではないですか。
  537. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 実は去年の十二月から今年の七月まで爭議状態が続いておりまして、ほとんどそれに没頭しておりましたので、期日の関係なんか平素に比べて特に薄いのですが、調べてあとで御報告してもいいのですが……。
  538. 徳田球一

    ○徳田委員 それなら調べてぐださい。それから分割をしたのはいつですか。
  539. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 分割をしたのは三月三十一日であります。
  540. 徳田球一

    ○徳田委員 これは許可を受けたときのものではないのですか。
  541. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  542. 徳田球一

    ○徳田委員 事実は十二月一日にすでに分割していたのではありませんか。
  543. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうではありません。
  544. 徳田球一

    ○徳田委員 許可はすべて石炭廳の許可を受けなければならないはずですが、この許可は適法でちやんと受けてありますか。
  545. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あなたの組合の方からいろいろ言うて來るのではないかと思いますが、適法でちやんと行つております。
  546. 徳田球一

    ○徳田委員 この株の代金はあなたはまだお拂いにならないというお話ですが、あなたはそんなに財産はないのですか。興銀の副総裁を相当長くやられて……、譲り受けた株の金もまだ拂つておらぬという話ですが、そんなに貧乏ですか。
  547. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大正三年からやつておりますが、その程度の財力です。
  548. 徳田球一

    ○徳田委員 きわめて貧弱ですね。財産はほとんどありませんね。五十円の八千株と言つても四十万円です。今の四十万円ならバラツクだつて四十万円しますよ。それならだれだつて買う。興銀の副総裁を何年もやつて、四十万そこらの金は小づかいに使われるのかと思つていたが、そうではないとするとちよつと解せない。所得税はどれくらいですか。
  549. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 所得税は一万なんぼです。今ちよつとはつきり覚えません。大体そんな心づもりで暮しを持つております。
  550. 徳田球一

    ○徳田委員 所得税一万二千円なら私たちも納めているのだが、それも勤労所得税は一箇年六万何千納めている。そのほかに総合所得税に一万二千円、私たちだつて七万か八万くらい納めておりますよ。あなたのような大家が一万何千というのは驚くね。ほんとうですか。
  551. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あまり大家ではありません。收入から言えば……。
  552. 徳田球一

    ○徳田委員 末廣幸次郎さんと言えば財界では大家です。パージにかかつているほどですから、その点ではどうしても解せないと想いますが、間違いありませんね。  貝島とは分割のときに一度大げんかがあつて、六月になつてから和議が成立したのではありませんか。和議の條件はどうですか。
  553. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 和議の條件は組合は分離を承認する。そうして会社は労働條件の維持確保に努める。大体申しますとそれであります。
  554. 徳田球一

    ○徳田委員 労働組合との関係は別でいいです。同時に貝島一族との和議條件が成立しているでしよう。貝島との関係がきわめて重大でありますから、貝島との関係を聞きたいのです。
  555. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは私に一切まかせるということにしておつて、分離のときに一時反対したのですが、今年の六月になつてやはり一緒にやつて行かなければいかぬからというので和解をしたのです。
  556. 徳田球一

    ○徳田委員 その和解のときの條件があるでしよう。
  557. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 條件というものははつきりしておりません。
  558. 徳田球一

    ○徳田委員 全然ないのですか。
  559. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 全然ないことはありません。経営に参加する。それからなるべく請負掘りを自営にもどすということです。
  560. 徳田球一

    ○徳田委員 まだあるのではありませんか。
  561. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 おもなものはそんなことです。
  562. 徳田球一

    ○徳田委員 今経営に参加している人は何という人ですか。
  563. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今経営に参加の具体的相談がきまりません。
  564. 徳田球一

    ○徳田委員 貝島文男という人を知つておりますね。この人はどういう地位にあるのですか。
  565. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 この人は今株主であります。
  566. 徳田球一

    ○徳田委員 株主というだけですか。
  567. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  568. 徳田球一

    ○徳田委員 ほかにありませんか。
  569. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 何にもありません。
  570. 徳田球一

    ○徳田委員 そこで前に株を分配したものをまた回收したのじやないですか。
  571. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 まだしておりません。
  572. 徳田球一

    ○徳田委員 回收は実際は金策ができなくてやつておらぬかもしれぬが、回收することになつておるわけですね。
  573. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大体そういうことになるわけでありますが、まだはつきりしたことはきまりません。
  574. 徳田球一

    ○徳田委員 その千数百万円という金をあなたが金策を引受けるという約束をしたのではありませんか。
  575. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 しておりません。
  576. 徳田球一

    ○徳田委員 ところが実際はこの和議條件を皆破棄してしまつたようなことになつておるのじやないですか。
  577. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 破棄じやなしに、一度いろいろ話し合つて、その後情勢の変化によつて今こまかいことを相談中であります。
  578. 徳田球一

    ○徳田委員 野見山謙次という人を御存じですか。
  579. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 存じております。
  580. 徳田球一

    ○徳田委員 この人が要するにあなたと一族との間の仲介人みたいなことをしておるのですか。
  581. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようでございます。
  582. 徳田球一

    ○徳田委員 貝島文男が福岡銀行から金を借りておるのじやないですか。
  583. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 貝島文男でありません。
  584. 徳田球一

    ○徳田委員 だれですか。
  585. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 関係者が借りております。
  586. 徳田球一

    ○徳田委員 関係者というとだれですか。
  587. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつと委員長に質問申し上げますが、そういうことを全部申し上げなければならぬわけですか。きようは昭和電工の問題で來いということでしたが。
  588. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 昭和電工関係を皆聞くということになつておるのです。
  589. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 貝島文男とか、末廣でない名義で借りております。
  590. 徳田球一

    ○徳田委員 小澤專七郎ですか。
  591. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 小澤專七郎は借りておりません。今は十何人の名前で借りております。
  592. 徳田球一

    ○徳田委員 元は小澤ですね。
  593. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 小澤ではないのです。福岡銀行から借りているのは。
  594. 徳田球一

    ○徳田委員 だれですか。
  595. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは野見山、木曽の二人の名前で借りております。
  596. 徳田球一

    ○徳田委員 そして今は……。
  597. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今は十数人の名前で借りております。
  598. 徳田球一

    ○徳田委員 その十数人の名前はわかつておりますか。
  599. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 わかつております。
  600. 徳田球一

    ○徳田委員 ちよつと言うてください。
  601. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 貝島太市、貝島健次、同じく榮一、同じく義之、同じく文男、同じく太郎、同じく正二、同じく定一、それだけで借りております。
  602. 徳田球一

    ○徳田委員 そうするとこれは貝島一家が肩がわりしたわけですね。
  603. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それはこうなんです。貝島一家の一族の一部分が、金がないので、小澤氏から金を借りたのです。そこで小澤氏に借りておくと困るから返すというときに、友人に金を貸してもらつて小澤氏に返したのです。
  604. 徳田球一

    ○徳田委員 その友人というのが野見山と木曽なんですか。これが福岡銀行から借りて小澤氏に返したわけですね。これはいつごろですか。
  605. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今年の九月の初めでしたか。
  606. 徳田球一

    ○徳田委員 それで解けるのですよ。ここは重大なかぎですよ。——その金は幾らです。
  607. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 二千百万ぐらいです。
  608. 徳田球一

    ○徳田委員 二千百万ですね。このうちから相当あなた方にお礼があつたのではないのですか。末廣、栗栖、竹田、宇都宮という人たちに。
  609. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 末廣幸次郎は一厘もとつておりません。私は拂う方です。
  610. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると栗栖、竹田、宇都宮などに関係がありますか。
  611. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ないと思います。知りません。
  612. 徳田球一

    ○徳田委員 全然知らない。御存じないのですね。しかしこういうもののあつせんをしたときに、小澤から借りるなり福岡銀行から借りるなりしたときには、あなたが一つもこれに介入しておらぬのですか。
  613. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 小澤氏に返すときは私が交渉に立つて、私が返しました。
  614. 徳田球一

    ○徳田委員 世話をしたのですね。
  615. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  616. 徳田球一

    ○徳田委員 小澤氏から借りるときは、だれがやつたのですか。
  617. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は全然関係して、おりません。私に反対した親類の若い人たちが借りて來た。
  618. 徳田球一

    ○徳田委員 なるほど。これはよろしい。そうすると、そこにやはり相当トラブルがあつたのですね。
  619. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 トラブルはありますね。
  620. 徳田球一

    ○徳田委員 あつさり言いなさいよ。どうせこの際だから……。そこでその際栗栖、竹田、宇都宮という人たちが小澤から金を借りるときに、貝島その他にいろいろ世話してやたというようなことはありませんか。
  621. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ないと思いますね。私は知りませんが……。
  622. 徳田球一

    ○徳田委員 あとにこれを肩がわりするときにはどうですか。あなたも介入しておられるようですが……。
  623. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ありません。
  624. 徳田球一

    ○徳田委員 全然栗栖だの何だのにはないのですか。
  625. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ。
  626. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし福岡銀行で借金や、こういうものを二千百万円も貸すというようなことはありますか。     〔明禮委員長代理退席、委員長着席〕
  627. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは個人が個人のそれぞれのことで借りてくれたのだと思いますね。友人たちが……。
  628. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし今は金融の統制でいろいろ甲乙丙があつて、それぞれ直接非常に必要なものでない限りは貸さないものなので、こういう借金の肩がわりくらいでは金は貸さないものだと思いますがね。それなのにこれがスムースに貸されているということに対しては、因縁があるのではないですか。
  629. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは平素相当親密な取引をしているところには、ある程度の融通をするものですから……。私どもはそういうことがあろうとは考えておりません。
  630. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると統制はめちやですな。
  631. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 統制の範囲でやつておられることと思いますが、私は知りません。
  632. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし借金を返したりするようなことは分配株の買收の問題だが、そういうことは統制では、こういうものに貸すべきものじやないのですか。
  633. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それはある範囲の自分の方でふえた預金の何パーセントかは普通のものに貸してもよいというようなことでやつてあるのだと思いますが、その点は私に答弁を求められても困ります。
  634. 徳田球一

    ○徳田委員 相当融通がきくというわけですか。
  635. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう意味じやないと私は思います。
  636. 徳田球一

    ○徳田委員 最後に、大辻岩屋分離の問題について後ほどまたわれわれは調べたいことがありますが、このことに関してのあなたの方の帳簿上の金の出し入れの部分だけ、これは特別ですから報告してくれますか。
  637. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 よろしゆうございます。
  638. 足立梅市

    ○足立委員 先ほどちよつと問い忘れたのですが、日野原氏から金は全然もらつてないということでしたが、物はどうですか。
  639. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 女の裸げたと牛肉を何百匁かもらつております。
  640. 足立梅市

    ○足立委員 いつころですか。
  641. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつと忘れましたが、興銀在職中だと思います。
  642. 足立梅市

    ○足立委員 大体いつころですか。
  643. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 おととしの暮くらいのことじやないかと思います。
  644. 足立梅市

    ○足立委員 昭和電工からは金品はもらつておりませんか。
  645. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 もらつておりません。
  646. 足立梅市

    ○足立委員 日野原あるいは昭和電工から御馳走になつたことはございませんか。
  647. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございません。
  648. 足立梅市

    ○足立委員 饗應を受けたことは全然ありませんね。
  649. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございません。
  650. 足立梅市

    ○足立委員 あなたが興業銀行市村氏を呼びつけて、市村氏に現職の昭和電工重役の意思にかかわらずやめろと言つたのは大口債権者という意味でありますか。そのほかにGHQの一つのサゼツシヨンがあつたのだということも加わつておるのですか。
  651. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 言うたときにですか……。
  652. 足立梅市

    ○足立委員 いや、やめさせたときのほんとうの意思は……。
  653. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ほんとうの意思は私、先ほど申しましたように、後で適当な社長を置く方がよかろうというので、それを勧告したわけです。
  654. 足立梅市

    ○足立委員 勧告したのですが、そういうことを言う基本的のもの——権限と申しますか、権限でなかつたならば、言うだけの一つの理由がなければならないわけだ。そしてその理由は大口債権者というだけの意味ですか。GHQからの一つの指令があつたがゆえに言うたというのではないのですか。
  655. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私はその返、はつきり指令があつたから言うたという記憶はもつておりません。
  656. 足立梅市

    ○足立委員 次に市村氏と交渉のあつたときに、GHQとはすでに日野原氏を社長にするということにきまつているのだから、お前たちはやめろということを言われましたか。
  657. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私どもは三人推薦したことに対して、そのうちで日野原氏がよかろうという話が來た。それでよかろうという意味のことは多分言つたと思います。
  658. 足立梅市

    ○足立委員 それで日野原氏を社長にするから、お前たちはやめろ、それはGHQで決定したんだ……。
  659. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 決定したんだと言つたか、そのこまかいことは覚えませんが向うにも異議がないという意味のことは頭に残つております。
  660. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると決定したのではないが、向うの方でも異議がないんだからやめろというのですか。
  661. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。その程度の話だと思います。今の記憶では……。
  662. 足立梅市

    ○足立委員 異議がないからやめた、それではもう一ぺん念を押して置きますが、そのときのものは大口債権者、これだけの意味ですか。
  663. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  664. 足立梅市

    ○足立委員 それではもう一つ念を押して置きますが、大口債権者であるあなた方は昭和電工以外にはこういうことをやつたことがないというわけですね。
  665. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今すぐ思い出してどうこうという記憶はございません。
  666. 足立梅市

    ○足立委員 昭和電工だけにこれをやつた……。
  667. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その点昭和電工以外にもあつたがもしれませんが、私今思い出せないということを申し上げております。
  668. 足立梅市

    ○足立委員 やはりそういうことになると、思い出しが非常に悪いようですね。
  669. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういうぐあいにとられますことは困るのです。私は覚えておることは申し上げておるのですがね。誤解を受けることはやむを得ません。私の不徳のいたすところで……。
  670. 足立梅市

    ○足立委員 それは思い出せないというわけですね。
  671. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  672. 徳田球一

    ○徳田委員 日本水素にはあなたはずつと前、日本曹達におられたときから関係されておるのですね。
  673. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  674. 徳田球一

    ○徳田委員 それで興銀に入られてもずつと関係されておるのですね。
  675. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようです。
  676. 徳田球一

    ○徳田委員 日本水素に日野原君を入れるときにはどういう事情で入れましたか。
  677. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは私は関係しておりません。
  678. 徳田球一

    ○徳田委員 全然関係していませんね。
  679. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はい。
  680. 徳田球一

    ○徳田委員 それはだれのときです。
  681. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは知りません。私興銀の副総裁をしていないときであります。私が興業銀行にもどる前にも、もどつてからも非常に注意をしておつたということを申し上げて置きます。
  682. 徳田球一

    ○徳田委員 しかし日本水素工業建設するにあたつてあなたはずいぶん苦労なされたというお話ですが、そのときに日本肥料との関係はどうですか。
  683. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは私どもがやめたずつとあとです。
  684. 徳田球一

    ○徳田委員 最初日本水素は何をこしらえていましたか。
  685. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あそこは硫安とメチール・アルコールをこしらえていました。ところが硫安がうまく行かぬので、戰時中は主としてメタノールをこしらえていた……。
  686. 徳田球一

    ○徳田委員 ほとんど硫安はできなかたのじやないですか。
  687. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 硫安まで行かずに私はやめてしまつたのです。
  688. 徳田球一

    ○徳田委員 あとも行かなかつたのじやないですか。これは昭和電工から齊藤某という技師を派遣して、一生懸命にやつておるという程度のものじやなかつたのですか。あなたはもつと十分知つておるはずじやないですか。
  689. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは自分注意もしていますが、ここが比較的すみからすみまでわかつて、みんなが私の思う通り動くようになると、私をほかの仕事にかえるのですよ。そして初めて仕事をしますと、一年間くらいわき見をしておるひまも何もないのです。それをわかつていただかなければ困る。
  690. 徳田球一

    ○徳田委員 日野原君を日本水素に入れたのは終戰後でしよう。
  691. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは私全然関係していません。あとから知つたのです。
  692. 徳田球一

    ○徳田委員 これは融資がうまく行かないというのでやつたのじやないですか。それであと興銀日本水素に日野原君がいる間に融資関係があるのじやないですか。
  693. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 なつたときには全然知りません。これは全然知りません。
  694. 徳田球一

    ○徳田委員 副総裁は全然知らないのですか。
  695. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 副総裁じやなかつたのです。
  696. 徳田球一

    ○徳田委員 あなたは終戰後にやめたのでしよう。
  697. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ、そうです。
  698. 徳田球一

    ○徳田委員 やめるまでには副総裁とか、理事をやつていたのでしよう。
  699. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 昭和二十一年の二月に私はほかの重役をずつとやつていたのを、もどつて來いというので、帰つて來て副総裁になつた。二十一年の二月一日なんです。
  700. 徳田球一

    ○徳田委員 二十一年の三月幾日ですね。日野原君が水素の社長になつたときもそうじやないですか。
  701. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 水素の社長になつたのはたぶん二十年の春です。
  702. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると終戰前ですか。
  703. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あれのなつたのは、私はあとになつて初めて知つたのです。
  704. 徳田球一

    ○徳田委員 彼は昭和電工に入る六箇月ばかり前にそこに入つたというのだから……。
  705. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は興銀にいたのですが……。
  706. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、二十一年の多分秋ころですよ。そんならあなたは興銀におられた……。
  707. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それが水素工業になることについては私は事前に全然相談にあずかつてはおりません。
  708. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、水素になつてから、興銀との金融関係はないじやないですか。
  709. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 殖えていないと思いますね。
  710. 徳田球一

    ○徳田委員 全然ないですか。
  711. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あつたという記憶はございません。
  712. 徳田球一

    ○徳田委員 その間の金融関係であなたが水素にタツチしたことはないですね。
  713. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ありません。
  714. 徳田球一

    ○徳田委員 日本水素が日野原になつてから、金融方面や渉外方面が非常によくなつたというので評判になつておりますが、そういうことには興銀は何ら関係ないですね。
  715. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私の記憶にはないです。
  716. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、いかにしてこの日野原がいいということがあなたはわかつたですか。
  717. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは向うの復興の仕方とか何とかを、よその社員で私のところへ來る人間もありますし私は追放ですから、自分では何もしませんが、友人からも聞きます。たとえばもとは合議制つたのが責任制になつたというようなことを聞いて知つてつたのです。
  718. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、直接じやなくて、間接ですね。
  719. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  720. 徳田球一

    ○徳田委員 間接で知つたくらいで、日野原が非常に適任者だということになつたわけですね。しかもあそこはメタノールをこしらえていて、肥料はこしらえていない。肥料経験のある者というのには、どうも條件が合わぬようですね。化学工業経験とあるが、これをあなたは肥料経験があると言われたですけれども、ないようですね。最後に貝島復金から融資されておりますか。
  721. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はい。
  722. 徳田球一

    ○徳田委員 いくらされておりますか。
  723. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 全部で九億くらいあると思います。
  724. 徳田球一

    ○徳田委員 これは何年から何年までですか。
  725. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは一般でありますから、昭和二十年でしよう。
  726. 徳田球一

    ○徳田委員 二十年から二十三年まで……。
  727. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 二十一年の四月ころじやないかと思います。復金は二十二年の一月から出発したのですから、その前の……。
  728. 徳田球一

    ○徳田委員 それは興銀から保証したのですか。     〔「それは保証だろう」と呼ぶ者あり〕
  729. 武藤運十郎

    武藤委員長 質問を整理します。速記ができませんから、きちつと区切りをつけてください。
  730. 徳田球一

    ○徳田委員 興銀の保証以來復金が貸して、全部で九億ですね。
  731. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 九億ぐらいだつたです。
  732. 徳田球一

    ○徳田委員 そのうちどれくらい拂いましたか。
  733. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつと覚えませんがね。一億なんぼぐらいは返していると思います。
  734. 徳田球一

    ○徳田委員 そうすると、まだ八億は残つているわけですね。
  735. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  736. 徳田球一

    ○徳田委員 この融資はいわゆる赤字融資というものですか。それとも、建設のための融資ですか。
  737. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 設備資金融資炭鉱修築の融資と赤字融資と、全部でそうなります。
  738. 徳田球一

    ○徳田委員 それの詳細な帳簿の写しを出していただきたいのです。
  739. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 帳簿の写しを出すとしますと、資料ですか。
  740. 徳田球一

    ○徳田委員 いつの幾日、何で、どんなにして拂つて、施設したものはどれくらいということを書いていただきたい。これで終りです。
  741. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はい。
  742. 田中健吉

    ○田中(健)委員 先ほど來の各委員からの質問の中で、ちよつとはつきりしてもらいたいのだが、市村さんの証言をちよつと読んで見ます。市村さんが興銀に参りまして、應接間へ招じ入れられて、末廣さんから「GHQから大債権者であるわれわれのところに、昭和電工後任社長を推薦するようにという申出があつたので、いろいろと考慮した結果、日本水素工業日野原君を社長に推薦することにして、GHQの了解も得たし、持株会社整理委員会の了解も先に得てあるから、これを二十八日の議題に上げてほしい、」あなたはこういうふうに市村君に言つたですか。
  743. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その通りであるかどうか、ちよつと……
  744. 田中健吉

    ○田中(健)委員 市村さんがそう言つているのですから、まさか市村さんがうそを言うわけはない、これを確認するかどうか。
  745. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大体それに似たようなことだつたと思います。その言葉通りにいつたかどうか記憶にありませんが。
  746. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それでは大債権者であるということはわかりますね。それからGHQの了解を得るというその内容は……。
  747. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは私先ほども申しますように、私自身で行かずに、担当重役がやつておりましたので、そのものが得て來ております。
  748. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから二宮さんが帰りまして、森君は追放者の身でありながら、持株会社整理委員会から強い申し出があつたからよしたということは、昭和電工によつて非常にマイナスだ、こういうような御発言をしたですか。
  749. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その点はよく知りません。
  750. 田中健吉

    ○田中(健)委員 当時また追放になつていないでしよう。
  751. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はい。
  752. 田中健吉

    ○田中(健)委員 やめなければ追放になるというようなことを言つたんじやないですか。いさぎよくやめれば追放にならないし、やめなければ追放になる。何かそんなことを言つたんじやないですか。
  753. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 こういう記憶がございます。何か連名で非常にたくさんの嘆願書が出た。あれはどうもかえつて逆効果を來したというようなうわさを聞いておつた記憶がございますがね。
  754. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたの方で追放を道具に使つたんじやないですね。それは森さんがあつさりやめられれば追放にならない。頑張つていれば結局追放になるのだ、そこで市村君らに森さんをやめさせるように仕向けるようなことを言つたんじやないですか。
  755. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私のところに渡つたときは、そういうことはもう解決したあとです。私はそのときは知りません。
  756. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから新しい社長を入れれば自分の方でも應援してやるし、またGHQの方の昭和電工に対する信用もよくなる。こういうことを言つたんじやないですか。
  757. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは私言うておりません。
  758. 田中健吉

    ○田中(健)委員 市村さんはそういうふうに言つておりますよ。今日の昭電問題の経緯から考えてみて言いそうなことじやないですか。
  759. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は多分そういうことは言いませんね。その当時でも……。
  760. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その当時だれか言つたんじやないですか。
  761. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は言いませんし、私の記憶ではそういうことをだれかが言うた記憶はありませんね。
  762. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そのときには市村さんとあなたと二宮さんとこういつた方のほかの方は誰もそんなこと言わぬですか。
  763. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう意味のことは記憶ありませんが……。
  764. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたはなくても市村さんが言つておる。結局森さんが追放になると困るので、われわれは森さんがかわいいから——そういういきさつもあつたということを……。
  765. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういういきさつもあつたかもしれませんが、私はそういうところにタツチしておりません。
  766. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたのいるところでそういう話があつたということを言うておる。
  767. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 いやそれはありません。
  768. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから先ほど徳田氏からも質問がありましたが、日本水素のことをあなたは大分詳しいのですが、これは再建工事をやつておる。それを非常に日野原氏がよくやつてつたようなことをあなたはおつしやいましたが、日本水素の再建工事は日野原氏が何年ぐらいやつたのですか。
  769. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 日野原氏は短いですね。
  770. 田中健吉

    ○田中(健)委員 日野原氏を別にしても、再建工事は何年くらいやられたのですか。
  771. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あそこは終戰後大分立ち遅れておりましたからね。
  772. 田中健吉

    ○田中(健)委員 終戰というと昭和二十年の八月十五日ですね。
  773. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 建設のときの話ですか。——建設昭和十四、五年……。
  774. 田中健吉

    ○田中(健)委員 日野原氏が取締役になつてからは……。
  775. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは一昨年の春過ぎくらいからでしよう。それまで比較的のろのろしておつたのが、非常にスピーデイーに進んだということを申し上げた。
  776. 田中健吉

    ○田中(健)委員 一昨年の春ごろというと昭和二十一年の春ですね、そうすると日野原氏が三箇月間で工事をやつたということになるのですか。昭和二十一年の七月に社長になつたわけですね。それから非常によくやつた……。
  777. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その後非常によく進んでおりました。
  778. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それで工事が非常によかつたので、それを高く買つた。こういうわけですか。
  779. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 工事なら、大体それまでよりあそこの調子は非常によくなつておりました。
  780. 田中健吉

    ○田中(健)委員 工事だけがよくなつたのですか。その他の経営状態等はどうですか。
  781. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 経営状態、人の使い方から会社全体として非常によくなつておりました。その前に比べると……。
  782. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたはその会社の、昭和二十年から、あるいは、その前、その後にいたるいろいろな会社経理面などについて研究してみたのですか。
  783. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 特に研究したということはありませんが、大分注意をして見ておつた……。
  784. 田中健吉

    ○田中(健)委員 注意したということは、何か会社帳簿とか経理面とか……。
  785. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そいういことまで入つておりません。
  786. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そういうことまで入らなくて、どうしてわかるのですか。会社というものは、ただ外から人の話を聞いただけでわかるものですか。
  787. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 よくなつたか、悪くなつたかということは、大体わかります。
  788. 田中健吉

    ○田中(健)委員 人の話は、金を借りるのだからみなうまく言うものです。実際会社を見る場合には、会社の実際に当つてみなければ私はよくわからないと思う。せんじ詰めて言えば、毎日毎日これだけの生産がある。これだけの販賣高がある。これだけの利潤がある。こういう経営状態である。こういう人事状態である。事業はこういう見通しを持つている。こういう経理状態だということを、いろいろな角度から検討して、日野原はいい社長だ——これならば納得しますが、ただ人の話を聞いて、よかつたとか、あなたに今お伺いしてみると、何もそんなものはやつていないと、こう言う。どうしてそれはよいと言えるのですか。私はふしぎに思います。しかもあなたは銀行家でしよう。金貸しでしよう。どうしてそんなことが言えますか。
  789. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 当時は模様がえであまり製品など出ておりませんで、その模様がえの工事が非常にうまく行つてつた
  790. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると工事の状況だけでよかつたと言われるのですか。
  791. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それがおもです。
  792. 田中健吉

    ○田中(健)委員 工事だけがよかつたので、事業の方はさつぱり見なかつたというのでしよう。
  793. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 当時はそれがおもな仕事だつた
  794. 田中健吉

    ○田中(健)委員 当時昭和電工というものは建設工事だけでいいのだという見方に立つて昭和電工にやつたのですか。社長がいいということになつたのですか。——昭和電工建設面は大きいでしよう。しかし昭和電工はそれだけではない。現在あなたの方だつて復金つて運轉資金を貸しておるでしよう。しかも三十億というものはただ單に建設資金だけじやないでしよう。建設面あるいはそういう面たけじやないでしよう。社長の献金とか……。あなたの説明では私は納得が行かぬ。もつと眞実を言つてください。
  795. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 先ほど申し上げた通りであります。
  796. 田中健吉

    ○田中(健)委員 先ほど申し上げておることと私の言つておることは違う。私のような質問をした人は一人もいないから、それであなたにお伺いしておる。何かそこに魂胆がなければ、そんなはずになるわけがない。
  797. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 魂胆はありません。
  798. 田中健吉

    ○田中(健)委員 魂胆でしよう、帳簿も何も見ないで、社長がよいということは言えないでしよう。会社がよいということはわからないでしよう。私は帳面にこだわるわけではないけれども、あなたは会社を見たというけれども、会社を見てないからそういうことになる。見てないのでしよう。実地に見なくとも、あなたに一歩譲つて部下の者でもだれかやつて日本水素を調べさせましたか。その報告を受けていますか。それでもつて日本水素がよい会社であり、社長が非常によい社長であるというならば納得しましよう。そういうことをやつておりますか。
  799. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 やらしたことはございません。
  800. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それならどうしてよい会社であり、よい社長ですか。何の根拠のもとでそういうことになりますか。その点は先ほど宣誓書もあることだから、明確にお伺いしたい。これは一番大事なことですから……。
  801. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その点は帳簿を見たり会社に調べにいつたわけでもありませんが、多方面の人から聞いて一致しておるから、その通りでよいのだと……。
  802. 田中健吉

    ○田中(健)委員 多方面の主なる人はたれですか。
  803. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 社員です。
  804. 田中健吉

    ○田中(健)委員 社員の主なる人はだれですか、それは日本水素の社員でしよう。
  805. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 水素の中西良雄君とか小川英敏とか西丸猛、そのほかにも聞いておりますけれども、一々記憶がございません。
  806. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それでは多方面になりません、主なる方面ではありません。それなら日本水素だけです。もつとあるでしよう、主なるものを申し述べてください。
  807. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今申し上げたような方です。
  808. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そのほかに記憶はありませんか。
  809. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ありません。
  810. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから先ほどの御証言によりますと、あなたが在任中に昭和電工に対して相当に融資をなされておつた興銀が大債権者であるというお話でありますが、大体金をお貸しになるまでには何のために金を貸すかという理由があろうと思う。そこで昭和電工がいかなる計画のもとにあなたの方へ融資の申込をなさつたか、その概略をお述べ願いたい。あなたの在任中のことです。
  811. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 在任中には復興金融以外の取引はしてないと思います。私の在任中には興業銀行プロパーとしては融資をした記憶はございません。その時分には復興金庫になつておりまして復興金庫が貸した。
  812. 田中健吉

    ○田中(健)委員 いや、興銀として昭電融資しておるのでしよう。
  813. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その前からあります、私が就任する前から……。
  814. 田中健吉

    ○田中(健)委員 就任する前からあなたの方で昭電融資なさつているでしよう。その額が先ほど申しました五億か七億かというお話つた
  815. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは復金関係です。
  816. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたが復金にかわつて貸した金でしよう。
  817. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  818. 田中健吉

    ○田中(健)委員 つまり復金のまだ発足する前に、昭電の計画というものはわかつておるのでしよう。
  819. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 これは一番大きいのは川崎工場の復旧でありまして、これは森社長時代に出ておつた計画です。
  820. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その計画はどういう計画だつたか。
  821. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 あれをもつと、七万五千だつたのをなんぼ殖やすとかいうことで……。ちよつとこまかいことは忘れておりますが、もとの計画より少し大きくなるくらいの復旧計画だつたんではないかと思つておりますが、ちよつとこまかいことは忘れております。
  822. 田中健吉

    ○田中(健)委員 硫安を一箇年にどれだけ出すという計画だつたんですか。
  823. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 硫安十五万トン計画のやつを一部分の被害を受けたんで十二万五千トンに第一次にして、それをさらに今度十七万五千トンにするということだと思うが、その辺は数字までお答えいたしかねます。
  824. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それはあなたが在任中の昭和二十二年三月三十一日にあなたがおやりになつたのでしよう、去年ですね、あなたがおやりになつたのは。三月三十一日現在のあなたの記憶はどうなんですか。
  825. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 昭和電工に対する融資ですか。
  826. 田中健吉

    ○田中(健)委員 昭和電工融資申込書に計画されておつたものはそうなんでしよう。
  827. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。
  828. 田中健吉

    ○田中(健)委員 だいぶそれは違いますね。記憶ないとすればなんだけれども、この間の鎌田さん、森さんの証言によりますと、だいぶあなたのそれは違います。
  829. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 数字が違うのですか。
  830. 田中健吉

    ○田中(健)委員 数字も違いますね。記憶ありませんか。
  831. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その辺になると、ちよつと数字が……。
  832. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたはほかのことはだいぶよく御記憶になつているが、昭和電工のかんじんのところへ行くと忘れて知らないのはどうかと思う。
  833. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 記憶に残つているところと残つていないところがある。この間からここへお呼び出しでございますから、できるだけ正確にと思つておりましたが……。
  834. 田中健吉

    ○田中(健)委員 世間的に問題になつていないならばとにかく、これだけ大きな問題になつているならば、いつ証言に呼ばれるかわからない、警察署なんかに参考に呼ばれることもあるでしよう。大体わかつておることでしよう。あなたの在任中のことですよ。わかりませんか。
  835. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ちよつとわかりませんね。
  836. 田中健吉

    ○田中(健)委員 二十五万トン計画というのは……。
  837. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 二十五万トン計画というのは去年の……。それはあとではなかつたですかね。二十五万トン計画が出たのは。
  838. 田中健吉

    ○田中(健)委員 七億数千万円というのが最初あなたのところに御相談に來た最初の計画ではなかつたか。
  839. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 最初は五億か七億、たぶん七億でなかつたかと思う。五億で、石灰窒素を入れて七億であつたか、その辺実ははつきり記憶ありません。
  840. 田中健吉

    ○田中(健)委員 記憶ないのでなく大体そこら辺です。あなたのおつしやる通りです。だいぶ記憶がよみがえつて來ました。そこで森さんが例のごたごたでやめることになりまして、日野原さんと皆さんの間に、森さんの立てられた計画を基礎にして何かお話合いはなかつたのですか。七億八千万円ではやつていかれぬとか、あるいはもつと融資を強化してやるとかいうようなことについて、もちろんあなたは当時追放のことが話題に上つてつたとしても、あと栗栖氏とか二宮氏、その他いろいろな金融界の大御所が残ることであるから、日野原氏が就任するにあたつて、森さんの立てられた計画を基礎にして、七億八千万円程度では物價の値上りもはげしいし、賃金もいろいろ変更になつておるし、その場合には何とかしようというお話合いはなかつたのですか。
  841. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございませんね、そういう話合いは。
  842. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると話合いも何もなくて、ただ推薦されるままに漫然と社長就任しようということになつたのですか。
  843. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 社長はそうです。
  844. 田中健吉

    ○田中(健)委員 しかし日野原さんが乘り込むには幾らか話合いをしたのでしようか。
  845. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それは私はしておりません。
  846. 田中健吉

    ○田中(健)委員 一ぺんもしませんか。
  847. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 しておりません、そういう融資なんかについての話は。
  848. 田中健吉

    ○田中(健)委員 三月二十八日前に一ぺんも会つておりませんか。
  849. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その話では会つておりません。
  850. 田中健吉

    ○田中(健)委員 ほかのことではどうですか。
  851. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ほかのことでは会つていると、思います。記憶はございませんが多分水素工業報告か何かのことで会つていると思います。
  852. 田中健吉

    ○田中(健)委員 昭和二十一年の八月ごろから、昭和二十二年の三月十八日まで、何べんぐらい日野原さんに会つていますか。ほかのことでもよろしゆうございます。
  853. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 よく覚えませんが、四、五回ぐらいではないかと思います。
  854. 田中健吉

    ○田中(健)委員 どこで。
  855. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大体興業の應接室だつたと思います。
  856. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その他別の場所ではありませんか。
  857. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 一ぺんもございません。
  858. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それははつきり言えますか。
  859. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 はつきり言えます。
  860. 田中健吉

    ○田中(健)委員 しかし驚いた社長ですね、何も話をしないで。そうすると大体末廣さんが長い間金融界においでになつて社長のすげ替と言つては語弊がありますが、新社長がいろいろと金融界から推薦になつて社長になる場合もあると思いますが、そういう場合には何も抱負経綸もなく、漫然と乘り込むのが普通ですか。
  861. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 頼まれてどこかの会社をやつてもらいたい。経理が困つている、経営が困つているというような場合には、大体常識的な一般的なものはございますが、中に二色あります。非常に念を入れて、自分ですつかり帳簿まで調べて、抱負経綸を立ててから引受ける人と、どうにも行かぬものなら、断るわけに行かぬから最善を盡そうというのと、二色ございます。
  862. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると日野原氏を推薦されたのは、栗栖氏、二宮氏、それから末廣氏等、持株委員会の皆さんだと思いますが、だれが口火を切つて日野原氏を推薦したのですか。
  863. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 言い出したのは先ほど申したように私でございます。
  864. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたが言い出す場合に、何かお話合いがあつたでしよう。
  865. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 その前には何もなかつたのです。
  866. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その場合に何かあつたでしよう。
  867. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は日野原氏、磯村氏、今井氏、それの推薦理由二宮君には言いました。こうこうだから自分はこの三人のほかに、どう考えても適当な人はないということを言うたのです。その前に日野原氏については、談合はございません。
  868. 田中健吉

    ○田中(健)委員 これは皆さんが知つておられるかどうか知りませんが、この以前、日野原氏が昭和電工の株を買うために動いておつたということは事実ですが、昭和電工に乘り込もうということを考えて、持株委員会に頻繁に出入りしておつた、それと非常に合わなくなります。
  869. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私は実は今度の事件が起つて、新聞なんかで見て初めて知つたのです。
  870. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それと皆さんとは全然関係ないということになりますか。
  871. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ。
  872. 田中健吉

    ○田中(健)委員 しかしまことにふしぎなことです。
  873. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ふしぎかもわかりませんが、事実それに間違いございません。
  874. 田中健吉

    ○田中(健)委員 結局今あなたがおつしやることが、つじつまが合わなくなることはありませんか。
  875. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ありません。それははつきりしております。
  876. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから栗栖氏、笹山氏、野田氏、二宮氏、藤井昭電常務、それから工藤興銀理事長、こういう方々をあなたは御存じですか。
  877. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 興銀の連中は皆知つておりますが、藤井氏は知りません。
  878. 田中健吉

    ○田中(健)委員 会つたことはありませんか。
  879. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 実は今そこの控室で初めて会つて名乘り合つたような次第です。
  880. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あの人は藤本です。藤井氏は小菅に行つております。
  881. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 それでは藤井氏は知りません。
  882. 田中健吉

    ○田中(健)委員 会つていませんか。
  883. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ。
  884. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると栗栖さんはもちろん御承知でしよう。
  885. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ、もちろん知つております。
  886. 田中健吉

    ○田中(健)委員 笹山さんは知つていますか。
  887. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ。
  888. 田中健吉

    ○田中(健)委員 野田氏は。
  889. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 野田氏は持株委員会の委員になつてから知つております。
  890. 田中健吉

    ○田中(健)委員 植村氏は知つておりますか。
  891. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ええ。
  892. 田中健吉

    ○田中(健)委員 この方々を知つておられるというのは、どこかで会食でもなさつて……。
  893. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 いいえ。栗栖君、二宮君は私の部下であります。植村君も非常に隔たつた私の部下であつたから、そういうことで二十年、三十年來の知合いであります。
  894. 田中健吉

    ○田中(健)委員 昭和電工融資問題に関係いたしまして、何か御会合なさつたことはございませんか。
  895. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そういう人から相談を受けたことも、話を聞いたことも私はございません。
  896. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そのために御会合なさつたようなことはございませんか。
  897. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ございません。
  898. 田中健吉

    ○田中(健)委員 昭和二十一年八月ごろから昨年の総会前後までの間に、どこかでこれらの方々と御会食なさつたようなことはございませんか。
  899. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 ありません。
  900. 田中健吉

    ○田中(健)委員 大丈夫ですか。
  901. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 大丈夫です。
  902. 田中健吉

    ○田中(健)委員 大体このくらいで……。
  903. 足立梅市

    ○足立委員 あなたが首のすげ替の話をしたのはあくまでもこれは債権者である興銀理事という資格でお話になつたのですね。復金関係ということはございませんね。
  904. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうです。ありません。
  905. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 一番さきに承つたのですが、貝島合名の株を譲り受けたとおつしやいましたが何株でありますか。
  906. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 五千株。
  907. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 八千株というのは……。
  908. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 八千株のうち三千株はほかに……。
  909. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これは名義書きかえがいまだにできぬという話を聞いたのですが、そうしてこれの値段がきまつていないという話ですが、どういう意味ですか。
  910. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 名義書きかえは済んでおりまして、額面の値段で手形を入れております。手形をまだ拂う金融がつきません。で、待つてもらつている。
  911. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 何ぼの手形が入つておりますか。
  912. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 百円の株でございますから八十万円。
  913. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 額面が一株百円……。
  914. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 五十万です。最初八千株譲り受けるはずだつたが、あとで三千株別の人が譲り受けることにして、私は五千株になつたものですから……。
  915. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 五千株だけあなたに、三千株はほかの人に……。
  916. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようでございます。
  917. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そうすると五千株で何ぼですか。
  918. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 五十万でございます。百円の拂込みでございますから……。
  919. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 五十万の手形を入れてあるのですか。
  920. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 さようでございます。
  921. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 その手形の期日はいつですか。
  922. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 今年の六月ごろになつていたのじやないかと思いますが、まだ拂えませんので、そのままにして待つてもらつております。
  923. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 これはあなたがおもらいになるわけじやなかつたのですか。
  924. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 もらうつもりはございません。
  925. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 もう一点聞きたいのですが、この日野原氏を入れるときに、市村氏との交渉で男泣きに泣いたというのですが、その時分には、もしこれを聞かなければ森さんを財閥として特別の処分をするというか、指定をするということでおどかされたというような事実はなかつたのですか。
  926. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私がおどかしたこともございませんし、私と同席のときにはそういう話は聞いた記憶がございませんがね。
  927. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 そんなことを言うておるようですが、だれかそういうことをやつた者があるのではないですか。
  928. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私の関している限りでは、そういうことを聞いた記憶はございません。むろん私もそういうことは申しておりません。
  929. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 結局そのときはGHQの意向によつてこうなつたということですか。
  930. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 そうでしようね。最後はそうだと思いますね。
  931. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 あなたが主としておやりになつたように聞くのですが……。
  932. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私の言うたのは先ほどのように、社長專務常務がいなくなつてしまつてあと常務中心になる人が処分されそうなときにある。だからだれかかわりを置かなければならぬがそのかわりとして三人候補者を言うとしたら、まず日野原氏にやらしてみたらどうかという向うの話もあるという、そういう程度の話はしでおります。
  933. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 それ以上にはなかつた……。
  934. 末廣幸次郎

    ○末廣證人 私はそれ以上言うておりません。
  935. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  936. 武藤運十郎

    武藤委員長 では済みました。御苦労さまでございました。     〔委員長退席明禮委員長代理着席〕     —————————————
  937. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 藤本忍さんですか。
  938. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  939. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 証人の略歴と申しますか、今までどういうことをやつていらつしやいましたか。今までの関係をひとつ述べてください。どういう会社関係していましたか。
  940. 藤本忍

    藤本證人 会社の方は最初昭和五年に日本精工株式会社に入りまして、昭和二十一年の七月までおりました。それから日本水素株式会社に変りました。
  941. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 どういう立場ですか。
  942. 藤本忍

    藤本證人 大体最初研究の方面をやりまして、それから企画、建設、各工場がありまして、その工場長をやりました。
  943. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 重役じやないんですね。
  944. 藤本忍

    藤本證人 ええ。
  945. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 日本水素工業へ入られましたときの事情は、どういう事情で入られましたか。
  946. 藤本忍

    藤本證人 これは日本精工に日野原氏が見えられたことがありまして、その際に私一、二回お眼にかかりました。たまたま日本水素に來ぬかというような話がありまして、私も戰爭中の技術者としての仕事が大部分完了しまして、ほとんど残務整理をやりておりましたものですから……。非常に熱心な、氣分のいい方で、それじやさしつかえなければ参りましようというような、非常に簡單なものです。
  947. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 あなたの專門は何ですか。
  948. 藤本忍

    藤本證人 私の專門は大体機械方面です。
  949. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 どういう機械ですか。
  950. 藤本忍

    藤本證人 機械の方面と申しますと、大体精密方面の機械とか、化学方面の機械とか、そういうものに関連したものです。
  951. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 あなたは昭和電工に今おられますか。
  952. 藤本忍

    藤本證人 今おります。
  953. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 これはやはり日野原さんの話があつてつたわけですか。
  954. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  955. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 あなたは日野原さんが昭和電工社長となつた事情をお知りですか。お知りでしたら、ひとつ述べてください。
  956. 藤本忍

    藤本證人 入つたときの事情はよく存じませんけれども、社長昭和電工に入られるというような話がありまして、手助けに行かぬかというような話がありましたので、私氣持よく引受けたのであります。それ以前の事情についてはつまびらかでありません。
  957. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 どういう事情で日野原氏が昭和電工社長になつたかといういきさつは知らないということですか。
  958. 藤本忍

    藤本證人 いきさつはよくかわりません。
  959. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 昭和電工へあなたが入られた後に三月の三十一日と四月三日の両日、日野原社長と一緒にGHQへ訪問せられたことがありはしませんか。
  960. 藤本忍

    藤本證人 あります。
  961. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 そのときのお話の内容はどうでしようか。
  962. 藤本忍

    藤本證人 三十一日に行きましたとさにはGHQの係の方にあいさつをいたしまして、そのときに電工の再建のために努力しろというようなお話を一緒に聞いたことを覚えております。
  963. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 努力せよと日野原さんが言われたのですか。
  964. 藤本忍

    藤本證人 そういうような話を、われわれ重役がそのとき何名行きましたか、三、四名行つたと思いますが、そういうような話をGHQでしておりました。
  965. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 努力せよ、それだけですか。
  966. 藤本忍

    藤本證人 それから三十一日の次が何日でしたか、翌月だと思いましたか、翌月の三日でございましたか、初めでございますか、どつちか記憶がありませんですけれども、行きまして、最初われわれは特別な話はなかつた。あいさつだけはしたと思います。その後社長がいろいろな話を受けて、それから昭和電工に前からおられた重役が話を受けまして、そのときに私も一緒におつたと思います。
  967. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 そのときのもう少し立入つた内容はどういうことですか。
  968. 藤本忍

    藤本證人 そのときの話は、私自体が聞きましたことは、新しく入つた重役だというように紹介をされまして、直接私一人の話でなく、全体に話したというように記憶しておりますが。
  969. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 どういう話があつたのですか、新重役を紹介して。
  970. 藤本忍

    藤本證人 そのときに個々に話はありませんでした。そういうように記憶しておりますが。
  971. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それじや一般的にあつたお話の内容はどうでしたか。
  972. 藤本忍

    藤本證人 やはり電工の再建のために努力せよというような趣旨の話がありまして、ぜび緊急の生産であるから、速急に昭和電工の建直しをせよ、これが大きな話の主体であつたのです。そのために万難を排してやれというような話であつた記憶しております。
  973. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 建直しをしろということですか。
  974. 藤本忍

    藤本證人 ええ、そうです。
  975. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 どういうふうにということはなかつたのですか。
  976. 藤本忍

    藤本證人 どういうふうに……社内の整備をやれというお話があつたのです。
  977. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 整備と言いますと……。
  978. 藤本忍

    藤本證人 陣容を整備して……。
  979. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 陣容のことですか、機械のことですか。
  980. 藤本忍

    藤本證人 陣容を整備してやれということです。
  981. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 昭和電工における証人担当業務は何でありましたか。
  982. 藤本忍

    藤本證人 入社したときにおきましては、総務部と営業部を担当しておりました。
  983. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 総務、営業部の部長でも課長でもないのですか。
  984. 藤本忍

    藤本證人 総務部長と営業部長と両方委嘱されておりました。
  985. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 日野原社長が入られてから後、昭和電工の陣容建直しについて、会社の幹部を更迭しましたね。
  986. 藤本忍

    藤本證人 はあ。
  987. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 どういう人をやめさせたか、その人の氏名、その人の地位等大筋でいいから述べてください。
  988. 藤本忍

    藤本證人 名前は覚えておりませんが、最首という人。
  989. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 その最首という人は何ですか。
  990. 藤本忍

    藤本證人 この人は総務部をやつてつたと思います。
  991. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 あなたの前の人ですね。
  992. 藤本忍

    藤本證人 そうです。それから龜割という人。
  993. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 これは何をやつてつた人ですか。何部長とかいうのではないのですか。
  994. 藤本忍

    藤本證人 この人は、今ちよつと覚えがありません。
  995. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それではその次。二人だけですか。
  996. 藤本忍

    藤本證人 いや、まだあるのですが、ちよつと思い出せないのです。
  997. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それでは思い出しながら、こういうことを述べてください。その退職者を選ぶにあたつては、どういう人を選んで行つたのですか。
  998. 藤本忍

    藤本證人 選んだ方針でございますか。
  999. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 こういう人と、こういう人をやめさせようということは、だれがはかつて、だれがやつたのですか。
  1000. 藤本忍

    藤本證人 これは、われわれが入社したあとGHQにおいて日野原社長が言われたことは、森系統の色彩が非常にある。そういう人はこれから事業をやつて行くのに思わしくないじやないか……。
  1001. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 森閥とでも言うわけですな。
  1002. 藤本忍

    藤本證人 そういうことです。そういう人はやめてもらつた方がいいのではないかというような、サゼツシヨンですか、指示ですか、そういうものがあつたのです。その趣旨從つて一應幹部級のうちで、そういう系統と思われる方に退職してもらつた、こういういきさつであります。
  1003. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 このやめさした人の名前を、ここにあるのをひとつ読んでみまよしうか。市村常務、そうですか。
  1004. 藤本忍

    藤本證人 そうです。やめられました。
  1005. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それから鎌田取締役、肥後監査役。
  1006. 藤本忍

    藤本證人 肥後監査役は今残つておられます。
  1007. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 残つていますか。それから最首総務部長、植松総務部次長、松本資材部次長、森岡経理課長、田村渉外課長、柴田肥料藥品課長。
  1008. 藤本忍

    藤本證人 その方は現在まだおります。
  1009. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 三宅燃料課長、それから今の龜割総務部附、それから川崎工場では秋本工場次長、島谷経理課長、横浜の方で佐々木総務課長、それから富山工場では山崎倉庫課長、井上勤労課長、廣瀬工場の鈴木工場次長、金子勤労課長、廣田工場の栗原総務課長……。秩父工場の渡邊工場長、小海工場の岸野工場長、藤田事務課長、旭川の小川総務課長、川口鋳造所の長島事務課長大阪出張所の齋藤所長、大体二十五名ほどですか。
  1010. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1011. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 これらの人々を森閥と見たのですね。そして野田という委員がGHQをあつちこつちして活動したのですね。
  1012. 藤本忍

    藤本證人 指示されたのはGHQで指示されたのです。その指示に從つて会社側でやつたわけです。
  1013. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 野田という人は持株整理委員ですか、大分GHQで活動したではありませんか。
  1014. 藤本忍

    藤本證人 野田さんはGHQで渉外の方をやつておられて、通訳か何かをしておられた。
  1015. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 この人が特に活動されたというようなことはないのですか。
  1016. 藤本忍

    藤本證人 そういうことは耳にしておりません。
  1017. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 そうすると今の二十五名の人を森閥と言つたのは、やはりの指令であるということになりますね。あなたは指示とか、サゼツシヨンと言われたが……。
  1018. 藤本忍

    藤本證人 社長はそういうようなサゼツシヨンと言つておりました。
  1019. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 GHQではだれがそういうことを言われたかわかりますか。どなたがそんなことを言うて森閥をよさせよと言われたか。
  1020. 藤本忍

    藤本證人 言われた人は私ヘンダーソンじやないかと思いました。はつきり記憶しておりませんが、たしかそうだと思います。
  1021. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 経理担当者は社外より採用せよというようなことを言われたことがありますか。
  1022. 藤本忍

    藤本證人 これは私直接知らないことでございます。経理関係において昭和電工で問題を起した。そのために経理担当者というものの責任問題があつたというわけで、経理担当者は社外からとつた方がよろしいという話を社長がしておりました。
  1023. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 社長が言うたのですか。
  1024. 藤本忍

    藤本證人 ええ。それは社長GHQでそういうような話を受けて來たという話であります。
  1025. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 で社長が受けて來たのですね。
  1026. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1027. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それからこれらを補充するにはどういうような標準でこれをやるようになつたのでしようね。
  1028. 藤本忍

    藤本證人 社内からの補充と社外からの補充と両方であります。
  1029. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 社内は別として、社外から入れたのはどういうような意味で入れたのですか。
  1030. 藤本忍

    藤本證人 社外から入れましたのは齊藤辰雄……。
  1031. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 その名前はいいですが、何か標準があつたのですか。
  1032. 藤本忍

    藤本證人 標準といつて……。たとえば社長の……。
  1033. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 社長のお氣に入りを入れることになつたのですか。
  1034. 藤本忍

    藤本證人 そうです。お氣に入りと申しますか、社長事業の範囲で知つておる関係ですから日本水素関係の……。
  1035. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 水素関係からよけい入つた。これは何ですか。退職者を二十五名ほど出したのには別に森閥というような見方がある以外に、何かあつたわけではないでしようね。
  1036. 藤本忍

    藤本證人 大体森閥ということでやつたわけです。
  1037. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 つまりお前はどういう過失があるからやめよ。お前はどういうことをやつた不都合な男だからやめよというような事情ではなかつたのですね。
  1038. 藤本忍

    藤本證人 それと大体重なつている者もあるわけですが、大体森閥が中心であつたと思います。
  1039. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 多少重なつておるというのがありますか。
  1040. 藤本忍

    藤本證人 これはその当時の昭和電工の中においての風評でございますから、確実な証拠があるわけではないのです。
  1041. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 あなたが就任して森社長時代の経理不始末というようなもので、何か発見したものがありますか。
  1042. 藤本忍

    藤本證人 私は経理担当じやないので、その面については入つてから自分でじかに調べたことはありません。
  1043. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 だれからか聞いたことはありますか。
  1044. 藤本忍

    藤本證人 入つた当時においてはそういう話は直接聞きませんでした。
  1045. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 この退職問題で労働爭議か何か起りましたか。
  1046. 藤本忍

    藤本證人 その問題は労働協約の違反であるということで爭議とまでは行きませんでしたけれども、紛議に入つたことがあります。
  1047. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 その理由は一口に言えばどういうことですか。
  1048. 藤本忍

    藤本證人 これは協約に社内の人事異動については必要なる場合においては組合員の意見を徴するという協約があるのです。その際において意見を徴せずにやつた
  1049. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それだけですね。
  1050. 藤本忍

    藤本證人 それが紛議を起したもとであります。
  1051. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 日野原社長昭電における経営方針というものはおわかりですか。
  1052. 藤本忍

    藤本證人 日野原社長の方針としまして、しよつちゆう社内において話しておりましたことは、昭和電工肥料が非常に大きな部門を占めております。肥料の増産ということが非常に國家的に重要な仕事であるので、これについては全力を盡す、万難を排して轉換工事を遂行するということを始終言りおりました。また実際に実行しておられました。
  1053. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それで森前社長との間のいわゆる営業方針が大分つたわけですか。それは元からそうじやなかつたのですか。
  1054. 藤本忍

    藤本證人 森さんの時代におきましても、聞くところによりますと、やはり肥料の轉換工事には非常に力を入れられまして、それのあとを引継いで、これの完成に努めたのであります。すでに轉換の計画というものは森さんの時代にできていたのであります。
  1055. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 日野原社長就任してからの復興計画の進行状況は説明できますか。
  1056. 藤本忍

    藤本證人 復興計画につきましてはその当時においてまだ緒についたばかりでありまして、今後これを完成するには、相当の努力をしなければならぬという状況でありまして、特に轉換工事である関係上、石灰窒素等におきましては、計画自体についてもいろいろ検討しなければならぬこともある。しかも時期的に言えば非常に急速にやらなければならない。從つて就任後間もなく各工場を視察し、同時にこれを督励して参る。その結果昨年末におきまして、肥料の資金関係の行き詰りを打開しなければならぬという状況になりまして、この問題で社長自体も非常に努力され、やつと資金の融資を受けまして、その結果最近進捗状況としましては肥料関係おしなべて、九〇%以上の進捗を示しております。ほぼ最初の計画が完成したのであります。
  1057. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 これは硫安ですか。
  1058. 藤本忍

    藤本證人 硫安、石灰窒素の両方でございます。
  1059. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 その時に復金から金を借りたわけですね。
  1060. 藤本忍

    藤本證人 昨年末においては復金から借りました。
  1061. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 何ぼ借りたのですか。
  1062. 藤本忍

    藤本證人 その時の金額は、わくでは十二億八千万円許可になりまして、借りた金額は……。
  1063. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 その前にも、日野原さんになつて借りたのじやないですか。
  1064. 藤本忍

    藤本證人 その前に一回ありました。
  1065. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 それは何ぼですか。
  1066. 藤本忍

    藤本證人 その前は何億でしたか、金額は覚えておりません。
  1067. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 肥料の生産状況はわかりますか。どのくらいできるかという……。
  1068. 藤本忍

    藤本證人 現在硫安においては能力としては月二万トン。
  1069. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 能力でなしに実生産では……。
  1070. 藤本忍

    藤本證人 実績では月一万五千トンまでの実績があります。
  1071. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 石灰窒素の方では……。
  1072. 藤本忍

    藤本證人 石灰窒素の方では、最近の実績で八千七、八百トンと思います。ごく最近のマキシマムであります。
  1073. 明禮輝三郎

    ○明禮委員長代理 御質問がありますか。
  1074. 足立梅市

    ○足立委員 三月三十一日にあなたもGHQに行かれたのですね。その折に行かれた人はだれだれですか。
  1075. 藤本忍

    藤本證人 それははつきりしなかつたのですが、社長と私と中村常務、それから小原常務であつたか、松本常務であつたか、ちよつと覚えておりません。
  1076. 足立梅市

    ○足立委員 野田君は。
  1077. 藤本忍

    藤本證人 野田さんもそのときはたしか通訳として行かれたように思つております。三十一日か三日の日ですか、日ははつきり覚えておりませんが、そのどつちかに行かれたと思います。
  1078. 足立梅市

    ○足立委員 そのときにやはり森色を一掃しろということを言われたのですか。
  1079. 藤本忍

    藤本證人 それは三十一日か、三日の日か覚えておりませんが、そのどつちかに言われた。
  1080. 足立梅市

    ○足立委員 そのときはGHQのだれから言われましたか。
  1081. 藤本忍

    藤本證人 それはヘンダーソン氏だと思います。そういうふうに記憶しております。
  1082. 足立梅市

    ○足立委員 そうして今度は四月三日に行かれましたね。その折にはだれに会われたんですか。
  1083. 藤本忍

    藤本證人 三十一日か三日か、いずれの日であつた記憶はつきり残つていないのです。
  1084. 足立梅市

    ○足立委員 三日のときには、野田氏は行かれたんですか。
  1085. 藤本忍

    藤本證人 いずれの日か、両方行かれたかどうか、記憶がないんです。たしか両方行かれたと思つております。
  1086. 足立梅市

    ○足立委員 そうしてあなた方が会合しているときに日野原氏だけが直接向うで会われたということはないのですか。
  1087. 藤本忍

    藤本證人 一番最初に社長が一人で入つてつたよう記憶しております。
  1088. 足立梅市

    ○足立委員 そうして入つて行つて、森色を一掃しろということはヘンダーソン氏に会つて直接お聞きになつたのか、それとも社長からこういうことを言われたのですか。
  1089. 藤本忍

    藤本證人 社長から聞きました。私はその話は直接聞いておりません。
  1090. 足立梅市

    ○足立委員 へンダーソン氏がおつたということはわかつてつたのですか。
  1091. 藤本忍

    藤本證人 名前はあとから、あの人はヘンダーソン氏だということを聞きました。
  1092. 足立梅市

    ○足立委員 皆さんがみな寄つてへンダーソン氏の机の前に行つて、森色を一掃しろということを、あなた方がヘンダーソン氏に通訳の野田君を通じて聞いたというわけではないのですね。
  1093. 藤本忍

    藤本證人 私はそのときには話を聞かない。あとから社長に聞いたのです。
  1094. 足立梅市

    ○足立委員 あなたの行かれたのは三月三十一日か、あなたの記憶はつきりしないようですが、その折に日野原氏だけが呼ばれて、ヘンダーソンがこう言つたということをあなたに言われたわけですね。
  1095. 藤本忍

    藤本證人 会社に帰つてからその話を聞いたんです。
  1096. 足立梅市

    ○足立委員 その日、市村さんは行つていたのでしようか。
  1097. 藤本忍

    藤本證人 市村さんその他は一緒に行かれたかと思います。
  1098. 足立梅市

    ○足立委員 その日日野原氏が入つて行つて、ヘンダーソン氏がかように言つたということをみんなに告げたのではなかつたですか。
  1099. 藤本忍

    藤本證人 ええ。
  1100. 足立梅市

    ○足立委員 会社であなたが聞かれたのと、日野原氏がヘンダーソン氏に一人で会いに行つて、こういう話であつたということをみんなの前で言われたのと違いますか。
  1101. 藤本忍

    藤本證人 行くことはみんな一緒にあいさつに行きました。そして呼ばれるときに、社長が先に呼ばれて入つてつて、待つていた。それから後に残つておる重役がはいり、そしてそのときに昭電の復興に努力しろというお話がありまして、森色を拂拭しろという話は、私はそのとき、じかに聞いてないような感じがしております。
  1102. 足立梅市

    ○足立委員 あなたも一緒に入つて行かれたのですね。
  1103. 藤本忍

    藤本證人 私は入つて行つたですけれども、あとに残つていたと思います。前からいた重役社長と一緒に入つて行かれて、たしか私は残つてつたような氣がしますが、帰つてから実はこういう話なんだといことを聞いた。
  1104. 足立梅市

    ○足立委員 会社に帰つてから。
  1105. 藤本忍

    藤本證人 そういうふうに記憶しております。
  1106. 足立梅市

    ○足立委員 それからあなたの所で労働争議が起りましたね。それで四月八日に、あなたの方で、このGHQのへンダーソン氏の指示により森色の濃厚なる者を一掃しろと言われたということを組合で申しておりますね。それはだれが申しましたか。
  1107. 藤本忍

    藤本證人 四月八日は何か團体交渉でございますね。どういう話ですか、その日に何があつた記憶してないのです。
  1108. 足立梅市

    ○足立委員 本社從業員組合との会見です。社長室で、本社側は社長藤本常務、あなたも出ておられた。組合側は石山組合長、原副組合長。
  1109. 藤本忍

    藤本證人 それでは、私も出たでしよう。大体組合との折衝は出ておりましたからね。
  1110. 足立梅市

    ○足立委員 そういう事実はありましたね。森色のおもなる者を一掃せよと言われたのですね。
  1111. 藤本忍

    藤本證人 記憶しております。
  1112. 足立梅市

    ○足立委員 だれが言つたのですか。
  1113. 藤本忍

    藤本證人 社長か私か、いずれかであつたと思います。
  1114. 足立梅市

    ○足立委員 それから四月九日にまた会合しておりますね。そうして京浜地区組合と会社との会見を重役室でやつた。それで会社側はあなたと中村常務と松本常務が出ておられた。その席上で、三月三十一日ミスター・ザイビユラより、四月三日ミスター・ヘンダーソンより、いずれも社内の改組、從來の派閥の徹底的整理に関する指示を受けた。それから解職の範囲は一、森の縁故者二、森と密接な関係にあり社務遂行上重要なポストを占めた者三、命令に服せず社務の遂行に支障ある者四、経理責任者及び監査役。まあこういうことを言われておりますが、記憶がありますか。
  1115. 藤本忍

    藤本證人 それは組合の記録ですか。
  1116. 足立梅市

    ○足立委員 組合の記録でございます。
  1117. 藤本忍

    藤本證人 それは確かでございましよう。
  1118. 足立梅市

    ○足立委員 それはだれが言われましたか。
  1119. 藤本忍

    藤本證人 たいてい私が出ておれば、私が話したかもしれません。社長はおりませんでしたか。
  1120. 足立梅市

    ○足立委員 社長はいない。藤本さんと中村常務と松本常務
  1121. 藤本忍

    藤本證人 それは京浜地区組合との会見ですね。
  1122. 足立梅市

    ○足立委員 そうです。
  1123. 藤本忍

    藤本證人 では話したでしよう。
  1124. 足立梅市

    ○足立委員 あなたが言われたのですね。
  1125. 藤本忍

    藤本證人 おそらくは私が言いました。
  1126. 足立梅市

    ○足立委員 それから四月二十二日に経営協議会をやつておりますね。
  1127. 藤本忍

    藤本證人 経営協議会には私はたいてい欠かさず出ておりますから、出ているでしよう。
  1128. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると首切りはGHQの一つの要請によつて、ヘンダーソンの通告によつて一時にやれというようなことを言われたと言つておりますが、その点お認めになりますか。ちよつと読んでみましようか。「2、四月三日新旧重役ト共ニGHQ「ミスターヘンダーソン」ニ呼バレテ出頭シタトキ肥料増産サレ、尚ソノ時森ノ「インフルエンス」ヲ一掃セヨ、新職制人事ヲ決メテ「アツト・ワンス」ニ出セトイウ指示ヲ受ケタ。」それから「3、其後持株会社整理委員会笹山委員長、野田委員「ミスターヘンダーソン」ニ数回会ヒ、自分ノ重イ責任ヲ痛感シ、又GHQニモ厖大ナ資料ガキテイルトイウノデ自分調査機関ヲ動員シテヤツタ、色々考慮シタ結果課長級以上デ原案ヲ出シ、GHQデ大体成案ヲ得タ、ソコデ四月七日ニ発シタ。」「4、経理関係ニツキミスター・ザイビユラ、ミスターヘンダーソン」外二、三ノモノカラ経理上層構築ハ從來電工ノ色彩ノナイモノヲ出セトイワレ、持株会社整理委員会ノ斡旋デ與銀ニ人選シテモラツテイル総務関係ハ從來党派的人事ガアツタノデ一、二ノ人間ハ電工ト関係ナイ公平ナモノセニヨ、ソレニツキアンチトラストハ監視スルトノコトデアツタ。」こういうぐあいに言つておる。これもよろしゆうございますか。
  1129. 藤本忍

    藤本證人 アンチ・トラストというのは何でございますか。
  1130. 足立梅市

    ○足立委員 アンチ・トラスト、これで監視せよというのです。これを言つたかどうか。
  1131. 藤本忍

    藤本證人 私が話したか、だれが話したかは覚えておりませんが、そういう趣旨の話は出たこともあろうかと思います。
  1132. 足立梅市

    ○足立委員 アンチ・トラストがこれで監視しておる……。
  1133. 藤本忍

    藤本證人 その表現のしかたはよくわかりませんけれども、深甚な注意を拂つておるということは確かであつたように思います。
  1134. 足立梅市

    ○足立委員 そうするとここであなた方はヘンダーソンまたはザイビユラに会われたときに首切りをやつて、それがどう行つておるかどうか、アンチ・トラストが監視しておるということを言われたのですか。
  1135. 藤本忍

    藤本證人 そういう表現を使つたかどうか知りませんが、非常に注意を拂つておる。昭和電工の問題については深甚の注意を拂つておるという意味のことだろうと私は思つております。
  1136. 足立梅市

    ○足立委員 昭和電工の問題に対して深甚の注意を拂うということは一應了承できるが、しかしながら人事の問題についてアンチ・トラストが監視をしておる、こういう意味ですか。そういうことを言つたかどうか、これを認めるか認めないかというのです。
  1137. 藤本忍

    藤本證人 それは表現の仕方だと思いますが、深甚の注意を佛つておるという意味合いだつたら私かあるいは社長が話したろうと思います。
  1138. 足立梅市

    ○足立委員 深甚の注意を拂つておるというのは、ここにおいて森色を一掃しようという一つのサゼツシヨンか命令か知らないが、出た。これに対して深甚の注意を拂つておるというのですか。
  1139. 藤本忍

    藤本證人 社内の建直しを急速にやれということを言つておりました。その中には人事も入つており、生産計画も入つており、全部包含したことで、GHQからサゼツシヨンがあつたということは確かであります。
  1140. 足立梅市

    ○足立委員 深甚の注意を拂つておるということでありますが、その拂つておるのは人事の問題だけに限定しておるのですよ。
  1141. 藤本忍

    藤本證人 人事に限らず、全般的の会社経営について注意を拂つておるということは……。
  1142. 足立梅市

    ○足立委員 当然人事も含まれるたいうのですね。その点はわかりました。それからあなたがこの会社へ入つて來られた折、その当時はやはり電工の生産計画というものは月産二十五万トンでしたか、三十万トンでしたか。硫安について……。
  1143. 藤本忍

    藤本證人 計画は二十五万トン計画です。
  1144. 足立梅市

    ○足立委員 二十五万トン計画を遂行するについて前に森氏が計画を進めておりましたのは、二十五万トンの製品ができることについて当時何%くらいできておりましたか。
  1145. 藤本忍

    藤本證人 その当時の数字はちよつと記憶がありません。
  1146. 足立梅市

    ○足立委員 こまかい数字は出るはずがない、半分とか、三分の一とか、六三体完成していたということは言えるわけです。何%できておりましたか。大体三十万トンの計画だというのですが、実質は二十五万トンしかできない。これもこの設備でどのくらいのものができておりましたか。硫安について……。
  1147. 藤本忍

    藤本證人 全体の能力からいつて当時においては五〇%には來ておつたと思います。
  1148. 足立梅市

    ○足立委員 五〇%しかできていない。それを超えてなかつた。  それで石灰窒素の方はどうでございますか。あれは十九万五千トンでしたね。
  1149. 藤本忍

    藤本證人 そうです。石炭窒素の方は硫安より、もつと悪かつたのではないか思う。
  1150. 足立梅市

    ○足立委員 何パーセントくらい。
  1151. 藤本忍

    藤本證人 ちよつとパーセントは覚えておりませんが、工事の進捗から言つて、まだ一連の工程が完成していないうちでありましたから、程度からいつたら三〇%くらいじやなかつたかと記憶しております。
  1152. 足立梅市

    ○足立委員 森氏の折には資金も相当使つておりましたね。
  1153. 藤本忍

    藤本證人 ええ。
  1154. 足立梅市

    ○足立委員 どのくらい使つておりましたか。
  1155. 藤本忍

    藤本證人 その明細は私数字的には……。
  1156. 足立梅市

    ○足立委員 おおよそでいいのですよ。
  1157. 藤本忍

    藤本證人 われわれ金額についてよく存じておりませんが、たしか当時七億かの融資ではなかつたかと記憶しておりました。
  1158. 足立梅市

    ○足立委員 それあなた方が、その新しい企画を立てられて、やはり依然として硫安が三十万トンという計画だつたのですか。
  1159. 藤本忍

    藤本證人 これは三十万トンですけれども、実際の生産としましましては硫安においては電解の系列がGHQの指示で減らされましたから二十五万トンということになつたのです。
  1160. 足立梅市

    ○足立委員 それから石灰窒素はやはり十九万五千トンですか。
  1161. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1162. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると森氏の計画と少しもかわつていないというわけですね。
  1163. 藤本忍

    藤本證人 計画のわくとしてはかわらない。
  1164. 足立梅市

    ○足立委員 しからば森氏の最初の計画を内容的に大きく変更する部分がありましたかありませんでしたか。
  1165. 藤本忍

    藤本證人 変更したのもありますけれども大体あの当時におきましては各肥料会社の設備に関しましては非常に能力的に、ケミカルプランで非常にきつく押えて、盛んに査定をやつたわけです。そういう関係で各工場における機器につきまして減らすことを相当各社がやられた、そういう関係で計画変更をしたということはあります。
  1166. 足立梅市

    ○足立委員 そういう関係で計画変更をすると、十九万五千トンに支障を來すのではないですか。わくが一緒で中を減らすというのはどういう意味ですか。
  1167. 藤本忍

    藤本證人 減らされて、その結果わくの内容がかわつたわけです。
  1168. 足立梅市

    ○足立委員 どんなふうにかわつたのですか。
  1169. 藤本忍

    藤本證人 わくの内容が四万トンの計画のところは三万二千トンにしたということです。
  1170. 足立梅市

    ○足立委員 総体なものですよ、十九万五千トンの石灰窒素の大わくがきまつておるのですから、このわくの増減があつたかなかつたか。
  1171. 藤本忍

    藤本證人 これはやはりむずかしいのですが、GHQで言う能力と、われわれあるいは商工省の言つている能力と、能力の考え方が相当差がある。
  1172. 足立梅市

    ○足立委員 それでは話をかえまして、森氏のときには十九万五千トンという石灰窒素の一つのわくをもつてこれを出すために、具体的の計画を立てておつた。それで硫安については実質的に二十五万トンの生産をするために設備の起案を立てておつた。その起案をあなたの方で大きくかえたか、大体森氏の起案そのままに遂行したかということなのですが。
  1173. 藤本忍

    藤本證人 内容的に行けば機器の変更や何かということはありましたけれども、大きな変更はやりません。
  1174. 足立梅市

    ○足立委員 大きな変更はやらなかつた。それでその通りつたのですか。
  1175. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1176. 足立梅市

    ○足立委員 それであなたの観測によれば、硫安については完成度が五〇%出ておつた、石灰窒素については三〇%くらいなものだつたと、こういうわけですね。
  1177. 藤本忍

    藤本證人 そんなふうに記憶しております。
  1178. 足立梅市

    ○足立委員 その点におきまして、市村氏の言うのと非常に大きな違いがあるのです。  それから話をかえまして、日野原氏の渉外関係の通訳はだれがやつておるのですか。
  1179. 藤本忍

    藤本證人 現在は渉外課長がやつております。
  1180. 足立梅市

    ○足立委員 何という人ですか。
  1181. 藤本忍

    藤本證人 野中氏。
  1182. 足立梅市

    ○足立委員 その人はいつごろからやつていますか。
  1183. 藤本忍

    藤本證人 これは森さんのおられる時代からやつておると思います。渉外課員として……。
  1184. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると森氏が電工の社長になつた折からやられておるわけですか
  1185. 藤本忍

    藤本證人 そうと思います。以前のことは私ちよつとわかりません。
  1186. 足立梅市

    ○足立委員 その前にたれがやつておりますか。
  1187. 藤本忍

    藤本證人 その前のことはわかりません。
  1188. 足立梅市

    ○足立委員 水素におつた頃はたれがやつておりましたか。
  1189. 藤本忍

    藤本證人 そのころは渉外課というものはなかつたと……。
  1190. 足立梅市

    ○足立委員 課がなくてもあの人はGHQの方にずつと行つておるから通訳があるはずです。通訳はだれですか。
  1191. 藤本忍

    藤本證人 それは外部から頼みまして、特に硫安関係の縁の深いのは有賀さんの方にも頼みましたし、あるいは要談においては化学肥料課の津田さんという人が、そうお上手でなかつたけれども、正確に技術的なことを博えられたというわけで折衝の際に行つてもらつた
  1192. 足立梅市

    ○足立委員 昭和二十二年の二、三月ごろはだれでしたか。ちようど日野原さんが電工に入られる前ですね。有賀さんと津田さんとそのほかにありませんか。
  1193. 藤本忍

    藤本證人 そのほかにありませんね。
  1194. 足立梅市

    ○足立委員 あなた御存じじやない……。
  1195. 藤本忍

    藤本證人 知りません。
  1196. 足立梅市

    ○足立委員 よろしい。それで日野原氏が新しく人員をかえましたね。その中で今險察廰に起訴になつておる者はだれとだれですか。
  1197. 藤本忍

    藤本證人 新しく入つた人ですか。
  1198. 足立梅市

    ○足立委員 そうです。その人のポストと名前を言つてください。
  1199. 藤本忍

    藤本證人 鳥巣常務、藤井取締役、砂原秘書、岡崎経理課長、それだけですね。
  1200. 足立梅市

    ○足立委員 前からおる人では……。
  1201. 藤本忍

    藤本證人 おりません。
  1202. 足立梅市

    ○足立委員 それから日野原氏がああいうことになつて社長をどうしてやめなかつたのですか。現在でも社長ですね。
  1203. 藤本忍

    藤本證人 それは社長の考えで私はどういうわけでやめぬか、私の問題じやありませんからちよつと申し上げかねます。
  1204. 足立梅市

    ○足立委員 GHQからやめさせないような指令があつたんだというようなことはありませんか。
  1205. 藤本忍

    藤本證人 そうですか、それは最近社長の問題について相当外部の関係も御迷惑をかけておる筋もあるし、会社重役としてもこういうような事態になるということは世間一般に対しても申訳ない。重役としても責任があるからいかに対処すべきかというようなことを重役としても考えた。それでこの件については各重役個人がかくある、こうあるということではいかん。やはり昭和電工というものに関係ある方面の意向を聞いて、それによつて対処すべきであるということで意向も伺つてつたわけであります。そうしてその結果会社として一番関係のあるところでは、重役の更迭については持株整理委員会を通じてアンチ・トラストの関係金融筋の関係がある。商工省、行政官廰の関係、そういうような意見も伺いましたけれども、この問題は非常に大きな問題で重要な問題であるものですからはつきりした意思表示も第三者の方々はしかねるというような状態にもあつたわけです。結局その結果われわれの方の社長も退陣すべきじやないか、同時に重役もいろいろな責任上、責任を痛感していろいろな処置をとらなければいかんじやないかというようなことを持株整理委員会にも話しました。その結果において、GHQに対していかにすべきかということを持株整理委員会においても相談したらしいのであります。そういうようないきさつで、最近になりまして刑のきまるまでは現状のままで差支えないじやないか、刑を予断するようなことを持株整理委員会がやるというのはいけないだろうということで、社長辞任というような問題につきまして、一應刑が定まるまでの間においては、現状の地位に置いたらいいだろう、同時に社長代理としてはつきり社長の権限を持つておる人間がいるのだから、それを中心に生産の維持をしていくようにという結末になりました。
  1206. 足立梅市

    ○足立委員 それではちよつと詳しく伺いますが、持株の方にはこの相談にいつ、だれが行かれましたか。
  1207. 藤本忍

    藤本證人 日にちは私は覚えておりませんが、行つたのは私の方の社長代理行つております。
  1208. 足立梅市

    ○足立委員 何回行かれましたか御存じありませんか。
  1209. 藤本忍

    藤本證人 それは何回でもないです。一回だと思つております。
  1210. 足立梅市

    ○足立委員 それから商工省へはいつ、だれが行かれましたか。
  1211. 藤本忍

    藤本證人 商工省も大体社長代理だと思います。
  1212. 足立梅市

    ○足立委員 一回ですか。
  1213. 藤本忍

    藤本證人 一回か二回かわかりませんが……。
  1214. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると金融関係というのはどこに行かれだのですか。
  1215. 藤本忍

    藤本證人 それは復金その他市中銀行との関係もあります。
  1216. 足立梅市

    ○足立委員 興銀には行つておりませんか。
  1217. 藤本忍

    藤本證人 その辺はちよつとわかりませんが、おそらく行つたと思います。
  1218. 足立梅市

    ○足立委員 それで結局やめなくてもいいということは、持株で言われたわけですか。
  1219. 藤本忍

    藤本證人 いや、これはやめなくてもいいというのではなくて、刑の予断をしてはいけないだろう、こういう責任をとるようなことはいけないだろうというメモランダムが出たのです。持株整理委員会がそれに対して、会社にメモランダムを添えまして通知をしてきた、そういうことです。
  1220. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると直接にアンチ・トラストの方に御交渉になつたということはありませんか。この問題について……。
  1221. 藤本忍

    藤本證人 それはないようです。アンチ・トラストの方は……。
  1222. 足立梅市

    ○足立委員 それから方向をかえまして、この社長及びそのほかの人がたくさん検察廰に呼ばれておりますが、その弁護士の選択はだれがやつているのですか。
  1223. 藤本忍

    藤本證人 これはその事件が起きましたときに、社長が依頼した弁護士であります。
  1224. 足立梅市

    ○足立委員 その弁護士が全部の被疑者をやつておるのですか。
  1225. 藤本忍

    藤本證人 全部の被疑者に……これは担当があるのです。
  1226. 足立梅市

    ○足立委員 それでは何人くらい担当になるのですか。
  1227. 藤本忍

    藤本證人 今大体新聞に出ておりましたように六、七人でございましよう。
  1228. 足立梅市

    ○足立委員 その人を依頼するにつきましては、会社とは関係ありますか、ありませんか。
  1229. 藤本忍

    藤本證人 会社関係があると思い事す。
  1230. 足立梅市

    ○足立委員 どういう関係がありますか。
  1231. 藤本忍

    藤本證人 関係といいますと、個人ですか。
  1232. 足立梅市

    ○足立委員 ええ。
  1233. 藤本忍

    藤本證人 個人の関係は私は知りません。個人の関係はないと思います。
  1234. 足立梅市

    ○足立委員 どういう人を選択するというようなこと及び費用はどこから出すというようなことについて、会社関係しております。
  1235. 藤本忍

    藤本證人 もちろん会社がきめたわけです。
  1236. 足立梅市

    ○足立委員 会社が弁護士の選択をしたのですか。
  1237. 藤本忍

    藤本證人 会社が選択をしたといいますか、社長が弁護士をきめたわけです。
  1238. 足立梅市

    ○足立委員 しかし社長は拘束をされておつて、なかなか自由に行かぬでしよう。
  1239. 藤本忍

    藤本證人 いや、社長が弁護士をきめるというのは、その前に会社においてちやんと弁護士ができておりますから……。弁護士は会社に前からいるのでございます。
  1240. 足立梅市

    ○足立委員 前からこの人に社長相談してきめられたと、こういうわけですか。
  1241. 藤本忍

    藤本證人 社長がきめたという今の話で、あなたの質問の要旨と私の答えが違つておりますから、もう一度おつしやつてください。
  1242. 足立梅市

    ○足立委員 弁護士を五人も六人も頼んでおりますが、その頼むのは会社としてきめたのか、個人としてきめたのかというわけです。
  1243. 藤本忍

    藤本證人 それは会社としてきめたのです。
  1244. 足立梅市

    ○足立委員 それはたれが会社として折衝に当つたかという問題です。
  1245. 藤本忍

    藤本證人 私は勘違いをしておりました。会社にいる弁護士もいるわけですから、その弁護士が中心になつてつたわけです。
  1246. 足立梅市

    ○足立委員 会社としてきめた以上、その費用は当然会社が負担すべきものですね。
  1247. 藤本忍

    藤本證人 会社が負担すべきものだと考えております。
  1248. 足立梅市

    ○足立委員 現在どのくらいの費用が出ておりますか。
  1249. 藤本忍

    藤本證人 費用はわかりません
  1250. 足立梅市

    ○足立委員 大体でよろしい。
  1251. 藤本忍

    藤本證人 わかりません。
  1252. 足立梅市

    ○足立委員 あなたは会社として負担すべきものだというお話でございますが、そうすると、これは会社のためにあの人がああいうことになつているのですか。そういう御見解ですか。
  1253. 藤本忍

    藤本證人 会社事業遂行のためにそういう容疑を受けたというふうに解釈しております。
  1254. 足立梅市

    ○足立委員 そうすると、あなたは会社事業を遂行するのに、刑事的なことをやつて事業を遂行しなければならぬと考えているのですか。それも会社業務の一つと考えているのですか。
  1255. 藤本忍

    藤本證人 刑事的なことをした場合といいますと、会社の人がですか。
  1256. 足立梅市

    ○足立委員 あなた方は日本の復興の硫安工業を達成するために、日本法律從つてやらなければならぬわけだ。それを日本法律に從わないでやつたがゆえにここに刑事問題が起つたのだから、そういうことも会社としてやるべき仕事であるかというのです。
  1257. 藤本忍

    藤本證人 これはわれわれ容疑者として考えておりますから、まだ犯罪を犯したというふうに考えておりません。
  1258. 足立梅市

    ○足立委員 まだ犯罪を犯したと考えていない。容疑があるという……。
  1259. 藤本忍

    藤本證人 容疑者としてです。
  1260. 足立梅市

    ○足立委員 その容疑が刑事責任を問われる容疑です。そういう容疑でもですか。もう一つ言いかえますと、昭和電工には二十何億という國民の膏血をしぼつた金が行つている。その金であなた方はこの弁護士の費用を拂つているのですよ。國家の食糧を生産するために、國民が泣く泣く税金を拂つて昭和電工融資した。そういうものを背任であるとか贈賄であるとか、そういう犯罪によつてあなた方の会社はむちやくちやになつている。それを、弁護士の費用を会社の費用で拂うとは何事であるか。國民が承知しませんよ。そういう考えをもつて会社経営をするとは何事ですか。もつてのほかです。しやあしやあとしてこの席上でそういうことを述べられるとは——あなたはこの会社の指導者である。そういう人に対して私はこういう事業を託することはできないという意見を私は持ちます。法律的にはわれわれはどうすることもできません。しかしながらわれわれは一國民といたしまして、國民の膏血をしぼつた金をそういう人に託して日本の生産を遂行してもらうということは、実に考えざるを得ないと私は考えております。
  1261. 藤本忍

    藤本證人 お話趣旨はよくわかりましたが、私の申し上げていることは、それが会社の仕事として刑事上の問題を起した場合に、これを会社支拂うかどうかという話と、それとは別に、会社の仕事としてやつて、そういうような過失を犯したのだ。しかしその過失の決定は後にならなければわからぬ。その間において、今出ているのは贈賄というようなことが出ているわけですが、この贈賄という問題は個人のやつた問題ではない。会社のためにかりに贈賄をやつたとすればやつたのじやないか。だからこれは会社として見れば見られるのじやないか。こういうので、会社が見るべきであるから会社経理上で全部拂つておくということとは、また別問題です。見てやつてもいいどころがあるのじやないかというのです。
  1262. 足立梅市

    ○足立委員 冗談じやない。日本國民としては、やはりこれは法律にかなつた方法で資金を獲得しなければならない。それを贈賄をもつてしなければならぬというのは会社の仕事では絶対ありませんよ。頼む弁護士の費用も國民が膏血をしぼつた税金で拂つておる。これはもうこれでいいのですが、それからもう一つ、あなたから見られて森氏がやられておつた会社経営というものは非常にふしだらなものであつたですが、それともまた……。
  1263. 藤本忍

    藤本證人 決してふしだらとは考えておりません。
  1264. 足立梅市

    ○足立委員 普通であつたか、普通よりよかつたか。
  1265. 藤本忍

    藤本證人 それは比較の問題ですからちよつと申しかねますが、決していいかげんにやつたわけではなく、実業家は実業家で自分の信念で事業をやつておられたわけですから、私は決して森さんのやつていたことがふしだらであるとは考えていません。
  1266. 足立梅市

    ○足立委員 すると現在のあなたの経営ぶりと森氏の経営ぶりと違う所は……。
  1267. 藤本忍

    藤本證人 違う所と申しますと…。
  1268. 足立梅市

    ○足立委員 具体的に言いますと、森氏の経営の方が締つてつたか、あなた方の、日野原社長経営の方が締つてつたか。
  1269. 藤本忍

    藤本證人 私としてはどつちとも申しかねます。
  1270. 足立梅市

    ○足立委員 結構です。
  1271. 武藤運十郎

    武藤委員長 もうありませんか。
  1272. 田中健吉

    ○田中(健)委員 先ほど日野原さんが社長になられまして、それから森系と目される二十数名を首切られましたですね。そのときGHQから何か言われて首切ることになつたというお話ですが、その場合GHQ行つたあなた方の通訳はだれですか。
  1273. 藤本忍

    藤本證人 こちらの通訳は行かなかつたです。
  1274. 田中健吉

    ○田中(健)委員 向うの通訳ですか。
  1275. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1276. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから藤本さんは人事部長をやつたことはないですか。
  1277. 藤本忍

    藤本證人 職制が変更してから人事部長を一時やりました。
  1278. 田中健吉

    ○田中(健)委員 このときは人事部長だつたですか。
  1279. 藤本忍

    藤本證人 いや人事部長ではありません。総務部長です。
  1280. 田中健吉

    ○田中(健)委員 昭和電工にはいつてから人事部長をやつたことは……。
  1281. 藤本忍

    藤本證人 はいつてから、職制が変りまして人事部長ができまして、人事部長をしばらくやりました。
  1282. 田中健吉

    ○田中(健)委員 森系を首切る場合はどうです。その場合はどうです。その場合人事部長をやつてつたですか。
  1283. 藤本忍

    藤本證人 その当時は総務部長だつたです。
  1284. 田中健吉

    ○田中(健)委員 すると、人事部長じやないのですね。
  1285. 藤本忍

    藤本證人 ええ、人事部長ではありませんけれども、総務の中に人事も入つております。
  1286. 田中健吉

    ○田中(健)委員 人事部長はおつたのですか。
  1287. 藤本忍

    藤本證人 いなかつたのです。
  1288. 田中健吉

    ○田中(健)委員 すると、あなたが大体人選したことになりますな、二十数名を。つまり責任者ですね。
  1289. 藤本忍

    藤本證人  そうです。
  1290. 田中健吉

    ○田中(健)委員 責任者であるあなたにお伺いすれば一番早いと思うが、どういうわけで森系であるかないかということを見分けたか、何か標準があつたのですか。何年おれば森系、むやみに出入りすれば森系、あるいは顔色を見て森系とか、どういうふうにやつたんですか。森系であるという標準をお漏らし願えば、この問題について非常に結構だと思います。
  1291. 藤本忍

    藤本證人 要するに森さんの親戚であるとか——親戚ということは森系ということになるでしよう。同時に森さんの仕事の運営上中枢になつて働いた方々は森さんの系統として考えられる。
  1292. 田中健吉

    ○田中(健)委員 すると、日野原氏は菅原通済とは近いそうですが、菅原通済系ですか、今の話から言つたらどうです。
  1293. 藤本忍

    藤本證人 まあ同じことでしようね。
  1294. 田中健吉

    ○田中(健)委員 日野原氏は菅原通済系の最たる士であるということになりますか。
  1295. 藤本忍

    藤本證人 そういう観点で言えば、そういうことになりましよう。
  1296. 田中健吉

    ○田中(健)委員 いや、それは私の観点ですが、あなたのお話から言えばそういうことになりますね。退職者を直接きめられたのはやはりあなたですか。
  1297. 藤本忍

    藤本證人 最後の責任者はもちろん私でありますけれども、これについての社内での打合せはやりました。
  1298. 田中健吉

    ○田中(健)委員 社内の打合せですか、重役会議ですか。
  1299. 藤本忍

    藤本證人 一部です。全部というわけではありません。
  1300. 田中健吉

    ○田中(健)委員 全部の重役会議でないとすると、人事関係重役会議ですか。
  1301. 藤本忍

    藤本證人 残つておる重役さんがおられますから。
  1302. 田中健吉

    ○田中(健)委員 だれだれですか。
  1303. 藤本忍

    藤本證人 松本重役、中村重役、大原重役、こういう方々であります。
  1304. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それからあなたですか。
  1305. 藤本忍

    藤本證人 そうです。それから社長もおります。
  1306. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あといませんか。
  1307. 藤本忍

    藤本證人 重役ですか。そのころはその程度でございました。
  1308. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから人事課員、係長、課長級はいなかつたですか。
  1309. 藤本忍

    藤本證人 課長はおりました。
  1310. 田中健吉

    ○田中(健)委員 人事課長ですか。
  1311. 藤本忍

    藤本證人  そうです。
  1312. 田中健吉

    ○田中(健)委員 宍戸という方ですか。
  1313. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1314. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そのほかの課長はいませんか。その相談のとき。
  1315. 藤本忍

    藤本證人 いえ、相談というのでは……会議という形でやつたわけではありませんから。意見を聴いたわけです。
  1316. 田中健吉

    ○田中(健)委員 しかしいずれにしても会合をやつたのでしよう。
  1317. 藤本忍

    藤本證人 会合ではありません。
  1318. 田中健吉

    ○田中(健)委員 何ですか。
  1319. 藤本忍

    藤本證人 個々の意見を確めるために……。
  1320. 田中健吉

    ○田中(健)委員 しかしみな集まつたのですね。
  1321. 藤本忍

    藤本證人 みな集めません。
  1322. 田中健吉

    ○田中(健)委員 持ちまわつたのですか。回状を書いて。
  1323. 藤本忍

    藤本證人 いえ、持ちまわりはありません。
  1324. 田中健吉

    ○田中(健)委員 今の方々はタツチしたわけですね。
  1325. 藤本忍

    藤本證人 今の方々は、全部はかけませんけれども、一部分どういう人かと樣子を聽いたことはあります。どういう人柄かということは聞きました。
  1326. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから先ほど一箇月一万五千トンの硫安の生産があつたというお話がありましたが、硫安ですか。
  1327. 藤本忍

    藤本證人 硫安です。
  1328. 田中健吉

    ○田中(健)委員 これは平均一万五千トンですか。今年六月水谷商工大臣が行つたとき……。
  1329. 藤本忍

    藤本證人 一番最高のときの話です。
  1330. 田中健吉

    ○田中(健)委員 水谷さんが行つたときてしよう。前月分までかき集めでやつたとか世間で言つてる……。
  1331. 藤本忍

    藤本證人 そんなことはありません。かき集めではありません。
  1332. 田中健吉

    ○田中(健)委員 最低は幾らですか。一番出なかつたときは。
  1333. 藤本忍

    藤本證人 電力事情で悪いときがありました。
  1334. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それはわかりました。ただ一万五千トンは出すぎるようですから。一番出ないときもあるのでしよう。
  1335. 藤本忍

    藤本證人 あります。一万トン出ないときもありますし、五千トンくらいのときもあります。おもに渇水期になりますと非常に減りますから。
  1336. 田中健吉

    ○田中(健)委員 すると一万五千トンは豊水期ですね。年に十二、三万トンですか。
  1337. 藤本忍

    藤本證人 現在は月に一万トン行きます。
  1338. 田中健吉

    ○田中(健)委員 私川崎に行つて聞いて來ましたが、月に一万五千トンとすると年に十八万トンくらいになりますから。
  1339. 藤本忍

    藤本證人 そのようには行つておりません。
  1340. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから先ほど証言を聞いておりますと、足立さんに対する答弁は、昨年あなたが昭和電工に入られるときには五〇%復興しておつた、こういうお話です。ところが私が調査に参りましたときは、これは今年の三月二十一日ですが、八〇%復旧している。現在八〇%まででき上つておりまして、新設備はできておりませんというようなことでした。そうすると昨年あなたが入られてから今年の三月までにはわずか三〇%までしか進んでおりません。そうでしよう。さきほどあなたが言つたのは五〇%ちよつと欠けるかもしれない。森さんのときにおいて五〇%できておつた。ところが今年私が行つたときは三〇%しかできていないということですから、そうなりますと三〇%のところでたいへんな金を使つたことになるのです。これはほかのことではない。おなたの証言の中から生れてくるのですが、これはどういうことですか。
  1341. 藤本忍

    藤本證人 五〇%というのは戰災で破壞されて、その後において電解関係の設備だけを残しまして、それが十二万五千トンの能力になつているわけです。それの補修ということがさきに川崎工場で取上げられたものです。それから新しい電解工場の設備になつているのが十二万五千トン、合計二、十三万トン、そういう設備を能力的にみまして、森さんがおられた当時に約五〇%と言つたのは旧工場の補修ということでやられておつたのが五〇%、あるいはそれ以下であつたということです。
  1342. 田中健吉

    ○田中(健)委員 もちろんそれは私は知つております。それは旧設備で、その新しいものは七系一列でしよう。そうしますと二十五万トンはできませんね。そうなんでしよう。
  1343. 藤本忍

    藤本證人 七系列で十二万五千トンであります。
  1344. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それは私の調べたところによりますと十系列で二十五万トンである。私は技術屋でないから論争はしないがそういう話だつた。ただあなたの御証言によりますと、昨年五〇%できておつて、そこへ皆さんが乘り込んで行つてわずかに三〇%しか進まないのに、しかも七億数千万円のところが一躍二十何億という國庫の金が出ている。そういうことになるとその金の使い方は実にずさんだつたのではないかと考えられるが、あなたはどう思いますか。
  1345. 藤本忍

    藤本證人 五〇%というのはすでに新しく五〇%までつくつたわけではないのです。十二万五千トンの電解設備というものは補修によつて十二万五千トンになるわけですから、森さんがおられたときにはすでに五〇%までの能力をもつてつたということを申し上げたのです。
  1346. 田中健吉

    ○田中(健)委員 機械、器具の設備の復旧のことではないのですね。生産能力ですか。
  1347. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1348. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうするとあなたの方に参つて調べて参つたときも復興状況についての質問であつて先ほどの足立さんのあなたに対する場合も復興の状況を聽いているのであつて、生産状況を聽いているのではなかつたと私は思いますが、その点はどうですか。
  1349. 藤本忍

    藤本證人 生産高の話が出たものですから、どの程度の生産があつたかということからいきましたので、これは設備の能力でいかなければならぬと考えて、そう返事したわけです。
  1350. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それはそれでいいでしよう。それから社長更迭の場合に金融関係、役所、その他の関係へいろいろ御相談なさつたようお話しになつたが、労働組合からも社長の交迭について何か要求があるような話はなかつたのですか。
  1351. 藤本忍

    藤本證人 要求はありました。
  1352. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それに対してはどういう……。
  1353. 藤本忍

    藤本證人 労働組合の方では社長がああいう状況になれば早く社長地位を去るべきではないかということで、そういうような労働組合の要求が出ています。
  1354. 田中健吉

    ○田中(健)委員 先ほどの御証言によりますと、官廳、金融機関その他各方面には大分会社の方から御相談行つているということですが、労働組合方面には何ら御相談にも行つていないようだが、労働組合を無視するという意味ですか。そういう意味ですか。労働組合には経営協議会の席上いろいろな質疑應答をやつておりまして、会社側の意図は傳えております。ただ経営者の問題になりますと、組合に相談してきめるとうわけにいかぬものですから、やはり経営者は独自の考えで進まなければならぬ。もちろん労働者の考え方は経営者として大いにこれを見てやらなければならぬことは大事なことでありますれども、経営者自体の問題については経営者が善処すべきであるという観点です。
  1355. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから会社のことは検察廳なんかで当然今度の事件で問題にはなつておると思いますが、会社の交際費ですね。交際費のようなものは会社帳簿に現われているわけですね。
  1356. 藤本忍

    藤本證人 交際費というものはどこの会社でも交際費として出せないわけですね。
  1357. 田中健吉

    ○田中(健)委員 いや、あなたの方の会社は交際が非常に廣い会社でありますから、交際費は当然帳面に現われなければならぬでしよう。そこで現われておるかどうかということをお伺いしておるのであつて、現われてなければ現われてなくてもいい。
  1358. 藤本忍

    藤本證人 現われておりません。
  1359. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それは現わさないのですか。
  1360. 藤本忍

    藤本證人 交際費という費目は認められないわけです。
  1361. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると会社経理に関する法律違反になるのですか。
  1362. 藤本忍

    藤本證人 やはりこれは制限会社令違反になるわけですね。
  1363. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それは重役会で違反をやつてもいいから出せということをおきめになつたのですか。だれがそういうことをおきめになつて、そういう不法行為をおやりになつたものですか。
  1364. 藤本忍

    藤本證人 交際費の問題は非常に困るんですけれども、大びらに交際費というものは出せないのでございます。ですからその他の費目で出さなければならぬ。
  1365. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その他の費目ということは違反でしよう。
  1366. 藤本忍

    藤本證人 違反になる。
  1367. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その違反が重役会議できめておるものか、社長の独断專行か、常務のあなたが意をくんでおやりになつておるのか。
  1368. 藤本忍

    藤本證人 交際費はめいめいの立場において必要な場合の交際をやつておりますので、一々これは命令してきめてないのでございます。それでこういう交際費を使いたいという場合に、会社としてやむを得ぬだろうと思つて幹部が認めて印を押してやるという形になつておる。
  1369. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうするとあなたが押してやつた場合もありますか。
  1370. 藤本忍

    藤本證人 私も押した場合もあると思います。
  1371. 田中健吉

    ○田中(健)委員 これは当然違反になるわけですね。それから復興金融金庫から御承知通り二十何億という金が出ておるわけですね。こういう金の中のおもなる使途をちよつとお伺いしたいのですが、昭和電工は非常に交際費の支出が多い。それに関連して交際用の自動車、これが非常に多いように聞いておりますが、森さんからのお話によりますと、森さんが社長をやつておられたときは三台しかなかつたそうです。ところが日野原さんが社長になられてから二十八台あつたという話ですが、当時どのくらいあつたのですか。
  1372. 藤本忍

    藤本證人 二十八台はありません。そんなにありません。現在持つているのは……。
  1373. 田中健吉

    ○田中(健)委員 日野原さんが検挙される当時ですね。乘用自動車、それは会社の名前になつた車もあるし、借上げになつてつたものもあるし、実際借上げになつて会社に登録されておらなかつたものもあるでしようし、とにかく二十何台あるということになつておりますが……。
  1374. 藤本忍

    藤本證人 それはそんなにありません。会社全体でトラツクや何か……。
  1375. 田中健吉

    ○田中(健)委員 乘用車です。
  1376. 藤本忍

    藤本證人 乘用車だけですと、直接持つているのが六台くらいのものでございましよう。それに借りる自動車もあります。用が足りないわけですから……。
  1377. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたが知つておられる交際用のリストはどこにありますか。
  1378. 藤本忍

    藤本證人 私は知らぬ。
  1379. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あなたの知つておられる自動車はやはり六台しかないのですか。
  1380. 藤本忍

    藤本證人 六、七台と思つております。
  1381. 田中健吉

    ○田中(健)委員 二十何台ということは……。
  1382. 藤本忍

    藤本證人 それはちよつと大げさな話ですね。
  1383. 田中健吉

    ○田中(健)委員 どつか借り上げておるものを入れればもつと多いだろう、こういうことですか。
  1384. 藤本忍

    藤本證人 それにしても二十何台というような数はないと思います。
  1385. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それで興銀関係、持株委員会関係、商工省あるいは復金、こういう関係の諸君が昨年の三月二十八日前後において、会社の首脳部、特に野原氏などといろいろと御宴会なさつた。特に飲食を伴う会合が非常に激しかつた、こういうふうに聞いておりますが、あなたはその点は御存じですか。
  1386. 藤本忍

    藤本證人 私は関連ありません。
  1387. 田中健吉

    ○田中(健)委員 しかし自動車のそういう御準備というものは、大体ほかの会社あるいは官廳の例によると総務関係でやるものですが、あなたの部課の方で何かそういう準備をするのじやないでしようか。
  1388. 藤本忍

    藤本證人 自動車は庶務課で管轄しております。
  1389. 田中健吉

    ○田中(健)委員 庶務課はあなたの部課ですね。
  1390. 藤本忍

    藤本證人 そうです。
  1391. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうするとこれは一應藤本さんの監督下にある部課で準備をする、こういうことになるわけですか。
  1392. 藤本忍

    藤本證人 自動車の準備ですか。それは庶務課でやつておるわけです。
  1393. 田中健吉

    ○田中(健)委員 宴会の準備はどこでやるのですか。
  1394. 藤本忍

    藤本證人 宴会などは祕書でやります。
  1395. 田中健吉

    ○田中(健)委員 どれもやはりあなたの方でしよう、違いますか。あなたは常務だから社長專属でしよう、これはいかがですか。
  1396. 藤本忍

    藤本證人 これは私一人の專属ではないのです。祕書というのは重役全体の祕書です。
  1397. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると、あなたも一部は知つていることになりますね。
  1398. 藤本忍

    藤本證人 知つていることもあります。
  1399. 田中健吉

    ○田中(健)委員 知つているだけを言つてください。社長のためあるいは重役のために宴会の準備をして、そこにだれだれが來ておつたというようなことを知つているだけのことを言つてく、ださい。
  1400. 藤本忍

    藤本證人 その関係については私はよく知りません。
  1401. 田中健吉

    ○田中(健)委員 わからなければしようがありません。大体この程度やめます。
  1402. 足立梅市

    ○足立委員 去年の八月十六日から十七日にかけて、笹山持株整理委員会委員長を東山温泉へ招待したことは御存じですか。
  1403. 藤本忍

    藤本證人 八月十五日ですか。
  1404. 足立梅市

    ○足立委員 十六日から十七日です。
  1405. 藤本忍

    藤本證人 私は知りません。
  1406. 足立梅市

    ○足立委員 聞いておりませんか。
  1407. 藤本忍

    藤本證人 聞いておりません。
  1408. 足立梅市

    ○足立委員 それから、その次の日も続いてあなた方の方で持株委員会の部長級をまた招待しているのですが、それも御承知ありませんか。
  1409. 藤本忍

    藤本證人 知りません。
  1410. 足立梅市

    ○足立委員 それから十月二十八日、十月三十日、十一月十五日、十一月二十八日という順で、復金の審査部長一行、それからストライク調査團一行、興銀の連中一行、復金の審査部長一行というようなぐあいに、みな招待しているのですが、こういう宴会にもあなたは御関係ありませんか。
  1411. 藤本忍

    藤本證人 社は宴会の方はあまり関係がありません。私はほとんど内部関係ですから……。
  1412. 足立梅市

    ○足立委員 宴会には関係がないですか。
  1413. 藤本忍

    藤本證人 宴会に関係がないということはありませんが、そういう外部折衝の方の関係はありません。
  1414. 足立梅市

    ○足立委員 それから、日野原氏は現在昭和電工の株を四万株持つていることがはつきりしているのですが、それはこういうぐあいにしてお買いになつたのか御存じないですか。
  1415. 藤本忍

    藤本證人 買つた経路は私は知りません。買つたという話は聞いておりますけれども、買つた経路は知りません。
  1416. 足立梅市

    ○足立委員 幾株くらい買つたと聞いておりますか。
  1417. 藤本忍

    藤本證人 株数に覚えておりません。
  1418. 足立梅市

    ○足立委員 だれから買つたという……。
  1419. 藤本忍

    藤本證人 それも知りません。
  1420. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか。それでは済みました。御苦労さまでした。     —————————————
  1421. 武藤運十郎

    武藤委員長 齋藤さん。今あなたはどういう仕事をしているのですか。
  1422. 齋藤辰雄

    齋藤證人 企画部長をやつております。
  1423. 武藤運十郎

    武藤委員長 それまでの略歴を述べてください。
  1424. 齋藤辰雄

    齋藤證人 昭和五年に昭和電工、そのころは昭和肥料と申しましたが、川崎工場に入りまして、十四年に本社に移りまして、本社の肥料課長をやりました。十五年に故森矗昶さんが日本肥料に行かれまして、私も日本肥料に移つて企画部の企画課長をやりました。ちよつと判然といたしませんが、多分十八年までその勤めをして、十八年に日本水素へ移りました。日本水素で最初は製造部長をやつておりまして、後に工場長をいたしまして、昭和二十一年の七月か八月ごろまで工場長をやつておりました。それで日野原さんが社長になられると同時に工場長を辞任して、その前から取締役をやつておりましたが、その取締役だけで、研究方面の担任というようなことでずつと参つておりました。その間近所の、加里工業、これは日本肥料の系統の会社でございましたが、これを閉鎖するにつきまして、それの閉鎖の事務の監督に参つておりました。昨二十二年の四月に昭和電工に入りました。昭和電工に入りまして企画部長になりまして今日に至つております。
  1425. 武藤運十郎

    武藤委員長 最後にあなたが日野原氏の依頼を受けて昭電にもどつて來たとき、特にあなたを呼んだ理由は何かあつたのですか。
  1426. 齋藤辰雄

    齋藤證人 私が昭和電工に約十年おりましたので、いろんなことを知つておるからという意味ではないかと思います。
  1427. 武藤運十郎

    武藤委員長 何か日野原氏が昭電社長になるのについて、その準備行動と言いますか、受入態勢をつくるような工作を主たる任務にして入ることになつたのではなかつたのですか。
  1428. 齋藤辰雄

    齋藤證人 そういうことは言われてもおりませんし、私自身の技能から申しましてもできないことであつたと私考えます。
  1429. 武藤運十郎

    武藤委員長 日野原氏が昭電社長就任する前に、昭電社長に入つて行ことについていろいろと方策を講ずるというようなことはありませんでしたか。
  1430. 齋藤辰雄

    齋藤證人 多分私が二十日前後ではないかと思いましたが、呼出しを受けまして、電工へ日野原さんが入社するかもしれないというような話を聞きまして、電工はどういうふうな業務成績かというような点について質問を受けまして、話しました。私は先ほど申しましたように昭和十五年まで電工におりまして、昭和二十一年日野原さんが日本水素の社長となられたときに、私どもは工場長をやめまして、ずつとそれからはほとんど失職の形でおりました。私自身はまた電工にもどりたいという希望を持つてつたので、川崎工場に長くおりましたので、川崎工場のその時分の工場長中村さん等に依頼はしておりましたが、私どもとしては日野原さんのお話を聞いて、私も電工には入りたいと思つてつたころでありますから、電工に入らしてもらいたいということを言つたのであります。その間において工作をするとか何とかいうことは私としてやりたくともし得なかつたじやないかと思います。
  1431. 武藤運十郎

    武藤委員長 ただいまの二十日ごろというのは何月の二十日ですか。
  1432. 齋藤辰雄

    齋藤證人 三月です。二十日前後じやないかと考えられますが、記憶が明確ではございません。
  1433. 武藤運十郎

    武藤委員長 じや日野原氏が正式に社長になる十日くらい前ですね。
  1434. 齋藤辰雄

    齋藤證人 十日ということはちよつと明確ではございません。多分二十日前後ではないかと思つております。
  1435. 武藤運十郎

    武藤委員長 それからすぐ日野原氏が正式に株主総会で社長になつた記憶がありますか。十日か一週間で……。
  1436. 齋藤辰雄

    齋藤證人 実は私も覚えがなかつたのでございますが、最近この問題で二十八日に総会があつたということを新聞で見たりいたしましたので、その間は長かつたという記憶はちよつとないのでございます。
  1437. 武藤運十郎

    武藤委員長 日野原さんが昭電社長に乘り込んで來る前に、あなたは昭電にはいつたわけですか。
  1438. 齋藤辰雄

    齋藤證人 いいえ。
  1439. 武藤運十郎

    武藤委員長 そうではないのですか。
  1440. 齋藤辰雄

    齋藤證人 私の入社は多分四月になつてからだと思います。
  1441. 武藤運十郎

    武藤委員長 正式に入られたのは、日野原さんが社長になつた後の四月になつてからですね。四月何日ですか。
  1442. 齋藤辰雄

    齋藤證人 四月の初めだと思います。
  1443. 武藤運十郎

    武藤委員長 それでは日野原さんが社長になるについて、森さんがやめた後の重役あるいは幹部社員の間で、日野原氏では困るという反対の意向があつたことは御存じありませんか。
  1444. 齋藤辰雄

    齋藤證人 承知しております。
  1445. 武藤運十郎

    武藤委員長 いつどういう機会にそれを御承知になりましたか。
  1446. 齋藤辰雄

    齋藤證人 それは組合と交渉があるというような話を日野原さんから聞きました。
  1447. 武藤運十郎

    武藤委員長 日野原さんと組合との間に交渉があるというのですか。
  1448. 齋藤辰雄

    齋藤證人 はあ。團体交渉と申しますか……。
  1449. 武藤運十郎

    武藤委員長 入る前にですか。
  1450. 齋藤辰雄

    齋藤證人 いいえ後でございます。
  1451. 武藤運十郎

    武藤委員長 日野原氏が入る前の話を私は聞いているのです。
  1452. 齋藤辰雄

    齋藤證人 前に、日野原さんが…。
  1453. 武藤運十郎

    武藤委員長 前に、日野原さんでは困る。言つて見れば日野原さんお断りの運動ですね。そういう情勢が森氏のやめた後の重役の間にも、幹部社員の間にもあるいは労組の間にもあつたのではないかということを伺つているのです。
  1454. 齋藤辰雄

    齋藤證人 私どもとしては、それは聞いておりません。
  1455. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたが労組と折衝せられたことはあるのですか。
  1456. 齋藤辰雄

    齋藤證人 いいえ。四月後になりまして、組合と社長との間で交渉があつたということを聞いております。
  1457. 武藤運十郎

    武藤委員長 あなたは何か当られたことはないですか。
  1458. 齋藤辰雄

    齋藤證人 いいえ私は何もございません。
  1459. 武藤運十郎

    武藤委員長 話を聞いただけで、あなたが御自分でその折衝に当つたようなことはない。
  1460. 齋藤辰雄

    齋藤證人 はあ。
  1461. 武藤運十郎

    武藤委員長 実はあなたが入られたのは、日野原氏が入る前の受入れ態勢をつくる地ならし工作のような意味で入れられたのではないかということを言う者があるのですけれども、そういうことは全然ないのですね。
  1462. 齋藤辰雄

    齋藤證人 私が入りましたのは四月後になつてからであります。
  1463. 武藤運十郎

    武藤委員長 いや正式に辞令が出たのは四月後かもしれませんが、何かそういう仕事をなさつたのではないかと言うのです。
  1464. 齋藤辰雄

    齋藤證人 そういうことはやつておりません。
  1465. 武藤運十郎

    武藤委員長 今度は別の問題で聞きますが、日野原氏が日本水素の社長時代の通訳、あるいは渉外事務を受持つた人はだれか知つていますか。
  1466. 齋藤辰雄

    齋藤證人 存じておりません。
  1467. 武藤運十郎

    武藤委員長 日野原氏が昭電社長就任せられたいきさつについて何か仰存じですか。
  1468. 齋藤辰雄

    齋藤證人 それは社長になられる時分ですが、持株整理委員会からの推薦であるというようなことを社長から聞きました。それ以外には聞いておりません。
  1469. 武藤運十郎

    武藤委員長 何かお聞きになることがございますか。
  1470. 足立梅市

    ○足立委員 あなたは莊野さんを御存じですか。
  1471. 齋藤辰雄

    齋藤證人 はあ。
  1472. 足立梅市

    ○足立委員 この問題について、莊野さんとお話したことがありますか。
  1473. 齋藤辰雄

    齋藤證人 その時分でございます。
  1474. 足立梅市

    ○足立委員 そうです。
  1475. 齋藤辰雄

    齋藤證人 それは私が呼び出されましてこつちに参りまして、日本水素の本社でお目にかかつたことがございます。
  1476. 足立梅市

    ○足立委員 話の内容は……。
  1477. 齋藤辰雄

    齋藤證人 話の内容は、社長からこういうような話があつたという点をその時分に、莊野さんが日本水素の社長でございましたか、常務でございましたか失念しておりますが、とにかく日本水素の現場の責任者であります。私もずつと小名浜におりましたから、そういう社長の話があつたからという了解を得た覚えがございます。
  1478. 足立梅市

    ○足立委員 あなた、それで呼び返されて福島から日野原氏が昭電に行くようにという一つの運動をした意味のことを莊野氏が証言したのでありますか、そういうことはありませんか。
  1479. 齋藤辰雄

    齋藤證人 運動というのは……。
  1480. 足立梅市

    ○足立委員 委員長の言われましたような受入れ態勢に対する昭和電工の工作をあなたがやられたという……。
  1481. 齋藤辰雄

    齋藤證人 私としては先ほど申したように、電工にもどりたいという希望を持つておりましたときでございますから、そういうような話が、社長がきまつたということのあとに、よろしくお願いしたいと言つて、昔の工場長だのに会つて話はしましたが、受入れ態勢を整えるとか、あるいはそれをよくするというようなことをやるようなことを私としてはしなかつた
  1482. 足立梅市

    ○足立委員 あなたは昭和電工の原君というのを御存じですか。
  1483. 齋藤辰雄

    齋藤證人 原猛六君でしたらずつと入つてから存じております。
  1484. 足立梅市

    ○足立委員 当時は知らなかつたですか。
  1485. 齋藤辰雄

    齋藤證人 ええ。
  1486. 足立梅市

    ○足立委員 結構であります。
  1487. 武藤運十郎

    武藤委員長 ほかにございませんか——それでは済みました。御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時五十三分散会