○成瀬
委員 さいぜんからの質疑應答によりまして、
農林大臣が
農地改革に対して非常に御熱心であられるということについては、私は敬意を表しておるのでございます。但しこの際に一、二点お伺いしたいのは、第二次
農地改革は
小作地の八割を開放することによりまして、農民を精神的な面においてまた同時に
経済的な面においても、両方から解放し、眞に
日本の民主化をはかるというところに意図があるのでございますが、またそれと同時に、食糧の増産という面におきましても大きなる期待を持
つて来たのでございます。食糧の増産に対する期待は、もつぱら農民の増産意欲を高進せしめる精神的な面にあるのでございますが、さような点等も検討してみまする場合、過般の農民解放祭の行われました当時において、いろいろな
意見がありましたが、大体数字上においてある
程度の成功を見ておると
考えておるのでございます。けれ
ども足一たび
農村の中に入
つて見ますと、なかなか
農村における第三次
農地改革が不徹底であるという点を、各所に見出す次第でございまして、第三次
農地改革を断行せよということは、平野
農林大臣時代におきましても、すでに言明をいたしてお
つた次第でありますが、自由党の内閣になりましてからは、こうい
つたことに対するところの期待が非常にはずれて、もとの
地主制度が復活されるものであるというようなことに
考えられて、地方における
地主勢力というものは、気分を通じていろいろの点におい
農村の民主化に悪影響を與えておりますから、この際
農林大臣は第三次
農地開放を新たなる構想のもとに試みてみようという御答弁でございますが、私はその
内容についてもう
一つ具体的にお伺いしてみたいと
考えておるのでございます。
松澤
委員も言われて、おりましたように、
農村の民主化はまず
地主、
小作とい
つた考え方を拂拭清算することにあるのでございます。しかるに未だにそれが容易に清算されずに、ともすればわが党の内閣ができたのであるから、ここ五年、十年後においては元の
地主勢力になるんだということが、車中においても放言されておるということは、これは自由党においてもはなはだ迷惑でなかろうかと思うのでありますけれ
ども、從來からの性格から
考えましても、そういうことによりましで、第二次
農地改革の
あと始末が不徹底に終るということであ
つたならば、
日本の
農村のために、国家再建のためにたいへん迷惑千万であると存ずる次第でございます。大体山間部の
農村におきまして第二次
農地改革が発表された際、その数字的な点から検討いたしまして、第二次
農地改革などということは、山間農民に何ら
利益するところはないというような
意見も出ております。それは何であるかと申しますと、山間部の
農村は大体平均反別が二反歩とか、あるいは三反
程度の小
農業経営でありまして、全國平均一町の
地主保有
面積を認めた際における末端の山村における恩典というものは、はなはだ薄いというので失望いたしましたが、第二次
農地改革をいたしまして、さらに第三次
農地改革を断行して、山村における農民といえ
ども、この開放の恩典に浴するものであるというように、われわれは進んで來ましたが、さようなことを
考える場合に、山村における農民に対しましては、どうしても零細
地主を清算する
方向に進んでもらわなくてはならないのでございまして、再三の御答弁の中には、新しい
地主ができる場合、いわゆる
耕作せざる場合におけるところの立場を
考えて、若干の
地主制度も認めて存続することが、かえ
つて何らかのそこに緩衝的な
制度として認められていいのではないというようなことがございますが、われわれは新しい
農業協同組合、いろいろな新しい
方法をもちまして、そういう今までのような
地主制度は完全になくしてしまうことにおきまして、新しい
農村の
経営ができるものである。かように
考えられますが、
農村のいわゆる氣分的な面を全体として清算するために、今残存いたしておるところの
地主保有
面積を清算する意図があるかどうかという点をお伺いいたしたいのでございます。
さらに食糧増産におきましては、精神的な面からの増産はある
程度成功いたしておりますけれ
ども、しかしながら
面積の面からするところの食糧増産がなされておりませんので、
農地改革を通しまして、この
方面に対する
考え方をどういうふうに織込んで行かれるか、今のままでありましたならば、地方における富農の人たちが、ある
程度の
面積の面においていわゆる余裕
面積を持
つておる。かように
考える次第でありますのは、大体
日本全國の
耕地面積は、六百万
町歩近いものであるということもとりさたされておりますけれ
どもう少くとも五百七、八十万
町歩はあろう、こういうように
考えておるにかかわらず、昨年の
農業センサスによりますると、これが五百二万
町歩である。こういうことを
考えあわせまして、食糧増産、食糧供出の面においてはなはだ遺憾千万でありまするが、こういう面において、将来新しい
農地改革の
方面に持
つて行かれることができるかどうかお尋ねいたしたい。
なおもう
一つは、
農地委員のいわゆる予算上における問題でございます。大体三十八億
程度の最少限度の希望を、全國
農地委員大会等においても、農林当局にいろいろ折衝の結果、その数字をつかみ、その
程度を期待いたしてお
つたのでございますけれ
ども、追加予算におきましては、その一割、三億八千万円
程度しか確保せられないということで、非常に失望いたしておりまするが、かようなことでは実際いかに
農地改革に熱心であられる
農林大臣といたしましても、
経済的な予算面から、この
方面が大きく障害とな
つて現われると思いますので、
農林大臣は
農地改革のほんとうの眞意を理解いたしまして、この、予算面におけるところの
努力を、大藏
大臣に折衝を試みておるか、また今後においてもその覚悟をなされておるかどうかという点につきまての御
意見を承
つてみたいと思う次第でございます。さらにまた身分保障等におきましても、これは單なる書記というような建前からいたしまして、どうも非常に不安であるということを言われておりまするが、さような点につきまして、今までどういうような
努力がなされて来ておられるか、現在のところ
自作農の特別措置法が十二月末をも
つて一應完了するというようなことにな
つておりますので、この
農地改革に
農地調停法と表裏一体をなしておるところの
自作農の特別措置法、これが一應打切りということになりますと、
農地調整法それ自体も、何だかそれは打切りだというような印象を地方
農村に與えておるということは、はなはだ遺憾千万でございますから、さような点が一点、
農地委員等に対する身分、待遇上における立場において、非常に足らざる点がありますがために、両者の
関係からいたしまして、
農地改革はもう民自党内閣のもとにおいて打切るというような
意見さえ出て來ておりますので、こういう
方面に対する対策をいかに樹立されて行くかということをお伺いしてみたいと思うのであります。