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野原委員 ただいまの
永井君の私に対する
質問、私もはなはだ同感の点が多いのであります。そこでまず逐條的に
お話を申し上げたいと思います。
まず第一の問題、
薪炭の問題を緊急だけの問題に限定して考えるか、それともまた
將來の
恒久的対策にまで触れて考えているのであるかどうかという御
方針についての
お話でございますが、もとより当面する
緊急対策を
中心として種々
檢討を加えたものでございますけれども、同時にまたこれは
將來にわた
つての
恒久的対策をも十分に勘案いたしまして、
檢討を加えたつもりでございます。
なお第二の
まきの問題でございますが、
薪炭價格の問題は御
指摘のごとく、今日
生産地においては非常に高い、
從つて生産地帶においては
公定價格ではとうてい賣れない、
一般の
消費價格と申しますか、
取引價格は、
公定價格をはるかに下まわ
つておるというような現況でございます。この点におきましては
林野局長官といろいろと
話合つたのでありますけれども、
まきの
買上價格に関しましては、各
地方において、この際必ずしも
公定價格でなければ賣れないというのではない。むしろ
公定價格よりも多少安くてもいいから
政府が
買上げてほしいというような要望が非常に多いように
伺つたのであります。
從つてこの際
公定價格になるものの
考え方は、いわゆる
最高價格である。
從つてその範囲内においてそれぞれの
生産地帶が満足し得るような
價格をも
つて政府に賣渡すというような
意図があるならば、この際その
地方の無理のない
價格でも
つて買い上げるということにはか
つたらいかがなものかということが論議の
中心にもな
つたのであります。そこでいろいろと話合いました結果、まだ
林野当局においても、的確なる成算を得てはいないようでありますけれども、
一つの案として、まず
生産地において購入する場合においては、
政府が
買上げる場合において、
公定價格よりも安く
買上げたような場合において、その安く
買上げた分だけが
消費地において安く
配給し得るというような
考え方でも
つて、
生産と
消費の
需給の円滑をはかるということにいたしたいというような
方針がほぼ明らかにされたのであります。それらに関しましては、いろいろと
技術的に
檢討しなければならぬ問題もございましようから、われわれとしてはなるべく早くそうした問題を取上げて、具体的に
計画を立てていただきたい、またその経過に対しましては、われわれの小
委員会に詳しく御
報告を願いたい、そういうふうに申し入れておいたような次第でございます。
第三の
ガスまきの問題でございますが、御
承知の
通りわが國の
燃料は、いわゆる
自動車、
トラツク等の
木炭ガスあるいは
まきガス等に使われているものが相当多いのでございますが、これが
木炭ガスとして使用されているものは、今日
政府から割当している数量は二十七万トンにな
つておるのであります。二十七万トンというものは、
木炭全体の
消費量から申すならば相当大きなものでありますが、実際の
使用状態は、おそらく、推定でございますけれども、七十万トン
程度に達しているのではないか。それは御
承知の
通りトラツク等は
機動力をも
つております。
自分たちが
配給を受けただけの量で十分にまかない得ない分は、それぞれその
機動力を発揮して、
山元の
生産地から適当な
方法で入手して需要に充てているのではないか、そういうふうに推定される節が多いのであります。それらのものを、およその見当でみますと、約七十万トン
程度はどうしても使
つているのではなかろうかと思うのであります。ところで、すでに御
承知の
通り、
木材の利用という点から考えるならば、
立木を
伐採して一
應まきにして、これを
炭がまに入れて
木炭にするわけでありますが、これをそのまま
ガスまきとして利用する場合と、
木炭という形を経て、いわゆる
木炭ガスという形にする場合においては、カロリーの上においてどういう差があるかということを、
技術的に
十分檢討を加えましたところ、今日
まきガスの方が約二倍半の
利益がある。つまり
立木の
伐採量が
木炭ガスによる場合においては二倍半も多く伐らなければならぬというようなことが明らかにな
つておるのであります。
從つてわれわれが今日の國内の
薪炭事情を考えるときにおいては、
立木の
成長量を無視するがごとき過成、濫伐はあくまでもこれを避けなければならぬのであります。かかる
見地から考えまして、わが國の材木の
將來にわた
つての恒久的な
計画を立てる場合において、節約し得る分においては、できるだけこれを節約するというようなことを考えるときにおいては、何としてもできるだけ早く
木炭ガスはこれをやめて、そして
まきガスにするということが、
技術的に必要にな
つてくるのであります。そういう
見地から、先般
來木野局、運輸省においていろいろ協議の結果、漸次
ガスまきに切りかえて行くというような
方針に相な
つておりまして、その
方向に進んでいるわけであります。これらのことは、わが國の
薪炭事情を好轉せしむるきわめて有効適切なる
措置であると思いますので、われわれとしては
林野局当局がかかる案をも
つて進んでいることに対しましては、むしろ全幅の敬意を表しているような次第であります。
從つてこのことがただちに
家庭燃料の方に
惡影響があるかというふうなことに関しては、全然反対でありまして、こういう
措置を講ずることによ
つて、おそらく
家庭燃料等においては、非常な効果が現われるであろうことを私どもは期待しておる次第であります。
それから
原木價格の
考え方なんでありますが、
原木の
價格につきましては、ただいま
永井委員の御
指摘のごとく、これは單に
原木の
價格を引下げるというような、そういう
考え方のみをも
つてしてはいかぬ、
原木の恒久的な再
生産、林業経営上の不安というものを除去する。林業経営者の林木成長育成に関する十分の努力を傾到せしむるに足るだけの、
木材再
生産の可能な限度においてこれを考えなければならぬという建前におきましては、ま
つたく同一の
意見でありまして、それらに関しましても十分これを考慮いたしまして、この
決議事項の中には、できるだけ
生産者の
利益をはかる、この
原木形成についての具体的な
事柄は入
つておりませんけれども、全般的に
生産者の
利益を擁護するという
考え方を多分に織込んでおることは事実であります。以上簡單でありましたが、
永井委員に対する私のお答えを終ります。